ゲスト
(ka0000)
暗中模索のマスケラータ
マスター:樹シロカ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
関連ユニオン
魔術師協会広報室- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/10/16 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/10/30 07:30
オープニング
同盟第一の港湾都市との呼び名も高く、美味い魚介料理を出す店がひしめくポルトワール。
今は夜更けとあって、賑わいも裏通りに主役を譲り、いずれの料理屋も既に明かりを落とし、戸締りを終えつつあった。
通りに面した店のひとつ、『金色のカモメ亭』も同様だったが、鎧戸を締め切った店の2階では店主のジャンが大げさな溜息をつく。
「あ・の・ね。これだけしょっちゅう集まってたら、流石にバレてると思うわヨ?」
「ごめんなさい、ジャン。でもどうせ貴方の店だもの、最初から監視されてると思って。それに今は、監視されていたほうが都合がいいの」
営業用の完璧な笑顔でそう返したのは、同盟軍報道官のメリンダ・ドナーティ(kz0041)だ。
室内にはメリンダの依頼を受けたハンター達と、ほかに2人の男女。
そのうちのひとり、ヴァネッサ(kz0030)がからからと笑う。
「悪いね。私のヤサに軍の監視はさすがに遠慮したいんだ」
「仕方ないわネ。その代わり、ちゃんと食事していくのヨ!」
金髪の大男はそう言って、逞しい腕を組む。
メリンダは軽く肩をすくめてみせて、話し始めた。
「ハンターの皆様を巻き込んでしまってすみません。ですが今となっては、皆様しか信用できる人がいないのです」
メリンダは笑いを収め、ひとりひとりの顔を見つめる。
先日、リアルブルー崑崙基地の伝手であるアスタリスク(kz0234)から送られてきた報告によると、押収された薬品はやはり某国の軍で廃棄処分になった興奮剤だった。
戦場での恐怖を和らげるための薬だが、人によっては正常な判断力を著しく損なうことがあり、また依存性が高いことから採用が中止されたものだという。その廃棄を任された業者が、何らかの方法でクリムゾンウェスト――化学薬品の知識に乏しく、そこに住む人々の薬剤耐性も低い――の商人に横流ししたものと推測された。
当然、まともな薬ではないのだから、商人を捕まえてしまえばいい。
だが売り渡した相手が同盟陸軍の将校ネスタ大佐だったことが、話を複雑にしていた。
ジャンが鼻を鳴らす。
「ケンカするなら、上手くやらないと逆に潰されるわネ」
メリンダも頷いた。
「そうなるでしょうね」
ポルトワール界隈での騒ぎには陸軍が出動することも多い。実際、ネスタ大佐はその守備隊の責任者だ。
薬をばらまきながら、都合の悪い証拠を握りつぶしてしまえる立場なのだから、これまで発覚しなかったのも当然といえる。
「だから告発するにせよ、大佐に自ら退いていただくにせよ、もう少し証拠固めが必要になります」
メリンダに伝手が全くない訳ではない。
だが組織の中で戦うには、巻き込む相手の安全も図る必要があった。少なくとも、大佐”個人”が私腹を肥やすためにやっていたことなのかを確認したかった。
ヴァネッサがうんざりという様子で手を振る。
「自分の懐をあっためるんじゃなきゃ何だっての? 軍のもっとエライ奴が、そんなヤバい薬を使おうとしてるって訳だ? たまんないね」
メリンダ個人に対しての嫌悪感はハンター達のおかげで薄れたが、『自分の街』で偉そうにしている軍人を好む理由はない。
「そうでなければいい、と個人的には願っています」
答えるメリンダの表情は人形のように硬かった。
そうではない、とメリンダが言いきれない理由があった。
ヒントをくれたのは、情報部将校のフィンツィ少佐である。
『覚醒者ではない軍人を歪虚に対応させるのは、無駄であるだけでなく人命軽視ではないのか?』
これまで幾度かほのめかされた疑問は、誰もが感じていることだろう。
その解決策を軍が全く考えていないはずもない。
ネスタ大佐が、もし――。
メリンダの思考は男の声で中断された。
「ところで、ピエリ商会もそろそろ不審に思って騒ぎ出しかねませんが」
崑崙基地でハンター達によって救出されたマネッティ曹長だ。
かつての部下たちと再会し、互いの無事を確認できたことで、今度はハンター達に協力させてほしいと申し出たのだ。
「ロッソがもう崑崙へ出撃したのですから、コンテナだけを残してあのニルデとかいう女が戻らなければ、面倒なことになりますよ」
ニルデとは、崑崙基地で捕まえた密輸犯の名だ。ピエリ商会の担当者として崑崙基地に訪れるうちにこの取引に関わり、雇い主に無断で随分と儲けていたようだ。
「仰る通りですね。……ひとつ提案があります。彼女を使って、逆に取引相手を炙り出すというのは如何でしょうか」
メリンダは目前の事項を順に片付けていくことに決めた。
今は夜更けとあって、賑わいも裏通りに主役を譲り、いずれの料理屋も既に明かりを落とし、戸締りを終えつつあった。
通りに面した店のひとつ、『金色のカモメ亭』も同様だったが、鎧戸を締め切った店の2階では店主のジャンが大げさな溜息をつく。
「あ・の・ね。これだけしょっちゅう集まってたら、流石にバレてると思うわヨ?」
「ごめんなさい、ジャン。でもどうせ貴方の店だもの、最初から監視されてると思って。それに今は、監視されていたほうが都合がいいの」
営業用の完璧な笑顔でそう返したのは、同盟軍報道官のメリンダ・ドナーティ(kz0041)だ。
室内にはメリンダの依頼を受けたハンター達と、ほかに2人の男女。
そのうちのひとり、ヴァネッサ(kz0030)がからからと笑う。
「悪いね。私のヤサに軍の監視はさすがに遠慮したいんだ」
「仕方ないわネ。その代わり、ちゃんと食事していくのヨ!」
金髪の大男はそう言って、逞しい腕を組む。
メリンダは軽く肩をすくめてみせて、話し始めた。
「ハンターの皆様を巻き込んでしまってすみません。ですが今となっては、皆様しか信用できる人がいないのです」
メリンダは笑いを収め、ひとりひとりの顔を見つめる。
先日、リアルブルー崑崙基地の伝手であるアスタリスク(kz0234)から送られてきた報告によると、押収された薬品はやはり某国の軍で廃棄処分になった興奮剤だった。
戦場での恐怖を和らげるための薬だが、人によっては正常な判断力を著しく損なうことがあり、また依存性が高いことから採用が中止されたものだという。その廃棄を任された業者が、何らかの方法でクリムゾンウェスト――化学薬品の知識に乏しく、そこに住む人々の薬剤耐性も低い――の商人に横流ししたものと推測された。
当然、まともな薬ではないのだから、商人を捕まえてしまえばいい。
だが売り渡した相手が同盟陸軍の将校ネスタ大佐だったことが、話を複雑にしていた。
ジャンが鼻を鳴らす。
「ケンカするなら、上手くやらないと逆に潰されるわネ」
メリンダも頷いた。
「そうなるでしょうね」
ポルトワール界隈での騒ぎには陸軍が出動することも多い。実際、ネスタ大佐はその守備隊の責任者だ。
薬をばらまきながら、都合の悪い証拠を握りつぶしてしまえる立場なのだから、これまで発覚しなかったのも当然といえる。
「だから告発するにせよ、大佐に自ら退いていただくにせよ、もう少し証拠固めが必要になります」
メリンダに伝手が全くない訳ではない。
だが組織の中で戦うには、巻き込む相手の安全も図る必要があった。少なくとも、大佐”個人”が私腹を肥やすためにやっていたことなのかを確認したかった。
ヴァネッサがうんざりという様子で手を振る。
「自分の懐をあっためるんじゃなきゃ何だっての? 軍のもっとエライ奴が、そんなヤバい薬を使おうとしてるって訳だ? たまんないね」
メリンダ個人に対しての嫌悪感はハンター達のおかげで薄れたが、『自分の街』で偉そうにしている軍人を好む理由はない。
「そうでなければいい、と個人的には願っています」
答えるメリンダの表情は人形のように硬かった。
そうではない、とメリンダが言いきれない理由があった。
ヒントをくれたのは、情報部将校のフィンツィ少佐である。
『覚醒者ではない軍人を歪虚に対応させるのは、無駄であるだけでなく人命軽視ではないのか?』
これまで幾度かほのめかされた疑問は、誰もが感じていることだろう。
その解決策を軍が全く考えていないはずもない。
ネスタ大佐が、もし――。
メリンダの思考は男の声で中断された。
「ところで、ピエリ商会もそろそろ不審に思って騒ぎ出しかねませんが」
崑崙基地でハンター達によって救出されたマネッティ曹長だ。
かつての部下たちと再会し、互いの無事を確認できたことで、今度はハンター達に協力させてほしいと申し出たのだ。
「ロッソがもう崑崙へ出撃したのですから、コンテナだけを残してあのニルデとかいう女が戻らなければ、面倒なことになりますよ」
ニルデとは、崑崙基地で捕まえた密輸犯の名だ。ピエリ商会の担当者として崑崙基地に訪れるうちにこの取引に関わり、雇い主に無断で随分と儲けていたようだ。
「仰る通りですね。……ひとつ提案があります。彼女を使って、逆に取引相手を炙り出すというのは如何でしょうか」
メリンダは目前の事項を順に片付けていくことに決めた。
解説
●このシナリオについて
『【港騒】空の彼方のスケルツォ』の少し後、大規模作戦の直前の時間軸になります。
大規模作戦に参加される方は、このシナリオの後に出動したとします(重体やアイテムの破損を、出発時に反映させないため)。
今回初参加のPC様は、同行PC様やNPCから経緯を聞いた上で参加とします。
●メリンダの提案
前回捕まえたニルデという女を取引に向かわせます。そこに現れた人物を捕らえる、もしくは後をつけて正体を探ります。
参加者様は、ニルデに雇われたごろつきなど、不自然でない役割で彼女を監視・保護します。
例:荷物運び、運転手、用心棒、ほか。他の案がありましたら、皆様で相談してください。
マネッティと元部下も必要であれば同行。指定がなければ、マネッティのみ参加、荷物運びを担当します。荷物はスーツケースひとつです。
また周辺はヴァネッサが部下を率いて監視します。
取引相手がニルデの口封じや、荷物の強引な奪還などに出た場合は、事前にヴァネッサが気づいて知らせますので、連絡手段は打ち合わせておいてください。
またメリンダは、信用できる何人かの軍人に協力を頼めないか、伝手を当たります。
●取引場所
ポルトワールの倉庫街の一隅の廃屋。時間は夜中。周囲は建物などが多く見通しが悪い。明かりはない。
●ほか
今後について一言提案をお願いします。
大佐を正当な方法で告発するか、ひとまず今回の件が片付けばよしとするか。
選択によって次回の難易度やメリンダの処遇が変わる可能性があります。
●同行NPC
マネッティ曹長:中肉中背の30前後の男性。元軍属。経緯はシリーズ過去作参照。
ニルデ:細身の40前後の女性。海千山千の商人。ヴァネッサの隠れ家に捕らえられている。
フィンツィ少佐:情報部将校。今回は姿を見せず。メリンダに語った内容は、メリンダを通じて聞き出すことが可能。ただしシナリオの直接の目的ではない。
『【港騒】空の彼方のスケルツォ』の少し後、大規模作戦の直前の時間軸になります。
大規模作戦に参加される方は、このシナリオの後に出動したとします(重体やアイテムの破損を、出発時に反映させないため)。
今回初参加のPC様は、同行PC様やNPCから経緯を聞いた上で参加とします。
●メリンダの提案
前回捕まえたニルデという女を取引に向かわせます。そこに現れた人物を捕らえる、もしくは後をつけて正体を探ります。
参加者様は、ニルデに雇われたごろつきなど、不自然でない役割で彼女を監視・保護します。
例:荷物運び、運転手、用心棒、ほか。他の案がありましたら、皆様で相談してください。
マネッティと元部下も必要であれば同行。指定がなければ、マネッティのみ参加、荷物運びを担当します。荷物はスーツケースひとつです。
また周辺はヴァネッサが部下を率いて監視します。
取引相手がニルデの口封じや、荷物の強引な奪還などに出た場合は、事前にヴァネッサが気づいて知らせますので、連絡手段は打ち合わせておいてください。
またメリンダは、信用できる何人かの軍人に協力を頼めないか、伝手を当たります。
●取引場所
ポルトワールの倉庫街の一隅の廃屋。時間は夜中。周囲は建物などが多く見通しが悪い。明かりはない。
●ほか
今後について一言提案をお願いします。
大佐を正当な方法で告発するか、ひとまず今回の件が片付けばよしとするか。
選択によって次回の難易度やメリンダの処遇が変わる可能性があります。
●同行NPC
マネッティ曹長:中肉中背の30前後の男性。元軍属。経緯はシリーズ過去作参照。
ニルデ:細身の40前後の女性。海千山千の商人。ヴァネッサの隠れ家に捕らえられている。
フィンツィ少佐:情報部将校。今回は姿を見せず。メリンダに語った内容は、メリンダを通じて聞き出すことが可能。ただしシナリオの直接の目的ではない。
マスターより
お世話になっております、樹シロカです。
私事によりシリーズの続編が遅くなりまして、申し訳ありませんでした。
今回は基本はシンプルです。捕らえるのか、後をつけるのかは打ち合わせておいてください。
後をつけるのは地の利のあるヴァネッサに任せて構いません。
メリンダが今後どうするかについても、ご意見を窺えたらと思います。
それから解説に入りませんでしたが、ピエリ商会については「シロ」です。あくまでもニルデが私腹を肥やしていた形になります。
大規模作戦でご多忙中とは思いますが、引き続きご参加いただけましたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
私事によりシリーズの続編が遅くなりまして、申し訳ありませんでした。
今回は基本はシンプルです。捕らえるのか、後をつけるのかは打ち合わせておいてください。
後をつけるのは地の利のあるヴァネッサに任せて構いません。
メリンダが今後どうするかについても、ご意見を窺えたらと思います。
それから解説に入りませんでしたが、ピエリ商会については「シロ」です。あくまでもニルデが私腹を肥やしていた形になります。
大規模作戦でご多忙中とは思いますが、引き続きご参加いただけましたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/10/30 01:21
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/15 18:42:58 |
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金色のカモメ亭(相談卓) パトリシア=K=ポラリス(ka5996) 人間(リアルブルー)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/10/16 06:50:59 |