Easy mission

マスター:蒼かなた

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/09/16 09:00
完成日
2015/09/24 06:41

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●最悪の事態
 それはとても簡単な仕事のはずだった。
 事件が発生したのは今から3時間前。場所はリゼリオの諸島群の1つのとある島で起きた。
 その島は人が住んでおらず、変わりに沢山の倉庫が並べられていた。所謂倉庫島である。
 他の島とは橋が掛けられておらず、行き来するには船が必要な場所だ。
 そういう訳で交通の便は悪いが、逆に言えば船がなければ近づけない島である為、大切な荷物などを保管するには都合のいい島だったのだ。
 だが、そんな島だと知っていても。寧ろそんな島だと分かっているからこそ現れる招かれざる客というものがいる。そう、泥棒達だ。
 彼らは日が落ちて管理人が帰ったところで、倉庫の通用口を無理矢理壊して中に侵入を試みたのだ。
 だがそこはしっかりと防犯設備が用意されており、仕掛けを解除せずに泥棒達が扉を開けた途端、空に赤い閃光弾が発射された。
 そして10分後にはすっかりと倉庫島は警備部隊の船に取り囲まれ、泥棒達が乗ってきたと思われる小舟も押さえられた。
 これで完全に袋の鼠。島には倉庫以外に隠れる場所は無い為、あとは虱潰しに探していけば泥棒達はあっさり捕まる。
 そう、そのはずであった。少なくともこの場に集まった警備部隊はそう思っていた。
「んっ? おい、倉庫の扉が開くぞ」
 1人の警備員がそれに気付いた。綺麗に並んでいる倉庫の群れのその真ん中あたり。その倉庫の扉がゆっくりと開き始めたのだ。
「おっ、自首する気になったか。探す手間が省けたぜ」
 1人の警備員が続けてそう言った。他の皆も同じ気持ちで、その倉庫から出てくるであろう泥棒達の姿を待つ。
 だが、いっこうに泥棒達は姿を現さない。警備員達もそれを不審に思ったところで、それはゆっくりと姿を見せた。
 それは長い鉄のパイプを数本束ねたような形をしていた。黒くて無骨で、そしてどこか凶悪さを感じさせるソレに警備員達に見覚えはなかった。
 何れにせよ泥棒達に投降の意思はない。そう判断し、その倉庫への突入が叫ばれようとしたその時。猛獣が咆えるような音と共に、ソレが焔を纏った牙を剥いた。

●ハンターオフィス
「皆さん、お集まりいただき感謝します」
 リゼリオにあるハンターオフィスにて、深夜が近いというのにも関わらずハンター達が召集された。
 普通ならありえない。逆に言えばこれから聞かされるのは普通ではない依頼ということなのだとハンター達は理解する。
「今回の依頼は、とある倉庫に入り込んだ泥棒達の制圧です。因みに泥棒達は全員非覚醒者だと思われます」
 それだけ聞けば、何故ハンターが召集されたのかは不明だ。非覚醒者の犯人であれば、よっぽどのことがない限りハンターに出番はない。
 よほど人数が多いのか、それとも人質でも取られている状況なのか。
「人数は10人前後とのことです。尚、人質などはいないそうです」
 どうやらその当たりの予想は外れのようだ。となると、一体どんな厄介事があるのか。
 それはオフィス職員からすぐさま提示された。
「どうやら泥棒達は倉庫内にあった武器で武装したようで、これが倉庫内の保管リストです」
 そこに並ぶのはショップで発売されているような銃の名前がずらりと並んでいた。おまけに弾薬も一緒に保管されていたらしく、一晩中撃ち続けても弾切れは心配なさそうな数がそこには載っている。
 ただ、これでもやはりまだ弱い。これだけならまだハンターに頼らずとも武装したプロならば何とかなるはずである。
「そして、これが表向きのリストに載っていなかったモノのリストです」
 嫌な予感がする。ハンターの勘がそう囁いたが、見ないわけには行かずにハンター達はそれに目を通した。
「7.62mm口径のガトリング銃に、対戦車ロケットランチャーに、回転弾倉式グレネードランチャーだそうです。どこと戦争するつもりだったのでしょうね?」
 オフィス職員の皮肉交じりのジョークを零すが、誰も笑うものがいなかった。
 それらが地球連合がこっそりと使っていたのか、それとも横流し品なのか、はたまた偶然リアルブルーから転移してきた漂流物かは分からない。
 だがとりあえず、犯罪者に銃火器というのは非情にまずい組み合わせと言えた。
 そして、何故ハンターが召集されたのかもやっと全員が理解することが出来た瞬間だった。
「倉庫諸共吹き飛ばしてしまえと考えてしまうかもしれませんが、それは当然ですが依頼主から禁じられています」
 更にしっかりと釘を刺される。もしその武器庫状態の倉庫が爆発したら周りの倉庫もまとめて吹き飛ぶからだ。最悪近くの島まで被害が及ぶ可能性があるので、倉庫へ向けて及び倉庫内での火器の仕様は厳禁である。
「説明は以上です。皆様、ご武運をお祈りしております」
 オフィス職員はそう告げてぺこりと頭を下げた。

リプレイ本文

●深夜の居直り強盗
 暗がりのリゼリオの街に月の光が降りる。
 この時間ともなれば酒場も扉を閉め、何時もならば町は眠るように静かになっている頃だ。
 しかし、今日に限ってはその静かな眠りは妨げられていた。また1発、2発と銃声が夜の街に響き渡る。
「おらぁ! 早く船持ってこいよぉ!」
 泥棒の1人が占拠した倉庫の入り口から外へと向かってハンドガンを乱射している。
「はははっ、あいつらビビッて姿すら見せなくなったな」
 すっかり強気になった泥棒達はどこか別の倉庫からくすねてきたのか、酒瓶を呷りながら大声で笑っていた。
 そんなところに、島の正面から一隻の船が近づいてきた。それに気付いた泥棒達数名が銃を構える。
「おう、何だお前らぁ!」
「何だとはこれまた。見ての通り、要求通り船を持ってきた」
 船の先頭から島へと降りたダリオ・パステリ(ka2363)は両手を上げて敵意はないことを示す。
 泥棒達はまだ警戒を解かないのか、銃口をダリオに向けたまま動かない。
「オヤオヤ。急がなくていいのカナ? 夜が明けたら逃げるのも難しくなるノニ」
 そこで船からもう1人、ここまで船の運転をしていたアルヴィン = オールドリッチ(ka2378)も降りてきた。
 アルヴィンの言う通り、日が昇ってくるにはまだまだ時間があるとはいえ、日が沈んでいるうちにどれだけ遠くに逃げられるかで逃走できる可能性は違ってくるだろう。
「へへっ、そいつはどうも。そんじゃ船から離れて貰おうか! お前らは船を確認してこい」
 ガトリング銃の銃座に着いている泥棒がそう指示を飛ばす。その銃口はダリオとアルヴィンをしっかりと捕らえており、2人のほうも特に抵抗はすることなく船の脇へと移動した。
「いいか? 変な気を起こすんじゃねーぞ?」
 船へとやってきた泥棒は2人。1人はハンドガン、1人はアサルトライフルで武装している。どうやらアサルトライフル持ちの泥棒は見張り役のようで、ダリオとアルヴィンに銃口を向けたまま警戒している。
「んー、そろそろカナ?」
「あん? 何か言ったか?」
 アルヴィンの呟きに泥棒が反応した。アルヴィンは一度目を逸らすが、そーっと手を上げて倉庫の方を指差す。それに釣られるように泥棒は後ろに振り返った。しかし、そこには綺麗な月が昇っているだけで他に怪しいところは見当たらない。
「おい。何も――」
 文句を言おうと泥棒が振り返った瞬間、何か固い物がその肩に押し付けられた。
「騙して悪いネ」
 アルヴィンはにっこりと笑みを浮べると、白い銃身をした大型拳銃の引き金を引いた。放たれた弾丸は泥棒の肩を食い破り、突き抜ける。
「ぐああぁぁぁ!?」
「おい、どうし――がほっ!?」
 泥棒は焼けるような痛みに堪えきれない悲鳴を上げる。
 それを聞きつけた船を確認していた泥棒が顔をだすが、その顔面目掛けてダリオの拳が決まった。ダリオはそのまま泥棒の胸倉を掴んで船から引きずり出し、そして船にランタンを投げ込んだ。
 その事態は倉庫にいる泥棒達も勿論見ていた。
「あの野郎っ! おい、早く撃てっ」
 泥棒の1人がガトリング銃の銃座に着いている男に叫ぶように言う。しかし、その男からは全く反応が返ってこない。
「おい、どうしたんだ……ひっ!?」
 不審に思った泥棒がそちらを見やった。そしてその光景に息を呑む。銃座についている男の首筋を矢が貫いていたのだ。
「て、敵襲だぁ! 近くにいるぞぉ!?」
 男は悲鳴のような叫びを上げると共に、手にしている銃を倉庫の奥の暗闇に向けて引き金を引いた。

●スニーキングミッション
 島の正面に囮の船が着くのと同時刻、島の裏手に小さな船が接岸していた。
「どうやら気付かれていないようでござるな」
 黒い口当てで口元を隠した藤林みほ(ka2804)は立ち並ぶ倉庫を一瞥してそう口にする。
 よく見れば倉庫裏手に2人ほど見張りは立てているようだが、小さいとは言え島の半分をカバーするには死角が多すぎる。
「本来であれば人に刃を向けたくはありませんが……」
 その姿を見てアニス・エリダヌス(ka2491)は少しだけ悩む。彼女にとっては覚醒者の力を生きた人間に向けるとは想定外のことであった。
「思い悩む必要はない。敵は所詮は泥棒狐。民の生活を脅かす悪に変わりはない」
「そうですね。わたし達が最後の砦であるならば……」
 アニスの悩みを、アウレール・V・ブラオラント(ka2531)はそう言って説き伏せる。彼にとっては人であろうと歪虚であろうと、人々に害を為すのであれば違いはないのだ。アニスもそれに納得し、手にした盾を強く握りしめた。
「さて、それではそろそろ行動開始といきたいところでござるが。屋根の上の見張りが邪魔でござるな」
 みほは姿勢を低くしたまま倉庫のほうに目をやる。2人いる見張りの内の1人は屋根の上に登っており、ただ近づけば流石に見つかってしまうだろう。
「それなら早速出番かしらね」
 そう言って一歩前に出たのは赤い装束を身に纏ったステラ・レッドキャップ(ka5434)だった。
 その手に黒い弓身をしたロングボウを取ると、素早く矢を番え、屋根の上に立つ見張りへと狙いをつける。
「当たるかな……っと!」
 僅かに肩の力を抜き、それと同時に放った矢は僅かに弧を描いて飛んで、見事屋根に立つ男の胸元を射抜いた。
 崩れ落ちてその場で倒れた男に、どうやらもう1人の見張りが気付いた様子はない。
「それじゃあもう1人はわたしが頂いてもいいかしら?」
 そこでブラウ(ka4809)が胸元に刀を抱きながら微笑みつつ皆に確認を取る。どこか危険な香りをさせるブラウに気圧されたという訳ではないが、一同はそれに頷いて返した。
 そしてハンター達はそのまま残った見張りに気を配りながら、一気に倉庫へと近づいていく。
 だが倉庫まで近づいたところで、尾形 剛道(ka4612)は賊の立て篭もっている中央の倉庫から視線を横にずらした。
「……匂うな。煙の匂いが向こうにもう1つ、2つだ」
 剛道は見えなくなった代わりに視えるようになった感覚を頼りに、泥棒が数名別の倉庫にいることを感じ取った。事前情報にあった通り、この期に及んで何かを盗もうと物色しているのかもしれない。
「あら、それなら貴方もご一緒する?」
「……いいだろう」
 そこでブラウと剛道は共に別の倉庫の裏口へと向かう。まず狙うのは扉の前に立って背を向けている男からだ。
 月が雲で隠れ始めた時、微かな月光が刀の刃に反射する。
「お間抜けさんね。ああ、それにしてもいい香り……雑魔なんかじゃ味わえない、本物の、至高の香り……あぁ、幸せ……」
 首から上を失った男を一瞥してから、ブラウは刀を顔に寄せると付着した血液から香る芳しい匂いに暫し酔いしれる。
「中に2人だ。いくぞ」
「もう、せっかちね」
 剛道の言葉でこちらに引き戻されたブラウは刀を構え直す。
 一先ず倉庫の中に聞き耳を立てと、確かに男2人分の声が聞こえた。そして都合のいい事に、丁度こちら側の扉へ向かってきているようだった。
 ブラウと剛道は視線を交わして互いに頷くと、裏口の扉を開け放って倉庫内に突入する。
「んっ? おま――」
 泥棒に何かを言わせる前に、剛道の手にした煙管が泥棒の腹を強かに打ちつける。泥棒の体は「く」の字に曲がって浮き上がり、剛道はさらに開いている手でその頭を掴むとそのまま地面へと叩きつけた。
「素直に答えりゃァ開放してやる……手前の仲間は、後何処に居る?」
「ぐ、ああぁ、テメェ……何者、だぁ」
 生意気な泥棒の態度に剛道は地面にめり込ませんとばかりに力を籠める。と、そこで何か生暖かいものがその頬に掛かった。
「あら、ごめんなさい。でも彼が悪いのよ? 本当にするわけない……とでも思ったのかしら」
 泥棒のもう1人を取り押さえたブラウも尋問を行っていたようだが、どうやらそちらの泥棒は何も吐かないまま事切れてしまったようだ。
「貴方もこうなりたい? ……なんて、冗談よ」
 くすりと笑うブラウの言葉は到底信じられるものではなく、僅かにでも命を繋ぐ為に泥棒は自分の仲間を売ることを決意した。

●制圧開始
 ブラウと剛道からの情報により、倉庫内に残っている人数は8人だと分かった。
 そして今、倉庫裏口の真上にある天窓に登ったステラの視界には、正面入り口から外へと向かう2人の泥棒の姿が見えていた。
「あっちもどうやら順調みたいだぞ」
「了解だ。ところでレッドキャップ、何やら口調が雑になっているぞ?」
「いいんだよ。いい加減面倒になってきたからな」
 アウレールの指摘にステラは溜息混じりにそう答える。
「そうか。では気を取り直して、狐狩りを始めよう」
 アウレールの言葉と共に倉庫の裏口の扉が開かれ、そして同時にステラはガトリング砲を構えている男へ向けて矢を放った。
「て、敵襲だぁ! 近くにいるぞぉ!?」
 1人の泥棒の大声が倉庫内に響く。それと同時に他の泥棒達も一斉に銃を構え、あらぬところへ向けて乱射しだした。
「下手な鉄砲なんとやらと言うが、確かにこれは厄介でござる」
 倉庫側面の天窓を開けて中を覗いていたみほは流れ弾を避ける為に一度身を隠し、数発の銃弾が窓の外へと抜けていったタイミングで窓の中へ体を滑り込ませた。
 高さ数メートルの高さから落下する中で、目に入ったハンドガンを構える泥棒に向けて黒塗りの棒手裏剣を投擲する。棒手裏剣は狙ったところを違わず、その額を貫いて泥棒の息の根を止めた。
「くそっ。テメェやりやがったなぁ!」
「おおっと、これはまずいでござるな」
 高く積まれた木箱の上に着地したみほに向けられたのはガトリング銃であった。砲身の回転が始まると同時に何十という鉛の牙が襲い掛かってくる。
 みほは木箱の後ろへ飛びのいて避けると、彼女の立っていた木箱は次の瞬間にはあっという間に無数の木屑へと変えられてしまった。
「狐共の巣穴に殴り込みだ、タリホー!」
 裏口から突入したアウレールは盾を構えつつ倉庫の中央へと進んでいく。
「貴様等ハンターだな! くそっ、ふざけやがって!」
 しかしそこで待ち構えていた泥棒はアウレールの姿を捉えると躊躇いもなく引き金を引いた。
 アウレールの盾が展開する魔導障壁がそれを幾らか防ぐが、全身をカバーすることはできずその手足に被弾してしまう。
 だが、それでもアウレールはその銃火に耐え、その切れ目を狙って泥棒目掛けてナイフを投擲し、見事命中させる。
「アウレールさん、大丈夫ですか? すぐに治療します」
 傷を負ったアウレールに後方に控えていたアニスが近寄り傷口に手を添えると、淡い光が注がれその傷を塞いでいく。
「いや、これしきの傷なんともない」
「それなら良かった。けど、もう少しだけ治療させてくださいね」
 その間に体勢を立て直した泥棒達はありったけの銃弾を倉庫の至る所へばら撒き始める。
「あー勿体ねぇ……弾薬をドブに捨てんじゃねェよ」
 最初の狙撃位置である天窓から掠りもしない弾幕を眺めステラは眉を顰める。
 しかし、どうやら前衛は攻めあぐねているようで、泥棒達も物陰に隠れた所為で自分の位置からは今は狙えそうにない。
 と、そこでステラの視界にあるものが映り、すぐに通信機を手に取って一言だけ告げた。
「来るの遅すぎだろ」
「許せ、その分これから働く」
 通信へ返事を返すと共に、ダリオは積まれたバリケードを飛び越えて倉庫の入り口に立った。そして背を向けてガトリング砲を乱射している男に近寄り、そのままその背に剣を突きたてる。
「まずは1人」
「なっ、くそっ。正面からも来やがったぞ!」
 倉庫内で挟まれる形となった泥棒達は前に後ろにと銃を撃ち続ける。だがそうすれば勿論片側に対する攻撃は少なくなり、その隙を逃すほどハンターは甘くはない。
「糞、死ねぇ!」
「馬鹿かテメェ。そいつはとっくに弾切れだ」
 泥棒が剛道に向けて引き金を引くが、カチンと金属を打ち鳴らす音だけが響き弾丸は発射されない。
 相手の撃った弾数を数えていた剛道は堂々と正面から接近し、そしてその顔に錨という鉄の塊を叩きつけた。
 と、そこで倉庫内で突然爆音が轟き、壁の一部ががらがらと崩れていく。
「おいおい、この中で爆発物を使うなんて正気じゃないな」
 降り注いできた壁の破片を払いながら剛道は近くの荷物の影に隠れる。そこからそっと覗いてみれば、グレネードランチャーを両手で抱えた泥棒が何かを喚きながら周囲を威嚇していた。
「貴方、面白そうなものを持っているのね」
 そこで突然物陰から現れたのはブラウだった。堂々とその身を晒してランチャーを構える男の前に立つ。
「くくっ、何だ。お前、木っ端微塵になりたいってか?」
「貴方にそんなことできるのかしら?」
「出来るさ。今からやってみせるから、そこを動くなよぉ!」
 男は叫ぶと共に引き金を引いた。放たれる40mm擲弾はまっすぐにブラウへと向かう。
 ブラウはそれに対して納刀していた刀を即座に抜刀、横薙ぎに擲弾の側面を捉えた。
 次の瞬間にはブラウは後ろにあった棚に背中から叩きつけられ、そして弾いた擲弾は斜め後ろの壁にぶつかって爆発を起こした。
「まさか、ありえないだろ……」
 その様を見せられた男は驚愕の表情で立ち尽くす。
「1度やってみたかったのよ。こういうの。あとで要練習ね」
 そしていつの間にか接近していたブラウの刀が閃き、手にしていたランチャーと共にその腕が両断され床へと落ちた。
「やあ、キミ。ご機嫌いかがかな?」
「ひいっ!?」
 物陰に隠れていた泥棒は背後からかけられた声に肩を跳ねさせた。手にしているサブマシンガンと共に振り返ると、そこにはまるでピエロのように目の下に涙とハートの紋様を浮べさせた青年、アルヴィンが立っていた。
「どうする? もう残ってるのは君だけみたいだよ?」
 アルヴィンが肩を竦めながらそう言う。確かに先ほどまで五月蝿いほどに鳴っていた銃声は止み、倉庫内は僅かな呻き声しか聞こえてこない。
「そうだな。一応最後の勧告をしてあげよう」
 アルヴィンはにっこりと笑顔を浮べると、両手をぽんと合わせる。するとアルヴィンの影から黒い球体が浮かび上がり、そして泥棒を取り囲むようにして浮遊する。
「降伏すれば命だけは助けてあげるけど、どうする?」
「…………分かった。命だけは、助けてくれ」
 男は銃を降ろし、その場でへたり込むようにして崩れ落ちた。

依頼結果

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MVP一覧

  • 帝国の猟犬
    ダリオ・パステリka2363
  • 背徳の馨香
    ブラウka4809
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップka5434

重体一覧

参加者一覧

  • 帝国の猟犬
    ダリオ・パステリ(ka2363
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • 勝利の女神
    アニス・エリダヌス(ka2491
    エルフ|14才|女性|聖導士
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラント(ka2531
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • くノ一
    藤林みほ(ka2804
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • DESIRE
    尾形 剛道(ka4612
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 背徳の馨香
    ブラウ(ka4809
    ドワーフ|11才|女性|舞刀士
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
藤林みほ(ka2804
人間(リアルブルー)|18才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/09/16 05:29:44
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/09/15 05:18:52