ゲスト
(ka0000)
スサノオ作戦
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/10/08 07:30
- 完成日
- 2014/10/18 23:30
このシナリオは2日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「おい、歪虚は見つかったのか?」
村が雇った女ハンターにいらだった様子で男は問いただした。
「あのね、こんなに広大で障害物だらけの中で、小さな蛇一匹見つけろって無茶言わないでよ」
女ハンターの方も随分と苛立った顔でそう返した。見なさいよ、と手を伸ばした先には、広大な地下のワインセラーが広がっている。元々地下道を利用して作られたこのワインセラーは、恐らく日の光が差したとしてもその先を見通すことはできないだろう。それ程長い道に延々とワイン樽が年代順に並べられ、保管されている場所だった。
問題はここに歪虚が発生したらしい、ということだった。らしい、というのは推測であって、誰一人その姿を確認できていないからである。
「あんたが歪虚をみつけなきゃ、酒が腐らされちまうんだ! この村の主産業はこのワインなんだぜ!? それは俺たちの生活もかかってるんだ!」
「その言葉は耳にタコができるくらい聞いたわよ。ここの障害物、全部取っ払っていいならすぐにでも退治してあげるけど?」
歪虚の発見は難航を極めた。それは醸造されている酒樽の数々だった。村の主産業、というだけあって、その樽の数は膨大で、しかもこれらを動かすことに村人たちは強く反対していた。他に移す場所もなければ、外に出そうものなら酸化して味が落ちる。売り物として質が落ちれば、村の存亡にかかわると。おかげで女ハンターは動かすことも壊すこともできないこの厄介な『障害物』に阻まれて、歪虚を捕らえることがなかなかできずにいた。その姿が小さな蛇であることを確認できただけでも僥倖と言えよう。
「何度言ったらわかるんだ。酒樽は動かせない!」
女ハンターはため息をついた。彼らは酒全部が腐ってダメになるまで、酒造りのプライドとやらにこだわり続けるのだろう。迷惑な話だ。
さて、どうしたものか。女ハンターは考えた。
恐らく歪虚とはいっても被害は酒を腐らせる程度で、正面から戦えば全く脅威のない雑魔なのは明らかだ。めんどくさいなのは人間の方。
酒が飲める依頼だと聞いて参加したのに、これはかなり骨が折れる。しかもこのワインセラーが少しずつ穢され始めている。今、雑魔を倒しても新たな歪虚が発生するかもしれないし、この先、いい酒は作れないだろう。
結局、文句言われる。美味しい酒も飲めない。
もはや歪虚を倒すだけじゃ解決は無理。
ならば、合法的に、合理的に美味しい酒にありつくには。
女ハンターは指を鳴らした。
「酒樽を動かせないのは、ワインの品質が落ちるからよね?」
「そうだ」
「ここの酒、新酒じゃないわよね?」
「ああ、新酒はまだずっと向こうの方だ。来月には解禁日を迎えるが……、それがどうかしたのか?」
女ハンターはにぃっと邪悪な笑みを浮かべた。聖導士が持つイメージとはかけ離れたその笑みを男が気付けなかった。
「いい方法があるわ。歪虚を簡単に見つける方法。酒をね、どかせるのよ」
「何度言わせるんだ、酒樽は動かすな!! このワインは人に至福を与えるものなんだ。それを落胆させるものにすることはできん!」
「あら、要するに酒が傷まないようにすればいいんでしょう?」
「な、何を言ってるんだ? そんなことが……」
「できるわよ、胃の中にうつせば、傷む間もなく人々を至福に導けるわよ。どうせ、秋祭の時に、保存に見切りをつけるものは全部空けちゃうんでしょう?」
男の時間が止まった。女ハンターの言葉が理解できてないようだった。
「歪虚が潜んでいるだろうエリアにある樽の数は50ってとこね。ま、20人もいれば楽勝ね。ああ、依頼が成功すれば、ここのワイン飲み放題にしてくれるって言ってたわよね。先に無くなるか、後でなくなるかくらいの違いでしかないから安心しなさいな」
女ハンターは鼻歌混じりに魔導伝話を操作し始める中、男は歪虚が出てきたと言った時より遥かに真っ青な顔をして女ハンターにしがみついた。
「お、おい。大切な商品なんだ……それを50樽も飲み干すだって!?」
「このワインセラーは歪虚に穢され始めているから、退治したところで酒作ってもいいのできないわよ。その浄化も含んでいるんだから。安いものよ?」
男はがっくりと膝をついていた。そんな男に女ハンターは優しく肩を叩いた。
「ちょっと早いけど、秋祭りだと思えばいいのよ。海千山千のハンターに酒を飲んでもらえるのよ? もしかしたら彼らが方々に宣伝してくれて来年は売れ行き良くなるかもしれないわね」
確かに酒を傷ませずに、すみやかに歪虚を倒して、来年以降も酒造りを続けるにはこれしかないのかもしれない。
もうそこまで言われたら、男も腹をくくるしかなかった。
「だぁぁぁぁ! わかった! 酒全部もってきやがれーーーーーっ!!!」
ヤケになる男を横目に、女ハンターは伝話で話す。
「あ、もしもし? 悪いけどオフィスに連絡してくれる? 酒盛りするから20人ばかり、応援きてくれって。酒のみだけ連れてこないでね。料理できる人も欲しいし、楽しい芸できる人も絶賛募集ってしておいてくれる? なにって、作戦よ、作戦!! リアルブルーの伝承にひっかけて名づけてスサノオ作戦ねっ!」
村が雇った女ハンターにいらだった様子で男は問いただした。
「あのね、こんなに広大で障害物だらけの中で、小さな蛇一匹見つけろって無茶言わないでよ」
女ハンターの方も随分と苛立った顔でそう返した。見なさいよ、と手を伸ばした先には、広大な地下のワインセラーが広がっている。元々地下道を利用して作られたこのワインセラーは、恐らく日の光が差したとしてもその先を見通すことはできないだろう。それ程長い道に延々とワイン樽が年代順に並べられ、保管されている場所だった。
問題はここに歪虚が発生したらしい、ということだった。らしい、というのは推測であって、誰一人その姿を確認できていないからである。
「あんたが歪虚をみつけなきゃ、酒が腐らされちまうんだ! この村の主産業はこのワインなんだぜ!? それは俺たちの生活もかかってるんだ!」
「その言葉は耳にタコができるくらい聞いたわよ。ここの障害物、全部取っ払っていいならすぐにでも退治してあげるけど?」
歪虚の発見は難航を極めた。それは醸造されている酒樽の数々だった。村の主産業、というだけあって、その樽の数は膨大で、しかもこれらを動かすことに村人たちは強く反対していた。他に移す場所もなければ、外に出そうものなら酸化して味が落ちる。売り物として質が落ちれば、村の存亡にかかわると。おかげで女ハンターは動かすことも壊すこともできないこの厄介な『障害物』に阻まれて、歪虚を捕らえることがなかなかできずにいた。その姿が小さな蛇であることを確認できただけでも僥倖と言えよう。
「何度言ったらわかるんだ。酒樽は動かせない!」
女ハンターはため息をついた。彼らは酒全部が腐ってダメになるまで、酒造りのプライドとやらにこだわり続けるのだろう。迷惑な話だ。
さて、どうしたものか。女ハンターは考えた。
恐らく歪虚とはいっても被害は酒を腐らせる程度で、正面から戦えば全く脅威のない雑魔なのは明らかだ。めんどくさいなのは人間の方。
酒が飲める依頼だと聞いて参加したのに、これはかなり骨が折れる。しかもこのワインセラーが少しずつ穢され始めている。今、雑魔を倒しても新たな歪虚が発生するかもしれないし、この先、いい酒は作れないだろう。
結局、文句言われる。美味しい酒も飲めない。
もはや歪虚を倒すだけじゃ解決は無理。
ならば、合法的に、合理的に美味しい酒にありつくには。
女ハンターは指を鳴らした。
「酒樽を動かせないのは、ワインの品質が落ちるからよね?」
「そうだ」
「ここの酒、新酒じゃないわよね?」
「ああ、新酒はまだずっと向こうの方だ。来月には解禁日を迎えるが……、それがどうかしたのか?」
女ハンターはにぃっと邪悪な笑みを浮かべた。聖導士が持つイメージとはかけ離れたその笑みを男が気付けなかった。
「いい方法があるわ。歪虚を簡単に見つける方法。酒をね、どかせるのよ」
「何度言わせるんだ、酒樽は動かすな!! このワインは人に至福を与えるものなんだ。それを落胆させるものにすることはできん!」
「あら、要するに酒が傷まないようにすればいいんでしょう?」
「な、何を言ってるんだ? そんなことが……」
「できるわよ、胃の中にうつせば、傷む間もなく人々を至福に導けるわよ。どうせ、秋祭の時に、保存に見切りをつけるものは全部空けちゃうんでしょう?」
男の時間が止まった。女ハンターの言葉が理解できてないようだった。
「歪虚が潜んでいるだろうエリアにある樽の数は50ってとこね。ま、20人もいれば楽勝ね。ああ、依頼が成功すれば、ここのワイン飲み放題にしてくれるって言ってたわよね。先に無くなるか、後でなくなるかくらいの違いでしかないから安心しなさいな」
女ハンターは鼻歌混じりに魔導伝話を操作し始める中、男は歪虚が出てきたと言った時より遥かに真っ青な顔をして女ハンターにしがみついた。
「お、おい。大切な商品なんだ……それを50樽も飲み干すだって!?」
「このワインセラーは歪虚に穢され始めているから、退治したところで酒作ってもいいのできないわよ。その浄化も含んでいるんだから。安いものよ?」
男はがっくりと膝をついていた。そんな男に女ハンターは優しく肩を叩いた。
「ちょっと早いけど、秋祭りだと思えばいいのよ。海千山千のハンターに酒を飲んでもらえるのよ? もしかしたら彼らが方々に宣伝してくれて来年は売れ行き良くなるかもしれないわね」
確かに酒を傷ませずに、すみやかに歪虚を倒して、来年以降も酒造りを続けるにはこれしかないのかもしれない。
もうそこまで言われたら、男も腹をくくるしかなかった。
「だぁぁぁぁ! わかった! 酒全部もってきやがれーーーーーっ!!!」
ヤケになる男を横目に、女ハンターは伝話で話す。
「あ、もしもし? 悪いけどオフィスに連絡してくれる? 酒盛りするから20人ばかり、応援きてくれって。酒のみだけ連れてこないでね。料理できる人も欲しいし、楽しい芸できる人も絶賛募集ってしておいてくれる? なにって、作戦よ、作戦!! リアルブルーの伝承にひっかけて名づけてスサノオ作戦ねっ!」
リプレイ本文
●1樽目
「それじゃ、乾杯ね」
依頼人のディアナは、真後ろで村人が打ちひしがれているのも気にした様子もみせずに乾杯の音頭を取った。ハンター達の幾人かは苦笑いを浮かべていたが、大半はディアナと同じくまったく気にせずに盃を天高く突き出す。それもまた人情。
「かーーーんぱーーーーーい!!!」
歓声と共にはじまる飲み会。
「その器、なかなか趣があってよいのぅ」
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)は突き出された種々のワイングラスの中で一際異彩を放っていたミィリア(ka2689)のそれに目を向けた。鮮やかな朱色でミィリアの顔をすべて覆い隠すようなほどの大きさのある酒盃だ。
「リアルブルーのお侍さんや武芸者はこういうの使うって聞いたことあるのでござる~。ミィリアのマイ盃でござるよ♪」
そんな盃にミィリアは、どっぷんどっぷんとワインを注ぎ込む。朱と紫。本場のリアルブルーではあまり見ないカラーリングになっているが、ミィリアはあんまり気にした様子もない。
「なんと! マイ盃とな。これは大王たるボクにも是非欲しい一品!」
風情のある大きな盃に思わず羨ましそうな視線を送るのに気付いたミィリアはにっこりほほ笑む。
「この盃は回し飲みするものでござる、まずはミィリアから行くでござるよー」
ミィリアは盃をぐいっと持ち上げると、中身が空であった時に比べると遥かに重たく、そしてバランスが悪い。ミィリアはドワーフならではの力でぐいっと盃を傾けた。
するとワインは息せき切ってミィリアの口どころか顔面に降り注ぐのである。どばしゃーーーーっと。
顔がワイン色に染まる。視覚的な意味でもそうだし、窒息して死にそうになっている意味でも。
慌ててディアドラが傾いた盃の一端を持って安定させると、ディアドラは決意のこもった瞳でミィリアに述べた。
「うむ、そなたの遺志はボクが受け取る! ありがたく頂戴するぞ」
遺志じゃないよ、まだ死んでないよ! と周りのハンター達は思っていたが、ディアドラは全くそんなことも気にせずにその志を引き継いで、盃を『勢いよく』傾けた。
あ……、とみんながディアドラの制止に入ろうとするが、もう遅い。
どばしゃーーーーっ。
「わははは、景気のいい飲み方してんじゃねぇか! 俺も混ぜろよ」
遅れて会場にやってきたボルディア・コンフラムス(ka0796)がその盃の一端をつかんで安定させる。ようやくワインの滝が止まったことを確認して、エプロンドスをベースにした民族衣装姿のアナスタシア・B・ボードレール(ka0125)がワインまみれになった二人をタオルでふき取る。
「そのままでは風邪を引きますね。お着替えはありますよ? 村の人に秋祭り用の衣装を手配してもらったところです」
アナスタシアが二人の目の前に差し出したのは、アナスタシアと同じエプロンドレスの民族衣装。
二人は紫に染まった自分の服とエプロンドレスをしばらく見て、頷いた。
こっちの方が楽しそうかも!!
着替え場所を案内するアナスタシアにもう酒を前にいてもたってもいられないという具合のボルディアが声をかけた。
「おう、アナスタシア。悪いけど、こいつをさばいといてくれるか。このワインの海を見たら血が騒いできたぜ!」
「飲む協力はできない分、料理や配膳に注力しようとは思っていましたが……」
腕まくりをして飲み会に参加するボルディアが残していったのは、牛まるまる一頭であった。まだ新鮮なやつ。
まさか素材そのものから調理することになろうとは。しかし、給仕はのん兵衛たちを満足させるためには多少のサービスも必要だ。
「腕がなります。家族をKOして以来ですし」
しかし、肝心の刃物がないことにはさばきようがない。本格的な料理を作っている勢はまだ時間がかかりそうだし……機導砲を使って切断を試してみようか。アナスタシアは自分のアルケミストタクトを目の前にして考え込む。
「機導調理なら、機導剣でさばいたらどうかな?」
まるで水でも飲むかのようにワインを煽っていたサーティカ・ソウディアム(ka0032)がアナスタシアに話しかけた。そして彼女のタクトにマテリアルを収束させた光の剣を作り上げた。
「単にマテリアルを収束させただけだと肉が消し炭になっちゃうからね。威力を弱めて……そう。本当の包丁ならね。ここは槌の叩き具合で微妙に変化するところなんだ……それで」
サーティカの鍛冶談話をよそにアナスタシアは機導剣でざっぱりと皮を剥ぎ取り、骨を切り裂く。
「っかーーーぁ、この酒、うめぇな! よぉ、親父ィ! タダで酒飲ましてくれるなんて太っ腹だねぇ、わはははは。おーい、つまみはマダか?」
3杯目のグラスをあけたボルディアが調理組にむかって叫んだ。
と、刹那。アナスタシアが、すい、とボルディアの前に皿を差し出した。まだ調理を始めて3分も経たずに完成したのは切ると同時に表面を焼いてくれる機導風ローストビーフだ。
「味付けはお好みでどうぞ」
「おぉ、はえェな! よっしゃあ、いただくぜー!」
アナスタシアの超高速料理にボルディアは上機嫌でぱくついた。
これを機に作る側と消費する側の戦いが始まる。
●5樽目
「ま、まだ料理が足りてません」
アナスタシアの用意したエプロンドレスに身を包んだマリエル(ka0116)が、料理作成班に現況を伝えた。
酒飲みたちの勢いは恐ろしく、ワインなどいちいち瓶に詰めなおすのも手間だと、樽から直接汲み出す始末。ついでに料理も飛ぶようになくなっていく。作るのと配膳するのと両方を兼ねているマリエルはもう息があがりかけている。
「飲んでる人達、本当に味がわかってるのかな?」
沙姫=司芭月=灰楽礼亜(ka1615)は次々と出ていく料理が喧騒の中に消えていくのを見送り、心配そうにしていた。何しろ料理はあまり得意ではない。今作っている煮物だって味付けに何をどれだけ入れるべきか悩む。
「大丈夫、大丈夫。すっごく良くできてるよ」
傍で同じく料理を作成するティアナ・アナスタシア(ka0546)は沙姫ににっこりとほほ笑みかける。どの調味料をどれだけ入れるのか、恐る恐る確認する沙姫にティアナはそっと次に入れるべき調味料を示して見せる。
「にしても、早すぎ! 私達だって宴会に参加したのに! これじゃ作るだけじゃない。酒のいい香りだけさせて、ずるい~」
料理をすごく美味しそうに食べてくれるのは嬉しい。が、友人たち同士でつつき合う時間だって欲しいのだ。一緒に来たシエル=アマト(ka0424)も料理の配膳にもみくちゃにされて辛そうである。
「ああ、もうすぐ大皿料理ができるから、会場の方行ってきなよ」
ユリアン(ka1664)は大鍋で作っているリンゴのワイン煮の様子を見ながら、二人ににこりと笑いかけた。多少顔が赤くなっているは彼がまだ酒にそれほど抵抗がないのが原因だろうか。
「え、いいの? やたっティアナちゃん、行こう! シエル~。お役交代だよー!」
二人はエプロンを投げ出すとティアナは料理を運んでいたシエルから盆ごと料理を取り上げ、ついでに一口。ティアナはワイン瓶とグラスをとってシエルに押し付ける。
「え、もういいのかい? え、ちょっと沙姫。いきなり……こ、こぼれるって!」
シエルは状況の掴めぬままに、駆けつけの酒を振る舞われる。
残った厨房ではマリエルとユリアンができあがった料理を運ぶ準備を整えていた。
「そういえば先日はお世話になりました。体は大丈夫ですか?」
「こちらこそありがとう、何ともないよ。……ちょっと髪が焦げたけどね。散髪する理由ができて良かった」
剣機戦の依頼で一緒になった二人はくすくすと笑った。そんな中にふらりと依頼人のディアナが姿を現す。
「あら、楽しそうじゃない。料理はやく持ってこないとティアナが全部食べつくしちゃうわよ」
「あ、ディアナさん。私はこれ作ったんですけど……先に味見します?」
マリエルが差し出したのは三色でできたニョッキだった。それを見たディアナは目を細めた後、口元をくい、と釣り上げる独特の微笑みを浮かべて答えた。
「懐かしいもの見たわね。私の故郷にもあったわ。でも私はワインだけあればいいの。ごめんなさいね」
そう言うと、ディアナは宴会場に向かって大声を出した。
「こら、のん兵衛ども! ちょっとは手伝いなさい!」
へーい、と幾人かから返事があり、ようやく食う飲む対決は協調の方向に動くのであった。
●13樽目
ワイン瓶に換算して200本を超えたあたり。そろそろ限界でぶっ倒れる人間もちらほらと見えるようになってきた。とりあえず賑やかさも落ち着いてきたら、場の空気が少し気になる頃合いだ。
Charlotte・V・K(ka0468)は紫煙をふきだしながら、周りの惨状を眺めて、ちびりとワインを傾けた。まだドワーフをはじめとした酒豪勢はピンピンしているが、酒に弱いのは傍からぶっ倒れている。
「こういう時はペースを崩さないのが一番だな……」
Charlotteは極めて冷静にグラスを傾けた。何しろまだ飲み干さなければいけない酒樽は半分以上ある。恐らくこの人数ではとても敵わないだろうが、歪虚を少しでも早く見つけ倒すにはペースの維持は絶対に死守しなければならない。
そんな中でもまだエステラ・クルース(ka1104)達は元気な方だと言えた。
「ルイ兄ぃ~、味はどうっすか? おいしいっすか? 美味しいと言って?」
「ああ、悪くはないが……うっとおしいのは止めろ。まともに飯食えないだろうが」
ルイ・シュヴァリエ(ka1106)はうんざりとした様子でエステラの頭をぐいと押しのける。何しろ食べろと言ってきた張本人は彼の膝の上に座り、腕を首にからませた上で見つめてくる。ハンバーグを作ってくれたのはいいが、そのハンバーグが彼女の体で見えない。そして口に運べない。第一、酒臭すぎて料理の風味が完全に飛んでいる。
「あ、じゃあ食べさせてあげるっすー、はい、あーん」
追記、料理の風味だけでなく、エステラの理性もトんでる。
頬にハンバーグをぐりぐりさせられ、ルイはもうすべてを諦めた。誰だ、こいつが酒を飲ませたのは……。
「なんか睨まれている気がするのは気のせいか」
「多分、気のせいじゃなかろう」
しらばっくれて樽からそのまま升にいれてワインを煽る朱殷(ka1359)に蒼聖(ka1739)が困ったような顔をした。しかし、朱殷は張り倒されてもまだ元気にじゃれつくエステラを見て面白そうな顔をするばかり。
「もう一杯か、二杯くらいはやれそうだ。ついでにあの依頼人の女にも仕掛けてみるか。水みたいにかっくらうが、そろそろ酒の泥濘に足を突っ込んでくれよう」
「止めてやらんか、被害が増大する。ただでさえ……」
立ち上がろうとする朱殷を蒼聖は腕をつかんで止めた。ただでさえ、もう乱痴気騒ぎに近くなっている。朱殷が酒と色事を好むのは知っていたが、このままでは笑いで済まされなくなるのは請け合いだ。
ぐい、とそのまま腕を引き寄せる。それはもっと抵抗されるものだと思っていた。まるでのれんに腕押しするかのような軽い感覚で難なく朱殷は引き寄せられた。いや、朱殷の方が自分から身を寄せたのだ。先のエステラとルイの距離よりももっと近い、吐息が肌で感じられるほどに顔が近づく。
「では主が飲め。先ほどから全然飲んでおらぬだろう」
爛々と輝く金の瞳に、獣の力がこもっているように感じた。ああ、泥濘に足をかけそうになっているのはワシか。蒼聖は視線を囚われたままに苦笑いを作って浮かべた。
「分かった分かった。付き合ってやる」
蒼聖は困ったような笑みを浮かべて朱殷の要求を承諾した。
まあ良かろうか。酒の勢いは朱殷を楽しませているように一見見えるが、寂しい気持ちが浮き彫りになっているのを感じていた。あの金の瞳は孤独に苛まされているようだった。
差しつ差されつ。朱と蒼の心を、紫の酒がとりもっていく。
●25樽目
「これは……もはや歪虚と直接戦うよりひどいかもしれません。神社さん、すみませんけど、そっちの方をお願いします。僕は樽に水を入れてきます」
ライエル・ブラック(ka1450)はぶっ倒れた人間を会場の隅に移動させて、温かい毛布を掛けて上げていた。飲み会開始から早1日が過ぎ、20名余りいた半分以上がライエルによって『救助』されていた。巷を騒がす巨大な歪虚との戦いですら、まだこんな救護所のようにはなっていない気がするのは気のせいだろうか。
「皆さん、それでも飲むんですから……すごいね」
神杜 静(ka1383)はフライパンを持つ手を冷水にひたした布をあたがう役に切り替えてライエルのサポートに回っていた。
「お姉さーん、こっちにも貰えるかしら~」
甲高い声が静にかけられた。見ればNon=Bee(ka1604)がひらひらと手を振っているではないか。その膝にはHachi=Bee(ka2450)がご機嫌で眠りについている。
ぴきっ、と静の表情が笑顔で固定される。
「ごめんなさいね。はっつぁんたら飲みながら弓を撃とうとするから危なっかしくて、お水一杯あれば、ちょっとはスッキリするでしょ」
「ふふふーん、いやぁ、蛇のかば焼きにしようと思ったんだけどね。矢を番えるのってこんなに難しかったのね。お酒の勢いであなたの心を射止める矢は放っても~♪」
Hachiことはっつぁんは見た目クールビューティを絵にしたようなエルフの女性なのに、Nonこと呑兵衛の膝で歌うその姿は零落著しい。静はそんなはっつぁんに冷水を渡すと同時に、呑兵衛にも冷えたタオルを渡す。
「はい、どうぞ……ついでにお姉さんの頭も冷やすことを薦めるよ。自分は男だから」
「あら」
目をぱちくり、として呑兵衛はまじまじと静の顔を見た。どう見たって笑顔の怖い女性のそれだが、本人が男だというのだからそうなのだろう。呑兵衛はケラケラと笑うと、静の笑顔にさらに殺気の混じったような深みがます。
「何かおかしいことでも?」
「ごめんごめん。あたしと同じなのに気づかなくて」
は?
そこで静もようやく、呑兵衛の顔をまじまじと見つめなおした。すらっとしていて人間の女性としても見間違えるほどだが。そういえば心なしか声が低い。喉が酒灼けしているのかと思ったが。
「もしかして、男性……?」
「これからはドワーフも美しくなくちゃね!」
ドワーフ!?
論点をさらに飛び越えて、静はしばし絶句した。
上には上がいるものである。
ともあれ、はっつぁんは冷水で心を引き締め、再び弓を持って立ち上がった。
「さぁ、蛇のかば焼きー。鶏肉みたいな味するんですって!」
と、意気揚々としているものの、飲んだのは水一杯で醒めるような量のワインではない。やはり腕もおぼつかない。
「ふぅん……そっちにいたのかぁ」
3人の会話を聞きつけたヒース・R・ウォーカー(ka0145)が駆けつけた。こちらは馬鹿騒ぎに関係しない程度にちびちび飲んでいたので、動きはスマートだ。はっつぁんの弓を向けた場所を確認しつつ、バゼラードを引き抜き、その刃を持った手ではっつぁんを制止した。
「弓は止めといた方が良いねぇ。まだ中身の入っている樽があるんだぁ、間違えて射抜いたらこの辺りはワインの海になるかも知れないからねぇ」
「それはそうだね。こいつはうっかり」
てへ、と笑うはっつぁんの視界にシュルリと動く影が走った。それを確実に捉えたのはリリア・ノヴィドール(ka3056)だった。
「いたっ、一気に片を付けるよ」
リリアは素早く走り、その姿を確認する。間違いない。依頼の元凶となった蛇型歪虚だ。
蛇もリリアのことを気づいたのか、素早く樽の影などを利用して、サーティカが一人鍛冶講談の後ろを通り抜けていこうとする。リリアとヒースは連携して動き挟み撃ちにしようとするが、まだ樽の方が多く、物陰をうまく利用されて攻撃レンジに持ち込むことができない。その隙に蛇はサーティカを横から……
「そこでね、重要なのが精錬なんだよ。この刃は複数の金属を合わせていてね、こう、打ち合わせるんだ。こんな風に……」
ごむん。
サーティカが地金の塊を床にごつごつと打ち合わせていた時に、不運にも蛇はその下敷きになる。
「あれ、なんか変な感触が……まぁいいか。そうそう鉱石の精錬する時には感触も必要でね……」
サーティカは講談に夢中でちっとも蛇にダメージを与えていたことに気付いていないようだ。蛇はそれでもなんとか逃げ惑う。
「お水汲んできました。よいしょ……お、重たい」
そこに樽に水を入れて戻って来たライエルが戻ってくる。小柄ながらもがんばって重たい樽を両手で持って運んでいたが、愛用の眼鏡がずり落ちてきてしまう。そこでライエルは眼鏡を押し上げようと樽を一度置いた。
どご。
樽で蛇が押しつぶされた。
「なんだかなぁ」
若干、武器を振り回す自分が情けなくなってきたヒースである。しかし、蛇はまだ何とか移動し、酒でくたばったメンバーの元に移動していく。寝ている彼らは無防備だ。怪我の恐れがある。ヒースは走った。
「んぐぁぁぁぁ、おーぅ、なんぼでももってこい……ひっく、ぐぅ……」
ボルディアが寝言を言いながら、寝返りをうつと、その筋骨隆々とした腕が蛇の頭に直撃した。
「もう酒は勘弁してくれないかな……あ、そうだ。音楽やろう、セッション!」
沙姫によってふらふらにされたシエルが逃げるようにしてギターを取りに走る。
どかっ。
「あ、ごめん。なんか踏んだ!」
「いやぁ……別に踏んでもいいと思うよぉ。自分が嫌じゃなければねぇ」
はぁ。とため息をついたヒースはしゃがみこみ、瀕死でのたうつ蛇にトドメを刺した。
これほどまでに達成感のない歪虚退治も珍しい。
ボロボロと崩れ去り、一瞬で塵と消えていく歪虚の死を眺めてヒースはぼんやりそう思った。
「酒は何の心配もない時に飲むのが一番美味い、と。飲みなおすかぁ……」
●37樽目
最終日。みんな夜明かし飲みまくった。料理にも使った。寝て起きて迎え酒もした。だが、まだ樽の方が多い。平気で飲んでいるのは依頼人のディアナただ一人。3日目あたりから彼女はドワーフをも凌ぐバケモノとして認知されつつあった。そんな飲み会も今日で終わりだ。今日はもう依頼のためではなく、飲み残しがないようにという目的に変わってしまっている。
「ほ、本当に飲んでしまいやがった……」
実際20人ちょっとの人数で50樽も飲めるとは思っていなかったのだろう。きれいさっぱりと片付いたワインセラーで、村人はがっくりと膝をついた。
「もう少しいけると思ったんだけどね。まあ10樽を来年までに少しずつ飲んで、飲み切るころには来年は新酒を……」
「来年分まで飲む気か!!?」
ディアナの言葉に悲鳴を上げる村人に火々弥(ka3260)がはっはと笑って肩を叩いた。
「いやいや、来年は多くの人で賑わうよう宣伝しておこう。わしらにもいい思い出となった」
「本当、本当、目の保養になったし、美味しいワインも一年分くらい飲み溜めできたし、楽園だったわぁ」
ルキハ・ラスティネイル(ka2633)はんーっと伸びをして、それからふと何かを思い出した。
「あ、でも、もう一つ忘れてたわぁ」
そういうとルキハはウィアド(ka3220)を見てにんまりと笑う。
「まだウィアドちゃんお手製の最後の晩餐をいただいてなかったかなぁ~♪」
「ここで5日ほどで料理を作るのは本当に慣れたからな。ほら、サングリアだ。ライエルからカプレーゼの作り方も聞いてきたんだぜ。酔いを覚ますのにはぴったりだとよ」
何かを求めるルキハの甘くねだる声に、ウィアドは苦笑いをして料理の皿を並べた。
「オイシイわぁ~♪ ウィアド君、いいお嫁さんになれるわヨっ」
そのソツのない動きと丁寧に作りこまれた料理にルキハは蕩けるような笑みを浮かべて体を寄せる。
「おい、近いぞ」
顔を真っ赤にして狼狽えるウィアド。彼の肩にはルキハを警戒して尻尾を釣り上げる猫がいたが、その様子に気づいて慌ててウィアドは猫をなだめた。やれやれまぁ、酒のみの女性陣は積極的なのが多いようである。
「それじゃ、あたしもぉ~なんかやらないといけない気がするわねぇ」
何をすべきか、ルキハはサングリアを口に運んだ後、椅子代わりにしていた樽をトントン。と叩いて考えた。
「お、なんかいい音だな」
トントン
「鍛冶の打つ音を思い出す」
「リズムがいいのは好きだな。一曲やるか」
「みんなで賑やかにやろうぞ。ボクも披露しよう」
「ちょっとぉ、飲むペース崩れるじゃない。あたしマイペースに飲むのが好きなのに」
♪トントン トントン トントン。
「なんだか故郷を思い出すな」
「ボラ族の人達もこんなリズムでやってたな」
「いいですね、みんなでやりましょうか」
「別に嫌いじゃないけどねぇ」
♪トントン トントン トントン♪
♪トントン トントン トントン♪
トントン トントン トントン。
「この服でなら踊りもうまくできそうですね」
「ふむ、悪くないな」
「ねえねえ、シエル~。一緒にやろ?」
「こりゃいいぜ、リズムに合わせて飲んでくか」
「また飲ませるつもりか」
「音楽やるっつってんだろ。リズムとれないだろうが!」
「えー、いいじゃん、一緒に、ね?」
「いけいけ~」
「あ、寝てなくて大丈夫ですか? それならやりましょう」
「ウフフ、楽しみ~」
「これは酒が進みそうだ。おーい、酒ぇ!」
「さあ、みんなで歌って踊って騒ごう!」
それぞれが近くにある樽を軽くたたき始める。
音は渾然一体となり、一つのリズムを作り始める。やがてディアドラとシエルによる伴奏がつき、沙姫が踊り出す。そしてやおらルキハの歌で形が作られている。
「今度はこれをメインに祭りを開いても良いかもしれぬな? 皆、良い思い出をもって帰れることじゃろう、最高の酒、最高のツマミ、最高の仲間がいることをこの村は教えてくれる、とな」
村人に火々弥はそっと語りかけた。
広がる青空、巡る太陽、駆け行く嵐
輝け。この世界よ。
獣達の力強さ、大地に生きる人の労働の汗
煌めけ。我らの命よ。
「それじゃ、乾杯ね」
依頼人のディアナは、真後ろで村人が打ちひしがれているのも気にした様子もみせずに乾杯の音頭を取った。ハンター達の幾人かは苦笑いを浮かべていたが、大半はディアナと同じくまったく気にせずに盃を天高く突き出す。それもまた人情。
「かーーーんぱーーーーーい!!!」
歓声と共にはじまる飲み会。
「その器、なかなか趣があってよいのぅ」
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)は突き出された種々のワイングラスの中で一際異彩を放っていたミィリア(ka2689)のそれに目を向けた。鮮やかな朱色でミィリアの顔をすべて覆い隠すようなほどの大きさのある酒盃だ。
「リアルブルーのお侍さんや武芸者はこういうの使うって聞いたことあるのでござる~。ミィリアのマイ盃でござるよ♪」
そんな盃にミィリアは、どっぷんどっぷんとワインを注ぎ込む。朱と紫。本場のリアルブルーではあまり見ないカラーリングになっているが、ミィリアはあんまり気にした様子もない。
「なんと! マイ盃とな。これは大王たるボクにも是非欲しい一品!」
風情のある大きな盃に思わず羨ましそうな視線を送るのに気付いたミィリアはにっこりほほ笑む。
「この盃は回し飲みするものでござる、まずはミィリアから行くでござるよー」
ミィリアは盃をぐいっと持ち上げると、中身が空であった時に比べると遥かに重たく、そしてバランスが悪い。ミィリアはドワーフならではの力でぐいっと盃を傾けた。
するとワインは息せき切ってミィリアの口どころか顔面に降り注ぐのである。どばしゃーーーーっと。
顔がワイン色に染まる。視覚的な意味でもそうだし、窒息して死にそうになっている意味でも。
慌ててディアドラが傾いた盃の一端を持って安定させると、ディアドラは決意のこもった瞳でミィリアに述べた。
「うむ、そなたの遺志はボクが受け取る! ありがたく頂戴するぞ」
遺志じゃないよ、まだ死んでないよ! と周りのハンター達は思っていたが、ディアドラは全くそんなことも気にせずにその志を引き継いで、盃を『勢いよく』傾けた。
あ……、とみんながディアドラの制止に入ろうとするが、もう遅い。
どばしゃーーーーっ。
「わははは、景気のいい飲み方してんじゃねぇか! 俺も混ぜろよ」
遅れて会場にやってきたボルディア・コンフラムス(ka0796)がその盃の一端をつかんで安定させる。ようやくワインの滝が止まったことを確認して、エプロンドスをベースにした民族衣装姿のアナスタシア・B・ボードレール(ka0125)がワインまみれになった二人をタオルでふき取る。
「そのままでは風邪を引きますね。お着替えはありますよ? 村の人に秋祭り用の衣装を手配してもらったところです」
アナスタシアが二人の目の前に差し出したのは、アナスタシアと同じエプロンドレスの民族衣装。
二人は紫に染まった自分の服とエプロンドレスをしばらく見て、頷いた。
こっちの方が楽しそうかも!!
着替え場所を案内するアナスタシアにもう酒を前にいてもたってもいられないという具合のボルディアが声をかけた。
「おう、アナスタシア。悪いけど、こいつをさばいといてくれるか。このワインの海を見たら血が騒いできたぜ!」
「飲む協力はできない分、料理や配膳に注力しようとは思っていましたが……」
腕まくりをして飲み会に参加するボルディアが残していったのは、牛まるまる一頭であった。まだ新鮮なやつ。
まさか素材そのものから調理することになろうとは。しかし、給仕はのん兵衛たちを満足させるためには多少のサービスも必要だ。
「腕がなります。家族をKOして以来ですし」
しかし、肝心の刃物がないことにはさばきようがない。本格的な料理を作っている勢はまだ時間がかかりそうだし……機導砲を使って切断を試してみようか。アナスタシアは自分のアルケミストタクトを目の前にして考え込む。
「機導調理なら、機導剣でさばいたらどうかな?」
まるで水でも飲むかのようにワインを煽っていたサーティカ・ソウディアム(ka0032)がアナスタシアに話しかけた。そして彼女のタクトにマテリアルを収束させた光の剣を作り上げた。
「単にマテリアルを収束させただけだと肉が消し炭になっちゃうからね。威力を弱めて……そう。本当の包丁ならね。ここは槌の叩き具合で微妙に変化するところなんだ……それで」
サーティカの鍛冶談話をよそにアナスタシアは機導剣でざっぱりと皮を剥ぎ取り、骨を切り裂く。
「っかーーーぁ、この酒、うめぇな! よぉ、親父ィ! タダで酒飲ましてくれるなんて太っ腹だねぇ、わはははは。おーい、つまみはマダか?」
3杯目のグラスをあけたボルディアが調理組にむかって叫んだ。
と、刹那。アナスタシアが、すい、とボルディアの前に皿を差し出した。まだ調理を始めて3分も経たずに完成したのは切ると同時に表面を焼いてくれる機導風ローストビーフだ。
「味付けはお好みでどうぞ」
「おぉ、はえェな! よっしゃあ、いただくぜー!」
アナスタシアの超高速料理にボルディアは上機嫌でぱくついた。
これを機に作る側と消費する側の戦いが始まる。
●5樽目
「ま、まだ料理が足りてません」
アナスタシアの用意したエプロンドレスに身を包んだマリエル(ka0116)が、料理作成班に現況を伝えた。
酒飲みたちの勢いは恐ろしく、ワインなどいちいち瓶に詰めなおすのも手間だと、樽から直接汲み出す始末。ついでに料理も飛ぶようになくなっていく。作るのと配膳するのと両方を兼ねているマリエルはもう息があがりかけている。
「飲んでる人達、本当に味がわかってるのかな?」
沙姫=司芭月=灰楽礼亜(ka1615)は次々と出ていく料理が喧騒の中に消えていくのを見送り、心配そうにしていた。何しろ料理はあまり得意ではない。今作っている煮物だって味付けに何をどれだけ入れるべきか悩む。
「大丈夫、大丈夫。すっごく良くできてるよ」
傍で同じく料理を作成するティアナ・アナスタシア(ka0546)は沙姫ににっこりとほほ笑みかける。どの調味料をどれだけ入れるのか、恐る恐る確認する沙姫にティアナはそっと次に入れるべき調味料を示して見せる。
「にしても、早すぎ! 私達だって宴会に参加したのに! これじゃ作るだけじゃない。酒のいい香りだけさせて、ずるい~」
料理をすごく美味しそうに食べてくれるのは嬉しい。が、友人たち同士でつつき合う時間だって欲しいのだ。一緒に来たシエル=アマト(ka0424)も料理の配膳にもみくちゃにされて辛そうである。
「ああ、もうすぐ大皿料理ができるから、会場の方行ってきなよ」
ユリアン(ka1664)は大鍋で作っているリンゴのワイン煮の様子を見ながら、二人ににこりと笑いかけた。多少顔が赤くなっているは彼がまだ酒にそれほど抵抗がないのが原因だろうか。
「え、いいの? やたっティアナちゃん、行こう! シエル~。お役交代だよー!」
二人はエプロンを投げ出すとティアナは料理を運んでいたシエルから盆ごと料理を取り上げ、ついでに一口。ティアナはワイン瓶とグラスをとってシエルに押し付ける。
「え、もういいのかい? え、ちょっと沙姫。いきなり……こ、こぼれるって!」
シエルは状況の掴めぬままに、駆けつけの酒を振る舞われる。
残った厨房ではマリエルとユリアンができあがった料理を運ぶ準備を整えていた。
「そういえば先日はお世話になりました。体は大丈夫ですか?」
「こちらこそありがとう、何ともないよ。……ちょっと髪が焦げたけどね。散髪する理由ができて良かった」
剣機戦の依頼で一緒になった二人はくすくすと笑った。そんな中にふらりと依頼人のディアナが姿を現す。
「あら、楽しそうじゃない。料理はやく持ってこないとティアナが全部食べつくしちゃうわよ」
「あ、ディアナさん。私はこれ作ったんですけど……先に味見します?」
マリエルが差し出したのは三色でできたニョッキだった。それを見たディアナは目を細めた後、口元をくい、と釣り上げる独特の微笑みを浮かべて答えた。
「懐かしいもの見たわね。私の故郷にもあったわ。でも私はワインだけあればいいの。ごめんなさいね」
そう言うと、ディアナは宴会場に向かって大声を出した。
「こら、のん兵衛ども! ちょっとは手伝いなさい!」
へーい、と幾人かから返事があり、ようやく食う飲む対決は協調の方向に動くのであった。
●13樽目
ワイン瓶に換算して200本を超えたあたり。そろそろ限界でぶっ倒れる人間もちらほらと見えるようになってきた。とりあえず賑やかさも落ち着いてきたら、場の空気が少し気になる頃合いだ。
Charlotte・V・K(ka0468)は紫煙をふきだしながら、周りの惨状を眺めて、ちびりとワインを傾けた。まだドワーフをはじめとした酒豪勢はピンピンしているが、酒に弱いのは傍からぶっ倒れている。
「こういう時はペースを崩さないのが一番だな……」
Charlotteは極めて冷静にグラスを傾けた。何しろまだ飲み干さなければいけない酒樽は半分以上ある。恐らくこの人数ではとても敵わないだろうが、歪虚を少しでも早く見つけ倒すにはペースの維持は絶対に死守しなければならない。
そんな中でもまだエステラ・クルース(ka1104)達は元気な方だと言えた。
「ルイ兄ぃ~、味はどうっすか? おいしいっすか? 美味しいと言って?」
「ああ、悪くはないが……うっとおしいのは止めろ。まともに飯食えないだろうが」
ルイ・シュヴァリエ(ka1106)はうんざりとした様子でエステラの頭をぐいと押しのける。何しろ食べろと言ってきた張本人は彼の膝の上に座り、腕を首にからませた上で見つめてくる。ハンバーグを作ってくれたのはいいが、そのハンバーグが彼女の体で見えない。そして口に運べない。第一、酒臭すぎて料理の風味が完全に飛んでいる。
「あ、じゃあ食べさせてあげるっすー、はい、あーん」
追記、料理の風味だけでなく、エステラの理性もトんでる。
頬にハンバーグをぐりぐりさせられ、ルイはもうすべてを諦めた。誰だ、こいつが酒を飲ませたのは……。
「なんか睨まれている気がするのは気のせいか」
「多分、気のせいじゃなかろう」
しらばっくれて樽からそのまま升にいれてワインを煽る朱殷(ka1359)に蒼聖(ka1739)が困ったような顔をした。しかし、朱殷は張り倒されてもまだ元気にじゃれつくエステラを見て面白そうな顔をするばかり。
「もう一杯か、二杯くらいはやれそうだ。ついでにあの依頼人の女にも仕掛けてみるか。水みたいにかっくらうが、そろそろ酒の泥濘に足を突っ込んでくれよう」
「止めてやらんか、被害が増大する。ただでさえ……」
立ち上がろうとする朱殷を蒼聖は腕をつかんで止めた。ただでさえ、もう乱痴気騒ぎに近くなっている。朱殷が酒と色事を好むのは知っていたが、このままでは笑いで済まされなくなるのは請け合いだ。
ぐい、とそのまま腕を引き寄せる。それはもっと抵抗されるものだと思っていた。まるでのれんに腕押しするかのような軽い感覚で難なく朱殷は引き寄せられた。いや、朱殷の方が自分から身を寄せたのだ。先のエステラとルイの距離よりももっと近い、吐息が肌で感じられるほどに顔が近づく。
「では主が飲め。先ほどから全然飲んでおらぬだろう」
爛々と輝く金の瞳に、獣の力がこもっているように感じた。ああ、泥濘に足をかけそうになっているのはワシか。蒼聖は視線を囚われたままに苦笑いを作って浮かべた。
「分かった分かった。付き合ってやる」
蒼聖は困ったような笑みを浮かべて朱殷の要求を承諾した。
まあ良かろうか。酒の勢いは朱殷を楽しませているように一見見えるが、寂しい気持ちが浮き彫りになっているのを感じていた。あの金の瞳は孤独に苛まされているようだった。
差しつ差されつ。朱と蒼の心を、紫の酒がとりもっていく。
●25樽目
「これは……もはや歪虚と直接戦うよりひどいかもしれません。神社さん、すみませんけど、そっちの方をお願いします。僕は樽に水を入れてきます」
ライエル・ブラック(ka1450)はぶっ倒れた人間を会場の隅に移動させて、温かい毛布を掛けて上げていた。飲み会開始から早1日が過ぎ、20名余りいた半分以上がライエルによって『救助』されていた。巷を騒がす巨大な歪虚との戦いですら、まだこんな救護所のようにはなっていない気がするのは気のせいだろうか。
「皆さん、それでも飲むんですから……すごいね」
神杜 静(ka1383)はフライパンを持つ手を冷水にひたした布をあたがう役に切り替えてライエルのサポートに回っていた。
「お姉さーん、こっちにも貰えるかしら~」
甲高い声が静にかけられた。見ればNon=Bee(ka1604)がひらひらと手を振っているではないか。その膝にはHachi=Bee(ka2450)がご機嫌で眠りについている。
ぴきっ、と静の表情が笑顔で固定される。
「ごめんなさいね。はっつぁんたら飲みながら弓を撃とうとするから危なっかしくて、お水一杯あれば、ちょっとはスッキリするでしょ」
「ふふふーん、いやぁ、蛇のかば焼きにしようと思ったんだけどね。矢を番えるのってこんなに難しかったのね。お酒の勢いであなたの心を射止める矢は放っても~♪」
Hachiことはっつぁんは見た目クールビューティを絵にしたようなエルフの女性なのに、Nonこと呑兵衛の膝で歌うその姿は零落著しい。静はそんなはっつぁんに冷水を渡すと同時に、呑兵衛にも冷えたタオルを渡す。
「はい、どうぞ……ついでにお姉さんの頭も冷やすことを薦めるよ。自分は男だから」
「あら」
目をぱちくり、として呑兵衛はまじまじと静の顔を見た。どう見たって笑顔の怖い女性のそれだが、本人が男だというのだからそうなのだろう。呑兵衛はケラケラと笑うと、静の笑顔にさらに殺気の混じったような深みがます。
「何かおかしいことでも?」
「ごめんごめん。あたしと同じなのに気づかなくて」
は?
そこで静もようやく、呑兵衛の顔をまじまじと見つめなおした。すらっとしていて人間の女性としても見間違えるほどだが。そういえば心なしか声が低い。喉が酒灼けしているのかと思ったが。
「もしかして、男性……?」
「これからはドワーフも美しくなくちゃね!」
ドワーフ!?
論点をさらに飛び越えて、静はしばし絶句した。
上には上がいるものである。
ともあれ、はっつぁんは冷水で心を引き締め、再び弓を持って立ち上がった。
「さぁ、蛇のかば焼きー。鶏肉みたいな味するんですって!」
と、意気揚々としているものの、飲んだのは水一杯で醒めるような量のワインではない。やはり腕もおぼつかない。
「ふぅん……そっちにいたのかぁ」
3人の会話を聞きつけたヒース・R・ウォーカー(ka0145)が駆けつけた。こちらは馬鹿騒ぎに関係しない程度にちびちび飲んでいたので、動きはスマートだ。はっつぁんの弓を向けた場所を確認しつつ、バゼラードを引き抜き、その刃を持った手ではっつぁんを制止した。
「弓は止めといた方が良いねぇ。まだ中身の入っている樽があるんだぁ、間違えて射抜いたらこの辺りはワインの海になるかも知れないからねぇ」
「それはそうだね。こいつはうっかり」
てへ、と笑うはっつぁんの視界にシュルリと動く影が走った。それを確実に捉えたのはリリア・ノヴィドール(ka3056)だった。
「いたっ、一気に片を付けるよ」
リリアは素早く走り、その姿を確認する。間違いない。依頼の元凶となった蛇型歪虚だ。
蛇もリリアのことを気づいたのか、素早く樽の影などを利用して、サーティカが一人鍛冶講談の後ろを通り抜けていこうとする。リリアとヒースは連携して動き挟み撃ちにしようとするが、まだ樽の方が多く、物陰をうまく利用されて攻撃レンジに持ち込むことができない。その隙に蛇はサーティカを横から……
「そこでね、重要なのが精錬なんだよ。この刃は複数の金属を合わせていてね、こう、打ち合わせるんだ。こんな風に……」
ごむん。
サーティカが地金の塊を床にごつごつと打ち合わせていた時に、不運にも蛇はその下敷きになる。
「あれ、なんか変な感触が……まぁいいか。そうそう鉱石の精錬する時には感触も必要でね……」
サーティカは講談に夢中でちっとも蛇にダメージを与えていたことに気付いていないようだ。蛇はそれでもなんとか逃げ惑う。
「お水汲んできました。よいしょ……お、重たい」
そこに樽に水を入れて戻って来たライエルが戻ってくる。小柄ながらもがんばって重たい樽を両手で持って運んでいたが、愛用の眼鏡がずり落ちてきてしまう。そこでライエルは眼鏡を押し上げようと樽を一度置いた。
どご。
樽で蛇が押しつぶされた。
「なんだかなぁ」
若干、武器を振り回す自分が情けなくなってきたヒースである。しかし、蛇はまだ何とか移動し、酒でくたばったメンバーの元に移動していく。寝ている彼らは無防備だ。怪我の恐れがある。ヒースは走った。
「んぐぁぁぁぁ、おーぅ、なんぼでももってこい……ひっく、ぐぅ……」
ボルディアが寝言を言いながら、寝返りをうつと、その筋骨隆々とした腕が蛇の頭に直撃した。
「もう酒は勘弁してくれないかな……あ、そうだ。音楽やろう、セッション!」
沙姫によってふらふらにされたシエルが逃げるようにしてギターを取りに走る。
どかっ。
「あ、ごめん。なんか踏んだ!」
「いやぁ……別に踏んでもいいと思うよぉ。自分が嫌じゃなければねぇ」
はぁ。とため息をついたヒースはしゃがみこみ、瀕死でのたうつ蛇にトドメを刺した。
これほどまでに達成感のない歪虚退治も珍しい。
ボロボロと崩れ去り、一瞬で塵と消えていく歪虚の死を眺めてヒースはぼんやりそう思った。
「酒は何の心配もない時に飲むのが一番美味い、と。飲みなおすかぁ……」
●37樽目
最終日。みんな夜明かし飲みまくった。料理にも使った。寝て起きて迎え酒もした。だが、まだ樽の方が多い。平気で飲んでいるのは依頼人のディアナただ一人。3日目あたりから彼女はドワーフをも凌ぐバケモノとして認知されつつあった。そんな飲み会も今日で終わりだ。今日はもう依頼のためではなく、飲み残しがないようにという目的に変わってしまっている。
「ほ、本当に飲んでしまいやがった……」
実際20人ちょっとの人数で50樽も飲めるとは思っていなかったのだろう。きれいさっぱりと片付いたワインセラーで、村人はがっくりと膝をついた。
「もう少しいけると思ったんだけどね。まあ10樽を来年までに少しずつ飲んで、飲み切るころには来年は新酒を……」
「来年分まで飲む気か!!?」
ディアナの言葉に悲鳴を上げる村人に火々弥(ka3260)がはっはと笑って肩を叩いた。
「いやいや、来年は多くの人で賑わうよう宣伝しておこう。わしらにもいい思い出となった」
「本当、本当、目の保養になったし、美味しいワインも一年分くらい飲み溜めできたし、楽園だったわぁ」
ルキハ・ラスティネイル(ka2633)はんーっと伸びをして、それからふと何かを思い出した。
「あ、でも、もう一つ忘れてたわぁ」
そういうとルキハはウィアド(ka3220)を見てにんまりと笑う。
「まだウィアドちゃんお手製の最後の晩餐をいただいてなかったかなぁ~♪」
「ここで5日ほどで料理を作るのは本当に慣れたからな。ほら、サングリアだ。ライエルからカプレーゼの作り方も聞いてきたんだぜ。酔いを覚ますのにはぴったりだとよ」
何かを求めるルキハの甘くねだる声に、ウィアドは苦笑いをして料理の皿を並べた。
「オイシイわぁ~♪ ウィアド君、いいお嫁さんになれるわヨっ」
そのソツのない動きと丁寧に作りこまれた料理にルキハは蕩けるような笑みを浮かべて体を寄せる。
「おい、近いぞ」
顔を真っ赤にして狼狽えるウィアド。彼の肩にはルキハを警戒して尻尾を釣り上げる猫がいたが、その様子に気づいて慌ててウィアドは猫をなだめた。やれやれまぁ、酒のみの女性陣は積極的なのが多いようである。
「それじゃ、あたしもぉ~なんかやらないといけない気がするわねぇ」
何をすべきか、ルキハはサングリアを口に運んだ後、椅子代わりにしていた樽をトントン。と叩いて考えた。
「お、なんかいい音だな」
トントン
「鍛冶の打つ音を思い出す」
「リズムがいいのは好きだな。一曲やるか」
「みんなで賑やかにやろうぞ。ボクも披露しよう」
「ちょっとぉ、飲むペース崩れるじゃない。あたしマイペースに飲むのが好きなのに」
♪トントン トントン トントン。
「なんだか故郷を思い出すな」
「ボラ族の人達もこんなリズムでやってたな」
「いいですね、みんなでやりましょうか」
「別に嫌いじゃないけどねぇ」
♪トントン トントン トントン♪
♪トントン トントン トントン♪
トントン トントン トントン。
「この服でなら踊りもうまくできそうですね」
「ふむ、悪くないな」
「ねえねえ、シエル~。一緒にやろ?」
「こりゃいいぜ、リズムに合わせて飲んでくか」
「また飲ませるつもりか」
「音楽やるっつってんだろ。リズムとれないだろうが!」
「えー、いいじゃん、一緒に、ね?」
「いけいけ~」
「あ、寝てなくて大丈夫ですか? それならやりましょう」
「ウフフ、楽しみ~」
「これは酒が進みそうだ。おーい、酒ぇ!」
「さあ、みんなで歌って踊って騒ごう!」
それぞれが近くにある樽を軽くたたき始める。
音は渾然一体となり、一つのリズムを作り始める。やがてディアドラとシエルによる伴奏がつき、沙姫が踊り出す。そしてやおらルキハの歌で形が作られている。
「今度はこれをメインに祭りを開いても良いかもしれぬな? 皆、良い思い出をもって帰れることじゃろう、最高の酒、最高のツマミ、最高の仲間がいることをこの村は教えてくれる、とな」
村人に火々弥はそっと語りかけた。
広がる青空、巡る太陽、駆け行く嵐
輝け。この世界よ。
獣達の力強さ、大地に生きる人の労働の汗
煌めけ。我らの命よ。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/07 20:40:13 |