• 羽冠
  • 日常

【羽冠】その日、王都語り

マスター:京乃ゆらさ

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~6人
サポート
現在0人 / 0~6人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
3日
プレイング締切
2018/07/05 19:00
リプレイ完成予定
2018/07/19 19:00

オープニング

 王女だった娘は戴冠し、女王となった。
 セドリック・マクファーソン(kz0026)は聖ヴェレニウス大聖堂でシスティーナ・グラハム(kz0020) が“光”に宣誓し、冠を授かる姿を招待客と共に見守りながら、大きく息を吐いた。
 自分の役目は概ね終えた。
 もちろんこれで肩の荷が下りたというほどさっぱりと教会に戻れるとは思っていない。間違いなく今後もしばらくは同じように王国の政務を担当しなければならないだろう。が、それはともかくとして自分が絶対に完遂せねばならなかった最も重要な仕事を終えることができたという達成感があった。
 ――想定していたより貴族らの力を削ぐことはできなかったが……王位にさえ就いていれば多少はどうにかなるだろう。
 輝く王錫を手にして決然と宣言するシスティーナ女王陛下に拍手を送り、セドリックは一足早く王城へ戻った。

●戴冠記念日
 城の中もまた普段と異なり、浮かれたような雑然とした雰囲気が漂っているが、それも当然かとセドリックは思う。
 彼らは王がいないまま何年も出仕し続けた者たちだ。不安を抱えながら懸命に国に奉仕してきたことが報われたのだから、感動もひとしおであろう。今日ばかりはセドリックも注意することなく、ちょっとした雑務をいくつか処理した後で彼らの大半を帰宅させた。
 今夜は城のホールで舞踏会が開かれる予定になっており、文官にも参加する者が大勢いる。またそれに参加はしなくとも、街に繰り出してお祭り騒ぎに興じたい者もいるだろう。戴冠を記念したこの騒ぎは三日だけ許可しているため、王都の人々はきっちりと三日三晩騒ぎ続けるはずだ。
 ――祭りの後始末を考えると頭が痛くなるが……。
 セドリックは眉間を指で押さえ、四日後の苦労にため息をつく。とはいえ九年も待った戴冠、それを祝いたい気分を規制するというのもおかしな話であるし、自分自身そんな気分がないと言えば嘘になる。セドリックは自身が王政に関わることになった九年を思い返しながら執務室の清掃をし、部屋を出る。
 すれ違う女官は舞踏会の準備で忙しそうだ。しかしセドリックはそちらには関わっていない。本来貴族関係は門外漢であり、しかも舞踏などまるで別世界の話だからだ。
 王城を出ると、日は既に傾いていた。茜色に染まった王都を中心から眺め、何とも言い知れぬ感慨が胸をよぎる。
 一週間前に歪虚に襲われた街とは思えない。被害を最小限に食い止められたおかげであり、前へ進もうという人々が意識的に笑おうとしている証でもあるのかもしれない。
「……祭り、か」
 ふと思い立ち、セドリックは下町に繰り出してみることにした。目的もなく街を歩くなど普段なら絶対にしないが、今日くらいはそれもいいかと思った。
 城や教会にいてもどうせ仕事にならないのだ。システィーナ女王陛下も舞踏会が終われば面会が続くため、何かをする余裕はない。それなら一人で酒でも舐めながらこの雰囲気に浸ってもいいだろう。

 セドリックは自らにそう言い聞かせながら露店を冷やかして食べ歩く。
 買うのは主にからい串ものだ。それもリアルブルーからの輸入品と思しき見慣れぬものではなく、昔からある見慣れたものの方がいい。別に忌避感があるわけではないが、食に関してはあまり冒険する気が起きない。王女……女王陛下ならば嬉々として挑戦するのかもしれないが。
 ――それも今後は難しくなるのであろうか。
 陛下が気軽に街を出歩くわけにいかないし、口に入れるものにはより一層の警戒が必要になってくる。そう思うと少しばかり同情心も湧くが、それが“光”の思し召しであるのだから仕方があるまい。
 とりとめもなくそんなことを考えながらしばらく散策したセドリックは、日が暮れた頃に目についた酒場に入ってみた。
 薄暗い店内は外の喧噪から隔絶された静謐な空間だった。
 からん、と小さく響いたグラスの音が聞こえるほど落ち着いている。ピンと張りつめた聖堂の空気に少しだけ似ていて、セドリックは我知らず「ほう」と感嘆の声を漏らしていた。
 ――良い店を引き当てたのかもしれんな。
 店主であろうか――総白髪を撫で付けて後ろに流した老人が歓迎の意を示すように目を細め、無言で会釈してくる。その所作もまた矍鑠としていながら出しゃばっておらず、心地が良い。
 セドリックはカウンターに座って適当に酒を頼むと、一つ息をついた。ほんのりと木の香りが鼻をくすぐる。
 店内を見回せば小さなステージと、備え付けのオルガンがあった。今は誰も立っていないが、誰かが弾くこともあるのだろう。今夜誰かが立つのかは分からないが、それがなくとも十分楽しめそうな店だとセドリックは思う。
 戴冠記念日の夜は長い。
 この九年に思いでも馳せながら、ゆっくりと店を楽しむとしよう。

解説

▼目的
戴冠記念日を各々らしく過ごす

▼状況
場所は王都イルダーナ内+α。天候は晴天。時刻は昼から深夜。

PCはシスティーナが戴冠した日に王都に滞在しており、それぞれが適当に過ごすことになる。滞在理由は自由。特にこだわりがない場合は考えなくてよい。
ハンターであれば戴冠式(特設ページのノベル部分)に参列していても問題ない。ただ戴冠式自体は既に終わり、その日の午後という時間設定であるため、このリプレイで参列時のPCの様子を描く場合は回想する形になる。
OPにある舞踏会にも参加可能。

王都は歪虚襲撃の被害をざっと片付け、全体的にお祭り騒ぎになっている。貴族街である第一、第二街区は第三街区以降に比べればそれなりに落ち着いているが、それでも普段より多くの人に開放されている。
第三街区以降は人がひしめき合うような状態。飲み食い等を楽しむこともできるし、逆に音楽等を路上や店に飛び入りで披露して王都の人々を盛り上げることもできる。芸を披露した場合はおひねりをもらえる可能性がある。
店舗や露店の種類も各種揃っているため、プレで指定すればそこに行けるだろう。

騎士団に協力し、王都周辺を索敵して小規模な戦闘もできるだろう。

プレによるが、楽しむだけではなく何やかんやPCが知ったりすることもできる……かもしれないし、できないかもしれない。
王都にいるNPCにはだいたい接触できるため、おそらくその辺で何やかんやできる(?)。
接触可能なNPCは下記参照。

▼NPC
システィーナ:夜の舞踏会かその後の面会。
セドリック:夕方までは街なか、夜は酒場(バーあるいはパブ的な)。
エリオット:自宅
ヘクス:自宅
ゲオルギウス:騎士団本部
ヴィオラ:大聖堂
マーロウ:王都の邸

▼サポート
同行者等にどうぞ。

▼補足情報
依頼成功度は各人が思う存分に各人らしく過ごせたかによる。
幅広く色々やりたいプレより、一つか二つに絞ったプレの方が濃い描写ができると思われる。

マスターより

どうもです。京乃です。
簡単に言えばめでたい日にお祭りを楽しむ依頼です。サポートもついてますので、お気軽に甘いプレを書いてきてもいいんですよ!(

【羽冠】のシナリオはこれで終了で、あとはエピローグノベルがあるかも?
とはいえ全てのシナリオは繋がっています。タグはなくとも今回の連動の流れを受けたシナリオが展開され、それが次への入口となるのです。
今回で今後の難易度もばっちり決まりましたし、どんどん加速していきたいと思っておりますので、ぜひまたよろしくお願いします!

関連NPC

  • 聖堂教会大司教
    セドリック・マクファーソン(kz0026
    人間(クリムゾンウェスト)|44才|男性|一般人
  • グラズヘイム王国女王
    システィーナ・グラハム(kz0020
    人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/10/01 06:23

参加者一覧

  • フューネラルナイト
    クローディオ・シャール(ka0030
    人間(紅)|30才|男性|聖導士
  • ヌリエのセンセ―
    アルト・ハーニー(ka0113
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • 古塔の守り手
    クリスティア・オルトワール(ka0131
    人間(紅)|22才|女性|魔術師
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • システィーナのお兄さま
    ラィル・ファーディル・ラァドゥ(ka1929
    人間(紅)|24才|男性|疾影士
  • 這い寄る毒
    皐月=A=カヤマ(ka3534
    人間(蒼)|15才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/07/05 17:51:45