• 戦闘

イノセントイビル 差し金

マスター:柏木雄馬

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,800
参加人数
現在10人 / 6~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/07/23 22:00
リプレイ完成予定
2019/08/01 22:00

オープニング

王国各地に『種子』をばら撒いていた『庭師』はハンターたちによって斃された。今から一年近く前の事である。
 しかし、それ以降も『種子』は各所に撒かれ続けていた──その事実がつい先日、明らかになった。
「え? それはどういうことなの? 『庭師』が生きているってことなの?」
「いや、俺は奴が滅ぼされるところを確かに見た。それは俺の部下たちやハンターたち──あの場にいた皆も同じはずだ」
 困惑した様に訊いて来るマリーに、ソードがそう断言する。
「じゃあ……その光景が幻だったとか?」
「いや、実際に剣を交えたんだ。実体は確かにあった」
「んじゃ、実は替え玉とか影武者だったとか!」
「あの時、会話に齟齬はなかった。あれは俺たちが知る『庭師』だったはずだ」
 二人のやり取りに、クリスとルーサーは沈思した。
 庭師が確実に滅しているのであれば、今、活動している『種蒔き人』は何者か? ──『庭師』の意志を継ぐ部下か何かか、『庭師』の遺産を引き継ぐ誰かか。それとも、『庭師』も只の使い走りに過ぎず、本当の黒幕がまだどこかに……?
「……そも、あの『種子』というものはいったい何なんでしょうね……?」
 クリスの言葉に、マリーとソードは顔を見合わせた。
 ……以前、ハンターの一人が、『庭師』の『力』を植え付けられた動物から壊れた『種子』の欠片を回収し、ソードの部下のヤングに預けたことがあった。
 ヤングはすぐに教会や古都アークエルスに手を回して、その『種子』を調べてもらおうとしたが、秘密警察の横やりが入って難航。そうこうしている内に『種子』の欠片は徐々に空中に溶けるようにして消えてしまったという。
「宙に溶けるように……つまり、歪虚の最期と同じように、か」
「そう言えば、秘密警察は組織ぐるみで『種子』の力を利用していたのですよね……」
 ソードとクリスが視線を交わし合い……一行はニューオーサンへの帰還を決めた。
 ルーサーは無言で手元の紙に視線を落とした。
 そこには、フィンチ子爵領の革命軍残党から聴取した、「彼らに『種子』の『力』を与えた者」の似顔絵が記されていた。

 ニューオーサンの秘密警察は街の大通りの一画に普通に本部を構えていた。以前は様々な非合法活動に従事する文字通り秘密組織だったのだが、カールの当主就任以降、今は(こういった言い方は何だが)普通の諜報組織としてその存在が公にされていた。
 かつてはヤングらの捜査を妨害した秘密警察官(今ではもう違う名称の組織なのだが、今更なので旧来の呼称にて記す)らであったが、今回の一行の調査には非常に協力的──というか、むしろ積極的にその情報を開示した。……秘密警察官たちにとっても、『庭師』は彼らの同僚たちや長であるシモンを殺した憎き仇だからだ。

 彼らの協力により、似顔絵の男の正体はすぐに判明した。彼らが直接取引を行っていた相手だったからだ。
 秘密警察は、侯爵家にも隠れて巨獣を飼育・調教し、戦力化を試みていたが、その巨獣の卵を入手していたのがその似顔絵の男だったのだ。……或いは、フィルダー地方の山奥でエッグハントに関わったことがあるハンターたちなら、似顔絵を見た瞬間にピンと来ていたかもしれない。

「ええ、見たことのある顔ですね…… エッグハンターたちを集めて、度々巨獣の卵の入手を『胴元』に依頼していた男です」
 ソードに似顔絵を見せられて、エッグハンターの少年──いや、若い少女だろうか──、ジーン・リドリーはそう答えた。
「普通、依頼主は現場に出て来ないのですが、この人は度々現場に出て来て、捕獲目標や条件を変えたり、エッグハンターたちを煽る様に報酬を釣り上げたり……」
「依頼主というより仲買人だな。いけ好かない奴だったんで、よく覚えている」
 ジーンの『雇用主』でもある『何でも屋』のダイク・ダンヴィルもつまらなそうな表情で似顔絵を摘んで首肯した。

 ルーサーは二人の『何でも屋』に正規の料金を支払い、再びエッグハントの依頼があったら報せてくれるように頼んだ。そして、秘密警察に件の男の調査の指示を出した。
 その間、マリーとソードの二人は修行も兼ねて、ジーンとダイクらと共にエッグハントの模擬活動を行った。親獣たちを必要以上に傷つけず、巣から必要最小限の卵のみを頂戴する──それが正規のエッグハンターのやり方だとジーンは言った。親獣を殺し、金になるからと卵を根こそぎ奪うような輩はエッグハンターの風上にも置けない外道だ。……もっとも、卵を盗まれる親獣からすれば、どちらも憎むべき盗人には違いないのだが。

 そうこうしている内に、秘密警察の調査が終わった。
 件の仲買人はアークエルス出身の商人。店舗は構えず、以前から古都の学者たちの為に、秘境の植物や猛獣の卵や幼生体の入手を手配する仕事をしていた。だが、いつ頃からか頻繁に現場に出るようになり、やがては古都の実家にも帰らないようになったという。
「黒いな……」
「黒いですね……」
 ソードとクリスが呟いた。恐らく、件の仲買人はずっと以前に『堕落者』か『契約者』的な存在へと堕ちたのだろう。一介の商人ではない──かつて『仲買人』の尾行し、撒かれたことのあるハンターもその考えに同意を示した。

 やがて、件の『仲買人』がエッグハンターたちに卵入手の依頼を出した。クリスはジーンとダイクを間に介し、秘密警察の力も使って『胴元』をも抱き込んで、独占的にその依頼を受注した。
 ハンターたちは艱難辛苦の末に卵の入手を成功させ──この旅も千変万化な大冒険だったのだが、話数的に割愛する──、それをジーンとダイクが件の『仲買人』に引き渡した。
「はい、確かに……依頼した亜竜種の卵ですね」
 『仲買人』はそれはそれは満足そうに頷くと、卵を専用のケースに仕舞って、二人に報酬を支払い、立ち去った。
 『ファミリアズアイ』等、魔法も交えた組織的な尾行が始まった。
 『仲買人』は一度も街道や村に出る事なく山間を歩き、とある古い遺跡の前で一人の男と落ち合った。
(いったい、誰だ……?)
 ハンターたちはその相手に視線を集中させた。そして……
(いや、本当に誰だよ……)
 と全員が内心で総ツッコミを入れた。
 待ち合わせ場所にいた男は、その場にいる誰もが見たことの無い人物だった。男は『仲買人』から卵の入ったケースを受け取り、遺跡の中へと入っていった。
「……さて、と。私の用件はこれで終わりました。そろそろ姿を見せられては如何ですか?」
 やはり尾行はバレていたか── ハンターたちは『仲買人』の前に出た。
 現れた多数のハンターたちにまるで動じることもなく……『仲買人』は薄い笑みすら浮かべて見せた。
「それで……皆さんは、私に如何なる御用があるのでしょうかね?」

解説

1.状況と目的
 シナリオはとある遺跡の入り口の前で『仲買人』と対峙したところから始まります。プレイング中、前回までのシナリオの内容やOP本文中に関するものは、シナリオが始まる前、リプレイ冒頭部分で纏められます(例外もあるかもしれません
 劈頭からすぐに戦闘が始まるわけではなく、『仲買人』への質問、宣言等があれば会話を交わすことが出来ます(まともな内容のある答えがあるかはまた別ですが)
 PCたちが実力行使を決めた瞬間から戦闘が始まります。
 柏木分類『戦闘系』。敵の撃破自体が目的のシナリオです。

2.戦場
 王国北東部フェルダー地方の深い山中。緩い間隔で木々の生えた山間の底に位置する遺跡の前。左右は緩やかな山の斜面となっている。
 戦闘が始まると、上方から『コカドリーユ』が、地中から『マンティコラス』が出現する(PL情報)

3.敵
3a.邪龍『コカドリーユ(闇色オーラ)』×1
 頭に鶏のトサカが生えた有翼のトカゲ(亜竜)。通称『鶏竜』。強敵。サイズ2。鉤爪や牙、尻尾による攻撃の他、毒によるダメージ・状態異常。飛行可能。
 近接攻撃を加えた者に自動発動な防御無視のカウンター系ダメージ。武器にマテリアルを込める系のスキルならば抵抗による半減可能。
 行動不能または阻害の効果付きの高強度の毒の息。扇状範囲攻撃だが、直線範囲攻撃に変化+射程延長が可能。

3b.妖獣『マンティコラス(闇色オーラ)』×1
 尻尾に24本の針が生えた蠍の尾と、老人の様な人の顔を持つ紅い獅子。通称『毒獅子』。強敵。サイズ2。
 機動性・運動性が高く、飛行は出来ないが三次元機動が可能。
 攻撃手段は、防御半減・麻痺(行動阻害・中強度)効果付きの『九十九針』(近/遠 範囲)、同麻痺効果付きの爪、麻痺噛みつき(高威力)、咆哮(ダメージ無し・範囲・高強度)。
 高い自己回復スキルも持つ。

 両敵共に移動・攻撃に質量差による転倒効果あり

マスターより

 当初、Elyとの兼任だった柏木には広げ切れなかった展開が幾つかあったりします。マーロウの旧友のバンクス伯とか、大公家の庭師と女軍師セルマとか、ハルトフォートへ赴任するジョアンを睨み付けていた同期の娘とか、ドワーフ三人組に呼ばれて弾道計算を担うはずだったトルティアのポルトン会計とかとか……
 今回出たエッグハンター・ジーンもそんな一人だったりします。本当はオードラン伯爵家とダフィールド侯爵家のゴタゴタはこの娘を軸に進むはずでした。四兄弟の誰かにに身分違いの恋をするけど、その相手は婚約者になったクリスかマリーと結婚するという……今となっては影も形も無く消え失せたルートですけどねー!
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/07/31 20:47

参加者一覧


  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 流浪の剛力修道女
    シレークス(ka0752
    ドワーフ|20才|女性|闘狩人
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 誓槍の騎士
    ヴァルナ=エリゴス(ka2651
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • それでも私はマイペース
    レイン・ゼクシディア(ka2887
    エルフ|16才|女性|機導師
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/07/22 16:51:31
アイコン 相談です・・・
サクラ・エルフリード(ka2598
人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2019/07/23 18:46:40