【MN】打ち上げで会いましょう

マスター:三田村 薫

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
  • duplication
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2019/08/16 22:00
完成日
2019/08/29 00:47

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出? もっと見る

M87

オープニング


 某イタリアンバル。
 赤毛の男は煙草の箱に手を伸ばしては引っ込めていた。原因は今膝に乗っている茶髪の少女である。
「吸っても良いわよ」
「お前の親父にどやされるんだよ」
 と、ヴィルジーリオは肩を竦めた。
「アウグスタから煙草の匂いがしたらお前の口を縫うぞって脅されてるんだ、俺は」
「パパの脅し文句ってほんと笑っちゃうわよね」
「言われる方は笑い事じゃねぇな」
 と、言いながらもヴィルジーリオ(kz0278)はくつくつと笑った。

 過日、ドラマ「ファナティックブラッド」の中の連作短編【金糸篇】が最終話まで放映された。今日はその打ち上げだ。とは言え、【金糸篇】の出演者に限らず方々に声を掛けている。
 この短編で主演をつとめたアウグスタ(kz0275)は作中と同じ、実年齢八歳の少女であるが、迎えの来ない歪虚ではない。オフィス職員役のC.J.(kz0273)と、園芸エルフ役のサンドラの間の一人娘である。
 司祭役のヴィルジーリオも、無表情な天然ボケではない。実際には箸が転げても笑ってしまうようなタイプなので、彼が出したNGは台詞忘れよりも「笑ってしまった」方が多いのである。
「あ、ヴィルさん、アウグスタ。早かったね。パパとママはどうしたの?」
 と、やって来たのはもう一人の司祭役のアルトゥーロだ。劇中では二十七歳だったが、実際には十七歳。二十代に見えるメイクをした上で撮影に臨んでいた。
「お疲れさん。こいつのパパは別の仕事だ。もうすぐ来る。ママは化粧直しだ」
「アルくんもおつかれさま!」
「お疲れ様でーす!」
 チーム女子がやってくる。平坂、ザイラ、潤、ナンシーの四人組だ。
「ザイラ!」
 アウグスタが赤毛の膝から降りて、ザイラに飛びついた。特に親しかった共演者の一人だ。
「こんばんは、アウグスタ。元気そうで何よりだわ」
 ザイラがアウグスタを抱き上げる。これを見る度に平坂が泣き出すので、潤がスッと彼女の首を反対側に向けるのが恒例になっている。
「みこちゃんは見ちゃ駄目」
「何でですか! 聖母子像ですよ! 私だって見たい!」
「母は私だ」
 そこに、トイレに行っていたサンドラが戻って来る。
「でもザイラなら許してやる。司祭、煙草はしまえ」
「仕方ありませんね」
 司祭ムーブで煙草を片付けるヴィルジーリオ。
「おーし! 間に合った! アウグスタ! パパだよ!」
 ドアベルを鳴らしながら、C.J.が入店した。後から学生トリオ、ヴィクター、マシューも続いている。
「ほら、アウグスタ、パパよ」
「パパいらっしゃーい!」
 ザイラに抱き上げられたまま手を振るアウグスタ。飛びついてくれると思っていたパパ呆然。
「パパ元気出して」
 エドがその肩をぽんぽんと叩いた。

 やがて、他の共演者も集まった。今日は貸し切りで、結構な人数が入れるようになっている。
「集まった? もう乾杯する?」
 アウグスタがそわそわしながら周りを見渡した。
「じゃあ、ガシーが乾杯の音頭取ってくれよ」
 エドが笑いながらアウグスタに言うアウグスタは林檎ジュースの入ったグラスを持って立ち上がった。
「えっとね、私、正直こんなにたくさんの人とお芝居ができるなんて思ってなかったわ。辛いこと、苦しいこといっぱいあったけどとっても楽しかった! 【金糸篇】がちゃんと放送されたのは皆のおかげだと思うの。だから、この言葉で乾杯するわ」
 グラスを持ち上げる。アウグスタは満面の笑みで声を張り上げた。
「迎えに来てくれてありがとう! かんぱーい!」
「乾杯!」


「あの大蜘蛛をおうちに持って帰りたかったんだけどね」
 アウグスタはサラダをもりもり食べながらエドに話して聞かせる。作中の大蜘蛛はほぼCGだったが、なんとなくこんな感じ、というのをわかりやすくするために一つ模型が作成されていたのだ。原寸大で。
「お前の家は豪邸なの?」
「あの大蜘蛛は置けないわ。だから最後のお別れをしてきたんだけど、小道具さんが小蜘蛛を一個くれたの」
「お、良かったな」
「ハロウィン回で使った血まみれの子なんだけどね」
「おい小道具」
「でもあの小蜘蛛可愛かったでしょう。主を守ってたのよね」
「ウ、ウン……」
「私最初は蜘蛛に乗るのって嫌だなって思ったんだけど、台本読んで実際にやってみたら蜘蛛が平気になってきて」
「お、良かったな」
「小さい蜘蛛だとちょっと物足りないの」
「ウ、ウン……」
 せめて小型犬くらいの大きさの蜘蛛いないのかしら。首を傾げて懐かしそうにしているアウグスタに、
(勘弁してくれ……)
 エドは苦い顔をグラスで隠すのだった。


「ジョンくんは後ろから見た顎のラインが本当に綺麗なんですよ~~~」
 ジョンの後頭部を押さえて自分の反対側を向かせたグスターヴォが蕩々と語った。
「ね、ジョンくん。私は当時も言ったと思うけど」
「ハイ……」
 ジョンの目から光が消えている。サスペンス回で犯人役だったグスターヴォだが、作中の方がまともに見える様なカッ飛んだ発想の持ち主だった。演壇の上に後ろから倒されるシーンがあったが、それを撮った後で、唐突に「君、顎のライン綺麗ですね!」とジョンに言い放った。一緒にいたCJ、目が点である。
「ほーら綺麗綺麗」
「高速でさするのやめてください!」
「磨いたらより綺麗になるんじゃないですかね!」
「なるわけねーだろ!」
「肌綺麗~!」
「諦めろジョン。そいつは俺に『良いですねこの衣装! 細腰に見えますよ! セクシー!!!』って叫びながら三日くらい俺の腰にしがみついてぶら下がっていた」
「ぶら下が……?」
 ヴィルジーリオ百七十八センチ、グスターヴォ百八十五センチである。どうやってぶら下がったと言うのか。アウグスタではあるまいし。
「あの、もしかしてだけど、前にヴィルさんがグスターヴォさんを引きずってたのってそれですか?」
 マシューが目をぱちくりさせながら尋ねると、ヴィルジーリオは苦笑いしながら頷いた。
「そいつ、俺のオールバックも『直してあげますよ!!!!』って高速で迫って直してくれたりして超怖かった」
 ヴィクターもしみじみと言う。
「なんなんだお前は」
 サンドラが腕を組んでドン引きしている。
「あ、ちなみにサンドラさんの旦那さんは目が綺麗だな~って」
「えっ」
「ちょっと緩い体型でお腹周り柔らかそうですよね」
「誰かこいつを黙らせろ!!!!」
 何もしなくても周りを阿鼻叫喚に巻き込む男・グスターヴォ。
 師匠が構ってくれなくて嫉妬し続けていた作中のグスターヴォの方がまともに見えてしまうのだった。
「え~作中の彼は気持ち悪かったですよ~私の方がさっぱりしていませんか?」
「いい加減にしてくれ」

リプレイ本文


 便宜上、出演者たちはすべて役名で表記するものとする。


 と、言うことで、打ち上げの始まりである。
 早速盛り上がっているのが【神託隊】として多くの作品で共演した面々だ。作中で恋仲だったジュード・エアハート(ka0410)とエアルドフリス(ka1856)は今日も隣の席。
 ジュードはモデル出身の俳優で、なおかつ役者業としてはこのファナティックブラッドが初である。その来歴に誰もが納得するスタイルと整った顔立ち。作中のジュードは男装と女装、どちらもこなす商人兼ハンターであったが、流石モデル、どちらの衣装も良く着こなしている。外見年齢十八歳の役どころであるが、本人は先日二十三歳になった。
 エアルドフリスもまた、モデル出身であった。最近は自ら脚本を書き、目標は映画監督である。個人的に好きなジャンルはホラーらしい。
 ジュードはグラスを空けながら、
「中性的な役とは聞いてたけど、女装回が多い多い」
「でも結構ファンは嬉しかったみたいだよね」
 キヅカ・リク(ka0038)はグラスを持ってあちこちの席を移動していた。聞き役の様相を呈している。
「衣装の着こなしはむしろ専門だったと思うけど、役柄で苦労したこととかあるの?」
「まず苦労したのはエアルドフリスさんと恋人になるまでのくだりですかね」
 彼は少し照れ臭そうに答える。
「ジュードがめっちゃ積極的で演ってるこっちが恥ずかしくなっちゃって。何度もNGだしてご迷惑おかけしました」
 ぺこ、と頭を下げる。その隣でエアルドフリスはにこにこしながらジュードの肩を抱き、
「ジュード君が本当に可愛くてね」
「じゃあ、エアさんも、もしかしたら再婚相手が可愛い男の子になる可能性が……」
 この魔術師役、浮気性ではないもののバツ一である。
「え? 俺は目覚めてないよ!? やめてよ雑誌に書かれちゃうから!」
「結婚式呼んでね」
「ジュードくんまで!」
「エアさんそつなくこなしてそうだったもんなー。何か苦労話とかないんですか?」
「詠唱覚えるのが大変だった!」
 エアルドフリスはいくつか魔法スキルを自分用に調整している設定だった。霊蛍などは「──退け!」だからまだ良かったものの、蒼炎獄を始めとした他の詠唱は、
「我均衡を以て均衡を破らんと欲す。理に叛く代償の甘受を誓約せん――灰燼に帰せ!」
 など、センテンスはやや短いが、話し言葉ではそうそう使わない単語が出てくるため、これを覚えるのが大変だった。「理を破らんと欲す」、「均衡に叛く代償」と間違えそうになったことは何度か。
「何か演じる上でこだわりとかあったんですか?」
「そうだな……」
 リクの問いに、エアルドフリスは顎に手を当てて天井を見る。人当たりは良いがこだわりも強い彼、自分の役柄にも思うところはたくさんある。
「彼は大人だけど子供の面もあって、幅のある役で勉強になったっていうか……」
「あ、このワインおいしー」
 ジュードは何気なく頼んだグラスワインが、自分の舌に合うことに気付いて舌鼓を打った。
「ボトルで頼んで良いですか?」
「良いんじゃない? 飲み放題でしょ。僕ももらおうかなぁ」
 リクがそれに相槌を打ちながらドリンクメニューを取る。
「聞いてる?」
 エアルドフリスは目を細めたのであった。


 ショートボブの少女は乾杯を済ませると、隣でむすっとしている青年の腕を取って立たせた。エステル・クレティエ(ka3783)とユリアン・クレティエ(ka1664)を演じた二人だ。作中では兄妹だったが……。
「サンドラさん、お疲れ様です!」
「エステル! よく来たえらい!」
 席まで遊びに来てくれたエステルをサンドラは立ち上がって抱きしめた。エステルは作中ではウィッグでロングにしていたが、本人は他の仕事のこともあり、ショートヘア。好青年を演じたユリアンも、素はややぶっきらぼうな青年である。
 兄と妹を演じたが、実際にはエステル二十二歳、ユリアン二十歳。実はユリアンが年下なのであった。

「そう言えば、お前さんたち従姉弟なんだっけか?」
 ヴィクターがグラスを傾けながら尋ねると、エステルはユリアンの腕をぎゅっと抱え、
「従弟で彼氏です」
「ファッ!?」
「従姉弟って結婚できますからね」
 目を剥くヴィクターの隣で、マシューが納得したように頷いた。
「オーディションで私の付添いに来てた彼が、兄役でスカウトされての共演だったんです。蓋を開けたら初演技の彼の方が私よりも出番が早いし、多いし……でもう大変」
 エステルが首を振ると、ユリアンはやや気まずそうに目を逸らす。
「色々面倒見ました! サンドラさーん褒めてください!」
「えらい! お前の根気は巣立ちを促す親鳥のよう、愛情は雨をしのぐ巨木のようだな!」
 サンドラが他人を褒め殺しにする回があったのだが、エステルはその出演者だ。
「脚本でもあれすっごく嬉しかったです」
「あれは半分くらいアドリブだ。台本に『ハイパー褒めまくる。何か良い感じのこと言って』って書いてあって脚本家を追いかけ回した」
「ふふ」
 エステルにっこり。
「ではまた後ほど!」
 彼女はそう言うと、ユリアンの腕を引っ張ってその場を立ち去った。


「お疲れ様です」
 エステルが向かったのは小隊・神託として数々の作品で共演している面々だった。
「ヤア、エステル嬢、ユーリ君、お疲れ様ダネ。座って座って」
 アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)はやって来た二人に気付いて椅子を勧めた。
 英国系で、日本語は撮影の為に頑張って覚えた。そのため、カタコトな言葉を話すと言うのは実は演技ではなく、彼の話し方から決まった設定であった。
「ほらユリアンは小隊メンバーの皆さんにちゃんとご挨拶!」
「あの、世話になりました」
 ユリアン、ぺこんと頭を下げる。エステルがその顔を覗き込み、
「……本当にこれで辞めちゃうの? 勿体ない」
「続けても良いと思うんだがね」
 エアルドフリスも少し寂しげだ。
「素質は良いと思う、普段はむっすりなのにあんな爽やかになっちゃうんだもの」
「……声掛けられた時はすぐ死ぬか出番が無くなると思ってたから」
 だが、実際にはエステルも言ったように出番も多く長く続いてしまった。本人もびっくりである。
「本当に終わったあとはどうするんですか?」
 興味深そうに聞いたのは、藤堂研司(ka0569)を演じた彼だった。ユリアンは背筋を伸ばして、
「俺、家業を継ぐ修行するんでもうこれで……」
「刀匠だったか?」
「はい」
 エアルドフリスに言われて、彼はこくりと頷いた。作中で使っていた精霊刀・真星も、佩いている時と、刀を話題にして映す時には父親が打った真剣を使っていた。殺陣は当然というかなんと言うか模造刀である。
「でも、良かったです 応援、します。ありがとう、ございました」
 もう一度、頭を下げる。
「ウンウン、ユーリ君が決めたコトならボクはそれで。こちらこそアリガトウ。楽しかったヨ」
 アルヴィンは穏やかに微笑んで頷いた。エアルドフリスは首をゆるゆると振り、
「俺も師匠じゃなくなっちまうなぁ」
「都合ついたらまたご飯行くよね?」
 ジュードが目をぱちくりさせながら問う。
「まあ、それは」
「良いじゃない。たまにご飯行くくらい。ジュードさん、是非誘ってください」
 エステルがユリアンの背中を叩く。
「エシィも……ありがとな。続けたって素がこんなんじゃガッカリさせるだけだし」
「そんなことないのに。ほんともったいない。でも、ファンや恋人役の子が増えたら妬けちゃうし……終わったら私だけに、ね?」
 ぎゅ、と腕を抱いた。


「罵声周りを抑えるのが大変でしたね」
 エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)はウィスキーロックを飲みながらぼやいた。
「罵声ですか」
 研司が興味深そうに相槌を打つ。
「ええ、軍出身ですので」
 退役後、学生時代の夢であったと言うことでオーディションを受けた。ほぼほぼ本人役、いわゆる”as herself”と言うやつだが、作中のエラは罵らない。そこだけが唯一の違いだった。
「僕の役軍人あがりってことなんで僕も一年入隊して役作りしたんです。エラさんとは真逆ですけど」
「そうだったんですか。なかなか濃い世界でしょう」
「言って良いのかな。面白い世界でしたね。そしたら『半年で辞めました』って、僕の入隊期間未満かい!って! そう言うこともありましたね」
「脱落者の多い世界ですからね」
「エラさんは今後もお芝居を続けるんですか?」
 銀 真白(ka4128)の問いに、エラはグラスを回しながら、揺れる氷を眺めた。真白を始め、多くの役者と出会った。そのことを思いながら、答える。
「保留ですね。ひとまず、一先ずは別の仕事をしてから再度向き合いたいと思います」
「そうですか」
「憧れで始めるのは良いと思いますが、生業とするにはそれだけでは駄目でしょうから」
 もし、ちゃんと向き合って、それでもやろうと思えたなら、
「その時また、ご縁があればお世話になります」
「こちらこそ」
 真白ははにかむように笑った。


 真白はエラの話を聞きながら自分のキャリアを振り返っていた。
 現役女子高生で、剣道女子が演技に初挑戦! と言うかなり体当たりのノリで演じていた。東方方面のストーリーに関わっており、同盟周りの作品にはほとんど出ていなかった。ファナティックブラッドも終盤であり、気合いを入れ直すため、親しくしているミィリア(ka2689)や七葵(ka4740)と一緒に参加したのである。蓋を開ければ、割と知った顔が参加していた。今日は参加していないが、東方を中心に出演していた仁々木 正秋(kz0241)と共に、正秋隊として活躍していた三人。プライベートでも仲が良い。
「主に東方の方での仲良しさんが多いかな、ミィリア役でお世話になってました! でござる!」
 今日も猫耳ヘッドドレスをしたミィリアが挨拶をしている。
「なんちゃって。この口調に慣れるくらいミィリア役をやってたんだなーと思うと感慨深いかも!」
「そうだな。ござるを言ってるとミィリアって感じがする」
 真白も七葵も、作中では無表情や仏頂面を貫いているタイプのキャラクターだったが、二人ともどちらかというと笑いやすいタイプ。
 七葵は、十七歳の少年を演じていたが、実年齢は二十四歳。アクションを得意としているため、刑事物や特撮でも活躍中。アクション俳優なんですね~、と言うなかれ。料理好きが高じて料理番組にも出演中だ。よく笑い、よく笑わせる、根っからのエンターテイナーなのである。
「この前なんて高校の授業中あまりにも眠くて、不意にござる口調が出かけちゃってさ」
 たははー、と言わんばかりに笑いながら肩を落とすミィリア。
「もー、危うく現実でのNG出すとこだったよー!」
 それを聞いて、笑い上戸の真白はすでに肩が震えていた。
「お三方はとても仲がよろしくて、見ていてこちらも楽しくお仕事させていただきました」
 クレール・ディンセルフ(ka0586)を演じた拳法家が、のんびりとした調子で笑顔を見せた。作中では元気いっぱい、明るく快活な女性を演じていたが、役者の彼女はおっとりさんだ。オーディションを受けて採用された一般枠。かなり体当たりな技も使ったクレールを演じるにあたって、かなり苦労もした模様。
「私、役柄上叫ぶことが多いので地声の小ささでよくリテイクが……その節はご迷惑を……」
 クレールの登場回を追っていた視聴者がこの場にいたら、かなり驚くことだろう。実際、導入部分にのみクレールと同じ回に出演していたハンクたちはちょっと驚いている。
「あ、むしろ現場でのNG話とか?」
 ミィリアが頭に手をやった。
「私の鉄板は猫耳が最高にズレたまま真面目なシーンの再現をするやつだったんだけど、真白ちゃんも七葵くんもすぐ笑ってくれるから面白くって」
「ンンッ」
 真白が口元を抑えた。既に肩が震えている。七葵も口元をぐにゃぐにゃにしながら笑いを堪えていた。
「二人とは私生活でも良くさせて貰っててさ」
 堪えきれずに、真白と七葵が笑い出した。ミィリアはヘッドドレスを縦に被り直し、心の底から友情に感謝する表情で
「私……本当に、いい人たちとお芝居出来て幸せ!!」
 友人二人は突っ伏した。

 ひとしきり笑ってから、三人の話題は東方での連作に移った。大規模な長編で、正秋が退場した下りは三人とも、芝居とわかっていてもかなり辛いものがあり、リベンジ回では気合いの入った演技を見せていた。
「番外の修行回は楽しかった」
 七葵は懐かしそうに語る。
「俺さー、いつか正秋隊のメンバー全員で特撮出たくてさー。皆で狙おうぜ、戦隊もの!」
「もしそうなったら、ミィリアは女子力のピンクを狙おうかな! 真白ちゃんは、シルバー?」
「後から出てくる人じゃないですか。でも楽しそう。もしお話が出たら呼んでください」
 いつかまた、別の舞台で会いましょう。


 ソフィア =リリィホルム(ka2383)は乾杯を済ませてほっと一息吐いていた。
 二重人格に近い、難しい役柄を任された新進気鋭の十六歳。今回のソフィア役で、役者としての土台を築くことになった。愛着のある役だ。
 見た目十四、五歳で実年齢は六十三歳。ドワーフの粗野な鍛冶師で、鍛冶をはじめ機械、彫金、木工革細工と様々こなす職人でもある。作中では星神器・ブリューナクを授かった実力派ハンターでもあった。
 普段はあざとく、だが素は「上等じゃねーか」くらいの口の利き方が当たり前、という、緩急の激しい演技はなかなか大変なものではあったが、どうにかやりきった。まだエピローグが何本か残ってはいるが、とりあえず走りきることができて安心している。

「ソフィアちゃんお疲れ様! でござる!」
 ヘッドドレスを縦にしたままのミィリアがグラスを持ってやって来た。
「ミィリアさんお疲れ様です」
 その姿に噴き出しながらソフィアもグラスを掲げた。
「緊張してない?」
「す、少し……」
 作中のソフィアは度胸の据わった女傑だったが、役者の彼女はちょっと天然。期待の新人! やはりこの役を任せて正解だった! 見事に期待に応えた! と周りが喜んでいたところで本人にはあまり自覚がない。その気負わないところが吉と出たのかも知れなかった。本人も実力派として徐々に知られているが……いかんせん自覚がないので、「有名な役者さんがたくさんいる……」と緊張気味である。
「ソフィアさんお疲れ様です!」
 研司が手を振った。小隊・神託の面々も知り合いであるが、何せイケメン揃い。顔を合わせる度に赤くなっているソフィアなのであった。
「いやー、すごかったですね! ほぼ二重人格」
 最初は粗野な言葉遣いに慣れなくて噛んだものだ。
「あ、ありがとうございます! 藤堂さんも匍匐前進とか、身体を張ってて大変そうで……」
「そうなんですよ。超人モノって変身系が多いんですが、これはそのままでしょう? スーツアクターさんと交代ってわけにもいきませんし、このままアクションしなきゃってのが難しくて!」
 研司は頭を掻きながら語る。
「他にも皆魔法とかバンバン撃ってるのに僕は匍匐しながら銃とか!」
「そう言うところに個性が出るよね~。ミィリアは女子力をパワーに変えていたよ」
「それはありましたね。ほんと、バラエティ豊かというか! 演ってる立場でも飽きません!」
 ベテランの裏話を聞いてしまった。ソフィアは緊張をほぐそうと、グラスの中身を空けた。


 紙ナプキンを兎の形に折りながら、アルヴィンは語った。
「アルヴィンと言うキャラ自体は、物語の主役を張るヨリも、いざと言う時に手を貸しに立ち回る狂言回しっぽい立ち位置デネ」
 ぴょん、と耳の立った兎を皿に立てかけた。その様子にご満悦だ。
「ソレは生まれ育ちに強く起因した諦観と寂しさとそれでも諦めきれない気持ちの裏返しなのサ」
 お家騒動で多くの命が失われた。それを目の当たりにし、自らも可愛がっていた兎が身代わりに死んでしまった、そう言う過去に起因すると彼は言う。
「ペシミストでニヒリストに見えて、誰よりもヒトの起こす奇跡を願っているロマンシストなんだよ」
 楽以外の感情は欠落していたが、他の感情は全て「願い」に置き換わっていたのかもしれない。
 そんな彼の横顔を眺めながら、ソフィアはぽーっと赤くなるのであった。


「クレールさんのディンセルフコートもあれすごかったよね」
 リクが水を向けると、クレールはグラスを置いて、
「特にコートはクレールと違い私は武器を作れないので、死角の武器を自然に握る動作が本当に……『役柄上自然な動き』も本当に大変でした」
「たとえば?」
「私が未経験の武器の取り扱いは学んだ人間らしく、体捌きは逆に素人らしく……」
 拳法家でありながら、「素人」の身体の動きをしないといけないのがなかなか大変だった。声の大きさもそうだが、「きびきび動きすぎ」というリテイクもあった。
「皆様の流石のプロの技を間近で見られて感激しきりです。台詞と動作の自然な一致。当然のように見ていましたが、実践すると本当大変で」
「じゃあ、僕とは反対だったんですね」
「そうですね。研司さんが役作りのために入隊したのと、ほんと反対だったと思います。素人にならないといけなかったので」
 彼は役と同じ動きをものにしてきたが、クレールの場合は元から持っていた動きを捨てなくてはならなかった、ということだ。知っていることを知らない振りするのも、結構精神力を使う。
「でも、皆でお話を作っていく感覚、本当に素敵でした」
 クレールはにっこりと笑う。その笑顔は作中の「クレール・ディンセルフ」のもので、
「是非、また挑戦してみたいです!」
 明るく言った。
「と、クレールっぽかったでしょうか?」
 そう付け加えて照れ臭そうに笑った。


「ふぃー、やりきったのであります」
 ミグ・ロマイヤー(ka0665)を演じた美空は、最初に頼んでいたジュースを飲み干すと大きく息を吐いた。
「や、美空ちゃんお疲れ様」
「キヅカ氏、お疲れ様でありますよ」
 新進気鋭の子役女優。見た目は幼いながらも実年齢百歳のドワーフ役を任された。なかなかに難しい役どころだった。たくさん悩んだし、たくさん困った。何よりおもーい縦ロール四本のかつらはいつ外れるかかなりひやひやさせられた。
「結構、ユニットに乗るシーンも多かったけど、それはどうだった?」
 リク本人もユニットに乗るシーンが多かった一人だ。
「あ、それがですね、逆にそれが助かったと言いますか」
「と、言うと?」
「姿が見えないので、そう言う意味ではズルをさせてもらったのであります」
 出ずっぱりだったらどこかで倒れていたかもしれない。そう言う意味では、ユニット乗りという役にはかなり助けられたと言って良い。何でも一長一短と言うところだろうか。
「でも、美空のかわいさを生かせない配役は正直炎上案件なんじゃないかとネットでは取りざたされてて悲しかったのであります」
「頑張ったのにね」
「はい……その点キヅカ氏は王道主人公役で最後までかっこよかったですよ」
「いやいや滅相もない」
「ところで一つ質問であります」
「なに?」
「キヅカキャノンというのは一体……?」
「えーっとね……」
 リクは背もたれにぐいーっと寄りかかりながら天井を見上げた。
「……男のロマンかな?」
「覚えておくのであります」
「忘れて良いよ」


「Π乙カイデー、Π乙カイデー」
 ラスティ・グレン(ka7418)はきょろきょろと周囲を見回していた。巨乳の女性を求めて……いや、女性の巨乳を求めて、と言った方が良いのか。しかし、女性の巨乳を求めるなら、まず巨乳である女性を探さなくてはいけない。鶏と卵だ。どちらから探せば良いものだろうか。期せずして哲学的な命題である。
 何故彼が芸能界に入ったのか。それはこの命題に由来する。
「普通よりΠ乙カイデーなねえちゃん達との遭遇率が高いからだ、決まってるだろ」
 モテたい為にギターを始める高校生か? というツッコミが聞こえてきそうではあるが、ラスティは己の欲望に忠実だった。
 とは言え、蓋を開ければこの監督兼脚本の現場で一番胸が大きかったのは老けメイクした十七歳の男子だったのだが。
(しかも今日なら端役の俺が見たことも話したこともないΠ乙カイデーなねえちゃんたちとの桃源郷が待ち構えてるかもしれないわけで……)
 ムフフな未来予想に顔が緩む。
「グフッ、グフフ……のわっ」
 移動している八歳児とぶつかった。
「あら、ごめんなさいね。こんばんは。私、アウグスタよ。あなたは?」
(……いや俺よりちみっこでこの場に居るなら主役だよ、ヤベェェ)
 金糸篇には関わっていないものの、今日この打ち上げを行なう大義名分が何かの連作の完結だったことは知っている。
「俺はラスティ。お嬢様、どうしたのかな? 何か欲しいものでもある? とって来ようか」
「ううん。大丈夫よ。あなたも私と同じくらいなんだから大人に頼んだら良いと思うわ。もう少し大人になったらまたお願いしようかしら」
「グボォァァ」
(的確に抉って来やがった、このちみっこ!?)
 百六十三センチの八歳児がいるかどうかは甚だ疑問だが、年齢より幼いと言われたようなものである。
「うっせー、お前がΠ乙カイデーになってから言いやがれ」
「ストップ! ストーップ!」
 ヴィクターがすっ飛んできた。
「ラスティ、八歳児にDカップを求めるんじゃねぇ。アウグスタ、お前さん行きたいのは誰の所だ?」
「パパのところに戻るけど……」
「よし、戻れ」
「はーい」
 アウグスタは二人に背を向けパパの元へ向かおうとし……振り返った。
「『いつか、ぜーんぶツケを支払ってもらうから、良いのよ』」
「んだとぉ!?」
「ありゃ負け惜しみだ。よし、お前さん何が食いたい? もらってきてやろうか?」
 結局、この現場では巨乳の女性とのご縁は得られないようである。普通のおっさんに面倒を見られる定めがあるかのようであった。


「お疲れ様です」
 夢路 まよい(ka1328)を演じた少女は作中と同じ十五歳であったが、役柄の破天荒さはなく、極めて礼儀正しく、お行儀の良い社会人であった。
「まよいさんお疲れ様です」
 ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549)が微笑んでカクテルのグラスを軽く持ち上げた。
「ヴィルマさんお疲れ様です」
 隣にちょこんと座る。
「長編ドラマは今回が初めてだったんですけど、終わるとあっという間、でしたね」
 ヴィルマは元々歌手として活動していた。それが女優になり、長編はこのファナティックブラッドが初めてになる。努力家で、撮影を続けている間に演技も上達した、と評判だった。
「結構変化もあった役でしたよね」
「そうなんです。最初は姓が偽名のネーベルだったんですけど、まさかドラマの中で結婚して偽名じゃ無くて本当のレーヴェシュタインの方の姓になるだなんて驚きました」
「結構キャラクター的に予想外の展開になる方も多かったみたいですね。慣れるまで大変そう」
「ふふ、長いので最初は噛みそうで緊張しました」
 ヴィルマはふんわりと髪を揺らした。
「ヴィルマちゃんが幸せを見つけてくれて自分の事みたいに嬉しいです」
「やっぱり、演じてるキャラが幸せだと嬉しいですよね。奏唱士を習得した時はやっぱり歌手としてのキャリアって生きました?」
「生きましたね。それがちょっと面白かったです。まよいさんは? なにか印象に残ってる出来事、ありました?」
「後半のお話には全然出演できませんでしたけど、魔法使い役で『アウグスタのキャロル』に出演したときの、魔法で隕石を降らせるシーンとか印象的でしたねっ」
 まよいは懐かしそうに天井を見上げた。
「あんなの、今どき全部CGでいいと思うんですけど、着弾したときの爆風だけは『本物』でないとダメだって監督が異様にこだわって、爆薬大量に用意したんですよねー」
 あの回で監督は、どこに手配したものか、撮影当日までに爆薬を用意したのである。あの量を。
 何せ七芒星と名の付いた魔法。結構な範囲を吹き飛ばす七つの火球が落ちてくるシーンだったわけで……。
「あれだけを実際に吹っ飛ばすって乱暴ですよねー」
 監督兼脚本曰く。
「本物の火薬を使った爆発シーンはストレスに効く」
 個人差があります。
「おかげで確かに迫力あるシーンは撮れましたけどっ」
 彼女はにこりと笑うとジュースを呷ったのだった。


「おめでとうございますなの。はい、アウグスタちゃんにプレゼントなの」
 ディーナ・フェルミ(ka5843)は大人でも抱えるサイズのハエトリグモぬいぐるみをアウグスタに差し出した。
「わぁ! ありがとう! かわいい!」
 アウグスタ、さっきラスティと喧嘩になりかかったことも忘れて大喜びである。
「ああ、悪いねディーナ」
 ディーナと共演する機会の多かったC.J.も、彼女のこのサプライズには驚いたし、悪い気はしなかった。
「良かったね、アウグスタ」
「アウグスタちゃんの背もたれクッション代わりにも抱き枕にもなるかと思ったの、うふふ」
「汚しちゃまずい。アウグスタ、僕が預かるよ。ちょっと椅子借りてこよう。それにしても、蜘蛛のぬいぐるみって発想がなかったなぁ」
「ビッグサイズなテディベアがあるんだもの、ビッグサイズな蜘蛛のぬいぐるみがあっても良いと思うの」
「どこに売ってたの? まさか特注か?」
 ディーナは笑うだけで返事をしなかった。学生トリオと談笑しているアルトゥーロを見て、
「パパ、若い子と仲良しなんだね」
「うん、そうよ。パパがちょっと子供じみたところあるから……年始スペシャルでは私のお兄ちゃん役だったし。ディーナちゃんもいたわよね?」
「もちろん覚えてるの。確かヴィルジーリオさんと双子役で……」
「え?」
「ん?」
「ちょっと?」
 戻って来たC.J.が聞きつけて眉を上げた。
「ディーナ、アウグスタのパパを誰だと思ってんの?」
「……え? アウグスタちゃんのパパはアルトゥーロさんでしょ? こんなに可愛いんだから」
「顔は母親譲り! 茶髪は僕譲りなの! 僕がパパです! ほら! 並べると似てるでしょ!?」
「そうでもないの」
「こんにゃろ! いや、まあそうだな! 今母親似って言ったばっかだったな!」
「しょうがないの、サンドラさんとアルトゥーロさんは美人だからちょっと間違えたの。大体私がCJに失礼じゃなかったことなんて古今東西なかったの」
「こ、こいつ開き直りやがった……ぐぬぬ……」
 かくいうC.J.も、「ディーナのほっぺたって伸びそう」とか失礼なことを言っていたのでイーヴンである。
「わりぃ、遅れた遅れた」
「あ、ジョナサン・ジュード・ジョンストンだ」
「フルネームで呼ぶんじゃねぇぞ、クレート・ジョルダン」
 トリプルJ(ka6653)役の青年が、見た目に似つかわしくない花籠を持ってやって来た。イニシャル仲間(?)の彼を、C.J.はやたらとフルネームで呼びたがる。
「可愛い主演女優さんにはお詫びのプレゼントだ、ほら」
 そう言って、彼は持っていた花籠をアウグスタに差し出した。
「わあ! 可愛い! ありがとう!」
「悪いね、気を遣わせて」
「何、相応のもんが必要だろ?」
 軽く雑談を交わしてから、トリプルJは学生トリオとアルトゥーロが談笑している話に入った。
「あ、Jさん。お疲れ様です」
 ハンクが律儀に頭を下げた。作中では結構関わっていた二人だ。特に【陶曲】決戦前の連作ではかなり密接だった。
「よう、お疲れさん」
 座って、飲み物を注文すると、彼はアルトゥーロの顔をまじまじと見た。
「メイク落とすとやっぱり若く見えるな」
「でしょう?」
「最初は俺と同じくらいの年かと思ったアルトゥーロが学生組より年下だろう? いやあへこんだへこんだ。何でだよ、お前普通に若さで売りゃいいじゃねぇか、美形なんだし」
「体格で、頼れる大人、という方向性でどうかってことになったんですよ」
 頭をぐしゃぐしゃに撫でられて、照れ臭そうに返す。
「ハンクとジョンはちょっと押しが弱いかなぁと思ったが、ハンクは見事に一皮むけたよな。ほっとくとグスターヴォになりそうだがよ」
「まあ、僕は仲裁役だから地味な方が良いんですよ」
 ジョンは苦笑い。ハンクはちょっと目を逸らし、
「二代目グスターヴォさんですか……その時はトリプルJさんの肩に飛び乗ったりした方が良いんでしょうか」
「それもう悪魔憑きじゃねぇか」
「実際、役に引きずられて【陶曲】の時ちょっとエドのこと追い回しちゃったんですよね」
「あったなぁ。俺はマシューの所に避難してた」
「将来、サイコ系俳優として名を馳せるかも知れないな」
 ジョンが納得顔で頷いた。トリプルJはエドを見て、
「エドはCJと同じ系統だろ? そこそこ需要あるんじゃね」
「あー、そうね。賑やかしツッコミ男子ね。CJの後釜を狙う」
「狙ってけ狙ってけ。むしろ取って代わっちまえ」
「ちょっと!? 聞き捨てならない言葉が聞こえてくるんですけど!」
 耳ざとく聞きつけたC.J.が叫んでいる。
「あなたはどうするんですか?」
 ジョンに問われたトリプルJ、少し考えて、
「俺は当分特撮の悪役狙いだなあ。年ももうぎりぎりだし。スタント専業になるかもな。ジョンも頑張れや」
 ジョンの頭を撫でた。


 鞍馬 真(ka5819)の姿を見つけると、アウグスタがぱっと駆け出した。
「しーんくん!」
 どむっと、音を立てる勢いで飛びつくが、何せ戦闘時のクールな演技には定評がある実力派俳優。体幹は鍛えている。やすやすと受け止め、
「アウグスタさん、こんばんは」
「こんばんは!」
 作中では腕を吹っ飛ばしたり罵り合ったりする関係だった二人だが、舞台裏ではこれこの通り。会う度に、「歌って!」とアウグスタが真にせがむ姿は、微笑ましい。
「終わってみると、あっという間でしたねえ」
 椅子の周りをぐるぐる回っているアウグスタを追い掛けながら真は語る。
「まあ、本編も金糸篇も、最初はどうなるかと思ったけど終わってみるとね」
 C.J.がしみじみと頷くと、真がアウグスタをつかまえた。アウグスタ、許可も取ってないのにそのまま真の背中に乗る。
「座らせてやれよ……」
 エドが小声で言った。
「このまま挨拶回りしても良いですか?」
「良いわよ」
 ご満悦のアウグスタを背中に乗せて、真は【金糸篇】の面々を中心に挨拶に回る。ワイングラスはアウグスタが持った。
「飲んじゃ駄目ですからね」
「はーい」
「鞍馬くーん!」
「レイアさん」
 女戦士を演じたレイア・アローネ(ka4082)だ。満面の笑みで手を振っている。作中では少し天然ボケ気味のクールな女戦士だったが、素の彼女は大変明るい女性である。
「お久しぶりー! アウグスタも! 元気だった?」
「うん、もちろん元気よ」
「や、アウグスタ、久しぶり」
 レイアと向かいで飲んでいたのは教師役だったジェレミアだ。ホラースペシャルでもレイアが化け物役だったときに被害者役を演じたりしていた。地味に共演回数が多い。
 レイアは監督の方向性なのか衣装がかなり際どかったが、終わってみればクール系で良かったかもしれない、というのが素直な感想だ。
「さよなら、アウグスタ……」
 凜々しくも悲しみを湛えた表情。金糸篇最終話で大写しになった顔だ。
「またやってみたいわねー!」
 グラスを置きながら、その視線は誰かを探しているようだったので、
「誰か探してる?」
 ジェレミアがきょとんとして尋ねた。
「知り合いが来るかなーって思ったけど、今日は来てないみたいね」
「都合が合わなかったのかもしれませんね」
 肩を竦めるレイア。
「あ、お疲れ様ですぅ」
「ハナちゃん、お疲れ様ー!」
 星野 ハナ(ka5852)がにこにこしながらやって来た。レイアが手を振る。
「ハナちゃん!」
 今日のアウグスタ、飛びつく人が多くて大変である。
「キャー、アウグスタちゃんクランクアップおめでとうですぅ。お姉さんのお膝の上はどうですぅ? アウグスタちゃんの好きなケーキも買ってきましたよぅ」
 作中ではキツめの罵り合いを繰り広げた二人。ハナ自身は作中と同じように面倒見の良い女性なので、カメラが回っていない間は可愛がられていた。
「ハナちゃんありがとう!」
「どういたしまして、ですよぅ。おいでおいで」
 ぴょん、と膝に飛び乗った。ハナは破顔し、
「やぁん、かわゆいかわゆい、こぉんなかわゆいアウグスタちゃんを思う存分愛でられるなんて女の子に生まれて良かったですぅ」
「確かに、男だとなかなかね。誘拐犯と間違われますしね」
 と言うのはグスターヴォだが、多分違う理由で(親から)拒否されている。


「そう言えば、ハナは出会いを求めるキャラだったけど、実際にどんな男が好みなの? この中で言うと誰?」
 席を移動してきたナンシーが、ピザをかじりながらハナに尋ねた。ハナは少し考えて、
「この中じゃグスターヴォさんに決まってるじゃないですかぁ。BGM不要で腹が立った時は粗雑に扱っても怒らなそうですしぃ。ただ男性しか好みじゃないみたいなのが玉に傷ですけどぉ」
「え、そんなことありませんよ」
 名指しされたグスターヴォ、にこにこを崩さない。
「女性のことも、もちろん好きですよ」
「すごく誤解招きそうですぅ」
「いや真面目な話。ハナさん御髪が綺麗じゃないですか」
 にこにこ。
「あのポニーテールね、見てるとついつい指を通したくなるんですよね。でも髪は女性の命ですから軽率に触るわけにも……でも、きっと絹糸みたいな触り心地だろうなって想像して……」
「やめて! なんかよくわかんないけど、それ以上ハナちゃんに気持ち悪いこと言わないで!!!!」
 謎の恐怖心を覚えたアウグスタ、ハナの膝から飛び降りて立ちはだかる。
「やめろ!!! ハナとうちの娘に変なことを吹き込むんじゃない!!!」
 娘の悲鳴を聞きつけたサンドラが駆けつけた。
「聞かれたから答えただけなのに、なんでこんなことになっちゃうんですかね~~~ハナさんの髪が綺麗だって言っただけなんですけどね~~~」
 まったく懲りた様子がない。
「ほんとさぁ、天は二物を与えないよね」
 その様子を見ながら、しみじみとナンシーが呟いたのであった。
「いや、顔と演技力を与えた。性格で全部おじゃんだが、それでも仕事があるから二物以上を持ってる」
 ヴィクターの言葉に真が噴き出した。


 イリアス(ka0789)は金糸篇メンバーが集まっている一角にちょこんと座った。新人アイドルの彼女からしたら、どこを向いても先輩だらけだ。
「お疲れ様!」
 アウグスタが寄ってきた。彼女はイリアスに抱きつくと、
「何かいつもと違う?」
「火薬の匂い、落としてきたのよ」
 猟撃士として、作中では弓と銃、両方を使いこなしていたエルフの役だった。撮影が終わる度に硝煙の匂いがしてしまうのが悩みの種だったが、今日はちゃんと落として参上。安心して欲しい、と言うわけである。
「硝煙系アイドルなんて良いんじゃないか」
 ヴィルジーリオが茶化すように言う。
「アイドルが硝煙の匂いさせて良いのかしら」
「そう言う路線で売るのはどうだ? 射撃ができるアイドル……訓練しに渡航したんだろ?」
「ええ」
 結構な凝り性であるイリアスは、この役を演じるに当たって、射撃訓練をするために渡航した。本気で悲しむシーンを演じるために、ヴィルジーリオやアウグスタとも積極的に仲良くしに行ったりもして、陰の体当たり系女優である。
 実際、司祭が刺されて搬送される回では、イリアスが本気のリトリビューションをぶっ放す姿が演者の間でも話題になった。一番びっくりしていたのは血糊まみれの司祭本人である。
「台本で台詞とかは知ってたけど、実際見たらちょっとキュンとした」
 というのが今だから言えることだ。
「あのぬいぐるみはどうしたの?」
 ディーナからもらったぬいぐるみは、「汚しちゃまずい」と言うことでC.J.が空いた椅子の上に置いてテーブルから離れたところに置いてある。
「ディーナちゃんにもらったの!」
「良かったわね。私も、小蜘蛛ばっかり見ていたから、段々可愛くなってきちゃって。ファンアイテムとして小蜘蛛アクセサリーとかどうかしら、とか」
 見た目に反して商魂がたくましい。
「ああ、企画はされてるみたいだな。金糸篇、物語ってことで一貫して宣伝してたから、ブックチャーム作ろうかって話が出てるらしい」
「そうなの。やっぱり蜘蛛なのよね?」
「蜘蛛本体か、蜘蛛の巣か、あとは薔薇だな。黄色い薔薇の花言葉が嫉妬だから黄色でまとめたんだよな?」
「うん! ワンピースにも薔薇つけてもらった」
「出演者先行販売あるかしら」
「どうだろうな。企画が通るかどうかが先だな。発売をハロウィンに合わせれば売れる気がしなくもないが……間に合うのかな」
 夏も終わりが近づいている。


「わふーっ!」
 アルマ・A・エインズワース(ka4901)はエドが何も持っていないタイミングを見計らって飛びついた。
「アルマ!」
「うわあ! びっくりした!」
「あははっ! Hello、皆さん!」
 子役から俳優業を始めているため、年は若いがこの中ではかなり芸歴が長い。数年間海外で演技の勉強をしており、帰国後最初の出演作品が「ファナティックブラッド」と言うわけだ。ちなみにハーフである。
「やあ! アルマくん! 今日も美人ですね! ビンタしてください!」
「やめて!!! グスターヴォはあっち行って!!!」
 すっ飛んでくるグスターヴォを、エドが立ち上がって牽制した。ちなみに本当にビンタされたい訳ではなくご挨拶であるが、ぺちん、と叩くと「ありがとうございます!」という気合いの入った御礼が飛んでくる。
「グスターヴォのそれはなんというかもう、慣れました」
「えっ、慣れないで……?」
「わん! ……あ、わんって言っちゃった。うつるの!」
 じたばたする。実際、カメラが回っていないときにアルマと話すと「わん」の回数が少なくて逆に違和感を覚える程度には、作中の「アルマ・A・エインズワース」という役は彼にはまっていた。
「やるべくしてやった役かな。僕と『アルマ』はよく似てるから。彼は僕で、僕は彼……って感じ」
 というのが彼の言葉だ。実際、身内は大切で汚す者には容赦しない所とかは似通っているという。
「撮影がピリピリしたときとか結構怖いもんな、リアルアルマも」
「えっ、僕、エドにも怖い思いさせた?」
「いや俺の味方してくれたから俺は怖くなかったけど、怒らせた奴は怖かったろうなって思うよ」
 今日は参加していない相棒役の彼や、エド、ヴィクターを殊に気に入っている。
「色々共演させてもらったが、お気に入りの回とかあるのか?」
 ヴィクターが興味深そうに尋ねると、アルマは頷いた。
「【血断】の『憎むがままに叫び出せ』が。殺陣後のエドとの掛け合いが特に」
「あれは結構キャラの別の一面が出たりして良かったよな。俺も好きだよ」
 エドも嬉しそうに頷いた。


「チャオ、ヴィオ、アウグスタ」
 レオーネ・ティラトーレ(ka7249)は知った顔の二人を見つけると手を振った。
「チャオ、レオ」
 ヴィルジーリオがつい癖で煙草の箱を出そうとすると……。
「煙草はしまえ」
 C.J.とステレオである。
 というのもこの伊達男、作中と違って三児のパパ。当然煙草禁止勢力だ。三つ子の三歳児が愛らしい寝顔でパパを待っているものだから、今日も一次会でおしまいだ。
「仕方ありませんね」
 再び司祭ムーブ。この男、司祭ムーブしておけば良いと思っている節がある。
「アウグスタもラストシーン泣きそうになったぜ」
「ありがと! 見てくれたんだ!」
 【陶曲】で共演した二人であった。レオーネは視線を上げると、
「ヴィオ、無表情って大変だったろー」
「顔の良い男を前にすると余計に……」
「何言ってんだ」
「私知ってる! お見舞いのシーンの後ずっとレオくんの顔見てにやにやしてた!」
「お前!」
 ヴィルジーリオの視線を受けて、アウグスタは「きゃー!」と言いながらレオーネの後ろに隠れた。
「安心しろ、俺も知ってた」
 レオーネは笑いながらワイングラスを置いた。並んでいるライスコロッケをつまみ、
「このスプリ美味しい」
 中にモッツァレラが入っている。溶けたチーズが長く伸びた。
「家でも作るが、フォルマッジョの違いかな。ヴィオもアウグスタも食べてみ?」
「チーズも、ものが違うだけで全然違うからな。いただきます」
「いただきまーす!」
 アウグスタがかぶりつく。
「ドラマそのものももうすぐ終わりだし、寂しくなるなぁ」
 レオーネはしみじみと首を横に振る。
「俺末っ子だったから年下の可愛い弟妹に世話焼けるの楽しいんだよな」
「次の現場がまたお兄ちゃん役だと良いですね、お父さん。次は息子役やるよ」
「こんなでかい息子を持った覚えはないなぁ」


 リクは膝に何かがぶつかったのを感じて、テーブルの下を覗き込んだ。
「りっくん!」
 アウグスタだった。年始スペシャルで共演して以来だ。リクの膝の上に身を乗り出している。
「やあアウグスタちゃん。元気?」
「元気よ。りっくんは? お正月以来よね?」
「うん。元気だよ」
 よっこいしょ、と言いながらリクはアウグスタを膝に乗せた。
「りっくんはまたパパたちと同じ現場出ないの?」
「んー、もうチョイいろいろできたらなぁとは思うけどね」
 予定が合わなかった。こちらの現場では、守護者スキルの活用的な役を振られていたので、恐らく年始の「たのしいジョルダン家」がはっちゃけた唯一の役だっただろう。据え置きゲーム機のコンセント抜いたりして。
 便利な助演のつもりだった。監督兼脚本からどう見られていたかはわからないが。
「そっかぁ」
 アウグスタは自分を支えるリクの腕に掴まりながら、会場を眺める。共演者と思い出話をする者、お噂はかねがね、なんて言いながら初対面同士で会話に花を咲かせる者、様々だ。
 皆で作ったドラマだった。
「終わっちゃうわね、ファナブラ」
「寂しい?」
「ちょっと。りっくんは?」
「そうだね……」
 撮影が始まった当初は十七歳。渋谷で偶々声をかけられて、とりあえずやってみてから早五年。
 今の今までなんか続けていた、普通の当時高校生も、今は大学生だ。ある種、人生の転機を迎えた場所、と言っても良い。
 思わないことがないでもない。
「あ、ほら、アウグスタちゃん、デザート来たよ。食べる?」
「食べる!」
「リク、ごめん! アウグスタこっちおいで。リクもデザート食べるからね」
 C.J.が迎えに来た。この人年始で高校生役やってたよなぁ、と思い出しながら、リクはアウグスタを父親に手渡した。


 デザートを食べてから、しばらく歓談していると、時間になった。二次会のお誘いが方々で上がる中、C.J.はアウグスタを探した。
「あ、CJさん。アウグスタさんを探してますか?」
「わー! ごめんね、真」
 アウグスタは真の背中ですやすやと眠っている。
「車まで送りますよ」
「ありがと。何か今日ずっと相手させてたよね。楽しめた?」
「ええ、もちろん」
 真は自分の肩にほっぺたを乗せているアウグスタを見て、
「やー、僕は作中でアウグスタさんに冷徹な態度を取り続けていましたから、普通にお話できるのが嬉しいんですよ」
「たまに心配になったよ、僕」
 何しろ真に対して辛辣な台詞が多かった。アドリブの台詞もあった。アウグスタ本人が考えての言葉だったから、C.J.は見ていて結構心配だったのだ。
「大丈夫でしたよ。皆さんと共演できて、楽しかったです」
「僕も楽しかった。でももう少し続くからね」
「そうですね。【金糸篇】の経験を活かして、これからの撮影も頑張りたいです」
「あ、すまんな真……このチャイルドシートに乗せてもらえるとありがたいんだが……」
 車で待っていたサンドラが手を振った。

「二次会行かないんですか?」
「可愛いプリンチペッサたちが待ってるからな」
「残念です。またご一緒する機会があれば、その時はよろしくお願いします」
 アルコールが入ったヴィルジーリオはやや寂しそうにレオーネの手を握って振り回した。大分できあがっているらしい。
「あっ、ヴィルくん私と言うものがありながら! 二股ですか! よろしくありません! レオーネさんご安心を。私が責任持って二次会に放り込んでおきます!」
「ほどほどにな」
「あんた俺のなんなんすか……」
 酔ってても素面でも変わらないグスターヴォに襟首を掴まれて引きずられて行く赤毛に、レオーネは手を振った。
「よし、チャイルドシートOKだ。出せ、クレート」
「はいはい。じゃ、皆お疲れ様! 今日は来てくれてありがとう! また共演する時は親子共々よろしく頼むよ」
 C.J.は運転席から共演者たちに声を掛けた。
「じゃあね、おやすみなさい」
 また次に会えるように。

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    ジュード・エアハート(ka0410
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 龍盟の戦士
    藤堂研司(ka0569
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士
  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフ(ka0586
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • 金糸篇読了
    イリアス(ka0789
    エルフ|19才|女性|猟撃士
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 抱き留める腕
    ユリアン・クレティエ(ka1664
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • 大工房
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    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 其の霧に、籠め給ひしは
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  • 春霞桜花
    ミィリア(ka2689
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  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • 星の音を奏でる者
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    人間(紅)|17才|女性|魔術師
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2019/08/16 20:55:59