ときめきの案内人(男性編)

マスター:石田まきば

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2015/03/21 12:00
完成日
2015/03/27 05:55

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●少女と青年

「やぁ、また会ったね」
 バレンタインの前に一度、バレンタインデー当日に一度。今日で顔を合わせるのは三回目だっただろうか。商人をしているという少女ミネアを見つけたシャイネは、迷わず近寄り声をかけた。
「シャイネさん、先日はありがとうございました。色んな人と仲良くできて本当に楽しかったです!」
 千個のチョコレート作りでハンターに手伝いを頼む、そんな助言をしたのは初めて会った時だ。わざわざ御者台から降りてきて挨拶をくれる彼女の律義さを微笑ましく思いつつ、シャイネは笑顔を返した。
「こちらこそ、たくさんのチョコを準備してくれて本当に助かったよ。良い売れ行きだったね」
 バレンタインデーに会えるだろう友人知人に渡すために、彼女が売っていたチョコレートを買ったのだ。思っていたより会えた人数は少なかったから、沢山購入した大半はシャイネの手元に残った。自分で食べる分を選り分けて、その残りはエルフハイムに定期連絡をする際の土産にもさせてもらったよ等と添えながら、さりげなく味の感想も告げる。美味しかったよ、と。
「おかげさまで。地方の人に渡す分がなくなりそうで本当に困っちゃいましたよ」
 示された先にあるのは荷馬車に詰まれた箱だ。箱一杯に詰っていたはずのチョコレートの箱はひとつも残っていない。代わりに入っているのは大量のジャガイモだ。
 地方での商売もうまくいっていた様子が見て取れる。
「それは大変だったね。大事な人には渡せたのかい?」
 忙しかったようだから、相手がこの少女に合わせてくれていればいいけれど。そう思いながら尋ねれば、ミネアは勢いよく話し出した。誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
「だーかーらー、そんな人いませんって。今は仕事が楽しいんですっ。それに、この荷馬車の代金まだ払い終えていないし、家の仕送りもしなくちゃならないし、今年姉さんが結婚する予定だし、弟は学校入るって言ってるし。行商してたら好きな人いても一緒にいられないし。恋なんて今考える気も起きないです」
 助言の礼だとじゃが芋を差し出される。仕事は充実しているようだが、それ以外はまだまだのようだ。ミネアのこぼしたため息を聞きながら、どうしたものかなとシャイネは小さく首をひねる。
 ……そうだ、これならどうだろう?
「真面目なんだね、君は。献身の精神は素晴らしいけれど、自分の気持ちを押し殺しちゃいけないよ」
 頑張るスイッチが切り換えられたらいいのにねと、ミネアの頭にそっと手を添えた。
「あ、あのっ!?」
 少女の頬が赤く染まったようだけれど、気にせず少しだけ顔を近づける。体調が悪いというわけではないようだ。
 まだ若いのに、恋愛が一番と言っていてもおかしくないと思うのだけれど。仕事と、そして家族を大事にしている少女がもっと視野を広く持てたらいいのにと思う。きっと恋をすれば、この少女はもっと素敵な存在になるはずだ。
(ふふ、もしかしたら将来恋人同士になるかもしれない、そんな出会いを目の前で見られるなら。それも面白いんじゃないかな?)
 ミネアに恋を教えるついでに、自分の作詞心も刺激できそうだ。風景の一部となって人々を眺めるのも面白いけれど、偶にはもっと近い位置で、恋をする者達を観察出来たらいいなと持っていた。
(秋にやった合コンは、本当の意味では別の会だったしね)
 それに最近、街混とやらもあったはずだ。時間がとれなかったから自分は参加できなかったけれど。
(参加できないなら、自分で主宰すればいい、そういうことだね?)
 せっかく思いついたこの話、この少女にも乗ってもらおうじゃないか。
 きっと面白い事が出来るだろう。企画を思い浮かべたシャイネは微笑みを浮かべた。
「じゃあ僕が恋を教えてあげようか?」

「ああああ、あ、あの。いいい、いきなり何を……ああ、あたしはっ、だだだ、だから」
 ミネアの頬が更に赤みを帯びていた。彼女の額に手を添える。少し熱いようだけれど、元気そうだから大丈夫だ。安心して微笑みなおしてから、話を続けていく。
「恋すると世界は変わるよ。同じものを見ても、同じものを聞いたとしても、光り輝いているように思える。仕事も、これから出会う人も、きっとそんな輝く君の顔が見れることを喜ぶんじゃないかい?」
 この子に素敵な人が現れれば、きっともっと素敵な詩が唄えるのではないだろうか。もちろん、他にも多くの恋人同士が誕生したら……ああ、想像するだけで詩作心が燃え上がりそうだ!
「はぁ」
 ミネアの生返事を、詩の事を考えているシャイネには大賛成の声として受け取った。
「ああ、良かった。それじゃ早速会場を探さないとね。たくさんの人が集まれるような大きな場所となると……」
 やっぱりこのピースホライズンだろうか。ハンター達の集まるリゼリオでもいいとは思うけれど。
「やっぱりお見合いはイベントごとに含まれるだろうから……」
 うん、ピースホライズンで会場を手配しよう。
 きょとんとした顔のミネアは気にせず、満足そうにうなずくシャイネ。
「ハンターオフィスには連絡しておくよ。良い人がたくさん集まるといね」
 無駄なくらい眩しい笑顔をミネアに向けた。面白いことを考えた時の、意味がないくらい爽やかな笑顔。
「……はい?」
 語尾上がりの返事。
「合コンさ。前に街コンもあったし、また新たな男女の出会いをする場を作るのもいいかなと思ったんだ。バレンタインも終わって新たな絆を求める人もいるだろうし、花見や……夏の海に行く相手を見つけたいと思う人も増えているかもしれない。素敵な相手が見つかるよ、きっと」
 もしこのお見合いでカップルが出来たなら。主催者としてそういったデートの場を提供するのも面白そうだ。勿論ほんの少しだけ、そういった空気を分けてもらう前提になってしまうけれど。
「また後で連絡するよ」
 じゃが芋、どうもありがとう。受け取ってもう一度ミネアに笑顔を向けた。

●懐古

(……うん、これで大丈夫かな?)
 約束を取り付けてミネアと別れる。背に感じる彼女の視線が弱くなっていたから、自分への興味はほぼなくなっただろうと確信も得られた。
(僕の恋人はずっと、この子だからね)
 愛用の弓をさらりと撫でる。愛しの運命の君と呼ぶほど、共に時間を過ごしている相棒だ。今では自分の家族よりも長く自分の傍で、全ての時間を共有してきている。
「ふふ、これからもよろしくね?」
 握りに小さく口づけてから、少しだけ意識を違うところへ向けた。
(家族……ね)
 少女の家族の話に、そしていつか得るだろう大切な人の話に。自分で言っておきながら、シャイネはある記憶を呼び起こし、そして本当に小さく口元をゆがめた。誰にも気づかれない程度に。
 もし、もしも将来、僕が誰かに傍に居てほしいと願う時が来るとするなら。
(それは、あの人の答えを見つけて、僕なりの決着をつけた後……かな)

リプレイ本文

●絵姿仕様で巻いていけ♪『イケメン図鑑』

『諸君の視線は私が一手に集めた!』
 白のスーツを汚さず着こなす自信が、笑顔を輝かせ声も広く響かせる。
「私の名前は久我・御言(ka4137)。よろしくお願いする」
 転移前と変わらず愛用するスーツは今も鎧として、盾としてヘイト稼ぎに有効なのだ。
「以前は企業勤務のサラリーマン、ここに来てからは戦闘も交渉もこなす機導師……そう、出来る社員といった所だね?」

『一歩でも前へ、俺が欲しい答えの為に』
「似た趣味の奴いたら話してみたいな。革細工のアクセとか木の小物作ったりすんのが好きだぜ」
 手袋に施された装飾や首元に見える飾りもその成果のようだ。さりげなく見える程度の場所だからこそ馴染んでいる。
「ドワーフの闘狩人、ラティナ・スランザール(ka3839)だ。男女問わず新しいダチは大歓迎だ、宜しくな」

『受け止める土台は、既に用意してある』
 軽やかな着物もその身を包めば落ち着きを示す。
「リアルブルー出身の東郷 猛(ka0493)だ」
 転移前の職は今も猛を特徴づける意味で大きな部分を担っている。
「難しいことは抜きで楽しみたいと思ってる。一つよろしくな」

『みつめなおす切欠にゃ悪くないだろ?』
 普段使いの羽織に袴。幼少時から慣れた服は肩の力を張らせないスタイル。
「榊 兵庫(ka0010)という。ハンターとしてのクラスは闘狩人。この世界に来る迄は軍人をしていた」
 どう笑えばいいのかやや不得手なりに言葉を選ぶ。
「至って無趣味だが、あえて言うのならば、旨い酒の肴と共に酒を楽しみ、多くの人と語り合う事だな」

『良ければ教えてください……貴方の持つ答えを』
「転移者で、一応魔術師の天央 観智(ka0896)です」
 腕を組んで考え込む癖はどんなときにも出てしまう。
「興味と言いますか、趣味は事象の観察と、その奥に在るものの推測……でしょうか?」
 例えば魔法やマテリアル。丁寧に、相手にも伝わりやすいようにとの意図が伝わってくる。
「最近は、冒険者の様な事を、やっている事が多い……ですね」

『三種の神器は決まってる、酒と戦と音楽だ』
 手にある三味で合図を弾く。
「俺はテスカ・アルリーヴァ(ka2798)。昔は漁師と三味弾きだったが、今はこの通りだ」
 間を彩る節に乗せて、好きなタイプを考える。
「酒好きの音楽好き、っていてくれりゃ、退屈させないように努力するぜ?」

『仮面は俺の一部、俺を表す本体だ』
 最初から姿勢がおかしい。まともに直立が出来ていない。
「大抵の者は初めましてだが、見覚えがある人も居るな……まぁ見境なくよろしく頼むと言い放ちつつ、楽しく過ごさせて貰えれば之幸いと空間の隅っこの方にでも陣取っておこうと思う志士、天ヶ瀬 焔騎(ka4251)だ…っ!」
 一度に言いきったようだが声がくぐもっている。ふらふらと揺れているが、仮面のせいで顔色が分からない。
「がふっ……」
 あ、死んだ?

『甘えてくれていいんだよ、おっさんの性分だからねぇ』
 赤と黒のコントラストはいつもの通りの証。
「おっさんは壬生 義明(ka3397)リアルブルー出身で、あっちにいた時はちょっとばかり商人をやっていたよ」
 今はハンターだけどねと笑う。憧れたオジサンに近づこうと目指しながら浮かべる笑顔はからりとしている。
「これも何かの縁と言う事で、とりあえずよろしくね」

『相槌なら師範級、貴方の心を軽くしますね』
 堅苦しくはないけれど整えた格好は、人の良さを示す指標にもなるものだ。
「リアルブルー出身の機導師のルドルフ・デネボラ(ka3749)です」
 困ったように頬をかくのはちょっとした癖のようなもの。
「交流会って聞いたんですが……せっかくなので知り合いが増えたらいいなって」
 誤解はあったけれども。顔を合わせたらよろしくお願いします。

『貴女という花に手を差し伸べてもいいですか』
 貴族にとってのパーティは社交界というのが一般的。
「麗しき方々、アルバート・P・グリーヴ(ka1310)と申します。どうぞお見知りおきを」
 舞台挨拶のようなお辞儀に合わせたあと、周りの空気に気がつく。
「踊りの相手をお探しの方がいらっしゃるのなら、是非一曲お相手を……あら、堅苦しすぎるかしら」
 気軽に声を掛けてくれたら嬉しいわ。何時もの気安い口調で微笑んだ。

『聖遺物の力で決めてやる、ときめく覚悟はいいか!』
「グリーヴ家の次男坊、ジャック・J・グリーヴ(ka1305)様だぜ!」
 声の威勢は良すぎるほど。
「世界の中心たる俺様と出会えた事を光栄に思いな!」
 そこまで言い切って女性陣を認識。その顔は明らかに赤い。
「……やんごとなき事情だ、気にすんな、つか見るな!」

『柔と烈を反面教師に、俺は剣と共にこの道を歩む』
 らしさで言えば、兄弟の中でも一番貴族として落ち着いた印象を持っている。
「疾影士、ロイ・I・グリーヴ(ka1819)と申します。見聞を広めたいと思っております……その、余り話は上手くないのですが」
 言葉を選ぶのは、場の空気にあっているか少しの不安がよぎるから。自覚もあるから、少し照れたような微笑みが浮かんでいた。
「どうぞお相手願えれば幸いです」

『孤高の背中に新しい傷は刻めない』
 宴会に参加するのと同じ体だから、名乗りを上げろと言われても首を傾げるだけだ。
「ナハティガル・ハーレイ(ka0023)。闘狩人をしている。タダ酒とタダ飯に在り付けるって聞いて……」
 周りの空気が違う事に気付いたが、構わないと杯を干した。
「何か問題あるか?」

『知ってたか? 酒は笑って飲むもんだぜ』
 髭も髪も整えて、一番の角度も確かめてある。
「オレぁ、ヴェンデルベルト(ka3717)っつーんだ! 愛だの恋だの……オレにゃ、ちと敷居が高ぇわけだが」
 ジョッキから泡が零れ落ちるのと同時に、笑顔満面に溢れだす。
「それより今日は楽しくやろーや! 人の縁は一生もんってな!」
 いける口、待ってるぜ?

『黙って女子の言葉を聞くも、侍の心得がひとつ』
「薬師神 流(ka3856)だ。……ここで言っていいものだろうか」
 額に手を当てる、その仕草は舞の所作にも似ている。
「女に縁がないのは心配だからと、妹に行けと強いられたのだ……要らん世話だが」
 だというのに自然な動きに感じられるのは、それだけ動作の型が身についている証拠だ。
「壁に張り付いているだけの心算もないから、宜しくしてやってくれ」

『くまさんって呼んでくれてもいいんだぜ?』
 小脇に抱えた着ぐるみがなければ。誰もがきっとそう思うだろう。
「恋のハンターヴァイス(ka0364)の出番だな!」
 ビシリと決めたスーツ、きらりと光るサングラス。黒をベースに差し色の赤とのコントラストは完璧だ。
「……え、これがどうかしたか?」
 請われたら着るぜと指し示すのはくまさん。本気の顔である。

『どっちなんて関係ないよ、あなたの都合のいい色に染まってあげる』
 はじめはきりりと視線を強く。声音も低めに意識して。
「十色 エニア(ka0370)、魔術師だよ」
 軽い会釈をした後は、笑顔を浮かべて声の調子も跳ねるように変えた。
「好きな物は、お菓子。作るのも食べるのも好きよ」
 首を傾げて迷うのは挨拶の〆。男性が苦手という子にもなじんでもらえるなら悪くない。
「ぇと……よろしくね~」

『荒ぶる俺も、今だけはオマエの緩衝材になってやるぜ』
 気軽に話し、いつも通りに過ごす。その上での出会いがあれば楽しもうという心づもりだからこそ、ハンターの仕事に行くときと同じ、普段通りのコートとシャツ。
「傭兵やってるエヴァンス・カルヴィ(ka0639)だ」
 酒が注がれたグラスを乾杯するように掲げて、愛嬌のある笑顔を見せた。
「一緒に乾杯できる子募集中だぜ、よろしくな!」

『役立たずの本気、見たいのかい?』
「初めまして。僕はトライフ・A・アルヴァイン(ka0657)、何でも屋の真似事をやってる」
 丁寧な挨拶と笑顔は社交の基本。身だしなみは清潔さを重視しているようだ。
「折角の機会だ、多くの人と顔見知りになれたら嬉しいよ、どうぞよろしく」
 脱いだキャスケットごと手を胸に当てて微笑めば、当社比3割増しになると言うものだ。

『繋いだ縁を手繰るのは、きっと言葉だと思うから』
「クリス・ガードナー(ka1622)」
 いつもと同じ調子で名乗るのは、緊張もしていないからだけれど。本来はあまり口達者な方ではない。
「元CAMの整備担当で、今はアルケミスト……っていうのは、別に良いか」
 言葉を選びながら話す様子に誠実さが伺える。
「趣味で木彫りの人形とか置物作ったりしてる。店にも置いてるから、もし興味があったら」

『海の向こうから流行をお届け♪』
 白ベースのスーツに差すのは、瞳に寄せた濃緑のシャツ。アンダーリムの眼鏡はネクタイと同じ明るめの赤。
「ジュード・エアハート(ka0410)っていいまーす! 猟撃士だけど、本職は海商なんだよー」
 キャンディミニブーケを差し出す仕草。宣伝を兼ねた名刺代わりだ。
「色んなお菓子を買い付けて、リゼリオの『極楽鳥』ってお店で売ってまーす」
 ウインクひとつ決めれば、店の宣伝も出来て一石二鳥♪

『風と共に心を飛ばして』
 空色のシャツは心に抱く風。雲に足をかけたような白いスラックス。ジュード見立ての爽やかな色合いに合わせるのは、シンプルで落ち着いた輝きのシトリンのループタイ。ラフな演出は太陽のミサンガと腕輪に任せて。
「疾影士兼薬師の助手のユリアン(ka1664)です。何時も心に風を……」
 少しだけ眉尻が下がる。
「どうぞ宜しく」
 照れ顔からの笑顔、変化球いただきました。

『源氏名は気だるげロイヤル』
 上品な赤スーツが目に眩しい。普段とは系統の違う服も着こなしている。
「エアルドフリス(ka1856)だ。旨い物を食う事と人と話すのが好きだ」
 旅暮らしが長い分話題にも困らないと付け加える。
「皆の話も聞かせて頂きたいね……薬師をやっているのでな、健康上の御相談はいつでも承るよ。勿論秘密は厳守する」
 集まる視線を意識した微笑みがバッチリ決まった。

『春を呼ぶならウサギと共に、キミの心にピンポイント☆』
 白に近い薄桃鼠のモーニングが一足早い春を告げる。若葉色のカフスまでお揃いのウサギさん人形に、シャッフルされたカードから取り出した一枚を持たせる。ハートの6。
「手品も出来る貴族のアルヴィン = オールドリッチ(ka2378)だよ☆」
 シルクハットに全てスプリングさせ、かき混ぜる。
「どれだけ混ざっても引き当ててみせるカラ、楽しみにシテテね☆」
 もう一度取り出したその手には、ハートの6。

●交わせ言葉と杯と

「では乾杯といこう」
 真っ白な御言はどこに居ても目立つ。挨拶も1人目、そしてあのインパクトで名前は会場の全員に知れ渡っていた。
 笑顔は絶やさず、紳士的な振る舞いもそつなくこなすので女性からの反応も悪くないようだ。

「ほら挨拶して」
「わかってるわ兄様」
 丁寧な挨拶の後三人をじっと見つめ、瞬かせる様子が仲間達の顔に笑みを落とす。
「フムフム。ホントだ、仕草がそっくりダネー?」
「えっリッチーどういう事?」
 早くない? と素直に驚くジュードとは対照的に、額に手をやり黙り込むエアルドフリス。
「瞬きするところトカ。わからナイ?」
「こんな連中ですまないが、君のお兄さんにはよくしてもらっている、俺達ともよろしく頼むな」
 ハリセンを家に置いてきたことを後悔しながら、首を傾げるアルヴィンを遮った。
「いいえ、色々と聞いていますから」
 くすくすと笑顔がこぼれる。
「王国にあるお薦めの店聞きたいな、情報交換しない?」
 ジュードの提案にも喜んでと返ってくる。すぐに馴染めたようだ。

 酒のみの輪に混じるようにしてブランデーの入ったグラスを掲げる。
「さぁ、て乾杯カンパイッと」
 まずはぐびり。おーこれ好きな感じだ。後で銘柄も見ておこう。
(にしても今回は平和そーで何より)
 テスカにとって合コンは二度目だ。気楽に飲めるのが一番だと思う。

(出来るだけ早く……)
 幼馴染の傍に行かなければと逸る気持ちはあるけれど。一人で過ごす誰かを放っておくことはできない。
「飲み物とか足りてるか?」
 世話を焼きながら、ラティナが気にするのは相手が身につけている装飾品だ。自分が作る時の参考にならないだろうかとつい視線を向けてしまう。幼馴染以外の女性は眼中にない証拠でもあった。

(多すぎんだろぉ!)
 異性への苦手意識克服のため、蒼界のぎゃるげぇで予行練習もしたけれど。揃った女性陣を見て瞬時に意気込みが立ち消えたジャックである。
 兄弟の陰に隠れようとするが、一番背が高いのではみ出ているし、何より震えている。
「ジャック兄さん、情けないな」
「仕方ねぇだろうが」
 いつもなら喧嘩腰のはずの返事にも勢いが出せないのだ。
「ロイだって、もっと肩の力を抜……ジャック、目が泳ぎすぎよ」
「俺は震えてませんし大丈夫です」
 徐々に緊張がうつったようで、ロイの声が上ずっていた。
「二人とも?」
 ぐいっ!
 にこりと笑みを浮かべ、弟達の背中をそれぞれ別の方角に押しやるアルバート。
「ここで立ち止まってなんかいないで、ご令嬢方のお相手をしていらっしゃい♪」

 時折休憩をはさむものの、つい体を動かして給仕に徹してしまう義明。
(こういう事の方が性に合ってるねぇ)
 出会いが不要と言う訳でも、独りが好きという訳でもない。まだ自分の時間を優先したいし、目標に向かって歩む方が優先と思っているだけだ。
「落ちる時は落ちるっていうしねぇ」
 今はすすんで恋愛を選ばなくてもいいか。

 飲み比べ会場にどうぞと言わんばかりの酒瓶やらグラスやらが並べられたテーブルに陣取れば、もうそこは天国だ。
「よう、坊主! 楽しめてるか!」
 がっはっはっ! 豪快に笑いながら通りがかる誰しもに声をかける。相手の持つグラスが酒ならヴィンデルベルト基準で飲み仲間たりえるし、酒でなくとも共にいるだけで飯が美味い。つまり誰かが居ればいいわけだ。
「おぅ飲んでるぜ。この肉とかすげぇ酒すすむしいける」
 テスカが皿を勧める。香辛料とだしのきいたタレが肉のうまみを引き立てているのだ。
 ひょいぱくり。結構分厚い肉でも一口でのみ込んでしまう。
「食いでがあるし、ごうかーく!」
 いやー旨いなーついでに酒も種類揃ってるなー、流石交流都市ってもんだぜ!

 サムライ談義の中心に据えられた流は、女性達に乞われるまま蒼界、そして日本について語っていた。
(飲み比べ……には違いない)
 猫耳メイドワーフには酒をぐいぐいすすめられ、女中エルフにはジャパンの料理かどうかを頻繁に確認される。ちなみにどっちもピンク系。モテているというよりは便利な情報源扱いだけれど、悪い気はしない。
(少なくとも、妹に何かしらの弁明をするような事態は避けられた)
 同好の志、友人としてだろうが、侍に興味のある女性との出会いが増えたことには違いないのだから。

 常に酒は片手に、見覚えのある肴だけに限らず美味しそうなら手を伸ばす。兵庫は料理を順に眺めながら、見覚えのある顔ぶれに行きあうタイミングを待っていた。
「派手にやってるなあ。で、調子はどうなんだ?」
 一旦着ぐるみを脱いだヴァイスに尋ねる兵庫。
「対象年齢がな……いや、いいんだが」
 モテるというよりは、微笑ましそうな視線を集めただけだった。
 丁度二人の間をパルムが通り抜ける。追っていた少女がヴァイスを見上げた。
「くまさんですの?」
 純粋な視線で見上げられ、ヴァイスは再び着ぐるみの中へ……
「冬眠ハンターヴァイス熊、歌うぜ曲は、春のクマ!」

「それだけ速くかけるのはすごいな」
 サラサラとスケッチブックに書かれる言葉、添えられるイラストの完成度にクリスはほうと息を零す。
「俺も趣味で木彫りをやっているけど」
『どんなの? 売ってるの?』
 可愛らしいうさぎがぴょこん。
「玩具とか……パズルもあるよ」
 そのうさぎも今度挑戦していいかい?

「興味深い趣向……演出? だったと思うの」
「ありがとう、男性が苦手そうな人とか居たら合わせられるかもってね?」
 エニアの返事に、彼女の左右で違う髪飾りがふわりと揺れる。
「素敵ね、相手を思いやってる感じがすごくいいわ」
 この容姿で、声色も使い分けられる、ただそれだけのつもりだったけど。
(人によってはこんな風に思ってくれるんだ)
 改めて気づかされる。

「飲まないのか? 好きな味とかあれば相談に乗れるぞ」
「ふぇっ? あ……下戸なのよ」
 飲んでみたくてもこればっかりはと少し肩を落としている。紫色のつむじを見下ろしエヴァンスは少し考えた。
「それで目の前にあるのも辛いよな~、なあ、気分だけでも乾杯すっか?」
 さっき給仕の姉ちゃんに聞いたんだよ、酔わないカクテルがあるって。すぐに貰ってきてやるからそれでいいか?

(できれば年の近い縁が増やしたいものだ)
 年若い子達も多く、自然と相手も限られるけれど。1人で過ごそうとしてる相手には食事をとり分けた皿を手に声もかける算段の猛。恋愛とは違っても、友人になれる可能性だって貴重なのだから。
 参加者の挨拶の時から気になっていた、依頼で一緒になった相手に挨拶ができた。
「いつぞやは助かった、貴女が居なかったら大怪我だったかもしれないからね」
「自分の役目を果たしたまでです。お酒、注ぎましょうか?」
「ありがたい。酌してもらうとまた格別に美味いな」
 優しい微笑みを肴にする、その格別な酒を堪能する猛だった。

「大丈夫?」
 心配そうな声に顔をあげれば、見覚えのあるツインテールが揺れている。
「少し緊張してたようだ」
 椅子に座って休んでいる姿勢のまま、問題ないと杯を傾ける焔騎。やはり仮面で表情はわからないが、声音から笑っているのが分かる。仕事で受けた傷について話さないのは、自分でもそれが重大なことだと認識していないからだが。やせ我慢のように思ったのかリボンが片方に揺れた。
「どうかしたのか?」
 同じように首を傾げて返す。
「この酒なら確か」
 まだ飲めないからと先を制される。
「そうじゃなくて、仮面つけたまま器用だなって」
「もう一部だからな」
 つけてる感覚もないくらいだ。

「どうかなルゥ君っ」
「合コンなんて聞いてな」
 振り向いて、息をのんだ。
「勘弁してよ」
 いつもの溌剌とした可愛さと違う、綺麗な姿に。
「似合ってるよ」

 家を出る時はいつものラフな格好だったのに。
「てか、お前……似合ってる、可愛いよ」
 髪も服もドレスアップしている彼女に見とれるラティナ。更に自分が作った首飾りを身に着けてもらいたい、どんなものがいいだろうと想像が広がっていく。
(眼福だが、更に気が抜けなくなった!)
 挨拶程度なら許せるけれど、他の男にナンパされそうになったらしっかり阻止しなければ。

「ハンターとしては新人でな、仲良くしてもらえるだろうか」
 女性から積極的に声をかけるという現実に混乱が伴う。
「お声がけ有難うございます、レディ」
 つい、貴族らしさ重視の作った笑顔で対応してしまうロイ。
(……しまった)
 一度完成した笑顔を崩すことは難しく、後で反省することになる。

●見つけるのは新たな縁? 隠れていた気持ち?

「君のおすすめ、俺にも教えてくれるか?」
 美味しそうに食べるからどんな味か知りたくて。自然に口をついて出た言葉に橙の瞳が向けられる。
「南瓜のプリンとかいかがでしょう」
 甘いものが好きでも苦手でも。丁寧な答えに、ヴァイスは緊張が少し解れたことを感じる。この調子ならもう少し。
「それじゃ試すかな、ついでにあんたの分も持ってくるが、何にする?」
 礼代わりだと笑顔を向けた。

 ぶらりと様子見。オフィスで見かけた顔にトライフの目が吸い寄せられる。
「錬金術、興味があるんだよね」
 美人で体付きも好みだが、何よりその時熱心に見ていたのが錬金術の依頼書。目を惹いたのを覚えている。
「あの仕事は宝石だったらしいけど、薬とか」
 良ければ教えてくれないか。初対面で金の話はまずい、なら自分の為と匂わせよう。どちらも嘘ではないし。
(……嫌な予感がするのはなんでだろうな)
 綱渡りをしているような緊張感が続いた。

(ノート片手に何してんだ?)
 丁度見ていた女性にトライフが近寄っていくのが見えた。
 会話は聞こえない。だが緊張感が伝わってくる。
「……」
 本能が警告を発したので、猛は視線をそらすことにした。

「真面目で全力なのは貴方のいいところだと思うけど、ずっとだと疲れないか心配だな」
 するりと、歯に衣着せない言葉が御言に入り込んでくる。隠していた緊張に気付かれたような気がして声の方へと視線を向けた。
(これは自分の常態なんだが……)
 隙を見せたつもりはないのに、先手を取られた気がして。悔しいような、どこか親しみを感じるような。
「ご心配なく、私は体力にも自信があるからね」
 人見知りまで発揮して、打ち解けきるのは難しそうだった。

 絵描きが手を振ってくるので、トライフは余所行きの会釈を返す。いくら眼中にないとはいえ、誰が見てるかわからない。
(それでなぜ!?)
 彼を追ってくるのは艶も色気もあるオカマ様。しかも二人ってなんでだ!?

「……なるほど……職業として、存在していたんですね」
 勉強になりますと観智が話し込むのは北欧にいた魔女。今は共に同じ魔術師だけれど、この転移がなかったら出会う事のなかった、話などできなかった相手。蒼界における魔術の在り方を直接知ることができる興奮で、言葉にはいつもより熱がこもる。
(話しかけて貰えたのは幸運でした)
 不躾な聞き方はいけないと、言葉を選ぼうとしていた矢先だった。はじめこそ緊張はしたけれど、話すほどに、疑問への答えが得られるほどに。会話にのめりこんでいたからだ。
「文献でなら知っていましたが……ああ、尋ねてばかりですみません。嬉しくて」
 新たな知識だけではなく、話を合わせてくれる彼女の優しさに対しても。

 エアルドフリスは顔の広さか、それとも立ち振る舞いか。常と違う服装にも関わらず女性を集めた。
「お久しぶりですー!」
 これお勧めなんですよと見つけたケーキを渡されて一口。
「バナナだな」
 栄養もあるしいい選択だと答えてしまうのは職業柄か。
「仕事の時はあまり聞けなかったからな、良ければだが」
 辺境の現状をと尋ねてきた知人にも、気負わせない程度の身の上を語る。
「まあ良くある話だがな。他に質問は?」
 薬師も極めれば学者の域。人に教えることも得手になる。そして語り口が長いのも。
「ふふ、適当に止めんと質問攻めにするぞ?」
 しかし慣れないな。ふいにネクタイを緩めようと自分の服に手を伸ばす。

「もーエアさんってば、聞いてばかりじゃ女の子に嫌われちゃうよ?」
 一部妙な強調があった気がするが、ぎくりとしたのは該当者だけで十分。
「あっこれまだあるからどうぞ♪」
 ミニブーケとは別に、会場のお菓子から見繕ったおすすめを差し出していくのはジュードだ。ユリアンが選んだ香草茶にもあうように考えてある。
「そうだよルールー、女の子には楽しんでもらっテ、笑顔にするのが常識ダヨー?」
 じゃあ次は妹ちゃんのお友達にカードを混ぜてもらおうかな☆ シルクハットを差し出しながらアルヴィンが言葉を被せる。
「ソレと、正装は崩したらマナー違反ダヨ?」
 今もバッチリ着こなしキープしているお貴族様は、ルールにも厳しかった。
「口では負けるけど、宜しくしてやって?」
 仲間達の様子にこっそり笑いつつユリアンが頼むのは、仕事を共にした知人。妹と友人になりたいと言ってくれたその感謝も込めた。

 酒も杯もテンポ良く回る。気分もあわせて上がっていく。
「っと、三味鳴らして活気づけといこうかね」
 べべん。テスカが弾いた試しの音に気付いた歌姫から、良ければ共にと声がかかる。
「そりゃいいな。さっき歌ってた奴、まずはあれにあわせてみるぜ」
 飲んでいたって音楽なら耳に入ってくる。彼女の声と会場の空気に合わせ、柔らかさを意識した旋律があふれだした。

(ひとりで暇そうにしてる奴ならいける! カモン会話応答の選択肢! 俺様の華麗なるトークで好感度フラグ待ったなしだぜ!)
 相手が多数だから怖いのだと、一人でいる女性……居ない。
(まずいまずいまずい)
 何の成果もないと来た意味がない。
「ジャック様?」
 焦る彼の耳に飛び込む、聞き覚えのある声。
「……は、話し相手くらいにならなってやってもいいぞ」
 助かったなんて思っちゃいねぇからな。

「これとかおススメだねぇ、取り分けは難しいけど、そういう時こそおっさんの出番だ」
 慣れた手さばきで鳥の丸焼きを食べやすい大きさに捌く義明に女性陣から感嘆の声が上がる。大きな骨は外し、小骨も取りやすいように配慮済。シャンゼリゼの給仕も居るのだが、違和感ない程に馴染んでいた。
「凄いですね、中途半端に切れた肉がほとんど出ないなんて」
 食器を片付けていたルドルフが覗き込む。
「教えようか? 使いようによっちゃ女の子にうけるかもしれないよ」
「折角なのでご教授いただこうかな」
 女子受けという言葉で咄嗟に幼馴染が浮かぶけれど。それ以外でも応用できそうだと提案に乗った。

 話は聞く方が得意だが。乞われてルドルフが話すのは共に転移してきた友人達の事。
「今、皆で住む家を修繕中で」
 基本は別行動だけれど、幼馴染がつい気になって視線を向ければ……あ、気付いて手を振ってきた。
「彼女もその一人なんです、僕と違って行動派なんですよ」

(ここに来ても同じって)
 大きなポニーテールを見つけエヴァンスはくくっと笑う。
「お前、ここにきても飯ばっかり食ってんのかよ!」
「いっいいだろ好きなんだから!」
「ま~いい、ちょっと付き合え、ってそれうまそうだな貰うぜ」
 グラスを薦め、正に食べようとしていたローストビーフをかっさらった。

 ふわふわ髪の友人お手製の菓子をひとつ。
「お酒入りなんだこれ、見た目可愛いのに結構過激だね」
 それが美味しいんだけどと褒める。
「エニアさん、その笑顔がいいのん」
 元気出たみたいでよかったと微笑まれて、つい自分の頬を触ってしまった。それまでそんなに不自然な笑い方してたかな?

「アル兄さん……場が緩すぎて会話の仕方が分からない! いっそ剣舞で場の空気を俺に近づければ!?」
 距離感がつかめず混乱してしまうロイ。
「いやぁね、それじゃ保護者の私まで浮いちゃうじゃないの……冗談よ」
 落ち着きなさいな。優しい声音で宥める。

「どうにも場違いな気がするな」
 酒と肴で繋げるし、皆気さくだからいいけどな。口ではそう言う兵庫に、ナハティガルは何かを察したようで。
「その割にはひとり、追いかけてるようにも見えるがね」
「そりゃまあな、俺だって一人くらい気になっている女性は居るぞ」
 あんたはどうだ、空気につられて軽く聞き返す。
「……俺にはもう関係のない世界でな」
 軽く目を閉じる。面影は簡単に瞼に浮かぶ……二度と逢えないからこそ、強く。
「っと悪ぃ、今のは俺の事情だし気にすんな。それよりあんた、迷ってる時間は勿体ないぜ?」
 他の女居ても目に入らねぇなら、答なんてわかりきってるだろ。
(他の女性を見ても、確かに惹かれた気はしなかった)
 言われてみればそうだ。
「機会があればになるだろうが……そうだな」
 この日を切欠にするのも悪くないかもしれない。

 兵庫の背を見送りながら物思いに耽るナハティガル。場違いはこっちの方だ。
「来ていたんだね」
「タダ酒御馳走さん」
 空けたばかりの杯を揺らしシャイネに返す。
「しっかしどうして合コンなんて……もしかして、気になる娘でも居るのか?」
 からかいの混じる声にも笑い返す詩人。
「じゃあ、秘密をひとつ教えてあげよう♪ 僕の初恋はこの子だよ?」
 示す先は愛用の弓。
「そうじゃねぇだろ、ったく」
 らしいなと思いつつ、新たに杯を干した。

「ちょっといい?」
 シャイネを呼ぶユリアン。視線を集めるのは避けるべきと廊下で、壁に手をついて挟む。
「話を聞きたいんだ」
 掴み処がないのはわかっていたけど、友人のはずなのに。
「今は無理でもさ……」
 抱え込んでいる何かを吐き出してほしい。
「好きな子にとっておかなくていいのかい?」
「へ? 誤解……っ!」
「覚えておくよ♪」
 今の行動を。多分、言葉も。

「不躾だったらごめんなさい、貴女、心に誰かいるんじゃなくて?」
 心ここにあらずと言った様子が気になり声をかけたが。話をするうち気付いたことを指摘するアルバートに、医者だという相手も頷く。
「リアルブルーの話のお礼に言うけれど……踏み出してから悩んだって遅くないわよ」

 パステルカラーのミニドレス姿は、時間があれば目で追っていた。名簿に彼女の名があると知った時は驚いたものだ。
「こういう場で会うのは、少しびっくり」
 独りになる時間を待って声をかける。クリスは、彼女が女性同士の集まりを楽しむ様子を邪魔したくなかった。ここでは同じ参加者同士だからこそ。
「何処でみつけるか、解らないものだね……『縁』ってのは」

「良か女と飲む酒は美味かね」
 流の口調が故郷のものに。姿勢はしゃんとしているが、酔いは回っているらしい。
「……そいば知れただけで、今日は良かったったい」

「おーい、ビール追加! おう、嬢ちゃんもなんか頼め!」
「あら嬉しい台詞♪」
 飲み比べはヴィンデルベルトを含むドワーフ陣で決勝へ。結果? ……タイムオーバーでした!

「本当に、出会いとは難しいものですね」
 解散後に浮かべた笑みが、その日ロイが浮かべた一番自然な表情だった。

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 亜竜殺し
    榊 兵庫(ka0010
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人
  • 一刀必滅
    ナハティガル・ハーレイ(ka0023
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 空を引き裂く射手
    ジュード・エアハート(ka0410
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 優しき力
    東郷 猛(ka0493
    人間(蒼)|28才|男性|霊闘士
  • 赤髪の勇士
    エヴァンス・カルヴィ(ka0639
    人間(紅)|29才|男性|闘狩人
  • 大口叩きの《役立たず》
    トライフ・A・アルヴァイン(ka0657
    人間(紅)|23才|男性|機導師
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 全てを見渡す翠眼
    アルバート・P・グリーヴ(ka1310
    人間(紅)|25才|男性|魔術師

  • クリス・ガードナー(ka1622
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 抱き留める腕
    ユリアン・クレティエ(ka1664
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 名誉騎士
    ロイ・I・グリーヴ(ka1819
    人間(紅)|18才|男性|疾影士
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士

  • テスカ・アルリーヴァ(ka2798
    人間(紅)|21才|男性|闘狩人
  • Entangler
    壬生 義明(ka3397
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 傭兵魂
    ヴェンデルベルト(ka3717
    ドワーフ|34才|男性|闘狩人
  • カウダ・レオニス
    ルドルフ・デネボラ(ka3749
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 光森の絆
    ラティナ・スランザール(ka3839
    ドワーフ|19才|男性|闘狩人
  • 歩む道に、桜
    薬師神 流(ka3856
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • ゴージャス・ゴスペル
    久我・御言(ka4137
    人間(蒼)|21才|男性|機導師
  • 炎滅の志士
    天ヶ瀬 焔騎(ka4251
    人間(紅)|29才|男性|聖導士
  • ガンスリンガーアデプト
    ニール・ニーデル(ka4281
    人間(蒼)|21才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/03/21 09:45:14
アイコン 控え室内、中継カメラ?
アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
エルフ|26才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/03/21 10:52:00
アイコン 合コン会場控え室☆
アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
エルフ|26才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/03/21 09:46:49