ゲスト
(ka0000)
【蒼乱】始まりのオアシス・アウローラ戦
マスター:葉槻

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/09/27 19:00
- 完成日
- 2016/10/08 17:39
このシナリオは2日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
浄化されたオアシスの南側にはTの字を連続させたような城壁が建ち、続いて東側へと距離を伸ばしていた。
本来であればここから更に西側、北側にも城壁を伸ばす予定だったのだが、予想以上に転移門を形成できる地域が見つかったことで他の転移門の最低防御力を上げるべく人員(と予算)を余所へと取られた為、L字型というなんとも中途半端な城壁となっていた。
だが、北西側は暫く行けば海である為、恐らく敵の襲撃方向としては南、もしくは東であろうとハンター達も予測を立てていた。
さらにこの拠点を中心として半径3kmは常にハンターを見回りに出し、サンドワームやその他雑魔達を駆逐することにより、負のマテリアルの流入を防ぎ、イニシャライザーの寿命を延ばす作戦が取られている。
その日暮らしをしていたコボルド達は、ハンター達から労働力の対価として3食食べられる生活に切り替わったお陰で、目に見えて毛づやが良くなり、骨と皮しか無いようだった手足もしっかりと肉付いてきたように見える。
だが、このまま仕事が無くなればまた彼らはその日暮らしに戻るしか無くなる。
多くのハンター達はコボルド達に親身となって今後の彼らの生活について頭を悩ませていた。
一方でもっと深刻な情報もハンター達にはもたらされていた。
――南方大陸にて高位の歪虚、マクスウェルの目撃情報である。
以来、拠点として浄化した場を強欲竜達に襲われるという事件が頻発している。
もっとも、浄化した地というのは強欲竜達にとっても魅力的な餌でもあるはずなので、襲われること自体は不思議でもなんでも無い。
それを見越しての防衛対策をして来ている。
だが、それだけが原因では無い……そんな予感を誰もが抱えていた。
そんなある日。
望楼の物見小屋。その男は欠伸を噛み殺しながら中央の椅子に腰掛けて、見張りをしていた。
リゼリオから持ち込んだ回る椅子でくるくると回りながら四方を見て、ふわぁと欠伸を一つ。
日中はとてもでは無いが人が出歩けるような気候ではない為、コボルド達を含め、昼食後から15時までは休憩時間だった。
各々詰所や集会所で休んだり、転移門からリゼリオへ帰る者もいる。
男のように見張り役の者達はそういう訳にもいかないが、気の緩む時間帯であることに変わりは無い。
「にしても、暑い」
男は襟元をパタパタと引っ張り服の中へと風を送りながら、持ってきた団扇で顔を扇ぐ。
「氷でも取ってこようか?」
もう1人、暑さに机に突っ伏していた男がのそりと顔を上げた。
「そうだな……頼むわ」
忙しなく団扇で扇いでいた男が、視線を南へ移し、そして止まった。
「……何だ?」
「……? どうした? ……砂嵐か?」
南側に黄色いもやのような物が見えた。
「いや、砂嵐にしては様子がおかしい」
男は以前ここで自然の砂嵐に遭遇していた。
あれは雨の代わりに砂が降り注ぐ台風のような物だ。
一寸先さえ見えなくなり、詰所や集会室が完成していたから良かったが、そうでなければ全身を砂でめちゃめちゃにされるところだった。
そしてなにより、砂嵐が去った後の片付けもまた大変だった。
そんなことまで思い出して頭を振った。違う、今はそこじゃない。
「双眼鏡貸してくれ」
「あいよ」
机の上の双眼鏡を手渡すと、男は真剣な表情で南を見つめる。
「あれは……鐘を!! 強欲竜達だ!!」
男の叫びに、突っ伏していた男も跳ね起きると鐘を連続で鳴らした。
カンカンカンカンカンカン……
いつもは楽しい食事の時間を告げる鐘が、ついに警鐘として使われた瞬間だった。
■ここから解説補足
※このオアシスは下記依頼にに登場したオアシスと同一です
・【蒼乱】まだ見ぬ赤龍の故郷へ 後
・【蒼乱】みんなでビフォーアフター!
【簡易MAP】(上が北 下が南)
←海側(西) (東)→
砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂
砂 □ 砂
砂 水水水水 □家家 砂
砂 水水水水 □家家 砂
砂 水水水水 □イ 砂
砂 水水水水 □ 砂
砂 水水水水 □集 壁砂
砂 神門□詰 壁砂
砂□□□□□□□□□□□砂
砂 イ倉 望□保 壁砂
砂 □ 壁砂
砂壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁砂
砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂
砂……浄化術範囲外
水……オアシス。中央にイニシャライザーが沈められている
イ……イニシャライザー(台座に載った大きな龍鉱石)
神……神霊樹
門……転移門
家……コボルドの家
集……コボルドと人の集会所
詰……ハンター詰所
望……望楼
倉……倉庫。拒馬(2m)100本、有刺鉄線300m分
保……保管庫。非常食や水(2L)100食分
□……舗装された道
壁……T字を連続させたような城壁
【建設物詳細】
・望楼……高さ10mの木製四階建て。物見台部分は四面に二重ガラス窓を付けられた小屋状。小さな鐘が設置されており、緊急時にはこれを連打することで周囲に知らせる事が出来る
・城壁……南側1km。東側は約500m分が完成している。高さ4m(+胸壁1m)、厚さ5m(胸壁1m、歩廊3m)、TとTの空間部分20m×2.5m、南側9箇所、東側3箇所
【防御力について】
城壁(モブ覚醒者15人含む)生命力3000 防御点40
拒馬(1本)城壁の生命力に+20 全設置ボーナス=生命力+1000 防御力+10
【拒馬について】
1本をモブ覚醒者2人がかりで運ぶ(1ターンに5~7本設置可)
有刺鉄線は拒馬に巻き付ける又は拒馬同士を結ぶのに使用予定
基本南側の城壁の空間部分を埋める形で設置していく
上記以外の指示があれば代表者のプレイングにて変更可
【その他】
モブ覚醒者15名
主に拒馬設置要員、及び城壁からの射撃要員(弓・銃使用 射程20 射撃命中:80 射撃威力:80)
【コボルド】
10名
知能は幼児~9歳未満
青い布を纏った非戦闘員
鐘が連続して鳴ったら逃げろと教えられている為、現在は住居の地下へ逃げ込んでいる
【イズン】
この場にいません。
なので、イズンがいるときに聞いた、という体で質問があれば受け付けます。
浄化されたオアシスの南側にはTの字を連続させたような城壁が建ち、続いて東側へと距離を伸ばしていた。
本来であればここから更に西側、北側にも城壁を伸ばす予定だったのだが、予想以上に転移門を形成できる地域が見つかったことで他の転移門の最低防御力を上げるべく人員(と予算)を余所へと取られた為、L字型というなんとも中途半端な城壁となっていた。
だが、北西側は暫く行けば海である為、恐らく敵の襲撃方向としては南、もしくは東であろうとハンター達も予測を立てていた。
さらにこの拠点を中心として半径3kmは常にハンターを見回りに出し、サンドワームやその他雑魔達を駆逐することにより、負のマテリアルの流入を防ぎ、イニシャライザーの寿命を延ばす作戦が取られている。
その日暮らしをしていたコボルド達は、ハンター達から労働力の対価として3食食べられる生活に切り替わったお陰で、目に見えて毛づやが良くなり、骨と皮しか無いようだった手足もしっかりと肉付いてきたように見える。
だが、このまま仕事が無くなればまた彼らはその日暮らしに戻るしか無くなる。
多くのハンター達はコボルド達に親身となって今後の彼らの生活について頭を悩ませていた。
一方でもっと深刻な情報もハンター達にはもたらされていた。
――南方大陸にて高位の歪虚、マクスウェルの目撃情報である。
以来、拠点として浄化した場を強欲竜達に襲われるという事件が頻発している。
もっとも、浄化した地というのは強欲竜達にとっても魅力的な餌でもあるはずなので、襲われること自体は不思議でもなんでも無い。
それを見越しての防衛対策をして来ている。
だが、それだけが原因では無い……そんな予感を誰もが抱えていた。
そんなある日。
望楼の物見小屋。その男は欠伸を噛み殺しながら中央の椅子に腰掛けて、見張りをしていた。
リゼリオから持ち込んだ回る椅子でくるくると回りながら四方を見て、ふわぁと欠伸を一つ。
日中はとてもでは無いが人が出歩けるような気候ではない為、コボルド達を含め、昼食後から15時までは休憩時間だった。
各々詰所や集会所で休んだり、転移門からリゼリオへ帰る者もいる。
男のように見張り役の者達はそういう訳にもいかないが、気の緩む時間帯であることに変わりは無い。
「にしても、暑い」
男は襟元をパタパタと引っ張り服の中へと風を送りながら、持ってきた団扇で顔を扇ぐ。
「氷でも取ってこようか?」
もう1人、暑さに机に突っ伏していた男がのそりと顔を上げた。
「そうだな……頼むわ」
忙しなく団扇で扇いでいた男が、視線を南へ移し、そして止まった。
「……何だ?」
「……? どうした? ……砂嵐か?」
南側に黄色いもやのような物が見えた。
「いや、砂嵐にしては様子がおかしい」
男は以前ここで自然の砂嵐に遭遇していた。
あれは雨の代わりに砂が降り注ぐ台風のような物だ。
一寸先さえ見えなくなり、詰所や集会室が完成していたから良かったが、そうでなければ全身を砂でめちゃめちゃにされるところだった。
そしてなにより、砂嵐が去った後の片付けもまた大変だった。
そんなことまで思い出して頭を振った。違う、今はそこじゃない。
「双眼鏡貸してくれ」
「あいよ」
机の上の双眼鏡を手渡すと、男は真剣な表情で南を見つめる。
「あれは……鐘を!! 強欲竜達だ!!」
男の叫びに、突っ伏していた男も跳ね起きると鐘を連続で鳴らした。
カンカンカンカンカンカン……
いつもは楽しい食事の時間を告げる鐘が、ついに警鐘として使われた瞬間だった。
■ここから解説補足
※このオアシスは下記依頼にに登場したオアシスと同一です
・【蒼乱】まだ見ぬ赤龍の故郷へ 後
・【蒼乱】みんなでビフォーアフター!
【簡易MAP】(上が北 下が南)
←海側(西) (東)→
砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂
砂 □ 砂
砂 水水水水 □家家 砂
砂 水水水水 □家家 砂
砂 水水水水 □イ 砂
砂 水水水水 □ 砂
砂 水水水水 □集 壁砂
砂 神門□詰 壁砂
砂□□□□□□□□□□□砂
砂 イ倉 望□保 壁砂
砂 □ 壁砂
砂壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁砂
砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂
砂……浄化術範囲外
水……オアシス。中央にイニシャライザーが沈められている
イ……イニシャライザー(台座に載った大きな龍鉱石)
神……神霊樹
門……転移門
家……コボルドの家
集……コボルドと人の集会所
詰……ハンター詰所
望……望楼
倉……倉庫。拒馬(2m)100本、有刺鉄線300m分
保……保管庫。非常食や水(2L)100食分
□……舗装された道
壁……T字を連続させたような城壁
【建設物詳細】
・望楼……高さ10mの木製四階建て。物見台部分は四面に二重ガラス窓を付けられた小屋状。小さな鐘が設置されており、緊急時にはこれを連打することで周囲に知らせる事が出来る
・城壁……南側1km。東側は約500m分が完成している。高さ4m(+胸壁1m)、厚さ5m(胸壁1m、歩廊3m)、TとTの空間部分20m×2.5m、南側9箇所、東側3箇所
【防御力について】
城壁(モブ覚醒者15人含む)生命力3000 防御点40
拒馬(1本)城壁の生命力に+20 全設置ボーナス=生命力+1000 防御力+10
【拒馬について】
1本をモブ覚醒者2人がかりで運ぶ(1ターンに5~7本設置可)
有刺鉄線は拒馬に巻き付ける又は拒馬同士を結ぶのに使用予定
基本南側の城壁の空間部分を埋める形で設置していく
上記以外の指示があれば代表者のプレイングにて変更可
【その他】
モブ覚醒者15名
主に拒馬設置要員、及び城壁からの射撃要員(弓・銃使用 射程20 射撃命中:80 射撃威力:80)
【コボルド】
10名
知能は幼児~9歳未満
青い布を纏った非戦闘員
鐘が連続して鳴ったら逃げろと教えられている為、現在は住居の地下へ逃げ込んでいる
【イズン】
この場にいません。
なので、イズンがいるときに聞いた、という体で質問があれば受け付けます。
リプレイ本文
●最前線・開戦
警報の鐘を鳴らし続ける。
南の果てなく続く砂丘をを見ればそこは黄色い砂埃が舞い上がっている。
あれほどの砂埃を立てて迫ってくるとは、一体どれほどの数の敵が来ているのか。
鐘を鳴らしながら、見張りの男は思わず生唾を飲み込んだ。
「このクソ暑い中わざわざ攻めてきやがって……。全員生かして返さねえぞ! 行くぞ、ヴァン!」
「さて、この暑い中働きたくないのじゃがのぅ、ヴェルター力を貸しておくれ。風のように終わらせてやろうではないか」
「灼熱の戦場にようこそってか。出迎えに行くぜ!」
3頭のイェジドがそれぞれの主を乗せて灼熱砂漠を疾駆する。
フォーコに乗ったジャック・エルギン(ka1522)がレピスパオを構え、文字通り鏑矢を放つ。低音の風切り音と共に宙を走った矢は砂上を転がるようにして走っていたラタトスクの眉間に刺さり、思わずひっくり返ったそれに後続が引っかかり、ドミノ倒しの如くラタトスク達の足並みが乱れた。
次いでまだ誰もハンターが到着しておらず、敵が密集した空間へ、ヴィルマ・ネーベル(ka2549)が胴の長い猫の人形……もとい、術具であるソノマ・マ・ユグディラを構える。
愛らしく手招きする猫の手からは業火の球が飛び出し、広範囲の敵を焼き払う。
ボルディア・コンフラムス(ka0796)が注意深く砂上を見ると、不自然に砂紋を描きながらこちらへ近付いて来る動きが見えた。
先の2人を追い越したヴァーミリオンが躊躇無く敵の最中へと跳躍すると、ボルディアはその動く砂紋の目の前で宣花大斧を振り下ろした。
衝撃に一気に砂が津波のように波紋を描きながら広がり、激しく大地が揺れ、ボルディアの周囲にいた敵の殆どがその場にしがみつくようにして身動きを取れなくなる。
ヴァーミリオンもまたその衝撃を受け身動きが取れなくなるが、その瞳は毛並みの赤より激しい闘志を宿し、低いうなり声を上げながら敵を睨み付けていた。
「おーおー絶景だな」
グリムバルド・グリーンウッド(ka4409)は迫り来る敵の群れをヘイムダルであるヴェルガンドのモニター越しに見て、半分感心、半分呆れを込めて呟く。
(せめて城壁が完成してから来てほしかった。いや戦術的には正しいんだけど、見た目がな?)
なんて背後の城壁をちら見して深々と溜息を吐く。
この拠点の設営には発見時から関わってきた1人として、色々と複雑な胸中である。
「まぁいい。折角来たんだ。もてなしてやるから盛大に爆散していきやがれ!」
徐々に機内の温度が上がってくる愛機を己の手足のように動かしつつ、グリムバルドはモニター越しでも判る、不自然な砂の動きに照準を合わせて引き金を引いた。
「……こいつを持ち込んで正解だったようだな。では、俺も全力で当たらせてもらうとしよう」
魔導型デュミナス、雷電の操縦桿を握りながら、榊 兵庫(ka0010)は浮かびそうになる笑みを堪えて鼻を鳴らした。
ジャリジャリとノイズを混じらせながらも、チャンネルをオープンにしたトランシーバーは周囲の仲間の声を時折伝えてくる。
しかし、魔導短伝話は100m程城壁から離れて以来沈黙してしまっている。
(周囲の歪虚の駆逐に努めてもまだ伝話が使えるほど、マテリアルは回復していないのか)
備えあれば憂い無し。念のためにと両方持ってきて正解だったと兵庫は思いながら額から流れてきた汗を拭う。
「ホントに、真面目に空調どうにかして貰わないとな……」
以前砂竜と闘ったときの事を思い出し、辟易しながらも、空を舞う竜の影に兵庫はアサルトライフルを構えた。
灼熱の日差しを浴びて、見事なゴールデンイエローに耀く毛並みを揺らしながら叢雲と名付けられたイェジドが力強く砂を蹴る。
「あーもう! こんな暑いとこ休憩中にわざわざどーも! さっさとお帰りくださいませーって感じかもかも」
その上でミィリア(ka2689)は独りごちながら、前方を睨むように見据える。
前に見えるのは最前線付近に立つボルディアだろう。彼女を中心として起こる地震を嫌ってリザードマン達が左右に割れるように動くのが見えた。
「……さ、行こう叢雲! お待ちかね……かどうかはわかんないけど突撃タイムでござるーっ!」
絶対にここは守りきるという気合と共に、ミィリアはその身に宿るマテリアルを炎のように燃やした。
立ち上るオーラに気付いて、真南から少し東西へ流れかけていたラタトスクや一部のリザードマン達が再び進路を南――ミィリアへと変更した。
それを見たミリィアは口元をきゅっと結んだまま笑みを浮かべ、抜刀した祢々切丸を大きく振った。
●城壁・迎撃準備
灼熱砂漠の中へと飛び込んで行った6人による足止めの中、この日の為に準備していた拒馬を倉庫から運び出す為にハンター達が列を成していた。
「敵が攻めてきましたね。今後のことを考えると、この拠点を失う訳にはいきませんから、絶対に死守ですね」
そう覚悟を決めたエルバッハ・リオン(ka2434)が直ぐ様に魔導トラックを倉庫に横付けすると、ハンター達へと指示を出す。
「A班は二人一組となって拒馬をこのトラックに載せて下さい。B班はマニュアルにある振り分け番号通りに城門で待機拒馬が到着次第設置に取りかかって下さい。自分の班や番号が分からない人は表が倉庫裏に貼ってありますから、それを見て確認して下さい」
元々拒馬の提案やこの設置に関してのマニュアル制作などを担当していたエルバッハが真っ先にここに駆けつけたことにより、場の混乱は最低限で押さえられ、ハンター達はそれぞれの役目に従い動き始めた。
「手伝います!」
黒いヘイムダルが倉庫へと駆け寄ってきた。ヤタガラスと名付けられたそれを操縦するのはクレール・ディンセルフ(ka0586)だ。
「助かります」
エルバッハは頷くとテキパキと指示を出していく。
「可能な限り荷台に! 西側に設置してくださる方、乗ってください!」
クレールの呼びかけに、西側を担当するハンター達が数名、荷台の手すりに掴まった。
西側の舗装路を駆け、城門の西側へと出て、クレールは愕然とした。
(敵が近い……!)
敵の移動速度が速い為、前線の足止めをすり抜けたラタトスクの群れや飛行するヴイヴルとジャバウォックがこちらへと真っ直ぐに進んできているのが見える。
だが、城門の上にも下にも既に幾人かのハンター達が接近する敵に備えて各々銃を始めとする得物を構えている。
(でも、猶予はある! この僅かな時間、活かしきる!)
クレールは流れる汗もそのままに、人を降ろし、拒馬を降ろすと倉庫へと取って返した。
「く、居眠りしてて出遅れてしまったわい」
けたたましくなる警鐘を完全に無視しつつ寝ていたミグ・ロマイヤー(ka0665)も、銃撃の音が響くようになってようやく目を覚ました。
一度目が覚めてしまえば行動は早い。愛機の魔導型ドミニオン、ハリケーン・バウへと乗り込むと、倉庫へと向かう。
「あとどこへ運べばよいかの?」
「では残りの拒馬を、城壁中央へお願い出来ますか」
「了解じゃ」
ミグは返事だけ返すと、魔導トラックに乗り込んだエルバッハを見送ることもせず、拒馬の積み込み作業へと入る。
そして残りの拒馬をカーゴスペースに詰め込むと、すぐに城塞中央へ向かって外へと出た。
「おやおや、これはこれは」
城壁の上や、周囲に位置したハンター達がこれ以上近付けさせまいと激しい銃撃戦を繰り広げていた。
●城壁手前・迎撃戦
城壁から見てやや東寄りの位置でヴァルナ=エリゴス(ka2651)は静かに立っていた。
前方の中央で赤いオーラが立ち上り、黄金色のイェジドが飛んで跳ねる姿が見える。
「穏やかに過ごしたい時間帯だったのですが、仕方がありませんね」
それでもなお、まだこちらへ迫り来る砂埃を見ながらヴァルナもまた、ダインスレイフを正眼で構え、静かに目を閉じると大きく息を吸って、止めた。
(ここを落とされては今までの苦労が水の泡……絶対に守りませんと)
丹田に力を込めると同時に目を見開く。解放された体内マテリアルは赤いオーラを立ち上らせる。
その少し後ろで神代 誠一(ka2086)と椿姫・T・ノーチェ(ka1225)がそれぞれにMURASAMEブレードとブラッドストリングを構える。
本当はボルディアのいる最前線まで行きたかったが、イェジドの速さに人の身ではついて行けない。
そして、敵の足並みにばらつきがある以上、足の速い歪虚達は前線をくぐり抜けこちらへと接近してきており、今頃前線は足の遅いリザードマン達の足止めをしているはずだ。
足の速い歪虚達の方が悪質なモノが多い。誠一はヴァルナのオーラに惹かれて、動いていた砂山やラタトスク達が彼女目がけて突進してくるを目にして、メガネのブリッジを押し上げた。
「椿姫さん」
「はい」
水分補給を終え、しっかり口元を布でマスク代わりに覆った椿姫は、誠一に自分が何を求められているのか、名を呼ばれただけで判った。
「無茶はしないでくださいね、誠一さん」
彼にだけ聞こえるようにそっと囁くと、砂中の敵に向かい鞭をしならせた。鞭の先が砂の中まで抉る。
それにサンドヴァイパーは驚いたのか、大きくうねって砂を撒き散らしながら地上へと顔を出した。そこを椿姫がすかさず鞭打つ。
間髪入れずに誠一もまた光斬刀を用いて一陣の風と共にここでは見られない葉の幻影が生じさせると、砂蛇の動きを奪い、斬り付ける。
しかし周囲には続々とラタトスクが近付いて来て、金切り声を上げ始める。
「くっ!」
「っ!!」
「あぅ!」
思わず耳を塞ぐが間に合わない。肌を焼く暑さなのに、三人の肌には鳥肌が立ち、全身が戦慄く。
そんな三人の目の前を極寒の暴風雪が駆け抜ける。
「彼らのところには行かせません……!」
現地のコボルド達を見習ってローブを羽織り、手ぬぐいで防砂対策をしたマルカ・アニチキン(ka2542)のブリザードだった。
更に生き残っているラタトスクへ、イェジドのコシチェイが体の側面につけた鎌で斬り付ける。
「有り難うございます」
「は、いえ……そんな……!」
ヴァルナに礼を言われてマルカは照れくさそうにわたわたと手を振り、その時コシチェイがぐるりと向きを変えたのでバランスを崩して落ちそうになる。
「きゃぁっ!? もう、コシチェイ……!」
今回はマルカがコボルド達向けに開いている絵画教室のモデル役でこの砂漠に来ていたコシチェイは、老いた身でもあり、何より暑さもあってだらだらとしていたのだが、やはり敵を前にすると活き活きと滾るモノがあるのだろう。
獰猛なうなり声を上げながら、砂蛇と近寄ってくるラタトスクを睨む。
「コシチェイ……お願いします」
誠一と椿姫が砂蛇に集中出来るよう、マルカはもう一度ブリザードを放つべくババ・ヤガーへと意識を集中した。
同じく、城壁の前やや西側にいるのはリーリーの陣風に乗った観那(ka4583)だ。
「これが共に出る初めての戦場ですね……良き初陣となればよいのですが」
陣風の首筋を撫でると、陣風は嬉しそうにひと鳴きして、首を振った。
やや西側に膨らんでいるラタトスク達を見て、観那はギガースアックスを振り、その先端で歪虚の群れを指すと己のマテリアルをオーラへと変換した。
すると観那の光に気付いたラタトスク達が観那に向かって舵を切った。
「かかりました……! 陣風、行きますよ」
徐々に南中央へ寄せる。その為には十分こちらへ引き付けつつ少しずつ動く必要があった。
ラタトスクの群れが押し寄せる。
それを見て、慎重に観那と陣風は引くタイミングを慎重に図って……その時、ザンザンザンと砂を蹴る駆動音が近付いて来ると、観那の横をキャノピーが付いた黒く小柄な魔導アーマーが追い越した。
「はやてにおまかせですの!」
外部スピーカー越しに聞こえた声に、操縦者は八劒 颯(ka1804)だと知る。
また、その足元に取り付けられた荷台からは央崎 枢(ka5153)が転がり落ちる。
城壁手前まで行くという颯の好意で荷台に乗せて貰った枢だが、もとより人を乗せる為の荷台ではない。砂漠を全力疾走する魔導アーマーの荷台への振動は凄まじかった。
それでも、アウローラ設営に関わった一人として見過ごせないという強い想いですぐに立ち上がった。
「ここは『始まり』、だから終わらせない!」
口元を覆うストールを締め直し、ずれたゴーグルをかけ直す。
そして愛用の大剣ガラディンを抜き構えると、迫り来るラタトスクへと剣を振り下ろした。
また颯もトレードマークの魔導ドリルで近付くラタトスク達を貫いて行く。
さらにまだほぼ城壁側から拒馬の設置が終わったクレールの対空砲CC-01による援護射撃がラタトスクを捕らえる。
観那はそんな3人からのフォローに小さく頭を下げると、大斧を頭上で振り廻し、構えた。
「絶対、守ってみせます!」
●城壁及び城壁周囲・対上空戦
城壁周辺で迎撃準備に入っている者達は各々水分補給をしつつ、敵が攻撃範囲内に入って来るのを待ち構えていた。
殆どの地を這う歪虚は、砂漠へと出撃したメンバーの活躍によって押し留められていたが、しかし、ついに頭が良いと噂されるヴイヴルとジャバウォックが順調にそのデットラインを越えようとしていた。
それを魔導型デュミナスのモニター越しに確認したアニス・テスタロッサ(ka0141)は上唇を舐めて引き金を引いた。
「頭が良かろうが速かろうがな……意識の外からブチ込まれりゃ当たらざるをねぇってな」
警戒範囲外からの銃撃にヴイヴルの顔が怒りで赤く染まったのを見て、アニスは思わず笑みを零す。
それでもまだヴイヴルは墜ちない。
それなら墜ちるまで撃てば良いこと。アニスは引き金を引くチャンスをじっくりと狙い始めた。
「早過ぎる襲撃ですね……まだ、此方は……然して準備が整っていない、と言うのに」
愛機である魔導型デュミナス射撃戦仕様に乗り、試作型スラスターライフルの残弾を確認しながら天央 観智(ka0896)は独りごちた。
観智もまたこの拠点には設営開始当時から関わっているため、それなりに愛着もある。
城壁の内側から狙おうかと思っていたが、そうするとTとTの間の空間の高さが足りず前が見えない為外へと回った。
「群れの数も多過ぎますね。一々狙っていては押し切られます……と言うか、適当にその辺に撃てば……何かしらに当たりますよね、この状況は」
前方で二つのオーラが立ち上っているのが見える。さらに向こうでも、一つ。
その周囲には砂では無い色が犇めいている。
さらに砂煙を上げながら走って行くバイクの姿も遠目に見える。
そして、空を飛ぶ二体の歪虚の姿も。
観智はとても平静な瞳で画面越しにジャバウォックを観察する。
時折ヴィルマのアイスボルトがその身体を貫くが、それでも飛行力に変わりは無い。
そしてその射程距離に入った瞬間に引き金を引いた。
観智の銃声の直後、ミグのハリケーン・バウが持つスラスターライフルも火を吹いた。
観智の左右には、拒馬を配置し終わったミグの機体と運転席にいるエルバッハが駆けつけてきた。
「ここには……入れさせませんよ」
観智の凪いだ瞳がひたと冷静に戦況を見つめていた。
「そなたらに空中はもったいないのぅ。……地を這え、それがお似合いだ」
ヴィルマはヴェルターに邪竜を追わせながら魔法攻撃を繰り出していた。
通算3つのアイスボルトが邪竜を捕らえたところで、ついに邪竜はぐらりと低空飛行を始め……ぐんとヴィルマ目がけて牙を剥いた。
「何と!」
慌ててヴェルターに回避を命じるも、全力で後を追っていたその足を急に止めれば、慣性の法則が働きヴィルマは火傷しそうな程に熱い砂の上に転がり落ちた。
慌てて身を起こすも、目の前に迫った邪竜の牙を避けきれなかったヴィルマは、その腕を大きく食い千切られた。
「くぅ……」
ヴェルターがヴィルマを庇う様に立ち、邪竜へ低いうなり声を上げる。
もう一度、と言わんばかりに邪竜が空中で旋回した時、一つの銃声が邪竜を捕らえ、そして……
「下がれ阿呆!」
冬樹 文太(ka0124)の怒声がヴィルマの耳に届いた。
「城壁守る以前に、手前が死んだら意味ねぇだろうが……!」
「あ、阿呆とは失礼な……!」
ヴィルマは立ち上がって言い返し始めるが、城壁にいる文太には地上のヴィルマの声は聞こえない。
「あぁ!? そんなちっせぇ声聞こえねぇよ!」
怒鳴り返しながらも、視線は邪竜とヴイヴルを追う。ヴイヴルには他のメンバーが攻撃を開始し始めているのを確認し、文太はすぐに邪竜へと視線を戻す。
(絶対に誰も死なせない!)
強い意志を桃色の瞳に宿し、再度邪竜を狙ってフォールシュートを放った。
それはヴィルマの周囲にいるラタトスク達を蹴散らすにも役立つ。
だが、当たらないと知っているはずなのにフォールシュートの迫力に頭を押さえながらヴェルターの影に隠れたヴィルマの姿を見て、思わず目を丸くした後、小さく吹き出してしまった文太だった。
ジュード・エアハート(ka0410)はその柔らかな頬を膨らませて空を睨んでいた。
砂漠の太陽光は厳しすぎる。フード付き白ヤギタオルを頭から被り、遮光ゴーグルで目元をカバーし、肌には日焼け止めを塗ってきたが恐らく帰宅後にちゃんとお手入れをしなければ翌日酷い目に遭うだろう。
リーリーのミルティが心配そうに背に乗る主の様子を窺う。
その瞳と鈴の音のような声にジュードは相好を崩してその首を撫でた。
「頑張ろうね」
いつものジュードの声と掌の感触にミルティが甘えるようにひと鳴きすると、ミルティもまたいつでも地を駆けられるよう下肢に力を入れた。
ジュードが恐れるのは賢いと言われるヴイヴルだ。
たまたま過去に戦った事があるというハンターから話しを聞いたが、大体手口はジュードの予想した通りだった。
共に来ている下級歪虚に指示を出して襲わせたり、状態異常を中心に相手をいたぶったり。
本当はミルティと共に城壁の上に昇りたかったが、残念ながら歩廊が狭かったので断念し、地上から双眼鏡でヴイヴルを狙う。
アニスの長距離攻撃が炸裂したのが見え、ジュードは徐々に輪郭がハッキリしてくるヴイヴルを見て……片眉を跳ね上げた。
「『蛇の体にコウモリの翼、上半身は人間の女性』ってこういうこと……!?」
ヴイヴルの上半身は何も身につけておらず、豊満な肉体が見て取れる。
「おい! ジュード!! 見えたか!?」
興奮した様子で頭上の城壁からジルボ(ka1732)が声を掛けた。
「ジルボさん……」
やや呆れ声で頭上を見上げる。
「いやぁ、眼福眼福。これで魅了とかあったら危なかったなー」
ジュードは溜息一つ零し、シ・ヴリスを構えた。
酷い軽口を叩いているがジルボの猟撃士としての腕と人となりにはそれなりに信頼を置いている。
ジュードは頭上から聞こえる軽口を全て無視してヴイヴルへと集中した。
「こっちへは近付けさせないよ……! 蒼流星<ステッラ・カデンテ>」
一面黄金色の砂漠においてそれはまさしく蒼い彗星のように宙を切り裂きヴイヴルの肩口を貫いたのだった。
「おー、流石」
その様子をスコープ越しに見ていたジルボは、じっとヴイヴルが狂乱せしアルコルの射程に入るまで静かに見つめ続ける。
取り込んだ水分が直ぐ様汗となって流れては、すぐに蒸発していくのがわかる。
(このクソ地獄で生き延びた奴等が居るんだ。俺も負けてらんねぇよな)
拠点作り開始当初、コボルド達が労働の対価としてご飯が食べられると知った時の瞳の輝きようを思い出す。
生まれ持った不器用さはあるにしろ、下手な人間よりもよっぽど素直に真面目に作業に取り組む姿。
出来なかった事が出来るようになった時のあの誇らしげな表情は、人間とさほど変わらないと知った事。
ガリガリで毛艶も悪かったコボルド達が、みるみるうちに肉付きが良くなり柔らかな毛並みになっていく様。
「門。いや、オアシスは死守だ」
たとえ、どんなにセクシーでダイナマイツなボディであろうとも、歪虚であるなら撃破するのみ。
ジルボの放った弾丸は、ヴイヴルのたわわな胸を貫通した。
ジルボの銃声とほぼ時を同じくして城門の左右から放たれた2発の冷気を伴う弾丸がヴイヴルを襲った。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)と音桐 奏(ka2951)のレイターコールドショットだ。
それでもまだ空を飛び続けるヴイヴルにコーネリアは紅の唇を釣り上げた。
「なるほど。この程度では足りないと」
警戒し、一端距離を置いたヴイヴルから照準を変え、地上を蠢くラタトスクへ向けて威嚇射撃を放つ。
赤い銃身が日差しに焼かれ熱を持っても、コーネリアの抱く歪虚への憎悪の炎の前ではぬるま湯同然だった。
転移門に近づく歪虚を問答無用で完全殲滅する。コーネリアは歪虚に対する慈悲は持ち合わせていない。
「物量戦とは全滅覚悟のようだな? 望み通り引導を渡してやる!」
雷雨のようなオーラを纏わせながら、コーネリアは引き金を引いた。
コボルドとの意思疎通方法の開発と観察を楽しんでいるという奏の話しで南方のコボルドに興味を持ち、シェリル・マイヤーズ(ka0509)はこの拠点へとやってきていた。
そして実際交流を楽しんでいた最中の敵襲とあり、シェリルは口を真一文字に結んで前方を睨む。
「コボルド……なかなか……面白かったのに……」
やらせない、とオートMURAMASAを手に一気に駆け寄る。
ラタトスクの群衆に、振動刀で攻撃をすると見せかけ、マテリアルを纏わせた手裏剣を投げつけた。
1匹の攻撃を避け、更にもう1匹がシェリルに襲いかかってくるのが目の端に見えたが、その個体は風船が破裂するような音を立てて地面を転がった。
射線を辿って振り返れば城壁の上にいる奏の姿が見えた。
「カナデ……」
コボルド達を守りたい、それは本当だ。だが、シェリルにはもう一つここに来た目的がある。
だが、それを果たすのはこれが終わってからだと、すぐに思考を切り替え目の前の敵を斬り伏せた。
●前線後退
「追いかけっこだ。鼠なんかに負けんじゃねーぞ!」
イェジドのフォーコにそんな発破を掛けながら、西側へ行かせないようラタトスクの集団を誘導しながらフォルティスの薙払で蹴散らしていたジャックだったが、この暑さと彼らの放つ金切り声に晒され続ける中で何時しか肩で息をしていた自分に気付いた。
水代わりにヒーリングポーションを一気に飲み干すと、気持ち身体がラクになった気がする。
気付けばラタトスクの姿を殆ど見なくなり、代わりに光の矢や石礫、火矢などが飛んで来るようになった。
「遅いお出ましだな、おい」
ジャックは振り返り、リザードマンの大軍に向けて大剣を握り直した。
敵の足並みに随分と差がある。
敵襲来の報せがなった時にはまだその姿は遠く、その点に注目出来た者はいなかったが、結果的に前線が『無理な後追いはしない』としたことと、歪虚達が戦闘よりオアシスを目指すことを優先していた結果、サンドヴァイパーとラタトスク達を足止めしつつ数を減らし、リザードマン達が来る頃には彼らだけを相手取れる状態になっていた。
ただし、常に歪虚達と戦い続け、既に自己回復スキルが残っている者も少ない。
そんな彼らを癒やし続けたのが今作戦唯一の聖導士だったアルヴィン = オールドリッチ(ka2378)だった。
「ヤァ、ココが噂の砂漠と言う所カイ? すっごく暑いネ! スゴイネー!」
来た当初はそんな感じできゃっきゃとはしゃいでいたが、敵襲来の報が鳴ってからの彼の動きは最前線から城壁前までの間をバイクで駆け抜け、辻切りならぬ辻ヒール、辻ヒーリングスフィアで前線維持に協力していた。
一方ソウルトーチを使う事で、ミィリアの周囲には驚くほどのラタトスクが押し寄せた。
それを次々に薙ぎ払っていくも、それを上回る数に金切り声を上げられたことで、ミィリアも叢雲も強い手足の震えが出てしまった。
「うぅ……鳥肌が止まらないでござるぅ……」
そんなミィリアの周囲で敵を一掃するのに力を貸したのがボルディアと兵庫だった。
兵庫としては飛行型の二体を引き付けられたらと思っていたのだが、あの二体は只管真っ直ぐに拠点を目指して行ってしまった。追うか悩んだが、サンドヴァイパーもいてラタトスクの集団に襲われている二人を見捨てられるほどあの二体に固執していたわけでも無い。
また、雷電の中にいる為、直接ラタトスクの声を聞かずに済んだ為兵庫があの金切り声を不快に思うことはあっても不安を煽られたりはせずにすんでいた。
また砂蛇が酷くソウルトーチに惹かれるタイプだったのもあり、ボルディアは必然的にミィリアのそばへと徐々に移動してきていた。
状況を把握したボルディアと相談の結果、まずソウルトーチが切れるまでは周囲のラタトスクの排除を最優先し、それからサンドヴァイパーを相手することとなったのだった。
「ボルディア嬢、ミィリア嬢」
ついに一体の砂蛇を仕留め、肩で息をしているボルディアとミィリアへとキラリと耀くボトルがアーヴィンからそれぞれ投げ渡された。
「そろそろ、下がったほうがいいカモ。みんなと合流した方が安全だヨ」
「……だな」
貰ったミネラルウォーターは既にぬるま湯のようになっているが、ボルディアはそれを半分口に含むと、もう半分はヴァーミリオンの口の中へと流し入れてやった。
ミィリアもまた、未だ震えが残る手でゆっくりボトルの口を開くと、ボルディアと同じように叢雲と半分こして飲み合った。
その間も兵庫は生身の彼女達を守るべく、向かってくるリザードマンをアサルトライフルで撃ち倒していた。
ボルディアにとって予想外だったのは破滅の大地を使うとヴァーミリオンにまで影響が出てしまうことだった。
しかし、ヴァーミリオンは“気にするな”とばかりに猛る炎が如く勇敢に敵に立ち向かっていた。
「ヴァン、もう一仕事だ、行くぞ」
ボルディアの言葉に、ヴァンは鼻で笑うように返事をすると力強く踵を返すと、前方にいたリザードマンの背後を取ってフルグルで切り裂いたのだった。
●城壁前東西・サンドヴァイパー撃滅
「コシチェイ……っ!」
マルカの呼び声に応えるように大きく跳躍すると魔術師リザードマンを砂上に抑え込み、フルグルで八つ裂きにする。
マルカは2回試してみたスリープクラウドだったが、残念ながらまったくラタトスクやリザードマン達には効果がなかった。その為ブリザードが尽きた今は魔導拳銃を構えラタトスクを優先にコシチェイと共に確実に仕留められるよう戦っていた。
だが、こちら側に流れて来るラタトスクの量は多くは無く、代わりにリザードマン達が多い。遠距離攻撃の出来る魔術師の方からマルカはコシチェイと共に退治してまわっていた。
ヴァルナは激しく肩で息をしながら、サンドヴァイパーの吐き出した火の玉を転がり避ける。
「ふむ……火の玉は火属性ですが……本体は違う……? なるほど」
「逃がしませんよ! まだ鉛のおかわりは欲しいでしょう?」
誠一が光斬刀で攻撃を試み、砂蛇がそれを避けようとしたのを見た椿姫がすかさず鞭を打ち鳴らしその身動きを奪う。その一瞬に誠一が砂蛇の腹を切り裂いた。
「これで、終いです……!」
ヴァルナが大剣を砂蛇の頭部に垂直に突き立てると、気合いと共に引き下ろした。
ざぁっと塵へと還っていくのを見て、ヴァルナは両膝を付いた。
ソウルトーチは自分の意志で切ることが出来ず、効果時間中ずっと敵を引き付けてしまう。
それは単純に敵の数が多ければ多いほど危険度が増す。
すでにソウルトーチの効果は切れて久しかったが、周囲に集まったラタトスク達の金切り声にヴァルナもまた鳥肌が鎮まらない。震える手で水筒から水を飲み、ようやく落ち着きを取り戻せた。
「大丈夫、ですか……?」
「はい、有り難うございます」
マルカの呼びかけにヴァルナは頷くと、自己回復に努める。
まだ、戦いは終わっていない。
迫り来るリザードマン達に向かい、4人は武器を構えたのだった。
最後の一体であるサンドヴァイパーは観那のソウルトーチに惹かれて西側寄りから南へと誘導されていた。
「ヴェルガンドの一太刀を受けて見ろ!」
砂蛇を追い観那達と合流したグリムバルドが大きく回旋させたゴーム・グラスを突き刺し、更に捻りを加えて斜め下へと引き斬る。
「Gustav、一撃必殺のドリルチャージです!」
颯もまたその反対側からオブラスを突き出し砂蛇の腹に大きな穴を開ける。
「行かせねぇよっ!」
「よそ見した奴から撃ち殺すっ!!」
観那のソウルトーチが切れると同時に我に返ったラタトスクやリザードマン達が再び城壁へと向かうのを、枢が素早く駆け抜け斬り伏せ、クレールがヤタガラスのアサルトライフルで枢が仕留めきれなかった対象を攻撃していく。
「クェェエエエエ!!」
陣風の怒りの鳴き声と共に鋭いキックが砂蛇に炸裂し、颯のドリルにより穴の空いた腹部をへと観那の強打が叩き込まれ、ついに最後の砂蛇も塵へと還った。
「……っはぁはぁ」
東にラタトスクが少なかった分、こちらに多く寄った。幸いにしてこちらには魔導アーマー乗りが多かった為、さほど大きな影響は無かったが、敵を惹き付け続けた観那と陣風への負担は大きかった。
陣風の上でぐらりと揺れた身体を、バイクの駆動音が近付くと共に柔らかな光が包み込む。
「お疲れ様なんだヨ。あとは、壁に到達しちゃってる歪虚がいるカラ、後退しながら、そっちへ向かおうネ」
アルヴィンの声に、観那は小さく頷き、袋から水筒を取り出そうとして……それが無い事に気付いた。
……もしかして水筒を準備だけして持って出るのを忘れたのかも知れない。
観那はくらりと目の前が回るような気がした。
「観那さん、お水でしたらヤタガラスの足元の荷台にあるので持って行ってください!」
皆に配ろうと保管庫から持ってきた水だった。クレールは荷台のハッチを開けると、ヤタガラスの指先を器用に動かして2Lボトルを観那へと手渡した。
観那はそれをほぼ一気に半分弱ほど飲み干し、残りを陣風に与えた。
ぬるい水からは甘みを感じたような気がして、五臓六腑に染み渡る感覚はまるで旨い酒を呑んだ如く感じた観那だった。
●城壁・ヴイヴル撃滅
ヴイヴルには予想外だった点が二つあった。
一つは機械の鎧にはラタトスクの声が効かない事。
二つ目は銃撃をしてくるハンターの数が多かった事だ。
ヴイヴルは近付いて毒や炎を吐き散らしては銃撃を嫌って高度を高めるが、そうすれば今度は自分の攻撃も届かない。
それなのにあの赤と黒の機械――アニスのデュミナス――が一番しつこくどこまでも銃弾で追ってくる。
ヴイヴルはイライラしながら高く高く舞うと太陽を背に負い、城壁に向かって急降下を始めた。
全てを太陽の如く焼き払ってやろうと、大きく口を開けて。
――しかし、まさしくその攻撃をハンター達が待ち構えていたとはヴイヴルは最期まで知ることは無かったが。
「来るよ!!」
ジュードは恐らくヴイヴルは対空戦力の無力化を狙って来るだろうと予測していた。
そして、この日中に襲ってくるということはこちらの体力を奪う目的もあるだろうが、この強い太陽光を目くらましに使うのでは無いかと。
その為、予めこのタイミングが来たらとハンター経由で協力を持ちかけていた。
「全員構え! 3、2、1で行くぞ」
拒馬運搬の時にA班と振り分けられたハンター達へとジルボが号令をかける。
ハンター達が下向きに弓を引き、この作戦に乗ったアニスと奏も、各々が引き金に指をかける。
「3」
まだハンター達は動かない。ただ、垂直に降りてくるヴイヴルをバイザーやサングラス越しに睨み付けるだけだ。
ヴイヴルは少しの違和感を抱きつつも、落ちる速度を緩めることは無かった。
「2」
ハンターの一部が腰を落とした。
その全身に緊張が走っているのが流石のヴイヴルにもわかった。だが、速度は緩まない。
「1」
全員が一斉に鏃を、銃口をヴイヴルに向けた。
「!?」
流石のヴイヴルもここに来て危険を察知したが、遅い。今から自慢の翼をはためかせても回避には間に合わない。
ヴイヴルは怒りに顔を真っ赤に染めながら一刻も早く火炎を吐き出そうと力を込める――が。
「斉射!」
動揺した分、ヴイヴルの動きが一瞬遅れ、それが火炎を吐き出すタイミングを狂わせた。
矢嵐と銃弾の雨がヴイヴルの全身を余すところなく穿ち、ヴイヴルは地に落ちる前に塵となって消えた。
●城壁・ジャバウォック撃滅
「そっちは、ダメ」
拒馬を取り除こうとするリザードマンを見つけ、シェリルが後ろから斬り付ける。
その時、わぁ、と城壁から歓声が上がった。
「ヴイヴルを倒しましたか。ジャバウォックも恐らく時間の問題でしょう。では、私は地上の殲滅に尽力したらいいですね」
エルバッハは歓声に目を向けること無く独りごちると向かってきたラタトスクを撃ち抜いた。
仲間を巻き込まないタイミングでファイアーボールを放ち、仲間がいれば敵の状態により銃撃かウィンドスラッシュで、という具合に停車させた魔導トラックのマシンガンと自分の魔法とを上手く使い分けて戦っていた。
最初のうちは広く散開しながら戦っていたのでファイアーボールも撃ちやすかったが、敵の数が減るにつれて仲間の姿も増えてきた為、ここのところは銃撃しかしていない。
「前に出とった連中も戻ってくるそうじゃ。もう一踏ん張りじゃぞー!」
電波増幅に連結通話、更には伝話が通じなかったときの為にトランシーバーも持ち込み、通信中継基地として前線の兵庫達と適宜連絡を取り合っていたミグが周囲に向けて告知する。
流れるのが汗なのか、血液なのかわからないままヴィルマは少し乱暴に頬を手の甲で拭った。
じゃりっとした砂の感触が頬に当たるが、それを払う余裕はもうない。
そのヴィルマを乗せ走り続けていたヴェルターも、随分傷が増えてしまっている。
(そろそろ撤退の頃合いかのぅ)
「そなた、なかなかにしぶといのぅ……そろそろ相方を見習って落ちんかね?」
周囲に人がいないことを確認すると、こちらへ向かってくるジャバウォックへとブリザードを放つ。
暴風雪は遂に邪竜の翼の骨を折り、邪竜はガクンと地上へ落ちてくる。
地に落ちた邪竜は砂を撒き散らしながら鎌首もたげ、その牙と爪で近付く者を蹴散らそうと走り出した。
「やらすかっ!」
このチャンスを逃すまいと文太がすかさずとっておきの一発を放ち、観智もまたデュミナスのスラスターライフルで掩護する。
エルバッハのウィンドスラッシュが右目を抉り、ハリケーン・バウのスラスターライフルが折れた翼を吹き飛ばした。
それでも邪竜の足は止まらず、真っ直ぐに城壁側へと走り続ける。
城壁にいた者達が慌てて矢を番え、引き金を引く。
それでもなお、邪竜はただただ走った。ヴィルマを目がけて。
「っ!?」
「ヴィルマの嬢ちゃん!!」
文太が慌ててリロードし、構える。が、そのスコープ越しに見えたのは。
「……やっと、届いた」
金色の月のような瞳を細め、口元に弧を描いたシェリルが振動刀をその細頚に突き刺していた。そして、両脚で頚を踏み、刀を引き抜くと同時に後ろへと飛ぶ。
シェリルが砂上に着地するのと同時に、邪竜も砂を撒き散らしながら砂上に倒れ込んでいく。
ヴィルマのほんの30センチ手前で遂に動きを止めた邪竜は静かに塵へと還っていった。
●オアシス周囲・終戦
大型歪虚を塵へと還したハンター達はその勢いのまま攻め入ってきたリザードマンやラタトスクを殲滅し尽くした。
城壁の上から歪虚のいなくなった広大な砂漠を見つめ、コーネリアは両手の平に爪が食い込むほど握り締める。
「まだだ、まだ足りん。この程度では妹の供養にもならん……」
ギシリと奥歯を噛むと、踵を返した。
「……また積み直しか……」
南側の城壁、その東寄りの一部を見て、機体から降りたグリムバルドは思わず両肩を落とした。
しかし拒馬の配置が完成し、これらがハンター達の間を抜けたリザードマンやラタトスクの侵入を防ぎ時間を稼いでくれたお陰で、城門への被害らしい被害はこの程度で済んでいた。
戦闘が終わったと知ったコボルド達が一人、また一人と不安げな顔をしながら家から出てくると、見知ったグリムバルドの姿を見つけて一斉に尻尾を振って駆け寄ってくる。
「おー、お前ら無事かー?」
それでもコボルド達にもオアシスにも被害は無かった。この地を守れたこと、それが何よりも嬉しくてグリムバルドは心から笑った。
「よ、無事か?」
主の柔らかな掌の感触に身を預け、疲れた身体をオアシスのほとりで休めていると、そんな声が背後から聞こえ、コシチェイはちらりと薄目を開けて声の主を見た。
「あ、ジルボさん……はい、何とか」
「あーぁ。結構怪我してんじゃん、ちゃんと手当てしろよ? あ、このイェジドがマルカの?」
「はい、そうです。えっと、コシチェイ、って言います」
この男には見覚えがある……そう思ってコシチェイが片眼でジルボを見つめ……思い出した。
(……あの絵の男か)
マルカの家にあるポートレイトの存在を思い出した事で、スッキリしたコシチェイは再び目を閉じた。
少し緊張しながらも嬉しそうな主の声をBGMに、深く深く眠っていった。
「カナデ!」
転移門へと足を踏み込もうとした奏を、シェリルが呼び止める。
「……何かご用ですか?」
「聞きたい事が……あるの」
奏はシェリルの真剣な表情に少し微笑み返しながら「どうぞ」と視線で促す。
「大きい赤髪の両親……知ってる?」
「ふふ、答えはイエスです。ですがその答えを貴女に伝えるのはノーとしましょう」
「! どうしっ?!」
すっと口元に差し出された人差し指にシェリルは思わず口を閉ざす。
「そうですね……まだ、時期では無い、とでもお伝えしましょうか」
「……時期……?」
シェリルは奏の手首を掴んで真っ直ぐに見上げる。
その視線を受け止め、微笑み返すと奏はシェリルに背を向けた。
「えぇ。ではまた」
(まだ、私と彼が知人だった事を明かすには早いですからね)
シェリルに聞こえないようにほぼ唇だけで言葉を紡ぐと、少しだけ振り向いて軽く帽子を上げながら頭を下げ、今度こそ奏は転移門を潜って行ってしまった。
置いて行かれてたシェリルは強く両手を握り締めながら何時までも転移門を――奏の背中を見つめていた。
●リザルト
【敵状況】
全襲来歪虚殲滅完了
【被害状況】
・城壁:一部瓦解(補修日数1日程度)
・拒馬:50本(補修すれば使える物も含める)
・保管備蓄:飲料水10本
・浄化区画内:被害無し
・コボルド:被害無し
・モブ覚醒者:軽度負傷10名、中度負傷5名
・死者:無し
・重体者:無し
・全損機体:無し
・死亡幻獣:無し
警報の鐘を鳴らし続ける。
南の果てなく続く砂丘をを見ればそこは黄色い砂埃が舞い上がっている。
あれほどの砂埃を立てて迫ってくるとは、一体どれほどの数の敵が来ているのか。
鐘を鳴らしながら、見張りの男は思わず生唾を飲み込んだ。
「このクソ暑い中わざわざ攻めてきやがって……。全員生かして返さねえぞ! 行くぞ、ヴァン!」
「さて、この暑い中働きたくないのじゃがのぅ、ヴェルター力を貸しておくれ。風のように終わらせてやろうではないか」
「灼熱の戦場にようこそってか。出迎えに行くぜ!」
3頭のイェジドがそれぞれの主を乗せて灼熱砂漠を疾駆する。
フォーコに乗ったジャック・エルギン(ka1522)がレピスパオを構え、文字通り鏑矢を放つ。低音の風切り音と共に宙を走った矢は砂上を転がるようにして走っていたラタトスクの眉間に刺さり、思わずひっくり返ったそれに後続が引っかかり、ドミノ倒しの如くラタトスク達の足並みが乱れた。
次いでまだ誰もハンターが到着しておらず、敵が密集した空間へ、ヴィルマ・ネーベル(ka2549)が胴の長い猫の人形……もとい、術具であるソノマ・マ・ユグディラを構える。
愛らしく手招きする猫の手からは業火の球が飛び出し、広範囲の敵を焼き払う。
ボルディア・コンフラムス(ka0796)が注意深く砂上を見ると、不自然に砂紋を描きながらこちらへ近付いて来る動きが見えた。
先の2人を追い越したヴァーミリオンが躊躇無く敵の最中へと跳躍すると、ボルディアはその動く砂紋の目の前で宣花大斧を振り下ろした。
衝撃に一気に砂が津波のように波紋を描きながら広がり、激しく大地が揺れ、ボルディアの周囲にいた敵の殆どがその場にしがみつくようにして身動きを取れなくなる。
ヴァーミリオンもまたその衝撃を受け身動きが取れなくなるが、その瞳は毛並みの赤より激しい闘志を宿し、低いうなり声を上げながら敵を睨み付けていた。
「おーおー絶景だな」
グリムバルド・グリーンウッド(ka4409)は迫り来る敵の群れをヘイムダルであるヴェルガンドのモニター越しに見て、半分感心、半分呆れを込めて呟く。
(せめて城壁が完成してから来てほしかった。いや戦術的には正しいんだけど、見た目がな?)
なんて背後の城壁をちら見して深々と溜息を吐く。
この拠点の設営には発見時から関わってきた1人として、色々と複雑な胸中である。
「まぁいい。折角来たんだ。もてなしてやるから盛大に爆散していきやがれ!」
徐々に機内の温度が上がってくる愛機を己の手足のように動かしつつ、グリムバルドはモニター越しでも判る、不自然な砂の動きに照準を合わせて引き金を引いた。
「……こいつを持ち込んで正解だったようだな。では、俺も全力で当たらせてもらうとしよう」
魔導型デュミナス、雷電の操縦桿を握りながら、榊 兵庫(ka0010)は浮かびそうになる笑みを堪えて鼻を鳴らした。
ジャリジャリとノイズを混じらせながらも、チャンネルをオープンにしたトランシーバーは周囲の仲間の声を時折伝えてくる。
しかし、魔導短伝話は100m程城壁から離れて以来沈黙してしまっている。
(周囲の歪虚の駆逐に努めてもまだ伝話が使えるほど、マテリアルは回復していないのか)
備えあれば憂い無し。念のためにと両方持ってきて正解だったと兵庫は思いながら額から流れてきた汗を拭う。
「ホントに、真面目に空調どうにかして貰わないとな……」
以前砂竜と闘ったときの事を思い出し、辟易しながらも、空を舞う竜の影に兵庫はアサルトライフルを構えた。
灼熱の日差しを浴びて、見事なゴールデンイエローに耀く毛並みを揺らしながら叢雲と名付けられたイェジドが力強く砂を蹴る。
「あーもう! こんな暑いとこ休憩中にわざわざどーも! さっさとお帰りくださいませーって感じかもかも」
その上でミィリア(ka2689)は独りごちながら、前方を睨むように見据える。
前に見えるのは最前線付近に立つボルディアだろう。彼女を中心として起こる地震を嫌ってリザードマン達が左右に割れるように動くのが見えた。
「……さ、行こう叢雲! お待ちかね……かどうかはわかんないけど突撃タイムでござるーっ!」
絶対にここは守りきるという気合と共に、ミィリアはその身に宿るマテリアルを炎のように燃やした。
立ち上るオーラに気付いて、真南から少し東西へ流れかけていたラタトスクや一部のリザードマン達が再び進路を南――ミィリアへと変更した。
それを見たミリィアは口元をきゅっと結んだまま笑みを浮かべ、抜刀した祢々切丸を大きく振った。
●城壁・迎撃準備
灼熱砂漠の中へと飛び込んで行った6人による足止めの中、この日の為に準備していた拒馬を倉庫から運び出す為にハンター達が列を成していた。
「敵が攻めてきましたね。今後のことを考えると、この拠点を失う訳にはいきませんから、絶対に死守ですね」
そう覚悟を決めたエルバッハ・リオン(ka2434)が直ぐ様に魔導トラックを倉庫に横付けすると、ハンター達へと指示を出す。
「A班は二人一組となって拒馬をこのトラックに載せて下さい。B班はマニュアルにある振り分け番号通りに城門で待機拒馬が到着次第設置に取りかかって下さい。自分の班や番号が分からない人は表が倉庫裏に貼ってありますから、それを見て確認して下さい」
元々拒馬の提案やこの設置に関してのマニュアル制作などを担当していたエルバッハが真っ先にここに駆けつけたことにより、場の混乱は最低限で押さえられ、ハンター達はそれぞれの役目に従い動き始めた。
「手伝います!」
黒いヘイムダルが倉庫へと駆け寄ってきた。ヤタガラスと名付けられたそれを操縦するのはクレール・ディンセルフ(ka0586)だ。
「助かります」
エルバッハは頷くとテキパキと指示を出していく。
「可能な限り荷台に! 西側に設置してくださる方、乗ってください!」
クレールの呼びかけに、西側を担当するハンター達が数名、荷台の手すりに掴まった。
西側の舗装路を駆け、城門の西側へと出て、クレールは愕然とした。
(敵が近い……!)
敵の移動速度が速い為、前線の足止めをすり抜けたラタトスクの群れや飛行するヴイヴルとジャバウォックがこちらへと真っ直ぐに進んできているのが見える。
だが、城門の上にも下にも既に幾人かのハンター達が接近する敵に備えて各々銃を始めとする得物を構えている。
(でも、猶予はある! この僅かな時間、活かしきる!)
クレールは流れる汗もそのままに、人を降ろし、拒馬を降ろすと倉庫へと取って返した。
「く、居眠りしてて出遅れてしまったわい」
けたたましくなる警鐘を完全に無視しつつ寝ていたミグ・ロマイヤー(ka0665)も、銃撃の音が響くようになってようやく目を覚ました。
一度目が覚めてしまえば行動は早い。愛機の魔導型ドミニオン、ハリケーン・バウへと乗り込むと、倉庫へと向かう。
「あとどこへ運べばよいかの?」
「では残りの拒馬を、城壁中央へお願い出来ますか」
「了解じゃ」
ミグは返事だけ返すと、魔導トラックに乗り込んだエルバッハを見送ることもせず、拒馬の積み込み作業へと入る。
そして残りの拒馬をカーゴスペースに詰め込むと、すぐに城塞中央へ向かって外へと出た。
「おやおや、これはこれは」
城壁の上や、周囲に位置したハンター達がこれ以上近付けさせまいと激しい銃撃戦を繰り広げていた。
●城壁手前・迎撃戦
城壁から見てやや東寄りの位置でヴァルナ=エリゴス(ka2651)は静かに立っていた。
前方の中央で赤いオーラが立ち上り、黄金色のイェジドが飛んで跳ねる姿が見える。
「穏やかに過ごしたい時間帯だったのですが、仕方がありませんね」
それでもなお、まだこちらへ迫り来る砂埃を見ながらヴァルナもまた、ダインスレイフを正眼で構え、静かに目を閉じると大きく息を吸って、止めた。
(ここを落とされては今までの苦労が水の泡……絶対に守りませんと)
丹田に力を込めると同時に目を見開く。解放された体内マテリアルは赤いオーラを立ち上らせる。
その少し後ろで神代 誠一(ka2086)と椿姫・T・ノーチェ(ka1225)がそれぞれにMURASAMEブレードとブラッドストリングを構える。
本当はボルディアのいる最前線まで行きたかったが、イェジドの速さに人の身ではついて行けない。
そして、敵の足並みにばらつきがある以上、足の速い歪虚達は前線をくぐり抜けこちらへと接近してきており、今頃前線は足の遅いリザードマン達の足止めをしているはずだ。
足の速い歪虚達の方が悪質なモノが多い。誠一はヴァルナのオーラに惹かれて、動いていた砂山やラタトスク達が彼女目がけて突進してくるを目にして、メガネのブリッジを押し上げた。
「椿姫さん」
「はい」
水分補給を終え、しっかり口元を布でマスク代わりに覆った椿姫は、誠一に自分が何を求められているのか、名を呼ばれただけで判った。
「無茶はしないでくださいね、誠一さん」
彼にだけ聞こえるようにそっと囁くと、砂中の敵に向かい鞭をしならせた。鞭の先が砂の中まで抉る。
それにサンドヴァイパーは驚いたのか、大きくうねって砂を撒き散らしながら地上へと顔を出した。そこを椿姫がすかさず鞭打つ。
間髪入れずに誠一もまた光斬刀を用いて一陣の風と共にここでは見られない葉の幻影が生じさせると、砂蛇の動きを奪い、斬り付ける。
しかし周囲には続々とラタトスクが近付いて来て、金切り声を上げ始める。
「くっ!」
「っ!!」
「あぅ!」
思わず耳を塞ぐが間に合わない。肌を焼く暑さなのに、三人の肌には鳥肌が立ち、全身が戦慄く。
そんな三人の目の前を極寒の暴風雪が駆け抜ける。
「彼らのところには行かせません……!」
現地のコボルド達を見習ってローブを羽織り、手ぬぐいで防砂対策をしたマルカ・アニチキン(ka2542)のブリザードだった。
更に生き残っているラタトスクへ、イェジドのコシチェイが体の側面につけた鎌で斬り付ける。
「有り難うございます」
「は、いえ……そんな……!」
ヴァルナに礼を言われてマルカは照れくさそうにわたわたと手を振り、その時コシチェイがぐるりと向きを変えたのでバランスを崩して落ちそうになる。
「きゃぁっ!? もう、コシチェイ……!」
今回はマルカがコボルド達向けに開いている絵画教室のモデル役でこの砂漠に来ていたコシチェイは、老いた身でもあり、何より暑さもあってだらだらとしていたのだが、やはり敵を前にすると活き活きと滾るモノがあるのだろう。
獰猛なうなり声を上げながら、砂蛇と近寄ってくるラタトスクを睨む。
「コシチェイ……お願いします」
誠一と椿姫が砂蛇に集中出来るよう、マルカはもう一度ブリザードを放つべくババ・ヤガーへと意識を集中した。
同じく、城壁の前やや西側にいるのはリーリーの陣風に乗った観那(ka4583)だ。
「これが共に出る初めての戦場ですね……良き初陣となればよいのですが」
陣風の首筋を撫でると、陣風は嬉しそうにひと鳴きして、首を振った。
やや西側に膨らんでいるラタトスク達を見て、観那はギガースアックスを振り、その先端で歪虚の群れを指すと己のマテリアルをオーラへと変換した。
すると観那の光に気付いたラタトスク達が観那に向かって舵を切った。
「かかりました……! 陣風、行きますよ」
徐々に南中央へ寄せる。その為には十分こちらへ引き付けつつ少しずつ動く必要があった。
ラタトスクの群れが押し寄せる。
それを見て、慎重に観那と陣風は引くタイミングを慎重に図って……その時、ザンザンザンと砂を蹴る駆動音が近付いて来ると、観那の横をキャノピーが付いた黒く小柄な魔導アーマーが追い越した。
「はやてにおまかせですの!」
外部スピーカー越しに聞こえた声に、操縦者は八劒 颯(ka1804)だと知る。
また、その足元に取り付けられた荷台からは央崎 枢(ka5153)が転がり落ちる。
城壁手前まで行くという颯の好意で荷台に乗せて貰った枢だが、もとより人を乗せる為の荷台ではない。砂漠を全力疾走する魔導アーマーの荷台への振動は凄まじかった。
それでも、アウローラ設営に関わった一人として見過ごせないという強い想いですぐに立ち上がった。
「ここは『始まり』、だから終わらせない!」
口元を覆うストールを締め直し、ずれたゴーグルをかけ直す。
そして愛用の大剣ガラディンを抜き構えると、迫り来るラタトスクへと剣を振り下ろした。
また颯もトレードマークの魔導ドリルで近付くラタトスク達を貫いて行く。
さらにまだほぼ城壁側から拒馬の設置が終わったクレールの対空砲CC-01による援護射撃がラタトスクを捕らえる。
観那はそんな3人からのフォローに小さく頭を下げると、大斧を頭上で振り廻し、構えた。
「絶対、守ってみせます!」
●城壁及び城壁周囲・対上空戦
城壁周辺で迎撃準備に入っている者達は各々水分補給をしつつ、敵が攻撃範囲内に入って来るのを待ち構えていた。
殆どの地を這う歪虚は、砂漠へと出撃したメンバーの活躍によって押し留められていたが、しかし、ついに頭が良いと噂されるヴイヴルとジャバウォックが順調にそのデットラインを越えようとしていた。
それを魔導型デュミナスのモニター越しに確認したアニス・テスタロッサ(ka0141)は上唇を舐めて引き金を引いた。
「頭が良かろうが速かろうがな……意識の外からブチ込まれりゃ当たらざるをねぇってな」
警戒範囲外からの銃撃にヴイヴルの顔が怒りで赤く染まったのを見て、アニスは思わず笑みを零す。
それでもまだヴイヴルは墜ちない。
それなら墜ちるまで撃てば良いこと。アニスは引き金を引くチャンスをじっくりと狙い始めた。
「早過ぎる襲撃ですね……まだ、此方は……然して準備が整っていない、と言うのに」
愛機である魔導型デュミナス射撃戦仕様に乗り、試作型スラスターライフルの残弾を確認しながら天央 観智(ka0896)は独りごちた。
観智もまたこの拠点には設営開始当時から関わっているため、それなりに愛着もある。
城壁の内側から狙おうかと思っていたが、そうするとTとTの間の空間の高さが足りず前が見えない為外へと回った。
「群れの数も多過ぎますね。一々狙っていては押し切られます……と言うか、適当にその辺に撃てば……何かしらに当たりますよね、この状況は」
前方で二つのオーラが立ち上っているのが見える。さらに向こうでも、一つ。
その周囲には砂では無い色が犇めいている。
さらに砂煙を上げながら走って行くバイクの姿も遠目に見える。
そして、空を飛ぶ二体の歪虚の姿も。
観智はとても平静な瞳で画面越しにジャバウォックを観察する。
時折ヴィルマのアイスボルトがその身体を貫くが、それでも飛行力に変わりは無い。
そしてその射程距離に入った瞬間に引き金を引いた。
観智の銃声の直後、ミグのハリケーン・バウが持つスラスターライフルも火を吹いた。
観智の左右には、拒馬を配置し終わったミグの機体と運転席にいるエルバッハが駆けつけてきた。
「ここには……入れさせませんよ」
観智の凪いだ瞳がひたと冷静に戦況を見つめていた。
「そなたらに空中はもったいないのぅ。……地を這え、それがお似合いだ」
ヴィルマはヴェルターに邪竜を追わせながら魔法攻撃を繰り出していた。
通算3つのアイスボルトが邪竜を捕らえたところで、ついに邪竜はぐらりと低空飛行を始め……ぐんとヴィルマ目がけて牙を剥いた。
「何と!」
慌ててヴェルターに回避を命じるも、全力で後を追っていたその足を急に止めれば、慣性の法則が働きヴィルマは火傷しそうな程に熱い砂の上に転がり落ちた。
慌てて身を起こすも、目の前に迫った邪竜の牙を避けきれなかったヴィルマは、その腕を大きく食い千切られた。
「くぅ……」
ヴェルターがヴィルマを庇う様に立ち、邪竜へ低いうなり声を上げる。
もう一度、と言わんばかりに邪竜が空中で旋回した時、一つの銃声が邪竜を捕らえ、そして……
「下がれ阿呆!」
冬樹 文太(ka0124)の怒声がヴィルマの耳に届いた。
「城壁守る以前に、手前が死んだら意味ねぇだろうが……!」
「あ、阿呆とは失礼な……!」
ヴィルマは立ち上がって言い返し始めるが、城壁にいる文太には地上のヴィルマの声は聞こえない。
「あぁ!? そんなちっせぇ声聞こえねぇよ!」
怒鳴り返しながらも、視線は邪竜とヴイヴルを追う。ヴイヴルには他のメンバーが攻撃を開始し始めているのを確認し、文太はすぐに邪竜へと視線を戻す。
(絶対に誰も死なせない!)
強い意志を桃色の瞳に宿し、再度邪竜を狙ってフォールシュートを放った。
それはヴィルマの周囲にいるラタトスク達を蹴散らすにも役立つ。
だが、当たらないと知っているはずなのにフォールシュートの迫力に頭を押さえながらヴェルターの影に隠れたヴィルマの姿を見て、思わず目を丸くした後、小さく吹き出してしまった文太だった。
ジュード・エアハート(ka0410)はその柔らかな頬を膨らませて空を睨んでいた。
砂漠の太陽光は厳しすぎる。フード付き白ヤギタオルを頭から被り、遮光ゴーグルで目元をカバーし、肌には日焼け止めを塗ってきたが恐らく帰宅後にちゃんとお手入れをしなければ翌日酷い目に遭うだろう。
リーリーのミルティが心配そうに背に乗る主の様子を窺う。
その瞳と鈴の音のような声にジュードは相好を崩してその首を撫でた。
「頑張ろうね」
いつものジュードの声と掌の感触にミルティが甘えるようにひと鳴きすると、ミルティもまたいつでも地を駆けられるよう下肢に力を入れた。
ジュードが恐れるのは賢いと言われるヴイヴルだ。
たまたま過去に戦った事があるというハンターから話しを聞いたが、大体手口はジュードの予想した通りだった。
共に来ている下級歪虚に指示を出して襲わせたり、状態異常を中心に相手をいたぶったり。
本当はミルティと共に城壁の上に昇りたかったが、残念ながら歩廊が狭かったので断念し、地上から双眼鏡でヴイヴルを狙う。
アニスの長距離攻撃が炸裂したのが見え、ジュードは徐々に輪郭がハッキリしてくるヴイヴルを見て……片眉を跳ね上げた。
「『蛇の体にコウモリの翼、上半身は人間の女性』ってこういうこと……!?」
ヴイヴルの上半身は何も身につけておらず、豊満な肉体が見て取れる。
「おい! ジュード!! 見えたか!?」
興奮した様子で頭上の城壁からジルボ(ka1732)が声を掛けた。
「ジルボさん……」
やや呆れ声で頭上を見上げる。
「いやぁ、眼福眼福。これで魅了とかあったら危なかったなー」
ジュードは溜息一つ零し、シ・ヴリスを構えた。
酷い軽口を叩いているがジルボの猟撃士としての腕と人となりにはそれなりに信頼を置いている。
ジュードは頭上から聞こえる軽口を全て無視してヴイヴルへと集中した。
「こっちへは近付けさせないよ……! 蒼流星<ステッラ・カデンテ>」
一面黄金色の砂漠においてそれはまさしく蒼い彗星のように宙を切り裂きヴイヴルの肩口を貫いたのだった。
「おー、流石」
その様子をスコープ越しに見ていたジルボは、じっとヴイヴルが狂乱せしアルコルの射程に入るまで静かに見つめ続ける。
取り込んだ水分が直ぐ様汗となって流れては、すぐに蒸発していくのがわかる。
(このクソ地獄で生き延びた奴等が居るんだ。俺も負けてらんねぇよな)
拠点作り開始当初、コボルド達が労働の対価としてご飯が食べられると知った時の瞳の輝きようを思い出す。
生まれ持った不器用さはあるにしろ、下手な人間よりもよっぽど素直に真面目に作業に取り組む姿。
出来なかった事が出来るようになった時のあの誇らしげな表情は、人間とさほど変わらないと知った事。
ガリガリで毛艶も悪かったコボルド達が、みるみるうちに肉付きが良くなり柔らかな毛並みになっていく様。
「門。いや、オアシスは死守だ」
たとえ、どんなにセクシーでダイナマイツなボディであろうとも、歪虚であるなら撃破するのみ。
ジルボの放った弾丸は、ヴイヴルのたわわな胸を貫通した。
ジルボの銃声とほぼ時を同じくして城門の左右から放たれた2発の冷気を伴う弾丸がヴイヴルを襲った。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)と音桐 奏(ka2951)のレイターコールドショットだ。
それでもまだ空を飛び続けるヴイヴルにコーネリアは紅の唇を釣り上げた。
「なるほど。この程度では足りないと」
警戒し、一端距離を置いたヴイヴルから照準を変え、地上を蠢くラタトスクへ向けて威嚇射撃を放つ。
赤い銃身が日差しに焼かれ熱を持っても、コーネリアの抱く歪虚への憎悪の炎の前ではぬるま湯同然だった。
転移門に近づく歪虚を問答無用で完全殲滅する。コーネリアは歪虚に対する慈悲は持ち合わせていない。
「物量戦とは全滅覚悟のようだな? 望み通り引導を渡してやる!」
雷雨のようなオーラを纏わせながら、コーネリアは引き金を引いた。
コボルドとの意思疎通方法の開発と観察を楽しんでいるという奏の話しで南方のコボルドに興味を持ち、シェリル・マイヤーズ(ka0509)はこの拠点へとやってきていた。
そして実際交流を楽しんでいた最中の敵襲とあり、シェリルは口を真一文字に結んで前方を睨む。
「コボルド……なかなか……面白かったのに……」
やらせない、とオートMURAMASAを手に一気に駆け寄る。
ラタトスクの群衆に、振動刀で攻撃をすると見せかけ、マテリアルを纏わせた手裏剣を投げつけた。
1匹の攻撃を避け、更にもう1匹がシェリルに襲いかかってくるのが目の端に見えたが、その個体は風船が破裂するような音を立てて地面を転がった。
射線を辿って振り返れば城壁の上にいる奏の姿が見えた。
「カナデ……」
コボルド達を守りたい、それは本当だ。だが、シェリルにはもう一つここに来た目的がある。
だが、それを果たすのはこれが終わってからだと、すぐに思考を切り替え目の前の敵を斬り伏せた。
●前線後退
「追いかけっこだ。鼠なんかに負けんじゃねーぞ!」
イェジドのフォーコにそんな発破を掛けながら、西側へ行かせないようラタトスクの集団を誘導しながらフォルティスの薙払で蹴散らしていたジャックだったが、この暑さと彼らの放つ金切り声に晒され続ける中で何時しか肩で息をしていた自分に気付いた。
水代わりにヒーリングポーションを一気に飲み干すと、気持ち身体がラクになった気がする。
気付けばラタトスクの姿を殆ど見なくなり、代わりに光の矢や石礫、火矢などが飛んで来るようになった。
「遅いお出ましだな、おい」
ジャックは振り返り、リザードマンの大軍に向けて大剣を握り直した。
敵の足並みに随分と差がある。
敵襲来の報せがなった時にはまだその姿は遠く、その点に注目出来た者はいなかったが、結果的に前線が『無理な後追いはしない』としたことと、歪虚達が戦闘よりオアシスを目指すことを優先していた結果、サンドヴァイパーとラタトスク達を足止めしつつ数を減らし、リザードマン達が来る頃には彼らだけを相手取れる状態になっていた。
ただし、常に歪虚達と戦い続け、既に自己回復スキルが残っている者も少ない。
そんな彼らを癒やし続けたのが今作戦唯一の聖導士だったアルヴィン = オールドリッチ(ka2378)だった。
「ヤァ、ココが噂の砂漠と言う所カイ? すっごく暑いネ! スゴイネー!」
来た当初はそんな感じできゃっきゃとはしゃいでいたが、敵襲来の報が鳴ってからの彼の動きは最前線から城壁前までの間をバイクで駆け抜け、辻切りならぬ辻ヒール、辻ヒーリングスフィアで前線維持に協力していた。
一方ソウルトーチを使う事で、ミィリアの周囲には驚くほどのラタトスクが押し寄せた。
それを次々に薙ぎ払っていくも、それを上回る数に金切り声を上げられたことで、ミィリアも叢雲も強い手足の震えが出てしまった。
「うぅ……鳥肌が止まらないでござるぅ……」
そんなミィリアの周囲で敵を一掃するのに力を貸したのがボルディアと兵庫だった。
兵庫としては飛行型の二体を引き付けられたらと思っていたのだが、あの二体は只管真っ直ぐに拠点を目指して行ってしまった。追うか悩んだが、サンドヴァイパーもいてラタトスクの集団に襲われている二人を見捨てられるほどあの二体に固執していたわけでも無い。
また、雷電の中にいる為、直接ラタトスクの声を聞かずに済んだ為兵庫があの金切り声を不快に思うことはあっても不安を煽られたりはせずにすんでいた。
また砂蛇が酷くソウルトーチに惹かれるタイプだったのもあり、ボルディアは必然的にミィリアのそばへと徐々に移動してきていた。
状況を把握したボルディアと相談の結果、まずソウルトーチが切れるまでは周囲のラタトスクの排除を最優先し、それからサンドヴァイパーを相手することとなったのだった。
「ボルディア嬢、ミィリア嬢」
ついに一体の砂蛇を仕留め、肩で息をしているボルディアとミィリアへとキラリと耀くボトルがアーヴィンからそれぞれ投げ渡された。
「そろそろ、下がったほうがいいカモ。みんなと合流した方が安全だヨ」
「……だな」
貰ったミネラルウォーターは既にぬるま湯のようになっているが、ボルディアはそれを半分口に含むと、もう半分はヴァーミリオンの口の中へと流し入れてやった。
ミィリアもまた、未だ震えが残る手でゆっくりボトルの口を開くと、ボルディアと同じように叢雲と半分こして飲み合った。
その間も兵庫は生身の彼女達を守るべく、向かってくるリザードマンをアサルトライフルで撃ち倒していた。
ボルディアにとって予想外だったのは破滅の大地を使うとヴァーミリオンにまで影響が出てしまうことだった。
しかし、ヴァーミリオンは“気にするな”とばかりに猛る炎が如く勇敢に敵に立ち向かっていた。
「ヴァン、もう一仕事だ、行くぞ」
ボルディアの言葉に、ヴァンは鼻で笑うように返事をすると力強く踵を返すと、前方にいたリザードマンの背後を取ってフルグルで切り裂いたのだった。
●城壁前東西・サンドヴァイパー撃滅
「コシチェイ……っ!」
マルカの呼び声に応えるように大きく跳躍すると魔術師リザードマンを砂上に抑え込み、フルグルで八つ裂きにする。
マルカは2回試してみたスリープクラウドだったが、残念ながらまったくラタトスクやリザードマン達には効果がなかった。その為ブリザードが尽きた今は魔導拳銃を構えラタトスクを優先にコシチェイと共に確実に仕留められるよう戦っていた。
だが、こちら側に流れて来るラタトスクの量は多くは無く、代わりにリザードマン達が多い。遠距離攻撃の出来る魔術師の方からマルカはコシチェイと共に退治してまわっていた。
ヴァルナは激しく肩で息をしながら、サンドヴァイパーの吐き出した火の玉を転がり避ける。
「ふむ……火の玉は火属性ですが……本体は違う……? なるほど」
「逃がしませんよ! まだ鉛のおかわりは欲しいでしょう?」
誠一が光斬刀で攻撃を試み、砂蛇がそれを避けようとしたのを見た椿姫がすかさず鞭を打ち鳴らしその身動きを奪う。その一瞬に誠一が砂蛇の腹を切り裂いた。
「これで、終いです……!」
ヴァルナが大剣を砂蛇の頭部に垂直に突き立てると、気合いと共に引き下ろした。
ざぁっと塵へと還っていくのを見て、ヴァルナは両膝を付いた。
ソウルトーチは自分の意志で切ることが出来ず、効果時間中ずっと敵を引き付けてしまう。
それは単純に敵の数が多ければ多いほど危険度が増す。
すでにソウルトーチの効果は切れて久しかったが、周囲に集まったラタトスク達の金切り声にヴァルナもまた鳥肌が鎮まらない。震える手で水筒から水を飲み、ようやく落ち着きを取り戻せた。
「大丈夫、ですか……?」
「はい、有り難うございます」
マルカの呼びかけにヴァルナは頷くと、自己回復に努める。
まだ、戦いは終わっていない。
迫り来るリザードマン達に向かい、4人は武器を構えたのだった。
最後の一体であるサンドヴァイパーは観那のソウルトーチに惹かれて西側寄りから南へと誘導されていた。
「ヴェルガンドの一太刀を受けて見ろ!」
砂蛇を追い観那達と合流したグリムバルドが大きく回旋させたゴーム・グラスを突き刺し、更に捻りを加えて斜め下へと引き斬る。
「Gustav、一撃必殺のドリルチャージです!」
颯もまたその反対側からオブラスを突き出し砂蛇の腹に大きな穴を開ける。
「行かせねぇよっ!」
「よそ見した奴から撃ち殺すっ!!」
観那のソウルトーチが切れると同時に我に返ったラタトスクやリザードマン達が再び城壁へと向かうのを、枢が素早く駆け抜け斬り伏せ、クレールがヤタガラスのアサルトライフルで枢が仕留めきれなかった対象を攻撃していく。
「クェェエエエエ!!」
陣風の怒りの鳴き声と共に鋭いキックが砂蛇に炸裂し、颯のドリルにより穴の空いた腹部をへと観那の強打が叩き込まれ、ついに最後の砂蛇も塵へと還った。
「……っはぁはぁ」
東にラタトスクが少なかった分、こちらに多く寄った。幸いにしてこちらには魔導アーマー乗りが多かった為、さほど大きな影響は無かったが、敵を惹き付け続けた観那と陣風への負担は大きかった。
陣風の上でぐらりと揺れた身体を、バイクの駆動音が近付くと共に柔らかな光が包み込む。
「お疲れ様なんだヨ。あとは、壁に到達しちゃってる歪虚がいるカラ、後退しながら、そっちへ向かおうネ」
アルヴィンの声に、観那は小さく頷き、袋から水筒を取り出そうとして……それが無い事に気付いた。
……もしかして水筒を準備だけして持って出るのを忘れたのかも知れない。
観那はくらりと目の前が回るような気がした。
「観那さん、お水でしたらヤタガラスの足元の荷台にあるので持って行ってください!」
皆に配ろうと保管庫から持ってきた水だった。クレールは荷台のハッチを開けると、ヤタガラスの指先を器用に動かして2Lボトルを観那へと手渡した。
観那はそれをほぼ一気に半分弱ほど飲み干し、残りを陣風に与えた。
ぬるい水からは甘みを感じたような気がして、五臓六腑に染み渡る感覚はまるで旨い酒を呑んだ如く感じた観那だった。
●城壁・ヴイヴル撃滅
ヴイヴルには予想外だった点が二つあった。
一つは機械の鎧にはラタトスクの声が効かない事。
二つ目は銃撃をしてくるハンターの数が多かった事だ。
ヴイヴルは近付いて毒や炎を吐き散らしては銃撃を嫌って高度を高めるが、そうすれば今度は自分の攻撃も届かない。
それなのにあの赤と黒の機械――アニスのデュミナス――が一番しつこくどこまでも銃弾で追ってくる。
ヴイヴルはイライラしながら高く高く舞うと太陽を背に負い、城壁に向かって急降下を始めた。
全てを太陽の如く焼き払ってやろうと、大きく口を開けて。
――しかし、まさしくその攻撃をハンター達が待ち構えていたとはヴイヴルは最期まで知ることは無かったが。
「来るよ!!」
ジュードは恐らくヴイヴルは対空戦力の無力化を狙って来るだろうと予測していた。
そして、この日中に襲ってくるということはこちらの体力を奪う目的もあるだろうが、この強い太陽光を目くらましに使うのでは無いかと。
その為、予めこのタイミングが来たらとハンター経由で協力を持ちかけていた。
「全員構え! 3、2、1で行くぞ」
拒馬運搬の時にA班と振り分けられたハンター達へとジルボが号令をかける。
ハンター達が下向きに弓を引き、この作戦に乗ったアニスと奏も、各々が引き金に指をかける。
「3」
まだハンター達は動かない。ただ、垂直に降りてくるヴイヴルをバイザーやサングラス越しに睨み付けるだけだ。
ヴイヴルは少しの違和感を抱きつつも、落ちる速度を緩めることは無かった。
「2」
ハンターの一部が腰を落とした。
その全身に緊張が走っているのが流石のヴイヴルにもわかった。だが、速度は緩まない。
「1」
全員が一斉に鏃を、銃口をヴイヴルに向けた。
「!?」
流石のヴイヴルもここに来て危険を察知したが、遅い。今から自慢の翼をはためかせても回避には間に合わない。
ヴイヴルは怒りに顔を真っ赤に染めながら一刻も早く火炎を吐き出そうと力を込める――が。
「斉射!」
動揺した分、ヴイヴルの動きが一瞬遅れ、それが火炎を吐き出すタイミングを狂わせた。
矢嵐と銃弾の雨がヴイヴルの全身を余すところなく穿ち、ヴイヴルは地に落ちる前に塵となって消えた。
●城壁・ジャバウォック撃滅
「そっちは、ダメ」
拒馬を取り除こうとするリザードマンを見つけ、シェリルが後ろから斬り付ける。
その時、わぁ、と城壁から歓声が上がった。
「ヴイヴルを倒しましたか。ジャバウォックも恐らく時間の問題でしょう。では、私は地上の殲滅に尽力したらいいですね」
エルバッハは歓声に目を向けること無く独りごちると向かってきたラタトスクを撃ち抜いた。
仲間を巻き込まないタイミングでファイアーボールを放ち、仲間がいれば敵の状態により銃撃かウィンドスラッシュで、という具合に停車させた魔導トラックのマシンガンと自分の魔法とを上手く使い分けて戦っていた。
最初のうちは広く散開しながら戦っていたのでファイアーボールも撃ちやすかったが、敵の数が減るにつれて仲間の姿も増えてきた為、ここのところは銃撃しかしていない。
「前に出とった連中も戻ってくるそうじゃ。もう一踏ん張りじゃぞー!」
電波増幅に連結通話、更には伝話が通じなかったときの為にトランシーバーも持ち込み、通信中継基地として前線の兵庫達と適宜連絡を取り合っていたミグが周囲に向けて告知する。
流れるのが汗なのか、血液なのかわからないままヴィルマは少し乱暴に頬を手の甲で拭った。
じゃりっとした砂の感触が頬に当たるが、それを払う余裕はもうない。
そのヴィルマを乗せ走り続けていたヴェルターも、随分傷が増えてしまっている。
(そろそろ撤退の頃合いかのぅ)
「そなた、なかなかにしぶといのぅ……そろそろ相方を見習って落ちんかね?」
周囲に人がいないことを確認すると、こちらへ向かってくるジャバウォックへとブリザードを放つ。
暴風雪は遂に邪竜の翼の骨を折り、邪竜はガクンと地上へ落ちてくる。
地に落ちた邪竜は砂を撒き散らしながら鎌首もたげ、その牙と爪で近付く者を蹴散らそうと走り出した。
「やらすかっ!」
このチャンスを逃すまいと文太がすかさずとっておきの一発を放ち、観智もまたデュミナスのスラスターライフルで掩護する。
エルバッハのウィンドスラッシュが右目を抉り、ハリケーン・バウのスラスターライフルが折れた翼を吹き飛ばした。
それでも邪竜の足は止まらず、真っ直ぐに城壁側へと走り続ける。
城壁にいた者達が慌てて矢を番え、引き金を引く。
それでもなお、邪竜はただただ走った。ヴィルマを目がけて。
「っ!?」
「ヴィルマの嬢ちゃん!!」
文太が慌ててリロードし、構える。が、そのスコープ越しに見えたのは。
「……やっと、届いた」
金色の月のような瞳を細め、口元に弧を描いたシェリルが振動刀をその細頚に突き刺していた。そして、両脚で頚を踏み、刀を引き抜くと同時に後ろへと飛ぶ。
シェリルが砂上に着地するのと同時に、邪竜も砂を撒き散らしながら砂上に倒れ込んでいく。
ヴィルマのほんの30センチ手前で遂に動きを止めた邪竜は静かに塵へと還っていった。
●オアシス周囲・終戦
大型歪虚を塵へと還したハンター達はその勢いのまま攻め入ってきたリザードマンやラタトスクを殲滅し尽くした。
城壁の上から歪虚のいなくなった広大な砂漠を見つめ、コーネリアは両手の平に爪が食い込むほど握り締める。
「まだだ、まだ足りん。この程度では妹の供養にもならん……」
ギシリと奥歯を噛むと、踵を返した。
「……また積み直しか……」
南側の城壁、その東寄りの一部を見て、機体から降りたグリムバルドは思わず両肩を落とした。
しかし拒馬の配置が完成し、これらがハンター達の間を抜けたリザードマンやラタトスクの侵入を防ぎ時間を稼いでくれたお陰で、城門への被害らしい被害はこの程度で済んでいた。
戦闘が終わったと知ったコボルド達が一人、また一人と不安げな顔をしながら家から出てくると、見知ったグリムバルドの姿を見つけて一斉に尻尾を振って駆け寄ってくる。
「おー、お前ら無事かー?」
それでもコボルド達にもオアシスにも被害は無かった。この地を守れたこと、それが何よりも嬉しくてグリムバルドは心から笑った。
「よ、無事か?」
主の柔らかな掌の感触に身を預け、疲れた身体をオアシスのほとりで休めていると、そんな声が背後から聞こえ、コシチェイはちらりと薄目を開けて声の主を見た。
「あ、ジルボさん……はい、何とか」
「あーぁ。結構怪我してんじゃん、ちゃんと手当てしろよ? あ、このイェジドがマルカの?」
「はい、そうです。えっと、コシチェイ、って言います」
この男には見覚えがある……そう思ってコシチェイが片眼でジルボを見つめ……思い出した。
(……あの絵の男か)
マルカの家にあるポートレイトの存在を思い出した事で、スッキリしたコシチェイは再び目を閉じた。
少し緊張しながらも嬉しそうな主の声をBGMに、深く深く眠っていった。
「カナデ!」
転移門へと足を踏み込もうとした奏を、シェリルが呼び止める。
「……何かご用ですか?」
「聞きたい事が……あるの」
奏はシェリルの真剣な表情に少し微笑み返しながら「どうぞ」と視線で促す。
「大きい赤髪の両親……知ってる?」
「ふふ、答えはイエスです。ですがその答えを貴女に伝えるのはノーとしましょう」
「! どうしっ?!」
すっと口元に差し出された人差し指にシェリルは思わず口を閉ざす。
「そうですね……まだ、時期では無い、とでもお伝えしましょうか」
「……時期……?」
シェリルは奏の手首を掴んで真っ直ぐに見上げる。
その視線を受け止め、微笑み返すと奏はシェリルに背を向けた。
「えぇ。ではまた」
(まだ、私と彼が知人だった事を明かすには早いですからね)
シェリルに聞こえないようにほぼ唇だけで言葉を紡ぐと、少しだけ振り向いて軽く帽子を上げながら頭を下げ、今度こそ奏は転移門を潜って行ってしまった。
置いて行かれてたシェリルは強く両手を握り締めながら何時までも転移門を――奏の背中を見つめていた。
●リザルト
【敵状況】
全襲来歪虚殲滅完了
【被害状況】
・城壁:一部瓦解(補修日数1日程度)
・拒馬:50本(補修すれば使える物も含める)
・保管備蓄:飲料水10本
・浄化区画内:被害無し
・コボルド:被害無し
・モブ覚醒者:軽度負傷10名、中度負傷5名
・死者:無し
・重体者:無し
・全損機体:無し
・死亡幻獣:無し
依頼結果
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アウローラ防衛線作戦会議室 ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/09/27 15:07:22 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/27 11:26:17 |