ゲスト
(ka0000)
【王国展】古書に眠るものたち
マスター:ユキ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/02/23 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/09 19:00
オープニング
~~以下王国展共通OP
システィーナ・グラハム(kz0020)王女の執務室。王城のほぼ中枢にあるそこは、この季節においても調度品や暖炉によって暖かく整えられている。そこに、ぽつり、と声が零れた。
「ハンターの皆さまに向けて、王国観光庁の設立……?」
「ええ」
システィーナ王女の声であった。応じた鈍く低い声は、セドリック・マクファーソン(kz0026)大司教。
「現状、復興が進んでいるとはいえ、先日のベリアルの侵攻の傷は、決して小さくはありません」
「そう、ですね。民も、傷ついています」
システィーナの理解に、セドリックは微かに笑みを浮かべた。
「その通りです、殿下。この国には余力がある。故に、土地も、経済も、時が経てば癒えましょう。ですが――民の心に刻まれた傷は、生半な事では癒えません」
「……そこで、観光庁、ですか? ハンターの皆さまが、どう関わるのです?」
「彼らの存在そのものが、王国の治安や防衛――そして経済に、深く関わります。安全の担保によって、民草に安堵を抱かせる。現状ですとその重要性は、言を俟ちません。その点でハンターに対して王国の内情を詳らかにし、また、国民が広くハンターの存在と意義を知ることは現状では十分に価値あることです」
「そう、ですね……ハンターの皆さまが、この国の民にとって救いになり得る」
手を合わせて、王女はにこやかに笑んだ。華やぐ声で、言う。
「作りましょう、王国観光庁!」
「ええ、ではそのように。ああ、それと――」
少女の喝采に、セドリックの聖人の笑みが返った。
「観光を扱う以上、民草にとっても近しい組織でなくてはなりません。そこで、システィーナ王女。貴女の出番となります」
「は、はい」
「貴女に、観光庁の代表をして頂きます」
「……ふぇ?」
「早速、催し物の段取りをしておきましょう。王女の名の下に各地に通達し、商会、職人、その他諸々の団体を応召し、展覧会を執り行う――」
「え、ぇ?」
「詳細は後日、識者を集めて会議を行いますので、それまでにお考えをお纏めください……それでは、私はこれで」
「え……?」
――戸を閉じたセドリックの背中を、少女のか細い悲鳴が叩いた。
………
――古都アークエルスにて
「千年王国の王女とあろうお方が自らこのようなことを……いやはや……」
目の前の幼い領主に長年仕えてきたであろう老執事は、主が床へと捨てた書状に自らも目を通し、その文面に複雑な表情を浮かべ、長い息を吐く。その様子に、領主は別段気を悪くする様子は見せない。
「いいんじゃないかな? 若い王女には何事も経験が必要だよ。それに、考えてもみるといい。あの宰相や僕が代表をする組織に、広くハンターが集まり、地方の農民や職人が動くと思うかい? 動くのは強欲な商人や貴族連中くらいだろうね」
フフッ、と容姿に似合わぬ自嘲めいた笑みを浮かべる古都アークエルスの領主フリュイ・ド・パラディ(kz0036)は冗談めかしつつも、王国の現状を俯瞰している。
「前王を失い、さらにベリアルの一件。この国は今疲弊しているからね。いろんな意味でハンターの力が必要なのさ。さすが、宰相もよくわかっているよね」
【黒祀】……ベリアルの襲撃により傷ついた地方経済の活性化を図るための展覧会と、それを通じてハンターに王国のことを知ってもらうことを目的とした展覧会の企画を知らせる文。もちろん、地方経済の活性化というのが大目標だろう。だが今、国は度重なる悲劇に見舞われ、民の心が王家から離れようとしている。そしてそれを繋ぎとめられるだけの統治力も武力も、今の王国にはない。いずれ地方の傷は癒えるが、だがそこに王家の手が至らなかったとなれば、宰相の望む中央集権など霞の如く。その鎹となるのが、ハンターだ。
「して、いかがなさいますか?」
文の返書について執事が尋ねるが、その答えが「Yes」なことはわかっていた。だが、実際のフリュイの返答は、長年仕える彼にとっても少し想像の斜め上だったようだが。
「もちろん、古都の主として、王国の未来のためにも協力は惜しまないさ。我がアークエルスはすべてを生み出す街。生み出されたものを広く知らしめ、そしてそれがまた新たな創造を生むんだよ。……でもね」
「でも? と、おっしゃいますと?」
主の言葉をききながら「ではこの季節であればこの作物が良いだろうか。それとも他の都市との差を生むという意味ではなにか発明品が良いだろうか。最近のものではあれなどはどうだろうか……」と展示品のリストを頭の中で作っていた執事の思考が、最後の一言で白紙に戻される。その意表を突かれたという様子にフリュイは子どものように笑みを浮かべる。
「すでにあるものを出してもつまらないよね。これは何のための展示だい? ハンターに王国を知ってもらうためだろう? なら、ハンターに街が誇るモノを見てもらって、その上で選ばせればいいじゃないか。幸い、資料は山のようにあるんだからね」
………
――ハンターズソサエティにて
「古都の巨大図書館をハンターのために開放?」
ハンターズソサエティに表示されたその依頼内容は、あまり依頼というにはふさわしくないように思えるものだった。訝し気なハンターとは反対に、受付嬢はどこか興奮した様子を見せる。
「えぇ、なんでも、今度王国で開かれる展覧会のための展示品について、ハンター自身に巨大図書館の書物の中から気になるものを探させて、それをアークエルスの技術者たちが責任を持って開発して展覧会に出すんだそうよ。もちろん成功したらの話ですけど。普段は立ち入りの禁止されてる閉鎖区域もこの日だけはハンターたちに開放してくれるそうだから、おもしろそうよね」
一息に説明する受付嬢が、「どう?」と輝く瞳で訴えるが、
「俺、本って見ると眠くなるんだよな……」
と、どうにも腰が重い。だが負けじと推し続ける受付嬢。
「開放は朝から夜までしてくれるらしいし、別に1日中籠ってなくてもいいそうよ。反対に、好きなだけいろんな本を見てもいいらしいし、まっ、興味があるならってやつね。もしかしたら、大昔のとんでも兵器の作り方とか、宝の地図とかでもでてくるかもしれないし、おもしろそうじゃない?」
強力な過去のアイテムや、宝。ハンターにとっては魅力的と思われる単語を並べ立てる彼女だったが、
「あたし、埃とかカビっぽいのダメなのよねぇ……ゴブリンの巣窟の駆除とかだったら大丈夫なんだけど」
と、戦闘肌のハンターたちは難色を示す。その様子に肩を落としつつ、とりあえずと依頼書を渡すのだった。気乗りしない様子で出直そうとカウンターを後にするハンターの背中に、彼女の言葉が届いたかどうか。
「あぁそうそう、もし受けるなら、立ち入り禁止区域の中での安全は保障しないって書いてあるから、注意してねー」
システィーナ・グラハム(kz0020)王女の執務室。王城のほぼ中枢にあるそこは、この季節においても調度品や暖炉によって暖かく整えられている。そこに、ぽつり、と声が零れた。
「ハンターの皆さまに向けて、王国観光庁の設立……?」
「ええ」
システィーナ王女の声であった。応じた鈍く低い声は、セドリック・マクファーソン(kz0026)大司教。
「現状、復興が進んでいるとはいえ、先日のベリアルの侵攻の傷は、決して小さくはありません」
「そう、ですね。民も、傷ついています」
システィーナの理解に、セドリックは微かに笑みを浮かべた。
「その通りです、殿下。この国には余力がある。故に、土地も、経済も、時が経てば癒えましょう。ですが――民の心に刻まれた傷は、生半な事では癒えません」
「……そこで、観光庁、ですか? ハンターの皆さまが、どう関わるのです?」
「彼らの存在そのものが、王国の治安や防衛――そして経済に、深く関わります。安全の担保によって、民草に安堵を抱かせる。現状ですとその重要性は、言を俟ちません。その点でハンターに対して王国の内情を詳らかにし、また、国民が広くハンターの存在と意義を知ることは現状では十分に価値あることです」
「そう、ですね……ハンターの皆さまが、この国の民にとって救いになり得る」
手を合わせて、王女はにこやかに笑んだ。華やぐ声で、言う。
「作りましょう、王国観光庁!」
「ええ、ではそのように。ああ、それと――」
少女の喝采に、セドリックの聖人の笑みが返った。
「観光を扱う以上、民草にとっても近しい組織でなくてはなりません。そこで、システィーナ王女。貴女の出番となります」
「は、はい」
「貴女に、観光庁の代表をして頂きます」
「……ふぇ?」
「早速、催し物の段取りをしておきましょう。王女の名の下に各地に通達し、商会、職人、その他諸々の団体を応召し、展覧会を執り行う――」
「え、ぇ?」
「詳細は後日、識者を集めて会議を行いますので、それまでにお考えをお纏めください……それでは、私はこれで」
「え……?」
――戸を閉じたセドリックの背中を、少女のか細い悲鳴が叩いた。
………
――古都アークエルスにて
「千年王国の王女とあろうお方が自らこのようなことを……いやはや……」
目の前の幼い領主に長年仕えてきたであろう老執事は、主が床へと捨てた書状に自らも目を通し、その文面に複雑な表情を浮かべ、長い息を吐く。その様子に、領主は別段気を悪くする様子は見せない。
「いいんじゃないかな? 若い王女には何事も経験が必要だよ。それに、考えてもみるといい。あの宰相や僕が代表をする組織に、広くハンターが集まり、地方の農民や職人が動くと思うかい? 動くのは強欲な商人や貴族連中くらいだろうね」
フフッ、と容姿に似合わぬ自嘲めいた笑みを浮かべる古都アークエルスの領主フリュイ・ド・パラディ(kz0036)は冗談めかしつつも、王国の現状を俯瞰している。
「前王を失い、さらにベリアルの一件。この国は今疲弊しているからね。いろんな意味でハンターの力が必要なのさ。さすが、宰相もよくわかっているよね」
【黒祀】……ベリアルの襲撃により傷ついた地方経済の活性化を図るための展覧会と、それを通じてハンターに王国のことを知ってもらうことを目的とした展覧会の企画を知らせる文。もちろん、地方経済の活性化というのが大目標だろう。だが今、国は度重なる悲劇に見舞われ、民の心が王家から離れようとしている。そしてそれを繋ぎとめられるだけの統治力も武力も、今の王国にはない。いずれ地方の傷は癒えるが、だがそこに王家の手が至らなかったとなれば、宰相の望む中央集権など霞の如く。その鎹となるのが、ハンターだ。
「して、いかがなさいますか?」
文の返書について執事が尋ねるが、その答えが「Yes」なことはわかっていた。だが、実際のフリュイの返答は、長年仕える彼にとっても少し想像の斜め上だったようだが。
「もちろん、古都の主として、王国の未来のためにも協力は惜しまないさ。我がアークエルスはすべてを生み出す街。生み出されたものを広く知らしめ、そしてそれがまた新たな創造を生むんだよ。……でもね」
「でも? と、おっしゃいますと?」
主の言葉をききながら「ではこの季節であればこの作物が良いだろうか。それとも他の都市との差を生むという意味ではなにか発明品が良いだろうか。最近のものではあれなどはどうだろうか……」と展示品のリストを頭の中で作っていた執事の思考が、最後の一言で白紙に戻される。その意表を突かれたという様子にフリュイは子どものように笑みを浮かべる。
「すでにあるものを出してもつまらないよね。これは何のための展示だい? ハンターに王国を知ってもらうためだろう? なら、ハンターに街が誇るモノを見てもらって、その上で選ばせればいいじゃないか。幸い、資料は山のようにあるんだからね」
………
――ハンターズソサエティにて
「古都の巨大図書館をハンターのために開放?」
ハンターズソサエティに表示されたその依頼内容は、あまり依頼というにはふさわしくないように思えるものだった。訝し気なハンターとは反対に、受付嬢はどこか興奮した様子を見せる。
「えぇ、なんでも、今度王国で開かれる展覧会のための展示品について、ハンター自身に巨大図書館の書物の中から気になるものを探させて、それをアークエルスの技術者たちが責任を持って開発して展覧会に出すんだそうよ。もちろん成功したらの話ですけど。普段は立ち入りの禁止されてる閉鎖区域もこの日だけはハンターたちに開放してくれるそうだから、おもしろそうよね」
一息に説明する受付嬢が、「どう?」と輝く瞳で訴えるが、
「俺、本って見ると眠くなるんだよな……」
と、どうにも腰が重い。だが負けじと推し続ける受付嬢。
「開放は朝から夜までしてくれるらしいし、別に1日中籠ってなくてもいいそうよ。反対に、好きなだけいろんな本を見てもいいらしいし、まっ、興味があるならってやつね。もしかしたら、大昔のとんでも兵器の作り方とか、宝の地図とかでもでてくるかもしれないし、おもしろそうじゃない?」
強力な過去のアイテムや、宝。ハンターにとっては魅力的と思われる単語を並べ立てる彼女だったが、
「あたし、埃とかカビっぽいのダメなのよねぇ……ゴブリンの巣窟の駆除とかだったら大丈夫なんだけど」
と、戦闘肌のハンターたちは難色を示す。その様子に肩を落としつつ、とりあえずと依頼書を渡すのだった。気乗りしない様子で出直そうとカウンターを後にするハンターの背中に、彼女の言葉が届いたかどうか。
「あぁそうそう、もし受けるなら、立ち入り禁止区域の中での安全は保障しないって書いてあるから、注意してねー」
解説
王国展に際し、古都アークエルスではハンターに王国を紹介するという名目で、古都が誇る巨大図書館を開放することとしました。
純粋に本を読んで楽しんでも構いませんが、展覧会への展示品の候補について参考になる本を探したり意見を頂けると、依頼人であるフリュイは喜ぶことでしょう。
巨大図書館について:
その規模は街の住人も正確には知らない。壁には天まで届くように一面本棚が並び、見上げても上が見通せない。やみくもに本を探せば階段や梯子での移動距離は計り知れない。其処彼処でパルムもまた忙しそうに動いている。なにかの仕掛けか、あるいは魔法か、あきらかに外観と比べ空間に見合わない所蔵量となっており迷子が後を絶たないが、善意の迷子であればパルムが入り口まで案内してくれる。盗難目的での侵入者については、一部はそのまま帰ってこなかったという噂も。
【一般開放区域】
一般的な教養書や国内の歴史書、文学書や絵本、料理書などが膨大に所蔵されている。司書もおり、所蔵箇所が明確にされている。
【制限区域】
古都で認められた者だけしか立ち入ることができない区域。外部の人間や一般の者へ流用されてはいけない軍事転用できそうな高度な技術書や歴史書、一部の失われた部族の伝承など、内容は様々。一部の書籍は立ち入りはできずとも手続きを踏み認められれば閲覧できる。
【禁止区域】
ごく一部のものしか立ち入ることができない区域。どのような所蔵があるのかは不明。過去の遺物や魔導書が眠っているのではとか、フリュイの秘密研究の記録があるのではとか、憶測は様々。
フリュイは禁止区域の入り口で読書をしていますので会話も可能ですが、望む返答が得られるかは彼の気分次第かもしれません。
※本を汚したりトラブルを発生させた場合は成功度に影響が出ます。
※禁止区域に立ち入った場合や悪意を持ったPCが迷子になった場合は負傷の可能性があります。
純粋に本を読んで楽しんでも構いませんが、展覧会への展示品の候補について参考になる本を探したり意見を頂けると、依頼人であるフリュイは喜ぶことでしょう。
巨大図書館について:
その規模は街の住人も正確には知らない。壁には天まで届くように一面本棚が並び、見上げても上が見通せない。やみくもに本を探せば階段や梯子での移動距離は計り知れない。其処彼処でパルムもまた忙しそうに動いている。なにかの仕掛けか、あるいは魔法か、あきらかに外観と比べ空間に見合わない所蔵量となっており迷子が後を絶たないが、善意の迷子であればパルムが入り口まで案内してくれる。盗難目的での侵入者については、一部はそのまま帰ってこなかったという噂も。
【一般開放区域】
一般的な教養書や国内の歴史書、文学書や絵本、料理書などが膨大に所蔵されている。司書もおり、所蔵箇所が明確にされている。
【制限区域】
古都で認められた者だけしか立ち入ることができない区域。外部の人間や一般の者へ流用されてはいけない軍事転用できそうな高度な技術書や歴史書、一部の失われた部族の伝承など、内容は様々。一部の書籍は立ち入りはできずとも手続きを踏み認められれば閲覧できる。
【禁止区域】
ごく一部のものしか立ち入ることができない区域。どのような所蔵があるのかは不明。過去の遺物や魔導書が眠っているのではとか、フリュイの秘密研究の記録があるのではとか、憶測は様々。
フリュイは禁止区域の入り口で読書をしていますので会話も可能ですが、望む返答が得られるかは彼の気分次第かもしれません。
※本を汚したりトラブルを発生させた場合は成功度に影響が出ます。
※禁止区域に立ち入った場合や悪意を持ったPCが迷子になった場合は負傷の可能性があります。
マスターより
ご無沙汰しております、ユキです。
皆様ご存じかはわかりませんが、私はOPを書きながらFF5の古代図書館が頭に浮かんでおりました。
ただ本を楽しむのも良し、「こんなアイテムがあればいいのに」という思いで探してみるのも、面白いかもしれません。
ご質問がございましたら卓を立てていただきそちらで発言をいただければと思います。
宜しくお願いいたします。
皆様ご存じかはわかりませんが、私はOPを書きながらFF5の古代図書館が頭に浮かんでおりました。
ただ本を楽しむのも良し、「こんなアイテムがあればいいのに」という思いで探してみるのも、面白いかもしれません。
ご質問がございましたら卓を立てていただきそちらで発言をいただければと思います。
宜しくお願いいたします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/04/06 20:04