ゲスト
(ka0000)
新たな一歩、新たな儀式
マスター:DoLLer

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/06/12 15:00
- リプレイ完成予定
- 2018/06/26 15:00
オープニング
「覚醒者になるには、どうしたらいいですか」
少年というにもまだ幼すぎる彼は、父親の顔をじっと見てそう切り出した。
簡素な衣服は帝国製のものであったが、日に焼けたような地肌、丸みのある骨格、素朴な顔つきは北の辺境の人々そのものであった。
「精霊と契約する」
「じゃあ、精霊と契約するにはどうしたらいいですか」
父親の答えをそのまま復唱するのはこの時期の子供にはよくあることだ。
だが、その実情はもっと根が深い。これに安易に答えてしまうと、彼はそのまま実行に移してしまうからだ。
「あー……まだ早い」
「早くありません。僕は族長です」
幼いながらも、いや、幼いからだろうか。彼、ウルは全くゾールの懸命の誤魔化しも許さなかった。
仕方ないので憤怒の形相と全身の筋肉に力を込めて威嚇してみたものの、全くウルには通用しなかった。タコのように真っ赤に膨れ上がってもウルには全く動じず、ついには根負けしてしまった。
「まだ筋力ない。精神も未熟。子供では精霊、一人前と認めない」
「やってみなければわかりません」
どこまでも頑固であるウル。これでは埒が明かないので、ゾールはどっしりと胡坐をかいて構えてみせた。
「ではオレを動かしてみるといい」
ようやく4才。口は達者になったが、体は小さいウルが動かせるわけもない。わかっててそれをしてみせたのだ。
ウルはえいやっと押し始めるが、当然びくともしない。
「どうだ、無理だろ」
「トト様とカカ様の子です。諦めません」
その一言にうるっと涙がこぼれそうになるゾール。
「いよぉし! よく言った!! それでこそ我が子!!!」
「やった、やった! 動かせました」
ぴょんこぴょんこと跳ねて喜ぶウルの姿に、思わず胸が熱くなって立ち上がってしまったゾールは自分が言い出した勝負に決着がついてしまったことに気が付いた。
そして狼狽えるゾールに対して即座に後ろから杖の一撃が叩き込まれる。
話を後ろで聞いていた、ウルの育ての母となるレイアは杖をゆっくりしまうと、ウルに視線を合わせて話しかけた。
「ウル。精霊は儀式を経て契約する。その後も長い期間修行が必要になるの。故郷の精霊でもそんな大変だから、ここではどんな精霊がいるかも知らない。仲良くする儀式を考えないといけない。だからウル、今は覚醒者になれない」
「じゃあ故郷まで行って儀式をします。儀式の仕方を教えてください」
レイアは深い深いため息をついた。彼らの住まう土地はもう人間の土地ではなくなり歪虚の土地、北荻となってしまっている。
覚醒者でもそれなりの装備や準備がないと長時間はいられないような場所なのに、一般人のそれもまだ幼子のウルなど故郷に足を踏み入れる前に倒れてしまう。事実上、儀式は不可能なのだ。
それを理解させるためにゾールにしっかりと説明しなさいと言ったつもりだったのだが、それはゾールには難しすぎる内容であったようだ。
「私たちの故郷は歪虚のもの。今行けばウルは死ぬ。精霊も死んでいる。だから儀式はできないのよ」
「じゃあこの付近の精霊にお願いします」
「帝国の精霊、よく知らない」
「じゃあ知っている人にお願いします」
レイアもさすがに押し黙った。こういうところは誰に似たのやら。
「じゃあ勝手になさい」
「じゃあ勝手します」
失礼します。と丁寧なお辞儀をするとウルは立ち上がって外へと歩き出してしまった。
●
「で、二人とも根負けしちゃったから、手ごろな儀式を作ってやってくれってお願いされたワケ」
ようやく中央である帝都バルトアンデルスで仕事できるようになった記念に、ぱーっと贅沢して流行の服を買うなどして、ついでに口コミで噂の料理店でお酒を飲んでいた地方課のメルツェーデスでは赤ら顔でハンターオフィスに相談を持ち掛けていた。
「手ごろなって……そんなの聞いたことないですよ。あ、ハンターオフィスの奥にある装置を使わせるんですか?」
「そんな特別扱いする必要ないわよ。そもそも、どんな本格的な儀式したって、本当に覚醒者として活躍できるわけじゃないし、身体が持つとも思えないし。ハンターの考案したそれっぽい儀式を体験させて真似事だけすれば満足するでしょ」
いかにも投げやりなメルツェーデスの態度に受付員は苦笑いを隠すこともなく、承りました。と返したがメルツェーデスは上の空でぼやくのみだった。
「いつまで経っても帝国慣れしないんだから……」
少年というにもまだ幼すぎる彼は、父親の顔をじっと見てそう切り出した。
簡素な衣服は帝国製のものであったが、日に焼けたような地肌、丸みのある骨格、素朴な顔つきは北の辺境の人々そのものであった。
「精霊と契約する」
「じゃあ、精霊と契約するにはどうしたらいいですか」
父親の答えをそのまま復唱するのはこの時期の子供にはよくあることだ。
だが、その実情はもっと根が深い。これに安易に答えてしまうと、彼はそのまま実行に移してしまうからだ。
「あー……まだ早い」
「早くありません。僕は族長です」
幼いながらも、いや、幼いからだろうか。彼、ウルは全くゾールの懸命の誤魔化しも許さなかった。
仕方ないので憤怒の形相と全身の筋肉に力を込めて威嚇してみたものの、全くウルには通用しなかった。タコのように真っ赤に膨れ上がってもウルには全く動じず、ついには根負けしてしまった。
「まだ筋力ない。精神も未熟。子供では精霊、一人前と認めない」
「やってみなければわかりません」
どこまでも頑固であるウル。これでは埒が明かないので、ゾールはどっしりと胡坐をかいて構えてみせた。
「ではオレを動かしてみるといい」
ようやく4才。口は達者になったが、体は小さいウルが動かせるわけもない。わかっててそれをしてみせたのだ。
ウルはえいやっと押し始めるが、当然びくともしない。
「どうだ、無理だろ」
「トト様とカカ様の子です。諦めません」
その一言にうるっと涙がこぼれそうになるゾール。
「いよぉし! よく言った!! それでこそ我が子!!!」
「やった、やった! 動かせました」
ぴょんこぴょんこと跳ねて喜ぶウルの姿に、思わず胸が熱くなって立ち上がってしまったゾールは自分が言い出した勝負に決着がついてしまったことに気が付いた。
そして狼狽えるゾールに対して即座に後ろから杖の一撃が叩き込まれる。
話を後ろで聞いていた、ウルの育ての母となるレイアは杖をゆっくりしまうと、ウルに視線を合わせて話しかけた。
「ウル。精霊は儀式を経て契約する。その後も長い期間修行が必要になるの。故郷の精霊でもそんな大変だから、ここではどんな精霊がいるかも知らない。仲良くする儀式を考えないといけない。だからウル、今は覚醒者になれない」
「じゃあ故郷まで行って儀式をします。儀式の仕方を教えてください」
レイアは深い深いため息をついた。彼らの住まう土地はもう人間の土地ではなくなり歪虚の土地、北荻となってしまっている。
覚醒者でもそれなりの装備や準備がないと長時間はいられないような場所なのに、一般人のそれもまだ幼子のウルなど故郷に足を踏み入れる前に倒れてしまう。事実上、儀式は不可能なのだ。
それを理解させるためにゾールにしっかりと説明しなさいと言ったつもりだったのだが、それはゾールには難しすぎる内容であったようだ。
「私たちの故郷は歪虚のもの。今行けばウルは死ぬ。精霊も死んでいる。だから儀式はできないのよ」
「じゃあこの付近の精霊にお願いします」
「帝国の精霊、よく知らない」
「じゃあ知っている人にお願いします」
レイアもさすがに押し黙った。こういうところは誰に似たのやら。
「じゃあ勝手になさい」
「じゃあ勝手します」
失礼します。と丁寧なお辞儀をするとウルは立ち上がって外へと歩き出してしまった。
●
「で、二人とも根負けしちゃったから、手ごろな儀式を作ってやってくれってお願いされたワケ」
ようやく中央である帝都バルトアンデルスで仕事できるようになった記念に、ぱーっと贅沢して流行の服を買うなどして、ついでに口コミで噂の料理店でお酒を飲んでいた地方課のメルツェーデスでは赤ら顔でハンターオフィスに相談を持ち掛けていた。
「手ごろなって……そんなの聞いたことないですよ。あ、ハンターオフィスの奥にある装置を使わせるんですか?」
「そんな特別扱いする必要ないわよ。そもそも、どんな本格的な儀式したって、本当に覚醒者として活躍できるわけじゃないし、身体が持つとも思えないし。ハンターの考案したそれっぽい儀式を体験させて真似事だけすれば満足するでしょ」
いかにも投げやりなメルツェーデスの態度に受付員は苦笑いを隠すこともなく、承りました。と返したがメルツェーデスは上の空でぼやくのみだった。
「いつまで経っても帝国慣れしないんだから……」
解説
帝国に移民してきた辺境の部族の子供ウルが、精霊と出会う儀式に挑みたいそうです。
参加者は自己の体験か、もしくは聞き伝えの伝承などを再現し、彼が体験できる覚醒の儀式を執り行ってください。
ちなみに、よしんば精霊と出会ったとしても、ハンターシステムを利用する以外の方法になりますので
ウルは皆さまと同じような覚醒者となれるわけではないことをご理解ください。
●NPC
ウル 男 4才。一般人。
体力や知力、精神力は年相応。ただし現実の4才児と異なるのは実行力です。
小動物くらいなら罠や狩りを駆使して捌いたり、子馬に乗って遠くまで行くくらいの力はあります。
他に同郷のメンバーがいますが、取り立てて説明の必要はないため割愛。
●成功判定
無事に完遂すれば普通、
ウルが納得した儀式となれば成功。
または儀式がアクシデントによって中止せざるを得なくなったら失敗。
ウルに身体上の危険が起こる、または周辺地域に迷惑を及ぼし中止となれば大失敗とします。
大成功はウルが(契約の成立はしないけれど)精霊と出会う経験を果たした時とします。
●儀式とは
精霊との契約を果たす儀式とは各地で存在しておりますが、精霊の契約は個人の能力や縁によるものが大きく、非常に多種多様です。
どんな儀式を作るのかはきっと皆さまの出自や、故郷の慣習を形成するものになるでしょう。
内容は自由に策定していただいて構いませんが、実現可能な(物理的にも財政的にも)ものにしてください。
参加者は自己の体験か、もしくは聞き伝えの伝承などを再現し、彼が体験できる覚醒の儀式を執り行ってください。
ちなみに、よしんば精霊と出会ったとしても、ハンターシステムを利用する以外の方法になりますので
ウルは皆さまと同じような覚醒者となれるわけではないことをご理解ください。
●NPC
ウル 男 4才。一般人。
体力や知力、精神力は年相応。ただし現実の4才児と異なるのは実行力です。
小動物くらいなら罠や狩りを駆使して捌いたり、子馬に乗って遠くまで行くくらいの力はあります。
他に同郷のメンバーがいますが、取り立てて説明の必要はないため割愛。
●成功判定
無事に完遂すれば普通、
ウルが納得した儀式となれば成功。
または儀式がアクシデントによって中止せざるを得なくなったら失敗。
ウルに身体上の危険が起こる、または周辺地域に迷惑を及ぼし中止となれば大失敗とします。
大成功はウルが(契約の成立はしないけれど)精霊と出会う経験を果たした時とします。
●儀式とは
精霊との契約を果たす儀式とは各地で存在しておりますが、精霊の契約は個人の能力や縁によるものが大きく、非常に多種多様です。
どんな儀式を作るのかはきっと皆さまの出自や、故郷の慣習を形成するものになるでしょう。
内容は自由に策定していただいて構いませんが、実現可能な(物理的にも財政的にも)ものにしてください。
マスターより
自分はこういうことを体験して覚醒したという設定を使っていただいたりとか、各地の風習に興味があればと思い、シナリオとさせていただきました。
なお、複数の儀式が提案された場合、混ざります。ご注意ください。
なお、複数の儀式が提案された場合、混ざります。ご注意ください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/17 13:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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精霊に示すものとは(相談卓) 雨を告げる鳥(ka6258) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/06/12 08:27:38 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/06/07 23:45:06 |