• 空蒼
  • 戦闘

【空蒼】世界の解を、思い描いた未来を

マスター:凪池シリル

シナリオ形態
イベント
難易度
やや難しい
参加費
500
参加人数
現在25人 / 1~25人
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/08/13 22:00
リプレイ完成予定
2018/08/22 22:00

オープニング

「はい! というわけで、ハンター芸能活動報告放送、気付けばエンディングのお時間となりました。本日は……」
 タイミングと共に流し始めたエンディングテーマと共に、締めの言葉を告げる。出演した者たちが次々に、一言と共に別れを告げて、今回の放送も無事に終わった。
 クリムゾンウェストからやって来た、あるいは帰って来た、ハンターたちによる芸能活動。その宣伝と報告をするWeb放送。
 無事に、何事もなく。予定通り、自分たちの活動を報告して、少し冗句を交えて笑いを誘って。それ以上でも以下でもなく、きちんと終了した。
 世界の激動は無論理解している。その上で、だからこそあえて彼らの姿を。いつも通りに。
 伊佐美 透(kz0243)としては今現在その方針に対し、不満があるわけでは無い──不安があるだけで。
 この放送自体は上手くいっている、と、思う。前回やった時は純粋にそう思えた。ぽつぽつと好評の声は聞こえていて……その中に『ハンターにもいろんな人が居て面白いと思った』という反応もあったことに。
 まだ隔てられた形ではあっても、一人一人というものを見せていけるのだと、思った。少しずつ、『英雄』『超人』以外の姿を見せていくことが出来れば、別の理解も得られるだろうと。……いつか帰る場所に、かつての在り方で戻れるかもしれない、と。
 ……だけど、ゆっくりと、少しずつでも。そう悠長に構えているには、今の世界の変化はあまりにも激しすぎて。
 己が望む未来を掴む方法はあるのだろうか。足掻こうが足掻くまいが、その答えはもはや決まっているのかもしれない。だが、それを識る事は叶わない中で。

『臨時ニュースです』

 それでもやってくる。心を定めなければならなくなる、その時が。

『強化人間の施設で、またも暴走事件が発生いたしました──』




 ドスン、と、地が揺らいだ。
 訝しんで、友人たちと部屋を出る。異変を探すべく施設内を軽く歩いて……。
「何、これ……?」
 そうして、廊下に穴が開いているのを発見した。直径一メートルほど、ど真ん中から崩れるようにして出来たのだろうそこから、地面が。深く穴を覗かせる状態で、見えている。
 突如そこから何かがズルズルと音を立てて姿を現す。地面の穴から生えてきたそれは、巨大化したミミズ、を、もっと醜悪にしたような怪物だった。穴の中から2mほど姿を現したそれは上部が頭に当たるのだろうか、その部分だけよく見る狂気の個体を思わせる一つ目じみたフォルムがあった。それを顔とするなら口腔に当たる部分から、じゅるじゅると長く粘液を滴らせる触手を生やしている。あとは、ぶよぶよとしたミミズめいた胴体だ。黒ずんだピンク色が憎々しく蠢いて生理的嫌悪を催す。
「「「あああああぁあああっ!!!」」」
 次の瞬間、上がった悲鳴は。
 その姿を見た者たちだけじゃない、施設のあちこちで。同時に巻き起こった。
 ここに居る強化人間たちが一斉に、頭を押さえて苦し気に呻き始める。
 頭を真っ黒に塗りつぶそうかというような衝動。寒気。理解する。ずっと恐れてきたことが、とうとう自分たちにも、と。
「あ、あああ、あははははは……きた、アタシたちにも来た……やっと」
 やっと。
 傍の友人が零した言葉に、少女は震えた。
 ああそうだ。ずっと恐れていたことは、その実、ずっと待ち望んでいたことでもあったのだ。だって、これで、もう、怯えなくていいんだ。いつ暴走するかと怖れ続ける日々はこれでようやく終わる。ここで、暴走さえ、してしまえば。
「駄……目っ!」
 気力を振り絞って、少女は衝動に、誘惑に耐える。目の前の扉が開く。別の友人が部屋から出てきた……意志の光を失ったような瞳で。
「殺す……殺してやる……化け物どもを、全部……!」
「駄目ぇっ!」
 止めるべく、少女は駆けだした。タックルするように絡みつき、暴れる相手を抑え込もうとする。そんな少女を、暴走した相手は容赦なく打ち据える。
「そんなの、駄目だよ! お願い、正気に戻って! 私たち、私たちは……!」
 必死の少女に、頭を押さえて動けない一人が、諦めの声を上げる。
「もうどうにもならない! このまま狂うか仲間に殺されるか、あの化け物に殺されるか、それ以外に何がある!?」
 絶望的。だが状況を踏まえれば正しい予測と言える叫びに。
「……私たちの状況は監視されてる! だからきっと、ハンターさんたちがここに来てくれる!」
「来たからって! それこそどうなるんだよ!? 暴走した強化人間として、まとめて殺されるだけだろ!?」
 再び、叫ぶ、言葉に。
「違う!」
 少女は、きっぱりと、叫び返した。
「ハンターさんたちは助けてくれる! 絶対に私たちを助けてくれる! 諦めさえしなければ!」
 諦めようとする仲間の姿に。思い浮かぶ言葉があった。
 助かる方法は分からない、きっと長く苦しむだけ、諦めて壊れた方が楽だ、と。
 否定的なその言葉が、でも、少女を支えている。その指には、大したことない安っぽい輝きを放つ石が嵌まった指輪が輝いている。
「……本当、に?」
 力強く言い放った少女の言葉に、ずっと傍らで呻いていた友人が頭を上げた。その瞳には、僅かに光が戻っている。そうして。
「誰か! まだ無事な奴は居るか! 皆頑張れ! ハンターさんたちが来るまで、僕たちがこの場所を抑えるんだ!」
 飛び出してくる少年。その手には、少女と対になる指輪。




「すみません!」
 事件をうけて行動を開始した一行に近づいてくる者が居た。一目で報道機関の人間と知れた。Web放送があった直後だ。ここにハンターが居ると分かって、動くだろうと読んでやってきたのだろう。
「事件のあった施設へ向かわれるのですね!? 一言お願いします! ──危険な強化人間たちは倒されるのでしょうか!?」
 それを。
 まっすぐに、期待に満ちた目で言われたことに、透は思わず動きを止めて相手を見返していた。
 周囲の空気が変わっていく。報道機関の一言に、事態を理解した人々が顔色を変えていく。
「そっか! ハンターの人たちがもういるのか! それなら安心だな!」
「頑張れー! 強化人間なんてぶっ倒して!」
 放たれる、熱狂的な声。視線。その温度。その意味。
 憧れに満ちた目で、次々と叫ばれる。強化人間たちを──どうしろって? そんな気軽に言う事なのか? それは。
 ……違う。こうじゃ、無い筈だ。望んでいたものは。描く未来の姿は。
 向かう先。何が起きているのか、何が出来るのか、この時点で分かっていたわけじゃない。それでも。
「俺は。俺が帰りたいと願う世界を守るために、戦いに行きます」
 一言をというならば、それでも願う形を。口にしていた。
 心に迷いはあったが、堂々と。半ば染みついた習性だ。メディアの前では望まれる自分を崩さない。
 まだ曖昧な言葉。でも、結果として想いははっきりしてしまったと自覚した。

解説

●目的
強化人間暴走事件の収束。

●状況
施設内の強化人間、約30名。うち3割程が完全に暴走。3割が何とか行動できる状態で理性を保ち、4割が暴走をこらえて身動きできない状態。この比率は依頼中変化する。
また、巨大ミミズのようなVOIDが施設内に出現している。地中に潜り床を破壊しながら、施設のあちこちに姿を現す模様。強化人間の状態に関わらず近くに居る者に攻撃を加える。粘液を纏った触手による攻撃は、「BS:移動不能」「BS:毒」効果があるものがある。強度は不明。体長は4mほどで、サイズ2となるが、地中から半ばだけ身体を出した状態を範囲攻撃などに対しサイズ1相当、と判定する場合もある。
暴走しているものを行動できるものが必死で抑え込んでいる現状。だが、躊躇いがない分暴走側が有利。

●特記事項
【直前にweb放送に参加していたアイドルであるか否か】が、プレイングで分かるように記述すること。これが不明な場合正しく描写されない場合がある。
【参加】である場合、放映直後にこの事件が起きたという状況を踏まえ、事件中及び事件後の言動がよりメディアに注目されやすく、顔と名前が売れている性質上尾を引きやすい、という注意点が発生する。【非参加】である場合、逆に何か訴えようとしても後回しにされる可能性がある。
到着時刻、装備などに差異は無い。アイドル組の装備もオフィスが上手く手を回してくれたものとする。
メディアは渦中の施設には勿論近づけないが、戦闘が屋外まで出た場合遠方から撮影される可能性はある。また監視カメラ映像などは提出を求められるかもしれない

●NPCについて
ハンターとして本作戦に同行する。闘狩人。
何か色々想うところはあるものの、基本的にはPCの意向を無視した行動は取らず全体の方針に従うものとする。むしろPCからの接触が無ければリプレイには登場しない。逆に何かやらせたければ要請は出来るが実行するかは内容次第。

マスターより

凪池です。ありとあらゆる場所で字数が足りない(
アイドル組とそうでない組、それぞれの立場ですべきことやるべきでないこと、なんか色々やれそうなあれこれがあるんじゃないかなーとかまあそういう。
おっとそうです渦中の施設には「【空蒼】いつか儚く消えてしまうのならば」に出演していた少年少女が居ます。二人ともまだ正気です、というか現状は一番しっかりしてるみたいです。現状は。
NPCは要するに、本人の希望はあるもののこいつがPCさんの作戦ぶっ壊すようなことはしないのでそこは安心してくださいってのと逆にこいつが能動的に事態を打開する何かを勝手にすることもありえませんという奴ですね。未来はPCの手でどうぞ。

関連NPC


  • 伊佐美 透(kz0243
    人間(リアルブルー)|28才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/08/18 08:29

参加者一覧

  • 赤黒の雷鳴
    アニス・テスタロッサ(ka0141
    人間(蒼)|18才|女性|猟撃士
  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガン(ka0471
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人
  • 無明に咲きし熾火
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 矛盾に向かう理知への敬意
    初月 賢四郎(ka1046
    人間(蒼)|29才|男性|機導師
  • 献身的な旦那さま
    テオバルト・グリム(ka1824
    人間(紅)|20才|男性|疾影士
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラント(ka2531
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • シグルドと共に
    未悠(ka3199
    人間(蒼)|21才|女性|霊闘士
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 甘苦スレイヴ
    葛音 ステラ(ka5122
    人間(蒼)|19才|女性|舞刀士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎(ka6016
    人間(蒼)|22才|女性|格闘士

  • 門垣 源一郎(ka6320
    人間(蒼)|30才|男性|疾影士
  • 天使にはなれなくて
    メアリ・ロイド(ka6633
    人間(蒼)|24才|女性|機導師
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • 好奇心の化物
    龍宮 アキノ(ka6831
    人間(蒼)|26才|女性|機導師
  • ルル大学防諜部門長
    フィロ(ka6966
    オートマトン|24才|女性|格闘士
  • 碧蓮の狙撃手
    ニーロートパラ(ka6990
    ドラグーン|19才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/08/13 07:47:12
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/08/12 22:31:51
アイコン 相談卓
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2018/08/13 20:35:41