ゲスト
(ka0000)
【幻想】白と黒
マスター:WTRPGマスター

- シナリオ形態
- グランド
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~100人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/04/17 12:00
- 完成日
- 2019/04/26 18:39
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「かような場にあったか、怠惰王」
歪虚ゴヴニアがアフンルパルの城内を歩き回ってようやく怠惰王オーロラを発見した。
王の間と思しき場所にある玉座で気怠そうにするオーロラは、明らかにオフの状態だ。 だが、城内部にニガヨモギの気配は感じられない。まるで負のマテリアルが正のマテリアルと相殺されているような印象だ。
ふむ、事情は知れた。
ゴヴニアは各地に放った依代を通じ、瞬時に感じ取る。
人間達が何かを仕掛けている、と。
入手している情報ではベスタハ遺跡から何かを発掘している。おそらく人間達はその発掘品を用いて女王の力を封じていると考えるべきだ。
「汝(なれ)を目ざし、敵が向かい来ておる」
「…………あふ」
ゴヴニアの進言にもオーロラに緊張感は感じられない。
暢気な欠伸がその証拠だが、ゴヴニアは既に対抗策を講じている。
「ま、目覚めを急くこともなかろうが。既に青木が人間を迎え討つべく門前にて構えておるがゆえ」
オーロラには迎撃と伝えたが、正確にはゴヴニアが青木を騙して入り口付近に布陣させた為だ。これは怠惰王の身を守る事が許されるのは、ビッグマーとの誓約を結んだ自分だけ――そも、ニガヨモギの影響に対応できるのは、際限なく依代を繰れる彼女だけである――と考えたゴヴニアなりの作戦だ。青木が攻撃を開始すればハンター側もただでは済まないからだ。
だが、狙われる当のオーロラからは思わぬ言葉は飛び出した。
「……青木……誰?」
●
「ここから先に行けると思うな……!」
感情を露わにする青木に、目を見開くハンター達。
彼らは、アフンルパルに構築された城の中にいるという怠惰王を目指して進んでいる途中で、青木 燕太郎(kz0166)に遭遇した。
――何だか、青木の様子がおかしい。
滲み出る焦りと怒り。
別人、と言ってもおかしくない程だが――。
これも数々の歪虚を吸収してきたせいなのか。それとも、このアフンルパルという場所が彼を狂わせているのか……?
「怠惰王の前に青木か。厄介だが、黙って帰ってくれるような相手じゃないな……」
「……青木の相手は俺がする。お前達は早く先に進め……!」
「しかし……!」
「ここで立ち止まっている時間はない……! いいから行け……!」
武器を構えるハンターを制止する部族会議大首長バタルトゥ・オイマト(kz0023)。彼は、危険を承知の上で青木の前へ進み出た。
自分が責任ある立場である事を承知している。傷付けば多くの者に迷惑を掛けるだろう。
だが、それでも。
バタルトゥはこの青木という歪虚を前に直接戦わなければならないと感じ取っていた。
それは戦士としての礼儀というよりも――大首長として辺境の地を守護する者としての試練。
そしてオイマト族であったハイルタイの力を継承した者の始末は、オイマト族族長の自分がすべきと考えていた。
「ここから先は立ち入り禁止だ。……とっとと失せろ。口を開くのも面倒だ」
「……それは出来ない相談だ」
槍を払い、立ちはだかる男を睨み付ける青木。
それを前に一切臆する様子もなく対峙するバタルトゥ。
……青木に以前のような狡猾さを感じない。
言わば、力のみで押して来ているような印象を受ける。
勿論、その『力』もビックマーを継承している以上、尋常ではないが。
以前よりは勝機があるようにも思える。
倒せるか――?
……いや、倒せなくても構わない。
時間を稼ぎさえすれば――ハンターが怠惰王を討ち取ってくれる。
いずれかを成功させれば。
そう脳裏で計算するバタルトゥであったが、眼前の青木からはますます怒気が強まっていく。
「……御託を並べるまで待ってやる時間も惜しい。来るがいい。貴様等の終幕をここで迎えさせてやる」
「……やれるものならやってみろ。俺は俺の務めを果たす――!」
「ぐ、う……おあああああああ!!」
「……!」
跳躍する2人の男。苦し気な青木の咆哮。彼の右腕がミシミシと音を立てる。
辺境の未来をかけた戦いの火蓋が、切って落とされた。
●
決戦の地へと向かう途中、想はまだ不安な顔をしていた。
過去ですら役に立たず独り残ってしまった自分に何が出来るだろう。役に立てなかったら……とうさんの願いに応えられなかったら。
「俺が居る……意味なんて」
その言葉に。たまたま近くに居たチィ=ズヴォーが思わず声をかけた。
「……お前さまの気持ちは、分からねえでもねえんでさあ」
「え……?」
「慕う相手がそばに居ねえ。その不安は、てめえのやってることの意味が分かんなくなる気持ちは分かるんでさあ」
戦うその先に、意味はあるのか。勝利、その先に己の望むものはあるのか。
想の不安。彼に不足しているのは単純な戦力だけなのだろうか。ここに居る意味。生まれた価値。
「でもやっぱ、手前どもは今、お前さまにだけは、存在する意味がねえとか言ってほしくねえと、そう思ったでさあ」
「俺……だけには?」
「手前どもは。お前さまにホナの制御を託した技術者たちの最期を見てきやした。クリムゾンウェスト、リアルブルー、エバーグリーンの全ての世界の人が、共に手を取って共に覚悟を決めて、お前さまにホナの力を届けたんでさあ」
……ああ、そうだ。想の存在が無駄だというなら。
「違う世界が出会った事が! 手を取り合ったことが、無駄だったって言うんですかい!」
──彼らの最期が。今共に戦ってくれている人が。
無駄な足掻きで、要らない犠牲だったと言うのか。
ああ……そうか、そうなのか。
「負けねえ。お前さまは……失わせねえ──手前どもにとって、これは手前どもらが、世界を越えて出会った、その意味を守る戦いでさあ!」
それはただ、今何となく浮かんだ想いだった。
こじつけだろうか。適当だろうか。
『──いや、俺はお前は頭いいやつだと思ってるよ?』
だけどふと、蘇る。
『俺が何か悩んでるとお前が最後にスッと一言言ってくるじゃないか。大体本質なんだよなそれが』
何気ない言葉。重ねた日々の中でくれたもの。
やっぱりそれを無意味になんて……したくない。
そうしてチィは戦いに備え確かめるように刀を抜き、軽く振るう、その姿に。
(何故だろう……この感覚は……リアルブルー?)
想は、あからさまな辺境民のチィになぜかそれを感じていた。……そして、想自身にもどこか懐かしさを。
蒼の世界、だけじゃない。そこに一度親しみを覚えれば、紅の世界の者にもそれを感じた。勿論、エバーグリーンの者だろうオートマトン、それに対しても。
(三世界が……出会った意味)
想は再び前に立つチィの背中を見る。だが、先ほど感じた残影は今は霞んでいた。……彼もまだ、迷いから抜け出した訳ではないのだ。
寂しさや無念だけではない温もり。それに……もう少しで、手が届きそうな気がするのに。
周囲を見渡す。様々な人たちがいる。
(俺の力……俺の想いは……そこにあるの?)
歪虚ゴヴニアがアフンルパルの城内を歩き回ってようやく怠惰王オーロラを発見した。
王の間と思しき場所にある玉座で気怠そうにするオーロラは、明らかにオフの状態だ。 だが、城内部にニガヨモギの気配は感じられない。まるで負のマテリアルが正のマテリアルと相殺されているような印象だ。
ふむ、事情は知れた。
ゴヴニアは各地に放った依代を通じ、瞬時に感じ取る。
人間達が何かを仕掛けている、と。
入手している情報ではベスタハ遺跡から何かを発掘している。おそらく人間達はその発掘品を用いて女王の力を封じていると考えるべきだ。
「汝(なれ)を目ざし、敵が向かい来ておる」
「…………あふ」
ゴヴニアの進言にもオーロラに緊張感は感じられない。
暢気な欠伸がその証拠だが、ゴヴニアは既に対抗策を講じている。
「ま、目覚めを急くこともなかろうが。既に青木が人間を迎え討つべく門前にて構えておるがゆえ」
オーロラには迎撃と伝えたが、正確にはゴヴニアが青木を騙して入り口付近に布陣させた為だ。これは怠惰王の身を守る事が許されるのは、ビッグマーとの誓約を結んだ自分だけ――そも、ニガヨモギの影響に対応できるのは、際限なく依代を繰れる彼女だけである――と考えたゴヴニアなりの作戦だ。青木が攻撃を開始すればハンター側もただでは済まないからだ。
だが、狙われる当のオーロラからは思わぬ言葉は飛び出した。
「……青木……誰?」
●
「ここから先に行けると思うな……!」
感情を露わにする青木に、目を見開くハンター達。
彼らは、アフンルパルに構築された城の中にいるという怠惰王を目指して進んでいる途中で、青木 燕太郎(kz0166)に遭遇した。
――何だか、青木の様子がおかしい。
滲み出る焦りと怒り。
別人、と言ってもおかしくない程だが――。
これも数々の歪虚を吸収してきたせいなのか。それとも、このアフンルパルという場所が彼を狂わせているのか……?
「怠惰王の前に青木か。厄介だが、黙って帰ってくれるような相手じゃないな……」
「……青木の相手は俺がする。お前達は早く先に進め……!」
「しかし……!」
「ここで立ち止まっている時間はない……! いいから行け……!」
武器を構えるハンターを制止する部族会議大首長バタルトゥ・オイマト(kz0023)。彼は、危険を承知の上で青木の前へ進み出た。
自分が責任ある立場である事を承知している。傷付けば多くの者に迷惑を掛けるだろう。
だが、それでも。
バタルトゥはこの青木という歪虚を前に直接戦わなければならないと感じ取っていた。
それは戦士としての礼儀というよりも――大首長として辺境の地を守護する者としての試練。
そしてオイマト族であったハイルタイの力を継承した者の始末は、オイマト族族長の自分がすべきと考えていた。
「ここから先は立ち入り禁止だ。……とっとと失せろ。口を開くのも面倒だ」
「……それは出来ない相談だ」
槍を払い、立ちはだかる男を睨み付ける青木。
それを前に一切臆する様子もなく対峙するバタルトゥ。
……青木に以前のような狡猾さを感じない。
言わば、力のみで押して来ているような印象を受ける。
勿論、その『力』もビックマーを継承している以上、尋常ではないが。
以前よりは勝機があるようにも思える。
倒せるか――?
……いや、倒せなくても構わない。
時間を稼ぎさえすれば――ハンターが怠惰王を討ち取ってくれる。
いずれかを成功させれば。
そう脳裏で計算するバタルトゥであったが、眼前の青木からはますます怒気が強まっていく。
「……御託を並べるまで待ってやる時間も惜しい。来るがいい。貴様等の終幕をここで迎えさせてやる」
「……やれるものならやってみろ。俺は俺の務めを果たす――!」
「ぐ、う……おあああああああ!!」
「……!」
跳躍する2人の男。苦し気な青木の咆哮。彼の右腕がミシミシと音を立てる。
辺境の未来をかけた戦いの火蓋が、切って落とされた。
●
決戦の地へと向かう途中、想はまだ不安な顔をしていた。
過去ですら役に立たず独り残ってしまった自分に何が出来るだろう。役に立てなかったら……とうさんの願いに応えられなかったら。
「俺が居る……意味なんて」
その言葉に。たまたま近くに居たチィ=ズヴォーが思わず声をかけた。
「……お前さまの気持ちは、分からねえでもねえんでさあ」
「え……?」
「慕う相手がそばに居ねえ。その不安は、てめえのやってることの意味が分かんなくなる気持ちは分かるんでさあ」
戦うその先に、意味はあるのか。勝利、その先に己の望むものはあるのか。
想の不安。彼に不足しているのは単純な戦力だけなのだろうか。ここに居る意味。生まれた価値。
「でもやっぱ、手前どもは今、お前さまにだけは、存在する意味がねえとか言ってほしくねえと、そう思ったでさあ」
「俺……だけには?」
「手前どもは。お前さまにホナの制御を託した技術者たちの最期を見てきやした。クリムゾンウェスト、リアルブルー、エバーグリーンの全ての世界の人が、共に手を取って共に覚悟を決めて、お前さまにホナの力を届けたんでさあ」
……ああ、そうだ。想の存在が無駄だというなら。
「違う世界が出会った事が! 手を取り合ったことが、無駄だったって言うんですかい!」
──彼らの最期が。今共に戦ってくれている人が。
無駄な足掻きで、要らない犠牲だったと言うのか。
ああ……そうか、そうなのか。
「負けねえ。お前さまは……失わせねえ──手前どもにとって、これは手前どもらが、世界を越えて出会った、その意味を守る戦いでさあ!」
それはただ、今何となく浮かんだ想いだった。
こじつけだろうか。適当だろうか。
『──いや、俺はお前は頭いいやつだと思ってるよ?』
だけどふと、蘇る。
『俺が何か悩んでるとお前が最後にスッと一言言ってくるじゃないか。大体本質なんだよなそれが』
何気ない言葉。重ねた日々の中でくれたもの。
やっぱりそれを無意味になんて……したくない。
そうしてチィは戦いに備え確かめるように刀を抜き、軽く振るう、その姿に。
(何故だろう……この感覚は……リアルブルー?)
想は、あからさまな辺境民のチィになぜかそれを感じていた。……そして、想自身にもどこか懐かしさを。
蒼の世界、だけじゃない。そこに一度親しみを覚えれば、紅の世界の者にもそれを感じた。勿論、エバーグリーンの者だろうオートマトン、それに対しても。
(三世界が……出会った意味)
想は再び前に立つチィの背中を見る。だが、先ほど感じた残影は今は霞んでいた。……彼もまだ、迷いから抜け出した訳ではないのだ。
寂しさや無念だけではない温もり。それに……もう少しで、手が届きそうな気がするのに。
周囲を見渡す。様々な人たちがいる。
(俺の力……俺の想いは……そこにあるの?)
リプレイ本文
該当リプレイは以下のURLの特設ページで公開されております。
https://www.wtrpg10.com/event/cp053/opening
https://www.wtrpg10.com/event/cp053/opening
依頼結果
依頼成功度 | 普通 |
---|
重体一覧
- 白き流星
鬼塚 陸(ka0038) - 戦地を駆ける鳥人間
岩井崎 旭(ka0234) - 蒼き世界の守護者
アーサー・ホーガン(ka0471) - 粛々たる刃
鹿東 悠(ka0725) - 流浪の剛力修道女
シレークス(ka0752) - ボルディアせんせー
ボルディア・コンフラムス(ka0796) - 神秘を掴む冒険家
時音 ざくろ(ka1250) - 英雄譚を終えし者
ミリア・ラスティソード(ka1287) - 真実を見通す瞳
八島 陽(ka1442) -
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613) - びりびり電撃どりる!
八劒 颯(ka1804) - クラシカルライダー
ルトガー・レイヴンルフト(ka1847) - 力の限り前向きに!
シアーシャ(ka2507) - 洞察せし燃える瞳
フラメディア・イリジア(ka2604) - 誓槍の騎士
ヴァルナ=エリゴス(ka2651) - 紫煙の守護翼
シガレット=ウナギパイ(ka2884) - 茨の王
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109) - 情報屋兼便利屋
カイ(ka3770) - ヒトとして生きるもの
蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009) - 乙女の護り
レイア・アローネ(ka4082) - 丘精霊の配偶者
北谷王子 朝騎(ka5818) - 聖堂教会司祭
エステル(ka5826) - 流浪の聖人
鳳城 錬介(ka6053) - お約束のツナサンド
アルスレーテ・フュラー(ka6148) - 覚悟の漢
南護 炎(ka6651) - 我が辞書に躊躇の文字なし
ルベーノ・バルバライン(ka6752) - 無垢なる守護者
ユウ(ka6891) - ヒーローを目指す炎娘
百鬼 一夏(ka7308)
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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選択肢1:怠惰王撃破相談卓2 アウレール・V・ブラオラント(ka2531) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/04/17 08:03:01 |
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行き先表明 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/04/17 11:30:20 |
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選択肢2:青木燕太郎撃破相談卓 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/04/17 11:33:30 |
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選択肢3:想護衛相談卓 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/04/17 05:42:47 |
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![]() |
選択肢1:怠惰王撃破相談卓 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/04/17 00:34:40 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/17 04:31:01 |
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ヴェルナーさんに質問 南護 炎(ka6651) 人間(リアルブルー)|18才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2019/04/14 12:06:49 |