ゲスト
(ka0000)
【羽冠】炎を囲む夜の集い
マスター:坂上テンゼン

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在13人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/06/28 22:00
- リプレイ完成予定
- 2018/07/10 22:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●レーニエ・フォンヴェイユの至った結末
「――これは一体どうしたことだ!」
フォンヴェイユ家の拠点に戻ったレーニエが叫んだ。
――出て来た時と何の変化もなかったからだ。
王都に多数の歪虚が発生、マーロウも戦闘に巻き込まれたというのに……ここでは未だに全員が待機している。
「未だにマーロウ閣下よりの指示がなく……」
問われた使用人が説明する。
「マーロウ閣下は戦っておられる! なぜ加勢しない?!」
「我々も何度か申し上げたのですが、レーヴィ様は兵を動かす必要は無いと……」
マーロウのためにすら戦おうとしない父――
レーニエは、それを知った時、全てを悟った。
すなわち――あの男は勝ち馬に乗ることしか頭にないのだ!
王家を倒そうとしないマーロウ閣下には力を貸したくないのだ!
思想などない!
自家の利益しか頭にない!
「これが……貴族なのか!」
レーニエの中で溜まりきったものが決壊した。
そして外へと飛び出した。背後に彼を呼び止めるいくつもの声を聞きながら……。
●イサ・ミソラが描く未来図
イサ・ミソラ……伊佐美空は転移者である。
転移した場所がフォンヴェイユ領地だった彼女は、使用人の一人に発見され、フォンヴェイユに保護された。
それからは使用人としてフォンヴェイユに仕えてきたが、覚醒者の適性があることがわかると私兵も兼任となった。
レーニエが白馬隊を率いるようになると、その配属となり、彼と過ごす時間は長くなった。
多くの戦いを、供に乗り越えてきた……。
立場も生まれた世界も違うものの、強い絆が芽生えていた。
飛び出したレーニエを見つけたのは彼女だった。
「レーニエ様……」
第七街区……戦いで荒れ果てたこの場所で佇んでいたレーニエに、イサは背後から声をかける。
「イサか……私は失望したよ」
半分だけ振り返って、レーニエは応えた。
「家には戻るつもりはない」
「そうですか……」
イサは俯いた。
そして、少しの間を置いて、顔を上げてこう言った。
「ならば、レーニエ。
貴方は今より私のモノです」
「…………?!」
レーニエは全身をイサに向けた。
初めて呼び捨てで呼ばれた上、意味がわからなかった。
「抵抗は無駄です。私の方が強いのだから。
これから私はハンターとして生計を立てていきます。貴方は私に養われなさい。それが一番いい。拒否権は認めません」
レーニエは目を見開く。そして考える。イサはこんな言動をする娘だっただろうか。レーニエの知る彼女は、日常では貞淑で甲斐甲斐しいメイドで、戦場では忠実で頼れる兵士だった。
これでは立場がまるで逆だ。
立場……
ああ、それなら今さっき捨てたのだった。
二人の間を隔てる互いの立場の違いがなくなったことで、大胆になったのか――?
「――いいですね? 私のレーニエ」
その通りだった。
イサは黙ってレーニエをじっと見ている。拒否権はないと言いつつも返答を待っているようだ。
長い沈黙のあと、レーニエが口を開いた。
「イサ、私は」
「何してるんだ君達は?」
突然声をかけられた。二人は目を見開いて声のした方を向く。
ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061)がいた。
「行く場所がないのか? なら私と来い」
ヘザーはそれだけ言って背を向けた。
イサは少しの間考えてから、ヘザーについて行こうとした。
そして、いまだ固まっているレーニエに気づき、視線で促す。
レーニエも頷き、彼女に続いた。
●ジョセファ・スフォルツァ、王都へ
「王都に赴き、王女殿下に忠誠を示しなさい」
――お母様はそう言われました。律儀な方ですわ。
娘を一人で放り出すとか、何考えてるのかしらと言いたくなりますけれど。
実際来てみれば王都はごたごた。
王都に住む方々の暮らしが荒むのは、心が痛みますけれど、わたくしにはどうにもできません。
何日か街を巡回しましたけれど、独りでできそうなことはありませんでした。
ですがある日、わたくしはとんでもない所に出くわしたのです。
第六城壁の上においでになった王女殿下。
そして、それに対峙するマーロウ大公。
これだけでも大事件だというのに、これだけでは済みませんでした。
空から現れた黒い騎馬。
それを皮切りに、至る所に歪虚が現れたのです……。
そこでわたくしはようやく自分に出来ることを見つけました。すぐさま両腰のホルスターから愛すべき殺戮の双子を解き放ったわたくしは歪虚に鉛弾を浴びせるべく躍りかかったのです。
歪虚に対抗したのはわたくしだけではありませんでした。街の至る所から颯爽と現れたハンター達。王女殿下を守る役などはかれらがかっさらっていきました。
ヘザー・スクロヴェーニ様とはそこで出逢い、背中を預け合って戦いました。
そして戦いが終わった後、打ち上げをやるから来いと言われて、今は第七街区の外側にある広い場所にやって来ました。
ヘザー様の姿がありません。
どちらに行かれたのでしょうか……?
●ヘザー・スクロヴェーニと炎を囲む夜の集い
夜になっていた。そこには愉愚泥羅やヘザーのハンター仲間、その他にも様々な人間が集まっていた。かれらの中心には薪が積まれている。
木材を担いだヘザーがやってきた。誰かを伴っている。
ジョセファは突如として二丁拳銃を抜き放った。
ヘザーに向けたのではない。伴っている人物にだ。
「なぜ貴方がここにいるんですの?」
「よせ、今彼を撃つ必要はない」
問うジョセファ。ヘザーは銃口の前に立ちふさがった。
「その方がどなたか、おわかりでして?」
「ああ、よく知っている。――レーニエ・フォンヴェイユ。マーロウ派の貴族だろう」
レーニエは俯いていた。家の名が呼ばれた時、少しだけ体を強ばらせた。
その側にはイサが付き従っている。
「――もう決着はついた」
ヘザーはそう言って、一言付け加えた。
「終わったんだ」
「終わった……」
ジョセファはこれまでの事を思い返す。
「我が領地でも大きな混乱があった、王女殿下の結婚問題に端を発する一連の騒動が……終わったのですか?」
「ああ、王家とマーロウ家のゴタゴタは……終わった。ここで終わらさなければならないんだ」
「私も異存はない」
レーニエが口を開いた。
「もし許されるのなら……。
マーロウ派の貴族としてではなく、一人の王国の民として、やるべきことをやっていきたい」
「……ずるいですわ、先に折れるのは」
ジョセファはむくれた顔をして、銃を収めた。
「ですが、それならこれ以上銃弾を減らさなくて済みそうですわね……」
ヘザーは持ってきた木材を薪に加える。戦いで壊れた家の一部だったものだ。そして、それに火を付ける。
火は赤々と燃え上がり、闇夜を照らした。
「ようやく、立ち止まることができたんだ」
ヘザーは炎を見ながら言った。
「考える時なんだ。これまでの事、これからの事を……」
●レーニエ・フォンヴェイユの至った結末
「――これは一体どうしたことだ!」
フォンヴェイユ家の拠点に戻ったレーニエが叫んだ。
――出て来た時と何の変化もなかったからだ。
王都に多数の歪虚が発生、マーロウも戦闘に巻き込まれたというのに……ここでは未だに全員が待機している。
「未だにマーロウ閣下よりの指示がなく……」
問われた使用人が説明する。
「マーロウ閣下は戦っておられる! なぜ加勢しない?!」
「我々も何度か申し上げたのですが、レーヴィ様は兵を動かす必要は無いと……」
マーロウのためにすら戦おうとしない父――
レーニエは、それを知った時、全てを悟った。
すなわち――あの男は勝ち馬に乗ることしか頭にないのだ!
王家を倒そうとしないマーロウ閣下には力を貸したくないのだ!
思想などない!
自家の利益しか頭にない!
「これが……貴族なのか!」
レーニエの中で溜まりきったものが決壊した。
そして外へと飛び出した。背後に彼を呼び止めるいくつもの声を聞きながら……。
●イサ・ミソラが描く未来図
イサ・ミソラ……伊佐美空は転移者である。
転移した場所がフォンヴェイユ領地だった彼女は、使用人の一人に発見され、フォンヴェイユに保護された。
それからは使用人としてフォンヴェイユに仕えてきたが、覚醒者の適性があることがわかると私兵も兼任となった。
レーニエが白馬隊を率いるようになると、その配属となり、彼と過ごす時間は長くなった。
多くの戦いを、供に乗り越えてきた……。
立場も生まれた世界も違うものの、強い絆が芽生えていた。
飛び出したレーニエを見つけたのは彼女だった。
「レーニエ様……」
第七街区……戦いで荒れ果てたこの場所で佇んでいたレーニエに、イサは背後から声をかける。
「イサか……私は失望したよ」
半分だけ振り返って、レーニエは応えた。
「家には戻るつもりはない」
「そうですか……」
イサは俯いた。
そして、少しの間を置いて、顔を上げてこう言った。
「ならば、レーニエ。
貴方は今より私のモノです」
「…………?!」
レーニエは全身をイサに向けた。
初めて呼び捨てで呼ばれた上、意味がわからなかった。
「抵抗は無駄です。私の方が強いのだから。
これから私はハンターとして生計を立てていきます。貴方は私に養われなさい。それが一番いい。拒否権は認めません」
レーニエは目を見開く。そして考える。イサはこんな言動をする娘だっただろうか。レーニエの知る彼女は、日常では貞淑で甲斐甲斐しいメイドで、戦場では忠実で頼れる兵士だった。
これでは立場がまるで逆だ。
立場……
ああ、それなら今さっき捨てたのだった。
二人の間を隔てる互いの立場の違いがなくなったことで、大胆になったのか――?
「――いいですね? 私のレーニエ」
その通りだった。
イサは黙ってレーニエをじっと見ている。拒否権はないと言いつつも返答を待っているようだ。
長い沈黙のあと、レーニエが口を開いた。
「イサ、私は」
「何してるんだ君達は?」
突然声をかけられた。二人は目を見開いて声のした方を向く。
ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061)がいた。
「行く場所がないのか? なら私と来い」
ヘザーはそれだけ言って背を向けた。
イサは少しの間考えてから、ヘザーについて行こうとした。
そして、いまだ固まっているレーニエに気づき、視線で促す。
レーニエも頷き、彼女に続いた。
●ジョセファ・スフォルツァ、王都へ
「王都に赴き、王女殿下に忠誠を示しなさい」
――お母様はそう言われました。律儀な方ですわ。
娘を一人で放り出すとか、何考えてるのかしらと言いたくなりますけれど。
実際来てみれば王都はごたごた。
王都に住む方々の暮らしが荒むのは、心が痛みますけれど、わたくしにはどうにもできません。
何日か街を巡回しましたけれど、独りでできそうなことはありませんでした。
ですがある日、わたくしはとんでもない所に出くわしたのです。
第六城壁の上においでになった王女殿下。
そして、それに対峙するマーロウ大公。
これだけでも大事件だというのに、これだけでは済みませんでした。
空から現れた黒い騎馬。
それを皮切りに、至る所に歪虚が現れたのです……。
そこでわたくしはようやく自分に出来ることを見つけました。すぐさま両腰のホルスターから愛すべき殺戮の双子を解き放ったわたくしは歪虚に鉛弾を浴びせるべく躍りかかったのです。
歪虚に対抗したのはわたくしだけではありませんでした。街の至る所から颯爽と現れたハンター達。王女殿下を守る役などはかれらがかっさらっていきました。
ヘザー・スクロヴェーニ様とはそこで出逢い、背中を預け合って戦いました。
そして戦いが終わった後、打ち上げをやるから来いと言われて、今は第七街区の外側にある広い場所にやって来ました。
ヘザー様の姿がありません。
どちらに行かれたのでしょうか……?
●ヘザー・スクロヴェーニと炎を囲む夜の集い
夜になっていた。そこには愉愚泥羅やヘザーのハンター仲間、その他にも様々な人間が集まっていた。かれらの中心には薪が積まれている。
木材を担いだヘザーがやってきた。誰かを伴っている。
ジョセファは突如として二丁拳銃を抜き放った。
ヘザーに向けたのではない。伴っている人物にだ。
「なぜ貴方がここにいるんですの?」
「よせ、今彼を撃つ必要はない」
問うジョセファ。ヘザーは銃口の前に立ちふさがった。
「その方がどなたか、おわかりでして?」
「ああ、よく知っている。――レーニエ・フォンヴェイユ。マーロウ派の貴族だろう」
レーニエは俯いていた。家の名が呼ばれた時、少しだけ体を強ばらせた。
その側にはイサが付き従っている。
「――もう決着はついた」
ヘザーはそう言って、一言付け加えた。
「終わったんだ」
「終わった……」
ジョセファはこれまでの事を思い返す。
「我が領地でも大きな混乱があった、王女殿下の結婚問題に端を発する一連の騒動が……終わったのですか?」
「ああ、王家とマーロウ家のゴタゴタは……終わった。ここで終わらさなければならないんだ」
「私も異存はない」
レーニエが口を開いた。
「もし許されるのなら……。
マーロウ派の貴族としてではなく、一人の王国の民として、やるべきことをやっていきたい」
「……ずるいですわ、先に折れるのは」
ジョセファはむくれた顔をして、銃を収めた。
「ですが、それならこれ以上銃弾を減らさなくて済みそうですわね……」
ヘザーは持ってきた木材を薪に加える。戦いで壊れた家の一部だったものだ。そして、それに火を付ける。
火は赤々と燃え上がり、闇夜を照らした。
「ようやく、立ち止まることができたんだ」
ヘザーは炎を見ながら言った。
「考える時なんだ。これまでの事、これからの事を……」
解説
夜。大勢の人間が集まって、炎を囲んでいます。
特に何かをする目的で集まったわけではありません。
基本フリートーク。
これまでの事を振り返るのも、これからの事を考えるのも、戦いで失われた者や傷ついた者のために祈るのも、戦いの終わりを祝って騒ぐのもいいでしょう。
PC同士の反省会や、舞台裏トーク(舞台上だけど)なども。
あるいは激しい意見の衝突とかあってもいいかもしれません(※当事者間で収める前提で)。
【羽冠】連動のひとつの締めの形です。
●NPC
ヘザー・スクロヴェーニ
王国平民。詳細はステシ参照。
レーニエ・フォンヴェイユ
マーロウ派貴族。
ハンター達とのやり取りを経て、考え方が変わりつつある。
イサ・ミソラ(伊佐美空)
転移者。
忠実なメイドかと思ったら実は肉食系女子だった。
ジョセファ・スフォルツァ
王家派貴族。
王国西部の貴族。当主は兄だが母が偉い。トリガーハッピー。
その他
愉愚泥羅メンバー(ヘザーのギルド、例によって字数の問題で削られた)とかはいますが、白馬隊はイサしかいません。スフォルツァ家はジョセファだけです。
プレイングで特に指定がない場合は、可能な限りこのうち誰かが絡みます。
特に何かをする目的で集まったわけではありません。
基本フリートーク。
これまでの事を振り返るのも、これからの事を考えるのも、戦いで失われた者や傷ついた者のために祈るのも、戦いの終わりを祝って騒ぐのもいいでしょう。
PC同士の反省会や、舞台裏トーク(舞台上だけど)なども。
あるいは激しい意見の衝突とかあってもいいかもしれません(※当事者間で収める前提で)。
【羽冠】連動のひとつの締めの形です。
●NPC
ヘザー・スクロヴェーニ
王国平民。詳細はステシ参照。
レーニエ・フォンヴェイユ
マーロウ派貴族。
ハンター達とのやり取りを経て、考え方が変わりつつある。
イサ・ミソラ(伊佐美空)
転移者。
忠実なメイドかと思ったら実は肉食系女子だった。
ジョセファ・スフォルツァ
王家派貴族。
王国西部の貴族。当主は兄だが母が偉い。トリガーハッピー。
その他
愉愚泥羅メンバー(ヘザーのギルド、例によって字数の問題で削られた)とかはいますが、白馬隊はイサしかいません。スフォルツァ家はジョセファだけです。
プレイングで特に指定がない場合は、可能な限りこのうち誰かが絡みます。
マスターより
坂上テンゼンに候。
解説で言いたいことを全て言ってしまいました。
イメージは某大作RPGの「最後かもしれないだろ?」のシーンが近いと思います。
解説で言いたいことを全て言ってしまいました。
イメージは某大作RPGの「最後かもしれないだろ?」のシーンが近いと思います。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/07/07 12:42