ゲスト
(ka0000)
Duvet
マスター:ことね桃

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在17人 / 1~25人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/06/26 12:00
- リプレイ完成予定
- 2019/07/10 12:00
オープニング
●それは雨が降るから
6月下旬。
時折薄く晴れたかと思えば、その数十分後にはざっと雨が降る。
そんな冴えない天気ばかり続く日のこと。
コロッセオ・シングスピラの屋内練習場では軍人が筋力トレーニングに打ち込み、
幹部候補の若者達は指揮のシミュレーションに励んでいた。
しかし絶火の騎士フリーデリーケ・カレンベルク(kz0254)は珍しく布団に包まって眠っている。
彼女には邪神戦争を前にやるべきことがたくさんあるのに。
それは歪虚を倒すことで信仰を集め多くの民から力を貸してもらうこと。
そして自分自身の戦術を磨くこと。
だけど今日はなぜかひどく寒くて、人肌が恋しい。
原因はわかっている。自分がひとりじゃなくなったからだと。
(……こんな雨の中じゃ誰も来ないんだろうな。
だからといって私が演習に出ても……軍人達は遠慮するばかりだしな……)
旧い時代の英霊が相手をするとなれば、軍人達はどこか遠慮がちに引き下がる。
結局は昔覚えた斧を用いた演舞を見せ、斧の扱い方を教えるぐらいしかやることがない。
「歪虚が出ればな……討伐に行くんだが」
先ほどオフィスに向かったものの、こんな日に限ってこれといった事件は起きていなくて。
戦うしかできない自分には……今日は何もできない日になってしまった。
ぼんやりとした心とぼさぼさの頭のまま、ひとりで熱い紅茶を淹れる。
(ひとりだと……なんだかつまらないな)
空になったカップを水に浸し、フリーデはまた布団の中に包まってしまった。
●びしょびしょの花の精霊
「ファー! 雨ハオ花ヲ元気ニシテクレルケド……私ハオ水ガ苦手ナノヨー!」
とつぜんの雨でびしょ濡れになったフィー・フローレ(kz0255)がコロッセオに飛び込むと、
精霊の世話役を務める少女メルルがリネン室から大判のタオルを持ち出した。
すっかり湿り気を帯びた毛をタオルでほぐすように拭きながら彼女が言う。
「フィー様、大丈夫ですか?
寒いでしょう、すぐに客室の暖炉に火を入れますからね。お風呂の準備もしましょうか?」
「ウン、アリガトウナノ……」
何しろフィーの体はコボルドが基になっている。
本質は水に強い地の属性であれど、じっとりとした感覚はやはり苦手らしい。
それに水を含むと普段はふっくらした長い毛がすっかり萎れ、
もはや別の生き物のようになってしまうのも困りものだ。
そこでメルルが提案する。
「雨が止むまで客室でお休みになってはいかがでしょう。
お風呂で体を温めて、ぐっすり眠ればその間に雨はきっと止んでいますよ」
「ウン、ソレジャチョットダケ雨宿リサセテモラウノ。
アトネ、私ノヨウニ雨デ困ッタ子ガイタラ助ケテクレルト嬉シイノ……」
「はい、それはもちろんです。
今も火や光の精霊様達はこちらで休養されているんですよ。早く梅雨が明けるといいんですけどね」
こくんと頷くフィー。メルルの手にひかれ、小さな背中が浴場に入っていった。
●薄暗い空の下で、光り輝く者は
『はぁ……空に太陽がないっていうのはこんなにしんどいものなんだねェ』
そう言って管理小屋のベッドで寝転ぶのはローザリンデ(kz0269)。
彼女は光の精霊であり、光がなければ力が弱り――暗闇の中では顕現ができなくなる。
毎日が濃い雲に覆われる日々ではいつもの威勢のいい姐御肌も精彩を欠き、
残っている力を使わずに済むよう小屋の照明の下で大人しく寝ているばかりだ。
(……正直、この時期は本当に困ったもんだよ。
そりゃまぁ、棺の中に入ってた頃よりはずっと体が楽なんだけどさ……)
そもそも昼間の外よりも部屋の中が明るいという状況がおかしい、とローザが唇を尖らせた。
照明に向けて手を伸ばしてみればはっきりとした影が自分の顔に落ちてくる。
――本来ならこれぐらいの光がいつも外に満ち溢れているはずなのにさ。
その時、真っ黒な雲の谷間から激しい光が部屋を強く照らし出した。雷だ。
続けて空を引き裂くような轟き。
公園からは精霊達が息を呑む音と、外の通りからは人間達の騒めきが聞こえる。
そしてバケツをひっくり返したような雨が屋根と大地を叩きつけるように降り出した。
ローザは気だるさを忘れ、窓を全開にすると
「アンタたち、コロッセオに避難しな。このままじゃ風邪をひいちまうよ!」と叫ぶ。
そしてふらりとベッドに倒れ込み――再び照明のもとで意識を繋いだ。
(もう少しで梅雨も明ける。
その頃には邪神戦争も本格化するかねェ……それまでには本調子にしないといけないんだがねェ)
気に入りの煙管を吸う気力もなくうとうとし始めるローザ。
彼女は早くこの黒雲がきれいさっぱり消えるようにと重いながら――目を瞑った。
●雨が運ぶ匂い、音、そして切ない気持ち
こんなダウナーな天候が続く季節。
あなたはどんな風にお過ごしだろうか。
精霊達のように眠る?
自室で物思いに耽る?
友人や恋人と穏やかな時間を過ごす?
雷雨に負けず外出して楽しい時間を過ごす?
それとも強雨の中だろうとその冷たさに打ち勝つ心で自らを鍛え上げているのだろうか。
……いずれにせよ、平穏な時間は残り僅か。
あなたのために使う時間を少しだけ――覗かせてほしい。
6月下旬。
時折薄く晴れたかと思えば、その数十分後にはざっと雨が降る。
そんな冴えない天気ばかり続く日のこと。
コロッセオ・シングスピラの屋内練習場では軍人が筋力トレーニングに打ち込み、
幹部候補の若者達は指揮のシミュレーションに励んでいた。
しかし絶火の騎士フリーデリーケ・カレンベルク(kz0254)は珍しく布団に包まって眠っている。
彼女には邪神戦争を前にやるべきことがたくさんあるのに。
それは歪虚を倒すことで信仰を集め多くの民から力を貸してもらうこと。
そして自分自身の戦術を磨くこと。
だけど今日はなぜかひどく寒くて、人肌が恋しい。
原因はわかっている。自分がひとりじゃなくなったからだと。
(……こんな雨の中じゃ誰も来ないんだろうな。
だからといって私が演習に出ても……軍人達は遠慮するばかりだしな……)
旧い時代の英霊が相手をするとなれば、軍人達はどこか遠慮がちに引き下がる。
結局は昔覚えた斧を用いた演舞を見せ、斧の扱い方を教えるぐらいしかやることがない。
「歪虚が出ればな……討伐に行くんだが」
先ほどオフィスに向かったものの、こんな日に限ってこれといった事件は起きていなくて。
戦うしかできない自分には……今日は何もできない日になってしまった。
ぼんやりとした心とぼさぼさの頭のまま、ひとりで熱い紅茶を淹れる。
(ひとりだと……なんだかつまらないな)
空になったカップを水に浸し、フリーデはまた布団の中に包まってしまった。
●びしょびしょの花の精霊
「ファー! 雨ハオ花ヲ元気ニシテクレルケド……私ハオ水ガ苦手ナノヨー!」
とつぜんの雨でびしょ濡れになったフィー・フローレ(kz0255)がコロッセオに飛び込むと、
精霊の世話役を務める少女メルルがリネン室から大判のタオルを持ち出した。
すっかり湿り気を帯びた毛をタオルでほぐすように拭きながら彼女が言う。
「フィー様、大丈夫ですか?
寒いでしょう、すぐに客室の暖炉に火を入れますからね。お風呂の準備もしましょうか?」
「ウン、アリガトウナノ……」
何しろフィーの体はコボルドが基になっている。
本質は水に強い地の属性であれど、じっとりとした感覚はやはり苦手らしい。
それに水を含むと普段はふっくらした長い毛がすっかり萎れ、
もはや別の生き物のようになってしまうのも困りものだ。
そこでメルルが提案する。
「雨が止むまで客室でお休みになってはいかがでしょう。
お風呂で体を温めて、ぐっすり眠ればその間に雨はきっと止んでいますよ」
「ウン、ソレジャチョットダケ雨宿リサセテモラウノ。
アトネ、私ノヨウニ雨デ困ッタ子ガイタラ助ケテクレルト嬉シイノ……」
「はい、それはもちろんです。
今も火や光の精霊様達はこちらで休養されているんですよ。早く梅雨が明けるといいんですけどね」
こくんと頷くフィー。メルルの手にひかれ、小さな背中が浴場に入っていった。
●薄暗い空の下で、光り輝く者は
『はぁ……空に太陽がないっていうのはこんなにしんどいものなんだねェ』
そう言って管理小屋のベッドで寝転ぶのはローザリンデ(kz0269)。
彼女は光の精霊であり、光がなければ力が弱り――暗闇の中では顕現ができなくなる。
毎日が濃い雲に覆われる日々ではいつもの威勢のいい姐御肌も精彩を欠き、
残っている力を使わずに済むよう小屋の照明の下で大人しく寝ているばかりだ。
(……正直、この時期は本当に困ったもんだよ。
そりゃまぁ、棺の中に入ってた頃よりはずっと体が楽なんだけどさ……)
そもそも昼間の外よりも部屋の中が明るいという状況がおかしい、とローザが唇を尖らせた。
照明に向けて手を伸ばしてみればはっきりとした影が自分の顔に落ちてくる。
――本来ならこれぐらいの光がいつも外に満ち溢れているはずなのにさ。
その時、真っ黒な雲の谷間から激しい光が部屋を強く照らし出した。雷だ。
続けて空を引き裂くような轟き。
公園からは精霊達が息を呑む音と、外の通りからは人間達の騒めきが聞こえる。
そしてバケツをひっくり返したような雨が屋根と大地を叩きつけるように降り出した。
ローザは気だるさを忘れ、窓を全開にすると
「アンタたち、コロッセオに避難しな。このままじゃ風邪をひいちまうよ!」と叫ぶ。
そしてふらりとベッドに倒れ込み――再び照明のもとで意識を繋いだ。
(もう少しで梅雨も明ける。
その頃には邪神戦争も本格化するかねェ……それまでには本調子にしないといけないんだがねェ)
気に入りの煙管を吸う気力もなくうとうとし始めるローザ。
彼女は早くこの黒雲がきれいさっぱり消えるようにと重いながら――目を瞑った。
●雨が運ぶ匂い、音、そして切ない気持ち
こんなダウナーな天候が続く季節。
あなたはどんな風にお過ごしだろうか。
精霊達のように眠る?
自室で物思いに耽る?
友人や恋人と穏やかな時間を過ごす?
雷雨に負けず外出して楽しい時間を過ごす?
それとも強雨の中だろうとその冷たさに打ち勝つ心で自らを鍛え上げているのだろうか。
……いずれにせよ、平穏な時間は残り僅か。
あなたのために使う時間を少しだけ――覗かせてほしい。
解説
目的:フリーアタックシナリオです。
あなたの雨の日の過ごし方を教えてください。
お友達や恋人と過ごす場合はお相手の名前を明記してくださいませ!
場所:特に指定はしません。
ただし帝国かリゼリオ以外の土地を希望される場合は地名をぼかします。
登場NPC:
今回は揃いも揃って元気がなく寝ています。
このシナリオのタイトルの和訳が「羽毛布団」なのはそのためです。
フリーデ:やることがないのとなんだか無性に寂しいので寝ています。
フィー:寒いのでお風呂に入って寝ています。
ローザ:太陽が出ないので力が衰えて寝ています。
メルル:拙作「あなたに」シリーズで登場した元契約者。
契約期間が短かったので残り寿命が長く、精霊達の世話役をしています。
帝国軍人の皆さん:コロッセオで訓練中。大きな戦争目前なのでとっても士気が高い。
備考:基本的にフリーですが、蔵倫に触れるようなことはできませんのでご了承ください。
肌色展開を目指すと「まぁ、びっくり!」不思議な力で眠ってしまいます。
なお、服を着た上での添い寝ぐらいなら大丈夫です。
あ、コロッセオの浴場も使えますが水着着用なのでよろしくお願いします。
あなたの雨の日の過ごし方を教えてください。
お友達や恋人と過ごす場合はお相手の名前を明記してくださいませ!
場所:特に指定はしません。
ただし帝国かリゼリオ以外の土地を希望される場合は地名をぼかします。
登場NPC:
今回は揃いも揃って元気がなく寝ています。
このシナリオのタイトルの和訳が「羽毛布団」なのはそのためです。
フリーデ:やることがないのとなんだか無性に寂しいので寝ています。
フィー:寒いのでお風呂に入って寝ています。
ローザ:太陽が出ないので力が衰えて寝ています。
メルル:拙作「あなたに」シリーズで登場した元契約者。
契約期間が短かったので残り寿命が長く、精霊達の世話役をしています。
帝国軍人の皆さん:コロッセオで訓練中。大きな戦争目前なのでとっても士気が高い。
備考:基本的にフリーですが、蔵倫に触れるようなことはできませんのでご了承ください。
肌色展開を目指すと「まぁ、びっくり!」不思議な力で眠ってしまいます。
なお、服を着た上での添い寝ぐらいなら大丈夫です。
あ、コロッセオの浴場も使えますが水着着用なのでよろしくお願いします。
マスターより
こんにちは、ことねです。
今年の梅雨は不安定で困りますね。
皆様風邪など召されていないといいのですが……寒い日は温かくしてお過ごしくださいね?
さて、今回は雨の日の過ごし方についてお聞きしたくお話を作りました。
精霊達はなんとなくダウナーな気持ちになって眠ってしまいましたが、
ハンターの皆様はどのようにお過ごしでしょうか。
邪神戦争開戦直前の日常シナリオ、なにとぞのんびりまったりお楽しみください。
今年の梅雨は不安定で困りますね。
皆様風邪など召されていないといいのですが……寒い日は温かくしてお過ごしくださいね?
さて、今回は雨の日の過ごし方についてお聞きしたくお話を作りました。
精霊達はなんとなくダウナーな気持ちになって眠ってしまいましたが、
ハンターの皆様はどのようにお過ごしでしょうか。
邪神戦争開戦直前の日常シナリオ、なにとぞのんびりまったりお楽しみください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/07/09 10:31