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【黒祀】黒の万霊節

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あの羊公にお引き取り願えたようだね。諸君の奮闘に感謝するよ。
5年前の戦争で疲弊していたのは王国だけでもなかった、かな。
ただ……やっぱり駒が一つ二つと足りない、ね。
――CAM。あの流れが、今後世界にどう影響を与えるか……楽しみだよ。

はぁ……にしても、忙しくなってきたなぁ……。

ヘクス・シャルシェレット(kz0015

現在の状況(11月27日更新)

大規模イベント連動シナリオ「黒祀」第三フェーズリプレイを公開いたしました。
併せてエンディングを掲載し、結果反映を行っております。
全フェース通じての勲章などの配布は11/28(金)を予定しております。
 
 

【黒祀】これまでの足跡

▼大規模作戦第1フェーズ▼(10/22?10/30)

▼大規模作戦第2フェーズ▼(10/31?11/12)

▼大規模作戦第3フェーズ▼(11/13?11/27)

 
 

エンディング

●静寂、そして
 その日、その瞬間。王都イルダーナにいる者たちは、すぐにはその言葉を理解できなかった。
『我がグラズヘイム王国の皆さま。――そして、良き隣人たるハンターの皆さま』
 王都中に響くのはか細く儚げで、けれどまっすぐな少女の声。

システィーナ・グラハム

ベリアル

セドリック・マクファーソン

エリオット・ヴァレンタイン


 少女の――システィーナ・グラハム (kz0020)の声は魔術によって拡大され、黒煙棚引く大気を震わせる。
『仇敵ベリアルは既にこの地を離れ、遥か西へと逃げ帰りました。未だ残る不浄なる者どもも我が騎士団が、聖堂戦士団が、遠からず討ち果たしましょう。残念ながら仇敵を討ち滅ぼすことは叶いませんでしたが、しかし』
 声は分樹を通して王国各地にも、いやさリゼリオにまで響き渡る。
『――私たちは勝ちました。勝ったのです』
 奇妙な静寂。
 不意に、王都のどこかで小さな歓声が上がった。それは次々に伝播し、次第に大きくなっていく。そして気付けば、王都全体が咆哮を上げるかのような大音声となっていた。
『私たちは戦いに勝利しました。被害は大きく、すぐに元の生活に戻れるかは分かりません。けれど、生きています。尊い犠牲を払い、けれど生き残りました。私たちは明日へと歩みを進めなければなりません』
 間を置き、システィーナは言う。
『私は約束します。必ずや元の安寧を取り戻すと』
 声が途切れ、割れんばかりの歓声だけが残る。それは、五年越しの大戦を生き抜いた戦士たちの心の叫びであった。
「大司教さま、各地の被害状況を……」
「早急に取りまとめましょう」
 システィーナは戦勝報告を終えると、早速セドリック・マクファーソン (kz0026) に指示を出す。
 一応、最悪の事態は免れることができた。歴史ある玉座も守れた。が、被害もまた大きい。それらの対処も十二分になさねばならない。
 玉座の間を見回すと、あちこちに戦闘の跡が残り城内とは思えないほどだった。
 互いに健闘を称え合うハンターがいれば、息の根を止められなかったことを悔やむ者もいる。そんな様々な人の間を、騎士団長エリオット・ヴァレンタイン (kz0025) が項垂れるように抜けてくる。片膝をつき頭を垂れた。
「王女殿下、ご無事で……」
「皆さまのおかげです。貴方も怪我はありませんか」
「は。……奴に相応の手傷を負わせたものの、止めること叶わぬままおめおめと五体満足で戻って参りました……」
「いいんです、皆が無事であれば」
 俯き、その表情は窺い知れない。しかし彼がどんな顔をしているのかは、容易に想像できた。
「私は未熟です。これからも戦ってください――私と、共に」
「勿体なきお言葉……!」
 エリオットは忸怩たる思いを飲み込み、静かに燃え上がる。
 個人ではない。騎士団としての力を、より高めねばならない。

●少女の苦悩
「ご苦労さまでした……」
 システィーナはハンターたちに声をかけ、頭を下げる。そして多少の歓談をし、自室に下がった。
 扉を閉め、息をつく。途端に、堪えきれない何かが溢れてきた。
 ベッドに突っ伏して声を殺す。自身にも理解しきれない感情の奔流が、どうしようもなく込み上げてくる。
 声なき慟哭。
 それが収まったのはどれほど経った頃か。システィーナは深呼吸して顔を上げた。
 ――何も、できなかった。
 分かっている。自分にできることなど元より何もないし、ベリアルと正対したとて何ができたわけでもない。それにハンターたちは自分の身を案じてくれたのだし、またあの策はベリアルを滅ぼす最善手でもあった筈だ。
 あの状況から望みうる最高の勝利に違いないのだ。彼らには感謝の念しかない。それは本当だ。
 でもそんな理性とは別に、心のどこかが叫んでいるのもまた事実だった。
 たとえ殺されても自ら立ち向かうべきだったのではないか。……いや、それも王女としての責務を放棄した逃げかもしれない。簡単に死ぬわけにはいかないのだから。でも、それでも。
 少しでもいい。
 ――わたくしも、戦いたかった。

●アイテルカイトの蠢動
 それに気付いたのは、ベリアルとクラベルが北西方面に離脱し、豚羊云々という話をしていた時だった。
「……我が下僕フラベル?」
 通信しようとして、通じなかった。気配ともいうべきものがどこにもない。いや、力を使いすぎたせいだ。もっと念入りに探し――見つからない。
 北狄へ戻ったのか? あり得ない。ならば何故探知できない。何故、何故、何故何故何故何故何故!?
「死ん……」
「言うでない! そんな筈があるまい、我が下僕がニンゲン如きに遅れを取るなど……」
「でも事実よ。フラベルのマテリアルは、今、探知できない。虚無の闇へ戻った。それ以外に何かあるのかしら?」
「……メェ」
 ベリアルが膝をつき、右手で顔を覆う。抑えきれぬ嗚咽が少しだけ零れた。
「ニンゲン如きに……愚か者め……」
 ベリアルが気丈に立ち上がり、天を仰ぐ。雲間に覗く空が忌々しく、目を背けた。クラベルや、共に転移してきた者たちに向き直る。
「……まあ、よい。これから存分にこの対価を支払わせてやろうぞ……愚かなるニンゲンどもに……ブシ、ブシシシ……」

 ブッシシシシシシシシシシシシシ!!

 ベリアルの笑みに追従する羊たち。
 彼らの不気味な哄笑は地を這うように響く。王国の地を絡め取らんとするように……。

(執筆:京乃ゆらさ
(文責:フロンティアワークス)

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キャラクター情報

ベリアル
七眷属「傲慢」の将。自らを「黒大公」と称している。
5年前の戦い以降、姿を現していなかったが、10月に宣戦布告と共にハルトフォートを大軍に攻めさせつつ、自身は王都へと攻め上った。傷は癒えていない様子で、戦いの様子は精彩を欠く。
騎士団、ハンターの抵抗を潜り抜けて王城へ到達、玉座につく王女に対して脅迫とも予告とも取れる言をぶつけて撤退する。しかし、その王女がハンターのふんした偽物であった事を彼は知らない。
  • 王国侵攻軍総司令
  • 傲慢(アイテルカイト)
イラスト:ちーせん
フラベル
 5年前にも目撃された、七眷属「傲慢」の将ベリアルの部下。
クラベルと姿かたちが非常に似通っており、双子のような存在ではないかと思われる。
フラベルは緑髪で巻き毛のようだ。両者共残忍で危険な歪虚だが、騒がしい方がフラベルである。
リベルタース地方での活動が目撃されていたが、その後にベリアル、クラベルと入れ替わる形でハルトフォート周辺の歪虚を統率していた。
ハルトフォート西に撤退し、軍を纏めようとしていたが強襲を受けて自ら出陣。ハンターにより撃破される。
  • ベリアル配下
  • 傲慢(アイテルカイト)
イラスト:花詰真香
クラベル
七眷属「傲慢」の将ベリアルの部下。
フラベルと姿かたちが非常に似通っており、双子のような存在ではないかと思われる。
クラベルは赤髪で直毛のようだ。両者共残忍で危険な歪虚だが、物静かな方がクラベルである。
ハルトフォートへの来襲、並びに王都への侵攻時もベリアルと行動を共にしていた。
王都侵攻の最終段階で単独行動を取り、大聖堂を強襲するもハンターらにより撃退される。
  • ベリアル配下
  • 傲慢(アイテルカイト)
イラスト:花詰真香

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