• 調査

裏があってのオモテナシ

マスター:ことね桃

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
不明
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加人数
現在8人 / 3~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/05/03 12:00
リプレイ完成予定
2019/05/17 12:00

オープニング

●歪む夢

 私はハンガリーの小さな農家に生まれた。
 父は酒を呑んでばかり。母はあたしが5つの誕生日に余所の男と出て行ってそれっきり。……最低の家。
 だから学校にはあまりいい思い出がない。
 皆が上等な新品の制服を着ている中で、あたしだけ近所のお姉さんのお下がりで。
 貧乏人とからかわれ、友達もいなかった。
 だから虫や動物と遊んだ。あの子たちはあたしを馬鹿にしないし、どんな風にしても死ねばオシマイ。
 だから彼らは……家に帰れば野良仕事と勉強しかないあたしの唯一の遊び相手だった。
 だけどね、いい事もあったんだよ。
 学校の帰り道に突然目の前がぐるりと回転したかと思うと……知らない世界に跳ばされていて。
 あたしは特別な力をもつ戦士なんだって教えられて。
 まるで本屋で立ち読みしたファンタジーコミックのような展開にドキドキしたんだ。
 だってこの世界には貴族や皇族がいる。
 あたしがもし活躍して、皆に頼りにされるようになったら誰かに見初められて、
 惨めじゃない……
 それこそ、子供の頃に憧れたあの自由奔放に生きたお姫様や貴族のように生きられるかもしれない。
 でも……現実は違った。
 私が歪虚を倒そうと必死になって考えた案は「危険すぎる」と却下され、
 何かしようとすれば「お前は周りが見えないのか!?」と止められた。
 歪虚を倒すのが仕事なのに。そのためにどんな犠牲がでても戦うのがハンターでしょう?
 私はそう思ってた。だってハンターなんて戦場で何人も死んでいる。
 その中に一般人が混ざっていても別におかしいことなんてないじゃない。
 ……だけど私の考えは理解されなくて。だんだん私の居場所はなくなっていった……。


●吸血姫は鞭を振るう

 ビュッ!!!
 吸血鬼型歪虚エリザベート(kz0123)は以前より重みを増した鞭で
 帰還したばかりの部下オウレルの身体を激しく打った。
 鞭の先端には有刺鉄線の如く針が仕込まれ、彼の背をズタズタに斬り裂く。
「……申し訳ありません、エリザベート、さま……」
「本当にあんたはクズね! スペックだけ高いだけで何もできてないじゃんッ!!
 オルちゃんが生きてたら絶対処刑対象にしてたわよ。全く!」
 エリザベートの望みはこの従順になった下僕にあらゆる虐殺を体験させた後、
 敢えて正気に戻すことで精神が完全に崩壊にする瞬間を見届けること。
 本来は優しく職務に忠実な軍人だったのだ、
 きっと後悔に胸が張り裂け無残に自殺を遂げてくれるとエリザベートは心をときめかせたが……
 今のところ大きな戦果は挙げておらず傷ついた身体で帰ってくるばかりだ。
 このままでは精神崩壊させる術がないとエリザベートは苛立ち、
 もう一度オウレルを鞭で思いっきり打つ。
「がぁっ! ……はぁ……はぁ……お赦しを……」
 なぁに、身体は歪虚だ。
 負のマテリアルが満ちるこの場所で休めばどれほど傷つこうとも回復だけはする。
「ほらほらァ、もう痛い目に遭いたくないなら今度は上手くやりなよッ! このクズッ!!」
「……か、畏まりました……お嬢様……」
 オウレルは鎖で繋がれた腕をようやく解放され、煉瓦造りの床に倒れ込む。
 ああ、ほんの少しだけど楽しかったァ――そう言って鞭を放り投げるエリザベート。
 その背にオウレルが鋭い視線を送った。
 今の彼は最早歪虚の下僕ではない。自我を持つ、ひとりの存在だ。
(今は敢えてこの苦痛に甘んじよう。だが今までの罪から逃れられると思うなよ……イロナ)


●気まぐれの悪意

 エリザベートがいつものようにメイドや執事たちが
 どこかから調達してきたスイーツに舌鼓を打っていた時、
 執事服に袖を通したオウレルが彼女の脚元に跪いた。
「お嬢様、先日の失態をお赦しくださりありがとうございました」
「……今んとこあんたぐらいしか使えるのがいないからねェ。
 小綺麗な死体を集めたり生きてんのを攫うのも一苦労。
 爺やや婆やは戦闘技術があっても見た目から歪虚ってバレるから、
 そうそう外に出せないし……全くつまんない世の中ァ」
 そう言ってマカロンを齧るエリザベート。
 最近は砂糖の塊のような甘味を血のように赤い紅茶で溶かすのが好みらしい。
 そんな退屈そのものといった様子の彼女にオウレルは目を伏せたまま、静かに提案した。
「……それならばハンターをこちらへ招待し茶会でも開催するのはいかがでしょう。
 私を撃退まで追い込んだハンターはもちろん、
 見知らぬハンターとも会うことは退屈しのぎに丁度いいのではないかと」
「ハァ? 何言ってんの? ここは一番気に入ってる拠点なの。
 本拠地に敵を呼ぶとか馬鹿のすることじゃないさ」
「いいえ、だからこそです。
 私が連れ帰れないほどのハンターでもお嬢様なら討ち取られるでしょう。
 これを機に逢った強者を後々お嬢様と私が連携して倒し、後に下僕とするのです。
 その中にはオルクス様を討った輩もいるかもしれませんし……
 それにこちらの戦力を示すことでハンターが畏怖し、
 自らお嬢様に屈服する者も現れるかもしれません」
 その言葉にエリザベートが「ふ……ん」と興味を示したようで、長い脚を組み直した。
(確かにこの城にはバルーンや仕立て屋が配備されているし、
 爺やと婆や……そして執事やメイドも揃っている。
 その気になればアンデッドを呼ぶこともできるし、大人数でも招かなければどうにでもなるか)
 エリザベートはまだ見目の良い少年執事を呼び出すと、いくつかの貨幣を渡した。
「オウレル、それ面白いじゃない。いいよ、適当にハンターオフィスへ招待状を送っといて。
 ……そーだなぁ、8人ぐらいまで呼んどいて」
「かしこまりました」
 オウレルは慇懃に頭を垂れ、自室で手紙を書く。
 彼はこの城の戦力と絡繰り程度でハンターの心が到底折れるとは思っていない。
 ただ、エリザベートを討つ前に無策で飛び込ませるよりも
 こちらから情報を開示し、よりハンターを有利にしようという魂胆が彼の中にあった。
 ――大切な者をこれ以上、失いたくないから。
 既に情報戦は始まっている。
 久方ぶりに書いた手紙、無事に届くように……
 彼はそう思いながら、茶菓子を買いに行く少年執事にそれを託した。


●オフィスに届いた手紙

 只埜 良人(ka0235)はオフィスに届いた書類の中を整理しているうちに
 一通だけ負のマテリアルが漂う封筒を見つけた。
 送り主の名はエリザベート。筆跡は明らかにオウレル・エルマンのものだが。
(なになに……南の古城で茶会を開催する?
 飲食物は市販品なので安心してご来場ください……定員は8名まで、と)
 これは罠なのか、それともエキセントリックなエリザベートならではの酔狂なのか。
 いまひとつ判断がつかない。
 それでも何かのきっかけになれば……と
 良人は「十分に気をつけるように」と注意書きの上、依頼書を発行した。

解説

目的
エリザベートの居城を視察・茶会を堪能する
(エリザベートとの戦を前に情報を収集する)

場所
帝国南方にある貴族の廃城。
贅を凝らした造りになっており、エリザベートの一番のお気に入り。
比較的綺麗にしてあるので腐臭などはないですが、負のマテリアルが漂っています。
オルクスと造った兵器や武器などが収められた部屋があり、基本的には閉鎖されていますが、
エリザベートの機嫌が良くなればそれを見せてもらう機会ができるかもしれません。
あと城には色々なギミックが仕掛けられているのでそれを観察しておくと後々有利になるかもしれません。

NPCについて
エリザベート
 御馴染みエキセントリックかつ狂暴な吸血姫。
 性格は思いのほか単純で、戦さえなければ時として無邪気な面を見せることもあります。
 楽しいこと大好き、美味しいもの大好き、綺麗なもの大好き。
 でもそんな彼女にも絶対に触れられたくない面があるようです。
 もしそれに触れてしまった場合……戦闘や最悪の結末に繋がる可能性もありますのでご注意ください。
 会場にはいつものアイアンメイデンを持ってきています。
オウレル・エルマン
 元帝国軍第二師団所属の軍人で現在は自律した吸血鬼型歪虚。
 表向きエリザベートの忠実な下僕のふりをしていますが、本心では彼女を倒すためにハンターに協力したいと考えています。
 当日は執事服を着ていますが、万が一のために帯刀しています。
他の死体達
 主に茶会のお手伝いをしています。基本的に無口で無害ですが、何かあればエリザベートのために戦うことでしょう。

備考
できるだけエリザベートの地雷は踏まないようにしましょう。大変なことになります。
あと飲食物の持ち込みや面白いモノの持ち込みは歓迎です。エリザベートが喜びます。

質問について
何か確認したいことがございましたら出発日前日までに質問卓を立て、お問い合わせください。
エリザベートが気まぐれーに回答すると思います。

マスターより

MSより
こんにちは、ことねです。

今回はエリザベートさん依頼の続編です。
正気に戻ったオウレル君ですが、相変わらず理不尽な暴力を耐え虎視眈々と復讐の機を狙っているようです。
皆さんがやるべきことは、彼の協力を受けながら敵情視察をすること。
楽しみながらエリザベートの伏魔殿をしっかりと観察し、彼女との最終決戦に向けて準備をしてください。

それではなにとぞよろしくおねがいします!

関連NPC

  • 真紅の妖姫
    エリザベート(kz0123
    歪虚|18才|女性|歪虚(ヴォイド)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/05/12 22:06

参加者一覧

  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラント(ka2531
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 比翼連理―瞳―
    澪(ka6002
    鬼|12才|女性|舞刀士
  • 比翼連理―翼―
    濡羽 香墨(ka6760
    鬼|16才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/05/01 00:10:04
アイコン 悪意と楽しいティーパーティ?
カーミン・S・フィールズ(ka1559
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2019/05/02 20:26:50