魔鷹~ルモーレのざわめき

マスター:深夜真世

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/02 19:00
完成日
2016/05/16 18:19

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

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オープニング

●フラの回想
 フラ・キャンディ(kz0121)は戦闘中に足を挫いて仲間の少年に背負われていた。
「敵の骸骨は生前、名のある盗賊団だったのですよね? 統率も取れてたでしょうから……」
 和装に身を包んだ少女がフラの横から話し掛けてくる。「弔う間もありませんでしたが」と残念そうな様子も見せる。
「とにかく、聞こえた風切り音の方に行ってみますよぅ」
「フラさん、辛くなったら教えてくださいね」
 フラを背負う少年、皆が気にしていた音のした方へ走る。寄り添う大人びた女性が優しく耳元に囁く。
「骨を投げたり口笛みたいに呼ばれると戻る……ますます犬の躾ねー」
「その一貫したこだわり、敵わないなぁ」
 一緒に走る脱力系少女の言葉に、爽やかな可愛い系少年の評。とくに敵いたいわけでもなさそうだが。
「こだわるのは前にもいるけどね」
 やれやれ、と横から落ち着いた娘が小さな顎を前にしゃくる。
「あはは。龍の鳴き声だと楽しいよね」
「この目でしっかり正体を拝んじゃいます!」
 陽気な青年と明るい娘が先頭を切っている。
 その足が、緩やかに止まった。
「ジルボの隠れていた場所が……」
「前は畑とかあったよねぇ?」
「ここが犬小屋ならぬ骨小屋ってわけね」
「しっ。隠れて。僕が超感覚で探ってみる」
 爽やか少年、耳を澄ます。
「空からも探っちゃいます」
 明るい娘は式符を飛ばす。
 ここで、丸太を巡らせた塀の上にある櫓に陶器のような肌をした細身の男が現れた。手にしたロープを頭上で振り回し、先に括りつけた頭蓋骨でひゅぅぅん、などと音をさせる。
「ち、戻って来ねえ……客でも来たか」
 細身の男は舌打ちしたが、むしろ楽しそうにした。
 そしてロープを手放し叫ぶ。ぽーん、と飛んでいく頭蓋骨。
「俺の名は『ルモーレ』。復活した楽しい盗賊団『ラパーチェ・ラーロ』の頭目だ。遊びたい奴ぁいつでも歓迎だし、もたもたしてるといつでも遊びにいってやるぜ!」
 うしゃしゃしゃしゃ、と大笑いしてから引っ込んだ。
「塀の向こうで土の斜面を滑り降りた音がするね?」
「……頭蓋骨が当たって式をやられちゃいましたけど、中はすり鉢状になってました。正面の門近くは無いです」
「山賊の建てた脆そうな塀だと思いましたが……倒壊は狙えませんね。騙されるところでした」
「まあ、まあ! 中は円形劇場みたいなものですか? なんて踊り甲斐のあることでしょう」
 それまで静かだった大人びた女性が喜んだ。
「と、とにかくフラさんが負傷してますし、いったん引きましょう」
 少年の言葉に全員が頷くのだった。

●戦場へ、再び
「んん……」
 フラはそんな夢を見たところで目が覚めた。
 もっとも、見ていたのは夢というより、数日大人しく静養することになった仕事の回想であったが。
「悔しいな。足手まといになっちゃって」
 もぞ、とベッドから抜け出すと、痛めた足首に手を添えたりぴょんぴょん飛び跳ねたりする。
 たちまち広がる笑顔。もうすっかり良いようだ。
 この時、ノック。
「……フラ、目覚めておったのか」
 ジルが入ってきた。
 それだけではない。
「テニス仲間がやられたと聞いてきたぞ」
「なんだ、元気そうじゃないか。何よりだ」
「さすが根性があると見込んだだけある。これでなくちゃな」
 ぞろぞろ入ってきたのは、フラをモデルにしているスポーツ用品販売のテラボで同じくモデルをしているテニヌ四天王たちだった。それぞれ、熱血ヘルマ、クールなセッサク、力のタケゾー。
「え、どうしてみんな……」
「敵は森の中に監視拠点を築いていると聞く。砦攻略は実際に目撃した君たちに任せる。俺たちは君たちにに先行し監視拠点を叩き、速やかに引いて村の防備に入る」
 リーダーのピューマが自分たちの役目を話した。
「そ、それはありがたいけど……」
 フラ、戦いたいのでは、と視線で問う。
「テラボからの指令だ。我々は村人に強さを見せつけてからのテニス用品販売に徹する」
「テニヌ五虎将軍が出るまでもない。一番下っ端のお前だけで十分ということだな」
 セッサクの説明にタケゾーの高笑い。
「え……五虎将軍?」
 フラ、いつの間にか仲間にされていて言葉を失うのだった。

リプレイ本文


「フラさん、いつの間にかテニス四天王の仲間入りしてたのですねぇ?」
 森の奥にある歪虚の砦を目指しつつ、弓月・小太(ka4679)が振り返った。
「一方的に、ね」
 フラ・キャンディ(kz0121)、赤面してもじもじ。
「フラさんを巻き込みたかったんじゃないかな?」
 霧雨 悠月(ka4130)がフラの顔をのぞき込んでにこにこ。実に楽しそうだ。
「あ、そっか」
 悠月の言葉でフラ、ちょっと態度を改めた。
「ただ『五虎将軍』と名乗りたかっただけかもねー」
「……あり得ます」
「え?! そうなの?」
 ぽそりと口にするキーリ(ka4642)に、納得の雀舟 玄(ka5884)。フラ、今度はショック。
「……でも、いい仕事をしてます……」
 玄、周りを見る。
 以前、敵の監視拠点のあった場所には何の気配もない。約束通り、事前に潰してくれている。
「いいよね、頼れる仲間は……さて、僕らは骸骨たちを排除して砦を無力化しないと」
「その……前回はごめん」
 前を向いた悠月に再びフラがうつむいてもじもじ。
 ――ぽむ。
「フラ? 悔やむのはいい。でも引きずらない様にね」
 ネーナ・ドラッケン(ka4376)がフラの肩を叩く。
「あはは、気にしないことだよー。気にしなければ気にならないしね~」
 その横をラン・ヴィンダールヴ(ka0109)が陽気にひらひらと軽快に歩いて過ぎる。
「あのルモーレって頭目、何か笑い方が嫌なのです!」
 今度は反対の横を、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)が肩を怒らせぷんぷん、な感じで通過。
「でも、用意された舞台……とっても素敵ですこと!」
 今度はくるん、と一回りしてラル・S・コーダ(ka4495)。
 とても前向きな様子をフラに見せて、ウインク。そのまま二人を追う。
「……ランさんは少しだけ、気にした方がいいかもしれませんね」
 そんな様子を見て玄がはっきりきっぱりと言う。
 十人十色の反応の中、仲間の温もりを噛みしめるフラだった。

 そして砦の前に到達。
「久し振りね、いぬご……骨小屋。盗賊団、ラッパがペローリだっけ。覚悟なさい」
「あはは、ラッパがペローリ、いいね~」
 森に隠れつつジト目でキーリ。ランが気に入って乗りよく復唱。
「門の上にボスは無し。見張りの手下だけ……それ、伝説の盗賊『ラパーチェ・ラーロ』だからね、正確には」
 敵の確認をしていたネーナが思わず突っ込む。
「ネ、ネーナさん、前回ジルのことジルボって呼んでたような気もしますよぅ」
 一応、小太が他人にばかり厳しい姿勢はどうだろう、な感じでぽそり。
「細かなことを気にすると女の子から嫌われるわよー。さ、私達のぱーふぇくつな連携を見せつける時が来たようね」
「ぱ、ぱーふぇくつ?」
 キーリの言葉に目を丸めるフラ。その背後では「女の子に嫌われる」の言葉がぐっさり刺さってくらっときている小太。それを悠月が「気にしない気にしない」とぽむぽむ。
「……派手に、攻撃しましょう……」
 キーリの横から、窓用戸板を持った玄がぬっと出てきた。
「よし。じゃ、とりあえず門をぶち破ろうかー?」
 さらに横から、ランが巨大なハンマーをよいせと肩に担ぎ涼しい顔。
「ボクたちは回り込むよ」
 ネーナ、横に移動。
「フラさん、こっちですよぅ」
 小太、フラの手を取って横に。
「あっ」
「フラさん、あまり固くならないで。楽しみましょう? そうでなければこの広い舞台を、踊り回れませんよ」
 今度は足手まといにならないように、と思ったところでラルから頭を撫でられた。
「うん、ルンルンさんも行こう?」
「私はこれなのです!」
 笑顔のフラから視線を受けたルンルンは、秘密兵器を取り出すのだった。
「さ、このステージは派手に行こう。……砦に集まった客に骨があるといいね」
「あら。言うじゃない、ユッキー」
 悠月が改めて口にした言い回し。キーリも気に入ったようで派手に行く!



 ――どぉん……。
 門の上で、不意に炎が爆発した。スケルトン一体が食らって向こう側に落ちる。
「見張りが一匹っていうのが火力的にもったいないけどねー」
 キーリのファイヤーボールだ。これで敵の監視体制が一気に上がる。弓を持つスケルトンが姿を一瞬見せたが、キーリの姿を見て一斉に屈み、隠れつつ射撃する。
 ――ストン。
「……ここは任せて……」
 積極的に前に出た玄が戸板で矢を防ぐ。
 さらに!
 身の回りに「これやこの」とか「知るも知らぬも逢坂の関」といった文字が浮かんだ。
 ――ストンストン、ぺしっ。
 集中し戸板で防げない矢を、光り輝く鳥が体当たりして防ぐ。
 その横から、ふわり……。
「刹那のざわめき、集まる視線……聞こえて? 魂振るわすリズム……」
 夜を思わすドレスの裾を揺らめかせてラルが歌って姿を現す。
 掲げた右手に、赤い視線。ぴたりと塀の弓兵たちに。
「踊りましょう、心行くまま♪」
 くるっとひらめいた足元に矢がストンストン。射線を導き横に開く。
「さすがラルさん」
 悠月、玄とラルに集中する射線の真ん中を迷わず一直線に突っ切った。
「そらっ!」
 塀まで来ると、身を乗り出して狙う敵に跳躍し月牙一閃!
 円弧を描く日本刀「白狼」が彼をも狙う敵を斬る。
 この時、ラルの反対側ではルンルンが姿を現していた。
「ルンルン忍法壁抜けの術!」
 塀に走りつつ手にしたスラッシュアンカーを発射。どすん、と壁に突き刺さる。
「行くのです!」
 リールをぎゃーんと巻き戻し、根元まで戻ったところで逆上がりの要領でさらに跳躍。高々と足を上げ伸身一回転半ひねりで塀を越えた。
 この時、桃色の狼が走り込……いや、ランだ。ランが狼の如く獲物の一瞬隙を狙い急所――正門の真ん前に噛みついた!
「筋力充填……」
 迫った勢いそのままに、手にしたハンマー「ガイアクラッシャー」を高々掲げる。
 上品な桃色のシャツの襟をひらめかせ、全身で振り下ろし一気に一発ガツン!
 が、扉。震えるだけで耐えた。
「んー、まだまだだね~」
 ラン、まったく悔しがらない。扉の強度も敵の攻撃も意に介さず連続攻撃。
 ワイルドラッシュ、ワイルドラッシュ!

 その少し前、後方では。
「さ、気を引きながら迅速に走り抜けるのよ」
 キーリが玄に声を掛け突進。
「私は隠密下手だしね。……こう、私の体内から溢れ出るアイドル性ってやつが否応なく私をキラキラ目立たせるのよ。うん」
「……アイドル性、ですか……」
 首を傾げる玄の周りには一瞬、「まだ文もみず 天橋立」の文字。矢を光る鳥がぺしり。
 ――どご……ん。
「あはは、ちょうど開通したよ」
「うん、ぱーふぇくつ」
 二人が門に到達したときにはランが正門破りに成功していた。



 この時、迂回組。
「一気に裏手に回るよ!」
 ネーナ、味方の攻撃が始まったと見るや森から出る。裏まで回りきってないが、大切なのはタイミング。
 現に、塀の上で警戒に当たっていたスケルトンが正面に援護に……おっと、ネーナの気配に気付き振り向いた。弓を向ける。
「むしろその方が楽かもね」
 大回りしていたネーナだが、何と方向転換して敵に向かっていたぞ?
 ――すとん。
 敵の初撃、外れた。
 それもそのはず。
 ネーナが「壁歩き」を使いそそり立つ壁を走り出したから。まったく想定してなかった動きに先手を取って撃った分後手に回るスケルトン。
 が、二射目はもう外すことはしない。
「それが命取りだけどね」
 ネーナがかわし切らなかったのは、鞭を振るったから。
 ぱしり、と敵の足に巻き付いた。
「後、頼むね」
 言うと同時に鞭を引く。まるで位置交換するようにネーナが塀の上に。そしてスケルトンが塀の下になった。
「よし、行くよ。小太さん」
「ま、待ってください、フラさん」
 下には森から小太とフラが詰めており、落ちてきた敵を一閃。さらに塀に取り付こうとするフラを小太が止めた。
「その……ですから」
「ええと、何?」
 代わりに塀に取り付き、ネーナの補助でよじ登った小太はフラのミニスカートを見て真っ赤になっていた。フラ、その真意は気付かないが……あ、小太の袴の下から何かちらりしたようでフラも赤面。

 この時、ルンルン忍法炸裂!
 すたん、と塀の内側にルンルンが着地する。
「ルンルン、気を付けて!」
 ネーナが叫んだのは、内側にいた巨斧を手にした鎧だけの兵士が派手に飛んで来たルンルンに殺到していたから。
 ぐわっと迫る鎧。大きな斧を振りかざしている。
 しかし、それは振り下ろされることはなかった。
「振りかぶった頂点を狙うと、ね」
 何と背後からネーナがランアウトで急速接近。鞭を斧の柄に巻き付け自分の体重を預けていた。
 ――どっしーん。
「寝ているといいよ」
 ネーナ、引き倒した勢いでぐいっと正面門内側へ弧を描きジャンプ。立体移動でその場を一気に離脱した。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法土蜘蛛の術! トラップカード即オープン☆」
 一方のルンルン。こちらも攻撃せずに地縛符を設置して場所移動するのだった。

 そして正面門の破壊。
 崩れた門の向こうには、ゆらりと身を起こすピンク狼一匹。
 きっ、と顔を上げるはラン。
 砦の内側はすり鉢状だったが、門の前だけは左右に土壁のある通路になっていた。
 その先に、巨大な斧の敵。
「んー? これって待ち伏せー?」
 ラン、駆ける!
「よくまぁこれだけのを準備してるね」
「んー?」
 上からの声に視線を上げると、猛き銀狼こと悠月が細い体躯全体を使いすり鉢状の斜面を駆け降りつつランと並走していた。まるで影のようだ。
「盗賊団って言ってたし……あの頭目以外にも、仲間がいるのかな?」
「そういえばジル……最初に会った時古戦場も近いっていってたかなー?」
 会話は、それだけ。
 くん、と身を沈めたランは一気に体を伸ばしつつ加速し迫った鎧兵の巨躯を下からぶん殴る。
 上では迫る鎧兵の脇をすり抜けつつ悠月が刃を振り抜いていた。一瞬浮かび上がる牙をむく狼の幻影。月牙だ。
「身体の大きさが強さじゃないんだからね」
 言ってからが、早い。
 すぐに距離を取り手裏剣。
 下ではランが中央まで駆け抜けていた。
「待ち伏せ、ってことは、後ろから更に敵来たりするのかなー?」
 振り返ったところに、鎧兵。包囲が完了している。
 しかし!
「ワルツの輪は花と同じに幾重にも」
 炎のようなオーラを纏い、さらに外側に立つ女性が。
「歌おう、踊ろう、共にダンスを!」
 ラルだ!
 刃を手に、すり鉢状の一番上から踊り降りて来るッ。
「うん、僕も気持ちが昂ってきた。エンジン全開って感じだよ」
 ラルに並ばれ悠月がさらに猛り走る。まだ一段動きを上げることができるのかッ!
 振り向いた鎧兵にラルが回り込んでステップ&刺突。がら空きになった正面からは、一気に悠月がばっさり切り抜ける。重い斧を使わせない。
「もちろん残敵も逃さないよ」
 悠月の残した敵には、横合いからネーナが奇襲。体当たりして離脱。撹乱に徹する。
「伝説って言うのは死んでなきゃ駄目なのよー?」
 そして正面からアイスボルトを打ち込んだキーリが。
「フラさん?」
 一緒のラル、フラと小太が奥の家屋に急いでいるのを発見した。ルンルンも一緒に向かっている。回り込もうとしたスケルトンと交戦中。「コールドショットですぅ」、「小太さん、ありがとっ」などと連携して戦闘している。
「ここは任せておいてよ」
「ありがとうございます、悠月さん……」
「さっすがユッキーねー」
 玄とキーリ、突破に切り替える。



 そして家屋正面に到達。
「外にいないからきっとここだよね?」
「窓も扉も開けっ放しというのが気になりますけど……」
 フラと小太が気にしつつ、正面入り口傍の壁に身を隠し屋内に意識を集中する。
「そういえば伝説になってる盗賊なら戦闘の傾向伝わってないのかしらね?」
「引き際が見事だったらしいです……全部開け放たれてて、あからさまに怪しいのです」
 反対に身を隠すキーリの呟きにルンルンが返す。ルンルンはそのまま身を伏せて回り込んだ。そして何かをしている。
 何をしているのか気付いた玄が隠れるのをやめてゆったりと入り口に身を晒した。
「……どうやら罠は、なさそうですね……?」
「ああ、ねぇよ」
 外の明るさとは対照的に薄暗い屋内で、テーブルに着いていた男がゆらりと立ち上がった。
 盗賊団の頭領、ルモーレだ。
「どうだい、この砦は。攻略したと思ったら中はむしろ闘技場の罠、って感じだ。珍しいだろう?」
 玄、無視。必死に床に糸が張り巡らされてないか、天井や壁に罠がないかなど確認している。影が強ければ黒い糸は見えにくいはず、などと読む。
「楽しい盗賊団らしいけど、楽しそうなの頭目だけね。あなたの手下は感情無さそうよ?」
 それを悟られまいとキーリが出て口を挟む。
「それ。聞いてくれよ、あいつらばかりだとちぃと面白くねぇんだよ」
 これに乗って来た。
「面白くないなら棺桶で大人しくしてればいいじゃない」
「それも面白くねーだろ? 砦の罠を破られるのも面白くないけどね」
 ひゅん、とナイフが飛んで来た。玄、戸板でキーリを護る。
「これ以上遊ばれても困りますし、ここで終わりにさせて貰ういますよぉっ。覚悟してくださぃー!」
 隠れていた小太、出てきてリボルバーで狙う。
 が、ルモーレは投擲と同時に詰めていた。リボルバー、上に弾かれる。
「小太さん!」
「射撃だけと思わないでくださいですよぉ! す、少しくらいなら剣も……」
 フラも入る。小太、サーベルに持ち替えるが言葉はそこで止まった。
「私も巻き添え?」
 フラ、小太、キーリが敵の振るうナイフの早業の被害に遭った。ぐらり、と身を崩す。
「……」
 防御姿勢の玄は無事。ルモーレ、あっという間にバックステップ。
 この時。
「ルモーレ、貴方がここで何を企んでいるか、洗いざらい白状するのです!」
 ルンルンがびしっと指差しつつ窓から突入。
「あはは、親玉ってもっと締め切ったくらーい場所にいるんだと思ってたなー?」
 別の窓の外にはランがいた。
「さあ、話を聞こうか?」
 さらに別の窓から悠月。
「ルモーレ、いいお名前! あなたのその肌、ピルグリムでしょうか」
 ラルは裏口から。
 これでほぼ包囲。
 残る窓は三つだけ。
(……でも、入り口以外全部ルンルンさんが地縛符を設置しました……)
 玄、くすり。
 敵の罠を警戒している様子を見せ、しれっとこちらが罠を仕掛ける。
 万全の包囲網だ。
「ありゃ、絶体絶命だな。話すことは一つだ……ボナ・ノッテ!」
 ルモーレ、にやりとすると……。

「消えた?」
 全員が目を疑った。
「地縛符がそのまま……」
 ルンルンも罠への侵入がないことに愕然としている。
 超スピードとかではないようだ。
「雑魚も最後は逃げる動きをしてたね」
 外に残っていたネーナがやって来て、そう言った。

 敵は倒れた者以外、綺麗に引き上げていた。

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MVP一覧

  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜ka5784

重体一覧

参加者一覧

  • 皇帝を口説いた男
    ラン・ヴィンダールヴ(ka0109
    人間(紅)|20才|男性|霊闘士
  • 感謝のうた
    霧雨 悠月(ka4130
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 光森の舞手
    ネーナ・ドラッケン(ka4376
    エルフ|18才|女性|疾影士
  • 戦場の蝶
    ラル・S・コーダ(ka4495
    エルフ|27才|女性|闘狩人
  • メテオクイーン
    キーリ(ka4642
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • 百年目の運命の人
    弓月・小太(ka4679
    人間(紅)|10才|男性|猟撃士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 和歌纏う者
    雀舟 玄(ka5884
    人間(蒼)|11才|女性|符術師

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依頼相談掲示板
アイコン 相談ですよぉー
弓月・小太(ka4679
人間(クリムゾンウェスト)|10才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/05/02 18:07:56
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/02 08:39:23