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スケジュール
09月23日
【闇光】特設ページ公開
グランドシナリオ「北伐」開始
09月24日
【闇光】連動シナリオ開始
「北伐浄化戦」開始
10月14日
「北伐」リプレイ公開
10月15日
【闇光】特設ページ更新
「夢幻城攻略戦」開始
10月20日
【郷祭】特設ページ公開
11月02日
【闇光】特設ページ更新
ダブルグランドシナリオ「決死撤退戦」開始
11月13日
「決死撤退戦」結果反映
「死亡・再起不能について」公開
11月20日
「決死撤退戦」報告書完成
「ユニットシステム」公開
11月27日
【闇光】特設ページ更新
12月2日
【闇光】第1フェーズ開始
12月7日 10:00
【闇光】第1フェーズ入力締切
12月15日
【闇光】第1フェーズ結果発表
12月16日
【闇光】第2フェーズ作戦公開
12月17日
「ユニットシステム」実装
12月18日
【闇光】第2フェーズ開始
12月21日 10:00
【闇光】第2フェーズ入力締切
12月29日
【闇光】第2フェーズ結果発表
1月6日
【闇光】第3フェーズ開始
1月12日 10:00
【闇光】第3フェーズ入力締切
1月20日
【闇光】第3フェーズ結果発表
1月25日
事後連動シナリオ開始
1月29日
【闇光】ボイスドラマ
エピローグ公開
2月1日
「北部遺跡奪還」出発
2月8日
「ユニット残骸争奪戦」開始
2月10日
「北部遺跡奪還」成功!
2月15日
ハント【龍鉱】開始!
2月17日
「拠点防衛作戦」開始!
2月18日
大規模連動ピンナップ完成!
2月19日
「拠点防衛作戦」途中経過報告
2月22日
「拠点防衛作戦」第一週結果報告
2月25日
「拠点防衛作戦」中間発表
2月29日
「拠点防衛作戦」第二週結果報告
3月3日
「拠点防衛作戦」中間発表
3月7日
「拠点防衛作戦」第三週結果報告
3月10日
「拠点防衛作戦」中間発表
3月14日
「拠点防衛作戦」最終週結果報告

ダブルグランドシナリオ「【闇光】決死撤退戦・怠惰」

作戦2:コーリアス対応 リプレイ



ジャック・J・グリーヴ
ジャック・J・グリーヴ
ka1305
十色 エニア
十色 エニア
ka0370
メトロノーム・ソングライト
メトロノーム・ソングライト
ka1267
神楽
神楽
ka2032
鹿島 雲雀
鹿島 雲雀
ka3706
マッシュ・アクラシス
マッシュ・アクラシス
ka0771
バルバロス
バルバロス
ka2119
鵤

ka3319
尾形 剛道
尾形 剛道
ka4612
守屋 昭二
守屋 昭二
ka5069
薄氷 薫
薄氷 薫
ka2692
クローディオ・シャール
クローディオ・シャール
ka0030
エヴァンス・カルヴィ
エヴァンス・カルヴィ
ka0639
ジャック・エルギン
ジャック・エルギン
ka1522
アシュリー・クロウ
アシュリー・クロウ
ka1354
星輝 Amhran
星輝 Amhran
ka0724
Uisca Amhran
Uisca Amhran
ka0754
瀬織 怜皇
瀬織 怜皇
ka0684
ヴォルフガング・エーヴァルト
ヴォルフガング・エーヴァルト
ka0139
七夜・真夕
七夜・真夕
ka3977
●その力の正体
「すまねぇ……ちょっと調べさせてもらうぜ」
 遠くから近づくコーリアスと、それを迎撃すべく向かう仲間たちを目で追い。ジャック・J・グリーヴ(ka1305)は、目の前の、金の像と化した兵士に目線を戻す。
 深く息を吸い、平常心を保ち。その口の中を、彼は調べ始める。
 ――叩いて見ても、音は金属。中空な感じはしない。完全に中身まで金のようだ。
 ――服の端を、切り落として見ても、それは元に戻ったりはしない。柔らかい……つまり不純物が混じった金ではない。純金か。
 貫かれた喉を見れば、その中には何もない。兵士を貫いた『弾丸』は、跡形も無かった。例え空気中の成分を錬成したとしても、その後には水が残るはず。だがそこには文字通り、『何も無かった』のだ。
「息が詰まる――ってぇと――息――っ!?」
 急にある可能性に思い至り、ジャックは唾を飲み込む。
(「まさか……空気まで『錬成』できるってのか!?」)
 若しもそれが本当ならば、敵は文字通り無尽蔵の『弾薬』と、理論上無限の『射程範囲』を持つ事になる。それを報せるべく、彼は前線の仲間たちの元へと向かう。

●分断
「今よ!」
 十色 エニア(ka0370)の合図と共に、彼女の雷撃、メトロノーム・ソングライト(ka1267)の火炎球が一帯を光で包み視界を封じ、神楽(ka2032)の掃射による着弾音が、聴覚を撹乱する。
 誰しも彼に直撃を与えようとは思っていなかった。この一斉攻撃は飽くまでも――コーリアスの感覚を封じ、後に繋げる為。
「ほう。中々面白い手だね。どう繋げてくるのかな?」
 コーリアスはその歩みを止める。丸でハンターたちの次の一手を待つかのように。
「嘗められたもんだぜ――!」
 口ではそう言った物の、やはりコーリアスの物質変換を警戒してか。接近せずに、爆発の裏から剣を大きく振り下ろす鹿島 雲雀(ka3706)。
 剣の軌跡から放たれた二発の衝撃波はそれぞれコーリアスの頭部、そして脚部を狙い飛来する。
 ドン。
 爆発音。
「ちっ……これで倒せるっちゃ思ってなかったが、まさか――」
 コーリアスは、怯みすらしなかった。
 頭部と脚部からそれぞれ、銀色の物体が伸び。身体に接触する前に衝撃波とぶつかり、誘爆させたのだ。
「…取り込み中でして、お引取り頂きたいですね」
「僕をもてなす必要はないよ。勝手に研究していくのでね」
「寧ろ私としては、後学の為に貴方を研究したいくらいなのですが」
 ――衝撃波は雲雀の一撃により、既に物質変換で防御してくる事が分かった。故に、マッシュ・アクラシス(ka0771)が次に試すのは――彼が異なる状況に同時に対処できるか否か。
「ふん……かの十三魔よりも 恐ろしい相手とな? 心躍るではないか!」
 その姿が象徴する通りの狂戦士が如く、バルバロス(ka2119)が斧を振り上げる。
 叩き付けられた斧の手応えは、然し山を打つが如く。だが、その程度の障害で止まる彼でもない。山が道を遮るならば、山を打ち崩そう――それが、魂朽ち果てようとも戦い続ける狂戦士一族の族長、バルバロスの生き様なのである。
(「――ここ!」)
 幾度目かのバルバロスの叩きつけに合わせて、マッシュもまた動く。斧とは別の角度から、黒いサーベルが蛇のように蠢き、コーリアスの首を噛み千切らんと襲い掛かる。
 キン。斧とサーベルが直撃した場所が、同時に銀色の物質に包まれる。
「うん、面白くする為に……種明かしをしてしまおう。僕は確かに、二つ以上の物に『全く同時に』錬金術を発動させる事はできない。けれど――」
 その仮面の下から覗く口が、大きく笑みを浮かべて歪む。
「――貴公たちの目的――『僕に一撃を与える事』でさえ分かれば防ぐのは簡単だ。『僕自身』と言う『物』に対して錬金術を施せばいいのだから」
 その手が、マッシュに向けて伸ばされる。然しそれは、飛来した風の刃によって、弾かれる事になる。
「今の内に回避を――!」
 メトロノームの歌声と共に、無数の風刃が更に飛来する。それに紛れ、エニアの雷撃が、コーリアスを貫いた。
「へぇー。面白い。確かにそういった直線電撃は、金属質であるこの物質では防げないだろうね」
 惜しみの無い、賞賛の台詞。然し放った当人であるエニアは、全く嬉しくはなかった。
 ――コーリアスが全く、傷を押えたり、苦しむ様子がなかったからだ。
 けれど一撃は、確かにコーリアスに届いた。ならば後は、根競べだ。
「……純粋なマテリアルは変換できなくて、物理的に防御するしかない、か。――その能力の正体、見えてきたかも知れないねぇ」
 鵤(ka3319)の放つ機導砲の光条が、コーリアスに突き刺さる。エニアのライトニングボルトと違い、貫通能力を持たないそれは、金属化したコーリアスを貫く事はできない。だがそれでも――衝撃は、中に伝わっている筈だ。
「さて、防御範囲も見てみたいもんだねぇ」
 更に魔法陣が鵤の頭上に展開され、三つの光球が回転を始める。
「んー、けど、流石に毎度毎度邪魔されちゃ、『面白くない』」
 飛来する光を見据えながら、ドン、と重く、コーリアスの足が大地を踏みしめる。
「ちょっと待っててね。後で相手するから」
 その言葉と共に、巨大な壁がその場に立ち上がり、襲い掛かる三つの光を防ぐ。
 次々と立ち上がる壁はドームのような物を形成し、取り囲むようにしてハンターたちの前衛を後衛から完全に分断したのであった。

●Game of Korias
「不思議な手を使ってくれる……ますます、これからどんな奇術を披露してくれるのか、興味が湧いたぜ」
 呟きながら、隙を伺う尾形 剛道(ka4612)の横から、守屋 昭二(ka5069)が飛び込む。
「その手の内、見せてもらうぞい」
 一瞬にして、距離が詰まる。
「ほう……面白い動きだ、ご老人」
「フンッ!」
 裂帛の気合と共に放たれる、神速の一閃。
 キン。金属と金属が激突する音。
 刀は、コーリアスの表面装甲にめり込んだように見えた。
(「いや――これは……」)
 めり込む等という生易しい物ではない。刀は完全にコーリアスの装甲と『融合』していた。  キン。刀が折れる。折ったのはコーリアスではなく、昭二自身。このまま侵食され、取り込まれるよりは、自ら脱出した方がいいとの判断だろう。即座に予備の刀を取り出し、構えなおす。
「おたくよ……そうやって鉄の殻に篭ってるしか、能がないのか? がっかりだ」
 挑発の言葉と共に、昭二と入れ替わるように、薄氷 薫(ka2692)が前に出る。
 突き出される剣。それが触れる箇所を、瞬時に金属に変えるコーリアスだったが――
「――!」
 触れた瞬間。放たれる銃弾。衝撃にずりっと、一歩後ろに下がるコーリアス。
「至近距離での銃撃。効いたろ?」
 ほそくえむ薫。
「うん、そうだ、僕が求めていたのは、そういう刺激だ」
 伸ばされる手をソードで切り払う。その勢いで一回転し、コーリアスの顔面に銃口を突きつけ、引き金を引く。
 ドン。暴発した銃。先ほど触れた際に、銃身を詰まらせたとでも言うのか。
 爆煙の下。視界が遮られた一瞬に乗じて、尾形がコーリアスに肉薄。
「……随分と余裕だな、妬けるじゃねェか!」
 大太刀の猛打と、ピンヒールの足による蹴撃が、完全に体勢を立て直していなかったコーリアスを後ろに押しやる。
「ええ。もうちょっと刺激的だといいのですが」
「刺激がほしいなら……今与えてやらァ!」
 更に太刀を上段に振り上げた瞬間。地面から巨大な鋼鉄の拳が突き出し、彼を後ろの壁――遠距離班と隔離する為に作られたその壁に、押し付けて動きを封じる。
「チャンスだね」
 背後から、コーリアスを狙う刀閃。彼の意識が剛道に向いた瞬間を狙った、マッシュによる一撃だ。
「来ると思っていたよ。……隙を『見せれば』ね」
 コーリアスは、わざとマッシュを誘った訳ではない。ただ彼と剛道を含め、『隙狙い』を行ったハンターは、余りにも多い。それはコーリアスに、『隙を見せれば誰かしら仕掛けてくるだろう』と言うアイデアを与えたのである。
 マッシュの刃は、コーリアスの肌に食い込んだ。然し皮膚一枚の下は……水銀のような色をした液体。それは直ぐに固着し、マッシュの黒剣を絡め取る。
 伸ばされる手。マントを盾に、その手に直接触れないよう、マッシュが受け止める。
「ほう……考えたね。確かに僕の能力は直接触れないと効果が出ない」
 それでもコーリアスは、マントに触れた。
「それなら、他の物に変えてしまえばいい」
 ジュッ。
 一瞬にしてマントは、液体へと変えられる。
「!!」
 そしてその液体は飛び散り、マッシュの全身を焼く。
「強酸か……! 野郎……!」
 無理やり武器を投擲する剛道。それを弾く為コーリアスが片腕を動かした瞬間、クローディオ・シャール(ka0030)が盾でその視界を遮り、マッシュを救出し、ヒールを施す。
 一命は取り留めた物の、この場での継続戦闘は最早もう無理か。
 バシャン。油が、突き出されたコーリアスの手を覆う。
(直ぐに金にならないってこたぁ、やっぱりあの能力は自動発動じゃねぇか)
 掛けた雲雀が、思案する。だが、直ぐにその思考は中断される。コーリアスが腕を横に振り、油を払う。飛び散った油の雫は一瞬にして、無数の鋼鉄の短刀と化し、彼女を襲ったのである。
「ちっ……間合い掴みにくいったらありゃしないぜ」
 回避し、そして弾き。何とか急所への直撃は避けたが……手足には、幾本もの短刀が突き刺さっている。
 がくん。急に、体から力が抜ける。
 ――怠惰の感染。まさか、ビックマーが、砦に接近し始めたというのか。 「ダレてる場合じゃねぇ! テメェ等が決めた覚悟はそんなもんか!?」
 雲雀の叫びに、何とか残った力をかき集め、ハンターたちは、コーリアスと相対する。
「……あの王様の力を受けて、まだこれだけ戦えるとは……僕はますます貴公らに興味が持てて来ましたよ」
 さも嬉しそうに言い放ったコーリアス。
 三方面から彼を止める為に武器を振るう、バルバロス、昭二、そして薫。居合いも斧の一撃も、目の前に立ち上がる土の壁を打ち砕いたのみ。直接コーリアス自身に命中した手応えはない。
「流石に同じ手ばかりでは、僕も飽きてきてしまうね……」
その言葉には、何度退けても戻ってくるハンターたちへの僅かな怒りが含まれていた。
 ヒュッ。土煙の中、伸ばされた手が狙ったのは昭二。全ての力を攻撃に傾け、回避に注力しなかった彼が、この一撃を回避する術は無かった。
「Gas」
 掴まれる腕。手の先から、分解されていく。血の霧になっていく。このままでは全身を分解されて死ぬ事になるだろう。
 ――クローディオが、間に割り込まなければ。
 ドン。体当たりで強引に、コーリアスを引き離す。
「ほう……また新しい者か。さて、貴公はどう戦うのかな?」
 だが、彼は盾を構えたまま、昭二に手を翳し、癒しの光を放つのみ。
「来ないのか。……興ざめだな」
 専守防衛、回復重視のクローディオの戦術は、然し刺激を求めるコーリアスには酷く退屈な物に見えた。
 無造作に接近し、手を伸ばす。
「Marble」
「――っ!」
 覚悟は決めた。この者の能力を究明するため、犠牲になっても構わないと。
 わざと腕を盾にし、一撃を受ける。
 掴まれた部分から、少しずつ、体が石になっていく。奥歯を噛み締めて、キュアの魔術。効果はない。呪術的な、或いは毒物の系統ではないと言う事か。すぐさまに死に至る事はないが、少し時間が立てば、クローディオ自身も石像になるだろう。
「く――」
 ならば最後の手段。クローディオは自らの腕に向けて、盾の端を振り上げた。

●防衛線突破
 自ら腕を断ったクローディオが、昭二と共に後退するのと同時に。
 バルバロスと薫の刃が――同時に、コーリアスを捉える。
「……いい加減、うざいんだけどねぇ」
 幾度吹き飛ばしても、同じように戻ってきて、同じように武器を振るう。
 二人は、コーリアスにとっては彼の最も嫌う『退屈な相手』であった。
 ――彼は、面白そうな相手は殺そうとはしなかった。相手に何が出来るのか――そんな期待感があった。だが、若しも相手がそれ以上の刺激がない、と見るのならば。それは彼にとって、新たな刺激に向かう路上の、『障害物』でしかない。
「Mudden」
 コーリアスの周囲の地面が、一瞬にして泥沼と化す。
 それは彼自身をも含め、接近した者全員の移動をほぼ、封じる。
 両手が、それぞれ薫とバルバロスに伸ばされる。
「ウォラァ!」
 斧で、その手を弾くバルバロス。然し斧はその一瞬で、水のような液体になり、地に垂れ落ちる。
 すぐさま予備の斧に切り替えようとするが、その一瞬の隙をつき、コーリアスの手が彼の身体に掛かる。
「いい加減、静かにしてくれないかな――Wooden」
 カン。体の一部が、木に変わってしまう。
「がぁぁぁ――!」
 既に意識もほぼ無い。だがそれでも狂戦士は、斧を振るい続ける。それが彼の誇り。如何なる障害が、脅威が、目の前に立ちはだかろうと。例え腕が動かなくなろうとも、その肉体――頭部を鈍器と化し、敵に叩きつけ続ける。
 ブン。力を振り絞った頭突きは、終に、コーリアスの仮面の前で停止する。
 猛烈な風圧が、コーリアスの髪を、大きく靡かせる。バルバロスの全身を木化が侵食した――その証なのだ。
「おいおい、一発で倒せないのか?錬金術士ってのも大した事ないな」
 挑発しながら、薫の銃剣がコーリアスに突き立てられる。表装甲を貫通はしていない物の、幾度にも渡る攻撃により、その箇所は既に、凹みが生まれている。――バルバロスの連打に晒された箇所と、同様に。
「だからしつこいって――Bronze」
「しつこいのが耐えられないなら錬金術はできないだろう?」
 カン。尚も止まぬ挑発に、突き立てられた腕を掴まれ、そこから、銅に変わっていく。
 だが、それでも、彼らの猛攻は止まない。繰り返される打撃の応酬に、体が動かなくなろうとも。
「最後の最後まで付き合ってもらう――!」
 薫のその攻撃は、最後の一瞬まで続く事になる。腕まで銅化が届き、全身が固まる、その一瞬まで。
「感謝するぜ――!!」
 そして、作り出されたその『チャンス』を、機を伺っていたハンター二名は、見事に掌握した。
 仲間にさえ気づかれぬよう別行動を取ったエヴァンス・カルヴィ(ka0639)が放った琥珀の衝撃波が、背後からコーリアスに直撃する。その一瞬の隙を突き、ジャック・エルギン(ka1522)が突進。低姿勢からの突きが、彼に接触する。
「隙は――偽装な事もある、そう言った筈だけどね?」
 笑みを浮かべるコーリアス。接触の瞬間、その装甲が、ジャックの剣を取り込み始める。
 パキン。
「そう来るのは、勿論分かってたぜ」
 剣が途中から折れる。いや、自分から、分解したと言うのか。その中から『短刀』を引き出し、ジャックはそれを、薫の銃剣撃によって凹んだ箇所へと、全力で突き立てる!
 ブシュッ。噴出す血。
 それは最強と思われていたコーリアスが、初めて傷ついた証。
「このまま真っ二つにしてやらぁ――!」
 振るわれる大剣。それはバルバロスの作った、斧の痕跡に嵌るようにして直撃し。そこからも血が噴出す事になる。
「――成る程。僕にまともな一撃が入れられたのは、もう何百年ぶりかな」
 その声は、有る程度の嬉しさを孕んでいたようで。
「だから僕も、特別なやり方をしよう」
 流れ出した血を金属に変え、何とか傷を塞ぐ。
 コーリアスの両手がそれぞれ、短刀と大剣に触れる。
「Forge――Stinger」
 武器はそれぞれ形を変え、その全体から無数の棘を吹き出す。それは回避の隙すら与えずに、彼らの主に、無数の突きを与えたのであった。
「一太刀入れられたぜ……ありがとな――っ!?」
 倒れる前。感謝の言葉を薫に述べようとしたジャックの目に入ってきたのは、物言わぬ銅像と化した、薫の姿であった。

●進撃
 壁を貫通するであろう雷撃では、中の者たちの位置関係が外からは把握できない以上、味方を打ち貫いてしまう可能性もある。故に後衛陣は、エニアのライトニングを封印し、メトロノームの風刃と神楽の銃撃、そして鵤の機導砲による壁の破壊を待つ事になったのだが……如何せん三人では少し時間が掛かる。多くのハンターたちが、砦内部に於ける脱出路の用意に回されていたのだ。
 ドン。終に、穴が穿たれる。その壁の穴からコーリアスが出てきた瞬間。その全身は――猛烈な雷撃と爆発の嵐に晒される事になる。
(彼が前に来てると言う事は、前衛の皆様は……もう……)
 だからこそ、彼のこれ以上の前進を、押し留めなければならない。そう心に念じ、メトロノームは更なる魔術を練り上げる。
「うーん。確かにこれは面倒かな。普通の雷撃ではないみたいだし」
 彼女の火炎球の爆発による視界遮断、そして変化した表皮による防御を貫通する、エニアの雷撃は、飽くまでも『理』を捻じ曲げる事を能力とするコーリアスには対処しにくい物であった。
 ――魔術は、『理』の内にないが故に。

「どーもどーもー! 清廉潔白なる小説家、アシュリー・クロウです! さて、そこの仮面の方……ちょぉーっと取材させて貰っても? 戦いながらでも構いませんので」
 火球による爆発のその下を潜り抜け、アシュリー・クロウ(ka1354)が切り上げを以って、コーリアスを襲う。
「問題ないけど……何を知りたいんだい?僕の目的なら…単に刺激を求める。それだけだよ?」
「では今回、一番面白かったのは何でしょう?」
「皆が僕を傷つけようと、様々な手段を使ってきた事かな。その裏の理屈を考えると、すごい面白いんだよね」
 一見、普通のインタビューにも見えるこの会話。驚くべきはアシュリーが攻撃しながら、コーリアスが硬化した腕で防御しながら行われていた、と言う事。
 そして、同時に接近した神楽もまた、戦槍を振るい、コーリアスの足を狙う。
「いかせねーっす!」
「ありゃ、こりゃちょっと……」
 微妙に不快の表情を浮かべるコーリアス。足を金属化させ、一撃を受けた次の瞬間、足で地面を強く踏む。
「Fist of Earth」
「!」
 僅かな地響きに気づくメトロノーム。然しこれもまた――予想の範疇。即座に自らの足下にアースウォールを施し、変化を『止める』
「成る程、考えたね。……先に変化させてしまう事でこちらの物質変成を無効化させたか。けど――」
 口角が、笑みに変わる。
「立てたその壁。それもまた、物質だよ」  アースウォールで形成された壁から、巨大な拳が突き出され、メトロノームを突き飛ばし、壁にたたきつける。
「仲間たちが物言わぬ像になるのを見ても、尚僕に仕掛けてくる……あの中にあるのは、相当重要な物のようだね。……ますます興味を持ったよ」
 地面から無数のスパイクが、半円型に前方に噴出される。
「あっちゃー……こりゃ、やばいかも?」
 自身はまだ継戦可能。然し、負傷した仲間たちの事を考えれば――ここは引くべきだ。
 エヴァンスとジャックを拾い上げ、アシュリーが後退する。
「全員が助かる為に……通すわけには行かないっすからね!」
 動物による、体当たり。それは先ほど、ジャックが刺した傷に当たり。僅かに眉を顰めるコーリアス。
「うん、同じ攻撃は飽きてるんだから、さっさと下がってほしいかな」
 回り込もうとする彼を追う神楽。次の瞬間、その足下から、巨大な壁が二つ、立ち上がる。トラップに引きこまれたとでも言うのか。
 バン。

●侵入
「ほーん、そこがねぇ?」
 コーリアスの反応を見た鵤が、その傷に気づくのは難しくなかった。エニアもまた、そこに、雷撃を向ける。
「……そこからなら、届かないと思った?」
 ドン、と強くコーリアスが地面を踏みつけると、巨大な壁が、それぞれエニアと鵤の前に立ち上がる。
「っ……離れて!!」
 メトロノームが受けた一撃を思い出したエニアは、即座に身に風の障壁を纏い、後退する。その甲斐あって、ギリギリで、壁から突き出された鉄拳を回避する。だが――鵤はそうは行かなかった。様々な防御装備が設置されている砦の上は逃げるスペースは限られている――特に急には。
 叩きつけられ、落ちそうになるのを、何とか端を掴んで回避する。
 その間に、エニアの放つ雷撃の雨をかわしながら、コーリアスは砦の中へと侵入したのだった。
「イスカ、急げぃ! 予想通り――強行突破、侵入されたのじゃ!」
 トランシーバーを通して、愛する妹に連絡した直後。星輝 Amhran(ka0724)は砦の入り口で、目の前まで侵入してきた彼の錬金術士と対峙していた。
 戦況が悪いのは見ていて分かった。だが、それでもどうにかできる物ではない。戦況が悪いからと言って敵を退ける奇策はなく、通路を製造している者は既に最高速でそれを行っている。
 ぎりっと奥歯を噛み締め、
「暫し……付き合ってもらうのじゃ」
 ばら撒かれる手裏剣。それらは、まるで己の命を持つかのように、噴射による白い尾を帯び四方からコーリアスに襲い掛かる。正にそれが突き刺さる、次の瞬間。
「――Fuse」
 それは、コーリアスの金属化した表面装甲に取り込まれる。
 若しもこれが手足を狙った物ではなく、首筋と脇腹にあった、先のハンターたちにつけられた傷を狙った物であれば、有効打は与えられたかも知れない。
「お返しするよ。――最も僕は投げる精度が余りなくてね、こういう形になっちゃうんだが」
 全身の装甲から、無数の針が覗き始める。
「Forge――Million Spike」
 針が、空間を埋め尽くすが如く、四方に放たれた。

●Diggers
 一方、連絡を受けたUisca Amhran(ka0754)は、砦の上から降りてきた最愛の恋人である瀬織 怜皇(ka0684)に声を掛ける。
「もう積み込みは終わりましたか?」
「大体は。後5分ほどあれば、撤退できますね」
「それまで砦が持てばいいんだけどね――」
 怠惰の感染の効果で、通路製作の効率は大分落ちている。硬い岩盤等は、彼女自身が強打を以って粉砕しているが――彼女自身も影響を受けている以上、それ程早く進んではいない。
「――レオ。先に行ってください」
「ですが――」
「今は少しでも、傷ついた方をあれから遠ざけるのが先決です。人の命が――掛かっているのです」
 暫く、俯いた後、こくりと頷く怜皇。
 その瞬間、洞窟が大きく揺れ、掘った前方の一部が崩落する。
「……っ……早く!」

●遭遇
 崩落の直接的な理由は、ビックマーの拳ではなかった。寧ろ――
「そこか――!」

 外の戦いを、星輝やアシュリーを通して情報を掴んでいたヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139)。
 狙うはただ、肩と脇腹にある、装甲の傷跡。理由は不明だが、直接肉体を傷けられた部分は、そう簡単に変化できないらしい。
 放たれた衝撃波は、しかしぐにょりと伸びてきた壁によって阻まれる。
「ここは寧ろ僕の方が有利だと思うんだけどね。ほら、材料が一杯あるし」
 そのまま壁の一部が切り離されて金属に変わり、棘を生やしてヴォルフガングに向かって転がってくる。ギリギリで壁に張り付くようにして、それを回避した直後、直ぐ近くにまでコーリアスが近づいた事に気づく。
「Steel」
 何とか腕などの可動部位が触れられるのは回避したが、脇腹を触れられ、鋼鉄に変わる。
「丁度いい……使わせてもらう」
「ん……?」
 わざと金属になった部位を盾にするような体勢で、接近するヴォルフガング。身体を翻すように、放った突きが、コーリアスの脇腹に突き刺さる。
「っ――なかなか、考えたねぇ。けど――」
 眉を顰めながらも、コーリアスの手が、直接盾にされた金属部位に掛かる。
「Forge――Blades」
「がっ――」
 血を吐くヴォルフガング。
「内部に向かって刃に変えてみた。――内臓がズタズタだ。暫くは動かない方がいいと思うよ?」
 ヒールを以ってしても、動けるまで回復するには時間が掛かる。彼は、コーリアスを見送るより他なかった。
「いらっしゃい」
 砦の一室。じりじりと、緊張した表情で、後ずさりする七夜・真夕(ka3977)。
 ちらりと、目線が傍に置かれてた巨大な箱に向けられる。
「ほう……」
 それに近づいたコーリアスが、覆われていた布を引いた瞬間。四方に、小麦粉が飛び散る!
「引っかかったね……!」
 即座に後退する真夕。密かに魔力を練り、追ってきたのならば火球を放つ用意をする。
「いい手だ。けれど――自分が、自分の策略の領域の中に入るべきではなかったね」
 ぱちんと、指の鳴る音。
「ちょっとダイナミックな空気清浄法をお見せしよう。Dust Craft――Tristinger」
「ぁ……!」
 その場に倒れこむ真夕。息が、出来ない。
 それどころか、口の中、喉、肺、その全てに突き刺すような痛み。
 周りを見渡せば、直ぐに何が起こったのかが理解できた。空気中に浮いていた小麦粉の粒子が、全てまきびし状の金属に変化し、地に落ちていた。それはつまり、脱出する際に彼女が僅かに吸い込んだ物も――
「さて、本物はどこかな」
 壁を『分解』しながら、コーリアスは進む。
 元々エネルギー反応は掴んでいた。この部屋に来たのは、途上にあったから、なのだ。
 そして彼は、そこに到達した。
「――成る程」
 触れるだけで、彼はその構造を理解する。
「中々貴重な材料も採用されているし――もったいない。回収していくかな」
 もう一度触れる。
「Disintegrate」
 直後、まるで砂になるように、ブロートは分解されていき、それは彼のポケットに納まっていく。
「中々に――面白い」
 コーリアスはあえて、直ぐその場から立ち去らなかった。
 『作り手』に挨拶する為に。

担当:剣崎宗二
監修:近藤豊、高石英務
文責:フロンティアワークス

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