真夏の夜の怪談話

マスター:坂上テンゼン

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2015/08/04 15:00
完成日
2015/08/11 03:04

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ある蒸し暑い夜……。

 特に依頼も受けていないハンター達が、暇に任せて、怪談をやろうということになった。

 誰がセッティングしたのか、街中で済ませればいいものを、わざわざ郊外の打ち捨てられた小屋を見繕うまでの念入りさ。
 付近には人が住んでいない。かつての戦いで戦場となり、人が離れていったのだ……ゆえに生活音は一切無い。
 語っている間は蝋燭を灯すのだが、それ以外には本当に何の灯りもない。
 それも一人語るごとに、一本ずつ消え、段々と、真の闇に近づいていく……。

「これは私の友達の友達が実際に体験した話なのだが……」
 ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061)は、低い声で語り始めた。彫りの深い顔が下から蝋燭で照らされ、見る者に不安にさせる形相を演出していた。
「彼の名前をここでは仮にジュスタンとしよう。アークエルスにある彼の家に、四人の詩人が入れ替わりに出入りしていた。
 それぞれアレックス、バルトロメオ、シャルル、デイヴィッドという名前だった。
 ジュスタンは食事をする時、同時に来客があった時でも彼らの中の一人とだけ、共に食事をした。四人の詩人は食卓ではけして顔を合わせなかった。
 この四人、食事の時に使われるナプキンが同じだった。
 しかしジュスタンは、その事を告げはしなかった。
 
 そのナプキンが、だんだんと、汚れてきた。

 ――アレックス、あなたのナプキンはこれよ。汚れてるけどごめんなさいね。
 食事のとき、ジュスタンの妻はこう言ってナプキンを渡した。

 ――バルトロメオ、ナプキンよ。まあ、なんて汚れてるんでしょう! 今週は洗濯屋が来なかったの。
 そう言って、同じナプキンをジュスタンの妻は渡した。

 ――シャルル、いつも同じナプキンばかりあげていて、本当に恥ずかしいわ。でも、どうしたものか、洗濯屋が洗濯物を届けてくれないの。
 そしてまた、同じナプキンを渡した。

 ――デイヴィッド、私またあなたにこのナプキンをあげなければなりませんの。今日はこれの他には何もないんです。
 そうして、同じナプキンを渡したのだった。

 こうして誤魔化しながら何度も何度も同じナプキンを渡していたんだ。

 さて、ジュスタンも妻も他の詩人も知らなかったことだが、デイヴィッドが肺結核にかかっていた。
 ナプキンを介して、他の詩人達にも病が伝染していったのだが、ジュスタンはその時そんな事は思いもよらなかった。

 やがてデイヴィッドが死んだ。
 他の三人も、肺結核が感染して死んだ。
 人々は彼らの早い死を、詩才と引き換えに命を縮めたのだと噂した。
 彼らが死ぬ前にすばらしい詩を遺したためだった。
 こうして誰ひとり真相を知ることはなかった。

 さて、四人が死んでしまったので例のナプキンは要らなくなっていた。
 ちなみに、未だに洗っていなかった。
 ジュスタンの妻が捨てようと思って、ふいにナプキンを広げると――

 そこには、こびりついた汚れや黴、様々な色彩によって、奇跡的にデイヴィッドの顔がありありと描かれていた。
 それだけではなかった。アレックス、バルトロメオ、シャルルの顔も、同じように描かれていた。
 そして………………


『『『『お前の貧乏が俺達を殺したんだ!!!!』』』』

 ナプキンに描かれた四人の顔が、そう叫んだという……」

 ヘザーはそれまで静かに語り、間をおいてから突然大声を出すというやり方で話を語り終えた後、自分の前の蝋燭を吹き消した。
 暗い部屋が、さらに暗くなった。

 すべての蝋燭が消えた時、何が起こるのか……。

リプレイ本文

●真夜中の廃屋
 蝋燭が一つ減り、ヘザーの姿が淡くなった。残りの蝋燭はあと六本。集まった一人一人の前に、一本ずつ立てられている。
 ……静かだ。
 しばらくは、息を呑む音や驚きの声が反響していたが、それが終わると、この人里離れた廃屋では何も聞こえない。
 夏の夜特有の、なまあたたかい空気が場を支配していた。
 
 集まった七人は、年恰好も全てばらばらだった。
 派手な色合いの服を着た青年、シェイス(ka5065)。廃屋で蝋燭を囲んでいるこの状況で、怖がるでもなく缶ビールをあけてくつろいでいるように見える。
 彼の隣で大きな目を見開いている小柄な少女は羊谷 めい(ka0669)。シェイスとは顔なじみで、さっきから視線を泳がせてはシェイスに縋る様な視線を向けたりしている。
 着物姿の少女、牡丹(ka4816)。油断ならない敵に囲まれたときのように表情をこわばらせ、視線をあちらこちらに動かしている。
 中年の僧形の男が喬栄(ka4565)。蝋燭の灯りに浮かび上がる僧形の姿は、それだけで非日常だった。
 シルクドレスの少女は浅黄 小夜(ka3062)。この中では最年少だったが、めいや牡丹とは違う意味でこれから始まる出来事に対して目を輝かせていた。
 そして、これといって特徴の無い普通の格好をした男、久木 満(ka3968)が、意を決して口を開いた。
「よし……では俺の番だな」

●久木 満の話
 前に、バイト先でお化け屋敷に居たんだが……
 え? リアルブルーの……? いや、違うぜ、コッチの世界だ……。
 お化け屋敷で俺達は色んな事をやった。白い女……喋る生首……逆立ちして走る男……ひとりでに歩く鎧……人喰い修道女……そして、背後から抱きついてくる幽霊……。
 どれもこれも効果は絶大だった。
 やがて仕事は終わり、「お疲れ様」とお茶を依頼人が持ってきたのだが……それは「6人分」あった。
 俺達は不思議に思った、だって俺達は5人でやってたんだから。
 けど依頼人は「もう一人、白いワンピースの方がいたと思ったのですが」なんて言うんだ。
 でも誰もそんな奴は知らなかった……。

「な? 別に怖くなんてないだろう?」
 満は涼しい顔で語り終え、蝋燭を吹き消した。

「こここ怖くなんてないわよ、当然」
 牡丹が、誰が聞いてもせいいっぱいの強がりとわかる言葉を吐いた。
 ちなみに内心は『おばけこわい怨霊こわいいやぁぁぁぁぁぁ』となっていた。
「単に数え間違えたんじゃねえの?」
 シェイスは笑ってそう言った。
「でも……最初……六通りやあらしまへんでしたやろか……?」
 小夜が言うと、一同は考え始めた。
「白い女、喋る生首、逆立ちして走る男、ひとりでに歩く鎧、人喰い修道女、背後から抱きついてくる幽霊……」
 指折り数える喬栄。声がやたらおどろおどろしい。
「ほんとだ6人いる!」
 ヘザーが声をあげ、満を見た。
「俺達は確かに5人だったが……なぜなんだろうな?」

 その問いに答える者はなかった。

●浅黄 小夜の話
 リアルブルーの学校には、大体どこにでも『学校の七不思議』というものがあります……。
 小夜の通ってた小学校では、こんなのがありました……。
 トイレの花子さん……女子トイレには『花子さーん』と呼ぶと『はーい』と答える幽霊がいるそうです……。
 音楽室の幽霊……誰もいない音楽室でピアノが鳴るのを聞いた人がいるそうです……。
 生きてる肖像画……音楽室のベートーベンとかの肖像画は、夜になると目が動くそうです……。
 動く銅像……校庭に建っている銅像は、夜になると動き回るそうです……。
 旧校舎の不思議……夜中、旧校舎では死人や妖怪が集まって授業を受けているそうです……。
 理科室の模型……夜になると、人体模型が動き出して校舎を徘徊しているそうです……。
 そして……七つ目は…………
 ……この先は、言えません……
 だって……七不思議全部知ると……幽霊に連れてかれて……しまうんですから……。

 ……でも……気になります……よね……?
 気になり……ます……よね?
 ……ふふっ…………

「ノォー! ストォーップ!」
「言っちゃダメー!」
 満と牡丹の声が闇にこだました。
 めいは黙ってこそいたが、ロザリオを握り締めて歯を食いしばっている。
 それらを見た小夜は黙って蝋燭を吹き消した。
「はぁはぁ……あやうくオムカエが来るところだった……」
「なに語ろうとしてるのよ……!」
 必死の表情の満と牡丹。汗ぐっしょりである。
「おいおい、こっからが面白い所だろ?」
 シェイスが愉快そうに言った。
「だって、幽霊が来るって……」
 めいが信じられないという風にシェイスを見返す。
「その方が怖くていいんじゃね?」
「いやほら、流石にそれはまずいっていうか……こわいわけじゃないのよ?!」
 牡丹が抗議する。にわかに賑やかになった。

「ほんとは……小夜も、知らないですけど……ね……。
 だって、知ってたら……この世にいませんもん……」
「そうだよね……」
 怪談が終わったと思い、めいは安堵した声になっていた。

「まあ……小夜……幽霊なのかも……しれませんけどね……?」

 場が凍りついた。

●喬栄の話
 いやねぇ、坊主に幽霊怖がれってぇのも酷な話よお嬢さん方。
 あんな連中、怖がってちゃ商売になりゃしねぇんだもん、ねぇ?
 まー……それは置いといて怖い話、怖い話かぁ…そうだねぇ、じゃあこんなの一つ。

 あれは何時だったかなぁ、今時みたいに暑い、夏の日だったかも知れない。
 おじさんねぇ、お酒飲んでたのよ、飲み屋で。こう、一杯チョッと引っ掛けてね。
 その日は博……うん、偶然少ぉしだけ運が良くてお財布が暖かかったから……あれ何件目だっけ、三……四軒目? まあいいや、次の店どうしようなんて歩いてたのさ。
 その日はあんまり風がなくてさぁ、すごい蒸し暑くって、嫌な天気だったんだよ。
 んでさ、おじさんちょっと酔ってたからその時まで気付かなかったんだけど。
 いつのまにか周りに人がいなくなってたんだよねぇ、飲み屋の通りなのに。
 あれーおかしいなー道間違えたかなーなんて思ってたらさ、
 いきなり後ろから肩を掴まれたんだよ、知らない人に。
 びっくりするじゃない? そしたらそいつなんて言ったと思う?

「金返せ」

 だってさー!! もうおじさんほんとビビっちゃってね、あ、これやばい、死ぬわって。
 え、それからどうしたって? 勿論逃げたよ、そんなのさぁ。
 借金取りになんて捕まってたら、今頃俺のほうが幽霊だよ。

「………………」
 なんだか微妙な空気が流れた。
「そーゆー怖さは、いらないだろ……」
 ヘザーが呆れ口調で言った。
 喬栄は格好は僧形、口調は例のリアルブルーの怖い話大好きおじさんを髣髴とさせるものだった。
 それだけに。内容が。
「ふぅ……」
 牡丹がなぜか安堵のため息を漏らした。
「……借金取り……こわい……」
 満がこぼした。一人くらいには伝わったようだ。

●トイレ休憩
「だ、だれか、御手洗いに行きたい人がいたら、一緒に行ってあげてもいいのよ……?」
 唐突に、牡丹が言った。
「善いな、なら私も」
 何が善いのかわからないがヘザーが言った。
「じゃ、小夜も……めいのお姉はんは……?」
 小夜の言葉にシェイスが年上なのかとめいを見る。
「……行き、ます」
 なんで今こっち見たのと視線で訴えためいが言った。
「スマン、俺もちょっと厠へ旅立ちたい……」
 満も立ち上がった。
 シェイスと喬栄は行かないつもりのようで、送り出す気分である。

 廃屋のトイレなんて恐ろしすぎるので外で用を足すことにした一行。
 さすがに男女同じ場所とは行かず、満だけが離れた。
「こう言う時に一人で離れるのは死亡フラグ……」
「何言ってるんだ……」
 満の言葉にホラー的な展開を連想したのか、ヘザーは肝を冷やした。
 照明用にと新しい蝋燭をもって出てきたのだが、闇夜では余りにも頼りない。

 女性陣は蝋燭を置いて、適当な場所で用を足した。妙な達成感があった。

「な……何?! 何かいる!」
 そこで、牡丹が何かに気づいた。
 一行は息を呑んだが、そこはハンター、すぐさま耳を澄ませ闇に目を凝らし、何がいるのかを見極めようとした。

 ヒタヒタヒタヒタヒタヒタ
 ガサッ、ガササササ――

 異様だった。夜行性の獣にしてはあまりに音がしすぎる。
 闇が不安を増した。

「そこ!」
 牡丹がとっさに蝋燭を手にとって翳した。
 ――見た。
 一瞬に過ぎなかったが、彼女の網膜に焼きついたもの、それは――

 ――逆立ちで走る、体表が艶やかな人型の生き物。
 首は捻じ曲げられたように後ろを向いており、目は不自然なまでに光っていた――

「きゃああああああ?!」
 見てはいけなかった。
 蝋燭がぼとりと落ちた。
 謎の生物の動きが一瞬止まった。
 まだ蝋燭の光が届く範囲にいるそれに向かって、ヘザーが小石を拾って投げつけた。
 豪速球(スローイング)は狙い過たずそれの後ろ向きの顔面に直撃し、その場に倒れた。
 小夜が蝋燭を拾い、それを照らそうと近づく。一行はそれに続いた。
 すらり、と音が鳴った。見れば牡丹が抜き身の刀を手にしていた。

「ま……待て。俺だ」
 目も口も鼻もない後頭部から声がした。
「満だ……」
 
 思い思いの形で怒りをぶつけられた満はそのまま廃屋に戻り、真相を語った。
 満はマスクと全身タイツに身を包んでいたが、「これが紅き大地より生え産まれた俺の真の姿だ」と言う。
 一人になった満は余りの恐ろしさに元の姿に戻ってしまったらしい。
 大きな段差に気づかず足を踏み外し、転んだ弾みでマスクが前後逆になってしまった。足も挫いたので、手で歩いていた。
 さらに前が見えないので、あちこち彷徨ってしまったらしい。

「馬鹿でしょ」
「馬鹿だな」
 牡丹とヘザーの結論だった。

 気を取り直して、一行は怪談の続きを始めた。

●牡丹の話
 東方に昔から伝わるお話。

 身分違いで叶わぬ恋に水身自殺をした女性。
 相手の男性は、最初こそ悲しんだもののすぐに忘れてしまったそうな。

 3年を過ぎたころから、夜な夜なひたりひたりと誰かが廊下を歩く音が聞こえてくるようになったそう。
 男性も最初は気のせいで済ませていたんだけれど、数日が過ぎたある日。
 全員が寝静り、静寂に包まれた夜。
 ひたり、ひたり、と足音。どうせ使用人だろうと思って、男はふすまを開けてしまうの。
 外は満月が出ていて、雨も一週間は降っていなかった。
 誰もいないと不思議に思いながら、寝なおそうと、男が、後ろを振り向くと

 ずぶぬれの、女が……。

「コレデ ワスレナイワ」

 ……翌日の朝、布団の上に男の水死体が発見されたそうよ。
 近くには、水に濡れた長い髪の束。

「ぎゃあああああああ!」
「きゃあああああああ?!」
 満の怖がった声に牡丹がびっくりした。
「おい、ちびっ子、あんまりしがみつくな……」
「……やだ……」
 めいはシェイスの腕にしがみついて顔を伏せたまま動かない。
「振り向いたら死んだ女がいた……なんて、怖いですね……濡れた髪ってとこが、また不気味やわ……」
 と、小夜。淡々とした口調だが、明らかに興奮していた。
「いやはや、今のはなかなかに怖かった。お? ヘザーちゃんは動じてないのかい。さすが女戦士だねえ」
 喬栄が言ったが、ヘザーの返事はない。
 ヘザーは、座ったまま気絶していた。

 牡丹の語りは全員を震え上がらせるものだった。しかし一番怖がっていたのは――
「も、もう遅いからこれで終わりにしない?」
 彼女自身だった。
「いやいやまだ二人残ってるよ。ほら蝋燭消して」
 喬栄にやんわりと拒否され、牡丹は仕方なく蝋燭を吹き消した。

●羊谷 めいの話
 決してしてはいけないことがあるそうです……。
 日付が変わる頃、真っ暗な部屋の中、姿見の前で、お辞儀をした姿勢でゆっくりと瞬きを3回、そしてその体勢のまま真横を見ると……
 これ以上は、とてもじゃないけれど、言えません。
 どうなるかは、試さないでくださいね……。

 めいは蝋燭を吹き消した。
「え? それだけ?」
「どうなるんだ、そうすると……」
「それは……言えません」
 ヘザーは不明点を自分の考えで補なおうと考え、その考えを口にした。
「鏡の中に閉じ込められるとか?」

 沈黙。

「姿見に映ったはずの自分が横にいるとか」

 沈黙。

「顔を上げると、姿見に恐ろしい姿が映ってるとか」

 沈黙。

「何か言ってくれ!」
 沈黙が怖かった。
 めいは肯定も否定もしない。
 眼前の少女が何を知っていて、なぜ語ろうとしないのか――それを考えると、いいようのない不安に襲われるのだった。

●シェイスの話
 昔、戦いで恋人を失った友人がいてな。
 どうにかして恋人を取り戻したいとずっと言ってた。
 ある日、大切な人を取り戻せる村があると聞いて、そいつは飛び出していった。

 結果としてそいつは帰ってこなかった。
 ここまでだとよくある話だけどな。

 手紙は、帰ってきたよ。
 恋人が帰ってきたという内容と一緒に、写真が。

 写真には、笑顔の友人と木造の人形が写っていたよ。

 そいつがどうなったかは知らない。少なくとも、もう会うことはねーよ。

「以上だ」
 と言って、シェイスは蝋燭を吹き消した。



 真の闇が訪れた。



「うわあ」「ひい」といった声が闇にこだました。
 誰が喋っているのかまるでわからない。
 仮に自分達以外のものが混じっていたとしても、わからないだろう。
「明かり! 明かりつけて!」
 牡丹が叫んだ。

 ライトアップされた満の姿が闇に浮かび上がった。

「LEDライト5個で自分を照らすな!」
 ヘザーに言われて、満は仕方なく周囲を照らした。

●語り収め
「人形を恋人と思い込んどるなんて……不気味やけど、ちょっと悲しいですね……」
 帰り道、小夜が感想を口にしていた。
 廃屋にとどまり続ける理由もないので、帰り道にシェイスの話の感想を話す形になった。
「それで人形を持ち込んでたんだな」
「え? そんなもん持ち込んでねーけど」
 ヘザーの言葉にシェイスは心底不思議そうな声で返す。
「あったじゃないか? めいの反対側に」
「いや知らない」
「えっ。どういう事」
 牡丹の顔が引きつる。彼女も人形を見たという事を意味していた。
「もしかして……シェイスのお兄はんの言ってた村っていうのは……」
 小夜の言葉。周囲を見渡す。
 朽ち果ててはいるがここには、かつて村があった。
「友達に……会いにきた……?」
「待てよ、人形は恋人のほうだって」
「じゃあお友達も、人形になったとか……」

 廃屋に人形が本当にあったのかどうか、今となってはわからない。
 謎を抱えたまま去らねばならなかった。
「ほらよ、面白い場の代金代わりにとっときな!」
 そう言ってシェイスは持ってきた清酒を撒いた。

 それは、いるのかいないのか不確かなよくわからない存在に対して向けられた行いだった。

依頼結果

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MVP一覧

  • マケズギライ
    牡丹ka4816

重体一覧

参加者一覧

  • Sanctuary
    羊谷 めい(ka0669
    人間(蒼)|15才|女性|聖導士
  • きら星ノスタルジア
    浅黄 小夜(ka3062
    人間(蒼)|16才|女性|魔術師
  • 食撃のヒッサキーマン
    久木 満(ka3968
    人間(蒼)|32才|男性|霊闘士
  • 毒花落掛し粋僧
    喬栄(ka4565
    人間(蒼)|51才|男性|聖導士
  • マケズギライ
    牡丹(ka4816
    人間(紅)|17才|女性|舞刀士

  • シェイス(ka5065
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 百物語に向けて?
浅黄 小夜(ka3062
人間(リアルブルー)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/08/04 14:04:13
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/08/01 20:38:00