ゲスト
(ka0000)
ボラ族、語り部を求み明日を窺う
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/01/23 07:30
- 完成日
- 2015/01/29 10:53
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
新しい年を迎えるのはその地域、その人によって様々に異なる。家族で団欒を楽しみ静かに年を明けるのを待つ者。また友人達と楽しく騒ぐ者。教会に足を運び思いも新たに祈りをささげる者、平時と変わらず仕事に精を出すもの、歪虚の襲来で鉄火と命の輝きを放つ者……。
帝国の山奥に居を構えた、辺境より移住してきたボラ族の民は、この年明けを穏やかに暮らすようであった。
ボラ族の族長であるイグは小屋の一番奥で、手製の弦楽器をつま弾いていた。形状はリュートを意識しているのだろうがリュートと名づけられるほどの出来ではない。形は元より音もひどく粗末なものだったが、一族の者たちはその調べにあわせ、また簡素な囲炉裏に身を寄せ合って音を聞いていた。
「百年続いた恵みは枯れ果てた。刈り取る者を止められなかった我らの罪は重い。我々は名を捨て戦おう」
「ヴォラー! ヴォラー!」
イグの調べに合わせて、一族は声を合わせて合の手を入れた。
「名を失い精霊に忘れられようとも、我々は戦おう。明けぬ夜はない、春の来ない冬はない」
「ヴォラー! ヴォラー!!」
弦のつま弾きが止まり、高くあがった合いの手も徐々にさざ波が引いていくかのように、静まり返る。後に残るは火が爆ぜる音くらい。ゆらゆらと火の影に明滅する一族の横顔はどこか悲愴としていて、どこか気高くもあった。
「我々は帝国の民になることができた。帝国は強い。故に辺境の民に見下すこともある。しかし我々の手に負えぬ歪虚と対抗する術を持っているのは間違いないことだ。たくさん学ぶことはある。今年はより多くの事を学び、帝国の精神を身に着ける。これが目標だ」
族長の言葉に、一族は皆一様に頷いた。服装も顔つきもまだ帝国の人間とは随分とかけ離れている。常識だって拠り所とする精神もまだ辺境にいる時分と変わっていないのだから当然だ。しかし彼らの籍は帝国にある。変わらねばならぬのだ。
「オレ達は多くのことを知る必要がある。帝国を知りたい。何故余所より戦いに拘るのか。人類の盾と自称するのか。オレは帝国の兵士と戦った。強くなかった。しかし、帝国全体は強い。不思議だ」
そう言ったのはボラ族の中で一番の戦士であるゾールだった。彼が戦ったという兵士を思い出し拳を握りしめる横で、壁にもたれかかって退屈そうにしていた少年のロッカも声を上げた。
「ボクは帝国が入れ込むハンターが気になるかな。最近の戦いにはハンターって必ずいるよね。今までどんなことをしてきたのかな。どんな戦いしてきたのかな。ハンターを知ればボク達の目指す道も多分見えてくるんじゃない?」
賛同の声が響く中、次に明確な意見を口にしたのは、赤子を抱いた女レイアだった。
「私はそれよりも生活の自立を目指すべきだと思うわ。案内人のメルさんは私達を非常識という。どんな道を歩むにしてもこの世界のことを識り、それに応じた行動をする必要があるわ。ここでの生活を堅固なものにすることで、戦う準備もできると思うの」
そうだ。そうだとこちらも賛同の声が上がると、続いて我も我もとそれぞれの意見を述べ始めた。イグはしばらくそれらに耳を傾けてきたが、やがて「わかった」と言い放った。途端に小屋の喧騒は収まり、また静かな火の爆ぜる音だけが響く。
「これから一年が始まる。我々は聴くことを目標とする。まずハンターにここに来てもらい歌ってもらおう。その生き様を。彼らの見た歴史や戦いを。その善悪を。我々は辺境の更に端で暮らしてきた。オイマトやスコールとも距離を置いた間柄だ。故にこの世には知らぬことの方が多いのだろう」
一呼吸おいてイグは大きな声で言った。
「聴き、知り。そして成長する。これが我らの取るべき道だ」
「ヴォラー! ヴォラー!!」
ボラ族は皆で唱和した。
帝国の山奥に居を構えた、辺境より移住してきたボラ族の民は、この年明けを穏やかに暮らすようであった。
ボラ族の族長であるイグは小屋の一番奥で、手製の弦楽器をつま弾いていた。形状はリュートを意識しているのだろうがリュートと名づけられるほどの出来ではない。形は元より音もひどく粗末なものだったが、一族の者たちはその調べにあわせ、また簡素な囲炉裏に身を寄せ合って音を聞いていた。
「百年続いた恵みは枯れ果てた。刈り取る者を止められなかった我らの罪は重い。我々は名を捨て戦おう」
「ヴォラー! ヴォラー!」
イグの調べに合わせて、一族は声を合わせて合の手を入れた。
「名を失い精霊に忘れられようとも、我々は戦おう。明けぬ夜はない、春の来ない冬はない」
「ヴォラー! ヴォラー!!」
弦のつま弾きが止まり、高くあがった合いの手も徐々にさざ波が引いていくかのように、静まり返る。後に残るは火が爆ぜる音くらい。ゆらゆらと火の影に明滅する一族の横顔はどこか悲愴としていて、どこか気高くもあった。
「我々は帝国の民になることができた。帝国は強い。故に辺境の民に見下すこともある。しかし我々の手に負えぬ歪虚と対抗する術を持っているのは間違いないことだ。たくさん学ぶことはある。今年はより多くの事を学び、帝国の精神を身に着ける。これが目標だ」
族長の言葉に、一族は皆一様に頷いた。服装も顔つきもまだ帝国の人間とは随分とかけ離れている。常識だって拠り所とする精神もまだ辺境にいる時分と変わっていないのだから当然だ。しかし彼らの籍は帝国にある。変わらねばならぬのだ。
「オレ達は多くのことを知る必要がある。帝国を知りたい。何故余所より戦いに拘るのか。人類の盾と自称するのか。オレは帝国の兵士と戦った。強くなかった。しかし、帝国全体は強い。不思議だ」
そう言ったのはボラ族の中で一番の戦士であるゾールだった。彼が戦ったという兵士を思い出し拳を握りしめる横で、壁にもたれかかって退屈そうにしていた少年のロッカも声を上げた。
「ボクは帝国が入れ込むハンターが気になるかな。最近の戦いにはハンターって必ずいるよね。今までどんなことをしてきたのかな。どんな戦いしてきたのかな。ハンターを知ればボク達の目指す道も多分見えてくるんじゃない?」
賛同の声が響く中、次に明確な意見を口にしたのは、赤子を抱いた女レイアだった。
「私はそれよりも生活の自立を目指すべきだと思うわ。案内人のメルさんは私達を非常識という。どんな道を歩むにしてもこの世界のことを識り、それに応じた行動をする必要があるわ。ここでの生活を堅固なものにすることで、戦う準備もできると思うの」
そうだ。そうだとこちらも賛同の声が上がると、続いて我も我もとそれぞれの意見を述べ始めた。イグはしばらくそれらに耳を傾けてきたが、やがて「わかった」と言い放った。途端に小屋の喧騒は収まり、また静かな火の爆ぜる音だけが響く。
「これから一年が始まる。我々は聴くことを目標とする。まずハンターにここに来てもらい歌ってもらおう。その生き様を。彼らの見た歴史や戦いを。その善悪を。我々は辺境の更に端で暮らしてきた。オイマトやスコールとも距離を置いた間柄だ。故にこの世には知らぬことの方が多いのだろう」
一呼吸おいてイグは大きな声で言った。
「聴き、知り。そして成長する。これが我らの取るべき道だ」
「ヴォラー! ヴォラー!!」
ボラ族は皆で唱和した。
リプレイ本文
「ささ、座って、座って。はい、座布団」
そう言って、一行を出迎えてくれたのはボラ族……ではなくアーシュラ・クリオール(ka0226)だった。馴染みすぎて本当にボラ族と見分けがつかない。手際の良さに他のメンバーも少々戸惑い気味である。
「これお年玉。リアルブルーでは年明けになったらこれ渡すんだって。これな、ジュードさんところの飴なんだ」
ユリアン(ka1664)もアーシュラほどではないが、挨拶がてらに飴玉を子供たちにプレゼントし、お茶を沸かすために台所へ向かっていくあたり手慣れた感じがすごい。
「うわ、すごいな、パン窯ができてる!」
「ふふん、凄いでしょ。みんなで作ったんだよ」
「随分、慣れてんだな」
アーシュラとユリアンの会話に思わず唖然とするアッシュ・ブランシェ(ka3931)。自分が生きてきた環境とはまるで違う空気に戸惑いを感じていた。こんな立場の違う人間同士が警戒感のなく付き合えるものなのか。
「辺境出身の人は、出会ったその時から友人みたいに受け止めてくれるからね。私もそのおかげで今があるんだよ」
アッシュの言葉に辺境で育ってきたランカ(ka0327)はにこりと微笑んだ。
そんな二人の元に、少年がすごい勢いで走ってきた。
「こら、ロッカ! プレゼントを独り占めするな!」
「えー、『お姉ちゃん』とこの飴玉きれいだし! これは細工に使いたいんだよ!!」
わざと間違えてるな……?
女装しているとはいえ、れっきとした男性であるジュード・エアハート(ka0410)の笑顔が若干引きつった。ロッカも男か女かよくわからない風貌をしているあたり、共感もしくは嫉妬のようなものがあるのかもしれない。とジュードは感じた。
ロッカと呼ばれた少年はそのままアッシュとランカを盾に追っ手の巨漢ゾールを阻むと、そのままダリオ・パステリ(ka2363)の背後に隠れてしまった。
「これ、ロッカ殿、それはユリアン殿が全員にと渡したものでござろう」
ダリオにそう諭されて、ロッカは渋々といった感じで、ポケットから飴玉を一つ取り出すと、ゾールの口に放り込んだ。灰と青と緑のなんだかぶよぶよとした塊であった。
「あれ、あんな飴ありましたっけ?」
ユリアンにお年玉の話を聞いていたマリエル(ka0116)が小首を傾げた。ジュードと視線を合わせるが、ジュードもあんな不気味な飴は覚えがないと首を振る。
「この前、下水道に冒険した時にね飴玉貰ってたんだよ。あ・げ・る♪」
藤田 武(ka3286)は手袋をしているロッカが持っていた飴をみて真っ青になった。話のネタにと作っていた簡単な電磁石も離してゾールに駆け寄る。多分、下水道に落としたんだろう。飴玉とは名ばかりのおぞましい外見になっていた。ゾールは泡を吹いて倒れていた。
「飴はそんな色してません! ああ、神よ、お助け下さいませ」
慌てて看護し、祈る藤田の後ろでロッカはぼそりと囁いた。
「汝の成したいようになすがよい」
藤田とマリエルの手厚い看護により、とりあえず殺人事件にはならなかったようである。
●
囲炉裏の火が勢いよく燃える中、その上にかけられた大鍋の具はもう残り少なくなっていた。肉の多い少ないで子供がもめたり、野菜をいれる順序で大人がもめたり、一般じゃ食べないだろう珍味が入っていてジュードが悲鳴を上げたこともあったが、今はもう穏やかに毛布を被り、皆、香草茶の香りを楽しみつつ囲炉裏の火を見つめている。
「帝国はどうして強いのだろう」
語りの始まりはイグの率直な質問からだった。それを聞いて、ふむ、とダリオは目を細めた。
「連携し戦うからであろう。集団戦は技量に左右されず、確実性があるゆえな」
「それに同じ装備をすることで、訓練も効率化できるんです」
ダリオに続いたマリエルの言葉に、ゾールは首をひねった。
「効率? 同じ武器を作る方が大変だ。それに一人ひとり自分に合う武器は違うだろう」
「何言ってんだ。規模が全然違うよ。100や200じゃないぜ? 千とか万の世界だ。そんなの個人にあったものなんか作ってる暇ないよ」
一見もっともな意見に、呆れた声を出したのはアッシュだった。
「ヘボくても千人で一斉にタマぶち込めば、大抵の奴らはイチコロだろ? で、その千人を訓練する専門の訓練をする奴らがまた千人。そいつらの全員のメシを作るのもまた別の千人だ。リアルブルーでも同じだぜ。だから、はみ出し者はゴミ扱いされるんだけどな」
「そうだね、辺境、あ、私も辺境で住んでたんだけど。千人とかそんな数の人が同時に行動するって信じられなかったもん」
ランカの言葉に多くのボラ族が頷いた。彼らの知っている大勢、とは数百人が限度であり、千や万といった数でまとめて動くなどイナゴだけだ、と誰かが言った。
「ランカの部族ははどんな生活をしてたの?」
話す側の位置ではなく、ボラ族に混じって座っていたアーシュラが声を上げた。
「私は要塞の近くで森に囲まれた洞窟で暮らしてたんだよ。森の恵みで果実酒を作ったりして近隣に売ったりとかしてたかな。他のエルフはもう歳の人が多かったから、自然と売るとかで外に出るのは私がほとんどだったんだ」
「辺境の果実酒? それ美味しそうっ! どんなの作ってるの?」
気になったのはボラ族だけでなく、ジュードも同じであった。満面の笑顔には商機を見つけた商い人の目が光る。と思わず首を突っ込んだところで、おっと勢いが強すぎたことを自覚し、きょとんとするイグにウィンクをして見せた。
「俺ね、同盟で商売してるんだ。船に乗ってね! 海は知ってる? 船には乗ったことは? でっかい乗り物に品物を詰め込んで旅に出るんだ。辺境の毛織物なんかけっこう良いお金になったりするんだよ」
「お金……??」
「お姉ちゃん、ロマン溢れる話はいいけど、お金の概念から伝えないとダメだよ。こっちは自給自足しかしてないんだからさ」
首を90度に傾げる連中の中で、唯一余所で細工師修行をしていたらしいロッカだけが笑いながらその理由を説明してくれた。前提条件が崩され笑顔のまま凍り付くジュードに代わってアッシュが説明する。
「そんなんで良く生活できんな……金は物々交換の仲立ちみたいなもんだよ。物々交換じゃ相手が欲しい物と折り合わないこともあるだろ。だからその仲介に金を使うんだよ。便利だけど……その多寡で人の価値まで決められることもあるんだぜ」
一瞬だけアッシュの目が遠くを見つめる。ゴミゴミとした街並と不条理に満ちたルール。そして電気の灯が。
闇を見つめるアッシュの瞳に、ぼやり、と光がうつった。炎とは違う科学的な白い光にアッシュは緊張して反射的に目を瞬かせる。藤田が簡単な電磁石で作った電気で麦電球を光らせたのだ。真白い光を手の中で生み出した彼はアッシュににこりと微笑んだ。
「光と影ですね。確かに悪い側面もあります。力が満ち溢れる世界ですからね」
「どうやって明かりついてるんだ? マテリアルじゃないんだよな? これがリアルブルーの技術……」
磁石を動かすだけで明滅する麦球にユリアンは好奇心に満ちた顔を近づけた。それだけでなくボラ族の面々も驚いて押すな押すなのマジック披露のような状態だ。リアルブルー出身のアーシュラは懐かしいなという顔でそんな様子を笑ってみている。
「この電気をつける方法は色々ありますが、できない方法もありますよ。リアルブルーでは魔法は使えません。使えないからこそ、科学を発展させてきました。今や科学が魔法のようになっていますが……。力のあり方もそうですが、今できないことがあるからこそ、今あること、今できることを如何にすべきかを問うのは大切なことではないでしょうか」
藤田の言葉に、イグは頷いた。
「確かにそうだ。我々ができることを伸ばしていくことは大切だ」
「そうだね、ボラ族のみんなは今のままでもいいくらい。みんなのことが好きだよ」
アーシュラの素朴な感想に、ユリアンも何度もうなずいた。この素朴な一族が帝国の兵士のように盾と銃を装備し、号令と共に一斉に歪虚に飛び込む様子を想像すると、寂寥感を禁じ得ない。
「嬉しい言葉をありがとう。だが、変わることを恐れないのが我らボラ族なのだ」
その一言にランカは少し目を伏せた。変わりゆく世界、平穏でいられなくなるのは、どこも同じ。彼らは一族揃って立ち上がった。それは凄いことだと思うと同時に胸が少し締め付けられる。第二の故郷ともいえるエルフ達がふと浮かんでは消える。
「その為には我らだけでなく、もっと大きな規模で連携を行う必要があることはよくわかった」
「如何にも。戦は勝たねばならん。敗者に語る口は与えられんのだ」
イグの感想を追認するかのようにダリオはそう言った。ダリオとイグの視線を合わせて微かに頷き合った。失った物を取り返すという決意において、彼らの意志はどうやら似ているらしかった。
「我々はここにいてはならないな。もっと外に出て、積極的に帝国と関わる必要がある。その為に……カネを得る必要がありそうだ」
カネを得る。うわぁ、なんか妙に生々しい。ユリアンは苦笑いを浮かべた。が、それがレイアの台詞で笑いが凍り付く。
「お金? ロッカの細工技術があれば作れそうだけど」
「ま、ヨユーだね」
「いやいやいや!? それ、貨幣偽造ってやっちゃいけない事だから! お金はね、対価として他人から貰うんだ。俺はハンターでハンターズソサエティってところから依頼されることを解決してお金を貰ってるよ。どこの国の依頼でも受けるし、相手が国とは限らない。今回のみんなのようにね」
ユリアンは自分の事を例にして収入の説明すると共に、ジュードが説明を追加する。
「ほら、ランカさんところは果実酒を作ってるって言ってたよね? 元は森の恵みなんだ元手からかからないけれど、他の人達の住んでいるところは森がないかもしれないでしょ? そしたらそんなところで果実酒を売ったらたくさんお金が貰えるんだよ。だからたくさん積める船とかは商売に向いてるってわけ。運ぶ物が多いほど儲かるからね」
それから売り方も大事だよ。とジュードはドレスのフリルをつまんで笑った。
「そうだね、海や港は見てほしいかな。百聞は一見に如かずってことわざがあるくらいだし」
アーシュラの言葉にイグは頷いた。
「海はとてつもなく広いと聞く。自分たちの小ささを実感し、自然がもたらす愛を実感し、崇敬の念を抱かせるとも」
その言葉と共に、イグはボラ族を見回した。誰もが夢を抱き、好奇心に満ち溢れた顔をしている。彼らの目的は決定したようだ。
「よし、我々はここを抜け出し、今度港に行こう。港には海がある、人ももっとたくさんいるだろう。そこで我々は彼らと交流し、連携をしていこう。互いに恵みを与える存在となる。多くの人と共に繁栄する事こそ我らが歪虚と戦う道だ」
「ヴォラー、ウミ行こう! ヴォラー! ミナト行こう!!」
皆が唱和した。その勢いに気圧されつつ、マリエルはふと首を傾げた。
「歪虚と戦う道、ですか?」
「そうだ。我々の住んでいた土地は、歪虚によって枯れてしまった。そして我らはその不可知の歪虚に勝つことはできず巫女すらも失った。我々の武器だけでは勝てぬ存在に勝つには。歪虚が枯らす以上に我々は恵みを生み出すのだ」
「今自分にできないことがあっても、代わりの手段でそれを達成する、ということですね。単に戦いで血を流すより尊いことですね。良い道が開けますように」
藤田はそう言うと、勢い立つボラ族に祝福をする為に、手を合わせた。
「武器で争うだけが戦ではない、か……」
色んな話をした。集団での戦う意味、商売のこと、金銭や経済の価値。彼らはそのどれにも真っ直ぐ耳を傾け、そして自分たちに必要なことだけを抜き出して自分たちの物にしていた。迷うようなら、忠告するつもりであったダリオはそれが無用だと気づき、切れ長の目を細めた。武器を取らずに戦をするという結論にいたったことについてもまた。
「でも、港にいけば同じような仕事と人間ばっかだぜ。僕らどっちかとゆーとオンリーワンの仕事の方が向いてそうだけどね」
ロッカの一言にマリエルがくすす、とほほ笑んだ。
「大丈夫ですよ。戦闘もそうです。兵士さんはみんな盾と銃、鎧と装備は決まっていますけれど、だからこそ訓練が効率化されたり、新たな利点や欠点があれば、互いにチェックできます。他のお仕事もそうじゃないでしょうか。やっていることは同じ。でも個性は必ずありますし、だからこそ生まれるつながりもあるはずです」
「そうだね。帝国はありのままに受け入れる強さがあるからね。色々な物の見方ができるし、力が発揮できたら、それが素直に評価される。厳しい一面もあるけれどね」
アーシュラがそう言い、帝国での依頼をいくつもこなしたハンター達はその言葉に同意した。自由とも優しいともいえないが、力には厳格で公正な一面を見せる。それが帝国だ。そしてその言葉にボラ族もしっかりと頷いた。
●
「あるーひ、森の中、ランカが、帝国兵に出会った♪」
次の日、山林の小道をボラ族はマリエルの伴奏で歌いながら、下っていた。ランカは一緒に歌えるようにと流行歌を教えたが、結局落ち着いたのはみんな簡単に歌える懐かしのメロディーだった。そして内容はもう勝手に改変され続けている。
「はーい、二番~」
アーシュラがアルケミストタクトを振りながら、次の曲を繰り出す。
「海は広いな、大きいなー。 ジュード船長と 積み荷をかたっぱしらからいただーくぜ」
「ちょっ、俺、いつから海賊になったんだよ!」
自由奔放すぎる曲にジュードはツッコミを入れる。
「能天気な連中だなぁ」
「山で動物に襲われないためには、騒々しいくらいが良いと聞きますね。そして歌には気持ちを高める効果もあります。彼らなりに新天地への心構えを作っているのかもしれませんね」
呆れるアッシュに、藤田はにこりと微笑んでそう言った。
「うむ、確かに。そしていざという時は静寂で行動する。この差異が緊張を適度に維持し、また敵を油断させることにもつながろう」
「さすがおかしら。良くわかってる」
ボラ族は和気藹々としながらも、全員が注意の視線を周囲に送っている。自然や猛獣と戦い続けてきた辺境の民ならではの警戒感がうかがえた。それを見抜いたダリオにユリアンは称賛を贈りつつ、くるりと来た道を振り返り、小さくなる小屋を見てぽつりと零した。
「にしても、メルさん怒らないかな……」
小屋の入り口には貼り紙がしてあった。
「みんなで 海に行ってくる」
ボラ族の後見人である帝国役人のメルツェーデスがこれを見たのは3日後のことであった。
メルツェーデスは激怒した。
走って追いかけてきたのは言うまでもない。
そう言って、一行を出迎えてくれたのはボラ族……ではなくアーシュラ・クリオール(ka0226)だった。馴染みすぎて本当にボラ族と見分けがつかない。手際の良さに他のメンバーも少々戸惑い気味である。
「これお年玉。リアルブルーでは年明けになったらこれ渡すんだって。これな、ジュードさんところの飴なんだ」
ユリアン(ka1664)もアーシュラほどではないが、挨拶がてらに飴玉を子供たちにプレゼントし、お茶を沸かすために台所へ向かっていくあたり手慣れた感じがすごい。
「うわ、すごいな、パン窯ができてる!」
「ふふん、凄いでしょ。みんなで作ったんだよ」
「随分、慣れてんだな」
アーシュラとユリアンの会話に思わず唖然とするアッシュ・ブランシェ(ka3931)。自分が生きてきた環境とはまるで違う空気に戸惑いを感じていた。こんな立場の違う人間同士が警戒感のなく付き合えるものなのか。
「辺境出身の人は、出会ったその時から友人みたいに受け止めてくれるからね。私もそのおかげで今があるんだよ」
アッシュの言葉に辺境で育ってきたランカ(ka0327)はにこりと微笑んだ。
そんな二人の元に、少年がすごい勢いで走ってきた。
「こら、ロッカ! プレゼントを独り占めするな!」
「えー、『お姉ちゃん』とこの飴玉きれいだし! これは細工に使いたいんだよ!!」
わざと間違えてるな……?
女装しているとはいえ、れっきとした男性であるジュード・エアハート(ka0410)の笑顔が若干引きつった。ロッカも男か女かよくわからない風貌をしているあたり、共感もしくは嫉妬のようなものがあるのかもしれない。とジュードは感じた。
ロッカと呼ばれた少年はそのままアッシュとランカを盾に追っ手の巨漢ゾールを阻むと、そのままダリオ・パステリ(ka2363)の背後に隠れてしまった。
「これ、ロッカ殿、それはユリアン殿が全員にと渡したものでござろう」
ダリオにそう諭されて、ロッカは渋々といった感じで、ポケットから飴玉を一つ取り出すと、ゾールの口に放り込んだ。灰と青と緑のなんだかぶよぶよとした塊であった。
「あれ、あんな飴ありましたっけ?」
ユリアンにお年玉の話を聞いていたマリエル(ka0116)が小首を傾げた。ジュードと視線を合わせるが、ジュードもあんな不気味な飴は覚えがないと首を振る。
「この前、下水道に冒険した時にね飴玉貰ってたんだよ。あ・げ・る♪」
藤田 武(ka3286)は手袋をしているロッカが持っていた飴をみて真っ青になった。話のネタにと作っていた簡単な電磁石も離してゾールに駆け寄る。多分、下水道に落としたんだろう。飴玉とは名ばかりのおぞましい外見になっていた。ゾールは泡を吹いて倒れていた。
「飴はそんな色してません! ああ、神よ、お助け下さいませ」
慌てて看護し、祈る藤田の後ろでロッカはぼそりと囁いた。
「汝の成したいようになすがよい」
藤田とマリエルの手厚い看護により、とりあえず殺人事件にはならなかったようである。
●
囲炉裏の火が勢いよく燃える中、その上にかけられた大鍋の具はもう残り少なくなっていた。肉の多い少ないで子供がもめたり、野菜をいれる順序で大人がもめたり、一般じゃ食べないだろう珍味が入っていてジュードが悲鳴を上げたこともあったが、今はもう穏やかに毛布を被り、皆、香草茶の香りを楽しみつつ囲炉裏の火を見つめている。
「帝国はどうして強いのだろう」
語りの始まりはイグの率直な質問からだった。それを聞いて、ふむ、とダリオは目を細めた。
「連携し戦うからであろう。集団戦は技量に左右されず、確実性があるゆえな」
「それに同じ装備をすることで、訓練も効率化できるんです」
ダリオに続いたマリエルの言葉に、ゾールは首をひねった。
「効率? 同じ武器を作る方が大変だ。それに一人ひとり自分に合う武器は違うだろう」
「何言ってんだ。規模が全然違うよ。100や200じゃないぜ? 千とか万の世界だ。そんなの個人にあったものなんか作ってる暇ないよ」
一見もっともな意見に、呆れた声を出したのはアッシュだった。
「ヘボくても千人で一斉にタマぶち込めば、大抵の奴らはイチコロだろ? で、その千人を訓練する専門の訓練をする奴らがまた千人。そいつらの全員のメシを作るのもまた別の千人だ。リアルブルーでも同じだぜ。だから、はみ出し者はゴミ扱いされるんだけどな」
「そうだね、辺境、あ、私も辺境で住んでたんだけど。千人とかそんな数の人が同時に行動するって信じられなかったもん」
ランカの言葉に多くのボラ族が頷いた。彼らの知っている大勢、とは数百人が限度であり、千や万といった数でまとめて動くなどイナゴだけだ、と誰かが言った。
「ランカの部族ははどんな生活をしてたの?」
話す側の位置ではなく、ボラ族に混じって座っていたアーシュラが声を上げた。
「私は要塞の近くで森に囲まれた洞窟で暮らしてたんだよ。森の恵みで果実酒を作ったりして近隣に売ったりとかしてたかな。他のエルフはもう歳の人が多かったから、自然と売るとかで外に出るのは私がほとんどだったんだ」
「辺境の果実酒? それ美味しそうっ! どんなの作ってるの?」
気になったのはボラ族だけでなく、ジュードも同じであった。満面の笑顔には商機を見つけた商い人の目が光る。と思わず首を突っ込んだところで、おっと勢いが強すぎたことを自覚し、きょとんとするイグにウィンクをして見せた。
「俺ね、同盟で商売してるんだ。船に乗ってね! 海は知ってる? 船には乗ったことは? でっかい乗り物に品物を詰め込んで旅に出るんだ。辺境の毛織物なんかけっこう良いお金になったりするんだよ」
「お金……??」
「お姉ちゃん、ロマン溢れる話はいいけど、お金の概念から伝えないとダメだよ。こっちは自給自足しかしてないんだからさ」
首を90度に傾げる連中の中で、唯一余所で細工師修行をしていたらしいロッカだけが笑いながらその理由を説明してくれた。前提条件が崩され笑顔のまま凍り付くジュードに代わってアッシュが説明する。
「そんなんで良く生活できんな……金は物々交換の仲立ちみたいなもんだよ。物々交換じゃ相手が欲しい物と折り合わないこともあるだろ。だからその仲介に金を使うんだよ。便利だけど……その多寡で人の価値まで決められることもあるんだぜ」
一瞬だけアッシュの目が遠くを見つめる。ゴミゴミとした街並と不条理に満ちたルール。そして電気の灯が。
闇を見つめるアッシュの瞳に、ぼやり、と光がうつった。炎とは違う科学的な白い光にアッシュは緊張して反射的に目を瞬かせる。藤田が簡単な電磁石で作った電気で麦電球を光らせたのだ。真白い光を手の中で生み出した彼はアッシュににこりと微笑んだ。
「光と影ですね。確かに悪い側面もあります。力が満ち溢れる世界ですからね」
「どうやって明かりついてるんだ? マテリアルじゃないんだよな? これがリアルブルーの技術……」
磁石を動かすだけで明滅する麦球にユリアンは好奇心に満ちた顔を近づけた。それだけでなくボラ族の面々も驚いて押すな押すなのマジック披露のような状態だ。リアルブルー出身のアーシュラは懐かしいなという顔でそんな様子を笑ってみている。
「この電気をつける方法は色々ありますが、できない方法もありますよ。リアルブルーでは魔法は使えません。使えないからこそ、科学を発展させてきました。今や科学が魔法のようになっていますが……。力のあり方もそうですが、今できないことがあるからこそ、今あること、今できることを如何にすべきかを問うのは大切なことではないでしょうか」
藤田の言葉に、イグは頷いた。
「確かにそうだ。我々ができることを伸ばしていくことは大切だ」
「そうだね、ボラ族のみんなは今のままでもいいくらい。みんなのことが好きだよ」
アーシュラの素朴な感想に、ユリアンも何度もうなずいた。この素朴な一族が帝国の兵士のように盾と銃を装備し、号令と共に一斉に歪虚に飛び込む様子を想像すると、寂寥感を禁じ得ない。
「嬉しい言葉をありがとう。だが、変わることを恐れないのが我らボラ族なのだ」
その一言にランカは少し目を伏せた。変わりゆく世界、平穏でいられなくなるのは、どこも同じ。彼らは一族揃って立ち上がった。それは凄いことだと思うと同時に胸が少し締め付けられる。第二の故郷ともいえるエルフ達がふと浮かんでは消える。
「その為には我らだけでなく、もっと大きな規模で連携を行う必要があることはよくわかった」
「如何にも。戦は勝たねばならん。敗者に語る口は与えられんのだ」
イグの感想を追認するかのようにダリオはそう言った。ダリオとイグの視線を合わせて微かに頷き合った。失った物を取り返すという決意において、彼らの意志はどうやら似ているらしかった。
「我々はここにいてはならないな。もっと外に出て、積極的に帝国と関わる必要がある。その為に……カネを得る必要がありそうだ」
カネを得る。うわぁ、なんか妙に生々しい。ユリアンは苦笑いを浮かべた。が、それがレイアの台詞で笑いが凍り付く。
「お金? ロッカの細工技術があれば作れそうだけど」
「ま、ヨユーだね」
「いやいやいや!? それ、貨幣偽造ってやっちゃいけない事だから! お金はね、対価として他人から貰うんだ。俺はハンターでハンターズソサエティってところから依頼されることを解決してお金を貰ってるよ。どこの国の依頼でも受けるし、相手が国とは限らない。今回のみんなのようにね」
ユリアンは自分の事を例にして収入の説明すると共に、ジュードが説明を追加する。
「ほら、ランカさんところは果実酒を作ってるって言ってたよね? 元は森の恵みなんだ元手からかからないけれど、他の人達の住んでいるところは森がないかもしれないでしょ? そしたらそんなところで果実酒を売ったらたくさんお金が貰えるんだよ。だからたくさん積める船とかは商売に向いてるってわけ。運ぶ物が多いほど儲かるからね」
それから売り方も大事だよ。とジュードはドレスのフリルをつまんで笑った。
「そうだね、海や港は見てほしいかな。百聞は一見に如かずってことわざがあるくらいだし」
アーシュラの言葉にイグは頷いた。
「海はとてつもなく広いと聞く。自分たちの小ささを実感し、自然がもたらす愛を実感し、崇敬の念を抱かせるとも」
その言葉と共に、イグはボラ族を見回した。誰もが夢を抱き、好奇心に満ち溢れた顔をしている。彼らの目的は決定したようだ。
「よし、我々はここを抜け出し、今度港に行こう。港には海がある、人ももっとたくさんいるだろう。そこで我々は彼らと交流し、連携をしていこう。互いに恵みを与える存在となる。多くの人と共に繁栄する事こそ我らが歪虚と戦う道だ」
「ヴォラー、ウミ行こう! ヴォラー! ミナト行こう!!」
皆が唱和した。その勢いに気圧されつつ、マリエルはふと首を傾げた。
「歪虚と戦う道、ですか?」
「そうだ。我々の住んでいた土地は、歪虚によって枯れてしまった。そして我らはその不可知の歪虚に勝つことはできず巫女すらも失った。我々の武器だけでは勝てぬ存在に勝つには。歪虚が枯らす以上に我々は恵みを生み出すのだ」
「今自分にできないことがあっても、代わりの手段でそれを達成する、ということですね。単に戦いで血を流すより尊いことですね。良い道が開けますように」
藤田はそう言うと、勢い立つボラ族に祝福をする為に、手を合わせた。
「武器で争うだけが戦ではない、か……」
色んな話をした。集団での戦う意味、商売のこと、金銭や経済の価値。彼らはそのどれにも真っ直ぐ耳を傾け、そして自分たちに必要なことだけを抜き出して自分たちの物にしていた。迷うようなら、忠告するつもりであったダリオはそれが無用だと気づき、切れ長の目を細めた。武器を取らずに戦をするという結論にいたったことについてもまた。
「でも、港にいけば同じような仕事と人間ばっかだぜ。僕らどっちかとゆーとオンリーワンの仕事の方が向いてそうだけどね」
ロッカの一言にマリエルがくすす、とほほ笑んだ。
「大丈夫ですよ。戦闘もそうです。兵士さんはみんな盾と銃、鎧と装備は決まっていますけれど、だからこそ訓練が効率化されたり、新たな利点や欠点があれば、互いにチェックできます。他のお仕事もそうじゃないでしょうか。やっていることは同じ。でも個性は必ずありますし、だからこそ生まれるつながりもあるはずです」
「そうだね。帝国はありのままに受け入れる強さがあるからね。色々な物の見方ができるし、力が発揮できたら、それが素直に評価される。厳しい一面もあるけれどね」
アーシュラがそう言い、帝国での依頼をいくつもこなしたハンター達はその言葉に同意した。自由とも優しいともいえないが、力には厳格で公正な一面を見せる。それが帝国だ。そしてその言葉にボラ族もしっかりと頷いた。
●
「あるーひ、森の中、ランカが、帝国兵に出会った♪」
次の日、山林の小道をボラ族はマリエルの伴奏で歌いながら、下っていた。ランカは一緒に歌えるようにと流行歌を教えたが、結局落ち着いたのはみんな簡単に歌える懐かしのメロディーだった。そして内容はもう勝手に改変され続けている。
「はーい、二番~」
アーシュラがアルケミストタクトを振りながら、次の曲を繰り出す。
「海は広いな、大きいなー。 ジュード船長と 積み荷をかたっぱしらからいただーくぜ」
「ちょっ、俺、いつから海賊になったんだよ!」
自由奔放すぎる曲にジュードはツッコミを入れる。
「能天気な連中だなぁ」
「山で動物に襲われないためには、騒々しいくらいが良いと聞きますね。そして歌には気持ちを高める効果もあります。彼らなりに新天地への心構えを作っているのかもしれませんね」
呆れるアッシュに、藤田はにこりと微笑んでそう言った。
「うむ、確かに。そしていざという時は静寂で行動する。この差異が緊張を適度に維持し、また敵を油断させることにもつながろう」
「さすがおかしら。良くわかってる」
ボラ族は和気藹々としながらも、全員が注意の視線を周囲に送っている。自然や猛獣と戦い続けてきた辺境の民ならではの警戒感がうかがえた。それを見抜いたダリオにユリアンは称賛を贈りつつ、くるりと来た道を振り返り、小さくなる小屋を見てぽつりと零した。
「にしても、メルさん怒らないかな……」
小屋の入り口には貼り紙がしてあった。
「みんなで 海に行ってくる」
ボラ族の後見人である帝国役人のメルツェーデスがこれを見たのは3日後のことであった。
メルツェーデスは激怒した。
走って追いかけてきたのは言うまでもない。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/20 08:33:19 |
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雑談の卓 ユリアン・クレティエ(ka1664) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/01/22 23:45:30 |