ゲスト
(ka0000)
鉄をも溶かす燃える石
マスター:蒼かなた

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/09 19:00
- 完成日
- 2015/10/15 06:41
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●火を打つ部族
開拓地『ホープ』が大きな傷を負い、その復興が始まって4ヶ月が過ぎた頃。
ようやく大量に散乱した瓦礫も片付き新たな建物の建築や、日常の営みが回復しつつあった。
しかし、やはり復興というものは途方もない労力と資源を使うもので、ホープに蓄えられていた幾つかの物資は枯渇寸前となるものも増えてきた。
ヴァルカン族の族長、ラナは手にした紙束から目の前にあるがらんとした倉庫の中を見渡して頭を掻く。
「木材に石材、それに鉄。これだけ使えばそりゃあ倉庫も空になるよ」
各国からの支援もあるが如何せん辺境という場所が場所だけに輸送には時間が掛かっている。
辺境内で取り戻した資源採掘場も順次再開はしているものの、まだ雑魔被害なども多くて稼働率は然程高くないのが現状だ。
「族長、駄目ですわ。あっちの倉庫はくず石ばっかりです」
別の倉庫を見に行っていたラナの右腕である男、ラッヅは肩を竦めながら報告をする。
元々ラナ率いるヴァルカン族は物作りを生業とする部族だ。今回も部族会議からの要請でホープ復興の手助けをと言われているのだが、正直これではどうしようもない。
火を打ち物を作ると謳われる彼女等をもってしても、その火を熾す材料さえないのであればお手上げだ。
「とりあえず鉱石はレゲンイリスから運ばせるとして……燃料のほうはどうなってる?」
「俺達の自前の分が幾らかありますけど、今来てる注文だけでも半分打つ前に無くなりますね」
今ある分だけではどう考えても無理だとラッヅは首を横に振る。
「節約すれば足りそうだね」
「その代わりに質が落ちますよ?」
「そいつはいけないねぇ。私らのプライドが許さない」
ラナは額に手を当ててやれやれといわんばかりに首を横に振った。
部族会議にせっつくのは勿論だが、どうやら自分達自身も行動しないといけないようだとラナは考えを改める。
「ウロルペスが採れるところは?」
ウロルペスとは別名燃える石、燃石と呼ばれる高温の熱を発する特殊な石だ。強い衝撃を与えると更に温度を上げ、物によっては鉄をも溶かす温度にまで達する。
その性質から冬の暖房器具や、鍛冶に使う燃料として使われることが多い。ただ、その入手難易度からあまり広くは普及していない。
「ここらだと、北東にある火山付近じゃないですかね」
「火山か……あの辺は竜の住処にもなってるから厄介だね」
ラナはそんなことを言いながらも倉庫の扉を閉め、マントを翻して歩き出す。
「とりあえず、ハンター達に呼びかけてみるかね」
ラナは一言そう口にして、その足をホープにあるハンターオフィスへと向けた。
●ハンターオフィス
あくる日、ハンターオフィスにはいつものように多くのハンター達が出入りしていた。
そしてとある採取依頼の為に、何人かのハンター達が1つの会議室に通される。
「皆さん、お集まり頂きありがとうございます」
オフィス職員はひとまず挨拶を済ませると、慣れた様子で端末を叩いてハンター達の目の前にホログラムウィンドウを表示させる。
「今回の依頼はウロルペスという特殊な石を集める依頼です。ただ、この石は取り扱いを誤ると大変危険なので注意が必要です」
その取り扱い上の注意というのが、大きな衝撃を与えないことである。
燃石と呼ばれるこの石は通常であれば摂氏100度前後ほどを保っているが、その衝撃の強さによっては鉄をも溶かすほどに高温になるのだ。
「なので、採取の際は必ずこの専用の手袋を着用してください」
そう言ってハンター達には1対の厚手のグローブのような手袋が渡される。付けてみた感想は一様に『指が動かしにくい』だろう。
それ以外にも燃石を詰め込む為の特殊な金属製の大箱と、それを運ぶ為の馬車が1台貸し出されることになっている。
「また、燃石が採れる火山地帯には昔から竜が住んでいます。今回の採取場所まで降りてくることはないと思いますが十分にご注意ください」
火山に竜、ある意味でぴったりな組み合わせに思えるが実際にその現場に行くとなればそんな暢気なことは言っていられない。
肺が焼けるような熱さの現場、空からの襲撃への警戒に、そして慎重さを求められる採取作業。
ちょっとした大仕事になりそうだとハンター達は気合を入れなおす。
「ホープ復興の為にも、沢山集めてきてくださいね」
開拓地『ホープ』が大きな傷を負い、その復興が始まって4ヶ月が過ぎた頃。
ようやく大量に散乱した瓦礫も片付き新たな建物の建築や、日常の営みが回復しつつあった。
しかし、やはり復興というものは途方もない労力と資源を使うもので、ホープに蓄えられていた幾つかの物資は枯渇寸前となるものも増えてきた。
ヴァルカン族の族長、ラナは手にした紙束から目の前にあるがらんとした倉庫の中を見渡して頭を掻く。
「木材に石材、それに鉄。これだけ使えばそりゃあ倉庫も空になるよ」
各国からの支援もあるが如何せん辺境という場所が場所だけに輸送には時間が掛かっている。
辺境内で取り戻した資源採掘場も順次再開はしているものの、まだ雑魔被害なども多くて稼働率は然程高くないのが現状だ。
「族長、駄目ですわ。あっちの倉庫はくず石ばっかりです」
別の倉庫を見に行っていたラナの右腕である男、ラッヅは肩を竦めながら報告をする。
元々ラナ率いるヴァルカン族は物作りを生業とする部族だ。今回も部族会議からの要請でホープ復興の手助けをと言われているのだが、正直これではどうしようもない。
火を打ち物を作ると謳われる彼女等をもってしても、その火を熾す材料さえないのであればお手上げだ。
「とりあえず鉱石はレゲンイリスから運ばせるとして……燃料のほうはどうなってる?」
「俺達の自前の分が幾らかありますけど、今来てる注文だけでも半分打つ前に無くなりますね」
今ある分だけではどう考えても無理だとラッヅは首を横に振る。
「節約すれば足りそうだね」
「その代わりに質が落ちますよ?」
「そいつはいけないねぇ。私らのプライドが許さない」
ラナは額に手を当ててやれやれといわんばかりに首を横に振った。
部族会議にせっつくのは勿論だが、どうやら自分達自身も行動しないといけないようだとラナは考えを改める。
「ウロルペスが採れるところは?」
ウロルペスとは別名燃える石、燃石と呼ばれる高温の熱を発する特殊な石だ。強い衝撃を与えると更に温度を上げ、物によっては鉄をも溶かす温度にまで達する。
その性質から冬の暖房器具や、鍛冶に使う燃料として使われることが多い。ただ、その入手難易度からあまり広くは普及していない。
「ここらだと、北東にある火山付近じゃないですかね」
「火山か……あの辺は竜の住処にもなってるから厄介だね」
ラナはそんなことを言いながらも倉庫の扉を閉め、マントを翻して歩き出す。
「とりあえず、ハンター達に呼びかけてみるかね」
ラナは一言そう口にして、その足をホープにあるハンターオフィスへと向けた。
●ハンターオフィス
あくる日、ハンターオフィスにはいつものように多くのハンター達が出入りしていた。
そしてとある採取依頼の為に、何人かのハンター達が1つの会議室に通される。
「皆さん、お集まり頂きありがとうございます」
オフィス職員はひとまず挨拶を済ませると、慣れた様子で端末を叩いてハンター達の目の前にホログラムウィンドウを表示させる。
「今回の依頼はウロルペスという特殊な石を集める依頼です。ただ、この石は取り扱いを誤ると大変危険なので注意が必要です」
その取り扱い上の注意というのが、大きな衝撃を与えないことである。
燃石と呼ばれるこの石は通常であれば摂氏100度前後ほどを保っているが、その衝撃の強さによっては鉄をも溶かすほどに高温になるのだ。
「なので、採取の際は必ずこの専用の手袋を着用してください」
そう言ってハンター達には1対の厚手のグローブのような手袋が渡される。付けてみた感想は一様に『指が動かしにくい』だろう。
それ以外にも燃石を詰め込む為の特殊な金属製の大箱と、それを運ぶ為の馬車が1台貸し出されることになっている。
「また、燃石が採れる火山地帯には昔から竜が住んでいます。今回の採取場所まで降りてくることはないと思いますが十分にご注意ください」
火山に竜、ある意味でぴったりな組み合わせに思えるが実際にその現場に行くとなればそんな暢気なことは言っていられない。
肺が焼けるような熱さの現場、空からの襲撃への警戒に、そして慎重さを求められる採取作業。
ちょっとした大仕事になりそうだとハンター達は気合を入れなおす。
「ホープ復興の為にも、沢山集めてきてくださいね」
リプレイ本文
●荒れ果てた道を行く
開拓地『ホープ』から辺境の北東部へと向けて1台の馬車と2匹の馬が進んでいく。
「寒いな」
ポツリと呟きながらアーヴィン(ka3383)は口元から白い息を吐き出した。
手綱を握る手が僅かにかじかむ。冬はまだ先だと思っていたが、辺境の地では随分と早く訪れるもののようだ。
「冬の辺境は始めてかい?」
並走する馬車の御者を務めているラナがそう問いかけてきた。
「いや。だが、こう寒いと酒が飲みたくなる……そうだ、この仕事が終わったらお近づきに一杯どうだ?」
アーヴィンはそう言って横顔から切れ長な瞳でラナへと視線を送る。
するとラナはニヤリと笑ったかと思うと、懐に手を入れるとそこから何か取り出してアーヴィンに向けて放ってきた。
アーヴィンが飛んできたそれを掴むと、それは茶色い革を巻いたスキットルだった。
「辺境の必需品だよ。飲もうと思った時が飲み時だからね」
「これから仕事って時でもか?」
「何だ。一口で酔っちまうくらいの下戸だったのかい?」
ラナの挑発的な笑みにアーヴィンは1つ肩を竦めると、スキットルの蓋を開けてぐぃっとそれを呷った。喉の焼ける感覚と共に、ほろ苦さと濃厚な旨味が口の中に広がっていく。
「ところでラナ。ウロルペスについて詳しく訊いてもいいか?」
そこで馬車の荷台から青霧 ノゾミ(ka4377)が顔を出した。
「勿論さ。何が聞きたいんだい?」
「ああ、やはり一番は良い火山岩の見分け方だな。どこにウロルペスが埋まっているのか見分ける方法があれば一番なんだが」
ウロルペスについては一通り聞いているが、やはり玄人の知るコツというものは聞いておきたいものだ。
「そうだね。ポイントは2つあるよ。まず1つ目は知っての通りウロルペスは熱を持ってる。だからそれを感じるのが一番だろうね」
ラナは指を一本立ててそう答える。とは言っても、今から向かう火山地帯は麓とは言ってもかなり気温が高い場所だ。その違いを感じ取るには鋭い感覚が求められるだろう。
「なるほどな。それでもう1つは?」
「こっちは経験則だけど。1つ見つけたらその周囲1m内にもう1個あるってことはまずないね」
ウロルペスという石は火のマテリアルが凝縮して出来たものだと言われている。
その生成の過程がどんなものかはまだ分かっていないが、どうやら周囲のマテリアルが一点に集中することで生み出されているらしく、その所為もあってか1箇所につき1個しかウロルペスは出てこないのだそうだ。
「それってつまり、広範囲を手当たり次第に掘れってことですか? とんでもなく重労働になりそうです」
話を聞いていたステラ・レッドキャップ(ka5434)はこれからの仕事の内容を想像してややげんなりした様子で溜息を吐いた。
「なに、歪虚共を退治する仕事よりは幾分か楽さ。命を張る必要はないからね」
「いえ、もしかすると歪虚を相手にするほうがマシだったかもしれません」
そう言ってラナは笑う。ステラは赤い頭巾越しに自分の髪をくしゃっと撫で再度溜息を吐いた。
一方で、馬車の荷台の後方では流れる景色を眺めながら檜ケ谷 樹(ka5040)は既に見えなくなっているホープのことを思っていた。
「ホープの復興の為かぁ。あの時は前線にでててばっかりだったし、少しぐらいは貢献しておかないとな」
数ヶ月前の辺境での戦い。そこでホープが歪虚に蹂躙されボロボロにされてしまった頃の事を思い出す。
リアルブルーにいた頃でも戦火に曝された街や村の写真を見る機会はあったが、まさか実際にこの目で間近で見ることになるとは思っていなかった。
「ハハッ、どうした。辛気臭い面をしてるな!」
そこで樹の肩を叩いたのは思わず見上げてしまうような大男。その額に角を携えた鬼、万歳丸(ka5665)であった。
「ああ、いや、ホープの復興のことを考えてただけというか。どこも大変だなぁって」
威圧感の半端ない万歳丸に樹は叩かれた肩に痛みを覚えながらも努めて冷静に、とりあえず思ったことを口にした。
「復興、ね。どこも似たようなモンだな。こっちに来る前に立ち寄った東方の連邦国もそりゃあ酷いもんだったしな」
顎下を親指で擦りながら万歳丸は1つ唸る。
復興という言葉は何も辺境の地に限って使われている言葉ではない。大小に関わらず、復興を行っていない国は今このクリムゾンウェストの世界には存在しないだろう。
「壊れたならまた作り直せばいいとは言うけど……いざ復興に関わってみると分かる。ホント大変な作業だよね」
「そりゃあそうだ。だからこそ、この俺が手を尽くさねェ《道理》もねェわけだ」
万歳丸は胸を張りながら呵呵と笑う。彼の言う『道理』というのが何なのかは分からないが、復興という人助けをすることにしっかりと意味を見出しているのだろう。
その暑苦しいくらいに真っ直ぐなところを少し羨ましく思いつつ、樹はもう一度遥か遠くのホープへと視線を向けた。
馬車を進めて幾許か。遠くに煙を噴く山が見えてきた。
「あれが目的地の火山地帯さ。どうやら今でも熱々に煮え滾ってるみたいだね」
ラナの言葉に、馬車の中にいたハンター達も幌から顔を覗かせてその山を見上げる。
「へえ、あれがドラゴンが住むっていう山か。話せるヤツなら会ってみたいぜ」
「止めときな。人に友好的な竜なんて滅多にいないからね」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)はまだ見ぬこの世界の生き物に興味津々だが、ラナはすぐに釘を刺す。
「まっ、そもそも竜ってのは滅多に人の活動圏には姿を現さないからね。言葉通り、住む世界が違うのさ」
「なんだ、つまんねーな。だけど姿を見せる奴はいるんだろう? ほら、ワイバーンとかさ」
レイオスは額に手を当て、山の上へと視線を向ける。何か飛んでいるようにも見えるが、それがもしかしたらワイバーンなのかもしれない。
「やれやれ、今回の仕事を忘れないでおくれよ?」
「ははっ、分かってるさ。待ってろよ、ドラゴンステーキ!」
明らかに目的が依頼内容と食い違っているが、ラナはそれ以上何も言わずに他のハンター達へと視線を向けた。
「けど、ラナさん。本当に襲われた時はどうしましょうか?」
その体躯は立派なものだがまだ年若さを残した顔をした青年、テノール(ka5676)がラナに問いかけた。
「さて。確かおまえはテノールって言ったね。テノール、ワイバーンが怖いかい?」
「怖いかと言われると、どうでしょう。強敵だとは思いますけど、臆する気はありません」
返ってきた問いかけにテノールは思ったことをそのまま返した。その返事にラナはニィっと笑みを浮べる。
「それならやることは決まっているだろう? しっかり守って頂戴」
「はい。ラナさんの護衛は任せてください」
力強く頷いて応えたテノールに、ラナは一瞬きょとんとした顔をすると笑いながら手を横に振る。
「いや、守るのは私じゃなくてウルロペスのほうさ」
「あっ、はい。そうでしたね」
ちょっとした勘違いではあったが慌てるテノールの様子がツボに入ったのかラナはやや前屈みになって笑いを堪えようとして、そして失敗する。
そんな様子を馬車の後ろから眺めていたバリトン(ka5112)はやれやれと肩をすくめる。
親友のひ孫がからかわれる様子を情けないと言うにはまだ少し厳しいだろうか。同年代だとしてもハンターになりたての青年と1つの部族を率いる族長とでは分が悪いだろう。
それよりも、火山地帯に近づいたおかげか随分と気温が上がってきたように思える。気付けば羽織っている防寒用のコートは脱いでしまっていた。
「ふーむ、燃える石か。現物を早く見たいな」
武器に使うのもいいかもしれない。銃や大砲の弾に使うのもいいだろう。何にしろ、ウロルペスという石を使った武器が1つ欲しいとバリトンは考えを巡らせていく。
そんな湧いて出る興味を押さえながら、バリトンは皺だらけの顔の皺を更に深くさせた。
●高熱の火山地帯
火山の麓にて馬車を留めたハンター達一行。
目の前に聳える火山以外は周囲には何もない荒野となっており、草木が一本も生えている様子もなく、動物の影すら1つも見えない。
それもそのはずだ。ここはとてつもなく熱く、そして酷く乾燥している。ハンター達の肌には既に玉の様な汗が吹き出てきていた。
「ふざけた気温だな……会話するだけで喉が焼けそうだぜ」
ステラは思わず素が出てそう呟きながら手で顔を扇ぐ。だがそれで生まれる風はここの熱された空気だということには変わりなく、つまり余計に暑くなるだけだった。
「これは早いところ仕事を済ませたほうがいいな。干物になるのは御免だ」
樹は着ていたジャケットを脱いで馬車の中に放り込むと、早速採掘用のグローブとピッケルを手にして地面が火山岩となっている場所へと向かう。
「それで、どの辺を掘ればいいんだ?」
「勘だね。感覚が鋭い奴なら温度の違いを感じられるかもしれない……ねっ!」
樹の言葉に返事を返している間にラナは両手で持ったピッケルを黒い岩肌の壁へと振り下ろしていた。小気味良い音と共に火山岩は砕け、小さな破片が地面へと散らばる。
それを2回、3回と続けていると、ラナは一度手を止めて今度は小さいピッケルで岩の一部を円を描くようにして砕き始める。
そして数分もしない内にそれが姿を現した。
「ほら、見つけたよ。これがウロルペスさ」
ラナが厚手のグローブを装着して岩肌から剥ぎ取ったのは一見するとただの赤黒い色をした石に見えた。ラナはそのウロルペス自体に衝撃を与えないように張り付いている周囲の岩を除去し、グローブの指先で表面を軽く拭って見せる。
するとその表面はガラスのような光沢を見せ、覗き込む人の瞳をそのままに映して見せた。
「なるほど。周囲の火山岩とも色が違うし、表面が露出すれば見分けるのは簡単そうだな」
「そういうことさ。さあ、掘った掘った。そうしないと始まらないからね!」
ラナの掛け声と共に、ハンター達は一斉に周囲の岩肌へとピッケルと打ち下ろし始める。火山岩はそこそこの硬さがあるが、ハンターであれば未覚醒の状態でも掘るのは難しくはなかった。
しかし、初めは殆ど勘頼りということもあってハズレの連続であった。掘れども掘れども、崩れ落ちるのは黒い火山岩のみである。
そして何よりハンター達を苦しめたのはその環境であった。
「きっつぅ。想像以上にハードだぞ。話に聞く真夏の鍛冶場並じゃないのか?」
レイオスは額の汗を拭うが、拭った傍からまた滴るほどの汗がでてくる。
汗が出ている内はまだセーフ、出なくなったら危険のサインだ。速やかに水分補給をしなくてはならない。
「レイオスさん、お疲れ様です。お水どうぞ」
「ああ、サンキュー」
テノールはペットボトルをレイオスに手渡した。レイオスは蓋を開けるとぐびぐびと喉を鳴らし、あっという間に飲み干してしまう。
「っと、飲み干しちまった」
「大丈夫ですよ。水はノゾミさんが沢山用意しておいてくれましたから」
テノールが視線を向ければ、そこではピッケルを肩に担いだまま水を飲むノゾミの姿があった。
ウロルペスの収納用ボックスを保冷庫代わりに水を持っていくように提案したのは彼だ。そしてその対策は本人が思った以上に他のハンター達の助けになっていた。
「それじゃあ水が切れる前に、さっさと掘り当てるとするかなっ!」
レイオスは口元を拭うとピッケルを持ち直し、岩壁目掛けて思いっきり振り下ろした。
時間にしたら2時間ほどだろうか。せっせと掘り進めるハンター達も何となくだが要領が掴めてきたようで、ぽろぽろとウロルペスが見つかり始めてきた。
「箱に綺麗に収めるっていうのも、意外と大変です」
ステラは掘り出されたウロルペスを収納用ボックスに収めるべく、余分な岩を慎重に砕いて形を整える作業に従事していた。
何せ本体に衝撃を与えたら高熱を発するのだ。ただでさえ近くにあるだけでじりじりと燻されている気分になるのだから、これ以上の気温上昇は御免である。
「もう少し小さく砕けたらいいんですけど……ラナさん、ウロルペス自体を加工することは出来ないんです?」
「うん? 勿論その方法はあるよ。けどそれには水属性の道具が必要なのさ」
勿論今回はそんな道具は持ってきていない。それに加工時も危険であることに変わりはないらしく、そういうのは専門家に任せなとラナは言う。
と、そこで傍にいたテノールの無線機が音を発した。
『どうやら空飛ぶトカゲがこっちに気付いたようじゃ』
声の主は周囲の偵察をしているバリトンのモノだ。
ハンター達が採掘を止めて空を見ると、バリトンの言葉を証明するかのように山の頂付近からこちらに向かってくる影が見える。
「何だァ! 折角調子が出てきたっていうのに蜥蜴公め!」
万歳丸は運んできた収納用ボックスを地面に置くと憎らしげに空を見上げる。
ばさりと、地面に熱風を巻き起こしながらワイバーンはハンター達の前にその姿を現した。
「デカくて食いでがありそうだぜ。行くぞっ!」
真っ先に射掛けたのはレイオスだ。その目は完全に獲物を狙う目になっていたが、本来の仕事は忘れていなかったようで皆がいる採掘場所から離れたところから弓を引き絞り、矢を放つ。
「守る女が1人でもいれば、戦うのに理由はいらないな」
それに合わせるかのようにアーヴィンもその小ぶりな弓から次々に矢を放っていく。
その攻撃をまるで想定していなかったのか、ワイバーンは手痛い先手を打たれた為か翼をはためかせてさらに上空へと逃げていく。
「何だ。もう逃げるのか?」
「ありゃ単に様子見にきたら思わぬ攻撃を受けたって感じだね」
ラナの言葉通りなのか、ワイバーンは攻撃の届かない上空で旋回するものの降りてくる様子はない。
「敵対した以上、仕留めるつもりだったのですけど……」
「その元気があるならお前さんもこっちを手伝いな」
構えた腕を下ろすべきか悩むテノールにラナはピッケルを放り投げた。
「さあ、珍客が戻ってくる前に掘った掘った!」
ラナのその一声を受けて、ハンター達は武器を降ろして再びピッケルに持ち返るのだった。
●報告書
ウロルペス採取依頼
・結果
3箱分のウロルペスの採取に成功。少なくともあと数ヶ月は燃料には困ることはなくなった。
途中ワイバーンが数匹上空に集まりだしたので依頼主ラナの判断により撤収となる。
・評価
目標量以上のウロルペスを確保。まずまずの出来である。
本依頼に参加したハンターには心からの感謝を送る。
・今後
ホープ復興の本格化により、また足りない物資が出ると思われる。
早い段階での補給を目指し、必要であればハンターオフィスへの依頼として募集する。
その時には是非ハンター諸君に協力をお願いしたい。
開拓地『ホープ』から辺境の北東部へと向けて1台の馬車と2匹の馬が進んでいく。
「寒いな」
ポツリと呟きながらアーヴィン(ka3383)は口元から白い息を吐き出した。
手綱を握る手が僅かにかじかむ。冬はまだ先だと思っていたが、辺境の地では随分と早く訪れるもののようだ。
「冬の辺境は始めてかい?」
並走する馬車の御者を務めているラナがそう問いかけてきた。
「いや。だが、こう寒いと酒が飲みたくなる……そうだ、この仕事が終わったらお近づきに一杯どうだ?」
アーヴィンはそう言って横顔から切れ長な瞳でラナへと視線を送る。
するとラナはニヤリと笑ったかと思うと、懐に手を入れるとそこから何か取り出してアーヴィンに向けて放ってきた。
アーヴィンが飛んできたそれを掴むと、それは茶色い革を巻いたスキットルだった。
「辺境の必需品だよ。飲もうと思った時が飲み時だからね」
「これから仕事って時でもか?」
「何だ。一口で酔っちまうくらいの下戸だったのかい?」
ラナの挑発的な笑みにアーヴィンは1つ肩を竦めると、スキットルの蓋を開けてぐぃっとそれを呷った。喉の焼ける感覚と共に、ほろ苦さと濃厚な旨味が口の中に広がっていく。
「ところでラナ。ウロルペスについて詳しく訊いてもいいか?」
そこで馬車の荷台から青霧 ノゾミ(ka4377)が顔を出した。
「勿論さ。何が聞きたいんだい?」
「ああ、やはり一番は良い火山岩の見分け方だな。どこにウロルペスが埋まっているのか見分ける方法があれば一番なんだが」
ウロルペスについては一通り聞いているが、やはり玄人の知るコツというものは聞いておきたいものだ。
「そうだね。ポイントは2つあるよ。まず1つ目は知っての通りウロルペスは熱を持ってる。だからそれを感じるのが一番だろうね」
ラナは指を一本立ててそう答える。とは言っても、今から向かう火山地帯は麓とは言ってもかなり気温が高い場所だ。その違いを感じ取るには鋭い感覚が求められるだろう。
「なるほどな。それでもう1つは?」
「こっちは経験則だけど。1つ見つけたらその周囲1m内にもう1個あるってことはまずないね」
ウロルペスという石は火のマテリアルが凝縮して出来たものだと言われている。
その生成の過程がどんなものかはまだ分かっていないが、どうやら周囲のマテリアルが一点に集中することで生み出されているらしく、その所為もあってか1箇所につき1個しかウロルペスは出てこないのだそうだ。
「それってつまり、広範囲を手当たり次第に掘れってことですか? とんでもなく重労働になりそうです」
話を聞いていたステラ・レッドキャップ(ka5434)はこれからの仕事の内容を想像してややげんなりした様子で溜息を吐いた。
「なに、歪虚共を退治する仕事よりは幾分か楽さ。命を張る必要はないからね」
「いえ、もしかすると歪虚を相手にするほうがマシだったかもしれません」
そう言ってラナは笑う。ステラは赤い頭巾越しに自分の髪をくしゃっと撫で再度溜息を吐いた。
一方で、馬車の荷台の後方では流れる景色を眺めながら檜ケ谷 樹(ka5040)は既に見えなくなっているホープのことを思っていた。
「ホープの復興の為かぁ。あの時は前線にでててばっかりだったし、少しぐらいは貢献しておかないとな」
数ヶ月前の辺境での戦い。そこでホープが歪虚に蹂躙されボロボロにされてしまった頃の事を思い出す。
リアルブルーにいた頃でも戦火に曝された街や村の写真を見る機会はあったが、まさか実際にこの目で間近で見ることになるとは思っていなかった。
「ハハッ、どうした。辛気臭い面をしてるな!」
そこで樹の肩を叩いたのは思わず見上げてしまうような大男。その額に角を携えた鬼、万歳丸(ka5665)であった。
「ああ、いや、ホープの復興のことを考えてただけというか。どこも大変だなぁって」
威圧感の半端ない万歳丸に樹は叩かれた肩に痛みを覚えながらも努めて冷静に、とりあえず思ったことを口にした。
「復興、ね。どこも似たようなモンだな。こっちに来る前に立ち寄った東方の連邦国もそりゃあ酷いもんだったしな」
顎下を親指で擦りながら万歳丸は1つ唸る。
復興という言葉は何も辺境の地に限って使われている言葉ではない。大小に関わらず、復興を行っていない国は今このクリムゾンウェストの世界には存在しないだろう。
「壊れたならまた作り直せばいいとは言うけど……いざ復興に関わってみると分かる。ホント大変な作業だよね」
「そりゃあそうだ。だからこそ、この俺が手を尽くさねェ《道理》もねェわけだ」
万歳丸は胸を張りながら呵呵と笑う。彼の言う『道理』というのが何なのかは分からないが、復興という人助けをすることにしっかりと意味を見出しているのだろう。
その暑苦しいくらいに真っ直ぐなところを少し羨ましく思いつつ、樹はもう一度遥か遠くのホープへと視線を向けた。
馬車を進めて幾許か。遠くに煙を噴く山が見えてきた。
「あれが目的地の火山地帯さ。どうやら今でも熱々に煮え滾ってるみたいだね」
ラナの言葉に、馬車の中にいたハンター達も幌から顔を覗かせてその山を見上げる。
「へえ、あれがドラゴンが住むっていう山か。話せるヤツなら会ってみたいぜ」
「止めときな。人に友好的な竜なんて滅多にいないからね」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)はまだ見ぬこの世界の生き物に興味津々だが、ラナはすぐに釘を刺す。
「まっ、そもそも竜ってのは滅多に人の活動圏には姿を現さないからね。言葉通り、住む世界が違うのさ」
「なんだ、つまんねーな。だけど姿を見せる奴はいるんだろう? ほら、ワイバーンとかさ」
レイオスは額に手を当て、山の上へと視線を向ける。何か飛んでいるようにも見えるが、それがもしかしたらワイバーンなのかもしれない。
「やれやれ、今回の仕事を忘れないでおくれよ?」
「ははっ、分かってるさ。待ってろよ、ドラゴンステーキ!」
明らかに目的が依頼内容と食い違っているが、ラナはそれ以上何も言わずに他のハンター達へと視線を向けた。
「けど、ラナさん。本当に襲われた時はどうしましょうか?」
その体躯は立派なものだがまだ年若さを残した顔をした青年、テノール(ka5676)がラナに問いかけた。
「さて。確かおまえはテノールって言ったね。テノール、ワイバーンが怖いかい?」
「怖いかと言われると、どうでしょう。強敵だとは思いますけど、臆する気はありません」
返ってきた問いかけにテノールは思ったことをそのまま返した。その返事にラナはニィっと笑みを浮べる。
「それならやることは決まっているだろう? しっかり守って頂戴」
「はい。ラナさんの護衛は任せてください」
力強く頷いて応えたテノールに、ラナは一瞬きょとんとした顔をすると笑いながら手を横に振る。
「いや、守るのは私じゃなくてウルロペスのほうさ」
「あっ、はい。そうでしたね」
ちょっとした勘違いではあったが慌てるテノールの様子がツボに入ったのかラナはやや前屈みになって笑いを堪えようとして、そして失敗する。
そんな様子を馬車の後ろから眺めていたバリトン(ka5112)はやれやれと肩をすくめる。
親友のひ孫がからかわれる様子を情けないと言うにはまだ少し厳しいだろうか。同年代だとしてもハンターになりたての青年と1つの部族を率いる族長とでは分が悪いだろう。
それよりも、火山地帯に近づいたおかげか随分と気温が上がってきたように思える。気付けば羽織っている防寒用のコートは脱いでしまっていた。
「ふーむ、燃える石か。現物を早く見たいな」
武器に使うのもいいかもしれない。銃や大砲の弾に使うのもいいだろう。何にしろ、ウロルペスという石を使った武器が1つ欲しいとバリトンは考えを巡らせていく。
そんな湧いて出る興味を押さえながら、バリトンは皺だらけの顔の皺を更に深くさせた。
●高熱の火山地帯
火山の麓にて馬車を留めたハンター達一行。
目の前に聳える火山以外は周囲には何もない荒野となっており、草木が一本も生えている様子もなく、動物の影すら1つも見えない。
それもそのはずだ。ここはとてつもなく熱く、そして酷く乾燥している。ハンター達の肌には既に玉の様な汗が吹き出てきていた。
「ふざけた気温だな……会話するだけで喉が焼けそうだぜ」
ステラは思わず素が出てそう呟きながら手で顔を扇ぐ。だがそれで生まれる風はここの熱された空気だということには変わりなく、つまり余計に暑くなるだけだった。
「これは早いところ仕事を済ませたほうがいいな。干物になるのは御免だ」
樹は着ていたジャケットを脱いで馬車の中に放り込むと、早速採掘用のグローブとピッケルを手にして地面が火山岩となっている場所へと向かう。
「それで、どの辺を掘ればいいんだ?」
「勘だね。感覚が鋭い奴なら温度の違いを感じられるかもしれない……ねっ!」
樹の言葉に返事を返している間にラナは両手で持ったピッケルを黒い岩肌の壁へと振り下ろしていた。小気味良い音と共に火山岩は砕け、小さな破片が地面へと散らばる。
それを2回、3回と続けていると、ラナは一度手を止めて今度は小さいピッケルで岩の一部を円を描くようにして砕き始める。
そして数分もしない内にそれが姿を現した。
「ほら、見つけたよ。これがウロルペスさ」
ラナが厚手のグローブを装着して岩肌から剥ぎ取ったのは一見するとただの赤黒い色をした石に見えた。ラナはそのウロルペス自体に衝撃を与えないように張り付いている周囲の岩を除去し、グローブの指先で表面を軽く拭って見せる。
するとその表面はガラスのような光沢を見せ、覗き込む人の瞳をそのままに映して見せた。
「なるほど。周囲の火山岩とも色が違うし、表面が露出すれば見分けるのは簡単そうだな」
「そういうことさ。さあ、掘った掘った。そうしないと始まらないからね!」
ラナの掛け声と共に、ハンター達は一斉に周囲の岩肌へとピッケルと打ち下ろし始める。火山岩はそこそこの硬さがあるが、ハンターであれば未覚醒の状態でも掘るのは難しくはなかった。
しかし、初めは殆ど勘頼りということもあってハズレの連続であった。掘れども掘れども、崩れ落ちるのは黒い火山岩のみである。
そして何よりハンター達を苦しめたのはその環境であった。
「きっつぅ。想像以上にハードだぞ。話に聞く真夏の鍛冶場並じゃないのか?」
レイオスは額の汗を拭うが、拭った傍からまた滴るほどの汗がでてくる。
汗が出ている内はまだセーフ、出なくなったら危険のサインだ。速やかに水分補給をしなくてはならない。
「レイオスさん、お疲れ様です。お水どうぞ」
「ああ、サンキュー」
テノールはペットボトルをレイオスに手渡した。レイオスは蓋を開けるとぐびぐびと喉を鳴らし、あっという間に飲み干してしまう。
「っと、飲み干しちまった」
「大丈夫ですよ。水はノゾミさんが沢山用意しておいてくれましたから」
テノールが視線を向ければ、そこではピッケルを肩に担いだまま水を飲むノゾミの姿があった。
ウロルペスの収納用ボックスを保冷庫代わりに水を持っていくように提案したのは彼だ。そしてその対策は本人が思った以上に他のハンター達の助けになっていた。
「それじゃあ水が切れる前に、さっさと掘り当てるとするかなっ!」
レイオスは口元を拭うとピッケルを持ち直し、岩壁目掛けて思いっきり振り下ろした。
時間にしたら2時間ほどだろうか。せっせと掘り進めるハンター達も何となくだが要領が掴めてきたようで、ぽろぽろとウロルペスが見つかり始めてきた。
「箱に綺麗に収めるっていうのも、意外と大変です」
ステラは掘り出されたウロルペスを収納用ボックスに収めるべく、余分な岩を慎重に砕いて形を整える作業に従事していた。
何せ本体に衝撃を与えたら高熱を発するのだ。ただでさえ近くにあるだけでじりじりと燻されている気分になるのだから、これ以上の気温上昇は御免である。
「もう少し小さく砕けたらいいんですけど……ラナさん、ウロルペス自体を加工することは出来ないんです?」
「うん? 勿論その方法はあるよ。けどそれには水属性の道具が必要なのさ」
勿論今回はそんな道具は持ってきていない。それに加工時も危険であることに変わりはないらしく、そういうのは専門家に任せなとラナは言う。
と、そこで傍にいたテノールの無線機が音を発した。
『どうやら空飛ぶトカゲがこっちに気付いたようじゃ』
声の主は周囲の偵察をしているバリトンのモノだ。
ハンター達が採掘を止めて空を見ると、バリトンの言葉を証明するかのように山の頂付近からこちらに向かってくる影が見える。
「何だァ! 折角調子が出てきたっていうのに蜥蜴公め!」
万歳丸は運んできた収納用ボックスを地面に置くと憎らしげに空を見上げる。
ばさりと、地面に熱風を巻き起こしながらワイバーンはハンター達の前にその姿を現した。
「デカくて食いでがありそうだぜ。行くぞっ!」
真っ先に射掛けたのはレイオスだ。その目は完全に獲物を狙う目になっていたが、本来の仕事は忘れていなかったようで皆がいる採掘場所から離れたところから弓を引き絞り、矢を放つ。
「守る女が1人でもいれば、戦うのに理由はいらないな」
それに合わせるかのようにアーヴィンもその小ぶりな弓から次々に矢を放っていく。
その攻撃をまるで想定していなかったのか、ワイバーンは手痛い先手を打たれた為か翼をはためかせてさらに上空へと逃げていく。
「何だ。もう逃げるのか?」
「ありゃ単に様子見にきたら思わぬ攻撃を受けたって感じだね」
ラナの言葉通りなのか、ワイバーンは攻撃の届かない上空で旋回するものの降りてくる様子はない。
「敵対した以上、仕留めるつもりだったのですけど……」
「その元気があるならお前さんもこっちを手伝いな」
構えた腕を下ろすべきか悩むテノールにラナはピッケルを放り投げた。
「さあ、珍客が戻ってくる前に掘った掘った!」
ラナのその一声を受けて、ハンター達は武器を降ろして再びピッケルに持ち返るのだった。
●報告書
ウロルペス採取依頼
・結果
3箱分のウロルペスの採取に成功。少なくともあと数ヶ月は燃料には困ることはなくなった。
途中ワイバーンが数匹上空に集まりだしたので依頼主ラナの判断により撤収となる。
・評価
目標量以上のウロルペスを確保。まずまずの出来である。
本依頼に参加したハンターには心からの感謝を送る。
・今後
ホープ復興の本格化により、また足りない物資が出ると思われる。
早い段階での補給を目指し、必要であればハンターオフィスへの依頼として募集する。
その時には是非ハンター諸君に協力をお願いしたい。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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面白かった! | 4人 |
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依頼相談掲示板 | |||
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相談掲示板 アーヴィン(ka3383) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/10/09 18:48:23 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/09 09:53:34 |