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【羽冠】ヘザー怒りの鉄拳 イスルダ血闘録

マスター:坂上テンゼン

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 3~5人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/04/23 15:00
リプレイ完成予定
2018/05/02 15:00

オープニング

●我が心よ狂え嵐のごとく
 王国歴1018年春――
 ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061)は、イスルダ島へと向かう船の上にいた。
 今彼女の心は混沌としていた。他でもないシスティーナ王女の結婚問題が原因だ。

 王女が自分ではない誰かと結ばれる……
 それは決して許容できない。
 と言いたい所だが、自分が王女と結婚できるわけがない。さすがにそれはわかっている。
 現実の相手はマーロウ大公の孫。現実的ではある。そればかりか、この国の問題点である、王家と貴族の対立が結婚により解消するという利点さえある。
 国と民を愛する王女殿下ならば、『ただそれだけの理由で』結婚を承諾しかねない。
 ――愛が無くとも!
 ヘザーは煩悶した。
 怒りをマーロウにぶつけたい。
 だが、争いの原因となってしまう王女殿下の気持ちを考えると、そんなことはできない。
 だから何も……できはしない!

 しかし、考えることを止められない。何かをして疲労しなければ夜も眠れない。だから仕事に打ち込もうとした。
 イスルダ島へ行き、闘争心に身をゆだねたかった。無論、仕事である。何のとがめもない。

●理想の王国
 イスルダ島について一日目。ヘザーとその一団は歪虚を思い切り灰燼に変えて、野営地に戻った。
 今回は島に野営して複数日かけて掃討を行うことになっている。
 ヘザーと、同時に仕事を請け負ったハンターの他にも多くのハンターが参加している。
 そんなハンター達が集まる場所があった。
 野営地を広くとり、物資や食糧を広げている一団がいる。消耗品を支給したり、美味な食事を提供している。しかも無償で。
 その野営地の主と思しき人物はこう語った。
「歪虚と戦うハンターは皆仲間です。ですから皆で分け合いたいのです」
 旨い話ではあるが、理に叶ってはいる。
 利用しない手はない。
 ヘザーもまたそこに立ち寄った。
 簡易でありながらテーブルと椅子が野営地の外に用意されている。
 殺風景なイスルダ島にしては、海を見渡せる位置取りで風景もそう悪くはない。

「本日のメニューはオックステールシチューとライスでございます」
 何とメイド服の給仕が供してくれた。

 濃厚な風味と舌触りのシチュー。五臓六腑が温まった。
 味、雰囲気、売り物になるくらいの質である。
 ヘザーは落ち着いて食事ができた。

「お仕事お疲れ様です」
 帰ろうとしたころ、野営地の主と思しき人物が声をかけてきた。若く端正な、身なりの良い男だった。
「ああ……世話になったな。
 ご飯、美味しかった。ありがとう」
「食事一つでも士気に関わります。
 誰も、不味い食事のために命を懸けたくはありませんからね」
「それにしても、食事も補給物資もここまでの物が用意できるとは……」
「私一人が用意したものではありません。
 マーロウ大公様より賜った財で用意させていただきました」

 その名を聞いたとたん、ヘザーは固まった。

「マーロウ様は歪虚のいない理想の世界を作るために全力を尽くしておられます。
 そのために犠牲もあるでしょうが、理想のためには仕方のないこと。
 歪虚が居る世界では、真の意味で、人は豊かになれません。
 歪虚を滅ぼし、我々の世界の主導権を取り戻してはじめて、人は幸福を目指せるのです」

 男が語ったが、ヘザーはまったく聞いていなかった。

●マーロウ大公絶対殺すウーマン
(マーロウ……だと……!)
 ヘザーは激怒した。
 しかし、目の前にいる人間のしていること自体は善行であるし、直接世話にもなったし、なによりマーロウ本人ではない。

「…………そうだな。君、名前は?」
 ヘザーは何とかこれだけの言葉を口にした。

「レーヴィ・フォンヴェイユ侯爵の息子レーニエと申します」
 レーニエは恭しく礼をした。

「私は、ヘザー・スクロヴェーニ」
(ウェルズ・クリストフ・マーロウを殺す女だ)
 何とか後半は押さえた。

「君もハンターなのか」
「いえ。私は覚醒者ではありません。しかし仲間の力を借りて歪虚と戦っています」
「そうか。では君も戦いに?」
「ええ。明日早朝から」
「そうか……」

「では、これで」
 ヘザーは湧き上がる怒りを押し殺したまま、去った。



「ずいぶん低い声で喋る人だな……?」
 不自然さは歴然としていたが。

 ヘザーが去った後、そこに訪ねるものがあった。
「すみません!」
「何でしょう?」
 レーニエは柔和に応える。
「私、ヘルメス情報局の者ですが……」



●翌日
「歪虚の島ももう終わりだな。ベリアル、あんたの時代は良かった――」
 ここは港町跡。地面に寝転がって昔に思いを馳せるコウモリ型歪虚がいた。
「おっと! 誰か来やがったか!」
 コウモリはとっさに立ち上がり、飛び去った。
「このパダギエも焼きが回ったもんよ……」



 葦毛の馬に跨がった壮麗な一団が姿を現した。
「準備は良いか?」
 中央で指揮を執るのは、レーニエ・フォンヴェイユ。
「白馬隊(シュヴァル・ブラン)――」
 従うのはレーニエの私兵、シュヴァル・ブランである。
「今日はヘルメス情報局の記者が同行している。恥ずかしいところは見せられないぞ」
「はっ。問題ございません」
 傍らで、凛とした声がヘルムの奥で応えた。
「しかし、本当に護衛はしなくてよろしいので?」
「何、構いません。戦いを手伝いもしませんが」
 ヘルメス情報局の者だという男は応えた。覚醒者であるという。
「しかし、あなた方は我々に批判的だと思っていたが……」
「情報局は真実を提供するのみ。誰の味方でもありませんよ。マーロウ派の貴族がどんなものか……それを見定めに来たんです」
「解りました」

「そこにいるのはもしやレーニエ君! 奇遇だな!」
 そこにやたら元気な声が割り込んできた。
「あなたは……昨日の……」
「ヘザー・スクロヴェーニだ」
 ヘザーとその一団だった。ヘザーは大股でレーニエの前まで歩いてくる。
「あなた方も歪虚退治に?」
「そうとも。ここで遭ったのも何かの怨恨もとい縁。ひとつどちらが多くの歪虚を倒せるか競争といかないか」
「競争? 我々と……あなた方で?」
「そうだ。競争は多くの成果を出す」
「確かに、一理ありますが……誰が数えるのです?」
「それは自己申告で……」
「そういうことなら私に」
 ヘルメス情報局の男が提案してきた。
「私の相棒のパルムに数えさせましょう。歪虚が1人倒れるごとに音を鳴らさせます。私がそれを数える」
「あなたは?」
「ヘルメス情報局の者です。こんな面白い事見逃せませんからな」
「私達の事も書いてくれるのか?」
「面白い記事になりそうであれば」
「いいな! よろしく頼む」

 レーニエはそれを承諾した。
「では決まりだな。
 開始は三分後でいいか?」
「一分後で結構」
「ならそのように」
 そしてヘザーは時計を確認すると、大股で去っていった。



「――絶対に負かす。
 屈辱にまみれろ、マーロウ派」
 自陣に戻ったヘザーはレーニエに聞こえないようにそう言うのだった。

解説

●目的
イスルダ島港町跡周辺の歪虚を退治せ「レーニエ達より多く倒せ!」
(ヘザーが割り込んだ)

●敵
この周辺には大して強い歪虚はいない。
数はまばらで、散らばっている。
種類は多く、歩くもの、地を這うもの、飛行するもの、殴りかかるもの、遠距離攻撃をするもの、パダギエ等、様々である。
行動パターンも色々だ。

●競争相手
レーニエ・フォンヴェイユ
非覚醒者。王国西部の貴族の子で、私兵団シュヴァル・ブランを率いて歪虚と戦っている。

私兵団シュヴァル・ブラン メンバー
今回は闘狩人、猟撃士、魔術師、機導師、符術師の五人編成。
全員葦毛の馬に騎乗しており機動力は高い。

●味方
ヘザー・スクロヴェーニ
クラスは復讐者もとい疾影士。

●流れ
エリアを一つ一つ制圧していく形で歪虚を倒していく。PC達とレーニエ達は同じエリアで戦う。これは公正な競争のため、お互い視界の届く範囲にするため。

●地形
街の跡だけあって廃墟や半壊・全壊した建物がある。

●その他
ヘルメス情報局の記者が同行するが、『隠の徒』を使って隠れているのみで攻撃目標にはならない。

戦闘後、マーロウ派の貴族と話ができる機会を得る。もちろん話さなくてもよい。
尚、典型的なマーロウ派の貴族かと言うと、少し違うかもしれない……
正確には『貴族の子』だし。

マスターより

ああ……私は、殺すのだ。
今日、マーロウを、この手で!

ヘザーだ! この場所は私が乗っ取った!
ちなみにさっきのは言ってみただけだ!

王国西部で英雄視するものもいるレーニエ・フォンヴェイユ。ベリアルやメフィストを倒したハンター達が全国規模のヒーローならレーニエはご当地ヒーローのようなものだな。

なんでもいいがマーロウ派の貴族などに善い顔はさせぬ!
飯はうまかったけれど!

力を貸して欲しい!

具体的には、効率を追い求め、それを説得力のある言葉でプレイングにしてくれればいい。

一応負けても失敗にはならないが……負けてもいいなんて思うなよ?

どっちが主役かわからない?
諦めろ。君達と私は一蓮托生だ。

関連NPC


  • ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061
    人間(クリムゾンウェスト)|26才|女性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/04/30 14:43

参加者一覧

  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • コル・レオニス
    ミコト=S=レグルス(ka3953
    人間(蒼)|16才|女性|霊闘士
  • 最強守護者の妹
    コントラルト(ka4753
    人間(紅)|21才|女性|機導師
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
  • 風と踊る娘
    通りすがりのSさん(ka6276
    エルフ|18才|女性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/04/20 18:09:26
アイコン 質問卓
通りすがりのSさん(ka6276
エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
アイコン 相談卓
通りすがりのSさん(ka6276
エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2018/04/23 10:54:26