ゲスト
(ka0000)
投石機の秘密 ~騎士アーリア~
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/08/27 19:00
- 完成日
- 2017/09/07 21:44
このシナリオは3日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
グラズヘイム王国の南部に伯爵地【ニュー・ウォルター】は存在する。
領主が住まう城塞都市の名は『マール』。自然の川を整備した十kmに渡る運河のおかげで内陸部にも関わらず帆船で『ニュー港』へ直接乗りつけることができた。
升の目のように造成された都市内の水上航路は多くのゴンドラが行き来していて、とても賑やかだ。
この地を治めるのはアーリア・エルブン伯爵。オリナニア騎士団長を兼任する十七歳になったばかりの銀髪の青年である。
前領主ダリーア・エルブン伯爵が次男である彼に家督を譲ったのは十四歳のとき。すでに闘病の日々を送っていた前領主は、それからわずかな期間で亡くなっていた。
妹のミリア・エルブンは幼い頃から政において秀才ぶりを発揮している。
事故と発表された長男ドネア・エルブンの死因だが、実は謀反に失敗して命を落としていた。そのドネアが歪虚軍長アスタロトとして復活。謀反に関与していた元親衛隊の女性ロランナ・ベヒも歪虚の身となって現れた。
兵器輸送のゴンドラの沈没事件、領地巡回アーリア一行襲撃事件、穀倉地帯における蝗雑魔大量発生等、アスタロト側が企んだ陰謀は、ことごとくハンター達の力添えによって打ち砕かれる。だがこれらの陰謀には搦め手が存在し、ネビロスは運河の湧水個所を狙っていた。歪虚アイテルカイトの尊厳をかなぐり捨てたネビロスだったが、騎士団とハンター達の前に敗北して最後の時を迎える。
勝利に沸く城塞都市マールの民。アーリアが喜んでいたのも事実だが、振り払ったはずの兄への気持ちは心の奥底でかすかに残った。
マール城にアスタロトから晩餐への招待状が届き、アーリアはその場へと赴く。そこでのアスタロトの発言はわずかな同情も引いたものの、傲慢に満ちあふれていた。
不意に転移してきたTNT爆薬の処分についても、ハンター達の尽力によって解決へと導かれる。
ある日、伯爵地ニュー・ウォルターの北東部に突如として大量の水が溢れだす。ハンター達の協力によって周辺住民の避難は完了。そして湖と化した大地の中央に、突如として城が浮きあがった。
湖中央に聳える城の上空では、常に歪虚、雑魔が舞っていた。確証こそないものの、兵や民といった誰もが口々に噂する。あの城の主は歪虚軍長アスタロト。アスタロト城だと。
湖出現からこれまで、領主アーリアは手をこまねいていただけではなかった。三度の戦端がひらかれたものの、一進一退の状況でアスタロト側の防御は厚い。
陸路で船を湖へと持ち込んだものの、敵城の小島まで辿り着くことは叶わなかった。すべて湖に沈められてしまう。
湖は歪ながら直径三km円といった広さ。水深は一番深いところで十メートル前後といったところ。アスタロト城は直径六百m円の小島に建てられていた。
ハンターに協力してもらい、湖の調査が行われる。その結果、様々な事実が判明した。
湖の底に沈んだ施設を休憩所として、数多くの水棲雑魔が哨戒任務をこなしていた。組織だっており、アスタロト城への連絡網が敷かれているとハンターが提出した報告書には記されている。上空も鳥雑魔によって見張られていた。
八月初旬。上空と湖中の敵、どちらへの対策も施した上で騎士団が用意した急ごしらえの艦隊はアスタロト城がある小島を目指した。
小島まで九百mをきったとき、石の雨が降り注ぐ。甲板には穴が空き、負傷する騎士や兵もわずかでは済まなかった。
「今少しで、こちらの攻撃も届くようになる。踏ん張りどころだ」
騎士団長アーリアの指揮下、ついに小島外縁へと設置された投石機の破壊に成功する。二基を壊したところで一端撤退。三時間後、補給と陣形を整えた上で再度進攻したところ、思わぬ事態に陥った。敵側が投石機の修理を終えていたのである。
(人間の、余程の腕を持つ技術者があちらにいるのだろうか)
アーリアは即座の判断で艦隊を引き返させた。橋頭堡に到着次第、会議を開く。
「おそらくですが、投石機の支柱やアーム部分に関しては予備があるのでしょう。問題なのは動力でありまして……」
「どうしたのだ? よいからいってみよ」
口籠もった配下の騎士にアーリアが促す。
「元々、人力ではあり得ない速度で投石が行われていました。マテリアル機関が活用されているのは、まず間違いありません。そしてここで問題すべきは装甲になります」
「装甲?」
「はい。マテリアル機関だけは敵側も予備を早々に用意できないはず。あったとしても限りがあるはずです。従ってマテリアル機関は頑丈に、つまり装甲に覆われていると推測できます。我々が所有する遠隔攻撃では弾かれてしまうほどに……」
「つまりは近づいて分厚い装甲を避け、直接マテリアル機関を破壊する必要がある。ということか?」
技術者がアーリアの問いに「はい」と答えた。
数日後、ハンター一行が協力者として橋頭堡を訪れる予定だ。アーリアは投石機を動かすマテリアル機関の破壊計画を立てるのであった。
領主が住まう城塞都市の名は『マール』。自然の川を整備した十kmに渡る運河のおかげで内陸部にも関わらず帆船で『ニュー港』へ直接乗りつけることができた。
升の目のように造成された都市内の水上航路は多くのゴンドラが行き来していて、とても賑やかだ。
この地を治めるのはアーリア・エルブン伯爵。オリナニア騎士団長を兼任する十七歳になったばかりの銀髪の青年である。
前領主ダリーア・エルブン伯爵が次男である彼に家督を譲ったのは十四歳のとき。すでに闘病の日々を送っていた前領主は、それからわずかな期間で亡くなっていた。
妹のミリア・エルブンは幼い頃から政において秀才ぶりを発揮している。
事故と発表された長男ドネア・エルブンの死因だが、実は謀反に失敗して命を落としていた。そのドネアが歪虚軍長アスタロトとして復活。謀反に関与していた元親衛隊の女性ロランナ・ベヒも歪虚の身となって現れた。
兵器輸送のゴンドラの沈没事件、領地巡回アーリア一行襲撃事件、穀倉地帯における蝗雑魔大量発生等、アスタロト側が企んだ陰謀は、ことごとくハンター達の力添えによって打ち砕かれる。だがこれらの陰謀には搦め手が存在し、ネビロスは運河の湧水個所を狙っていた。歪虚アイテルカイトの尊厳をかなぐり捨てたネビロスだったが、騎士団とハンター達の前に敗北して最後の時を迎える。
勝利に沸く城塞都市マールの民。アーリアが喜んでいたのも事実だが、振り払ったはずの兄への気持ちは心の奥底でかすかに残った。
マール城にアスタロトから晩餐への招待状が届き、アーリアはその場へと赴く。そこでのアスタロトの発言はわずかな同情も引いたものの、傲慢に満ちあふれていた。
不意に転移してきたTNT爆薬の処分についても、ハンター達の尽力によって解決へと導かれる。
ある日、伯爵地ニュー・ウォルターの北東部に突如として大量の水が溢れだす。ハンター達の協力によって周辺住民の避難は完了。そして湖と化した大地の中央に、突如として城が浮きあがった。
湖中央に聳える城の上空では、常に歪虚、雑魔が舞っていた。確証こそないものの、兵や民といった誰もが口々に噂する。あの城の主は歪虚軍長アスタロト。アスタロト城だと。
湖出現からこれまで、領主アーリアは手をこまねいていただけではなかった。三度の戦端がひらかれたものの、一進一退の状況でアスタロト側の防御は厚い。
陸路で船を湖へと持ち込んだものの、敵城の小島まで辿り着くことは叶わなかった。すべて湖に沈められてしまう。
湖は歪ながら直径三km円といった広さ。水深は一番深いところで十メートル前後といったところ。アスタロト城は直径六百m円の小島に建てられていた。
ハンターに協力してもらい、湖の調査が行われる。その結果、様々な事実が判明した。
湖の底に沈んだ施設を休憩所として、数多くの水棲雑魔が哨戒任務をこなしていた。組織だっており、アスタロト城への連絡網が敷かれているとハンターが提出した報告書には記されている。上空も鳥雑魔によって見張られていた。
八月初旬。上空と湖中の敵、どちらへの対策も施した上で騎士団が用意した急ごしらえの艦隊はアスタロト城がある小島を目指した。
小島まで九百mをきったとき、石の雨が降り注ぐ。甲板には穴が空き、負傷する騎士や兵もわずかでは済まなかった。
「今少しで、こちらの攻撃も届くようになる。踏ん張りどころだ」
騎士団長アーリアの指揮下、ついに小島外縁へと設置された投石機の破壊に成功する。二基を壊したところで一端撤退。三時間後、補給と陣形を整えた上で再度進攻したところ、思わぬ事態に陥った。敵側が投石機の修理を終えていたのである。
(人間の、余程の腕を持つ技術者があちらにいるのだろうか)
アーリアは即座の判断で艦隊を引き返させた。橋頭堡に到着次第、会議を開く。
「おそらくですが、投石機の支柱やアーム部分に関しては予備があるのでしょう。問題なのは動力でありまして……」
「どうしたのだ? よいからいってみよ」
口籠もった配下の騎士にアーリアが促す。
「元々、人力ではあり得ない速度で投石が行われていました。マテリアル機関が活用されているのは、まず間違いありません。そしてここで問題すべきは装甲になります」
「装甲?」
「はい。マテリアル機関だけは敵側も予備を早々に用意できないはず。あったとしても限りがあるはずです。従ってマテリアル機関は頑丈に、つまり装甲に覆われていると推測できます。我々が所有する遠隔攻撃では弾かれてしまうほどに……」
「つまりは近づいて分厚い装甲を避け、直接マテリアル機関を破壊する必要がある。ということか?」
技術者がアーリアの問いに「はい」と答えた。
数日後、ハンター一行が協力者として橋頭堡を訪れる予定だ。アーリアは投石機を動かすマテリアル機関の破壊計画を立てるのであった。
リプレイ本文
●
星空が白もうとする早朝の湖岸に、慌ただしい空気が流れだす。オリナニア騎士団主体の艦隊が一斉に離岸を開始。穏やかだった湖面が波立つ。
陸路から輸送可能な艦船の大きさには限界があった。結果としてこぢんまりとした艦隊に留まってしまったものの、騎士、兵士達の士気は高い。重要任務のハンター達も高速艦の甲板で瞳を力強く輝かせる。
湖は歪な直径三km円の大きさだ。湖岸からアスタロト城が聳える小島の岸までわずかな距離だが、一km以上の幅がある外堀と考えれば厄介な攻略上の障害物に他ならない。狭い戦場ではあったが、その分だけ濃密さが予想されていた。
朝日によって湖面が輝く。
湖中の雑魔と戦うために装備で固めた騎士や兵士達が飛び込んでいった。射程九百mの投石機は絶え間なく動き続けて、石の雨を降らせる。計十二基の投石機による弾幕は小島への接近を厄介にさせていた。
指揮を執るアーリアは艦隊の陣形を広げさせた上で、投石機の射程距離内へと鉄板で補強済みの艦を突入。敵側の注意を引きつける。
小島へと急接近した高速艦一隻にはハンター八名も乗り込んでいた。
水上班が各自付与したウォーターウォークは騎乗物にも作用する。
試作魔導バイク「ナグルファル」を駆るヴァイス(ka0364)は高速艦の前を走る。
「無線での連絡を欠かさぬようにな。水中にも敵がうじゃうじゃいる。そちらもくれぐれも気を付けてな」
ヴァイスは水上班だが、水中班の支援に動く。ミグ・ロマイヤー(ka0665)、鳳凰院ひりょ(ka3744)、アメリア・フォーサイス(ka4111)、ディーナ・フェルミ(ka5843)が水中へ飛び込むのを見送った。
まもなく投石機の射程内に突入した。「早速かよ」と呟きつつハングオンで車体を傾けて、落石による水飛沫を浴びる。水中班が小島へ辿り着くまでの囮役を引き受けたのだった。
ヴァイスを除いた水上班三名もウォーターウォークを付与し、高速艦から降りて湖面へと立つ。
(目指すは六時と七時の間。距離にして九百弱)
ロニ・カルディス(ka0551)は仲間達と一斉に駆けだした。一塊にはならず、付かず離れずの間隔を空けながら。
水面とはいえ水中の雑魔に狙われることもある。ミオレスカ(ka3496)が湖面から突きだされた槍を避けた。水中戦を挑もうかと悩んだ刹那、水中班のアメリアが銃撃によって排除してくれる。
「すみません、助かります」
ミオレスカはそのおかげで、水上での任務を遂行することができた。
「投石器なんて小さい的を狙うようになんて出来ないもんね」
立ち止まった弓月 幸子(ka1749)が小島の沿岸を標的にして、ファイアーボールによる爆炎を巻き起こす。岩陰から砂浜へと弾け飛んだのは蜥蜴のような雑魔だ。炎に包まれながら塵へと還っていった。
水中班は二組に分かれて小島を目指す。
ミグとディーナは『水中鎧』こと魔導鎧「スキューマ」を活用して、湖底まで沈んでいった。
「エビフライが水中鎧に……エクラさまの加護が眩しいのっ」
ディーナは支給品の幸運に浴したようで、ご機嫌な足取りで走りだす。湖底は数ヶ月前までは地上だったので、普通に道が残っている。
「この鎧は居住性良好で一日中来ていたいぐらいの逸品……あれは敵か」
ミグも慎重に進んでいくと槍持ちの蛙雑魔二体を見かけた。
敵一体が頭上を泳いでいた仲間達に気づく。攻撃へと移られてしまう前に、こっそりと背後から忍び寄る。ディーナが打撃、ミグが斬撃によって、殆ど同時に二体を仕留めきった。
鳳凰院とアメリアはシュノーケル付きゴーグルをつけて湖面の真下を泳いでいた。
(あちらも順調なようですね)
鳳凰院が時折、湖底へと視線を落とす。歩いている二人を考慮に入れながら進んでいく。
(あ~特殊部隊になったような体験が出来てちょっと心踊りますね)
アメリアが背負う袋には防水処理が施されていた。中身の殆どは爆薬関連である。充分な量を確保するために一部は仲間にも運んでもらう。
湖に潜んでいた雑魔の主力は騎士団や兵士と戦っているようで、遭遇したのは二回のみだ。どちらもアメリアが水中銃で敵の動きを鈍らせる。鳳凰院が刃で止めを刺して、場を切り抜けたのだった。
●
水上班が小島沿岸までわずか数十mへと近づいたとき、頭上から投石が迫った。
「破片に気をつけて下さいね」
ミオレスカが空に銃口を向けてフォールシュート。連続射撃によって石は粉々に砕けて、上空で四散する。
その直後にヴァイスが魔導バイクで上陸を果たす。他の水上班の面々も辿り着き、六時投石機を目指す。
「厚い警備だな」
ヴァイスがライトニングボルトを地表に這うように走らせた。雷撃が射線上の雑魔を串刺しにし、ぼんやりとした一条の隙間が空く。
「通させてもらうんだよ」
弓月幸子が立て続けに雷撃を走らせることで、雑魔の防衛線に明瞭な一本の道が拓ける。ヴァイスの魔導バイクが呻りをあげながら先陣を切った。
(これで時間稼ぎができるはずだ)
ロニが唄ったレクイエムによって、雑魔の動きが極端に鈍る。
バイクの後方を走り抜けることで、全員が六時投石機の側へと到達した。襲いかかる雑魔に降車したヴァイスが全身を捻りながら旋風を見舞う。
薙ぎ払われた数々の雑魔が扇状に吹き飛んでいく。さらにミオレスカがフォールシュートによる銃弾の雨を降らせて、大半の雑魔が戦闘不能へと陥った。
「これですね」
ミオレスカは厚い装甲に覆われた機関室へと突入し、待機していた歪虚崇拝者を銃撃で次々と無力化。同時に踏み込んだ弓月幸子は、機関の弱点に的を絞って雷撃を走らせる。
機関室内が青白く輝いた。それまで自動的に行われていた高速の投石が非常にゆっくりとなる。ミオレスカがさらに三発撃ち込んだところで完全に停止した。
水上班は敵の大半を戦闘不能に陥らせたところで、五時投石機へと向かうのだった。
●
七時投石機周辺には大岩が転がっていた。
設置された櫓には銃装備の歪虚崇拝者が多数いるので、岩上を進むのは得策ではなかった。水中班は迷路状になっている岩の隙間を縫うように進んでいく。施設まで十五mを切り、大胆な行動にでた。
「体張るのは任された」
鳳凰院が放った衝撃波によって、蛙雑魔等の反撃する機会が潰される。
「まずは邪魔者を消しておかないとのう」
直後、ミグの機動「パリ」砲が火を噴いた。この場一番の強敵と思しき、巨体蛙雑魔の右腕が肩ごと千切り取られる。
「そこを退きなさいの」
ディーナのセイクリッドフラッシュも強烈だ。投石機を守護する敵側すべてに浴びせかけられた。光の波動に包まれた敵の集団が大声を張りあげて、もだえ苦しむ。
アメリアは投石機の出入り口付近へと近づいて爆薬を仕掛ける。一旦離れて点火し、頑丈な扉を吹き飛ばす。
ディーナは踏み込んだと同時に、光の波動で雑魔や歪虚崇拝者等をまとめて弱らせた。その後、戦闘不能まで陥らせる。
「なるほどのぉ」
「何かわかりましたの?」
ミグは機導師としての知識と技術を動員し、破壊の前に機関の解析を試みようとしていた。ディーナは出入り口付近に待機し、聖なる輝きで迫る雑魔を撃退し続ける。
投石機に搭載されている魔導エンジンは本格的だが、エネルギー源となるマテリアルはあくまで補助的なものに過ぎない。それらは移動等や緊急時に使われるもので、常時全力稼働のためには別所から供給する必要があった。
地下に埋設されているケーブルによって運用されているようだが、どこへ通じているかまではわからない。歪虚崇拝者を尋問したものの、下っ端には伝えられていないようである。
「投石機のすべてに一個所から供給しているとは思えないな」
「私もそれに賛成です。ケーブルを這わせるだけでも大変ですし、ロスも大きいはずですから」
七時投石機の鎮圧後、鳳凰院とアメリアも加わって再度検討した。
水中班の破壊担当は七から十二時まで。施設内の資料を探ったおかげで、三と九時の投石機が特別扱いされているのが判明する。
「水中班は九時を先に狙おうかのう。無線で水上班にも伝えて、三時は必ず落としたほうがよいと連絡しておくべきじゃ」
ミグは主力マテリアル機関の在処に見当をつけた。
●
上陸から三十分後、水中班は八時を迂回して、九時投石機の間近まで辿り着いた。先に主マテリアルの供給元を破壊した方が、湖上で戦う味方の支援に繋がると判断したからである。
「七時よりも厳重な体制が敷かれています」
「これで疑いは強まったの」
岩場の隙間から覗き見たアメリアにディーナが呟いた。
「想像していたよりも湖に近いね。機関部の冷却に湖水を利用しているんじゃないかな」
「それはあり得るのじゃ」
鳳凰院がミグが二手に分かれることを提案する。ミグとミオレスカが水中から、鳳凰院とアメリアは地上から九時の投石機に迫ることとなった。
ミグとディーナは水泡を纏いながら湖から再上陸。ディーナによるセイクリッドフラッシュの光波動が敵を包み込む。ミグの機動「パリ」砲は敵側に混乱をもたらす。長距離から放たれた一条の輝きが敵をまとめて貫いた。
混乱に拍車をかけたのがアメリアが仕掛けた爆薬である。海岸の様々な場所で次々と炸裂。計算した時間差で敵の見張りが巻き込まれていく。
鳳凰院は衝撃波による一振りで投石機までの新たな道が拓かれた。強固な装甲に覆われた、第二機関室と記された部屋への進入を試みる。ソウルエッジを付与させた名刀「虹」を上段から振り下ろし、鋼鉄の扉を拉げさせた。
ミグとディーナが敵側の攻勢を抑える最中、アメリアは多量の爆薬を仕掛ける。隙間へと満遍なく。
爆発によって扉が吹き飛び、即座にディーナが突入。フォースクラッシュによる殴打で機関を構成する歯車の軸を狂わせた。アメリアの助言で、さらに脆弱な装置も破壊。瞬く間に機関の動作が鈍っていく。
鳳凰院も加わって内部を次々と壊していった。これによって七時から十二時までの投石機へのマテリアル供給が大幅に減少。投石機の稼働状況が大幅に落ちる。
九時の破壊に成功してから、十時、十一時、十二時へと向かう。水中班は最後に引き返す形で八時投石機を破壊したのだった。
●
水上班が水中班からの無線連絡を受けたとき、四時投石機に攻撃を仕掛けた直後であった。そこでまずは目前の四時を片付けてから、三時へと向かうこととなる。
「ここを破壊すれば、二時、一時にも影響がでるそうだ。それならば全力でやるべきだろう」
「ボクも賛成だよ。そうすれば湖上で戦うみんなの応援にもなるしね」
ロニと弓月幸子のやり取りにヴァイスとミオレスカが頷く。
「水上を戦いの場にできるのが、私達の強みです」
「そいつはいいな。もう一度、ナグルファルで混乱させてやろう」
ミオレスカとヴァイスの意見も加味されて、即席の作戦が組み立てられる。それそれの配置について、決行へと移された。
ヴァイスはウォーターウォークの付与によって再び魔導バイクで湖上を駆ける。射程範囲に入った形で投石機の射手を煽るように走り回った。投石によって湖面が波打っても臆せずに跳躍で急場をやり過ごす。
ヴァイスが敵側の注意を引きつけている間に、他の三人が三時投石機への接近を試みる。
弓月幸子が岩の上に立って投石機を睨んだ。放たれた火球が投石機上空で爆ぜて、大規模な破壊をもたらした。次ターンでも同様に。二度の爆裂によって、野外にいた多くの敵が戦闘不能に陥った。
それでもすべて滅んだわけではない。施設内から現れた敵に対抗したのは、ロニとミオレスカだ。ミオレスカがフォールシュートで牽制した後で、ロニがレクイエムを発動させる。ミオレスカがクイックリロードによって援護射撃する最中、ロニは前進。セイクリッドフラッシュによって、まとまった敵に光の衝撃を与えた。
弓月幸子のライトニングボルトによる援護も加わって、敵を倒しながら三時投石機へと取りついた。ヴァイスも魔導バイクで到達し、旋風にて敵の猛攻を抑えてくれる。
施設内部へと足を踏み入れたのはロニとミオレスカ。ロニのフォースクラッシュによる拳によって機関の外装が弾け飛んだ。ミオレスカの高加速射撃による銃弾が機関内部へと叩き込まれる。
施設内に潜んでいた敵が破壊中のロニとミオレスカを襲った。二人が応戦する中、ヴァイスと弓月幸子が機関破壊を引き継いだ。
弓月幸子がファイアアローで手の届きにくい高所のシャフトを落とす。ヴァイスは蒼炎や灯火を駆使して、機関内部まで槍で貫き通した。
施設全体を揺らす大きな振動が発生し、水上班の四人は一斉に脱出を図った。敵等も異常に気づいて戦いを放りだす。次々と三時投石機の施設から離れていく。
爆発によって発生した衝撃波によって、様々なものが吹き飛んだ。巨体の雑魔さえも宙を舞うほどに。水上班は岩の隙間に隠れて難を逃れる。
三時に含まれる機関はすべて停止。その後に向かった二時と一時の投石機は非常に鈍い動作になっていた。
担当したすべての破壊に成功した水上班は集合場所へと急いだ。
●
「しかし、水中の敵に加えて投石機とは色々と備えているようだな。この分だと無事に上陸しても城に向かうまでにまだまだ何かあるかもしれないな」
「これで安全に船がつけられるね」
ヴァイスと弓月幸子が甲板で言葉を交わす。
水上班と水中班は、迎えに来た騎士団の高速艦によって小島から脱出を果たす。艦隊は補給を終えた後に再び小島へと進攻した。
投石機による弾幕がない状況での小島上陸は容易かった。陽が暮れようとした頃には沿岸部すべての制圧に成功する。
戦場はアスタロト城を囲う二重の城壁との狭間へと移っていく。
「投石機を破壊してくれたおかげで、上陸作戦が成功した。感謝する」
アーリアは別れ際にハンター一人ずつと握手を交わす。可能な限り、早めに次の協力を求めるつもりだといいながら。
そのときミオレスカが提案した。「一時的なハンターオフィスへの依頼では、足りない事態ではないでしょうか」と。
「それが正しいのはよくわかっている。だが……、ここから先は他言無用で頼みたい。かつての兄、アスタロトの討伐は領主の責務と考えているのだ。皆の協力を仰いでおいてなんだが、できるだけ領内だけで済ませたい。甘いのはよくわかっているのだが、それがせめてもの情けだと考えている。もし、アスタロトが他の上位歪虚に応援を頼んだのなら再考するつもりだが……、奴の性格からして、おそらくそうはしないだであろう」
アーリアはどことなく寂しげな表情で語ったのだった。
星空が白もうとする早朝の湖岸に、慌ただしい空気が流れだす。オリナニア騎士団主体の艦隊が一斉に離岸を開始。穏やかだった湖面が波立つ。
陸路から輸送可能な艦船の大きさには限界があった。結果としてこぢんまりとした艦隊に留まってしまったものの、騎士、兵士達の士気は高い。重要任務のハンター達も高速艦の甲板で瞳を力強く輝かせる。
湖は歪な直径三km円の大きさだ。湖岸からアスタロト城が聳える小島の岸までわずかな距離だが、一km以上の幅がある外堀と考えれば厄介な攻略上の障害物に他ならない。狭い戦場ではあったが、その分だけ濃密さが予想されていた。
朝日によって湖面が輝く。
湖中の雑魔と戦うために装備で固めた騎士や兵士達が飛び込んでいった。射程九百mの投石機は絶え間なく動き続けて、石の雨を降らせる。計十二基の投石機による弾幕は小島への接近を厄介にさせていた。
指揮を執るアーリアは艦隊の陣形を広げさせた上で、投石機の射程距離内へと鉄板で補強済みの艦を突入。敵側の注意を引きつける。
小島へと急接近した高速艦一隻にはハンター八名も乗り込んでいた。
水上班が各自付与したウォーターウォークは騎乗物にも作用する。
試作魔導バイク「ナグルファル」を駆るヴァイス(ka0364)は高速艦の前を走る。
「無線での連絡を欠かさぬようにな。水中にも敵がうじゃうじゃいる。そちらもくれぐれも気を付けてな」
ヴァイスは水上班だが、水中班の支援に動く。ミグ・ロマイヤー(ka0665)、鳳凰院ひりょ(ka3744)、アメリア・フォーサイス(ka4111)、ディーナ・フェルミ(ka5843)が水中へ飛び込むのを見送った。
まもなく投石機の射程内に突入した。「早速かよ」と呟きつつハングオンで車体を傾けて、落石による水飛沫を浴びる。水中班が小島へ辿り着くまでの囮役を引き受けたのだった。
ヴァイスを除いた水上班三名もウォーターウォークを付与し、高速艦から降りて湖面へと立つ。
(目指すは六時と七時の間。距離にして九百弱)
ロニ・カルディス(ka0551)は仲間達と一斉に駆けだした。一塊にはならず、付かず離れずの間隔を空けながら。
水面とはいえ水中の雑魔に狙われることもある。ミオレスカ(ka3496)が湖面から突きだされた槍を避けた。水中戦を挑もうかと悩んだ刹那、水中班のアメリアが銃撃によって排除してくれる。
「すみません、助かります」
ミオレスカはそのおかげで、水上での任務を遂行することができた。
「投石器なんて小さい的を狙うようになんて出来ないもんね」
立ち止まった弓月 幸子(ka1749)が小島の沿岸を標的にして、ファイアーボールによる爆炎を巻き起こす。岩陰から砂浜へと弾け飛んだのは蜥蜴のような雑魔だ。炎に包まれながら塵へと還っていった。
水中班は二組に分かれて小島を目指す。
ミグとディーナは『水中鎧』こと魔導鎧「スキューマ」を活用して、湖底まで沈んでいった。
「エビフライが水中鎧に……エクラさまの加護が眩しいのっ」
ディーナは支給品の幸運に浴したようで、ご機嫌な足取りで走りだす。湖底は数ヶ月前までは地上だったので、普通に道が残っている。
「この鎧は居住性良好で一日中来ていたいぐらいの逸品……あれは敵か」
ミグも慎重に進んでいくと槍持ちの蛙雑魔二体を見かけた。
敵一体が頭上を泳いでいた仲間達に気づく。攻撃へと移られてしまう前に、こっそりと背後から忍び寄る。ディーナが打撃、ミグが斬撃によって、殆ど同時に二体を仕留めきった。
鳳凰院とアメリアはシュノーケル付きゴーグルをつけて湖面の真下を泳いでいた。
(あちらも順調なようですね)
鳳凰院が時折、湖底へと視線を落とす。歩いている二人を考慮に入れながら進んでいく。
(あ~特殊部隊になったような体験が出来てちょっと心踊りますね)
アメリアが背負う袋には防水処理が施されていた。中身の殆どは爆薬関連である。充分な量を確保するために一部は仲間にも運んでもらう。
湖に潜んでいた雑魔の主力は騎士団や兵士と戦っているようで、遭遇したのは二回のみだ。どちらもアメリアが水中銃で敵の動きを鈍らせる。鳳凰院が刃で止めを刺して、場を切り抜けたのだった。
●
水上班が小島沿岸までわずか数十mへと近づいたとき、頭上から投石が迫った。
「破片に気をつけて下さいね」
ミオレスカが空に銃口を向けてフォールシュート。連続射撃によって石は粉々に砕けて、上空で四散する。
その直後にヴァイスが魔導バイクで上陸を果たす。他の水上班の面々も辿り着き、六時投石機を目指す。
「厚い警備だな」
ヴァイスがライトニングボルトを地表に這うように走らせた。雷撃が射線上の雑魔を串刺しにし、ぼんやりとした一条の隙間が空く。
「通させてもらうんだよ」
弓月幸子が立て続けに雷撃を走らせることで、雑魔の防衛線に明瞭な一本の道が拓ける。ヴァイスの魔導バイクが呻りをあげながら先陣を切った。
(これで時間稼ぎができるはずだ)
ロニが唄ったレクイエムによって、雑魔の動きが極端に鈍る。
バイクの後方を走り抜けることで、全員が六時投石機の側へと到達した。襲いかかる雑魔に降車したヴァイスが全身を捻りながら旋風を見舞う。
薙ぎ払われた数々の雑魔が扇状に吹き飛んでいく。さらにミオレスカがフォールシュートによる銃弾の雨を降らせて、大半の雑魔が戦闘不能へと陥った。
「これですね」
ミオレスカは厚い装甲に覆われた機関室へと突入し、待機していた歪虚崇拝者を銃撃で次々と無力化。同時に踏み込んだ弓月幸子は、機関の弱点に的を絞って雷撃を走らせる。
機関室内が青白く輝いた。それまで自動的に行われていた高速の投石が非常にゆっくりとなる。ミオレスカがさらに三発撃ち込んだところで完全に停止した。
水上班は敵の大半を戦闘不能に陥らせたところで、五時投石機へと向かうのだった。
●
七時投石機周辺には大岩が転がっていた。
設置された櫓には銃装備の歪虚崇拝者が多数いるので、岩上を進むのは得策ではなかった。水中班は迷路状になっている岩の隙間を縫うように進んでいく。施設まで十五mを切り、大胆な行動にでた。
「体張るのは任された」
鳳凰院が放った衝撃波によって、蛙雑魔等の反撃する機会が潰される。
「まずは邪魔者を消しておかないとのう」
直後、ミグの機動「パリ」砲が火を噴いた。この場一番の強敵と思しき、巨体蛙雑魔の右腕が肩ごと千切り取られる。
「そこを退きなさいの」
ディーナのセイクリッドフラッシュも強烈だ。投石機を守護する敵側すべてに浴びせかけられた。光の波動に包まれた敵の集団が大声を張りあげて、もだえ苦しむ。
アメリアは投石機の出入り口付近へと近づいて爆薬を仕掛ける。一旦離れて点火し、頑丈な扉を吹き飛ばす。
ディーナは踏み込んだと同時に、光の波動で雑魔や歪虚崇拝者等をまとめて弱らせた。その後、戦闘不能まで陥らせる。
「なるほどのぉ」
「何かわかりましたの?」
ミグは機導師としての知識と技術を動員し、破壊の前に機関の解析を試みようとしていた。ディーナは出入り口付近に待機し、聖なる輝きで迫る雑魔を撃退し続ける。
投石機に搭載されている魔導エンジンは本格的だが、エネルギー源となるマテリアルはあくまで補助的なものに過ぎない。それらは移動等や緊急時に使われるもので、常時全力稼働のためには別所から供給する必要があった。
地下に埋設されているケーブルによって運用されているようだが、どこへ通じているかまではわからない。歪虚崇拝者を尋問したものの、下っ端には伝えられていないようである。
「投石機のすべてに一個所から供給しているとは思えないな」
「私もそれに賛成です。ケーブルを這わせるだけでも大変ですし、ロスも大きいはずですから」
七時投石機の鎮圧後、鳳凰院とアメリアも加わって再度検討した。
水中班の破壊担当は七から十二時まで。施設内の資料を探ったおかげで、三と九時の投石機が特別扱いされているのが判明する。
「水中班は九時を先に狙おうかのう。無線で水上班にも伝えて、三時は必ず落としたほうがよいと連絡しておくべきじゃ」
ミグは主力マテリアル機関の在処に見当をつけた。
●
上陸から三十分後、水中班は八時を迂回して、九時投石機の間近まで辿り着いた。先に主マテリアルの供給元を破壊した方が、湖上で戦う味方の支援に繋がると判断したからである。
「七時よりも厳重な体制が敷かれています」
「これで疑いは強まったの」
岩場の隙間から覗き見たアメリアにディーナが呟いた。
「想像していたよりも湖に近いね。機関部の冷却に湖水を利用しているんじゃないかな」
「それはあり得るのじゃ」
鳳凰院がミグが二手に分かれることを提案する。ミグとミオレスカが水中から、鳳凰院とアメリアは地上から九時の投石機に迫ることとなった。
ミグとディーナは水泡を纏いながら湖から再上陸。ディーナによるセイクリッドフラッシュの光波動が敵を包み込む。ミグの機動「パリ」砲は敵側に混乱をもたらす。長距離から放たれた一条の輝きが敵をまとめて貫いた。
混乱に拍車をかけたのがアメリアが仕掛けた爆薬である。海岸の様々な場所で次々と炸裂。計算した時間差で敵の見張りが巻き込まれていく。
鳳凰院は衝撃波による一振りで投石機までの新たな道が拓かれた。強固な装甲に覆われた、第二機関室と記された部屋への進入を試みる。ソウルエッジを付与させた名刀「虹」を上段から振り下ろし、鋼鉄の扉を拉げさせた。
ミグとディーナが敵側の攻勢を抑える最中、アメリアは多量の爆薬を仕掛ける。隙間へと満遍なく。
爆発によって扉が吹き飛び、即座にディーナが突入。フォースクラッシュによる殴打で機関を構成する歯車の軸を狂わせた。アメリアの助言で、さらに脆弱な装置も破壊。瞬く間に機関の動作が鈍っていく。
鳳凰院も加わって内部を次々と壊していった。これによって七時から十二時までの投石機へのマテリアル供給が大幅に減少。投石機の稼働状況が大幅に落ちる。
九時の破壊に成功してから、十時、十一時、十二時へと向かう。水中班は最後に引き返す形で八時投石機を破壊したのだった。
●
水上班が水中班からの無線連絡を受けたとき、四時投石機に攻撃を仕掛けた直後であった。そこでまずは目前の四時を片付けてから、三時へと向かうこととなる。
「ここを破壊すれば、二時、一時にも影響がでるそうだ。それならば全力でやるべきだろう」
「ボクも賛成だよ。そうすれば湖上で戦うみんなの応援にもなるしね」
ロニと弓月幸子のやり取りにヴァイスとミオレスカが頷く。
「水上を戦いの場にできるのが、私達の強みです」
「そいつはいいな。もう一度、ナグルファルで混乱させてやろう」
ミオレスカとヴァイスの意見も加味されて、即席の作戦が組み立てられる。それそれの配置について、決行へと移された。
ヴァイスはウォーターウォークの付与によって再び魔導バイクで湖上を駆ける。射程範囲に入った形で投石機の射手を煽るように走り回った。投石によって湖面が波打っても臆せずに跳躍で急場をやり過ごす。
ヴァイスが敵側の注意を引きつけている間に、他の三人が三時投石機への接近を試みる。
弓月幸子が岩の上に立って投石機を睨んだ。放たれた火球が投石機上空で爆ぜて、大規模な破壊をもたらした。次ターンでも同様に。二度の爆裂によって、野外にいた多くの敵が戦闘不能に陥った。
それでもすべて滅んだわけではない。施設内から現れた敵に対抗したのは、ロニとミオレスカだ。ミオレスカがフォールシュートで牽制した後で、ロニがレクイエムを発動させる。ミオレスカがクイックリロードによって援護射撃する最中、ロニは前進。セイクリッドフラッシュによって、まとまった敵に光の衝撃を与えた。
弓月幸子のライトニングボルトによる援護も加わって、敵を倒しながら三時投石機へと取りついた。ヴァイスも魔導バイクで到達し、旋風にて敵の猛攻を抑えてくれる。
施設内部へと足を踏み入れたのはロニとミオレスカ。ロニのフォースクラッシュによる拳によって機関の外装が弾け飛んだ。ミオレスカの高加速射撃による銃弾が機関内部へと叩き込まれる。
施設内に潜んでいた敵が破壊中のロニとミオレスカを襲った。二人が応戦する中、ヴァイスと弓月幸子が機関破壊を引き継いだ。
弓月幸子がファイアアローで手の届きにくい高所のシャフトを落とす。ヴァイスは蒼炎や灯火を駆使して、機関内部まで槍で貫き通した。
施設全体を揺らす大きな振動が発生し、水上班の四人は一斉に脱出を図った。敵等も異常に気づいて戦いを放りだす。次々と三時投石機の施設から離れていく。
爆発によって発生した衝撃波によって、様々なものが吹き飛んだ。巨体の雑魔さえも宙を舞うほどに。水上班は岩の隙間に隠れて難を逃れる。
三時に含まれる機関はすべて停止。その後に向かった二時と一時の投石機は非常に鈍い動作になっていた。
担当したすべての破壊に成功した水上班は集合場所へと急いだ。
●
「しかし、水中の敵に加えて投石機とは色々と備えているようだな。この分だと無事に上陸しても城に向かうまでにまだまだ何かあるかもしれないな」
「これで安全に船がつけられるね」
ヴァイスと弓月幸子が甲板で言葉を交わす。
水上班と水中班は、迎えに来た騎士団の高速艦によって小島から脱出を果たす。艦隊は補給を終えた後に再び小島へと進攻した。
投石機による弾幕がない状況での小島上陸は容易かった。陽が暮れようとした頃には沿岸部すべての制圧に成功する。
戦場はアスタロト城を囲う二重の城壁との狭間へと移っていく。
「投石機を破壊してくれたおかげで、上陸作戦が成功した。感謝する」
アーリアは別れ際にハンター一人ずつと握手を交わす。可能な限り、早めに次の協力を求めるつもりだといいながら。
そのときミオレスカが提案した。「一時的なハンターオフィスへの依頼では、足りない事態ではないでしょうか」と。
「それが正しいのはよくわかっている。だが……、ここから先は他言無用で頼みたい。かつての兄、アスタロトの討伐は領主の責務と考えているのだ。皆の協力を仰いでおいてなんだが、できるだけ領内だけで済ませたい。甘いのはよくわかっているのだが、それがせめてもの情けだと考えている。もし、アスタロトが他の上位歪虚に応援を頼んだのなら再考するつもりだが……、奴の性格からして、おそらくそうはしないだであろう」
アーリアはどことなく寂しげな表情で語ったのだった。
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相談用です。 アメリア・フォーサイス(ka4111) 人間(リアルブルー)|22才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/08/27 16:02:54 |
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【質問卓】教えてください ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/08/25 14:19:46 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/08/25 05:31:34 |