ゲスト
(ka0000)
【羽冠】思い出の高原
マスター:京乃ゆらさ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- プレイング締切
- 2018/04/22 22:00
- リプレイ完成予定
- 2018/05/06 22:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
ライブラリにアクセスし、過去を体験する。
神霊樹の分樹をそのように使うようになったのは【血盟】作戦の頃、星の意志との対話を試みるためだった。その試みは成功して、紆余曲折を経てなんとグラズヘイム王国にも四大精霊の一柱が降臨することになった。……少々個性的な筋肉精霊だったけれども。
ともあれその頃から、システィーナ・グラハム(kz0020)も考えてはいたのだ。
その仕組みを使えばお父様に会えるのではないか、と……。
●思い出の高原
「システィーナ様、一つ確認させていただいてよろしいでしょうか?」
侍従長のマルグリッド・オクレールが、どんな顔をすればいいのか分からないような複雑な表情で訊いてくる。
システィーナが首肯すると、オクレールは逡巡するように一度視線を外した後でキッと眦を吊り上げ、
「……先王陛下とお会いになりたいと思われたのは、逃避ではございませんか?」
侍従隊の部下と『遊ぶ』時のような声色からは、彼女があえて厳しく指摘してくれていることが分かる。
システィーナは刺すような視線で冷淡に問われ、それでも小波すら立たなかった自分の心に安堵した。逃避したいわけではない。ゴチャゴチャとしたことを話して、自分の中で整理したかった。助言をもらえると嬉しいけれど、もらえなくても別によかった。
ただ聴いてもらって、欲を言えば一度だけ抱擁してほしかったなとか、そんなことも思わなくもなかったけれどそれは逃避ではない。断じてない。
ゆっくりと横に首を振り、微笑みを浮かべる。
「いいえ。これは未来に進むために必要なことです。国を治める上で大司教さまに助言をいただくことと変わりません」
「――然様でございますか」オクレールが視線を緩め、「それならば分樹へのアクセスに慣れたハンターの方々へ依頼を出しましょう。過去へ向かう際は私が案内することとなりますが、希望はございますか?」
「そうですね……」
言われてシスティーナは思い返してみる。
どうせ過去を体験してもらうなら楽しい方がいい。王城内は機密保持のためにパルムが遠慮してくれている所が多いし、かといって王の公務に同行しても堅苦しいだけだ。
――公的ではないお父様の旅行……っ、それなら!
「ではヒカヤ高原はどうでしょう? パルムがいた覚えがないので行けるか分からないのですけれど、十五年ほど前にお父様と一緒に行ったでしょう? オクレールさんもわたくしの侍女として同行しましたよね?」
「はい、よく覚えております。では十五年前の春、ヒカヤ高原でございますね。……あちらにはいと幼き時分のシスティーナ様もおられますので、お姿を見られることになりますが?」
「え、えぇ……問題ありません」
答えつつも、頬に朱が差すのが自分でも分かった。
五歳の自分がどんな恰好をしていたのか、周囲の人にどう接していたのかなどまるで覚えていない。もし淑女にあるまじき醜態を晒していたりなんかしたら――――っ!
――いえ、信じるんです。かつてのわたくしをっ!
こほんと咳払いしてもう一度大丈夫だと言う。
「お、お父様には王としての心のありようを訊きたいですねっ。国をどう治めようとしていたのか、貴族との関係はどうしていたのか……」
「かしこまりました。詳しくはハンターの方々にお任せしましょう」
「く、くれぐれも当時のわたくしに構わないようにしてくださいねっ。オクレールさんもです」
システィーナが念を押すと、オクレールはにっこりと微笑んで返した。
「では私はハンターオフィスに依頼してまいります」
…………。
いかにも了承したような顔でやり過ごし明言を避けるのは、貴族の常套手段である。呼び止める間もなく退室したオクレールに、システィーナは声にならぬ悲鳴を上げた。
●時を超えた伝言
微風に乗って届くのは、草木の薫りと小川のせせらぎだった。
頭上には青空が高く広がり、白雲がゆっくりと流れている。ハンターたちは周囲を見回して危険がないことを確認すると、案内人であったマルグリッド・オクレールの姿を探した。
春めいた穏やかな陽光が降り注ぐ野原は長閑そのもので、仮にこれが目的地でなくとも休暇として考えれば悪くないという気分になる。やや離れた前方にオクレールらしき後ろ姿が見え、ハンターはここが目的地で間違いないかを尋ねた。
「間違いありません。ここはヒカヤ高原で、あちらにおわすのが先王陛下とおひいさまでございます」
示された方を見やれば、そこには手を繋いで高原を散歩する親子の姿があった。幼いシスティーナの金髪やドレスが風に靡き、わたわたと片手で交互に押さえようとしている仕草は何とも滑稽、もとい可愛らしい。
先王がこちらに気付き、手を挙げて声をかけてくる。
「護衛も結構だが、諸君もたまには休みたまえ。これほど視界が開けておるのだ、危険もそうあるまい」
どうやら近衛騎士団の団員か何かだと思われているようだ。限られた時間で一から関係を構築するよりずっとやりやすい。
ハンターたちはそれぞれの反応を返しつつ、先王アレクシウスと幼いシスティーナを観察する。
先王の方はのちに凄絶な最期を遂げ歪虚となり果てたとは思えないほど朗らかな雰囲気を見せているが、その双眸や歩く姿勢からはどこか鋭さを感じさせる。少女の方は父の真似でもしているのか「いつもごくろうさまぁ」とふわふわ笑っていた。
――さて、どうするか。
オクレールによると指定された質問に限らず様々な話を持ち帰りたいようだ。そのためにどう話を振るか。休めと言われているからには仕事のような問答でなく、己の話や雑談をした方が話を引き出せそうな気はする。
「おとうさまぁ、おちゃのきをみましょう。わたくし、おちゃがすきなのです」
「ふうむ、ティナは紅茶が好きか……」
娘に引っ張られて先王が茶畑に向かう。
ハンターたちは高原の穏やかな風に身を委ねながら、二人の背を見つめた……。
ライブラリにアクセスし、過去を体験する。
神霊樹の分樹をそのように使うようになったのは【血盟】作戦の頃、星の意志との対話を試みるためだった。その試みは成功して、紆余曲折を経てなんとグラズヘイム王国にも四大精霊の一柱が降臨することになった。……少々個性的な筋肉精霊だったけれども。
ともあれその頃から、システィーナ・グラハム(kz0020)も考えてはいたのだ。
その仕組みを使えばお父様に会えるのではないか、と……。
●思い出の高原
「システィーナ様、一つ確認させていただいてよろしいでしょうか?」
侍従長のマルグリッド・オクレールが、どんな顔をすればいいのか分からないような複雑な表情で訊いてくる。
システィーナが首肯すると、オクレールは逡巡するように一度視線を外した後でキッと眦を吊り上げ、
「……先王陛下とお会いになりたいと思われたのは、逃避ではございませんか?」
侍従隊の部下と『遊ぶ』時のような声色からは、彼女があえて厳しく指摘してくれていることが分かる。
システィーナは刺すような視線で冷淡に問われ、それでも小波すら立たなかった自分の心に安堵した。逃避したいわけではない。ゴチャゴチャとしたことを話して、自分の中で整理したかった。助言をもらえると嬉しいけれど、もらえなくても別によかった。
ただ聴いてもらって、欲を言えば一度だけ抱擁してほしかったなとか、そんなことも思わなくもなかったけれどそれは逃避ではない。断じてない。
ゆっくりと横に首を振り、微笑みを浮かべる。
「いいえ。これは未来に進むために必要なことです。国を治める上で大司教さまに助言をいただくことと変わりません」
「――然様でございますか」オクレールが視線を緩め、「それならば分樹へのアクセスに慣れたハンターの方々へ依頼を出しましょう。過去へ向かう際は私が案内することとなりますが、希望はございますか?」
「そうですね……」
言われてシスティーナは思い返してみる。
どうせ過去を体験してもらうなら楽しい方がいい。王城内は機密保持のためにパルムが遠慮してくれている所が多いし、かといって王の公務に同行しても堅苦しいだけだ。
――公的ではないお父様の旅行……っ、それなら!
「ではヒカヤ高原はどうでしょう? パルムがいた覚えがないので行けるか分からないのですけれど、十五年ほど前にお父様と一緒に行ったでしょう? オクレールさんもわたくしの侍女として同行しましたよね?」
「はい、よく覚えております。では十五年前の春、ヒカヤ高原でございますね。……あちらにはいと幼き時分のシスティーナ様もおられますので、お姿を見られることになりますが?」
「え、えぇ……問題ありません」
答えつつも、頬に朱が差すのが自分でも分かった。
五歳の自分がどんな恰好をしていたのか、周囲の人にどう接していたのかなどまるで覚えていない。もし淑女にあるまじき醜態を晒していたりなんかしたら――――っ!
――いえ、信じるんです。かつてのわたくしをっ!
こほんと咳払いしてもう一度大丈夫だと言う。
「お、お父様には王としての心のありようを訊きたいですねっ。国をどう治めようとしていたのか、貴族との関係はどうしていたのか……」
「かしこまりました。詳しくはハンターの方々にお任せしましょう」
「く、くれぐれも当時のわたくしに構わないようにしてくださいねっ。オクレールさんもです」
システィーナが念を押すと、オクレールはにっこりと微笑んで返した。
「では私はハンターオフィスに依頼してまいります」
…………。
いかにも了承したような顔でやり過ごし明言を避けるのは、貴族の常套手段である。呼び止める間もなく退室したオクレールに、システィーナは声にならぬ悲鳴を上げた。
●時を超えた伝言
微風に乗って届くのは、草木の薫りと小川のせせらぎだった。
頭上には青空が高く広がり、白雲がゆっくりと流れている。ハンターたちは周囲を見回して危険がないことを確認すると、案内人であったマルグリッド・オクレールの姿を探した。
春めいた穏やかな陽光が降り注ぐ野原は長閑そのもので、仮にこれが目的地でなくとも休暇として考えれば悪くないという気分になる。やや離れた前方にオクレールらしき後ろ姿が見え、ハンターはここが目的地で間違いないかを尋ねた。
「間違いありません。ここはヒカヤ高原で、あちらにおわすのが先王陛下とおひいさまでございます」
示された方を見やれば、そこには手を繋いで高原を散歩する親子の姿があった。幼いシスティーナの金髪やドレスが風に靡き、わたわたと片手で交互に押さえようとしている仕草は何とも滑稽、もとい可愛らしい。
先王がこちらに気付き、手を挙げて声をかけてくる。
「護衛も結構だが、諸君もたまには休みたまえ。これほど視界が開けておるのだ、危険もそうあるまい」
どうやら近衛騎士団の団員か何かだと思われているようだ。限られた時間で一から関係を構築するよりずっとやりやすい。
ハンターたちはそれぞれの反応を返しつつ、先王アレクシウスと幼いシスティーナを観察する。
先王の方はのちに凄絶な最期を遂げ歪虚となり果てたとは思えないほど朗らかな雰囲気を見せているが、その双眸や歩く姿勢からはどこか鋭さを感じさせる。少女の方は父の真似でもしているのか「いつもごくろうさまぁ」とふわふわ笑っていた。
――さて、どうするか。
オクレールによると指定された質問に限らず様々な話を持ち帰りたいようだ。そのためにどう話を振るか。休めと言われているからには仕事のような問答でなく、己の話や雑談をした方が話を引き出せそうな気はする。
「おとうさまぁ、おちゃのきをみましょう。わたくし、おちゃがすきなのです」
「ふうむ、ティナは紅茶が好きか……」
娘に引っ張られて先王が茶畑に向かう。
ハンターたちは高原の穏やかな風に身を委ねながら、二人の背を見つめた……。
解説
▼目的
先王と話をする。
▼状況
場所は十五年前のヒカヤ高原。
高原には父娘と側仕えと護衛のみの少人数で訪れており、プライベートの家族旅行中の話になる。
PCは基本的に近衛騎士として認識されているが、別の立場でも状況によっては可能。
当時システィーナは五歳。先王アレクシウスは壮年に差し掛かり円熟味を増しつつある時期だった。また当時のオクレールさんは花も恥じらう十代乙女である(重要)。
国内では歪虚の損害はそれなりにあるが、イスルダ島は奪われておらず、リベルタース地方も安定していた。
王国騎士団等の王国戦力も上級騎士を大勢失う以前で、騎士団による巡回で広範囲の治安をそれなりに維持できている。
貴族たちは大きくまとまるほどではなく、マーロウ家当主ラスヴェート・コヴヘイル・マーロウは王家に協力的であった。
▼人物
アレクシウス・グラハム
先王。システィーナを溺愛している。公務中はともかく、私的な時は煩く言わない良識派。
システィーナ・グラハム
王女。五歳。この時点で既に紅茶大好きっ子。お勉強は始めたばかり。
マルグリッド・オクレール(十代)
王女付きの侍女。王女大好きっ子。新米覚醒者。
マルグリッド・オクレール(現在)
侍従長。●●歳。侍従隊の部下を『可愛がる』ベテラン覚醒者。
その他
近衛騎士、侍女、高原の管理人等。
▼補足情報
依頼成功度は報告を聞いたシスティーナ(現在)の満足度による。どんな話をしたか、現在の為になる話か、楽しめたか等の複合的要素から満足度は上下する。
聞き出した話によって今後の行動が変化する可能性がある。
直接的に話をするだけでなく、過去のヒカヤ高原を楽しむことが重要かと思われる。
先王と話をする。
▼状況
場所は十五年前のヒカヤ高原。
高原には父娘と側仕えと護衛のみの少人数で訪れており、プライベートの家族旅行中の話になる。
PCは基本的に近衛騎士として認識されているが、別の立場でも状況によっては可能。
当時システィーナは五歳。先王アレクシウスは壮年に差し掛かり円熟味を増しつつある時期だった。また当時のオクレールさんは花も恥じらう十代乙女である(重要)。
国内では歪虚の損害はそれなりにあるが、イスルダ島は奪われておらず、リベルタース地方も安定していた。
王国騎士団等の王国戦力も上級騎士を大勢失う以前で、騎士団による巡回で広範囲の治安をそれなりに維持できている。
貴族たちは大きくまとまるほどではなく、マーロウ家当主ラスヴェート・コヴヘイル・マーロウは王家に協力的であった。
▼人物
アレクシウス・グラハム
先王。システィーナを溺愛している。公務中はともかく、私的な時は煩く言わない良識派。
システィーナ・グラハム
王女。五歳。この時点で既に紅茶大好きっ子。お勉強は始めたばかり。
マルグリッド・オクレール(十代)
王女付きの侍女。王女大好きっ子。新米覚醒者。
マルグリッド・オクレール(現在)
侍従長。●●歳。侍従隊の部下を『可愛がる』ベテラン覚醒者。
その他
近衛騎士、侍女、高原の管理人等。
▼補足情報
依頼成功度は報告を聞いたシスティーナ(現在)の満足度による。どんな話をしたか、現在の為になる話か、楽しめたか等の複合的要素から満足度は上下する。
聞き出した話によって今後の行動が変化する可能性がある。
直接的に話をするだけでなく、過去のヒカヤ高原を楽しむことが重要かと思われる。
マスターより
どうもです。京乃です。
簡単に言うと、幼いシスティーナを愛でつつなんかのんびりする依頼です。
構わないでと主張してますが、そんなのはアレです、フリってやつですよね!
全力で幼女と遊んであげればいいと思います。ついでに先王と何か話したり、自分のことを話したり、色々してみると楽しい気がします。
簡単に言うと、幼いシスティーナを愛でつつなんかのんびりする依頼です。
構わないでと主張してますが、そんなのはアレです、フリってやつですよね!
全力で幼女と遊んであげればいいと思います。ついでに先王と何か話したり、自分のことを話したり、色々してみると楽しい気がします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/05/11 09:56