• 戦闘

イノセントイビル 悪しき縁に根絶やしを

マスター:柏木雄馬

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,800
参加人数
現在10人 / 6~10人
サポート
現在0人 / 0~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/09/15 19:00
リプレイ完成予定
2019/09/24 19:00

オープニング

 結論から言えば、『名も知れぬ怠惰の歪虚』にとどめを刺す事は出来てはいなかった。その事実が露見したのは、再び各地で『怪力事件』が発生し始めたからだった。

 マリーがその事実を知ったのは、侯爵家の面々と別れ、オードラン伯爵領に帰った後の事。その日は、延びに延びていたマリーの縁談話を進める為、婚約者であるジョアン・R・パラディールと会う引き合わせの日であった。

「久しぶりね、ジョアン。ハルトフォートのゴーレム部隊で武勲を上げたって聞いたけど……相変わらずのチビ眼鏡ね!」
「ああ、マリー。そう言う君の方こそ、昔と変わらずちんまいね。少しは淑女らしくなっているかと思っていたら、まるでガキ大将の頃のまんまじゃないか」
 顔を合わせるなり、マリーとジョアン──もう子供でもない男女二人は本気の悪態を交わし合った。両家は親戚筋に当たり、幼い頃はちょくちょく顔を合わせていた仲だった。
 家族同士の会食やら何やらと型通りの行事を済ませ……マリーはタイミングを見計らってジョアンを連れ出し、二人きりになったところで本音を訊ねた。
「あんた、本当にこのまま親のいいなりになって私と結婚するつもり? 私は『奥』に引っ込んで良妻賢母、なんて性に合わない。……それにまだ、片付けておかなきゃいけないこともある」
「……僕だって、伯爵家の跡継ぎなんてガラじゃない。それに……今の職場に、気になっている女性(ひと)もいる」
 マリーは口笛を一つ吹くと、ニヤリと笑って、告げた。
「私たち、『駆け落ち』しましょう!」
 ジョアンは驚くというより、まず呆れた。
「……駆け落ち、ってのは、好きあった者同士がするものじゃなかったっけ?」
「いいのよ。私たちはこの結婚に異議を唱える、言わば同志みたいなものなんだから」
 かくして、若い二人は結納の場から揃って遁走した。クリスは「そういうこともあるかもしれない。……なんせマリーだし」と事前に『警備』を敷いていたのだが、覚醒者となった本気のマリーを止めることはできなかった。
「……やっぱり出て行ってしまうのですね。伯爵家から……貴族社会から」
「ごめん、クリス。やっぱ無理だった。……それに、まだ事件も解決していない。ルーサーたちも放っとけないしね。だから、クリス……行ってくる。父様のこと、よろしくね」


 ダフィールド侯爵家は勿論、総力を挙げて仇敵の行方を追った。
 広域騎馬警官隊と秘密警察は統合され、互いのノウハウを活用できる新組織が作られた。その長にはソードが就任したが、現場志向の彼は殆どニューオーサンに居つく事もなく、実質的にはヤングが組織を取り仕切っていた。
 ルーサーもまた新生侯爵家を象徴する新ポスト──民生長官の座に就いて、日々、忙しく過ごしていたが、時間を作ってはちょくちょくその『捜査本部』に顔を出した。
「かの『怠惰』は土から生やした無数の『蔦』を使って、たくさんの死体や巨木を操った。この事から、『怠惰』の本体は土の中に存在しているものと思われる」
 捜査本部の推論に、ルーサーは(そうだろうか……?)と小首を傾げた。
 確かに、あの敵は死体も巨木も操ってはいたが……その『精度』には違いがあったように思えた。例えば、死体の群れや巨木の動きは、確かにそのパワーと効果範囲は目に見えて凄いものだったけど……なんというか、その動き自体は『雑』というか『大雑把』なものに感じられた。対して、『庭師』や『仲買人』、『客』については、流暢な言葉遣いから手足の指先一つに至るまで、まるで普通の人間と見分けがつかぬほど精緻に動いていた。
(あの『客』は常に地面に接していた。戦闘中も摺り足だった。その理由が『地面から生えた蔦と繋がっていたから』という理由は納得できる。だが……)
 ……あの『庭師』や『仲買人』もそうだったかと思い返せば、決してそんなことはなかった。本体が地面の下にいたとしたら、説明がつかない事だ。
 更にもう一点。あの大樹との戦闘中、『客』が大きく跳躍した際、一瞬、大樹の動きが鈍ったように感じられた。それは、後方にいて仲間に守られる立場にあって、常に戦場全体を観察できた自分だけに気付けた相関だった。
 それに、戦闘不能になった『客』がしようとしていた『死んだふり』…… そして、構わずオーバーキルを仕掛けたハンターの追撃に、必死に抵抗して見せたこと──
「あの……」
 ルーサーが挙手をし、発言を求めた。
「僕には敵の本体が地面の下にあったとは思えない」
 組織の『部外者』故に遠慮がちに……しかし、はっきりと自論を述べる。──全ては、戦えぬ身でありながら戦場に立ち、実際にこの目で『怠惰』を見ていたからこそ、察知し得たものだった。
「敵の本体は、『庭師』や『仲買人』や『客』の中にいた。『客』の跳躍時に大樹の動きが鈍ったのも、『蔦』の接続が一時的に切れたから。『死んだふり』を止めて防御したのも、それが理由だ。……そして、戦えなくなった身体からどうにか抜け出し、地面の下へと逃れた。『根』によって耕された土の中へ。その後も、さも大樹が本体であるかのように操って、勝利を確信した僕らが立ち去るまで待っていたんだ」

 『名も知れぬ怠惰の歪虚』との『いたちごっこ』は数年の長きに亘った。
 ルーサーは18歳になった。背も年齢相応に延び、小太りだった少年期からは想像できぬ程の精悍な佇まいの青年となっていた。

 その日、フェルダー地方の遺跡の天井を喰い破り、全長50mを超える巨大な『樹』の複合体の化け物がその姿を地上に現し、ニューオーサンへ向けて進撃を開始した。
 すぐに侯爵家当主カールによって討伐依頼が出され、AC等のユニット戦力を含む大規模な討伐隊が組織された。
 だが、その時、長い間ソードたちと行動を共にして来たハンターたちは、地下の遺跡の中にいた。
「フェルダー地方──特にダフィールド侯爵領と周辺諸侯領の地下には数多くの遺跡がある。先の大樹の遺跡もそう。ユト村の近くにも。そして、急流筏下りのオーサン川の河畔にも。……そして、それらは連絡通路の様なもので接続されていたという」
 出発前、兄やハンターたちを捜査本部から送り出す際にルーサーが告げた。
 それらの地下通路の中にはニューオーサン近郊にまで達するものもあり、或いは地下に潜ったままここまで到達し得るルートもあるのかもしれない── これらの情報はいずれも、『いたちごっこ』の最中に数々の遺跡へ潜らされたマリーが調べ上げたことだった。
「地上の大樹は囮だ。本体は地下遺跡にいる。……これまでに蓄積された情報から、敵が『蔦』を伸ばせる範囲には限界があると分かっている。大樹の近くに存在する唯一の地下通路──そこにいるはずの敵の本体を探し出し、撃破してください」

解説

 状況:本文参照。接敵状態から戦闘開始。
 目的:『名も知れぬ怠惰の歪虚』の撃破

 舞台:古代遺跡の一部。幅16sq、高さ8sq。CAMが直立して歩けるほど巨大な直線状の地下通路。


敵:『名も知れぬ怠惰の歪虚』

第一段階:「それがお前の本体か?」
 全長4m。『棘付きの蔦』をグルグル巻きにした玉ネギだか球根っぽい球形の物体。無数の蔦によって遺跡の天井からぶら下がっている。
 最初の段階では、伸ばした『蔦』を鞭や槍にした自動反撃。
 一定ダメージ後は周囲へ一斉に蔦を伸ばして繭の様な形状に。壁や天井、床に蔦を突き刺し、天井を砕いて落としたり、石を投げたり、地面から突然生えて来たり、と『大樹』っぽい攻撃をして来る。
 本体部分は大木の様な感触でとても固い。

第二段階:「外のCAMを模したのか?」
 一定ダメージ後、球形から変形。まるで津波の様に周囲の岩の欠片を巻き込みながら『全長8mの巨大な木と岩の人型』へと変貌する(この時、回避や抵抗に失敗したPCやNPCを何人か巻き込んで、体表に拘束する可能性)
 攻撃手段はこれまでと同様+手足を用いた打撃攻撃(岩部分は凶器。とても痛い)……かと思ったら急にばらけて投網状になって拳の中に撮り込んだりとか。
 欠損部は他の蔦や岩で埋められる。
 一定ダメージ後、地上の『怪物』を操り、その足で遺跡の天井ごと踏み抜いて攻撃して来たり、巨大怪光線で地面ごと地下通路を斜めに薙ぎ払ったりして来る。超強力なうえ、察知は困難。頻度は外の戦況による(乱数)

第三段階:「こんなもん、どうしろと?!」
 更に一定ダメージ後、再び球形に。地上の『怪獣』のコントロールを捨て、自身の蔦を全て周囲へ集める。
 表層の棘蔦を高速回転させながら、まるでイワシの球形群の様に形状を歪ませ、うねらせ、蠢かせつつ、土星や海王星の様な蔦の『輪』を伸ばして斬りつけて来る。その威力は電鋸以上。
(以下、マスターよりへ)

マスターより

(解説続き)
 ダメージを受けて蔦の量が減って来ると、球形を解いてリング状、リボン状、メビウスの輪状になったりする。
 欠損部分は闇色のオーラによって埋められ、最後はエネルギーの塊になっていく。

第四段階:「それがお前の本当の姿かよ……」
 全ての闇色オーラを消耗し尽くした後に残るのは、小さな球根状の種子。細く小さな根を蠢かして必死に地中へ潜ろうとするが……


NPC
 ソード:ベテランの軽装戦士。以上(ぇ
 マリー:場数を踏んだ遺跡探索者。故に軽装。武装はPDWと複数の焼夷手榴弾


(マスターより)
 そういうわけで、最終決戦です。
 今回、ルーサー(とクリス)は戦場にいません。良い報告を持ち帰ってあげてください。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/09/23 17:47

参加者一覧

  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 流浪の剛力修道女
    シレークス(ka0752
    ドワーフ|20才|女性|闘狩人
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 誓槍の騎士
    ヴァルナ=エリゴス(ka2651
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • それでも私はマイペース
    レイン・ゼクシディア(ka2887
    エルフ|16才|女性|機導師
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/09/14 23:43:23
アイコン 最後の相談
サクラ・エルフリード(ka2598
人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2019/09/15 17:33:09