ゲスト
(ka0000)
【蒼乱】空海並び立つ
マスター:植田誠

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/08/19 19:00
- 完成日
- 2016/09/02 00:27
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
帝国東部海上。その一部に一日中霧の晴れない区画が存在する。霧を越えた先にあるのはグラウネーベル島。帝国軍の海図にだけ密かに追加されたその島は、希少な幻獣であるグリフォンが多数生息している島でもあった。さらにその深部には未だ姿を見せない大幻獣も生息している……のではないかと推測されている。
が、今回重要なのはグリフォンの生息地であるという点ではない。
「霧のお陰で島には歪虚もたどり着けない。けど、あたしたちはたどり着ける。暗黒海域探索の中継基地にはピッタリよね」
帝国軍が擁する船団。その中でも一際大きな戦艦の甲板で、人の好さそうな老女がつぶやく。彼女こそ、ユーディト・グナイゼナウ。帝国軍第四師団クロイゼルングの師団長である。
繰り返すがここは帝国東部の海上。暗黒海域と呼ばれる海域への入り口として、あるいは本土との中継地としてはおよそ適した位置にこの島はあったのだ。
だが、ここは正確には島を包む霧の外側である。この霧を抜けていかなければ島には上陸できない。そして、それはとある人物からストップがかかっていた。
「でも、随分回りくどいんじゃないの、ロルフちゃん?」
顔を横に向け、見上げた先にはそのとある人物、第5師団長ロルフ・シュトライトの姿があった。
「今回の探索に有用なのは僕も理解していますが、グリフォンの生態系に直接影響が出そうなことは避けたいんです」
話としてはこうだ。
第4師団始めとする帝国軍としてはグラウネーベル島を中継基地として船をつけるなりして港代わりにしたい。が、第5師団としてはグリフォンの生息地たるこの場所に大船団が堂々と踏み入ってくるのは看過できない。
結局、一定以上の大型船が一定以上の数で行き来しないといったところを落としどころとした。
そうなると、中継基地としての役割は微妙だが、物資の集積地ができるという一点でも価値がある。何しろ、この探索にどれだけの資材と、どれだけの時間がかかることになるのか、まだ予想もつかないのだから。
そんなわけで、ここでは探索用の船に荷物を降ろしている最中であった。
「お話し中すいません、グナイゼナウ師団長!」
「ん? どうかしたかしら」
そんな時だった。監視役の兵士から報告があったのは。
「12時の方角に妙なしぶきが見えました。その上には飛行物。おそらく歪虚ではないかと」
「あらまぁ……ここは通常航路からは離れてるものね。迎撃に何隻か……」
少し思案した様子を見せたユーディトだったが、そこにロルフが割って入る。
「グナイゼナウ師団長。よろしければここは僕が先行しましょう……船での行動は慣れない分迷惑をかけてしまいますし、少しはそれらしい仕事をさせていただけたらと」
「あら……それじゃお願いしちゃおうかしら」
「ありがとうございます。それでは」
そういうとロルフはその場を離れ手早く部下に指示を出していく。手の空いたハンターや数名の部下に指示を出していく。
「島をちゃんと使わせてあげられないお詫び……それに、暇を持て余した部下たちに仕事を上げた、ってところかしらね……それじゃこっちも」
律儀なことだとその様子を見ながら、ユーディトの方も手早く指示を出していく。
こうして、暗黒海域探索の前哨戦ともいえる戦いが、空と海にまたがり開始された。
帝国東部海上。その一部に一日中霧の晴れない区画が存在する。霧を越えた先にあるのはグラウネーベル島。帝国軍の海図にだけ密かに追加されたその島は、希少な幻獣であるグリフォンが多数生息している島でもあった。さらにその深部には未だ姿を見せない大幻獣も生息している……のではないかと推測されている。
が、今回重要なのはグリフォンの生息地であるという点ではない。
「霧のお陰で島には歪虚もたどり着けない。けど、あたしたちはたどり着ける。暗黒海域探索の中継基地にはピッタリよね」
帝国軍が擁する船団。その中でも一際大きな戦艦の甲板で、人の好さそうな老女がつぶやく。彼女こそ、ユーディト・グナイゼナウ。帝国軍第四師団クロイゼルングの師団長である。
繰り返すがここは帝国東部の海上。暗黒海域と呼ばれる海域への入り口として、あるいは本土との中継地としてはおよそ適した位置にこの島はあったのだ。
だが、ここは正確には島を包む霧の外側である。この霧を抜けていかなければ島には上陸できない。そして、それはとある人物からストップがかかっていた。
「でも、随分回りくどいんじゃないの、ロルフちゃん?」
顔を横に向け、見上げた先にはそのとある人物、第5師団長ロルフ・シュトライトの姿があった。
「今回の探索に有用なのは僕も理解していますが、グリフォンの生態系に直接影響が出そうなことは避けたいんです」
話としてはこうだ。
第4師団始めとする帝国軍としてはグラウネーベル島を中継基地として船をつけるなりして港代わりにしたい。が、第5師団としてはグリフォンの生息地たるこの場所に大船団が堂々と踏み入ってくるのは看過できない。
結局、一定以上の大型船が一定以上の数で行き来しないといったところを落としどころとした。
そうなると、中継基地としての役割は微妙だが、物資の集積地ができるという一点でも価値がある。何しろ、この探索にどれだけの資材と、どれだけの時間がかかることになるのか、まだ予想もつかないのだから。
そんなわけで、ここでは探索用の船に荷物を降ろしている最中であった。
「お話し中すいません、グナイゼナウ師団長!」
「ん? どうかしたかしら」
そんな時だった。監視役の兵士から報告があったのは。
「12時の方角に妙なしぶきが見えました。その上には飛行物。おそらく歪虚ではないかと」
「あらまぁ……ここは通常航路からは離れてるものね。迎撃に何隻か……」
少し思案した様子を見せたユーディトだったが、そこにロルフが割って入る。
「グナイゼナウ師団長。よろしければここは僕が先行しましょう……船での行動は慣れない分迷惑をかけてしまいますし、少しはそれらしい仕事をさせていただけたらと」
「あら……それじゃお願いしちゃおうかしら」
「ありがとうございます。それでは」
そういうとロルフはその場を離れ手早く部下に指示を出していく。手の空いたハンターや数名の部下に指示を出していく。
「島をちゃんと使わせてあげられないお詫び……それに、暇を持て余した部下たちに仕事を上げた、ってところかしらね……それじゃこっちも」
律儀なことだとその様子を見ながら、ユーディトの方も手早く指示を出していく。
こうして、暗黒海域探索の前哨戦ともいえる戦いが、空と海にまたがり開始された。
リプレイ本文
●
「こんな鳥籠に乗せられて戦闘する羽目になるとはのう。長生きはしてみるもんじゃな」
冗談めかして軽口をたたくのはミグ・ロマイヤー(ka0665)だ。以前に海賊退治がらみでユーディトと共闘したよしみで今回の依頼に参加している。
「まぁ空海連携作戦のよい訓練にはなるだろう」
メトロノーム・ソングライト(ka1267)からウォーターウォークをかけてもらいながらアウレール・V・ブラオラント(ka2531)が言った。
普段空と海に分かれて行動している第4、第5師団。それらが協力してことに当たるのは珍しい。その分普段から連携が取れているわけではないのだろうから、そういう意味ではよい機会かもしれない。
「水上戦は大好物だ。一気に始末してやるぞ!」
元英国海軍海兵隊に所属していたらしいコーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)にとって海上戦は得意分野といえる。そのためかそのやる気もかなり高いように見える。
「空海並び立ち……たかった……」
その逆、どこか落ち込んでる様子なのはレオーネ・インヴェトーレ(ka1441)。何度かグリフォンに乗った経験もあるレオーネはできれば自分でグリフォンに乗って戦闘をしてみたいところであった。だが、正規の隊員がグリフォンに乗らないというのもおかしな話なので今回は普通に戦うことに。
「足元が揺れている状況で戦闘するのは、ちょっと酔いそうだな……こっちも頼む」
「了解しました。何事もなければよいとおもっていましたけれど……やはりのんびり船旅とはいきませんか」
鞍馬 真(ka5819)にもウォーターウォークを使用するメトロノーム。言葉通り、のんびり船の生活を満喫……というわけにもいかなくなってしまったが、これも仕事のうちと割り切って考える。
やがて、想定戦域の上空にたどり着く。
「魚歪虚も鳥歪虚も食材の亜種なの。負けられないの!」
そういって先んじて飛び込むディーナ・フェルミ(ka5843)。水着にシュノーケルまで準備して、水中戦対策は万全といった感じだ。
それに続いてメトロノーム、アウレール、真と水上に降り立つ。
「この矢の先に……わたし達の明日があるのであれば……」
矢を番えながら静かに呟くアニス・エリダヌス(ka2491)。その視線は迫る敵へと向けられていた。
●
「ある程度高度をとって飛ぶのじゃ。視界を広くとれるようにな」
ミグの指示でやや行動を上げるキャリアー。そのままミグは海上を注視。飛び出してきた魚型を狙うつもりだ。
だが、キャリアー側のメインは空中の敵だろう。
「早速来た! 援護します!!」
ライダーに接近するグリフォンにたいしてライフルによる援護を行うレオーネ。声掛けを行うことで可能な限り連携をとれるようにという配慮のようだ。
声と顔を覚えてもらうことで自身の売り込みも兼ねているようだが、本音はともかく効果がないとは言い切れない。
さらにレオーネもミグ同様指示を出す。
「ある程度エリアを分担して戦おう! 死角から接近されたらたまんないからな!」
「理に適っているな。了解した」
コーネリアを始め同意する仲間たち。その間にも敵は接近してくる。
「人々の未来への一歩の為……!」
接近する敵へ向けて矢を放つアニス。覚醒による変化も合わせるとさしずめ正義の天使といった印象を受ける。そのアニスは聖導士であるため、おそらく射撃戦が専門というわけではないだろう。そうはいってもその精度威力とも敵に対するには十分といえるのだが、やはり空対空、距離も多少離れているとなると必中とはいかないか。矢は回避される。
「くっ、やはり動きが速いですね」
「確かに、速さだけは一流か。だが……」
その横でライフルを構えるコーネリア。レイターコールドショットを使用して攻撃。命中した敵は大きなダメージを負い、さらに動きも鈍る。
「傷を負っては自慢の速さも台無しだろう?」
「その通り、ですね!」
フラフラと、それでもなんとか飛行しようとする鳥型にアニスがとどめをさした。
海上からも鳥型への攻撃が行われる。
メトロノームが灼翼を使用。歌によって顕現された蒼炎により、まとめて殲滅を図ろうとする。
だが、敵は空中にいるグリフォンライダーの方へ肉薄しようとしている。味方を巻き込まないようにするためには、タイミングと間合いを計る必要があり、なかなか攻撃のチャンスを得られていないのが現状であった。
「気を使って攻撃しなければいけませんね……」
メトロノームは灼翼からブリザードでの攻撃に変更。属性的な問題はなさそうだが、範囲的に味方を巻き込む可能性の低いブリザードの方が有用だという判断だろう。
「直撃を狙うこともできるが……ここは援護に徹するか」
コーネリアはライダーに接近する鳥型に対し威嚇射撃を使用。その動きを制限することでライダーへの、そしてキャリアーから攻撃する味方への支援とする。
「味方に当てないようにっていうならこれが一番だな。ミグさんも頼む!」
「うむ、よかろう!」
レオーネはロックオンレーザー、ミグはメガビームシールドを使用。放たれた数条の光線が鳥型を狙い撃つ。
「近寄らせるわけにはいきません!」
敵の数はそれでもなお多く、キャリアーに接近しようとする鳥型もいる。それに対してはアニスが杖へと持ち替え、そこからホーリーライトを撃ち込み撃墜する。
こうして対空戦は順調に経過していく。危惧された重量の問題も解決されておりライダー、キャリアーとも機動力をいかんなく発揮している。圧倒しているといっていいだろう。
「被弾0……上々じゃな」
防御障壁で急場の防御も行うつもりだったミグ。キャリアーが墜落したら元も子もないとの判断だったが、杞憂だったようだ。
問題は……海中を行く魚型の方であった。
●
「この殲滅状況なら歩行延長は不要か……」
空の様子を一度確認してから再度海中を眺めるアウレール。
やむを得ぬ場合を除き海中戦は避ける方針。だが、それでいいのか……そんな不安が頭をよぎる。何しろ、海中に潜っているのはディーナ一人なのだから。
(いや、迷うな)
浮上してきた味方を狙って攻撃してくる敵を逆に狙い撃つという方針そのものは正しいはずだ。そう考えアウレールは油断なく槍を構える。
同じような考えは真も持っているようだ。だが、そもそも潜ろうにもウォーターウォークが効いている間は難しい。
「今はできることをやるしかないか……」
銃を構えた真は空中戦の支援を行いながら水中へ注意を向ける。
……その水中では激しい戦闘が行われていた
(100秒くらいなら息を止めていられる……つもりだったの。でも……)
一人潜って戦闘するディーナ。ディヴァインウィルを使用して敵の足止めを図っていたが、それは一部成功していた。確かに敵は見えざる壁に阻まれて動きを止めていた。
だが、5体ほどはそのディヴァインウィルの範囲の外を泳いでおりそのまま船団の方へ向かって行ってしまった。追うこともできたが、半数以上を止めているという事実もありうかつに動けない。
さらに、魚型は体当たりがディーナに届かないとみるや水弾による攻撃に切り替えてきた。
残っている数は10体。それらが一斉に攻撃をしかけてきているのだ。防御の堅いディーナといえど長時間耐えうるものではない。
1発1発が体力を削り、痛打を受ければ衝撃で息が吐きだされる。
(もう……限界なの……)
結果として30秒持たずディーナは限界を感じ、ディヴァインウィルを解除して急ぎ浮上する。
だが、当然敵もそれを追ってくる。
追いすがる魚型が体当たりを敢行。それを連続で受けるディーナ。回避することもできない。一瞬意識が消えそうになるディーナ。だが、ただでやられてやるわけにはいかない。
「ハァッ! ……これ以上好きにはさせないのっ!!」
海面に出て大きく息を吸う。それとともにディーナは最後の力を振り絞り、セイクリッドフラッシュを使用。寄ってきた魚型は広がる光の波動に飲み込まれ消滅していく。半分は仕留めきっただろうか。
「大丈夫か!?」
そのまま沈んでいきそうになるディーナの手を掴み、引き上げながら、寄ってきた魚型を刺し貫くアウレール。
「こちらに引き付ける。ブラオラントさんはフェルミさんをキャリアーの方に」
すぐさま真はソウルトーチを使用。その思惑通り残され海面近くまで来ていた魚型が真に向かう。
「水中から水上は狙えない。そしてそこにこそつけ入る隙がある!」
水面に出て水弾を撃ち込もうとした魚型。そこを、海面を注視していたミグが過たず打ち抜く。
さらに連続して出てきた魚型。
「歪虚の……刺身! ……美味そうではないな」
それらは真が薙ぎ払いによってまとめて始末する。
これで、この戦場下にいる魚型は倒した。
「でも……半分は後ろに……行っちゃった……の」
「鳥型も始末している。すぐに私たちも向かう。安心しろ」
アウレールに抱えられたディーナはその会話を最後に、気を失った。
●
結果的に、後方の船団には大きな影響はなかった。
船でこちらへ向かっていた第4師団も流れてくる魚型は確認しており、水中戦でそれらを撃破していた。
「専門家はさすがじゃな。手際が良い」
ミグが感嘆の言葉を上げる。
だが、手際が良いとはいえ多少ケガをしたようすが見られる。さすがにディーナ以上の大けがを負っているものはいないが。
「……こちらも水中戦を加味するべきだったかもしれないな」
真が呟いた。今回はキャリアーに加えライダーも3騎いた。空中戦力がある程度確保されている以上、そこにハンターの支援が行われれば空中戦が優位に運ぶことは自明だった。となればハンターの方は水中の敵にある程度戦力を割り振るべきだっただろう。
より正確にいうのであれば、水中で戦うものがディーナ以外にも必要だった。そうすれば多少敵の攻撃も分散し被害も減らせたはずだ。水中戦の危険性を理解しているからこその、水中戦の忌避。それが悪い方に働いた結果だろう。その点は反省の必要があるだろう。
「暗黒海域を探るとなれば水中戦の機会もまたあるだろう。その時に今回の分は取り返すとしよう……ともあれ、敵の殲滅には成功した」
「あぁ。後方の船団には被害がないし、及第点はもらえると思いたいぜ」
コーネリアの言葉に同意するレオーネ。
敵の殲滅、船団への被害なし。これなら十分な戦果であるといえよう。
「戻ったらグリフォンに乗せていただけるでしょうか?」
戦闘が終了し少し気が軽くなったのだろうか。グリフォンに触りたいのを我慢していたメトロノームがそんなことを団員に聞いている。
「私は島にいるグリフォンたちの生活に興味があります。教えていただけますか?」
「島については意見を具申したいと思っていたのだ。それも構わないだろうか」
メトロノームに続きアニス、アウレールの言葉。尤も、これらも全て船団に戻ってからのことだ。
ハンターたちはキャリアーに乗って船団への帰途についたのだった。
「こんな鳥籠に乗せられて戦闘する羽目になるとはのう。長生きはしてみるもんじゃな」
冗談めかして軽口をたたくのはミグ・ロマイヤー(ka0665)だ。以前に海賊退治がらみでユーディトと共闘したよしみで今回の依頼に参加している。
「まぁ空海連携作戦のよい訓練にはなるだろう」
メトロノーム・ソングライト(ka1267)からウォーターウォークをかけてもらいながらアウレール・V・ブラオラント(ka2531)が言った。
普段空と海に分かれて行動している第4、第5師団。それらが協力してことに当たるのは珍しい。その分普段から連携が取れているわけではないのだろうから、そういう意味ではよい機会かもしれない。
「水上戦は大好物だ。一気に始末してやるぞ!」
元英国海軍海兵隊に所属していたらしいコーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)にとって海上戦は得意分野といえる。そのためかそのやる気もかなり高いように見える。
「空海並び立ち……たかった……」
その逆、どこか落ち込んでる様子なのはレオーネ・インヴェトーレ(ka1441)。何度かグリフォンに乗った経験もあるレオーネはできれば自分でグリフォンに乗って戦闘をしてみたいところであった。だが、正規の隊員がグリフォンに乗らないというのもおかしな話なので今回は普通に戦うことに。
「足元が揺れている状況で戦闘するのは、ちょっと酔いそうだな……こっちも頼む」
「了解しました。何事もなければよいとおもっていましたけれど……やはりのんびり船旅とはいきませんか」
鞍馬 真(ka5819)にもウォーターウォークを使用するメトロノーム。言葉通り、のんびり船の生活を満喫……というわけにもいかなくなってしまったが、これも仕事のうちと割り切って考える。
やがて、想定戦域の上空にたどり着く。
「魚歪虚も鳥歪虚も食材の亜種なの。負けられないの!」
そういって先んじて飛び込むディーナ・フェルミ(ka5843)。水着にシュノーケルまで準備して、水中戦対策は万全といった感じだ。
それに続いてメトロノーム、アウレール、真と水上に降り立つ。
「この矢の先に……わたし達の明日があるのであれば……」
矢を番えながら静かに呟くアニス・エリダヌス(ka2491)。その視線は迫る敵へと向けられていた。
●
「ある程度高度をとって飛ぶのじゃ。視界を広くとれるようにな」
ミグの指示でやや行動を上げるキャリアー。そのままミグは海上を注視。飛び出してきた魚型を狙うつもりだ。
だが、キャリアー側のメインは空中の敵だろう。
「早速来た! 援護します!!」
ライダーに接近するグリフォンにたいしてライフルによる援護を行うレオーネ。声掛けを行うことで可能な限り連携をとれるようにという配慮のようだ。
声と顔を覚えてもらうことで自身の売り込みも兼ねているようだが、本音はともかく効果がないとは言い切れない。
さらにレオーネもミグ同様指示を出す。
「ある程度エリアを分担して戦おう! 死角から接近されたらたまんないからな!」
「理に適っているな。了解した」
コーネリアを始め同意する仲間たち。その間にも敵は接近してくる。
「人々の未来への一歩の為……!」
接近する敵へ向けて矢を放つアニス。覚醒による変化も合わせるとさしずめ正義の天使といった印象を受ける。そのアニスは聖導士であるため、おそらく射撃戦が専門というわけではないだろう。そうはいってもその精度威力とも敵に対するには十分といえるのだが、やはり空対空、距離も多少離れているとなると必中とはいかないか。矢は回避される。
「くっ、やはり動きが速いですね」
「確かに、速さだけは一流か。だが……」
その横でライフルを構えるコーネリア。レイターコールドショットを使用して攻撃。命中した敵は大きなダメージを負い、さらに動きも鈍る。
「傷を負っては自慢の速さも台無しだろう?」
「その通り、ですね!」
フラフラと、それでもなんとか飛行しようとする鳥型にアニスがとどめをさした。
海上からも鳥型への攻撃が行われる。
メトロノームが灼翼を使用。歌によって顕現された蒼炎により、まとめて殲滅を図ろうとする。
だが、敵は空中にいるグリフォンライダーの方へ肉薄しようとしている。味方を巻き込まないようにするためには、タイミングと間合いを計る必要があり、なかなか攻撃のチャンスを得られていないのが現状であった。
「気を使って攻撃しなければいけませんね……」
メトロノームは灼翼からブリザードでの攻撃に変更。属性的な問題はなさそうだが、範囲的に味方を巻き込む可能性の低いブリザードの方が有用だという判断だろう。
「直撃を狙うこともできるが……ここは援護に徹するか」
コーネリアはライダーに接近する鳥型に対し威嚇射撃を使用。その動きを制限することでライダーへの、そしてキャリアーから攻撃する味方への支援とする。
「味方に当てないようにっていうならこれが一番だな。ミグさんも頼む!」
「うむ、よかろう!」
レオーネはロックオンレーザー、ミグはメガビームシールドを使用。放たれた数条の光線が鳥型を狙い撃つ。
「近寄らせるわけにはいきません!」
敵の数はそれでもなお多く、キャリアーに接近しようとする鳥型もいる。それに対してはアニスが杖へと持ち替え、そこからホーリーライトを撃ち込み撃墜する。
こうして対空戦は順調に経過していく。危惧された重量の問題も解決されておりライダー、キャリアーとも機動力をいかんなく発揮している。圧倒しているといっていいだろう。
「被弾0……上々じゃな」
防御障壁で急場の防御も行うつもりだったミグ。キャリアーが墜落したら元も子もないとの判断だったが、杞憂だったようだ。
問題は……海中を行く魚型の方であった。
●
「この殲滅状況なら歩行延長は不要か……」
空の様子を一度確認してから再度海中を眺めるアウレール。
やむを得ぬ場合を除き海中戦は避ける方針。だが、それでいいのか……そんな不安が頭をよぎる。何しろ、海中に潜っているのはディーナ一人なのだから。
(いや、迷うな)
浮上してきた味方を狙って攻撃してくる敵を逆に狙い撃つという方針そのものは正しいはずだ。そう考えアウレールは油断なく槍を構える。
同じような考えは真も持っているようだ。だが、そもそも潜ろうにもウォーターウォークが効いている間は難しい。
「今はできることをやるしかないか……」
銃を構えた真は空中戦の支援を行いながら水中へ注意を向ける。
……その水中では激しい戦闘が行われていた
(100秒くらいなら息を止めていられる……つもりだったの。でも……)
一人潜って戦闘するディーナ。ディヴァインウィルを使用して敵の足止めを図っていたが、それは一部成功していた。確かに敵は見えざる壁に阻まれて動きを止めていた。
だが、5体ほどはそのディヴァインウィルの範囲の外を泳いでおりそのまま船団の方へ向かって行ってしまった。追うこともできたが、半数以上を止めているという事実もありうかつに動けない。
さらに、魚型は体当たりがディーナに届かないとみるや水弾による攻撃に切り替えてきた。
残っている数は10体。それらが一斉に攻撃をしかけてきているのだ。防御の堅いディーナといえど長時間耐えうるものではない。
1発1発が体力を削り、痛打を受ければ衝撃で息が吐きだされる。
(もう……限界なの……)
結果として30秒持たずディーナは限界を感じ、ディヴァインウィルを解除して急ぎ浮上する。
だが、当然敵もそれを追ってくる。
追いすがる魚型が体当たりを敢行。それを連続で受けるディーナ。回避することもできない。一瞬意識が消えそうになるディーナ。だが、ただでやられてやるわけにはいかない。
「ハァッ! ……これ以上好きにはさせないのっ!!」
海面に出て大きく息を吸う。それとともにディーナは最後の力を振り絞り、セイクリッドフラッシュを使用。寄ってきた魚型は広がる光の波動に飲み込まれ消滅していく。半分は仕留めきっただろうか。
「大丈夫か!?」
そのまま沈んでいきそうになるディーナの手を掴み、引き上げながら、寄ってきた魚型を刺し貫くアウレール。
「こちらに引き付ける。ブラオラントさんはフェルミさんをキャリアーの方に」
すぐさま真はソウルトーチを使用。その思惑通り残され海面近くまで来ていた魚型が真に向かう。
「水中から水上は狙えない。そしてそこにこそつけ入る隙がある!」
水面に出て水弾を撃ち込もうとした魚型。そこを、海面を注視していたミグが過たず打ち抜く。
さらに連続して出てきた魚型。
「歪虚の……刺身! ……美味そうではないな」
それらは真が薙ぎ払いによってまとめて始末する。
これで、この戦場下にいる魚型は倒した。
「でも……半分は後ろに……行っちゃった……の」
「鳥型も始末している。すぐに私たちも向かう。安心しろ」
アウレールに抱えられたディーナはその会話を最後に、気を失った。
●
結果的に、後方の船団には大きな影響はなかった。
船でこちらへ向かっていた第4師団も流れてくる魚型は確認しており、水中戦でそれらを撃破していた。
「専門家はさすがじゃな。手際が良い」
ミグが感嘆の言葉を上げる。
だが、手際が良いとはいえ多少ケガをしたようすが見られる。さすがにディーナ以上の大けがを負っているものはいないが。
「……こちらも水中戦を加味するべきだったかもしれないな」
真が呟いた。今回はキャリアーに加えライダーも3騎いた。空中戦力がある程度確保されている以上、そこにハンターの支援が行われれば空中戦が優位に運ぶことは自明だった。となればハンターの方は水中の敵にある程度戦力を割り振るべきだっただろう。
より正確にいうのであれば、水中で戦うものがディーナ以外にも必要だった。そうすれば多少敵の攻撃も分散し被害も減らせたはずだ。水中戦の危険性を理解しているからこその、水中戦の忌避。それが悪い方に働いた結果だろう。その点は反省の必要があるだろう。
「暗黒海域を探るとなれば水中戦の機会もまたあるだろう。その時に今回の分は取り返すとしよう……ともあれ、敵の殲滅には成功した」
「あぁ。後方の船団には被害がないし、及第点はもらえると思いたいぜ」
コーネリアの言葉に同意するレオーネ。
敵の殲滅、船団への被害なし。これなら十分な戦果であるといえよう。
「戻ったらグリフォンに乗せていただけるでしょうか?」
戦闘が終了し少し気が軽くなったのだろうか。グリフォンに触りたいのを我慢していたメトロノームがそんなことを団員に聞いている。
「私は島にいるグリフォンたちの生活に興味があります。教えていただけますか?」
「島については意見を具申したいと思っていたのだ。それも構わないだろうか」
メトロノームに続きアニス、アウレールの言葉。尤も、これらも全て船団に戻ってからのことだ。
ハンターたちはキャリアーに乗って船団への帰途についたのだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
補足説明 ロルフ・シュトライト(kz0055) 人間(クリムゾンウェスト)|26才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/08/16 15:45:36 |
|
![]() |
相談卓、です メトロノーム・ソングライト(ka1267) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/08/18 22:11:16 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/08/16 13:52:43 |