ゲスト
(ka0000)
【未来】前略、北につづく道の上より。
マスター:ことね桃

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在10人 / 3~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/11/02 22:00
- リプレイ完成予定
- 2019/11/16 22:00
オープニング
●帝国軍第二師団のその後
帝国国内の戦争が終結してから10年後の世界。
帝国軍第二師団は国内の復興活動に尽力していたが、帝都の都市機能がある程度まで回復した頃に北へ旅立った。
彼らは戦闘を主とした組織である。国内が平和になり民が戦を望まなくなった以上、荒々しい力が必要とされることはない。かといって戦い以外の道をすぐに見出せるほど器用でもなく。そこで戦闘能力を活かせる場を求めたところ、国から「新天地の開拓支援」という新しい使命を与えられたのだ。
今日も今日とて彼らはある歪虚が切り拓いた道を辿りながら雑魔を倒し、障害を取り除き、開拓者の手助けをする。平和な社会にどことなく居心地の悪さを感じていた師団員達は毎日が刺激あふれる旅路にいつしか生き甲斐を見出していた。
●新天地での生活
「師団長、後方の拠点より食糧の補給です」
時は陽が陰ってきた頃。ベースキャンプに向かっていた師団員が魔導トラックを駆り、第二師団の本隊に合流した。荷台には大量の木箱が積まれている。
「おう、お疲れさん。そろそろオウレル達も戻ってくるから飯の支度をしようぜ」
開拓地の見回りを終えた師団長のシュターク・シュタークスン(kz0075)をはじめとした師団員が積荷を丁寧に下ろしていく。
何しろこの荒涼とした大地は浄化されてからさほど日が経っていない。神霊樹は植樹されたものの、食物が実る肥沃な土を得られるまで今しばらく時間が必要となるだろう。
そのためベースキャンプから提供される食糧は大食家集団の彼らにとって生命線。蔑ろにすることは決してできないのだった。
積荷を一通り下ろしたところで、シュタークが蓋に手をかける。
「さて、今回の補給は何だろうな? ……あっ」
大きな蓋を持ち上げてみれば、そこにあるのはメイド・イン・帝国のジャガイモ。黄金色の丸々とした芋がぎっちりと詰め込まれている。
「芋だな……」
「芋ですね。いつもの」
北方に派遣されてから数えることすら馬鹿馬鹿しくなるほど交わした言葉を重ねあう。
正直な話、第二師団のほぼ全員が芋好きだ。日持ちする上に腹持ちの良い芋を提供してくれる人々に第二師団は深く感謝している。だが毎回ジャガイモが主食となると何か別のものを食べたくなるというのも人情だった。
「……今回はどうやって食ったもんかな」
「えーと、それでは最近ふかし芋続きでしたから帝国風芋煮でも作りましょうか。今回は肉も支給されましたし。前回の人参やタマネギがいくらか残っていたはずですから、それを入れて」
「そうだな、ここんところ寒くなってきたし皆も喜ぶだろう。頼む」
そこに「ただいま帰投しました」と朗らかな声が響いた。先行調査に出ていたオウレルやヴァルターらが戻ってきたのだ。早速彼らを出迎えると。
「お疲れさん。……おっ、お客さんも連れてきたのか」
「はい、汚染の浄化を手伝ってくれたんです。おかげさまで汚染区域をかなり縮小できたので、そのお礼ができればと。寒くなってきましたので温かいものを出して良いでしょうか」
オウレルは調査先で会ったハンターを同行させている。善意の協力者に断る理由はないとシュタークは告げ、こう付け足した。
「丁度帝国風芋煮を作ってるところだ、腹いっぱい食っていってくれ。……炊事班、芋と肉追加! 協力者へのもてなしは丁重にな!」
ああ、今日も芋が沢山届いたんだな。オウレルがくすりと笑う。
――その表情を眺め、オウレルはこの10年で驚くほど気丈な青年に成長したと実姉のスザナは思った。
かつて彼は吸血鬼エリザベート(kz0123)を深追いしたことがきっかけで歪虚に身を堕とし、戦友を殺害し、過ちをおかした自分を憎むあまり人間に討伐されることを望んでいた。しかしハンターの温かい説得や交流を通してその憎しみが氷解し、今は暴食歪虚でありながら第二師団の師団員として人間と共存している。
戦争が終わり、季節がめぐり。いつの間にか心の傷跡が疼くこともなくなって。元通りの幸せではなくとも、皆が前を向けるようになって。
(良かったわね、オウレル)
普段は無表情なスザナが、弟の明るい表情を見つめ人に気づかれない程度だけれど――幸せそうに笑った。
●芋煮会と幻の仮面剣士
大鍋でぐつぐつと煮込まれる芋煮。焚火が冷たい月光の下を温かく照らし出す。
気前よく振る舞われる帝国風芋煮はクリムゾンウェスト各国のみならずリアルブルー文化の流入により、以前よりも確実に味のよいものに生まれ変わっていた。
シュタークはハンターとの再会にすっかり気を良くし、作戦期間中は滅多に口にしない酒を呑んでいる。後にスザナに小言を言われることは確定しているが、今の彼女にとってはそんなことは些細な問題でしかない。
だがその時、枯れた木立の向こうにひとりの女剣士の姿を見た。
マントを羽織り剣を腰に挿した冒険者然としたいでたち。身長がすらりと高く、無駄のない引き締まった体つきは女性の目から見ても魅力的だ。
しかしそれよりも目をひいたのは鼻から上を覆い隠す仮面と。金属で覆われた腕――ガントレットにしては妙に細い、義手という言葉がしっくりくるぐらいのもの。彼女はこちらに一瞬だけ視線を向けたものの、足を止めずに北へ向かう。
(こんな時間にハンターか。相当な修羅場をくぐっているような風貌だが、こんなうすら寂しいとこでひとりなんて……危ねえだろ。この辺は転移門まで結構距離があるしな)
シュタークがカップを置いて立ち上がる。すると傍にいるハンターが不思議そうに首を傾げた。
「ああ、さっきそこを仮面を被った女が歩いていったんだよ。武装していたからハンターだと思うが、ここら辺は暗くなると足元が覚束なくなるから声を掛けようと思ってだな……」
さて、行ってみるかと視線を戻してみれば――姿が見えない。シュタークは見間違えかと目を擦り、再び腰を下ろすと黙って皿の中の肉をつついた。
帝国国内の戦争が終結してから10年後の世界。
帝国軍第二師団は国内の復興活動に尽力していたが、帝都の都市機能がある程度まで回復した頃に北へ旅立った。
彼らは戦闘を主とした組織である。国内が平和になり民が戦を望まなくなった以上、荒々しい力が必要とされることはない。かといって戦い以外の道をすぐに見出せるほど器用でもなく。そこで戦闘能力を活かせる場を求めたところ、国から「新天地の開拓支援」という新しい使命を与えられたのだ。
今日も今日とて彼らはある歪虚が切り拓いた道を辿りながら雑魔を倒し、障害を取り除き、開拓者の手助けをする。平和な社会にどことなく居心地の悪さを感じていた師団員達は毎日が刺激あふれる旅路にいつしか生き甲斐を見出していた。
●新天地での生活
「師団長、後方の拠点より食糧の補給です」
時は陽が陰ってきた頃。ベースキャンプに向かっていた師団員が魔導トラックを駆り、第二師団の本隊に合流した。荷台には大量の木箱が積まれている。
「おう、お疲れさん。そろそろオウレル達も戻ってくるから飯の支度をしようぜ」
開拓地の見回りを終えた師団長のシュターク・シュタークスン(kz0075)をはじめとした師団員が積荷を丁寧に下ろしていく。
何しろこの荒涼とした大地は浄化されてからさほど日が経っていない。神霊樹は植樹されたものの、食物が実る肥沃な土を得られるまで今しばらく時間が必要となるだろう。
そのためベースキャンプから提供される食糧は大食家集団の彼らにとって生命線。蔑ろにすることは決してできないのだった。
積荷を一通り下ろしたところで、シュタークが蓋に手をかける。
「さて、今回の補給は何だろうな? ……あっ」
大きな蓋を持ち上げてみれば、そこにあるのはメイド・イン・帝国のジャガイモ。黄金色の丸々とした芋がぎっちりと詰め込まれている。
「芋だな……」
「芋ですね。いつもの」
北方に派遣されてから数えることすら馬鹿馬鹿しくなるほど交わした言葉を重ねあう。
正直な話、第二師団のほぼ全員が芋好きだ。日持ちする上に腹持ちの良い芋を提供してくれる人々に第二師団は深く感謝している。だが毎回ジャガイモが主食となると何か別のものを食べたくなるというのも人情だった。
「……今回はどうやって食ったもんかな」
「えーと、それでは最近ふかし芋続きでしたから帝国風芋煮でも作りましょうか。今回は肉も支給されましたし。前回の人参やタマネギがいくらか残っていたはずですから、それを入れて」
「そうだな、ここんところ寒くなってきたし皆も喜ぶだろう。頼む」
そこに「ただいま帰投しました」と朗らかな声が響いた。先行調査に出ていたオウレルやヴァルターらが戻ってきたのだ。早速彼らを出迎えると。
「お疲れさん。……おっ、お客さんも連れてきたのか」
「はい、汚染の浄化を手伝ってくれたんです。おかげさまで汚染区域をかなり縮小できたので、そのお礼ができればと。寒くなってきましたので温かいものを出して良いでしょうか」
オウレルは調査先で会ったハンターを同行させている。善意の協力者に断る理由はないとシュタークは告げ、こう付け足した。
「丁度帝国風芋煮を作ってるところだ、腹いっぱい食っていってくれ。……炊事班、芋と肉追加! 協力者へのもてなしは丁重にな!」
ああ、今日も芋が沢山届いたんだな。オウレルがくすりと笑う。
――その表情を眺め、オウレルはこの10年で驚くほど気丈な青年に成長したと実姉のスザナは思った。
かつて彼は吸血鬼エリザベート(kz0123)を深追いしたことがきっかけで歪虚に身を堕とし、戦友を殺害し、過ちをおかした自分を憎むあまり人間に討伐されることを望んでいた。しかしハンターの温かい説得や交流を通してその憎しみが氷解し、今は暴食歪虚でありながら第二師団の師団員として人間と共存している。
戦争が終わり、季節がめぐり。いつの間にか心の傷跡が疼くこともなくなって。元通りの幸せではなくとも、皆が前を向けるようになって。
(良かったわね、オウレル)
普段は無表情なスザナが、弟の明るい表情を見つめ人に気づかれない程度だけれど――幸せそうに笑った。
●芋煮会と幻の仮面剣士
大鍋でぐつぐつと煮込まれる芋煮。焚火が冷たい月光の下を温かく照らし出す。
気前よく振る舞われる帝国風芋煮はクリムゾンウェスト各国のみならずリアルブルー文化の流入により、以前よりも確実に味のよいものに生まれ変わっていた。
シュタークはハンターとの再会にすっかり気を良くし、作戦期間中は滅多に口にしない酒を呑んでいる。後にスザナに小言を言われることは確定しているが、今の彼女にとってはそんなことは些細な問題でしかない。
だがその時、枯れた木立の向こうにひとりの女剣士の姿を見た。
マントを羽織り剣を腰に挿した冒険者然としたいでたち。身長がすらりと高く、無駄のない引き締まった体つきは女性の目から見ても魅力的だ。
しかしそれよりも目をひいたのは鼻から上を覆い隠す仮面と。金属で覆われた腕――ガントレットにしては妙に細い、義手という言葉がしっくりくるぐらいのもの。彼女はこちらに一瞬だけ視線を向けたものの、足を止めずに北へ向かう。
(こんな時間にハンターか。相当な修羅場をくぐっているような風貌だが、こんなうすら寂しいとこでひとりなんて……危ねえだろ。この辺は転移門まで結構距離があるしな)
シュタークがカップを置いて立ち上がる。すると傍にいるハンターが不思議そうに首を傾げた。
「ああ、さっきそこを仮面を被った女が歩いていったんだよ。武装していたからハンターだと思うが、ここら辺は暗くなると足元が覚束なくなるから声を掛けようと思ってだな……」
さて、行ってみるかと視線を戻してみれば――姿が見えない。シュタークは見間違えかと目を擦り、再び腰を下ろすと黙って皿の中の肉をつついた。
解説
目的:芋煮をのんびり楽しんでも、料理を作っても、
交流をメインにしても、周辺地域を散策しても何でもOKです。
物語開始の状況:
邪神戦争から10年後の晩秋。星の浄化作戦に参加中の帝国軍第二師団と芋煮会中。
場所:北へ向かう道の途中。汚染が浄化されてから間もない荒涼とした場所。
登場人物
帝国軍第二師団:帝国本国から離れ、開拓地の警護や開拓者の護衛を行っている。
開拓に参加したヴルツァライヒの面々とも活動を通して交流が進み、関係はそこそこ良好。
シュターク:いつもの元気すぎる師団長。
時が流れても一向に衰えることなく、寒冷地だろうとビキニアーマーで頑張っている。
オウレル:剣妃オルクスにより吸血鬼型歪虚にされた元軍人。
暴食だが高位歪虚のため強い理性と知性がある。
マテリアル汚染の影響を受けにくいため率先して汚染区域に先行することが多い。
ヴァルター:第二師団の部隊長。オウレルの親友。
8年前に結婚し、現在は3児の父。家族の生活のため浄化作戦に熱心に参加している。
スザナ:第二師団の副師団長。オウレルの実姉。
シュタークの調きょ……じゃなくて補佐と、汚染区域の浄化を主として活動中。
???…仮面を着けた短髪の女剣士。
※仮面の女剣士は探して声をかけることが可能です。
ただし彼女は特殊な事情を抱えていますので、対話するにはひと工夫が必要です。
※確認したいことがございましたら質問卓を立て、シュタークにお声掛けください。
シュタークが認識している範囲でお答えします。
交流をメインにしても、周辺地域を散策しても何でもOKです。
物語開始の状況:
邪神戦争から10年後の晩秋。星の浄化作戦に参加中の帝国軍第二師団と芋煮会中。
場所:北へ向かう道の途中。汚染が浄化されてから間もない荒涼とした場所。
登場人物
帝国軍第二師団:帝国本国から離れ、開拓地の警護や開拓者の護衛を行っている。
開拓に参加したヴルツァライヒの面々とも活動を通して交流が進み、関係はそこそこ良好。
シュターク:いつもの元気すぎる師団長。
時が流れても一向に衰えることなく、寒冷地だろうとビキニアーマーで頑張っている。
オウレル:剣妃オルクスにより吸血鬼型歪虚にされた元軍人。
暴食だが高位歪虚のため強い理性と知性がある。
マテリアル汚染の影響を受けにくいため率先して汚染区域に先行することが多い。
ヴァルター:第二師団の部隊長。オウレルの親友。
8年前に結婚し、現在は3児の父。家族の生活のため浄化作戦に熱心に参加している。
スザナ:第二師団の副師団長。オウレルの実姉。
シュタークの調きょ……じゃなくて補佐と、汚染区域の浄化を主として活動中。
???…仮面を着けた短髪の女剣士。
※仮面の女剣士は探して声をかけることが可能です。
ただし彼女は特殊な事情を抱えていますので、対話するにはひと工夫が必要です。
※確認したいことがございましたら質問卓を立て、シュタークにお声掛けください。
シュタークが認識している範囲でお答えします。
マスターより
こんにちは、ことね桃です。
皆様のおかげでファナティックブラッドは大団円を迎えることが出来ました。
本当に本当にありがとうございます!
さて、今回は帝国軍第二師団のエピローグです。
基本的にほのぼーのですが、ちょっと気になることもあるようですね。
とはいえやりたいことをやるのが第一ですので、
何かを解決しなければとならないという話ではありません。
皆様の素敵な未来を見せていただけましたら幸いです。
それではなにとぞよろしくお願いします!
皆様のおかげでファナティックブラッドは大団円を迎えることが出来ました。
本当に本当にありがとうございます!
さて、今回は帝国軍第二師団のエピローグです。
基本的にほのぼーのですが、ちょっと気になることもあるようですね。
とはいえやりたいことをやるのが第一ですので、
何かを解決しなければとならないという話ではありません。
皆様の素敵な未来を見せていただけましたら幸いです。
それではなにとぞよろしくお願いします!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/11/28 09:57