ゲスト
(ka0000)
【血断】絶え間無い戦慄に、問う
マスター:凪池シリル

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 不明
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- ユニット参加人数
- 現在5 / 0~25
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/03/29 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/04/12 07:30
オープニング
任務を終えて帰還する。転移門を通ると、ふっと僅に力が抜けると共に、見慣れたリゼリオの景色が広がっていて。
「いっ……てぇ……」
そこで気持ちが緩んだのか、伊佐美 透は全身の傷に苦痛の呻きを漏らした。
この場で倒れこむわけにも行かない。残った気力を総動員してふらつく身体を動かすと、座れる場所を見つけてへたりこむように身を預ける。
常人ならざる肉体だ。ここまで傷付いても、放っておいてもかなりの早さで勝手に治る。最低限の止血といった処置は戻る前に済ませてあって、だからこれ以上治癒の手を煩わせる気にもなれなかった。最早怪我することなど日常で……それでも、完治するまで痛いものは痛い。
……行ってきたのはまたも、世界結界の綻びから襲撃してきた歪虚の討伐だった。現場となった村は前に行った町より避難の熟練度が高くはなく……狼狽え逃げ遅れる人々をとにかく庇い続けていたらここまでになっていた。
名誉の為に言うと同行した人たちは優秀だった。あれほど混迷とした状況でよくぞ敵だけを十分な効率で殲滅してくれたものだと思う。彼らの活躍があったからこそ重体になるには至らずに事態を終わらせることが出来た。
……今回は。
敵の攻撃。村人に向かう数。庇いながらなんとなく、まあ死にはしないだろう、と意識していた自覚はある。そのまま。ああ、これ以上は死ぬな、と思ったら、自分はどうしていたのか。
──また叶えたい夢がある、自分は。
分からない。これまで何度か、思わず命を、夢を賭けるようなこともそういえばあった。だけど結局、相手を、状況を選んでの事だった気も、する。
……あまりにも今更なのかも知れないが。今、この世界で。こんな世界で、夢を願うということはどういう事だったのだろう。これまではただひたすら願い、走り続けてきた、それでも何となくどうにかなってきたけれども。
この世界。こんな世界、だ。
世界結界の綻びから現れる敵に対してはどうしても出現してからの出撃になる。……どんなに急いでも、現場にたどり着くまでに犠牲は出ていた。
エバーグリーンにも行った。滅び行く世界。手伝ってもらっても彼らの故郷はもう救いようが無いのか、と思いながらオートマトンを回収した。
その他、各地の戦いも僅ながら関わった。いくつもの光景を見た。
嗚呼、
悲しい。
悲しい。
悲しい、な。
──……なのに俺はまだ、自分の事ばかり考えるのか。
全身の痛みを思い出した。傷が包帯に擦れる。空気を感じる度に痛みが走る。軽く身じろぎすれば打たれた筋肉が悲鳴を上げて、血が流れる不快な感触が肌を這った。苦しい。けど、その程度がなんだというのだ。今もこの世界の何処かで起きていることに比べて、そんなもの。
同時に二つの事が浮かんだ。
まだ足りない。もっと差し出せ。今、それでも夢を叶えるとはそう言うことだ。何もかもを犠牲にして踏みにじって進め。友情のつもりでいた何かすらも。
もう止めよう。やはり今はそんな場合では無いのだ。個のことは己も他人も含め全てさておけ。世界を正しくするそれまでは。今は皆そうあるべきだ。
どちらにも何処か納得する部分はあって、でもどちらも足りないと思った。何に。
(……アイツに応えるには)
ああ、結局そこに辿り着くのか。何かに苦しみ、己から離れていった戦友のこと。中途半端な身で、それでも何とかやってこれたように見えたのはその存在があったからだ。それを置き去りにしたまま進むのは……あんまりじゃないか。
答えなきゃいけないと思う。ただ拒絶されるならそれは受け入れるべきものだろう。だけどもし……苦しんでいるのなら、それには、向き合いたい。それは、俺の役目じゃないのか。
……そのためには。
自分は今、何を覚悟し、示せばいいのか。
ただきっと何とかなる、同じ気持ちだ、と言うだけでは駄目な気がしていた。半端に手を伸ばして結局振り払うような事にはなりたくない。望まないいざが起こったとき、自分は本当にどうするのか。それを見つめて。認めて。彼に伝えられる答えとはなんなのか。
苦痛に滲む視界で、ぼんやりとオフィスの様子を眺めていた。
夢のためだといって自分がずっと目を反らしてきた物がここにあるのだろうか。
今更でも、今からでも、向き合ってみようか。
世界は何を求めているのか。
ハンターになるとはどういう事だったのか。
……己はそれでも、何を想う?
ふらり、時間がたって少し楽になった身体で立ち上がると、資料室へと歩き始めた。いろんな人の考えが知りたい。姿が見たいと思った。今、どんな皆はどんな思いで戦い続けているのか。他人に答えを教えてもらうものでも無いだろうが……己の中を探り出すための何かをそこに見付けられないかと思った。
「いっ……てぇ……」
そこで気持ちが緩んだのか、伊佐美 透は全身の傷に苦痛の呻きを漏らした。
この場で倒れこむわけにも行かない。残った気力を総動員してふらつく身体を動かすと、座れる場所を見つけてへたりこむように身を預ける。
常人ならざる肉体だ。ここまで傷付いても、放っておいてもかなりの早さで勝手に治る。最低限の止血といった処置は戻る前に済ませてあって、だからこれ以上治癒の手を煩わせる気にもなれなかった。最早怪我することなど日常で……それでも、完治するまで痛いものは痛い。
……行ってきたのはまたも、世界結界の綻びから襲撃してきた歪虚の討伐だった。現場となった村は前に行った町より避難の熟練度が高くはなく……狼狽え逃げ遅れる人々をとにかく庇い続けていたらここまでになっていた。
名誉の為に言うと同行した人たちは優秀だった。あれほど混迷とした状況でよくぞ敵だけを十分な効率で殲滅してくれたものだと思う。彼らの活躍があったからこそ重体になるには至らずに事態を終わらせることが出来た。
……今回は。
敵の攻撃。村人に向かう数。庇いながらなんとなく、まあ死にはしないだろう、と意識していた自覚はある。そのまま。ああ、これ以上は死ぬな、と思ったら、自分はどうしていたのか。
──また叶えたい夢がある、自分は。
分からない。これまで何度か、思わず命を、夢を賭けるようなこともそういえばあった。だけど結局、相手を、状況を選んでの事だった気も、する。
……あまりにも今更なのかも知れないが。今、この世界で。こんな世界で、夢を願うということはどういう事だったのだろう。これまではただひたすら願い、走り続けてきた、それでも何となくどうにかなってきたけれども。
この世界。こんな世界、だ。
世界結界の綻びから現れる敵に対してはどうしても出現してからの出撃になる。……どんなに急いでも、現場にたどり着くまでに犠牲は出ていた。
エバーグリーンにも行った。滅び行く世界。手伝ってもらっても彼らの故郷はもう救いようが無いのか、と思いながらオートマトンを回収した。
その他、各地の戦いも僅ながら関わった。いくつもの光景を見た。
嗚呼、
悲しい。
悲しい。
悲しい、な。
──……なのに俺はまだ、自分の事ばかり考えるのか。
全身の痛みを思い出した。傷が包帯に擦れる。空気を感じる度に痛みが走る。軽く身じろぎすれば打たれた筋肉が悲鳴を上げて、血が流れる不快な感触が肌を這った。苦しい。けど、その程度がなんだというのだ。今もこの世界の何処かで起きていることに比べて、そんなもの。
同時に二つの事が浮かんだ。
まだ足りない。もっと差し出せ。今、それでも夢を叶えるとはそう言うことだ。何もかもを犠牲にして踏みにじって進め。友情のつもりでいた何かすらも。
もう止めよう。やはり今はそんな場合では無いのだ。個のことは己も他人も含め全てさておけ。世界を正しくするそれまでは。今は皆そうあるべきだ。
どちらにも何処か納得する部分はあって、でもどちらも足りないと思った。何に。
(……アイツに応えるには)
ああ、結局そこに辿り着くのか。何かに苦しみ、己から離れていった戦友のこと。中途半端な身で、それでも何とかやってこれたように見えたのはその存在があったからだ。それを置き去りにしたまま進むのは……あんまりじゃないか。
答えなきゃいけないと思う。ただ拒絶されるならそれは受け入れるべきものだろう。だけどもし……苦しんでいるのなら、それには、向き合いたい。それは、俺の役目じゃないのか。
……そのためには。
自分は今、何を覚悟し、示せばいいのか。
ただきっと何とかなる、同じ気持ちだ、と言うだけでは駄目な気がしていた。半端に手を伸ばして結局振り払うような事にはなりたくない。望まないいざが起こったとき、自分は本当にどうするのか。それを見つめて。認めて。彼に伝えられる答えとはなんなのか。
苦痛に滲む視界で、ぼんやりとオフィスの様子を眺めていた。
夢のためだといって自分がずっと目を反らしてきた物がここにあるのだろうか。
今更でも、今からでも、向き合ってみようか。
世界は何を求めているのか。
ハンターになるとはどういう事だったのか。
……己はそれでも、何を想う?
ふらり、時間がたって少し楽になった身体で立ち上がると、資料室へと歩き始めた。いろんな人の考えが知りたい。姿が見たいと思った。今、どんな皆はどんな思いで戦い続けているのか。他人に答えを教えてもらうものでも無いだろうが……己の中を探り出すための何かをそこに見付けられないかと思った。
解説
フリー描写系シナリオとなります。
貴方が登場する報告書をNPCが読んでいる、というシチュエーションになります。貴方が何らかの依頼を受け活動したという結果、その際の特に貴方の今の心境やスタンスが際立つような行動や心情の一部分を、自由に記載してください。
激しい戦いの連続の中、後手になる結界の綻びへの対策、滅び行くエバーグリーンなどに行きながらどう思うのか。
実際に参加したシナリオである必要はありません。「(常識的な内容という前提で)こんな依頼に行き、こんなことを思いながら戦った」ということをフリーに語り事実化出来るものとします。
実際に参加したシナリオで、書ききれなかった心情の補完、等に用いてもいいのですが、このリプレイ参照、といったプレイングは不可とします。その場合でも、内容の概要を軽く書いてもらう形でお願いします。
注意点として、ネームド敵NPCや他ディブの状況については整合性の確認が保証出来ないため却下となる可能性が高いです。【血断】連動に関連した小さな依頼を推奨します。
なお、あくまで「NPCが勝手に貴方の報告書を読んでるだけ」なので、そちらが彼を意識する必要は一切ありません。依頼成功度に彼の役に立ったかは関係なく、皆さんの心情整理の場としてご自由にご利用いただくのが本依頼の趣旨です。
その上で、敢えてオフィスに登場して彼と関わる、といった形の参加も可とします。
とかく、心情整理の場としてご自由にどうぞ。
貴方が登場する報告書をNPCが読んでいる、というシチュエーションになります。貴方が何らかの依頼を受け活動したという結果、その際の特に貴方の今の心境やスタンスが際立つような行動や心情の一部分を、自由に記載してください。
激しい戦いの連続の中、後手になる結界の綻びへの対策、滅び行くエバーグリーンなどに行きながらどう思うのか。
実際に参加したシナリオである必要はありません。「(常識的な内容という前提で)こんな依頼に行き、こんなことを思いながら戦った」ということをフリーに語り事実化出来るものとします。
実際に参加したシナリオで、書ききれなかった心情の補完、等に用いてもいいのですが、このリプレイ参照、といったプレイングは不可とします。その場合でも、内容の概要を軽く書いてもらう形でお願いします。
注意点として、ネームド敵NPCや他ディブの状況については整合性の確認が保証出来ないため却下となる可能性が高いです。【血断】連動に関連した小さな依頼を推奨します。
なお、あくまで「NPCが勝手に貴方の報告書を読んでるだけ」なので、そちらが彼を意識する必要は一切ありません。依頼成功度に彼の役に立ったかは関係なく、皆さんの心情整理の場としてご自由にご利用いただくのが本依頼の趣旨です。
その上で、敢えてオフィスに登場して彼と関わる、といった形の参加も可とします。
とかく、心情整理の場としてご自由にどうぞ。
マスターより
凪池です。
拗らせ男子連動第三段です。違う。違うけどやっぱり圧巻の面倒くささですね。例によってまあほっといてくれて構いません。
いや本当。別にNPCは良いんですよ本当これ。また言いますがこいつらのことはただのお膳立てなのです。
あくまで、ラストに向けて皆さんのスタンスや心境を整理する場としてご利用ください。
それが、【血断】、この連動名その読み方から……さて、何を意味しますかねー。深読みしていただくのもご一興、やもしれません。
あ、報酬無しです。ご注意下さい。
拗らせ男子連動第三段です。違う。違うけどやっぱり圧巻の面倒くささですね。例によってまあほっといてくれて構いません。
いや本当。別にNPCは良いんですよ本当これ。また言いますがこいつらのことはただのお膳立てなのです。
あくまで、ラストに向けて皆さんのスタンスや心境を整理する場としてご利用ください。
それが、【血断】、この連動名その読み方から……さて、何を意味しますかねー。深読みしていただくのもご一興、やもしれません。
あ、報酬無しです。ご注意下さい。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/04/11 13:07