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(ka0000)
【闘祭】これまでの経緯


【闘祭】ストーリーノベル
各タイトルをクリックすると、下にノベルが展開されます。
このくらいの来場者が予想されるから……想定よりこれくらいスタッフを会場に割かないとだめだね」
「ゲッ! もう詰んでんじゃねーか!? 誰ですか武闘大会やりたいなんて言ったやつ!」
「それは僕さ! でも詰んではいないと思う。人手ならハンターから募ればいいんだよ」
武闘大会はそもそもギルドフォーラムの一環。すなわち、“ハンター”が主役である。
フォーラム中はハンターらが自分の意志で、各々ギルドの盛り上げや出店を行ってもよいということになっている。
「ハンターの中には記者と兼業でやっている人なんかもいるでしょ? そういう人に記事を書いてもらって、盛り上げればいいんだよ」
ハンターの本業は歪虚との戦いだが、それ以外にも趣味以上の技能を持っている者たちは何人もいる。
彼らが戦いの手を休めるフォーラムの場で、存分に手腕を発揮してくれたなら、ソサエティ側の負担は大きく低減されるはずだ。
「広告の作成を彼らに任せれば……本来予定されていたこの分の人手が移動して……こんな感じ」
「ギリじゃねーかオイ!!」
「そうだねー。あんまりハンターからの協力が得られなかったら厳しいかも」
「でも言っとくですが、今から人数多すぎて開催できませんとかなったら暴動待ったなしですよ」
「うーん、だからそれとなーくこっちの危機感を悟られないように募集を出しておくよ。勝算の薄い取引じゃないしね」
確かに、ハンターが広告に協力してくれるなら楽ができる。
どのみちもう乗りかけた船なのだ。今さら降りても一人で溺死するだけである。
「だったら最後まで賭けに付き合ってやるですかね……」
「え? 誰と誰が付き合うって?」
「少なくともお前とじゃないから安心しろ」
こうして二人は急いでビラを作り、事前登録所に集まったハンターらに話を持ちかけるのであった。
『武闘大会を取り上げる記事募集! 採用された方には、1件につき5万Gを支給致します!』
『つまり、自分がどこからスタートするのか、周りに誰がいるのかもわからないのじゃな?』
『そういう事だ。場合によっては他の参加者と手を組むような奴も現れるかもしれないが、結局のところあんまり意味はねぇな』 『そも、合流できない可能性が高いからの?』
『俺様の予想では、戦闘開始直後にリングの各所でバンバン範囲攻撃が吹き荒れ、一瞬でかなりの人数がダウンするだろうぜ』
リングの広さが30×30に広がったとしても、かなりの人数がその中に配置される事になる。
当然だが同じ場所に複数人のハンターは配置されないが、現場の人数はかなり窮屈になるだろう。
そんな状況で自分以外のすべてのハンターを撃破するのには範囲攻撃が有効であり、皆がそう考えれば大爆発が起こるわけだ。
特にバトルロイヤル中の行動に制限は存在しないので、逃げ回ったり他選手と決着直前まで協力する事も可能ではあるが、基本的には「運」に依存する部分が大きいのだ。
『それって戦略とか個人の強さとか関係あるのかのう?』
『んー、まあタイマンの試合に比べると重要性は低いだろうな。逆にいうと運が良ければ誰でも決勝リーグに参加できる可能性があるわけだ。実力云々は、そこから発揮すればいいんじゃねぇか?』
『なるほどなるほど……まあそんな大方の予想通りに行かないのがハンター! これまでもいろいろ予想を覆しております!』 『クリティカルとかあるからの?』
『この敗者復活戦がどのような結末を迎えるのか、今から楽しみですね! というわけで、一発逆転を狙う方も、なんだかよくわからないけどお祭り気分で参加する方も、ドシドシ参加入力を行ってください! もちろん、試合はそれぞれ実況中継させていただきます!!』
『『まじか?』』
『マジですよ! 全試合中継です!』
『その全試合っていうのはどういう……各リーグ毎にどこまで中継じゃ……?』
それぞれのリングには、恐らくこれまでで最もハチャメチャになるであろう敗者復活戦を一目見ようと多くの観客が集まりつつあった。
この過酷なバトルロイヤルを勝ち抜くのは一体誰になるのか。
そしてどのようなドラマが生まれるのか……。
『武闘大会敗者復活戦、間もなく開始です!』
『お前知らねーぞそういう事言って……』
『苦情きてもわらわたち関係ないからのー』
『いやこういうのはちゃんと言わないと意味ないじゃないですか! これそもそも集金イベントですよ!?』
『ノーコメントノーコメント。さてせっかくじゃし、わらわ達も予想とかしてみるかの?』
『んー、そうだなあ……まあ予想なんか結果見るまでわからんし、実力も大体拮抗していると思うが……俺様としてはやはり東方勢に期待したいな。金鹿、七葵、里見茜。あとは紅薔薇と万歳丸ってとこか。つーか、東方多くね?』
『ミドルリーグならどうじゃ?』
『んー……強いて言うならヴィルマかな? 予選でも見た魔法の威力を考えるとな。見た目ならバリトン。お前は?』
『わらわはアルフレート・ウォーダン、マッシュ・アクラシス、エアルドフリス』
『おっ前完全に見た目の好みで選んだろ!?』
『スラっとして大人っぽいイケメンがいいに決まっとるじゃろ! 組み合わせにもよるが年齢は全体的にもう少し上がいいです。ギリでエアルドフリスな。ちなみに名前で一番好きなのはウナパイ先輩じゃぞ』
『はいはーい。二人の予想はともかくとして、みんなもぜひぜひ、トトカルチョに参加してみてね!』
武闘大会イベント【闘祭】、決勝リーグは7月21日より開戦!
『みんな、最後まで武闘大会をお楽しみに! それじゃあまた三日後まで、バイバーイ!』
●ギルドフォーラム、資金難の巻(5月24日公開)
「ハンターズソサエティ武闘祭……ううむ。語呂が今ひとつだな」
「ハンターズ武闘祭でどうです? まあ、これだとハンターが主催してるみたいですが……」
「いっその事さ、大会の名前も公募しちゃうとかどうかな??」
「アノ……」
リゼリオにはソサエティが所有する会議室が幾つかある。
「うん。いや、タングラムはそれくらい計算してるべきじゃないかな?」
「ガチの商人と一緒にするんじゃねぇですよ……ま、まあ……フクカンに任せきりであることは否定しないですが……」
額に手を当て椅子に深く腰を下ろすタングラム。ドメニコは腕を組み、片目を瞑った渋い表情で語る。
「ギルドフォーラムはソサエティ参加のギルドをピックアップし、交流を促す大事な行事だ。開催しないという選択肢はない」
「去年から辛いコトもタクサンありマシタ。過酷な戦いバカリのハンターを、少しは労ってあげたいデス……」
「でもお金がなくて現実的に無理なんだよ。だからフォーラムと一緒に闘技大会もやって、予算を確保しようっていう話さ」
「まあ、実際悪い手ではないですよ。これからのソサエティの方向性を示す、いい機会だと思うですがね……」
今でもリグ・サンガマでは歪虚王との戦いが続いている。その苛酷さたるや筆舌に尽くしがたい。
クリムゾンウェスト連合軍の発足、東方の参戦に続き、恐らく今後は北方の協力も得られる事になるだろう。
ナディアが語った真実と六大龍の青龍から太鼓判を押されたハンターは、今後本格的に“世界の守護者”としての戦いに駆り出される事になる。
長く続いた遠征作戦も一区切りを迎え、これからは各地で放置されてきた問題の解決などに尽力する展開になるはずだ。
「星の傷跡のヴォイドゲート破壊作戦を続けて行う余力はないですから、人類はその力を高める為のインターバルに入るはずです。ここで疲れきった姿を見せては、各国パトロンもいい顔はしないでしょう。何より、ハンターの中にはそろそろわかりやすいイコンが必要だと思うですよ。誰の目から見ても明らかな、“英雄”がね」
「闘技大会を開催すれば、ソサエティの勢力が衰えていない事を世界に誇示できるだろう。逆に言えば、予算不足でフォーラムが開催できないようでは、ソサエティに対する資金提供は先細りの一途を辿る」
タングラムとドメニコの説明を受けても、リムネラの表情は暗かった。タングラムは頬を掻き、ヘクスに問う。
「まあでも、ハンター同士が殺しあうようでは本末転倒ですからね。ルールの制定は必要ですよ?」
「勿論、ある程度は既に作りこんであるよ。細かい調整は実際に参加するハンターの意見を取り入れたいから、先に情報公開とテストだけしたいかなあ」
「ハンター同士を競い合わせて余力を示すだけなら、戦闘でなくても良いですよね。スポーツ大会とか、変わり種なら歌自慢とかでもいいわけで」
「パトロンの誰もが血気盛んというわけではあるまい。フォーラムと合わせ、交流のきっかけになるような副題も必要だ」
「ウーン……傷つけ合うダケではなく、みんなが楽しめるナラ……」
ここで概ね、全員の同意を得られた。本当はナディアの意見も聞きたいところだが、彼女は元々ソサエティの運営そのものに積極的な介入はしてこなかった。
実質、この四人でこれまでも行事を回してきたのだ。ナディアには連合軍総司令官の仕事をしてもらえばいいし、だからこそ四人で話を進めておく必要がある。
「大会期間中は一般企業や個人でも一定額の協賛金を支払えばリゼリオで独自の大会をしていい事にするつもりだから、結構変わり種も多くなるんじゃないかな?」
「会場の確保はどうするのだ?」
「リゼリオには広場が結構あるから、そこを整備して貸出かな。街の外に大きめのステージの建設も考えてるけど、業者に頼むよりはハンターの力を借りたいなあ」
「結局ハンターの労働力は一般人の何倍もあるですからね……最終的には安上がりですよ」
タングラムがそう締めると、とりあえず話がまとまる。が、リムネラには疑問が残っていた。
「闘技大会をすると、ホントウに資金が集まるんデスカ?」
「うん。闘技大会では、トトカルチョをやるつもりだからね」
またヘクス以外の視線が険しくなる。慌ててヘクスは首を横に振り。
「やだなあ。ユニオンが後ろ盾になる、後ろ暗いところのない清廉潔白な賭け事だよ! これくらいしなきゃ協賛企業なんて集まらないからね!」
「確かにそれは事実ではある。何よりヘクス殿は商才に関してはわしらより頭一つ抜きん出ている。あまりとやかく言わず、信頼すべきかもしれんな。……というわけで、タングラム殿。念のためヘクス殿の監視を頼めるか?」
「…………ヴェッ!? なんで私なんですか!? 今の信頼という言葉は!?」
「えっ、僕と組むのが嫌なの……?」
「嫌ですよ!! おめー……その顔やめろ! 無意味にしなを作るんじゃねぇ!!」
ヘクスの胸ぐらを両手で掴み、激しく揺さぶるタングラム。ドメニコはその様子に満足したように頷く。
「そんな感じでよいのだ。我々は例年通りギルドフォーラムの準備を進める。リムネラ殿もそれでよいかな?」
リムネラも頷き席を立った。まあ、もとよりヘクスはユニオンリーダー。あまりおかしなことをしすぎれば問題視されるのは本人も承知の上だろう。
「ちょっと! なに話は終わったみたいになってるですか!?」
「がんばろうね、タングラム♪」
「ぐあああああ!! 顔が腹立つううううっ!!」
“てへぺろ”としか言いようのない笑顔とサムズアップに頭を抱え絶叫するタングラム。
そんな二人を残し、ドメニコは無情に会議室を後にした。
「ハンターズ武闘祭でどうです? まあ、これだとハンターが主催してるみたいですが……」
「いっその事さ、大会の名前も公募しちゃうとかどうかな??」
「アノ……」
リゼリオにはソサエティが所有する会議室が幾つかある。
その中でも大きなものの一つ、本部オフィス内の会議室にユニオンリーダーが卓を囲んでいた。リムネラ(kz0018)の挙手に、他三人の視線が集まる。 「それ以前に、ホントウに実施するのデスカ? その……ハンター同士を戦ワセル、武闘大会を」 ハンターはソサエティ発足以来、その基本方針を“対歪虚戦闘”に絞ってきた。 もちろん、実際はそればかりではない。敵性亜人との戦い、時には悪人を国軍に代わって取り締まったりすることもある。が、それはあくまでもソサエティに持ち込まれる依頼に対応した結果である。 「ソサエティ側がヒトとヒトとの争いを推奨スルのには、抵抗がありマス。そもそも、この会議はギルドフォーラムについて協議スル場デスヨネ?」 ごもっともであると言わんばかりに頷いてタングラム(kz0016)とドメニコ・カファロ(kz0017)が視線を向けたのはヘクス・シャルシェレット(kz0015)だ。 視線を向けられた本人は椅子の後ろ足二本に体重をあずけ、不安定にぐらぐらと揺れながら考え事をしている。 やがて視線には気づいたが、何故自分が見られているのかわからないと言わんばかりに目を丸くした。 「あれ? もしかして今、僕の話してる?」 「シテマス……。武闘大会の企画立案は、ヘクスさんデスカラ」 「うん、確かに僕が提案したし、この企画書作ってきたのも僕だね! でもちょっと待って欲しい。これは必要なことだったんだよ!」 後ろに倒れ込みそうになり、慌てて立ち上がるヘクス。そして企画書を高々と掲げる。 「そもそも、今年度はギルドフォーラムの開催そのものが危ぶまれているんだ。その理由はずばり、資金難!!」 ギルドフォーラムとは、ソサエティが主催するハンター同時の交流プログラムの一つで、毎年開催されている恒例行事の一つだ。 ソサエティは勿論、各国ユニオン及び各国企業からパトロンを募り、リゼリオの街全体を使って行われるお祭り騒ぎである。 「去年と今年は色々ありすぎたよね。ヤバい事件の枚挙にはいとまがないけど、何より遠征の連続で金がかかりすぎた。皆もユニオンリーダーなら、ユニオンの財務状況は承知の上でしょ?」 「確かに、最近は明らかに予算オーバーだ。ユニオンは各国政府、企業、組織からの出資を受けて運営を行っているが、度重なる遠征の支援の為、かなりの予算を使っている」 「軍事作戦はとにかく金がかかるですからね。国が最大のパトロンであるユニオンにとって、各国で問題が発生するという事はそれだけ予算切迫と直結しているですが、どの国も揉めに揉めてるわけで」 「確かに……お金は……あんまり、ないデスケド……」 「でも、リムネラだって今年もギルドフォーラムやりたいでしょ?」 不承不承という具合に頷くリムネラに、ヘクスは資料をペラペラとめくり、片手でそろばんを弾く。 「毎年、ギルドフォーラムを開催するのに必要な予算はこんなものかな。で、今年のユニオン予算の平均がこんなもの……で、パトロンの参加状況がこれ。 差し引き……これくらいの赤字だね」 「げっ!? そんなに金なかったのですか!? 来年の開催はほぼ絶望的じゃねぇか!」 |
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「ガチの商人と一緒にするんじゃねぇですよ……ま、まあ……フクカンに任せきりであることは否定しないですが……」
額に手を当て椅子に深く腰を下ろすタングラム。ドメニコは腕を組み、片目を瞑った渋い表情で語る。
「ギルドフォーラムはソサエティ参加のギルドをピックアップし、交流を促す大事な行事だ。開催しないという選択肢はない」
「去年から辛いコトもタクサンありマシタ。過酷な戦いバカリのハンターを、少しは労ってあげたいデス……」
「でもお金がなくて現実的に無理なんだよ。だからフォーラムと一緒に闘技大会もやって、予算を確保しようっていう話さ」
「まあ、実際悪い手ではないですよ。これからのソサエティの方向性を示す、いい機会だと思うですがね……」
今でもリグ・サンガマでは歪虚王との戦いが続いている。その苛酷さたるや筆舌に尽くしがたい。
クリムゾンウェスト連合軍の発足、東方の参戦に続き、恐らく今後は北方の協力も得られる事になるだろう。
ナディアが語った真実と六大龍の青龍から太鼓判を押されたハンターは、今後本格的に“世界の守護者”としての戦いに駆り出される事になる。
長く続いた遠征作戦も一区切りを迎え、これからは各地で放置されてきた問題の解決などに尽力する展開になるはずだ。
「星の傷跡のヴォイドゲート破壊作戦を続けて行う余力はないですから、人類はその力を高める為のインターバルに入るはずです。ここで疲れきった姿を見せては、各国パトロンもいい顔はしないでしょう。何より、ハンターの中にはそろそろわかりやすいイコンが必要だと思うですよ。誰の目から見ても明らかな、“英雄”がね」
「闘技大会を開催すれば、ソサエティの勢力が衰えていない事を世界に誇示できるだろう。逆に言えば、予算不足でフォーラムが開催できないようでは、ソサエティに対する資金提供は先細りの一途を辿る」
タングラムとドメニコの説明を受けても、リムネラの表情は暗かった。タングラムは頬を掻き、ヘクスに問う。
「まあでも、ハンター同士が殺しあうようでは本末転倒ですからね。ルールの制定は必要ですよ?」
「勿論、ある程度は既に作りこんであるよ。細かい調整は実際に参加するハンターの意見を取り入れたいから、先に情報公開とテストだけしたいかなあ」
「ハンター同士を競い合わせて余力を示すだけなら、戦闘でなくても良いですよね。スポーツ大会とか、変わり種なら歌自慢とかでもいいわけで」
「パトロンの誰もが血気盛んというわけではあるまい。フォーラムと合わせ、交流のきっかけになるような副題も必要だ」
「ウーン……傷つけ合うダケではなく、みんなが楽しめるナラ……」
ここで概ね、全員の同意を得られた。本当はナディアの意見も聞きたいところだが、彼女は元々ソサエティの運営そのものに積極的な介入はしてこなかった。
実質、この四人でこれまでも行事を回してきたのだ。ナディアには連合軍総司令官の仕事をしてもらえばいいし、だからこそ四人で話を進めておく必要がある。
「大会期間中は一般企業や個人でも一定額の協賛金を支払えばリゼリオで独自の大会をしていい事にするつもりだから、結構変わり種も多くなるんじゃないかな?」
「会場の確保はどうするのだ?」
「リゼリオには広場が結構あるから、そこを整備して貸出かな。街の外に大きめのステージの建設も考えてるけど、業者に頼むよりはハンターの力を借りたいなあ」
「結局ハンターの労働力は一般人の何倍もあるですからね……最終的には安上がりですよ」
タングラムがそう締めると、とりあえず話がまとまる。が、リムネラには疑問が残っていた。
「闘技大会をすると、ホントウに資金が集まるんデスカ?」
「うん。闘技大会では、トトカルチョをやるつもりだからね」
またヘクス以外の視線が険しくなる。慌ててヘクスは首を横に振り。
「やだなあ。ユニオンが後ろ盾になる、後ろ暗いところのない清廉潔白な賭け事だよ! これくらいしなきゃ協賛企業なんて集まらないからね!」
「確かにそれは事実ではある。何よりヘクス殿は商才に関してはわしらより頭一つ抜きん出ている。あまりとやかく言わず、信頼すべきかもしれんな。……というわけで、タングラム殿。念のためヘクス殿の監視を頼めるか?」
「…………ヴェッ!? なんで私なんですか!? 今の信頼という言葉は!?」
「えっ、僕と組むのが嫌なの……?」
「嫌ですよ!! おめー……その顔やめろ! 無意味にしなを作るんじゃねぇ!!」
ヘクスの胸ぐらを両手で掴み、激しく揺さぶるタングラム。ドメニコはその様子に満足したように頷く。
「そんな感じでよいのだ。我々は例年通りギルドフォーラムの準備を進める。リムネラ殿もそれでよいかな?」
リムネラも頷き席を立った。まあ、もとよりヘクスはユニオンリーダー。あまりおかしなことをしすぎれば問題視されるのは本人も承知の上だろう。
「ちょっと! なに話は終わったみたいになってるですか!?」
「がんばろうね、タングラム♪」
「ぐあああああ!! 顔が腹立つううううっ!!」
“てへぺろ”としか言いようのない笑顔とサムズアップに頭を抱え絶叫するタングラム。
そんな二人を残し、ドメニコは無情に会議室を後にした。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
●ヘクス、事前登録100人超えたってよ(6月6日公開)
「いや?、すごいね! 武闘大会事前登録、100人超えてるって!」 ヘクス・シャルシェレット(kz0015)がホクホク顔で算盤をはじく隣でタングラム(kz0016)は頭を抱えていた。 事前登録はそもそもこの大会が本当に成立するのか、どの程度の規模になるのかを知るためのものだ。 事前登録人数がわかれば本登録の数もおおよそ概算で出せるし、規模が事前にわかれば会場の設営などに無駄がなくなるのだが……。 「いや、事前で100人って……無理ですよ! 今の弱り切ったソサエティの経済状況でこの規模の大会を盛り上げるなんて!」 「うん。でもねー、今さらやっぱりできませんってわけにはいかないでしょ? 大丈夫、手は考えてあるよ」 そう言ってヘクスは机に新たな企画書を広げた。 ヘクス本人も相当忙しいはずなのだが、いったいいつこんな企画書を作っているのか甚だ疑問ではあったが――タングラムは考えるのをやめた。 「人数が多いと、その分運営管理に人手を取られるのは事実だよね。するとおざなりになるのはどこだと思う?」 「えーと……広告と参加者へのフォローですか?」 「その通り! 大会実施に“最低限必要”な部分から人は動かせないから、ある意味蛇足になる部分、“最低限以上の盛り上げをする”部分が手薄になるんだ。具体的にはこの人数だと…… |
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「ゲッ! もう詰んでんじゃねーか!? 誰ですか武闘大会やりたいなんて言ったやつ!」
「それは僕さ! でも詰んではいないと思う。人手ならハンターから募ればいいんだよ」
武闘大会はそもそもギルドフォーラムの一環。すなわち、“ハンター”が主役である。
フォーラム中はハンターらが自分の意志で、各々ギルドの盛り上げや出店を行ってもよいということになっている。
「ハンターの中には記者と兼業でやっている人なんかもいるでしょ? そういう人に記事を書いてもらって、盛り上げればいいんだよ」
ハンターの本業は歪虚との戦いだが、それ以外にも趣味以上の技能を持っている者たちは何人もいる。
彼らが戦いの手を休めるフォーラムの場で、存分に手腕を発揮してくれたなら、ソサエティ側の負担は大きく低減されるはずだ。
「広告の作成を彼らに任せれば……本来予定されていたこの分の人手が移動して……こんな感じ」
「ギリじゃねーかオイ!!」
「そうだねー。あんまりハンターからの協力が得られなかったら厳しいかも」
「でも言っとくですが、今から人数多すぎて開催できませんとかなったら暴動待ったなしですよ」
「うーん、だからそれとなーくこっちの危機感を悟られないように募集を出しておくよ。勝算の薄い取引じゃないしね」
確かに、ハンターが広告に協力してくれるなら楽ができる。
どのみちもう乗りかけた船なのだ。今さら降りても一人で溺死するだけである。
「だったら最後まで賭けに付き合ってやるですかね……」
「え? 誰と誰が付き合うって?」
「少なくともお前とじゃないから安心しろ」
こうして二人は急いでビラを作り、事前登録所に集まったハンターらに話を持ちかけるのであった。
『武闘大会を取り上げる記事募集! 採用された方には、1件につき5万Gを支給致します!』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
●敗者復活戦、行動入力開始!(7月8日公開)
武闘大会イベントも後半戦。 マスターリーグは予選が終了しつつあり、ルーキーリーグとミドルリーグも最終予選が始まろうとしている。 決勝リーグに駒を進められるハンターは合計5人。そのうち4人は予選により選出される。 『そして??、残りの1枠はこの敗者復活戦で選ばれます! これより敗者復活戦の幕開けです!』 竹村 早苗(kz0014)の声が鳴り響くリゼリオ特設ステージ。 リングAを拡張したこのリング前に設置された敗者復活戦の申し込みボックスにハンター達が参加用紙を投入していく。 『敗者復活戦か……これまで長かったぜ』 『うむ、長かったのう……ところでこの敗者復活戦はどのような内容なのじゃ?』 『説明しよう。敗者復活戦は各リーグ毎に一試合ずつ、つまり三試合実施される。それぞれのリングに参加者全員を押し込めて、試合開始と同時に乱闘を始めるバトルロイヤルだ』 スメラギ(kz0158)が既に慣れた様子で説明を始める。 バトルロイヤルの勝者は一人。その一人だけが決勝リーグに参加することができる。 広さを拡張してはいるが、障害物のないリングAでの大人数の戦いは、かなりの乱戦になる事が予想される。 『参加者はそれぞれくじ引きで割り振られた配置位置に移動し、試合を開始してもらう。結果がわかるのは試合開始直前で、目隠しをしてリングに移動する』 |
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『そういう事だ。場合によっては他の参加者と手を組むような奴も現れるかもしれないが、結局のところあんまり意味はねぇな』 『そも、合流できない可能性が高いからの?』
『俺様の予想では、戦闘開始直後にリングの各所でバンバン範囲攻撃が吹き荒れ、一瞬でかなりの人数がダウンするだろうぜ』
リングの広さが30×30に広がったとしても、かなりの人数がその中に配置される事になる。
当然だが同じ場所に複数人のハンターは配置されないが、現場の人数はかなり窮屈になるだろう。
そんな状況で自分以外のすべてのハンターを撃破するのには範囲攻撃が有効であり、皆がそう考えれば大爆発が起こるわけだ。
特にバトルロイヤル中の行動に制限は存在しないので、逃げ回ったり他選手と決着直前まで協力する事も可能ではあるが、基本的には「運」に依存する部分が大きいのだ。
『それって戦略とか個人の強さとか関係あるのかのう?』
『んー、まあタイマンの試合に比べると重要性は低いだろうな。逆にいうと運が良ければ誰でも決勝リーグに参加できる可能性があるわけだ。実力云々は、そこから発揮すればいいんじゃねぇか?』
『なるほどなるほど……まあそんな大方の予想通りに行かないのがハンター! これまでもいろいろ予想を覆しております!』 『クリティカルとかあるからの?』
『この敗者復活戦がどのような結末を迎えるのか、今から楽しみですね! というわけで、一発逆転を狙う方も、なんだかよくわからないけどお祭り気分で参加する方も、ドシドシ参加入力を行ってください! もちろん、試合はそれぞれ実況中継させていただきます!!』
『『まじか?』』
『マジですよ! 全試合中継です!』
『その全試合っていうのはどういう……各リーグ毎にどこまで中継じゃ……?』
それぞれのリングには、恐らくこれまでで最もハチャメチャになるであろう敗者復活戦を一目見ようと多くの観客が集まりつつあった。
この過酷なバトルロイヤルを勝ち抜くのは一体誰になるのか。
そしてどのようなドラマが生まれるのか……。
『武闘大会敗者復活戦、間もなく開始です!』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
●決勝進出!(7月19日公開)
『決着! というわけで、決勝リーグ進出者15名が決定じゃああああ!!』 『みんなお疲れさん。俺たちもお疲れさんだぜ……』 一足先に決着していたマスターリーグを除く、ルーキーリーグとミドルリーグの決勝進出者が決定された。 合わせて敗者復活戦の勝者も発表される事となり、これでいよいよ決勝リーグに登場する顔ぶれが決まったわけだ。 ナディア・ドラゴネッティ、スメラギ(kz0158)、竹村 早苗(kz0014)の実況中継もひと段落である 『う??ん! もう何試合見たかも覚えてないけど、皆の試合、どれもすっごく盛り上がったよ! 本当にお疲れ様!』 『早苗だけマジで元気底なしじゃな……』 『15名の決勝進出者はどれも強者ぞろいだぜ。みんなの見知った顔も結構あるじゃねぇか? 全員の顔と名前を既に掲示してあるから、各員バッチリ確認してくれよな』 『それぞれの決勝進出者の紹介はひとまず後回し! まずはみんな決勝に向けてゆっくり体を休めてね。まずは決勝リーグの方式と、個人トトカルチョについての説明を確認してね!』 決勝リーグは7月21日より開始され、リーグ進出者には自動で召集がかかる仕組みだ。 対戦相手についてもそこで発表され、リーグ戦で最後まで勝ち残った者が優勝となる。 『新たにもう一度トーナメントをやるわけだな』 『5人のトーナメントじゃと、敗者復活枠ともう一人、3勝しないと優勝できない道理じゃな』 『その辺はランダムで公平に決めるんで、まあ恨みっこなしってことで。敗者復活した奴はそもそもワンチャンを逃さぬよう邁進してほしい』 『詳しい事は既に掲示されているので確認してね! 続いて、個人トトカルチョについて!』 既にユニオンごとのトトカルチョは行われているが、決勝リーグではさらに具体的な優勝者を予想する個人トトカルチョが追加される。 追加販売されるベースチケットを個人ごとのトトカルチョチケットに交換する事で、優勝者予想に参加する事ができるのだ。 『トトカルチョなので、もちろんオッズもばらばらです! これは特に関係のない話ですが、現在ショップにて換金アイテムがいつもの二倍買えるキャンペーンを実施中です!!』 |
![]() ナディア・ドラゴネッティ ![]() スメラギ ![]() 竹村 早苗 |
『苦情きてもわらわたち関係ないからのー』
『いやこういうのはちゃんと言わないと意味ないじゃないですか! これそもそも集金イベントですよ!?』
『ノーコメントノーコメント。さてせっかくじゃし、わらわ達も予想とかしてみるかの?』
『んー、そうだなあ……まあ予想なんか結果見るまでわからんし、実力も大体拮抗していると思うが……俺様としてはやはり東方勢に期待したいな。金鹿、七葵、里見茜。あとは紅薔薇と万歳丸ってとこか。つーか、東方多くね?』
『ミドルリーグならどうじゃ?』
『んー……強いて言うならヴィルマかな? 予選でも見た魔法の威力を考えるとな。見た目ならバリトン。お前は?』
『わらわはアルフレート・ウォーダン、マッシュ・アクラシス、エアルドフリス』
『おっ前完全に見た目の好みで選んだろ!?』
『スラっとして大人っぽいイケメンがいいに決まっとるじゃろ! 組み合わせにもよるが年齢は全体的にもう少し上がいいです。ギリでエアルドフリスな。ちなみに名前で一番好きなのはウナパイ先輩じゃぞ』
『はいはーい。二人の予想はともかくとして、みんなもぜひぜひ、トトカルチョに参加してみてね!』
武闘大会イベント【闘祭】、決勝リーグは7月21日より開戦!
『みんな、最後まで武闘大会をお楽しみに! それじゃあまた三日後まで、バイバーイ!』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)