ゲスト
(ka0000)
【碧剣】それは平穏なるトロンプ・ルイユ
マスター:ムジカ・トラス

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- 不明
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2018/05/31 22:00
- リプレイ完成予定
- 2018/06/14 22:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
「僕はまだ、人間なのかな」
●
シュリ・エルキンズは投網に絡め取られ、そして今、椅子に縛り付けられている。
どういうわけか、全く身動きが取れない。どれだけ執拗に縛られたのか。それともなにか、コツのようなものがあるのだろうか。手首と、肘、肩、それぞれの関節で複雑に結び目が作られているように感じる。心得を教えてほしいとは思わないが、騎士科の人間としては気になるところだった。
――ほら、いつか、役立つかもしれないし。それにしても、エステルがいたのは驚いたなぁ……あんまり背丈は伸びていないみたいだ。あんなに、たくさん食べているのに――…………。
などと考えたところで、少年は目を伏せた。
ああ。
……異常だ。
はっきりと、そう思う。
抑制されていた心が、浮足立っているのを自覚する。
いや、これまで抑え込まれていたことに初めて思い至った。そうすると、溢れてきている感傷そのものが、シュリの心をずたずたに裂いていく刃となる。
糸の切れた凧のように落ち着きのない思考が、心底、苦い。目につくもの全てに、会話の全てに、心が揺さぶられている。その振幅の大きさに抗うこともなく、常識をわきまえることもできない自分が情けない。
何ヶ月と、会話らしい会話をしていなかった。発語すらも、あるいは。
……けれど。だからといって。
――何を、浮ついているんだ、僕は。
だからといって、赦されるものではない。
「話して」
だから。ハンターの皆の態度は、ありがたかった。
「これまでの間、何をしていたのかを」
●
「――あの日、ロシュに会った日。予定通りに雑魔に遭遇しました。ロシュはあの時と――これまでに歪虚に遭遇した時と同様に、激昂して。それで、確信できたんです。鍵は、ロシュに在ったんだって」
シュリは、訥々と語りだした。
「すぐにロシュを気絶させて、歪虚を処理した後、僕はロシュの身体を探り、これを――」
固定されているため上半身が動かせず、視線だけで腰元の剣――その柄元に沈み込んだ"碧玉"を。
「これを、盗みました。それから、知り合いの鍛冶師のところにいって……その方はこういう剣に心得がある方だったので、すぐに"調整"をしてくれて。それからすぐに、僕は王都を出て、あの村に行きました」
"あの日"、雪の中に沈み、滅んだ村のことだろう。
「……以前、言いましたよね。僕は、あの日村にいた人たちの中に、生きている人たちがいると考えていました。だから、徹底的に探そうと思って山に入ったんです。あれだけの歪虚が隠れて移動するには、山脈や森林を経るしかない。騎士団の捜索が完璧に達成できるている保証は……あの日の歪虚たちの動きを思えば、保証できなかったから」
けれど、と。一つ言葉をおいて、続ける。
「……痕跡は、何も見つかりませんでした。あの雪が、全てを覆い隠してしまっていた。騎士の皆さんが言う通りに……でも、僕は」
何かを言いかけて、言葉を止める。そして。
「……この剣は。見つけました。歪虚の気配を。あの日見た獣達の一団でした。数は十五。近づくと、その他の地域まで散開していることが分かって。ひとつひとつ、襲撃して潰していきました。見失ったら探して、見つけたら斬って。探して……そのうち、足が遅い歪虚の相手が増えてきました」
「熊型、とかですね」
先刻襲撃してきた歪虚の中から取り上げての言葉に、シュリは首を振った。
「熊、だけじゃなくて。複数の歪虚が混じって、結果として足が遅くなった歪虚もいました。翼を喪った飛竜も。あとは……」
言葉が、途切れる。
「人の姿をした、歪虚も」
●
「次第に歪虚の集団と遭遇することは少なくなりましたが、散財する歪虚を追い掛けながらたどり着いたのが……」
「この村、だった」
「はい」
エステルの言葉に、頷くシュリ。そうして、シュリは周囲の面々を見回した。
「皆さんはどうやって――」
「内緒」
「……はい」
機先を制するようなエステルの言葉に、バツが悪い顔でシュリは応じた。教えたら、逃げられたときに対策されるかもしれない……といったところだろうと思い、深入りはしない。
そこに、少女の問いが挟み込まれた。
「歪虚側から、積極的に襲撃されたことは?」
「ありません。僕は常に追う側で……たまに強力な個体と遭遇することはありましたが、それだけでした」
「……ふむ。ならば」
少女にとって、疑問を疑問のまま口にするのは憚られた。しかし、それは意味ある問いのように思え、問う。
「私達は、イレギュラーだったはずだ。そのうえで、此処を襲撃した歪虚の狙いはなんだったのだろう?」
「……僕は、蒐集かな、と思っていたんですが」
わずかの逡巡の後、シュリは言った。
「蒐集?」
「その……"人"の、です。あの時、生きた人を集めようとしていた歪虚なら、村を襲う目的はそこだったんじゃないか、と。多量の人を攫っても、痕跡は雪が覆い隠してくれる今なら……」
「……ふむ」
しばし、逡巡する。結論は出ない、が。それはさておき。
「……そろそろ、食事の時間」
エステルが、扉の外を眺めてこう言った。言葉に紛れて、腹の小虫が啼いた事実には、誰も触れなかった。
●
「僕はまだ、人間なのかな」
●
シュリ・エルキンズは投網に絡め取られ、そして今、椅子に縛り付けられている。
どういうわけか、全く身動きが取れない。どれだけ執拗に縛られたのか。それともなにか、コツのようなものがあるのだろうか。手首と、肘、肩、それぞれの関節で複雑に結び目が作られているように感じる。心得を教えてほしいとは思わないが、騎士科の人間としては気になるところだった。
――ほら、いつか、役立つかもしれないし。それにしても、エステルがいたのは驚いたなぁ……あんまり背丈は伸びていないみたいだ。あんなに、たくさん食べているのに――…………。
などと考えたところで、少年は目を伏せた。
ああ。
……異常だ。
はっきりと、そう思う。
抑制されていた心が、浮足立っているのを自覚する。
いや、これまで抑え込まれていたことに初めて思い至った。そうすると、溢れてきている感傷そのものが、シュリの心をずたずたに裂いていく刃となる。
糸の切れた凧のように落ち着きのない思考が、心底、苦い。目につくもの全てに、会話の全てに、心が揺さぶられている。その振幅の大きさに抗うこともなく、常識をわきまえることもできない自分が情けない。
何ヶ月と、会話らしい会話をしていなかった。発語すらも、あるいは。
……けれど。だからといって。
――何を、浮ついているんだ、僕は。
だからといって、赦されるものではない。
「話して」
だから。ハンターの皆の態度は、ありがたかった。
「これまでの間、何をしていたのかを」
●
「――あの日、ロシュに会った日。予定通りに雑魔に遭遇しました。ロシュはあの時と――これまでに歪虚に遭遇した時と同様に、激昂して。それで、確信できたんです。鍵は、ロシュに在ったんだって」
シュリは、訥々と語りだした。
「すぐにロシュを気絶させて、歪虚を処理した後、僕はロシュの身体を探り、これを――」
固定されているため上半身が動かせず、視線だけで腰元の剣――その柄元に沈み込んだ"碧玉"を。
「これを、盗みました。それから、知り合いの鍛冶師のところにいって……その方はこういう剣に心得がある方だったので、すぐに"調整"をしてくれて。それからすぐに、僕は王都を出て、あの村に行きました」
"あの日"、雪の中に沈み、滅んだ村のことだろう。
「……以前、言いましたよね。僕は、あの日村にいた人たちの中に、生きている人たちがいると考えていました。だから、徹底的に探そうと思って山に入ったんです。あれだけの歪虚が隠れて移動するには、山脈や森林を経るしかない。騎士団の捜索が完璧に達成できるている保証は……あの日の歪虚たちの動きを思えば、保証できなかったから」
けれど、と。一つ言葉をおいて、続ける。
「……痕跡は、何も見つかりませんでした。あの雪が、全てを覆い隠してしまっていた。騎士の皆さんが言う通りに……でも、僕は」
何かを言いかけて、言葉を止める。そして。
「……この剣は。見つけました。歪虚の気配を。あの日見た獣達の一団でした。数は十五。近づくと、その他の地域まで散開していることが分かって。ひとつひとつ、襲撃して潰していきました。見失ったら探して、見つけたら斬って。探して……そのうち、足が遅い歪虚の相手が増えてきました」
「熊型、とかですね」
先刻襲撃してきた歪虚の中から取り上げての言葉に、シュリは首を振った。
「熊、だけじゃなくて。複数の歪虚が混じって、結果として足が遅くなった歪虚もいました。翼を喪った飛竜も。あとは……」
言葉が、途切れる。
「人の姿をした、歪虚も」
●
「次第に歪虚の集団と遭遇することは少なくなりましたが、散財する歪虚を追い掛けながらたどり着いたのが……」
「この村、だった」
「はい」
エステルの言葉に、頷くシュリ。そうして、シュリは周囲の面々を見回した。
「皆さんはどうやって――」
「内緒」
「……はい」
機先を制するようなエステルの言葉に、バツが悪い顔でシュリは応じた。教えたら、逃げられたときに対策されるかもしれない……といったところだろうと思い、深入りはしない。
そこに、少女の問いが挟み込まれた。
「歪虚側から、積極的に襲撃されたことは?」
「ありません。僕は常に追う側で……たまに強力な個体と遭遇することはありましたが、それだけでした」
「……ふむ。ならば」
少女にとって、疑問を疑問のまま口にするのは憚られた。しかし、それは意味ある問いのように思え、問う。
「私達は、イレギュラーだったはずだ。そのうえで、此処を襲撃した歪虚の狙いはなんだったのだろう?」
「……僕は、蒐集かな、と思っていたんですが」
わずかの逡巡の後、シュリは言った。
「蒐集?」
「その……"人"の、です。あの時、生きた人を集めようとしていた歪虚なら、村を襲う目的はそこだったんじゃないか、と。多量の人を攫っても、痕跡は雪が覆い隠してくれる今なら……」
「……ふむ」
しばし、逡巡する。結論は出ない、が。それはさておき。
「……そろそろ、食事の時間」
エステルが、扉の外を眺めてこう言った。言葉に紛れて、腹の小虫が啼いた事実には、誰も触れなかった。
解説
●目的
お好きに過ごしてください。
●解説
状況は、上記の通りです。多量の歪虚の襲撃があった後の、「朝食の時間」からスタートします。
これまでのこと。これからのこと。それらを含めて、今、この日この時をお過ごしください。
碧剣を持ったシュリのスペックなんかも調べたりはできたりします。
主に穏当じゃないやりとりで。詳細は後述します。
●NPC
1.シュリ・エルキンズ
「碧剣」を持つ少年。平民出で田舎から王立学校に入り、騎士科でそれなりに優秀な成績を修めていたが現在は休学中。
攻防両立の秀才系戦闘スタイルだったはずが、野生生活が長すぎたためか、完全(になったと思われる)な「碧剣」のスペックについては驚くほど何も知らないまま闘う感覚派になってしまった。
歪虚は不在だが、剣の能力の一部は無意識に引き出せる様子。
現在、身の振り方については葛藤していますが、本依頼の結果、【特定のルートに入らない限り】(つまりマル秘ルート以外だと)、再び単独行動に戻ります。(その場合でも、ある程度の協調は可能かもしれません)
2.エステル・マジェスティ
伝承に詳しい言葉静かな文学系少女。シュリと合流できたことで少なからず安堵しているよう。
今後は特に用事もないが、シュリ捜索の本来の依頼主(ロシュ)への報告についてはシュリ自身の意向については悩んでいるところ。
3.イェスパー
うるさいパルム。二日酔い中。
お好きに過ごしてください。
●解説
状況は、上記の通りです。多量の歪虚の襲撃があった後の、「朝食の時間」からスタートします。
これまでのこと。これからのこと。それらを含めて、今、この日この時をお過ごしください。
碧剣を持ったシュリのスペックなんかも調べたりはできたりします。
主に穏当じゃないやりとりで。詳細は後述します。
●NPC
1.シュリ・エルキンズ
「碧剣」を持つ少年。平民出で田舎から王立学校に入り、騎士科でそれなりに優秀な成績を修めていたが現在は休学中。
攻防両立の秀才系戦闘スタイルだったはずが、野生生活が長すぎたためか、完全(になったと思われる)な「碧剣」のスペックについては驚くほど何も知らないまま闘う感覚派になってしまった。
歪虚は不在だが、剣の能力の一部は無意識に引き出せる様子。
現在、身の振り方については葛藤していますが、本依頼の結果、【特定のルートに入らない限り】(つまりマル秘ルート以外だと)、再び単独行動に戻ります。(その場合でも、ある程度の協調は可能かもしれません)
2.エステル・マジェスティ
伝承に詳しい言葉静かな文学系少女。シュリと合流できたことで少なからず安堵しているよう。
今後は特に用事もないが、シュリ捜索の本来の依頼主(ロシュ)への報告についてはシュリ自身の意向については悩んでいるところ。
3.イェスパー
うるさいパルム。二日酔い中。
マスターより
こんにちは、ムジカ・トラスです。
勝手にキツく縛った感がありますが、きっと参加者の中にすごい緊縛プロがいらっしゃったのかなと思っています。
そうじゃなかったら多分エステルの仕事ですかね。
ぼく口調ロリ無口魔女系ハラペコ文学少女が緊縛プロってなんだか盛りこみ過ぎ感半端ない。
――さて。皆様のお陰で無事に確保(緊縛)されたシュリ。
運命の時まで、あと少し。皆さまの行動によって、今後のストーリーが決まります。
MSとしてもドキドキしますが、どう転んでも、いい。それがこのWTRPGの醍醐味なのでしょう。
どちらが正解ということもありません。
ただ、悩み、考え、楽しんでいただけたら幸いです! よろしくおねがいします!
勝手にキツく縛った感がありますが、きっと参加者の中にすごい緊縛プロがいらっしゃったのかなと思っています。
そうじゃなかったら多分エステルの仕事ですかね。
ぼく口調ロリ無口魔女系ハラペコ文学少女が緊縛プロってなんだか盛りこみ過ぎ感半端ない。
――さて。皆様のお陰で無事に確保(緊縛)されたシュリ。
運命の時まで、あと少し。皆さまの行動によって、今後のストーリーが決まります。
MSとしてもドキドキしますが、どう転んでも、いい。それがこのWTRPGの醍醐味なのでしょう。
どちらが正解ということもありません。
ただ、悩み、考え、楽しんでいただけたら幸いです! よろしくおねがいします!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/30 11:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 八原 篝(ka3104) 人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2018/05/31 06:46:22 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/26 17:22:40 |