ゲスト
(ka0000)
【羽冠】理想の王国
マスター:坂上テンゼン

このシナリオは4日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/06/06 15:00
- リプレイ完成予定
- 2018/06/19 15:00
オープニング
●フォンヴェイユの五男
私は……何者かでありたかった。
貴族の子として生まれながら『領主』にも『侯爵』にもなれず、『フォンヴェイユの五男』として名前さえ記憶されないまま終わることは耐え切れなかった。
誰からも何も期待されず、軽視されるのが嫌だった。
満たされない自尊欲求。
それが私の原動力だった。
だから自分しかやらないことをやろうと思った。
それが歪虚退治だった。
常に歪虚に悩まされるリベルタース地方でその役をする者は重宝される。
覚醒者ではない分、知識を得ようと思った。
兵ではなく、指揮官として必要な知識を。
そうすれば自分だって戦える。
価値を見出されることが出来る。
――これが『レーニエ・フォンヴェイユ』の全てだ。
私には、それしかない。
マーロウ閣下はそんな私を認めてくれた。
この国に必要なのは歪虚と戦う戦士なのだと。
その時、私は生まれて始めて誰かに価値を見出された。
だから――私は私の価値のために戦う。
マーロウ閣下が理想とする王国にこそ、それはある。
そのためには手を汚すこともしよう。
これまでには無辜の民を扇動し、王女の評判を落とすよう仕向けた。
初めは近隣の王家派の貴族の領地で。二度目は王都で。
一度目は民の不満を焚き付けただけだったが、二度目は具体的な手段も用意した。商人や覚醒者を味方につけられたのでそれなりに大きな動きにはなった。
だが、結局はハンターに沈静化されてしまった。
ハンター……。
いったい何故ハンターは私達の邪魔をする?
歪虚と戦う立場であれば、歪虚との戦いを優先するマーロウ閣下と通じるところが多いのではないのか?
かれらは……理解できない。
イスルダ島では、敗北感を味わうことになった。
ハンター。強き者達。
ベリアル、メフィスト、茨の王……
王国を脅かす邪悪を討ち滅ぼしてきた存在。
かれらは、マーロウ閣下を認めないのか?
閣下よりも、王女の方がいいと?
であれば、やはり私とも相容れないだろう。
閣下の元でしか、私は輝けないだろうから……。
●マーロウ派の貴族
フォンヴェイユ侯爵家はマーロウ派の貴族である。
理由はいくつかあるが、その一番大きなものはマーロウが『貴族の権力を大きくする』考え方でいるからだ。
同じように考える貴族も多い。
そういったいくつかの貴族達と同じように、マーロウの指示のもとフォンヴェイユ侯爵も兵を王都に差し向けていた。
かれらはマーロウからの指示があり次第行動を起こす手筈になっていた。
フォンヴェイユの五男レーニエもその中にいた。彼は覚醒者ではないが、覚醒者で編成される私兵団『白馬隊(シュヴァル・ブラン)』の指揮官を務めており、領地に出現した歪虚を退治するのを主な活動としている。それは無論、相手が人間であっても強力な戦力として機能する。
かれらがマーロウからの指示を待っていたころ……
そんな折に、事は起こった。
「歪虚が王都内に出現した?!」
ここは王都イルダーナ某所、フォンヴェイユ家の面々が潜伏先としている屋敷である。
突如として彼らの元に、報が齎された。
この報を聞いたレーニエは、指揮官で父親でもあるレーヴィ・フォンヴェイユ侯爵の元にすぐさま駆け込んだ。
「父上! 出撃の許可を!」
「ならん」
「……何故です!」
「貴様もわかっていよう。マーロウ閣下よりの指示は『待機』。
下がるがよい」
「今は非常事態なのでは?」
「ならん」
「父上!」
「……」
レーヴィはそれきり何も言わなかった。
沈黙で意思が変わらぬ事を示してきたのだ。
「……くッ」
レーニエは踵を返した。返答もなく。
もとより一度として自分を認めてくれなかった父だ。
快く送り出してくれるわけがない。
――しかし、従う道理もない。
「白馬隊、集合!」
レーニエは自ら率いる手勢に招集をかけた。
「レーニエ様! 何処へ……?!」
部下とともに屋敷から出ようとしたところを、レーヴィの使用人に見咎められた。
「歪虚が王都に出現したならやることは一つだろう!」
「なりません! レーヴィ様の命は」
「それは聞けぬ!」
レーニエは静止するのも聞かず、外へ出た。
(いかにマーロウ閣下とはいえ、歪虚の襲来までは予測できなかっただろう……今は非常事態だ)
厩舎から葦毛の馬を出し、走らせるレーニエは道ながらそう考えていた。
●歪虚であるということ
利己的な動機で始めたことではあったが、歪虚を退治しなくてはならない真の理由も、レーニエは理解していた。
歪虚を目にする機会が多いからこそ、その恐ろしさを知っている。
自分のためだけではない。人の暮らす世界に存在させてはならない。
そういうものだ。本能でそう感じる。
(これは父上にはわからない……もしかしたら、マーロウ閣下でさえ自分ほどには。
直接歪虚と対峙しない限りは……)
「ヒョーッホッホッホ……向こうからやってきてくれましたねェ!」
青白い肌、人の上半身に下半身は複数の触手、背には蝙蝠の飛膜といった体の歪虚がレーニエ一行を見て、不気味に笑った。
「狂気(ワァーシン)とは……」
「失敬な! 我輩はれっきとした傲慢(アイテルカイト)ですぞ!」
歪虚が憤慨する間、同じような笑い声を上げながら、姿も様々な歪虚が現れた。
「信じられん、王都にこれほどの数が……?」
レーニエ一行は囲まれていた。
「手ごたえのない奴等ばかりで退屈していた所です。楽しませていただきましょうか!」
触手歪虚はまた、甲高い笑い声を上げた。
私は……何者かでありたかった。
貴族の子として生まれながら『領主』にも『侯爵』にもなれず、『フォンヴェイユの五男』として名前さえ記憶されないまま終わることは耐え切れなかった。
誰からも何も期待されず、軽視されるのが嫌だった。
満たされない自尊欲求。
それが私の原動力だった。
だから自分しかやらないことをやろうと思った。
それが歪虚退治だった。
常に歪虚に悩まされるリベルタース地方でその役をする者は重宝される。
覚醒者ではない分、知識を得ようと思った。
兵ではなく、指揮官として必要な知識を。
そうすれば自分だって戦える。
価値を見出されることが出来る。
――これが『レーニエ・フォンヴェイユ』の全てだ。
私には、それしかない。
マーロウ閣下はそんな私を認めてくれた。
この国に必要なのは歪虚と戦う戦士なのだと。
その時、私は生まれて始めて誰かに価値を見出された。
だから――私は私の価値のために戦う。
マーロウ閣下が理想とする王国にこそ、それはある。
そのためには手を汚すこともしよう。
これまでには無辜の民を扇動し、王女の評判を落とすよう仕向けた。
初めは近隣の王家派の貴族の領地で。二度目は王都で。
一度目は民の不満を焚き付けただけだったが、二度目は具体的な手段も用意した。商人や覚醒者を味方につけられたのでそれなりに大きな動きにはなった。
だが、結局はハンターに沈静化されてしまった。
ハンター……。
いったい何故ハンターは私達の邪魔をする?
歪虚と戦う立場であれば、歪虚との戦いを優先するマーロウ閣下と通じるところが多いのではないのか?
かれらは……理解できない。
イスルダ島では、敗北感を味わうことになった。
ハンター。強き者達。
ベリアル、メフィスト、茨の王……
王国を脅かす邪悪を討ち滅ぼしてきた存在。
かれらは、マーロウ閣下を認めないのか?
閣下よりも、王女の方がいいと?
であれば、やはり私とも相容れないだろう。
閣下の元でしか、私は輝けないだろうから……。
●マーロウ派の貴族
フォンヴェイユ侯爵家はマーロウ派の貴族である。
理由はいくつかあるが、その一番大きなものはマーロウが『貴族の権力を大きくする』考え方でいるからだ。
同じように考える貴族も多い。
そういったいくつかの貴族達と同じように、マーロウの指示のもとフォンヴェイユ侯爵も兵を王都に差し向けていた。
かれらはマーロウからの指示があり次第行動を起こす手筈になっていた。
フォンヴェイユの五男レーニエもその中にいた。彼は覚醒者ではないが、覚醒者で編成される私兵団『白馬隊(シュヴァル・ブラン)』の指揮官を務めており、領地に出現した歪虚を退治するのを主な活動としている。それは無論、相手が人間であっても強力な戦力として機能する。
かれらがマーロウからの指示を待っていたころ……
そんな折に、事は起こった。
「歪虚が王都内に出現した?!」
ここは王都イルダーナ某所、フォンヴェイユ家の面々が潜伏先としている屋敷である。
突如として彼らの元に、報が齎された。
この報を聞いたレーニエは、指揮官で父親でもあるレーヴィ・フォンヴェイユ侯爵の元にすぐさま駆け込んだ。
「父上! 出撃の許可を!」
「ならん」
「……何故です!」
「貴様もわかっていよう。マーロウ閣下よりの指示は『待機』。
下がるがよい」
「今は非常事態なのでは?」
「ならん」
「父上!」
「……」
レーヴィはそれきり何も言わなかった。
沈黙で意思が変わらぬ事を示してきたのだ。
「……くッ」
レーニエは踵を返した。返答もなく。
もとより一度として自分を認めてくれなかった父だ。
快く送り出してくれるわけがない。
――しかし、従う道理もない。
「白馬隊、集合!」
レーニエは自ら率いる手勢に招集をかけた。
「レーニエ様! 何処へ……?!」
部下とともに屋敷から出ようとしたところを、レーヴィの使用人に見咎められた。
「歪虚が王都に出現したならやることは一つだろう!」
「なりません! レーヴィ様の命は」
「それは聞けぬ!」
レーニエは静止するのも聞かず、外へ出た。
(いかにマーロウ閣下とはいえ、歪虚の襲来までは予測できなかっただろう……今は非常事態だ)
厩舎から葦毛の馬を出し、走らせるレーニエは道ながらそう考えていた。
●歪虚であるということ
利己的な動機で始めたことではあったが、歪虚を退治しなくてはならない真の理由も、レーニエは理解していた。
歪虚を目にする機会が多いからこそ、その恐ろしさを知っている。
自分のためだけではない。人の暮らす世界に存在させてはならない。
そういうものだ。本能でそう感じる。
(これは父上にはわからない……もしかしたら、マーロウ閣下でさえ自分ほどには。
直接歪虚と対峙しない限りは……)
「ヒョーッホッホッホ……向こうからやってきてくれましたねェ!」
青白い肌、人の上半身に下半身は複数の触手、背には蝙蝠の飛膜といった体の歪虚がレーニエ一行を見て、不気味に笑った。
「狂気(ワァーシン)とは……」
「失敬な! 我輩はれっきとした傲慢(アイテルカイト)ですぞ!」
歪虚が憤慨する間、同じような笑い声を上げながら、姿も様々な歪虚が現れた。
「信じられん、王都にこれほどの数が……?」
レーニエ一行は囲まれていた。
「手ごたえのない奴等ばかりで退屈していた所です。楽しませていただきましょうか!」
触手歪虚はまた、甲高い笑い声を上げた。
解説
状況
PC達は王都に現れた歪虚を倒すべく活動中。
そんな中で歪虚と交戦中のマーロウ派貴族を発見する。
目的
歪虚の撃破
敵
歪虚隊長(触手歪虚)
傲慢の歪虚。
所持スキルはライトニングボルト、ブリザード、変容、強制。
懲罰は使えない。
歪虚兵×20
傲慢の歪虚。見た目は様々だが、節足動物や軟体動物、魚類の特徴を備えた人型である事が多い。所持スキルはマジックアロー、薙ぎ払い、変容。
友軍
レーニエと私兵団シュヴァル・ブラン メンバー
闘狩人、猟撃士、魔術師、機導師、符術師
40体を20体まで減らしたものの、スキルを殆ど使い果たし、不利な状況。
地形
3スクエアの幅の道にレーニエ一行がおり、その両側を歪虚が挟んでいる。数は役半々
PCはレーニエ一行から30スクエア離れた地点でこの状況を目撃する
その他
レーニエのハンターに対する感情は、『嫉妬、不可解、反感』
PC達は王都に現れた歪虚を倒すべく活動中。
そんな中で歪虚と交戦中のマーロウ派貴族を発見する。
目的
歪虚の撃破
敵
歪虚隊長(触手歪虚)
傲慢の歪虚。
所持スキルはライトニングボルト、ブリザード、変容、強制。
懲罰は使えない。
歪虚兵×20
傲慢の歪虚。見た目は様々だが、節足動物や軟体動物、魚類の特徴を備えた人型である事が多い。所持スキルはマジックアロー、薙ぎ払い、変容。
友軍
レーニエと私兵団シュヴァル・ブラン メンバー
闘狩人、猟撃士、魔術師、機導師、符術師
40体を20体まで減らしたものの、スキルを殆ど使い果たし、不利な状況。
地形
3スクエアの幅の道にレーニエ一行がおり、その両側を歪虚が挟んでいる。数は役半々
PCはレーニエ一行から30スクエア離れた地点でこの状況を目撃する
その他
レーニエのハンターに対する感情は、『嫉妬、不可解、反感』
マスターより
坂上テンゼンに候。
マーロウ派の貴族であるという立場。個人の信条。
それらを両立するのが、無理な場合もある。
そんな人間とPC達はどんな空間を織り成すのでしょうか。
これはそんな、王国で起こった大きな戦いの中での一コマです。
立場を異にする彼とは、想いをぶつけ合うこともあるかもしれません。
マーロウ派の貴族であるという立場。個人の信条。
それらを両立するのが、無理な場合もある。
そんな人間とPC達はどんな空間を織り成すのでしょうか。
これはそんな、王国で起こった大きな戦いの中での一コマです。
立場を異にする彼とは、想いをぶつけ合うこともあるかもしれません。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/13 01:18
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/06/05 22:57:34 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/06/03 10:13:01 |