ゲスト
(ka0000)
春来ぬと
マスター:鮎川 渓

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/05/25 12:00
- リプレイ完成予定
- 2018/06/08 12:00
オープニング
●凍て解け
西方より遥か北。
龍園ヴリトラルカにも、ようやく春が訪れようとしていた。
日中には氷原の表面がうっすら溶け、日差しを浴び鏡面のようにきらきら輝く。
それを受け、石造りの神殿都市は一層厳かに、美しく照るのだった。
大戦斧を鋸に持ち替えたダルマ(kz0251)が、
「おーっし、じゃあ初めっかァ」
野太い声で号令をかけると、工具や藁を抱えた少年龍騎士達は「おーっ!」と元気な声をあげた。
今日は『龍舎』の手入れ日。
龍騎士隊には飛龍という相棒が欠かせない。
飛龍達が身体を休めたり、傷や爪の手入れをしたりする場所が龍舎だ。管理は当然龍騎士隊が行う。
古くなった敷き藁を、温かな陽に干したものへ取り換えたり、傷んだ木柵を直したり。
雑用と言うなかれ、これも龍騎士のれっきとした仕事だ。
「いってきまーす!」
少女龍騎士リブが手を振る。少女龍騎士達は、木材を補充するため南の森へ。少年龍騎士達は、ダルマと共に修繕にあたる。
「あいつらだけで大丈夫っすかねぇ」
双子の少年龍騎士が揃って首を捻るが、
「なァに、随分逞しくなってきたからなァ。大丈夫だろう」
ダルマはにっかり笑って太鼓判を押す。けれど双子達はむしろダルマの方をこそ案じていた。
先達て隊長のシャンカラ(kz0226)はじめ、ダルマや数人の龍騎士達は、『追放龍騎士』と呼ばれる元龍騎士達と交戦した。だが手練れ揃いだったにもかかわらず敗れ、射手以外全員重体という大敗を喫したのだった。
「ダルマさんはもう平気なんすか?」
「おうよ。だが労わってくれて構わねぇんだぜェ? 俺の分まで働いてくれても」
ダルマはにっかり笑うと、鋸を双子の兄へ押し付けた。
「うっわヤブヘビ……」
双子は顔を見合わせ首を縮める。
けれど双子や少年達の顔には、不安がこびりついていた。
当然と言えば当然だ。彼らの上司であり先輩、そして目標でもある龍騎士隊の精鋭達が打ち負かされたのだから。彼らを下した追放龍騎士達は、自分達を龍園から追い出した龍騎士隊を酷く恨んでいるという。その上、この広い北の大地のどこに潜伏しているかもわからない。
「…………」
不安を振り払うように、少年達は作業に取りかかった。
●春来ぬと
その頃、シャンカラは独り、龍園の外れを歩いていた。
目的もなく、ただ歩を進めるために歩いていると、塞がったはずの胸の傷がじくじくと熱を持つ。追放龍騎士達の頭目・アルフォンソに穿たれたものだ。
そこを手の平で押さえ、口惜しさに奥歯を噛む。
敵わなかった。
届かなかった。
守れなかった。
先代の龍騎士隊隊長は、アルフォンソ一派の過激な思想を危険視し、武力衝突を制して一派を追放せしめたというのに。
当代の隊長である自分は、退けることすら叶わなかった現実。協力してくれたハンター達にも、大きな怪我を負わせてしまった。
「……こんな事じゃ……」
不甲斐なさに打ちひしがれていると、追い打ちをかけるよう、失敗した記憶ばかりが蘇ってくる。
異界探索時、異界の騎士達に囚われ、同行したハンターに迷惑をかけてしまった事。
自らのわがままから、危険な賭けに周囲を巻き込んでしまった事。
そして討伐時には感情に任せて暴走し、足並みを乱したばかりか、友人を斬りつけてしまった事。
かの異界の龍王を救えなかった事――
「……しっかりしないと……もっと強くならないと、」
「あっ、たいちょうさんだー!」
その時、まだ5つ6つの子供達が、そばの灌木の間から飛び出して来た。急いで眉間の皺を解きあいさつすると、
「ねーねー、さっきね、コケモモの花みつけたのー!」
子供達は興奮しきりで言う。
「コケモモの花? 早いね、もう咲いたんだ」
「うん、ひとつだけー」
「そっかぁ。コケモモの木が、その年に一番最初につけた花を見つけると、幸運が訪れるんだって。良かったね」
「こううんー?」
「えっと、幸せになるって事かな」
「そっかー! たいちょうさんも見つけられるといいねー!」
そう言うと、子供達は転がるように駆けて行った。その後ろ姿を見送り、再び静寂が訪れると、シャンカラは小さく息を吐いた。
「……春、かぁ」
実感に乏しい呟きを、一陣の春疾風が吹き散らした。
西方より遥か北。
龍園ヴリトラルカにも、ようやく春が訪れようとしていた。
日中には氷原の表面がうっすら溶け、日差しを浴び鏡面のようにきらきら輝く。
それを受け、石造りの神殿都市は一層厳かに、美しく照るのだった。
大戦斧を鋸に持ち替えたダルマ(kz0251)が、
「おーっし、じゃあ初めっかァ」
野太い声で号令をかけると、工具や藁を抱えた少年龍騎士達は「おーっ!」と元気な声をあげた。
今日は『龍舎』の手入れ日。
龍騎士隊には飛龍という相棒が欠かせない。
飛龍達が身体を休めたり、傷や爪の手入れをしたりする場所が龍舎だ。管理は当然龍騎士隊が行う。
古くなった敷き藁を、温かな陽に干したものへ取り換えたり、傷んだ木柵を直したり。
雑用と言うなかれ、これも龍騎士のれっきとした仕事だ。
「いってきまーす!」
少女龍騎士リブが手を振る。少女龍騎士達は、木材を補充するため南の森へ。少年龍騎士達は、ダルマと共に修繕にあたる。
「あいつらだけで大丈夫っすかねぇ」
双子の少年龍騎士が揃って首を捻るが、
「なァに、随分逞しくなってきたからなァ。大丈夫だろう」
ダルマはにっかり笑って太鼓判を押す。けれど双子達はむしろダルマの方をこそ案じていた。
先達て隊長のシャンカラ(kz0226)はじめ、ダルマや数人の龍騎士達は、『追放龍騎士』と呼ばれる元龍騎士達と交戦した。だが手練れ揃いだったにもかかわらず敗れ、射手以外全員重体という大敗を喫したのだった。
「ダルマさんはもう平気なんすか?」
「おうよ。だが労わってくれて構わねぇんだぜェ? 俺の分まで働いてくれても」
ダルマはにっかり笑うと、鋸を双子の兄へ押し付けた。
「うっわヤブヘビ……」
双子は顔を見合わせ首を縮める。
けれど双子や少年達の顔には、不安がこびりついていた。
当然と言えば当然だ。彼らの上司であり先輩、そして目標でもある龍騎士隊の精鋭達が打ち負かされたのだから。彼らを下した追放龍騎士達は、自分達を龍園から追い出した龍騎士隊を酷く恨んでいるという。その上、この広い北の大地のどこに潜伏しているかもわからない。
「…………」
不安を振り払うように、少年達は作業に取りかかった。
●春来ぬと
その頃、シャンカラは独り、龍園の外れを歩いていた。
目的もなく、ただ歩を進めるために歩いていると、塞がったはずの胸の傷がじくじくと熱を持つ。追放龍騎士達の頭目・アルフォンソに穿たれたものだ。
そこを手の平で押さえ、口惜しさに奥歯を噛む。
敵わなかった。
届かなかった。
守れなかった。
先代の龍騎士隊隊長は、アルフォンソ一派の過激な思想を危険視し、武力衝突を制して一派を追放せしめたというのに。
当代の隊長である自分は、退けることすら叶わなかった現実。協力してくれたハンター達にも、大きな怪我を負わせてしまった。
「……こんな事じゃ……」
不甲斐なさに打ちひしがれていると、追い打ちをかけるよう、失敗した記憶ばかりが蘇ってくる。
異界探索時、異界の騎士達に囚われ、同行したハンターに迷惑をかけてしまった事。
自らのわがままから、危険な賭けに周囲を巻き込んでしまった事。
そして討伐時には感情に任せて暴走し、足並みを乱したばかりか、友人を斬りつけてしまった事。
かの異界の龍王を救えなかった事――
「……しっかりしないと……もっと強くならないと、」
「あっ、たいちょうさんだー!」
その時、まだ5つ6つの子供達が、そばの灌木の間から飛び出して来た。急いで眉間の皺を解きあいさつすると、
「ねーねー、さっきね、コケモモの花みつけたのー!」
子供達は興奮しきりで言う。
「コケモモの花? 早いね、もう咲いたんだ」
「うん、ひとつだけー」
「そっかぁ。コケモモの木が、その年に一番最初につけた花を見つけると、幸運が訪れるんだって。良かったね」
「こううんー?」
「えっと、幸せになるって事かな」
「そっかー! たいちょうさんも見つけられるといいねー!」
そう言うと、子供達は転がるように駆けて行った。その後ろ姿を見送り、再び静寂が訪れると、シャンカラは小さく息を吐いた。
「……春、かぁ」
実感に乏しい呟きを、一陣の春疾風が吹き散らした。
解説
■趣旨
龍園から遅い春の便りが届きました。本シナリオは龍園で自由に過ごして頂くフリーシナリオです
【反影】作戦を終え、辺境・北方をまたにかけた【幻兆】作戦もを見ました。ここらで一息いかがでしょうか
【反影】【幻兆】作戦などの出来事を思い返し、記録に残すも良し
龍騎士達もそれぞれの作戦に参加していましたので、語らうもアドバイスするも良し
何でしたらダルマや新米龍騎士達の作業を手伝っていただくも良し
お友達と幸運のコケモモの花を探すも良し、飛龍が思い思いに過ごす広場でのんびりするも良し、デートするも良し
お好きなように過ごしてみてください
■いる人(特に絡み希望がなければリプレイには登場しません)
・シャンカラ
最近失態続きでへこみつつ、龍園の郊外を散策しています
・ダルマ
龍舎の手入れをする少年龍騎士達の監督、という名目で概ねサボっています
・双子はじめ少年龍騎士
ダルマ監督のもと、龍舎の敷き藁を替えたり、木柵の修繕をしたりしています
・リブはじめ少女龍騎士
南の森へ木を伐りに行きます。希望があれば飛龍に同乗し、同行することも可能です
・龍園の民
春支度で忙しくしています
■できないこと
・青龍への謁見
・龍園の人々を集めて大掛かりなイベントをする等
龍園から遅い春の便りが届きました。本シナリオは龍園で自由に過ごして頂くフリーシナリオです
【反影】作戦を終え、辺境・北方をまたにかけた【幻兆】作戦もを見ました。ここらで一息いかがでしょうか
【反影】【幻兆】作戦などの出来事を思い返し、記録に残すも良し
龍騎士達もそれぞれの作戦に参加していましたので、語らうもアドバイスするも良し
何でしたらダルマや新米龍騎士達の作業を手伝っていただくも良し
お友達と幸運のコケモモの花を探すも良し、飛龍が思い思いに過ごす広場でのんびりするも良し、デートするも良し
お好きなように過ごしてみてください
■いる人(特に絡み希望がなければリプレイには登場しません)
・シャンカラ
最近失態続きでへこみつつ、龍園の郊外を散策しています
・ダルマ
龍舎の手入れをする少年龍騎士達の監督、という名目で概ねサボっています
・双子はじめ少年龍騎士
ダルマ監督のもと、龍舎の敷き藁を替えたり、木柵の修繕をしたりしています
・リブはじめ少女龍騎士
南の森へ木を伐りに行きます。希望があれば飛龍に同乗し、同行することも可能です
・龍園の民
春支度で忙しくしています
■できないこと
・青龍への謁見
・龍園の人々を集めて大掛かりなイベントをする等
マスターより
鮎川と申します。グラシナの裏側でひょっこりと日常シナリオです。
蒼界では新たな大事件が勃発しておりますが、大規模な【反影】作戦を終えて紅界はちょっと一段落、
といったところでしょうか。ちょっと一息どうでしょう。
特に何をするでもなく、一連の流れを振り返っていただき、記録として残すのも良いと思います。
勿論、龍騎士達への突撃も歓迎です(彼らに字数は取られてしまいますが)。
あなたが龍騎士達へ伝えた何かが、今後の彼らの動きに影響することもあるでしょう。
デートして見せつけてくれても良いですとも。ええ、良いですとも。
皆様のご参加・プレイング、心よりお待ちしております。
蒼界では新たな大事件が勃発しておりますが、大規模な【反影】作戦を終えて紅界はちょっと一段落、
といったところでしょうか。ちょっと一息どうでしょう。
特に何をするでもなく、一連の流れを振り返っていただき、記録として残すのも良いと思います。
勿論、龍騎士達への突撃も歓迎です(彼らに字数は取られてしまいますが)。
あなたが龍騎士達へ伝えた何かが、今後の彼らの動きに影響することもあるでしょう。
デートして見せつけてくれても良いですとも。ええ、良いですとも。
皆様のご参加・プレイング、心よりお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/18 14:52