ゲスト
(ka0000)
【陶曲】人魚の島、青銅人形の鎮魂歌
マスター:大林さゆる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/25 07:30
- 完成日
- 2017/05/03 02:03
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
同盟海域、人魚の長老クアルダが住む島。
先の大戦で、ハンターたちの多大な協力もあり、魔術師協会広報室に所属する魔術師たちは、人魚たちとの交流を引き続き行っていた。
人魚の島には【海の拠点】が数カ月前に完成して、同盟軍の最新式大型戦艦ルナルギャルド号も、同盟の海を定期的に偵察していた。
「まさか奴らも、この島までは、来ないだろうな」
魔術師スコットは、そう言いつつも、内心は、ある可能性が頭から離れなかった。
湾岸都市ポルトワール、蒸気工場都市フマーレが嫉妬のヴォイド集団によって、被害を受け、さらに極彩色の街として知られる「ヴァリオス」も、嫉妬の眷属たちに脅かされているという噂もあった。
ヴァリオスに存在する魔術師協会は、外部向けの活動として『広報部』が自由都市同盟への様々な後方支援や人材派遣を行っていた。
人魚たちとの交流も、その一環である。とは言え、魔術師(マギステル)の中には「古来から伝わる人魚の秘術を研究するのだ」と知的好奇心から、人魚たちと交流する者も少なくなかった。
「人魚の島は、ヴァリオスから近い……現在は片道でも約一日で、この島まで来れるようになった。まあ、船があれば……の話だが」
ルナルギャルド号の副艦長ロジャー・ロルドが、指令室から海を眺めて呟く。
「……油断は禁物だな。ポルトワールに出没したヴォイドは『徒歩』で海を渡ってきたらしいからな」
ロジャーは、同盟軍元帥・総司令官ブルーノ・ジェンマ(kz0100)から指令を受け、海軍の兵士たちを引き連れ、ルナルギャルド号(全長500メートル)の常時指揮を担当していた。
『人魚の島、防衛、願う』
その知らせは、ハンターたちに向けて、依頼として舞い込んだ。
●
ロジャーの勘は当たった。
無数の青銅人形たちが、海を渡って、人魚の島へ上陸しようとしていた。
「クアルダさん、人魚たちに避難指示を、魚人族たちには防衛の指示を…お願いします」
スコットは人魚の長老にそう言いながら、杖を掲げて、魔法を放ち、青銅人形を打ち砕いた。
「あれが……嫉妬の眷属なの?」
ラキ(kz0002)は、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)と共に、護衛として人魚の島に来ていた。
「……青銅人形とは、何度か依頼で遭遇したことがあったが、あれだけ数が多いと、魚人族たちも苦戦しそうだな」
ロングソードを構え、迎え撃つマクシミリアン。
人魚たちは一般人並みの能力ではあったが、魚人族の戦士たちは槍や盾を持ち、銃で応戦している海軍の兵士たちと協力して、青銅人形たちを次々と倒していく。
だが、青銅人形の集団は消えては現れ、時間だけでなく、兵士たちの体力も消耗させていく。
「持久戦に持ち込む気だな」
スコットは魔法を全て使い果たし、他の魔術師たちに魔法をなるべく温存するように告げた。
「範囲魔法を使うなら、【海の拠点】や【島の植物】も巻き込まないように気を付けるんだ」
ルナルギャルド号は、島を取り囲んでいる浅瀬の入り江付近で待機していたが、青銅人形の集団は大型戦艦には見向きもせず、人魚の島へと上陸していく。
「西側の浜辺から上陸して、島の南に向かってるよ」
ラキは青銅人形の集団が、何故、島の南へと向かうのか……気が付いた。
マクシミリアンも、すぐに察する。
「どうやら、『聖なる海の門』へと続く祭壇を乗っ取るつもりだな」
「だとしたら、ヤバいよ。あの場所は、元々ヴォイドゲートがあった場所だよ。ハンターたちがゲートを破壊してくれたおかげで、邪神も消えて……あっ、……まさか?」
ラキは、そこまで言いかけて、震えが止まらなくなった。
動じることもなく告げるマクシミリアン。
「いろいろと想定できるが、今回は間違いなく、南の祭壇を破壊する気だな」
青銅人形の集団を見渡すと、巨人型の青銅人形が二体、魚人族たちや兵士たちを体当たりで蹴散らし、南の祭壇へと向かっていた。
ロジャーは魔導トラックに乗り、海軍の兵士も数人ほど便乗させて、南の祭壇を目指して駆けていく。
「恐れるな。良いか、同盟海軍の底力、見せてやるぜ」
海軍の兵士たちも、ハンターたちに協力するため、突き進んでいった。
「南の祭壇が破壊されたら、どうなるか……何が起こるにしろ、なにがなんでも祭壇を死守するんだ!」
ロジャーの声が、高らかに響いた。
同盟海域、人魚の長老クアルダが住む島。
先の大戦で、ハンターたちの多大な協力もあり、魔術師協会広報室に所属する魔術師たちは、人魚たちとの交流を引き続き行っていた。
人魚の島には【海の拠点】が数カ月前に完成して、同盟軍の最新式大型戦艦ルナルギャルド号も、同盟の海を定期的に偵察していた。
「まさか奴らも、この島までは、来ないだろうな」
魔術師スコットは、そう言いつつも、内心は、ある可能性が頭から離れなかった。
湾岸都市ポルトワール、蒸気工場都市フマーレが嫉妬のヴォイド集団によって、被害を受け、さらに極彩色の街として知られる「ヴァリオス」も、嫉妬の眷属たちに脅かされているという噂もあった。
ヴァリオスに存在する魔術師協会は、外部向けの活動として『広報部』が自由都市同盟への様々な後方支援や人材派遣を行っていた。
人魚たちとの交流も、その一環である。とは言え、魔術師(マギステル)の中には「古来から伝わる人魚の秘術を研究するのだ」と知的好奇心から、人魚たちと交流する者も少なくなかった。
「人魚の島は、ヴァリオスから近い……現在は片道でも約一日で、この島まで来れるようになった。まあ、船があれば……の話だが」
ルナルギャルド号の副艦長ロジャー・ロルドが、指令室から海を眺めて呟く。
「……油断は禁物だな。ポルトワールに出没したヴォイドは『徒歩』で海を渡ってきたらしいからな」
ロジャーは、同盟軍元帥・総司令官ブルーノ・ジェンマ(kz0100)から指令を受け、海軍の兵士たちを引き連れ、ルナルギャルド号(全長500メートル)の常時指揮を担当していた。
『人魚の島、防衛、願う』
その知らせは、ハンターたちに向けて、依頼として舞い込んだ。
●
ロジャーの勘は当たった。
無数の青銅人形たちが、海を渡って、人魚の島へ上陸しようとしていた。
「クアルダさん、人魚たちに避難指示を、魚人族たちには防衛の指示を…お願いします」
スコットは人魚の長老にそう言いながら、杖を掲げて、魔法を放ち、青銅人形を打ち砕いた。
「あれが……嫉妬の眷属なの?」
ラキ(kz0002)は、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)と共に、護衛として人魚の島に来ていた。
「……青銅人形とは、何度か依頼で遭遇したことがあったが、あれだけ数が多いと、魚人族たちも苦戦しそうだな」
ロングソードを構え、迎え撃つマクシミリアン。
人魚たちは一般人並みの能力ではあったが、魚人族の戦士たちは槍や盾を持ち、銃で応戦している海軍の兵士たちと協力して、青銅人形たちを次々と倒していく。
だが、青銅人形の集団は消えては現れ、時間だけでなく、兵士たちの体力も消耗させていく。
「持久戦に持ち込む気だな」
スコットは魔法を全て使い果たし、他の魔術師たちに魔法をなるべく温存するように告げた。
「範囲魔法を使うなら、【海の拠点】や【島の植物】も巻き込まないように気を付けるんだ」
ルナルギャルド号は、島を取り囲んでいる浅瀬の入り江付近で待機していたが、青銅人形の集団は大型戦艦には見向きもせず、人魚の島へと上陸していく。
「西側の浜辺から上陸して、島の南に向かってるよ」
ラキは青銅人形の集団が、何故、島の南へと向かうのか……気が付いた。
マクシミリアンも、すぐに察する。
「どうやら、『聖なる海の門』へと続く祭壇を乗っ取るつもりだな」
「だとしたら、ヤバいよ。あの場所は、元々ヴォイドゲートがあった場所だよ。ハンターたちがゲートを破壊してくれたおかげで、邪神も消えて……あっ、……まさか?」
ラキは、そこまで言いかけて、震えが止まらなくなった。
動じることもなく告げるマクシミリアン。
「いろいろと想定できるが、今回は間違いなく、南の祭壇を破壊する気だな」
青銅人形の集団を見渡すと、巨人型の青銅人形が二体、魚人族たちや兵士たちを体当たりで蹴散らし、南の祭壇へと向かっていた。
ロジャーは魔導トラックに乗り、海軍の兵士も数人ほど便乗させて、南の祭壇を目指して駆けていく。
「恐れるな。良いか、同盟海軍の底力、見せてやるぜ」
海軍の兵士たちも、ハンターたちに協力するため、突き進んでいった。
「南の祭壇が破壊されたら、どうなるか……何が起こるにしろ、なにがなんでも祭壇を死守するんだ!」
ロジャーの声が、高らかに響いた。
リプレイ本文
同盟海域、人魚の島。
「人形の姿をした歪虚は、同盟の各地でも見かけたことがありますが、島にまで現れるなんて……」
シルヴィア・オーウェン(ka6372)は、何やら不穏な動きに懸念を隠しきれなかった。
鉱山で発掘されたと噂になっている『腕』とは、果たして……?
魔術師協会の魔術師たちは、人魚たちの避難誘導に専念していた。
「青銅人形たちは、南の祭壇を破壊して、『聖なる海の門』を奪うつもりかもな。そうなったら、この島に住む人魚たちにも被害が出る恐れもある。それだけは、なんとしてでも食い止めてみせるぜ」
ジャック・エルギン(ka1522)の決意は固かった。同盟海域に住む人魚たちのためにも、南の祭壇を守ると決めたのだ。
ジャックを援護するため、イェジドのフォーコは狼嗅覚で周囲の臭いを嗅ぎ、異常がないか警戒していた。
「どうした? フォーコ」
フォーコは南の方角を見遣ると、唸り声をあげた。
「そうか、ここは一気に前方まで回り込むことができれば得策だが、上手くいくかどうかは、俺たち次第ってことだな」
「嫉妬の歪虚……連中の企みを阻止するためにも、自分はできる限りのことをするまでです」
米本 剛(ka0320)は、フォートレスにカスタムしたR7エクスシア不動の操縦席から、敵の動向を窺っていた。
「巨人型の青銅人形を倒すことも大事でしょうが、最優先すべきは……『南の祭壇』に行かせない事、ですね」
剛は愛機【不動】の性能を理解していた。それ故、無駄なく行動するためにも、青銅巨人と対戦しつつも、最終防衛地点である『祭壇』までアクティブスラスターを起動させて移動していくことにした。
「私は巨人の対処をしよう」
魔導型デュミナスに騎乗した久我・御言(ka4137)は『伝波増幅』で活性化させたトランシーバーを使い、夕凪 沙良(ka5139)との連絡を試みた。
R7エクスシアのリインフォースに騎乗していた沙良は、携帯していたトランシーバーの通信音に気付いた。
「こちら夕凪、マテリアルライフルを使います。巻き込まれないように注意してください」
「こちら久我、了解した。挟み撃ちができるように、デュミナスで先行する」
御言はデュミナスのアクティブスラスターを起動させ、剛が騎乗する不動R7エクスシアを支援するために南へと移動していく。
アリア・セリウス(ka6424)は、ラキ(kz0002)やロジャー・ロルドが率いる同盟海軍の兵士たちに、祭壇付近の防衛線を張り巡らせるように願い出た。
「ロジャー、魔導トラックをバリケード代わりにできるかしら?」
アリアがイェジドのコーディに騎乗し、巧みに走らせながら、魔導トラックを運転しているロジャーに声をかけた。
「巨人の行く手を遮ることはできるだろうが、バリケード代わりにするなら、魚人族の戦士たちが持ってる盾や槍なら簡易的に立てることは可能だ。柵を作る余裕はないな」
「そういうことなら、あたしが魚人族たちにお願いしてみるよ」
ラキは魚人族の戦士たちを引き連れ、南の祭壇へと走る。青銅人形の集団は、ラキたちの後を追いかけるように進軍してきた。
「ここから先には行かせないの」
ディーナ・フェルミ(ka5843)はリーリーに騎乗し、走らせると、すぐに青銅人形たちに追いついた。
「祭壇は、絶対に破壊させないの!」
ディーナの『セイクリッドフラッシュ』が広がり、範囲内にいた青銅人形たちが消滅していった。
だが、青銅人形の群れは数が多かった。
攻撃を免れた青銅人形たちが、ハンターたちに狙いを定めて弓を構えて矢を放った。
「ラキたちが、まずいな。防衛線を作る邪魔に入るつもりなら、俺とフォーコで先手を打ってやるぜ」
ジャックはフォーコに騎乗していたこともあり、スティールステップで矢を回避し、ラキがいる場所まで移動することに成功。
「ジャック、助かるよ」
ラキはショートソードで矢を払い除け、魚人族たちが盾で矢を受け払った。
コーディに騎乗したアリアは、シルヴィアを気にかけながら、スティールステップで矢を回避……さらに前方へと移動していく。
魔導型デュミナスに騎乗した御言は、マーブルシールドを構え、防御。
「私のデュミナスが相手になろう」
青銅巨人の『突撃』をデュミナスはマーブルシールドで受け止めるが、押し切られてダメージを受けてしまう。
「くっ」
「青銅巨人が、こちらに移動してきましたね」
R7エクスシアのリインフォースは、魚人族たちが祭壇近くまで行けるように、魔刃「凶骨」で青銅巨人の大剣を受け止めた。
「こちら夕凪、青銅巨人一体の足止めに成功。次はマテリアルライフルで攻撃します。周囲にいる人たちは注意してください」
トランシーバーで応答したのは、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)だった。
「了解だ。こちらは魚人族たちを連れて、祭壇まで行く」
マクシミリアンも、最終防衛線を作るために協力することにしたようだ。
別の青銅巨人は、R7エクスシア不動に対して接近戦に持ち込み、『突撃』を仕掛けてきた。
R7エクスシア不動は回避が間に合わず、突撃に巻き込まれ、かなりのダメージを受けたが、重装化改造と追加装甲「黄金鎧」を装備していたこともあり、操縦席にいた剛は無傷であった。
「……ふむ、機体を回復している余裕はありませんね。不動の性能を考えれば、やはり第一に優先すべきは『南の祭壇』を守り抜くこと……迷っている暇はありません」
戦況を把握しながら、自分に言い聞かせる剛であった。
●
青銅人形たちの進軍は止まらない。
沙良はコックピットで両手のグリップレバーと両足のペダルによるマニュアル操作でリインフォースを操縦し、アクティブスラスターを起動させて青銅巨人の前方に廻り込むと、狙いを定めて『マテリアルライフル』を発射した。
青銅巨人の胴部を紫色の光線が貫き、射程内にいた青銅人形たちも攻撃に巻き込まれて、粉々に砕け散り、消滅した。
だが、胴部を貫かれた青銅巨人は大剣を構え、まるで何事もなかったかのように仁王立ちしていた。
「どうやら歯車のような物が内部にあるようですね」
貫かれた胴部からは、人形の部品が垣間見えた。
剛の操縦するR7エクスシア不動は、青銅巨人の背後から敵の脚部を狙い、200mm4連カノン砲を放った。
銃砲が脚に命中し破壊……右脚を失った青銅巨人はバランスを崩して左脚で踏み止まっていた。
「消滅した訳ではありませんが、時間稼ぎにはなりましたね」
青銅人形の集団は、青銅巨人のことは気にせず、祭壇へと向かって歩いていた。
フォーコに騎乗したジャックは、ディーナやアリアを援護するため、浜辺に点在している岩場を利用して、大岩の隙間に入り込むと、ロングボウ「レピスパオ」で矢を放つ。人形集団の先頭にいる青銅人形に、ジャックの放った矢が命中……木端微塵に砕け散り、消滅した。
「奴ら、味方が消滅しても進軍してくるとはな」
先頭にいた青銅人形は、ジャックの攻撃で消え去ったが、残りの青銅人形たちは淡々とした足取りで祭壇を目指していた。
「一気に駆け抜けます」
ゴースロンに騎乗したシルヴィアは、グローリアの応援を思い出しながら、『チャージング』による『刺突一閃』を繰り出し、軌道上にいた青銅人形たちを凄まじい勢いで刺し貫いていく。攻撃を喰らった青銅人形たちは冷めた顔付きで、砂のように飛び散り、消え去っていく。
そして、コーディに騎乗したアリアは、シルヴィアとの連携を調和させる。
「コーディ、頼むわよ」
コーディがウォークライの咆哮をあげ、周囲にいる青銅人形の動きを阻害。
アリアは『織花・祈奏』……自らの願いと憧憬を織り重ね、燐光のようなマテリアルを大太刀「破幻」に纏わせる。舞うように振るい、『天蓋花・旋舞』を風のように繰り出す。
鼓動の旋律に奔る刃は、それらを斬り、風音で歌う……青銅人形たちは薙ぎ倒され、消滅していく。
「嫉妬の人形には、負けないの」
ディーナはリーリーに騎乗したまま敵陣に飛び込み、すかさず『セイクリッドフラッシュ』を発動させる。ディーナ自身から光の波動が周囲に広がり、範囲内にいた青銅人形たちは成す術もなく、その場で消滅していった。
「青銅巨人二体の動きを封じなければ」
魔導型デュミナスに騎乗した御言は、マルチロックオンを発動させ、スナイパーライフル「オブジェクティフMC-051」で二体の青銅巨人を狙い撃つ。
ダメージを与えることはできたが、青銅巨人二体は防御していたこともあり、その場で体勢を整えていた。
残りの青銅人形たちは、続々と祭壇へと向かっていた。
ハンターたちが青銅人形の集団と交戦していたこともあり、魚人族たちは祭壇付近へと辿り着くことができた。
祭壇を守るように、魚人族の戦士たちが盾と槍を構えて、横一列に並ぶ。
ロジャーは、その中央に魔導トラックを停めて、陣形を維持するように兵士たちに指示していた。
●
リインフォースは魔導トラックの前方まで移動すると、青銅巨人を狙って『マテリアルライフル』を放った。
「ここから先は通しませんよ」
沙良が呟く。リインフォースの攻撃により、青銅巨人が一体、再生を試みたが、さらに多大なダメージを受けて、消滅……直線状にいた青銅人形たちも紫色の光線に巻き込まれて、消え去っていく。
御言の魔導型デュミナスはアクティブスラスターを放出して、さらにハイパーブーストで加速していたこともあり、防衛線に位置する魔導トラックと隣接することができた。
「もう一体の青銅巨人が接近中だ」
ジャックはフォーコから降りると、ヒーリングポーションを取り出し、フォーコに飲ませた。
防衛線の近くまで移動した際、フォーコの身体に青銅人形が放った矢が突き刺さってしまったのだ。
「微妙な表情してんな、フォーコ。まあ、これで少しは怪我も回復するからな」
ディーナはリーリーに騎乗して、皆の援護をしていたが、青銅人形たちが放つ矢が数本、ディーナとリーリーに命中していた。
「弓が何なの、聖導士は度胸なの!」
リーリーがリズミカルな鳴き声をあげると、ディーナの生体マテリアルを活性化させ、傷を癒していく。
これこそ、リーリーヒーリングである。
アリアはコーディに騎乗して、青銅巨人に追いつく。
「この機を逃す訳にはいかないわ」
妖剣「クロケア・モルス」に『織花・祈奏』を施し、絶望という闇を斬り払う少女の祈りが、燐光のようなマテリアルの光と化す。
アリアは『想思花・月魄』を繰り出した。大太刀「破幻」と妖剣「クロケア・モルス」の二刀流は、さながら、ふたつの月光を揮うが如く、清光纏いて流れる……その旋律によって、青銅巨人は二つの剣によって切り裂かれ、敵の胴部に命中し、部品らしきモノが飛び散った。
「再生される前に」
剛は的確にR7エクスシア不動を操縦し、青銅巨人の胴部に狙いを定めてミサイルランチャー「レプリカント」を放った。砲弾が迸り、敵の胴部に命中すると爆発……再生する間もなく、青銅巨人は砕け散り、その場から消え去っていった。
二体の青銅巨人は消滅したが、残った青銅人形たちは相変わらず祭壇へ向かって歩いていた。
「私たちを包囲する考えは全くないようですね」
ゴースロンに騎乗したシルヴィアは、聖剣「カル・マ・ヘトン」による『チャージング』からの『刺突一閃』を繰り出し、軌道上にいた青銅人形たちを貫いていく。
フォーコはジャックの背後からウォークライの咆哮で敵を威嚇し、クラッシュバイトで青銅人形一体を噛み砕き、消滅させた。
「てめぇら、まとめて、ブっ壊してやっからな。『聖なる海の門』までは行かせないぜ」
ジャックは『薙払「一閃」』でバスタードソード「アニマ・リベラ」を振り回した。前方にいた青銅人形たちが薙ぎ倒され、消え去っていく。
万が一、祭壇まで青銅人形が乗り込んできたとしても、敵の狙いは『聖なる海の門』と呼ばれるゲートではないかとジャックは考えていた。
「祭壇が破壊されれば、『聖なる海の門』までのルートが奪われちまう。意地でも、てめぇらを止めてやるぜ」
「魚人族たちが青銅人形たちに押されてるの。これ以上、好き勝手にはさせないの」
ディーナはリーリーに騎乗したまま走り込み、青銅人形の群れに『セイクリッドフラッシュ』を放った。
光の波動に巻き込まれ、青銅人形たちが一瞬で消滅した。
攻撃を受けなかった青銅人形たちは、祭壇から200メートルほどの距離まで接近して、魚人族たちと小競り合いを続けていた。
同盟海軍の兵士たちは両手で銃を構え、援護射撃を行い、防衛線の維持に徹していた。
沙良が操縦するR7エクスシアのリインフォースは、魔導トラックの前で陣取り、魔刃「凶骨」を構え、青銅人形たちが放った矢を払い除けていた。
イェジドのコーディは騎乗しているアリアを守るように、スティールステップで矢を回避し、青銅人形たちを翻弄するように走り出した。
ゴースロンに騎乗したシルヴィアは、聖盾「コギト」で敵の矢を受け払う。
ジャックは盾「アルマジロ」を構えて、矢を受け止め、払い除けていく。フォーコはスティールステップを駆使して矢を回避すると、ジャックの隣へと移動していった。
御言の魔導型デュミナスは、コマンダーにカスタムされており、隣接する魔導トラックと協力して防衛線の強化に努めていた。
剛のR7エクスシア不動は、自らの機体を盾として魚人族たちの前に立ち、青銅人形たちが放つ矢を受け止めていた。数本の矢が装甲に突き刺さったが、R7エクスシア不動にとっては、それほどのダメージではなかった。
「青銅巨人の突撃に比べたら、耐えられますよ」
序盤で巨人型の青銅人形と対峙して、R7エクスシア不動はかなりのダメージを受けていた。それでも尚、剛の秘めた闘志は、嫉妬の眷属たちに負けぬほどの強さがあった。
R7エクスシア不動の防衛によって、後衛にいた魚人族の戦士たちは怪我をすることはなかった。
「残りを片付けてしまいましょう」
敵の放つ矢が止むと、R7エクスシアのリインフォースは『マテリアルライフル』で直線状にいる青銅人形たちを撃ち抜いた。衝撃で飛び散り消滅……範囲内の岩場も光線に巻き込まれ、砕け散り、消え去った。
「自然に優しい光で蹴散らすの」
ディーナが『セイクリッドフラッシュ』を使い、光の波動が広がると周囲にいた青銅人形たちが消滅していく。
アリアが『天蓋花・旋舞』を繰り出し、その一閃の刃で前面の敵を薙ぎ払い、青銅人形たちは風のように舞い、消え去っていた。
アリアと連携したシルヴィアは、ゴースロンに騎乗して『チャージング』を仕掛け、『刺突一閃』で軌道上にいた青銅人形たちを貫いていく。
「残りは一体だな」
ジャックはバスタードソード「アニマ・リベラ」を振り上げ、『強打』で青銅人形を叩き斬った。
「……これで、全て倒せたか」
無我夢中で戦っていたハンターたち。
気が付けば、青銅人形の集団は全て姿を消していた。
●
逃げ遅れて怪我をした人魚が数名いたが、ディーナが『フルリカバリー』を施したこともあり、無事に済んだようだ。
「人魚の島を守ることができて、良かったの」
ほんわかとした笑みを浮かべるディーナ。
人魚の長老クアルダが、礼を述べた。
「本当に、ありがとうございます」
「だけど驚いたの。長老さん、美人の女性さんだったなんて」
ディーナが驚くのも無理はない。
「ふむ、リアルブルーでの言い伝えに登場する人魚のイメージを裏切ることもない御姿とは……自分も驚きましたよ」
R7エクスシア不動の操縦席から降りた剛は、クアルダを見た感想を述べ、礼儀正しく自己紹介した。
「はじめまして。米本 剛と言います。ジャックさんから聞きましたが、祭壇には『聖なる海の門』へと続く通路があるらしいですね」
「はい。先の大戦ではヴォイドゲートと化しましたが、ハンターの皆様が破壊してくれたおかげで、狂気のヴォイドはかなり減少しました。しかし……」
クアルダは哀しそうな瞳をしたまま、口を閉ざした。
「……今度は、嫉妬の歪虚。踊り歌うなら青銅の人形より、人魚とが良いわね」
アリアが、ふと言葉を零すと、シルヴィアは「せっかく島に来たんですから、人魚の調べを聴いて帰りたいものですね」と告げた。
クアルダが、微かに笑う。
「お気持ちだけで十分ですよ」
どことなく、ぎこちないクアルダ。
「俺は歌とか踊りはなー。見たり聴いたりする方が良いぜ」
ジャックはそう言いながら、アリアに目配せする。
その想いを察して、アリアは優しい眼差しでクアルダに言った。
「……よければ、私の歌と踊り……披露しても良いかしら?」
アリアの提案に、クアルダはようやく明るい笑みを浮かべた。
「ええ、ぜひ。よろしくお願いします」
しばらくして、人魚たちと魚人族たちが西の浜辺に集まった。
その中心で、謳い、舞うアリアの姿が見えた。
『海の中で産まれた者達と、私達の出逢いと縁の巡り
生きる場所は違っても、魂は同じと……分かたれて争うより、共に歌を重ねたい
夢を見て想う心は、きっと通じる筈』
アリアの儚く美しい歌声が響き渡り、彼女の軽やかな舞は、人魚たちの心を光へと導いた。
『私は明日を求め続ける。
海の魂と触れ合える可能性を、喪わぬ為、
可能性という、明日(ユメ)を……』
この世界よ、どうか、どうか、守りたまえ。
全ての生きとし生ける者の心が、ひと時でも安らかに……。
ジャックも願う。これからも、ヒトと人魚の交流が続くようにと。
●「 」
そこは大地の裂け目。
記憶の傷跡。
カッツオ・ヴォイは深淵なる闇に恭しく「それ」を差し出した。
「我が君よ……まだ目覚める気にはなられませぬか……?」
問いかけに応えはない。
ただ、……ただ、眷属達は狂喜する。
――……ドクン……
――……ドクン……
「人形の姿をした歪虚は、同盟の各地でも見かけたことがありますが、島にまで現れるなんて……」
シルヴィア・オーウェン(ka6372)は、何やら不穏な動きに懸念を隠しきれなかった。
鉱山で発掘されたと噂になっている『腕』とは、果たして……?
魔術師協会の魔術師たちは、人魚たちの避難誘導に専念していた。
「青銅人形たちは、南の祭壇を破壊して、『聖なる海の門』を奪うつもりかもな。そうなったら、この島に住む人魚たちにも被害が出る恐れもある。それだけは、なんとしてでも食い止めてみせるぜ」
ジャック・エルギン(ka1522)の決意は固かった。同盟海域に住む人魚たちのためにも、南の祭壇を守ると決めたのだ。
ジャックを援護するため、イェジドのフォーコは狼嗅覚で周囲の臭いを嗅ぎ、異常がないか警戒していた。
「どうした? フォーコ」
フォーコは南の方角を見遣ると、唸り声をあげた。
「そうか、ここは一気に前方まで回り込むことができれば得策だが、上手くいくかどうかは、俺たち次第ってことだな」
「嫉妬の歪虚……連中の企みを阻止するためにも、自分はできる限りのことをするまでです」
米本 剛(ka0320)は、フォートレスにカスタムしたR7エクスシア不動の操縦席から、敵の動向を窺っていた。
「巨人型の青銅人形を倒すことも大事でしょうが、最優先すべきは……『南の祭壇』に行かせない事、ですね」
剛は愛機【不動】の性能を理解していた。それ故、無駄なく行動するためにも、青銅巨人と対戦しつつも、最終防衛地点である『祭壇』までアクティブスラスターを起動させて移動していくことにした。
「私は巨人の対処をしよう」
魔導型デュミナスに騎乗した久我・御言(ka4137)は『伝波増幅』で活性化させたトランシーバーを使い、夕凪 沙良(ka5139)との連絡を試みた。
R7エクスシアのリインフォースに騎乗していた沙良は、携帯していたトランシーバーの通信音に気付いた。
「こちら夕凪、マテリアルライフルを使います。巻き込まれないように注意してください」
「こちら久我、了解した。挟み撃ちができるように、デュミナスで先行する」
御言はデュミナスのアクティブスラスターを起動させ、剛が騎乗する不動R7エクスシアを支援するために南へと移動していく。
アリア・セリウス(ka6424)は、ラキ(kz0002)やロジャー・ロルドが率いる同盟海軍の兵士たちに、祭壇付近の防衛線を張り巡らせるように願い出た。
「ロジャー、魔導トラックをバリケード代わりにできるかしら?」
アリアがイェジドのコーディに騎乗し、巧みに走らせながら、魔導トラックを運転しているロジャーに声をかけた。
「巨人の行く手を遮ることはできるだろうが、バリケード代わりにするなら、魚人族の戦士たちが持ってる盾や槍なら簡易的に立てることは可能だ。柵を作る余裕はないな」
「そういうことなら、あたしが魚人族たちにお願いしてみるよ」
ラキは魚人族の戦士たちを引き連れ、南の祭壇へと走る。青銅人形の集団は、ラキたちの後を追いかけるように進軍してきた。
「ここから先には行かせないの」
ディーナ・フェルミ(ka5843)はリーリーに騎乗し、走らせると、すぐに青銅人形たちに追いついた。
「祭壇は、絶対に破壊させないの!」
ディーナの『セイクリッドフラッシュ』が広がり、範囲内にいた青銅人形たちが消滅していった。
だが、青銅人形の群れは数が多かった。
攻撃を免れた青銅人形たちが、ハンターたちに狙いを定めて弓を構えて矢を放った。
「ラキたちが、まずいな。防衛線を作る邪魔に入るつもりなら、俺とフォーコで先手を打ってやるぜ」
ジャックはフォーコに騎乗していたこともあり、スティールステップで矢を回避し、ラキがいる場所まで移動することに成功。
「ジャック、助かるよ」
ラキはショートソードで矢を払い除け、魚人族たちが盾で矢を受け払った。
コーディに騎乗したアリアは、シルヴィアを気にかけながら、スティールステップで矢を回避……さらに前方へと移動していく。
魔導型デュミナスに騎乗した御言は、マーブルシールドを構え、防御。
「私のデュミナスが相手になろう」
青銅巨人の『突撃』をデュミナスはマーブルシールドで受け止めるが、押し切られてダメージを受けてしまう。
「くっ」
「青銅巨人が、こちらに移動してきましたね」
R7エクスシアのリインフォースは、魚人族たちが祭壇近くまで行けるように、魔刃「凶骨」で青銅巨人の大剣を受け止めた。
「こちら夕凪、青銅巨人一体の足止めに成功。次はマテリアルライフルで攻撃します。周囲にいる人たちは注意してください」
トランシーバーで応答したのは、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)だった。
「了解だ。こちらは魚人族たちを連れて、祭壇まで行く」
マクシミリアンも、最終防衛線を作るために協力することにしたようだ。
別の青銅巨人は、R7エクスシア不動に対して接近戦に持ち込み、『突撃』を仕掛けてきた。
R7エクスシア不動は回避が間に合わず、突撃に巻き込まれ、かなりのダメージを受けたが、重装化改造と追加装甲「黄金鎧」を装備していたこともあり、操縦席にいた剛は無傷であった。
「……ふむ、機体を回復している余裕はありませんね。不動の性能を考えれば、やはり第一に優先すべきは『南の祭壇』を守り抜くこと……迷っている暇はありません」
戦況を把握しながら、自分に言い聞かせる剛であった。
●
青銅人形たちの進軍は止まらない。
沙良はコックピットで両手のグリップレバーと両足のペダルによるマニュアル操作でリインフォースを操縦し、アクティブスラスターを起動させて青銅巨人の前方に廻り込むと、狙いを定めて『マテリアルライフル』を発射した。
青銅巨人の胴部を紫色の光線が貫き、射程内にいた青銅人形たちも攻撃に巻き込まれて、粉々に砕け散り、消滅した。
だが、胴部を貫かれた青銅巨人は大剣を構え、まるで何事もなかったかのように仁王立ちしていた。
「どうやら歯車のような物が内部にあるようですね」
貫かれた胴部からは、人形の部品が垣間見えた。
剛の操縦するR7エクスシア不動は、青銅巨人の背後から敵の脚部を狙い、200mm4連カノン砲を放った。
銃砲が脚に命中し破壊……右脚を失った青銅巨人はバランスを崩して左脚で踏み止まっていた。
「消滅した訳ではありませんが、時間稼ぎにはなりましたね」
青銅人形の集団は、青銅巨人のことは気にせず、祭壇へと向かって歩いていた。
フォーコに騎乗したジャックは、ディーナやアリアを援護するため、浜辺に点在している岩場を利用して、大岩の隙間に入り込むと、ロングボウ「レピスパオ」で矢を放つ。人形集団の先頭にいる青銅人形に、ジャックの放った矢が命中……木端微塵に砕け散り、消滅した。
「奴ら、味方が消滅しても進軍してくるとはな」
先頭にいた青銅人形は、ジャックの攻撃で消え去ったが、残りの青銅人形たちは淡々とした足取りで祭壇を目指していた。
「一気に駆け抜けます」
ゴースロンに騎乗したシルヴィアは、グローリアの応援を思い出しながら、『チャージング』による『刺突一閃』を繰り出し、軌道上にいた青銅人形たちを凄まじい勢いで刺し貫いていく。攻撃を喰らった青銅人形たちは冷めた顔付きで、砂のように飛び散り、消え去っていく。
そして、コーディに騎乗したアリアは、シルヴィアとの連携を調和させる。
「コーディ、頼むわよ」
コーディがウォークライの咆哮をあげ、周囲にいる青銅人形の動きを阻害。
アリアは『織花・祈奏』……自らの願いと憧憬を織り重ね、燐光のようなマテリアルを大太刀「破幻」に纏わせる。舞うように振るい、『天蓋花・旋舞』を風のように繰り出す。
鼓動の旋律に奔る刃は、それらを斬り、風音で歌う……青銅人形たちは薙ぎ倒され、消滅していく。
「嫉妬の人形には、負けないの」
ディーナはリーリーに騎乗したまま敵陣に飛び込み、すかさず『セイクリッドフラッシュ』を発動させる。ディーナ自身から光の波動が周囲に広がり、範囲内にいた青銅人形たちは成す術もなく、その場で消滅していった。
「青銅巨人二体の動きを封じなければ」
魔導型デュミナスに騎乗した御言は、マルチロックオンを発動させ、スナイパーライフル「オブジェクティフMC-051」で二体の青銅巨人を狙い撃つ。
ダメージを与えることはできたが、青銅巨人二体は防御していたこともあり、その場で体勢を整えていた。
残りの青銅人形たちは、続々と祭壇へと向かっていた。
ハンターたちが青銅人形の集団と交戦していたこともあり、魚人族たちは祭壇付近へと辿り着くことができた。
祭壇を守るように、魚人族の戦士たちが盾と槍を構えて、横一列に並ぶ。
ロジャーは、その中央に魔導トラックを停めて、陣形を維持するように兵士たちに指示していた。
●
リインフォースは魔導トラックの前方まで移動すると、青銅巨人を狙って『マテリアルライフル』を放った。
「ここから先は通しませんよ」
沙良が呟く。リインフォースの攻撃により、青銅巨人が一体、再生を試みたが、さらに多大なダメージを受けて、消滅……直線状にいた青銅人形たちも紫色の光線に巻き込まれて、消え去っていく。
御言の魔導型デュミナスはアクティブスラスターを放出して、さらにハイパーブーストで加速していたこともあり、防衛線に位置する魔導トラックと隣接することができた。
「もう一体の青銅巨人が接近中だ」
ジャックはフォーコから降りると、ヒーリングポーションを取り出し、フォーコに飲ませた。
防衛線の近くまで移動した際、フォーコの身体に青銅人形が放った矢が突き刺さってしまったのだ。
「微妙な表情してんな、フォーコ。まあ、これで少しは怪我も回復するからな」
ディーナはリーリーに騎乗して、皆の援護をしていたが、青銅人形たちが放つ矢が数本、ディーナとリーリーに命中していた。
「弓が何なの、聖導士は度胸なの!」
リーリーがリズミカルな鳴き声をあげると、ディーナの生体マテリアルを活性化させ、傷を癒していく。
これこそ、リーリーヒーリングである。
アリアはコーディに騎乗して、青銅巨人に追いつく。
「この機を逃す訳にはいかないわ」
妖剣「クロケア・モルス」に『織花・祈奏』を施し、絶望という闇を斬り払う少女の祈りが、燐光のようなマテリアルの光と化す。
アリアは『想思花・月魄』を繰り出した。大太刀「破幻」と妖剣「クロケア・モルス」の二刀流は、さながら、ふたつの月光を揮うが如く、清光纏いて流れる……その旋律によって、青銅巨人は二つの剣によって切り裂かれ、敵の胴部に命中し、部品らしきモノが飛び散った。
「再生される前に」
剛は的確にR7エクスシア不動を操縦し、青銅巨人の胴部に狙いを定めてミサイルランチャー「レプリカント」を放った。砲弾が迸り、敵の胴部に命中すると爆発……再生する間もなく、青銅巨人は砕け散り、その場から消え去っていった。
二体の青銅巨人は消滅したが、残った青銅人形たちは相変わらず祭壇へ向かって歩いていた。
「私たちを包囲する考えは全くないようですね」
ゴースロンに騎乗したシルヴィアは、聖剣「カル・マ・ヘトン」による『チャージング』からの『刺突一閃』を繰り出し、軌道上にいた青銅人形たちを貫いていく。
フォーコはジャックの背後からウォークライの咆哮で敵を威嚇し、クラッシュバイトで青銅人形一体を噛み砕き、消滅させた。
「てめぇら、まとめて、ブっ壊してやっからな。『聖なる海の門』までは行かせないぜ」
ジャックは『薙払「一閃」』でバスタードソード「アニマ・リベラ」を振り回した。前方にいた青銅人形たちが薙ぎ倒され、消え去っていく。
万が一、祭壇まで青銅人形が乗り込んできたとしても、敵の狙いは『聖なる海の門』と呼ばれるゲートではないかとジャックは考えていた。
「祭壇が破壊されれば、『聖なる海の門』までのルートが奪われちまう。意地でも、てめぇらを止めてやるぜ」
「魚人族たちが青銅人形たちに押されてるの。これ以上、好き勝手にはさせないの」
ディーナはリーリーに騎乗したまま走り込み、青銅人形の群れに『セイクリッドフラッシュ』を放った。
光の波動に巻き込まれ、青銅人形たちが一瞬で消滅した。
攻撃を受けなかった青銅人形たちは、祭壇から200メートルほどの距離まで接近して、魚人族たちと小競り合いを続けていた。
同盟海軍の兵士たちは両手で銃を構え、援護射撃を行い、防衛線の維持に徹していた。
沙良が操縦するR7エクスシアのリインフォースは、魔導トラックの前で陣取り、魔刃「凶骨」を構え、青銅人形たちが放った矢を払い除けていた。
イェジドのコーディは騎乗しているアリアを守るように、スティールステップで矢を回避し、青銅人形たちを翻弄するように走り出した。
ゴースロンに騎乗したシルヴィアは、聖盾「コギト」で敵の矢を受け払う。
ジャックは盾「アルマジロ」を構えて、矢を受け止め、払い除けていく。フォーコはスティールステップを駆使して矢を回避すると、ジャックの隣へと移動していった。
御言の魔導型デュミナスは、コマンダーにカスタムされており、隣接する魔導トラックと協力して防衛線の強化に努めていた。
剛のR7エクスシア不動は、自らの機体を盾として魚人族たちの前に立ち、青銅人形たちが放つ矢を受け止めていた。数本の矢が装甲に突き刺さったが、R7エクスシア不動にとっては、それほどのダメージではなかった。
「青銅巨人の突撃に比べたら、耐えられますよ」
序盤で巨人型の青銅人形と対峙して、R7エクスシア不動はかなりのダメージを受けていた。それでも尚、剛の秘めた闘志は、嫉妬の眷属たちに負けぬほどの強さがあった。
R7エクスシア不動の防衛によって、後衛にいた魚人族の戦士たちは怪我をすることはなかった。
「残りを片付けてしまいましょう」
敵の放つ矢が止むと、R7エクスシアのリインフォースは『マテリアルライフル』で直線状にいる青銅人形たちを撃ち抜いた。衝撃で飛び散り消滅……範囲内の岩場も光線に巻き込まれ、砕け散り、消え去った。
「自然に優しい光で蹴散らすの」
ディーナが『セイクリッドフラッシュ』を使い、光の波動が広がると周囲にいた青銅人形たちが消滅していく。
アリアが『天蓋花・旋舞』を繰り出し、その一閃の刃で前面の敵を薙ぎ払い、青銅人形たちは風のように舞い、消え去っていた。
アリアと連携したシルヴィアは、ゴースロンに騎乗して『チャージング』を仕掛け、『刺突一閃』で軌道上にいた青銅人形たちを貫いていく。
「残りは一体だな」
ジャックはバスタードソード「アニマ・リベラ」を振り上げ、『強打』で青銅人形を叩き斬った。
「……これで、全て倒せたか」
無我夢中で戦っていたハンターたち。
気が付けば、青銅人形の集団は全て姿を消していた。
●
逃げ遅れて怪我をした人魚が数名いたが、ディーナが『フルリカバリー』を施したこともあり、無事に済んだようだ。
「人魚の島を守ることができて、良かったの」
ほんわかとした笑みを浮かべるディーナ。
人魚の長老クアルダが、礼を述べた。
「本当に、ありがとうございます」
「だけど驚いたの。長老さん、美人の女性さんだったなんて」
ディーナが驚くのも無理はない。
「ふむ、リアルブルーでの言い伝えに登場する人魚のイメージを裏切ることもない御姿とは……自分も驚きましたよ」
R7エクスシア不動の操縦席から降りた剛は、クアルダを見た感想を述べ、礼儀正しく自己紹介した。
「はじめまして。米本 剛と言います。ジャックさんから聞きましたが、祭壇には『聖なる海の門』へと続く通路があるらしいですね」
「はい。先の大戦ではヴォイドゲートと化しましたが、ハンターの皆様が破壊してくれたおかげで、狂気のヴォイドはかなり減少しました。しかし……」
クアルダは哀しそうな瞳をしたまま、口を閉ざした。
「……今度は、嫉妬の歪虚。踊り歌うなら青銅の人形より、人魚とが良いわね」
アリアが、ふと言葉を零すと、シルヴィアは「せっかく島に来たんですから、人魚の調べを聴いて帰りたいものですね」と告げた。
クアルダが、微かに笑う。
「お気持ちだけで十分ですよ」
どことなく、ぎこちないクアルダ。
「俺は歌とか踊りはなー。見たり聴いたりする方が良いぜ」
ジャックはそう言いながら、アリアに目配せする。
その想いを察して、アリアは優しい眼差しでクアルダに言った。
「……よければ、私の歌と踊り……披露しても良いかしら?」
アリアの提案に、クアルダはようやく明るい笑みを浮かべた。
「ええ、ぜひ。よろしくお願いします」
しばらくして、人魚たちと魚人族たちが西の浜辺に集まった。
その中心で、謳い、舞うアリアの姿が見えた。
『海の中で産まれた者達と、私達の出逢いと縁の巡り
生きる場所は違っても、魂は同じと……分かたれて争うより、共に歌を重ねたい
夢を見て想う心は、きっと通じる筈』
アリアの儚く美しい歌声が響き渡り、彼女の軽やかな舞は、人魚たちの心を光へと導いた。
『私は明日を求め続ける。
海の魂と触れ合える可能性を、喪わぬ為、
可能性という、明日(ユメ)を……』
この世界よ、どうか、どうか、守りたまえ。
全ての生きとし生ける者の心が、ひと時でも安らかに……。
ジャックも願う。これからも、ヒトと人魚の交流が続くようにと。
●「 」
そこは大地の裂け目。
記憶の傷跡。
カッツオ・ヴォイは深淵なる闇に恭しく「それ」を差し出した。
「我が君よ……まだ目覚める気にはなられませぬか……?」
問いかけに応えはない。
ただ、……ただ、眷属達は狂喜する。
――……ドクン……
――……ドクン……
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/20 00:00:40 |
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相談卓 米本 剛(ka0320) 人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/04/24 21:05:33 |