• 無し

ゾンビ桜 ~ヘザーのエクストリーム花見~

マスター:坂上テンゼン

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
6日
プレイング締切
2019/04/07 22:00
リプレイ完成予定
2019/04/16 22:00

オープニング

●桜の樹の下には
 ……屍体が埋まっている!
 これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

 ──などと。
 どこかの狂人が語ったのである。

 その話はそれで終わらない。こう続く。

 まさにそんな屍体が歪虚になったのを俺は幻視する! 想像してみるがいい、桜の花の、人の心を撲たずにはおかない、不思議な、生き生きとした美しさ。
 そしてその美しさも含め生命というものをことごとく否定する歪虚の邪悪さ。
 その平衡があって、はじめて俺の心象は明確になって来る。俺の心は悪鬼のように憂鬱に渇いている。俺の心に憂鬱が完成するときにばかり、俺の心は和んでくる。……



 その男は、狂人ではあったが、
 予言者であるとも言われていた。



●檸檬
「ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061)は見た」

「何だヘッド突然?」
 ギルド愉愚泥羅(ユグディラ)の集まりで突如として発言された言葉にメンバーのフロッグは聞き返した。
「いや、この間人間の街に遊びに来て、しこたま飲んだユグディラがふらりと私のところにあがり込んだのだが」
「フリーダムだな……」
「バイクを盗んだヤツらか」
 メンバーのヤーグがまたいつものアレかといった風に聞く。
「そうだ。あいつらはどこにでも現れる……だが重要なのはそこじゃない。
 あいつら酔った勢いでありったけの幻影を垂れ流していったのだが」
「ユグディラって酔うとそうなるのか、おい」
「個体差はあるだろう。問題なのはその内容だ。
 いたんだよ、そいつらが見せた幻影の中に、桜の樹の下に埋まっていた屍体が歪虚になったような奴が!」

「何だそれは……」
「狂人にして予言者、カジード・モートが口にした言葉だ。彼は以前にも『黄金色に輝く恐ろしい爆弾を城塞に投擲して、ハルトフォートの夜を粉葉みじんにしたのが私だったのならどんなにおもしろいだろう』などといった檸檬発言をしている」
「何だ檸檬発言って」
「それは妄言のようでいて、真実を言い当てているんだ。その発言の後に、ハルトフォートでメフィストの分体が現れている」
「真夜中なのに爆発四散して昼間のように明るくなったっていうアレか?」
「ああ。だから桜の樹の下に埋まっていた屍体が歪虚になったような奴も存在する……ユグディラの幻術で私はそれを確信した」

 ここでその場に集っていたメンバー一堂に嫌な予感が走った。

「というわけで、花見に行くぞ」

 的中しないわけがなかった。



●ヘザーのエクストリームブロッサムウォッチング
 ヘザーがユグディラたち(いつも三匹で行動する)をケージにぶちこんでしこたまササミを与えて詳細を聞き出した情報を調査したところ、それはリンダールの森の奥深く、過酷な自然と多くの猛獣、さらには幻獣のテリトリーとなっている所を通った所で出会ったことがわかった。

 ヘザーは自ギルドにて希望者を募った……
 だが承諾したのは全メンバー中たったの三人だった。

「レーニエの分まで私が映像に収めて参りますわ」
 レーニエ・フォンヴェイユの忠実なメイド、イサ・ミソラは、魔導スマートフォンを構えて言った。
「非覚醒者であるレーニエには厳しいか……」
 ヘザーはレーニエの方を見て言う。
「歪虚の花、見たいとは思うのだがな」
 出奔したマーロウ派貴族で今は非覚醒者ハンターのレーニエは言った。
 天然なのか冗談なのか端から見てもわからない。

「では今回、イサのペット枠は空なんだな」
「私は装備品か」
 天然なのか冗談なのかわからない顔でヘザーは聞いた。絶妙な間で返すレーニエ。
「お花見の準備がありますから、コストはできる限り軽くしないといけませんからね」
「否定しないのか……」
 イサはイサで、主人に容赦がなかった。


「地の果てだろうと俺のマッスルが制覇するぜ!」
 もう一人はフロッグ(サブクラスにしっかりと練筋術師をとっている)だ。
 この男は本当に地の果てだろうと賑やかしに現れる。

「俺は行きたいとは言ってないんだが……」
 最後の一人はヤーグだった。
 くじ引きで負けたからだ。
 あまりの希望者の少なさにヘザーがギルドマスターの権利を行使したのである。
「なんとなく、そんな気はしたけどな」
 この男、愉愚泥羅きっての苦労人である。
 遠くでは、ツッコミ役が足りないからな、などという他メンバーの声が聞こえてくる。
「ツッコミとか常識人なら誰でもいいだろ……」
 本人に聞こえていた。
「ああ……もう選ばれちまったからな」
 この生き方を背負ってしまったのだ。深い理由は無い。
 きっとこの男は、壁に突き当たるたびに悩み、もがき、越える術を探していくのだろう。
「俺のデビュー作を引用するな」
 ヤーグは地の文に突っ込んだ。早くもツッコミ役としての活躍が目覚しい。

「だがまだ少ないな!
 ハンターに依頼を出すぞ」
「そんなことに活動資金を使うことは許さない」
 現在会計の役に着いているアハズヤは殺気の籠もった目でヘザーを睨み、指で拳銃を作って向ける。
 聖導士である。
「仕方ない……自腹を切るか」
「その資金源はどこから来るんだ?」
「仕事で稼いでいるが?」
「使い方はそれでいいのか……」

 とはいえ、ほぼ寸志でギルドに依頼が出された。
 ハンター仲間の付き合いを期待したのである。

「さて、私と一緒に花見に行ってくれる人はいないか?」

解説

●目的
桜の木の下に埋まっていた屍体が歪虚になったような奴を探し、倒す(歪虚なので)

●今回の冒険……
リンダールの森の奥深くを探検する
切り立った崖や急流、猛獣の住まう密林や幻獣のテリトリーと、様々な危険が待ち受けている
危険を予知し、対処する力が要求される

●同行
・ヘザー
ステシ参照

・イサ
猟撃士。おもてなし要員。
今回の冒険で最も重要

・フロッグ
機導師。賑やかし要員。

・ヤーグ
闘狩人。ツッコミ要員。

・ユグディラたち
ハチワレ、キジトラ、クロの三猫。案内役。

※レーニエ・フォンヴェイユや他の愉愚泥羅メンバーは見送り

●目標
仮称「桜の樹の下に埋まっていた屍体が歪虚になったような奴」または「ゾンビ桜」

桜の樹の根が人の屍体に絡みついたような姿をしている。根から上は普通に桜の樹。花は満開でとても美しい。
戦闘中も桜として咲き誇る、こちらを「周囲すべてを闇に閉ざして自分だけが見える状態」にしてくる等の行動をとる。これらはただ美しいだけで害はない。
普通に攻撃もしてくるが強くはない。知能はなく、本能のみで行動する。
歪虚としての命が尽きるまで完全に散ることはなく、その命が尽きるとともに散る。

マスターより

坂上テンゼンに候。
最終決戦に向かう昨今、息抜き的なシナリオをお送りします。

春だし花見をネタにしよう→桜といえば根元に屍体という話があったな→調べてみたら梶井基次郎の小説が元ネタだという説が有力らしい→檸檬 という流れでこのオープニングは出来上がりました。
というわけで本文の一部に梶井基次郎『桜の樹の下には』の一説を引用しています。
ビバ! 著作権保護対象外!

PC・NPC間の台詞の応酬が多くなりそうです。
よろしくお願いします。

関連NPC


  • ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061
    人間(クリムゾンウェスト)|26才|女性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/04/14 22:21

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • コル・レオニス
    ミコト=S=レグルス(ka3953
    人間(蒼)|16才|女性|霊闘士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン エクストリームお花見
鬼塚 陸(ka0038
人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2019/04/03 22:57:44
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言