ゲスト
(ka0000)
【不動】死に至る病壁
マスター:サトー

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/01/27 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/02/05 19:00
オープニング
●名も無き荒野
荒野を行く通り風。
「うぅ……さみぃ……」
馬上の男は襟を寄り合わせ、隙間から入り込もうとする寒風から身を守る。
「もう少しの辛抱だ、バフィ」
励ますのは、精悍な顔つきをした男。
「帰ったら、あったかいもんが待ってるさ」
「そうだぜ、バフィ。お前の嫁さんは料理上手だしな。なあロンド」
「ったく、羨ましい限りだぜ。クアナのとことは大違いだ」
「ザーク、それを言わないでくれ……いやマジで……」
「はは、いやそんな」
それぞれ愛馬に騎乗した8人の男達は軽く談笑し、周囲に目を向ける。
荒野には、小規模の林や大岩、切り立った崖のような丘陵が点在している。
彼らは、辺境部族の若い衆で構成されたマギア砦北部の警備隊。周囲に異常が無いか、定期の見回りの最中にある。
ここ、ベスタハ地方南部は、かつて怠惰に蹂躙された土地であり、現在は人類の対歪虚最前線区域。警戒は厳にせねばならない。砦からは視認できない箇所を重点的に見回るのが、彼らの主な仕事だ。
日光を遮る曇天には文句を言いたいところだが、こればかりは致し方ない。直に定期連絡の頃合い。仕事も折り返しの地点を迎えた。
「あの丘の向こうを確認したら折り返しだ!」
「おう!」
一行は馬首を巡らせ、荒野を駆ける。
●丘の向こう
「ひ、ひぃっ!」
風を切る音とともに、馬ごと人間が吹き飛ぶ。鈍い音が馬の身体を大きく歪ませ、馬上の男も血をまき散らせて倒れ伏す。たったの一撃で、馬と人間、双方の命が失われた。
「カ、カイン!」
「ハ、ハトを!」
慌てて鳩を放とうとした男が、巨大な棍棒に打ちのめされ地面に叩きつけられる。
ズシンズシンと地鳴りのような音が鳴る度に、馬は慄き、足並みを乱す。
「うわああああああ」
立ち上がった馬と、それに驚き飛び跳ねた馬が馬上の男達を振り落す。何とか手綱を制御できたのは、リーダーのカインのみ。
「落ち着け。走るんだ!」
馬から落ちた男達は懸命に走り出す。背後から迫るのは、身の丈4mはあろう巨人たち。
全身に骸骨を象った甲冑を纏い、手にした頑丈な棍棒は2mにも及ぶ。両の腕は丸太ほどに太く、盛り上がった筋肉が棍棒を振るう度にぎちぎちと軋む。鬼のような兜を被ったものや一つ目の巨人もいる。追いかける足は大地を揺るがせ、低く重厚な唸り声は腹の底から震えを呼びこむ。
数は優に20を超えている。足を止めれば命を失うのは自明の理。誰もが死にもの狂いで足を動かす。
一人馬上にいたカインも、投げつけられた棍棒で馬がやられ、地面に放り出された。
「くそっ! 走れ! 荷物は全部捨てろ! とにかく走るんだ!」
なぜこんなことに――。
カインは心中で毒づき、南へ駆ける。
迫る巨人たちとて、人間を逃す気など更々ない。情報を持ち帰られては困るのだ。
巨体が揺るがす地響きと威圧感とに責め立てられながら、警備隊は荒野を逃げ惑う。その巨人たちの遥か後方、高台の向こうからは砂煙を巻き上げて進軍する巨人の壁があった。
●マギア砦にて
「今から北に向かって欲しい」
マギア砦に集められたハンター達に向かって、砦指揮官の男は言った。マギア砦北部の警備隊からの定期連絡が途絶えたらしい。
彼は『何が起きているのか調査をしてくれ』と言った。それが、今回の依頼内容である。
捜索するべき範囲は随分と広く、遠い。障害物も多々あるため、少し手間がかかるかもしれない。
「馬が無い者は、こちらで用意しよう」
ハンター達は早々に準備を済ませ、警備隊が見回っていたであろう地域へ向けて、砦を発った。
●ベスタハ地方南部の荒野
「はあっ……はあっ……」
カインは木の陰に身を潜め、息を殺す。巨人たちの足音が耳を打つ度、震えが走るのを止められない。
何とか呼吸を整えて、辺りの様子を窺う。自分達を見失った巨人たちは、周囲に散らばり捜索を続けている。仲間とは逸れてしまった。5人やられたのまでは把握できたが、後の2人はどうなったか……。自分のように、どこかに身を隠すことができていれば良いが。
仲間の無事を祈るカインであったが、彼とて安寧としていられる状況ではない。
最も大事なのは、自分達が得た情報を砦に伝えること。それは、仲間の命よりも優先される。無論、自分の命よりも……。
ここで狼煙を上げれば、敵に居場所がバレてしまう。伝達手段であった鳩も、逃走の間に失ってしまった。砦への連絡手段は無い。生きて戻る以外には。
カインは注意深く辺りを観察する。先ほどよりも敵の数が増えてきているように感じた。こちらから様子を窺うことはできないが、丘の向こうから後続の部隊が近づいてきているのかもしれない。このまま時間をかければ、逃走はより困難になると思われた。多少は無茶をしなければならないか。
カインは巨人の目を盗みつつ身を低くし、木々の合間を縫って小走りに駆ける。
脳裏にあるのは、丘の向こうで目にした、高台に並ぶ怠惰と見られる大規模な巨人の行軍。斥候らしき先頭集団と遭遇したのは、良かったのか悪かったのか。
早く、早くこのことを伝えなければ。マギア砦は、人類は――。
――怠惰軍の来襲。人類はまだ、知るべくも無い。
荒野を行く通り風。
「うぅ……さみぃ……」
馬上の男は襟を寄り合わせ、隙間から入り込もうとする寒風から身を守る。
「もう少しの辛抱だ、バフィ」
励ますのは、精悍な顔つきをした男。
「帰ったら、あったかいもんが待ってるさ」
「そうだぜ、バフィ。お前の嫁さんは料理上手だしな。なあロンド」
「ったく、羨ましい限りだぜ。クアナのとことは大違いだ」
「ザーク、それを言わないでくれ……いやマジで……」
「はは、いやそんな」
それぞれ愛馬に騎乗した8人の男達は軽く談笑し、周囲に目を向ける。
荒野には、小規模の林や大岩、切り立った崖のような丘陵が点在している。
彼らは、辺境部族の若い衆で構成されたマギア砦北部の警備隊。周囲に異常が無いか、定期の見回りの最中にある。
ここ、ベスタハ地方南部は、かつて怠惰に蹂躙された土地であり、現在は人類の対歪虚最前線区域。警戒は厳にせねばならない。砦からは視認できない箇所を重点的に見回るのが、彼らの主な仕事だ。
日光を遮る曇天には文句を言いたいところだが、こればかりは致し方ない。直に定期連絡の頃合い。仕事も折り返しの地点を迎えた。
「あの丘の向こうを確認したら折り返しだ!」
「おう!」
一行は馬首を巡らせ、荒野を駆ける。
●丘の向こう
「ひ、ひぃっ!」
風を切る音とともに、馬ごと人間が吹き飛ぶ。鈍い音が馬の身体を大きく歪ませ、馬上の男も血をまき散らせて倒れ伏す。たったの一撃で、馬と人間、双方の命が失われた。
「カ、カイン!」
「ハ、ハトを!」
慌てて鳩を放とうとした男が、巨大な棍棒に打ちのめされ地面に叩きつけられる。
ズシンズシンと地鳴りのような音が鳴る度に、馬は慄き、足並みを乱す。
「うわああああああ」
立ち上がった馬と、それに驚き飛び跳ねた馬が馬上の男達を振り落す。何とか手綱を制御できたのは、リーダーのカインのみ。
「落ち着け。走るんだ!」
馬から落ちた男達は懸命に走り出す。背後から迫るのは、身の丈4mはあろう巨人たち。
全身に骸骨を象った甲冑を纏い、手にした頑丈な棍棒は2mにも及ぶ。両の腕は丸太ほどに太く、盛り上がった筋肉が棍棒を振るう度にぎちぎちと軋む。鬼のような兜を被ったものや一つ目の巨人もいる。追いかける足は大地を揺るがせ、低く重厚な唸り声は腹の底から震えを呼びこむ。
数は優に20を超えている。足を止めれば命を失うのは自明の理。誰もが死にもの狂いで足を動かす。
一人馬上にいたカインも、投げつけられた棍棒で馬がやられ、地面に放り出された。
「くそっ! 走れ! 荷物は全部捨てろ! とにかく走るんだ!」
なぜこんなことに――。
カインは心中で毒づき、南へ駆ける。
迫る巨人たちとて、人間を逃す気など更々ない。情報を持ち帰られては困るのだ。
巨体が揺るがす地響きと威圧感とに責め立てられながら、警備隊は荒野を逃げ惑う。その巨人たちの遥か後方、高台の向こうからは砂煙を巻き上げて進軍する巨人の壁があった。
●マギア砦にて
「今から北に向かって欲しい」
マギア砦に集められたハンター達に向かって、砦指揮官の男は言った。マギア砦北部の警備隊からの定期連絡が途絶えたらしい。
彼は『何が起きているのか調査をしてくれ』と言った。それが、今回の依頼内容である。
捜索するべき範囲は随分と広く、遠い。障害物も多々あるため、少し手間がかかるかもしれない。
「馬が無い者は、こちらで用意しよう」
ハンター達は早々に準備を済ませ、警備隊が見回っていたであろう地域へ向けて、砦を発った。
●ベスタハ地方南部の荒野
「はあっ……はあっ……」
カインは木の陰に身を潜め、息を殺す。巨人たちの足音が耳を打つ度、震えが走るのを止められない。
何とか呼吸を整えて、辺りの様子を窺う。自分達を見失った巨人たちは、周囲に散らばり捜索を続けている。仲間とは逸れてしまった。5人やられたのまでは把握できたが、後の2人はどうなったか……。自分のように、どこかに身を隠すことができていれば良いが。
仲間の無事を祈るカインであったが、彼とて安寧としていられる状況ではない。
最も大事なのは、自分達が得た情報を砦に伝えること。それは、仲間の命よりも優先される。無論、自分の命よりも……。
ここで狼煙を上げれば、敵に居場所がバレてしまう。伝達手段であった鳩も、逃走の間に失ってしまった。砦への連絡手段は無い。生きて戻る以外には。
カインは注意深く辺りを観察する。先ほどよりも敵の数が増えてきているように感じた。こちらから様子を窺うことはできないが、丘の向こうから後続の部隊が近づいてきているのかもしれない。このまま時間をかければ、逃走はより困難になると思われた。多少は無茶をしなければならないか。
カインは巨人の目を盗みつつ身を低くし、木々の合間を縫って小走りに駆ける。
脳裏にあるのは、丘の向こうで目にした、高台に並ぶ怠惰と見られる大規模な巨人の行軍。斥候らしき先頭集団と遭遇したのは、良かったのか悪かったのか。
早く、早くこのことを伝えなければ。マギア砦は、人類は――。
――怠惰軍の来襲。人類はまだ、知るべくも無い。
解説
目的:
警備隊の捜索及び可能であればその救出。
警備隊名簿:
リーダー カイン
隊員 バフィ、クアナ、ロンド、ザーク、マシュー、アラシボー、ハユヤ
状況:
荒野(林や大岩、起伏などの障害物あり)。警備隊は非覚醒者。
【以下、PL情報】
警備隊は怠惰の軍勢に追われている。生存しているのは3人。バラバラに逃げている。
警備隊は物陰に隠れつつ南へと向かって逃げているが、逃げ惑っているため、真っ直ぐに南下できているとは限らない。
迅速に合流できた場合、戦闘範囲内にいる敵の数は、隊員一人につき8体程度。
合流した現場からは、怠惰の軍勢は見られない。(丘の向こうにいるため)
怠惰の斥候:
オーガやサイクロプスなどの巨人。身の丈4m以上。
骸骨を象った甲冑を着ている。下半身のガードは固いが、上半身の甲冑は薄め。
巨大な棍棒を振るう。生命力やパワーは高いが、回避は低い。
移動力は全速力で2。
なお、依頼に関するご質問にはお答えできません。
参加されるハンターの皆様でよくご相談の上、各自で行動をお決めください。
警備隊の捜索及び可能であればその救出。
警備隊名簿:
リーダー カイン
隊員 バフィ、クアナ、ロンド、ザーク、マシュー、アラシボー、ハユヤ
状況:
荒野(林や大岩、起伏などの障害物あり)。警備隊は非覚醒者。
【以下、PL情報】
警備隊は怠惰の軍勢に追われている。生存しているのは3人。バラバラに逃げている。
警備隊は物陰に隠れつつ南へと向かって逃げているが、逃げ惑っているため、真っ直ぐに南下できているとは限らない。
迅速に合流できた場合、戦闘範囲内にいる敵の数は、隊員一人につき8体程度。
合流した現場からは、怠惰の軍勢は見られない。(丘の向こうにいるため)
怠惰の斥候:
オーガやサイクロプスなどの巨人。身の丈4m以上。
骸骨を象った甲冑を着ている。下半身のガードは固いが、上半身の甲冑は薄め。
巨大な棍棒を振るう。生命力やパワーは高いが、回避は低い。
移動力は全速力で2。
なお、依頼に関するご質問にはお答えできません。
参加されるハンターの皆様でよくご相談の上、各自で行動をお決めください。
マスターより
お疲れさまでございます。
迫りくる怠惰の軍勢を知るのは、逃げ惑う警備隊のみ。
救出できれば最良ですが、警備隊から情報を得るだけでも構いません。
敵との交戦が長引くと、最悪の事態が招く危険もありますのでご注意ください。
迫りくる怠惰の軍勢を知るのは、逃げ惑う警備隊のみ。
救出できれば最良ですが、警備隊から情報を得るだけでも構いません。
敵との交戦が長引くと、最悪の事態が招く危険もありますのでご注意ください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/02/02 18:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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西方面(5・6班)相談 鳴神 真吾(ka2626) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/01/27 17:57:06 |
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相談卓 柊 恭也(ka0711) 人間(リアルブルー)|18才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/01/27 12:09:44 |
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東方面(1・2班)相談卓 ジュード・エアハート(ka0410) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/01/27 02:22:52 |
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中央方面(3・4班)相談 君島 防人(ka0181) 人間(リアルブルー)|25才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/01/26 22:38:59 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/27 01:30:00 |