ゲスト
(ka0000)
【詩天】会者定離
マスター:WTRPGマスター

- シナリオ形態
- グランド
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/03/23 19:00
- 完成日
- 2017/04/06 19:21
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
憤怒王を名乗る初代詩天に関する情報は天ノ都にも届いていた。
「出発ですか」
朱夏(kz0116)は、馬に騎乗する楠木家家長の楠木 香(kz0140)を見つめていた。
「ああ。急がなければならん。詩天の民が待っているのだ」
「ご存知だと思いますが、詩天には幕府を警戒する者がおります。今、幕府の者が動けば、後に禍根となるかもしれません。その事は記憶に留めて置いて下さい」
元々、朱夏がハンターに詩天の調査を打診したのは詩天と周辺地域へ幕府が介入する事で危機感を抱かれない為であった。
連邦国という特殊性に加え、復興を目指す各地域とは良好な関係を示したいのだ。
「分かっている。だが、そうだとしても見過ごせぬ。これは幕府の沽券に関わる事だ。民を守らずして、何故に幕府と言えようか」
香は、案じていた。
誰よりも憤怒王復活の事態重く見ており、早急な対策を行わなければ幕府の権威失墜に繋がると考えているのだ。
幸いにも早期に憤怒王を倒す事ができれば、幕府は救援を送ったという形になる。
それであれば周辺地域も、それほど危機感は高まらないだろう。
詩天にいる反幕府方は面白くないだろうが……。
「ご武運を」
香を見送る朱夏に頷く香。
政治的な事はすべてが終わってからやればいい。
今は、憤怒王の撃破を優先だ。
「行ってくる」
●
――初代詩天、三条 仙秋討伐の為の力を借りたい。
ハンターズソサエティで九代目詩天、三条 真美(kz0198)からの依頼を知ったハンター達は詩天に集結していた。
真美から討伐計画の概要を聞き、ハンターはため息をつく。
「……黒い大きな狼か。随分とまた厄介な依代を生み出したもんだな」
「そうですね。今回は依代を強化する陣を用意しているようです」
「随分な念の入れようね」
「今まで俺達に負け続けてるからな。仕方ないんじゃないか」
「それもそうね。それにしても真美君、仙秋の計画とかどこで知ったの?」
「それは……秋寿兄様が消える前、初代様について知り得たことを全て伝えると……」
目を伏せる真美に、言葉を無くすハンター達。
――先代詩天の甥で、真美の従兄でもある三条 秋寿。
彼は永いこと、その身体を依代として仙秋に利用され続けてきた。
依代として復活を果たした時点で、消えるはずだった秋寿の意思。
それは消えることなく奥底で眠り続け……最後にはその意思を目覚めさせ仙秋と決別し、歪虚になることを拒否して消えて行った。
身体を利用されていたからこそ知り得たものは沢山あったのだろう――。
「……初代様の本体は霊体です。依代を倒しただけでは終わりません」
「身体を捨てて逃げていくってことか」
「その霊体は一体どうやって倒すですか?」
「初代様が霊体になった時点で、私が結界を張って動きを封じます。そこを皆さんで総攻撃してください。霊体なので物理攻撃は効きませんが、マテリアルを乗せた攻撃であれば通用します」
「……なるほど。依代を捨てさせてからが本番って訳ね。下手を打てば結界を張る真美君にも危機が及ぶ。厄介だわ……」
「面白い。やってやろうじゃねえか!」
「大丈夫です。シンさんはわたくし達が守るです!」
「シン君。お父さんと、秋寿さんの仇を取ろう。僕達がついてるから」
「……ありがとうございます。忌まわしき『死天』の名と、繰り返される悲劇は、私の代で終わりにしたい。その為に力を貸してください」
頷くハンター達。
真美は強くて優しい彼らに、ずっと支えられ続けて来た。
己の幸せを願いながら消えて行った秋寿。そして詩天の民、ハンター達の為にも、私は務めを果たさなくては――。
幼き王は緊張で硬くなった身体を解すように深呼吸すると、よろしくお願いします……と頭を下げた。
●
長江、大輪寺。
かつては僧兵が守る山上の大きな仏閣であったが、今は歪虚の拠点となっている。
隠忍倭衆の情報によれば、ここで仙秋が何らかの儀式を執り行っていたらしい。依代を入手して真美と退治する為の準備をしているとすれば、この大輪寺に重要な何かがあると見て間違いないようだ。
大輪寺の東側には、天ノ都より参じた香の姿があった。
「再び現れた憤怒王をのさばらせる訳にはいかん。些末な事を考えるな。今はただ、目の前の敵に集中するのだ」
隠忍倭衆によれば、仙秋は宝珠を手にしていたという。その宝珠こそが呪詛であり、今も何らかの影響を仙秋に及ぼしていると香は考えていた。
「陣太鼓を鳴らせ! そして、皆の者……私に続け!」
薙刀を片手に、香は大輪寺に向かって走り出した。
一方、西側では。
――若峰を出る際に恋女房が打ち鳴らした火打ち石の音が耳に残る。
これが交わした約束の為になるのなら腕を振るう甲斐もある。
無理無茶無謀。そんな事は百も承知。
大輪寺西側に蠢く歪虚の群れに対し、男は中腰になって右手の掌を上に向ける。
「お控ぇなすって。あっしは生まれも育ちも、詩天は若峰。お天道様の空の下、日陰者として生きて参りやした。姓は風待、名は亨二郎。人呼んで春雷の亨二郎と申すもんでござんす。風待一家を預かる傍ら、諸国を漫遊する根っからの風来坊。旅の途中、人の道を諭されて恥ずかしながら生まれ故郷の詩天へ帰って参りやした」
淡々と述べる口上に歪虚が集まってくる。
男はゆっくりと鞘から刀を引き抜いた。
「古き友……三条 秋寿との約定を果たす為、九代目詩天へ助太刀させて戴きやす」
風待の親分――風待亨二郎。
武徳と会っていた飄々とした雰囲気の男は、もういない。
そこにいるのは、秋寿との約束を守らんとする獣。手下を従え、歪虚の群れへと突き進む。
「仁義、通させて戴きやす」
●
「……そうか。九代目詩天殿が動きだしたか」
憤怒本陣。飛来した化鴉に、巨大な黒い狼がくつりと笑う。
「いいだろう。俺の計画を実現する為に、ハンターも真美も乗り越えねばならん壁だ。ここでねじ伏せる。お前達も応戦しろ」
憤怒の歪虚達に命じる三条 仙秋。
――己の期待を裏切り続けてきた子孫。
その筆頭である真美の苦しむ顔を想像しただけで笑いがこみ上げる。
――そもそも、この『詩天』は彼が興したもの。
いわば子孫も民も全て自分のものだ。
自分のものをどうしようが俺の勝手。
真美とハンターを討ち滅ぼした暁には、詩天の民の命全てを使って新たな依代を生成しよう。
王の役に立てれば、民も本望だろう。
「詩天の歴史はここで終わる。これからは『死を齎す国』……『死天』として俺が君臨する。本陣は龍脈の近くにあった方が好都合だ。憤怒本陣も移すぞ。お前達、用意しておけ」
仙秋の言葉に頷く歪虚達。
「さあ、お前達。新たな時代の始まりだ!」
初代詩天であり……目の前にいる新たな憤怒の王の燃えるような赤い目。溢れる負のマテリアル。
王を無くし、消えゆくだけだった憤怒の歪虚達。
新たに得た希望に勝鬨の声をあげた。
憤怒王を名乗る初代詩天に関する情報は天ノ都にも届いていた。
「出発ですか」
朱夏(kz0116)は、馬に騎乗する楠木家家長の楠木 香(kz0140)を見つめていた。
「ああ。急がなければならん。詩天の民が待っているのだ」
「ご存知だと思いますが、詩天には幕府を警戒する者がおります。今、幕府の者が動けば、後に禍根となるかもしれません。その事は記憶に留めて置いて下さい」
元々、朱夏がハンターに詩天の調査を打診したのは詩天と周辺地域へ幕府が介入する事で危機感を抱かれない為であった。
連邦国という特殊性に加え、復興を目指す各地域とは良好な関係を示したいのだ。
「分かっている。だが、そうだとしても見過ごせぬ。これは幕府の沽券に関わる事だ。民を守らずして、何故に幕府と言えようか」
香は、案じていた。
誰よりも憤怒王復活の事態重く見ており、早急な対策を行わなければ幕府の権威失墜に繋がると考えているのだ。
幸いにも早期に憤怒王を倒す事ができれば、幕府は救援を送ったという形になる。
それであれば周辺地域も、それほど危機感は高まらないだろう。
詩天にいる反幕府方は面白くないだろうが……。
「ご武運を」
香を見送る朱夏に頷く香。
政治的な事はすべてが終わってからやればいい。
今は、憤怒王の撃破を優先だ。
「行ってくる」
●
――初代詩天、三条 仙秋討伐の為の力を借りたい。
ハンターズソサエティで九代目詩天、三条 真美(kz0198)からの依頼を知ったハンター達は詩天に集結していた。
真美から討伐計画の概要を聞き、ハンターはため息をつく。
「……黒い大きな狼か。随分とまた厄介な依代を生み出したもんだな」
「そうですね。今回は依代を強化する陣を用意しているようです」
「随分な念の入れようね」
「今まで俺達に負け続けてるからな。仕方ないんじゃないか」
「それもそうね。それにしても真美君、仙秋の計画とかどこで知ったの?」
「それは……秋寿兄様が消える前、初代様について知り得たことを全て伝えると……」
目を伏せる真美に、言葉を無くすハンター達。
――先代詩天の甥で、真美の従兄でもある三条 秋寿。
彼は永いこと、その身体を依代として仙秋に利用され続けてきた。
依代として復活を果たした時点で、消えるはずだった秋寿の意思。
それは消えることなく奥底で眠り続け……最後にはその意思を目覚めさせ仙秋と決別し、歪虚になることを拒否して消えて行った。
身体を利用されていたからこそ知り得たものは沢山あったのだろう――。
「……初代様の本体は霊体です。依代を倒しただけでは終わりません」
「身体を捨てて逃げていくってことか」
「その霊体は一体どうやって倒すですか?」
「初代様が霊体になった時点で、私が結界を張って動きを封じます。そこを皆さんで総攻撃してください。霊体なので物理攻撃は効きませんが、マテリアルを乗せた攻撃であれば通用します」
「……なるほど。依代を捨てさせてからが本番って訳ね。下手を打てば結界を張る真美君にも危機が及ぶ。厄介だわ……」
「面白い。やってやろうじゃねえか!」
「大丈夫です。シンさんはわたくし達が守るです!」
「シン君。お父さんと、秋寿さんの仇を取ろう。僕達がついてるから」
「……ありがとうございます。忌まわしき『死天』の名と、繰り返される悲劇は、私の代で終わりにしたい。その為に力を貸してください」
頷くハンター達。
真美は強くて優しい彼らに、ずっと支えられ続けて来た。
己の幸せを願いながら消えて行った秋寿。そして詩天の民、ハンター達の為にも、私は務めを果たさなくては――。
幼き王は緊張で硬くなった身体を解すように深呼吸すると、よろしくお願いします……と頭を下げた。
●
長江、大輪寺。
かつては僧兵が守る山上の大きな仏閣であったが、今は歪虚の拠点となっている。
隠忍倭衆の情報によれば、ここで仙秋が何らかの儀式を執り行っていたらしい。依代を入手して真美と退治する為の準備をしているとすれば、この大輪寺に重要な何かがあると見て間違いないようだ。
大輪寺の東側には、天ノ都より参じた香の姿があった。
「再び現れた憤怒王をのさばらせる訳にはいかん。些末な事を考えるな。今はただ、目の前の敵に集中するのだ」
隠忍倭衆によれば、仙秋は宝珠を手にしていたという。その宝珠こそが呪詛であり、今も何らかの影響を仙秋に及ぼしていると香は考えていた。
「陣太鼓を鳴らせ! そして、皆の者……私に続け!」
薙刀を片手に、香は大輪寺に向かって走り出した。
一方、西側では。
――若峰を出る際に恋女房が打ち鳴らした火打ち石の音が耳に残る。
これが交わした約束の為になるのなら腕を振るう甲斐もある。
無理無茶無謀。そんな事は百も承知。
大輪寺西側に蠢く歪虚の群れに対し、男は中腰になって右手の掌を上に向ける。
「お控ぇなすって。あっしは生まれも育ちも、詩天は若峰。お天道様の空の下、日陰者として生きて参りやした。姓は風待、名は亨二郎。人呼んで春雷の亨二郎と申すもんでござんす。風待一家を預かる傍ら、諸国を漫遊する根っからの風来坊。旅の途中、人の道を諭されて恥ずかしながら生まれ故郷の詩天へ帰って参りやした」
淡々と述べる口上に歪虚が集まってくる。
男はゆっくりと鞘から刀を引き抜いた。
「古き友……三条 秋寿との約定を果たす為、九代目詩天へ助太刀させて戴きやす」
風待の親分――風待亨二郎。
武徳と会っていた飄々とした雰囲気の男は、もういない。
そこにいるのは、秋寿との約束を守らんとする獣。手下を従え、歪虚の群れへと突き進む。
「仁義、通させて戴きやす」
●
「……そうか。九代目詩天殿が動きだしたか」
憤怒本陣。飛来した化鴉に、巨大な黒い狼がくつりと笑う。
「いいだろう。俺の計画を実現する為に、ハンターも真美も乗り越えねばならん壁だ。ここでねじ伏せる。お前達も応戦しろ」
憤怒の歪虚達に命じる三条 仙秋。
――己の期待を裏切り続けてきた子孫。
その筆頭である真美の苦しむ顔を想像しただけで笑いがこみ上げる。
――そもそも、この『詩天』は彼が興したもの。
いわば子孫も民も全て自分のものだ。
自分のものをどうしようが俺の勝手。
真美とハンターを討ち滅ぼした暁には、詩天の民の命全てを使って新たな依代を生成しよう。
王の役に立てれば、民も本望だろう。
「詩天の歴史はここで終わる。これからは『死を齎す国』……『死天』として俺が君臨する。本陣は龍脈の近くにあった方が好都合だ。憤怒本陣も移すぞ。お前達、用意しておけ」
仙秋の言葉に頷く歪虚達。
「さあ、お前達。新たな時代の始まりだ!」
初代詩天であり……目の前にいる新たな憤怒の王の燃えるような赤い目。溢れる負のマテリアル。
王を無くし、消えゆくだけだった憤怒の歪虚達。
新たに得た希望に勝鬨の声をあげた。
リプレイ本文
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http://www.wtrpg10.com/event/cp021/opening
http://www.wtrpg10.com/event/cp021/opening
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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MVP一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/03/19 15:37:50 |
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選択肢表明 シガレット=ウナギパイ(ka2884) 人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/03/23 18:19:50 |
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質問卓 シガレット=ウナギパイ(ka2884) 人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/03/21 08:37:56 |
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【大輪寺呪詛破壊】 シガレット=ウナギパイ(ka2884) 人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/03/23 09:35:49 |
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【三条仙秋討伐】 シガレット=ウナギパイ(ka2884) 人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/03/23 11:46:20 |