ゲスト
(ka0000)
雷電
マスター:湖欄黒江

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/05 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/14 15:00
オープニング
●
ゾンネンシュトラール帝国の首都・バルトアンデルス。
イルリ河北岸、バルトアンデルス城下にその店はあった。
ハンターたちが招かれたのは、帝都随一の高級料理店『エーアミット』。
開業後100年以上の歴史を持ち、革命以前は貴族たちの御用達、
今は新興ブルジョワと帝国軍の上級将校を集め、帝国の大立者たちの社交場として知られる。
王国風の壮麗な内装に囲まれた店内を案内され、通されたのは奥の個室。
ドアの前に、厳めしい顔をした男たちが正装して佇んでいる。
店の人間ではないらしく、店員とよそよそしいやり取りをした後、
ハンターたちの顔を確かめ、ようやく個室のドアを開いた。
「ようこそ、ハンター諸君!」
室内には3人の男。席上を見る限り、既に食事を終え、デザート後の一服中といったところのようだ。
ハンターに呼びかけた男はおよそ50歳ほど、恰幅の良い身体を高級な背広で包み、
薄くなりかけた茶髪を後ろに撫でつけ、顔の下半分が豊かな髭で覆われている。
同席のふたりも同年代のようだ。片方は金髪で、眼鏡をかけた痩せぎすの人物。
しかめっ面をし、背広についたパン屑をひとつひとつつまんで捨てる仕草が、いかにも神経質そうだった。
残るひとりは上座に座り、葉巻をくゆらせて、訳もなくにこにことしている。
ハンサムな男だが、恰好の良い口髭にクリームがついている。本人は気づかないらしい。
茶髪の男が身振りをして、
「どうぞ、座りたまえ。食事にはもう遅い時間だが、良ければコーヒーでも?」
●
茶髪の男は、自らをオラウス・フリクセルと名乗った。
「ここ、帝都でちょっとした商売をやってる者だ。向かいの彼は」
と、眼鏡の男を示す。
「銀行家のヴェールマン氏。何だか難しい顔してるが、気にしないでくれ。
彼のごひいきの店が最近潰れてね、それで機嫌が悪いんだ」
一瞬、眼鏡の男がぎろりとフリクセル氏を睨み上げた。
だが当のフリクセル氏は全く意に介さず、
「そしてこちらが……我らがバルトアンデルス市長、ヨーゼフ・バスラ―」
上座のハンサムが、さも嬉しげに頷いてみせた。
帝都の市長ともなれば大変に権威ある人物――とは行かず、
バルトアンデルスは帝国軍第一師団の師団都市を兼ねており、彼らが行政の決定権の大半を握っている。
帝都に限らず、軍政の敷かれた帝国にあって、軍以外の政府機関の権限はたかが知れているのだが、
「市長は職務に大変熱心なお方でね。帝都における、ある重要問題を解決すべく尽力中だ。
私とヴェールマン氏は彼の友人で、今回の件はアドバイザーとして参加しているのだが……」
フリクセル氏が、テーブルの下からおもむろに1枚の新聞を取り出した。
『バルトアンデルス日報』、通称バルツ。帝都で発行されている、大衆向けローカル紙だ。
広げられた紙面の片側は、東方の血を引くという帝都在住の旧家へのインタビューだが、
フリクセルが指さしたのはその反対側、『帝都暗夜行』なる特集記事の第1回だった。
記事の内容は帝都南東部、ブレーナードルフ区の貧民街に関するもので、
周辺住民や『とある関係筋』から訊き出したという現地事情に、ちょっとした論評が添えられている。
「これが、我々の抱える重要問題という奴だ。
記事によると貧民街では近頃、ふたつのならず者のグループが縄張りを巡って争ってるらしい。
本格的な抗争が始まる予兆もあり、現に死者1名がイルリ河から発見されているとか。
どう思うね? 帝国の心臓、皇帝の玉座たるバルトアンデルスで、こんな騒ぎが起きているとは。
帝都は帝国諸都市の範とならねばならん……風紀の乱れ、治安の悪化は大変嘆かわしいことだ」
●
そこでようやく、フリクセル氏が依頼の内容へと踏み込む。
「市長と私たちは、貧民街の環境改善に向けて、とある大計画を練っているところだ。
しかし、ならず者たちの仲違いがその障害となるだろう……是非、我々の手で解決したい。それも穏便に。
となれば、まずは彼らの話を聞き、一体何を求めているのかを知ることが肝要じゃないかね?
私たちは――ふたりを連れてきてくれ」
氏がドアに向かって言うと、少しの後、ふたりの男が新たに入ってきた。
ぱりっとした正装姿で、いかにも帝都のビジネスマン然としているが、
ハンターたちは彼らの目つきに、どことなく剣呑な雰囲気を感じた。
「私の部下の、ロートとブラウだ。
このふたりを、えー、ならず者たちに対する一種の交渉役として貧民街へ送り込みたいのだが、
抗争の噂もあり、行った先で何かと物騒なことに巻き込まれるかも知れない。
なので、君たちハンターに、ふたりの護衛を務めて欲しいのだ」
「依頼内容はそれだけではない。私が調べさせてもらったところによると、
貧民街絡みの事件で君たちハンターが活躍した前歴が、いくつかあるそうだね?
バルツでも、記者の護衛にハンターを雇ったと聞く。そういった経験があれば、是非役立ててもらいたい。
ロートとブラウを護衛する傍ら、君たちのほうでも情報を集めてもらえると助かる。
実戦経験者の目から見て、彼らがどれほどの武器や資金を持つのか、何を欲しがっているのか、
縄張りはどこからどこまでか、住民は彼らをどう思っているのか、まぁそんなところだな。
もし、あちらに知り合いがいるようなら、そういった人々からも話を訊いてもらえると嬉しいね」
フリクセル氏は依頼料を提示しつつ、ハンターたちの顔色を眺める。
「帝都の治安維持となれば本来は、精鋭なる第一師団が出番の筈。
何故我々が首を突っ込むのか、不思議に思う向きもあるだろう。
しかし、これはひとえに愛国心故の行為なのだ。考えてもみてくれ――」
と、思わせぶりに言葉を切り、
「皇帝陛下のお膝もとで、第一師団の憲兵隊が、武装したならず者たちを力ずくで抑え込む。
市民たちはこう感じるだろう、『帝都の治安は悪化している、第一師団が街中でその武力を行使するほどに!』。
おまけに最近は反体制派、ヴルツァライヒとか言ったかな? そういった連中も出てきて、
そこに帝都で騒乱が起これば、奴らがとうとう帝都まで進撃してきた!
なんて勘違いも生まれるかも知れない。市民の安寧は、却って脅かされてしまう。
だから我々が、もっと穏健な手立てで問題を解決しようというのだね。
これは、帝都と帝国の安全に貢献する重要な仕事なのだ。
君たちにとっても、報酬を得た上、帝国に奉仕するまたとない機会の筈だよ。
是非、奮ってご協力頂きたい」
フリクセル氏は喋り終えると、満足げな顔で席にもたれた。
市長はにこにこしている。ヴェールマン氏はしかめっ面のまま、どこか他所を向いていた。
実に奇妙な依頼主3人だ――しかし、提示された報酬額は悪くなかった。
ゾンネンシュトラール帝国の首都・バルトアンデルス。
イルリ河北岸、バルトアンデルス城下にその店はあった。
ハンターたちが招かれたのは、帝都随一の高級料理店『エーアミット』。
開業後100年以上の歴史を持ち、革命以前は貴族たちの御用達、
今は新興ブルジョワと帝国軍の上級将校を集め、帝国の大立者たちの社交場として知られる。
王国風の壮麗な内装に囲まれた店内を案内され、通されたのは奥の個室。
ドアの前に、厳めしい顔をした男たちが正装して佇んでいる。
店の人間ではないらしく、店員とよそよそしいやり取りをした後、
ハンターたちの顔を確かめ、ようやく個室のドアを開いた。
「ようこそ、ハンター諸君!」
室内には3人の男。席上を見る限り、既に食事を終え、デザート後の一服中といったところのようだ。
ハンターに呼びかけた男はおよそ50歳ほど、恰幅の良い身体を高級な背広で包み、
薄くなりかけた茶髪を後ろに撫でつけ、顔の下半分が豊かな髭で覆われている。
同席のふたりも同年代のようだ。片方は金髪で、眼鏡をかけた痩せぎすの人物。
しかめっ面をし、背広についたパン屑をひとつひとつつまんで捨てる仕草が、いかにも神経質そうだった。
残るひとりは上座に座り、葉巻をくゆらせて、訳もなくにこにことしている。
ハンサムな男だが、恰好の良い口髭にクリームがついている。本人は気づかないらしい。
茶髪の男が身振りをして、
「どうぞ、座りたまえ。食事にはもう遅い時間だが、良ければコーヒーでも?」
●
茶髪の男は、自らをオラウス・フリクセルと名乗った。
「ここ、帝都でちょっとした商売をやってる者だ。向かいの彼は」
と、眼鏡の男を示す。
「銀行家のヴェールマン氏。何だか難しい顔してるが、気にしないでくれ。
彼のごひいきの店が最近潰れてね、それで機嫌が悪いんだ」
一瞬、眼鏡の男がぎろりとフリクセル氏を睨み上げた。
だが当のフリクセル氏は全く意に介さず、
「そしてこちらが……我らがバルトアンデルス市長、ヨーゼフ・バスラ―」
上座のハンサムが、さも嬉しげに頷いてみせた。
帝都の市長ともなれば大変に権威ある人物――とは行かず、
バルトアンデルスは帝国軍第一師団の師団都市を兼ねており、彼らが行政の決定権の大半を握っている。
帝都に限らず、軍政の敷かれた帝国にあって、軍以外の政府機関の権限はたかが知れているのだが、
「市長は職務に大変熱心なお方でね。帝都における、ある重要問題を解決すべく尽力中だ。
私とヴェールマン氏は彼の友人で、今回の件はアドバイザーとして参加しているのだが……」
フリクセル氏が、テーブルの下からおもむろに1枚の新聞を取り出した。
『バルトアンデルス日報』、通称バルツ。帝都で発行されている、大衆向けローカル紙だ。
広げられた紙面の片側は、東方の血を引くという帝都在住の旧家へのインタビューだが、
フリクセルが指さしたのはその反対側、『帝都暗夜行』なる特集記事の第1回だった。
記事の内容は帝都南東部、ブレーナードルフ区の貧民街に関するもので、
周辺住民や『とある関係筋』から訊き出したという現地事情に、ちょっとした論評が添えられている。
「これが、我々の抱える重要問題という奴だ。
記事によると貧民街では近頃、ふたつのならず者のグループが縄張りを巡って争ってるらしい。
本格的な抗争が始まる予兆もあり、現に死者1名がイルリ河から発見されているとか。
どう思うね? 帝国の心臓、皇帝の玉座たるバルトアンデルスで、こんな騒ぎが起きているとは。
帝都は帝国諸都市の範とならねばならん……風紀の乱れ、治安の悪化は大変嘆かわしいことだ」
●
そこでようやく、フリクセル氏が依頼の内容へと踏み込む。
「市長と私たちは、貧民街の環境改善に向けて、とある大計画を練っているところだ。
しかし、ならず者たちの仲違いがその障害となるだろう……是非、我々の手で解決したい。それも穏便に。
となれば、まずは彼らの話を聞き、一体何を求めているのかを知ることが肝要じゃないかね?
私たちは――ふたりを連れてきてくれ」
氏がドアに向かって言うと、少しの後、ふたりの男が新たに入ってきた。
ぱりっとした正装姿で、いかにも帝都のビジネスマン然としているが、
ハンターたちは彼らの目つきに、どことなく剣呑な雰囲気を感じた。
「私の部下の、ロートとブラウだ。
このふたりを、えー、ならず者たちに対する一種の交渉役として貧民街へ送り込みたいのだが、
抗争の噂もあり、行った先で何かと物騒なことに巻き込まれるかも知れない。
なので、君たちハンターに、ふたりの護衛を務めて欲しいのだ」
「依頼内容はそれだけではない。私が調べさせてもらったところによると、
貧民街絡みの事件で君たちハンターが活躍した前歴が、いくつかあるそうだね?
バルツでも、記者の護衛にハンターを雇ったと聞く。そういった経験があれば、是非役立ててもらいたい。
ロートとブラウを護衛する傍ら、君たちのほうでも情報を集めてもらえると助かる。
実戦経験者の目から見て、彼らがどれほどの武器や資金を持つのか、何を欲しがっているのか、
縄張りはどこからどこまでか、住民は彼らをどう思っているのか、まぁそんなところだな。
もし、あちらに知り合いがいるようなら、そういった人々からも話を訊いてもらえると嬉しいね」
フリクセル氏は依頼料を提示しつつ、ハンターたちの顔色を眺める。
「帝都の治安維持となれば本来は、精鋭なる第一師団が出番の筈。
何故我々が首を突っ込むのか、不思議に思う向きもあるだろう。
しかし、これはひとえに愛国心故の行為なのだ。考えてもみてくれ――」
と、思わせぶりに言葉を切り、
「皇帝陛下のお膝もとで、第一師団の憲兵隊が、武装したならず者たちを力ずくで抑え込む。
市民たちはこう感じるだろう、『帝都の治安は悪化している、第一師団が街中でその武力を行使するほどに!』。
おまけに最近は反体制派、ヴルツァライヒとか言ったかな? そういった連中も出てきて、
そこに帝都で騒乱が起これば、奴らがとうとう帝都まで進撃してきた!
なんて勘違いも生まれるかも知れない。市民の安寧は、却って脅かされてしまう。
だから我々が、もっと穏健な手立てで問題を解決しようというのだね。
これは、帝都と帝国の安全に貢献する重要な仕事なのだ。
君たちにとっても、報酬を得た上、帝国に奉仕するまたとない機会の筈だよ。
是非、奮ってご協力頂きたい」
フリクセル氏は喋り終えると、満足げな顔で席にもたれた。
市長はにこにこしている。ヴェールマン氏はしかめっ面のまま、どこか他所を向いていた。
実に奇妙な依頼主3人だ――しかし、提示された報酬額は悪くなかった。
解説
今回の依頼の目的は、帝都の貧民街に縄張りを持つふたつのギャング団を訪ね、
それぞれの組織の規模と目的に関して情報を得ることです。
また、グループと直接接触する以外にも、貧民街の別の場所での聞き込みや、
ハンターとコネのある関係者を訪ねることも可能です。
グループとの接触の際は必ず、依頼主から預かった交渉人ひとりを伴う必要があります。
貧民街のギャング団は以下、ふたつの勢力に分かれています。
シュタートゥエ:
貧民街南部の酒場を根城にする、ちんぴらの一団。
長らく貧民街唯一の暴力団として君臨していたが、近頃は新興グループに縄張りを脅かされているようだ。
ジンプリチシムス団:
貧民街北部の廃墟群に拠点を持つとされる、新興のギャング団。
特徴はメンバーの若さ。まだ幼さの残る浮浪児たちを集め、最近新たに作られたらしい。
リーダーは『ライデン』なる人物とされるが、その正体は不明。
それぞれのグループについて、依頼主が求めている情報は主に6つ、
・グループの人数
・縄張りの広さ
・武装の程度
・資金源
・リーダーの人柄
・地元住民の評価
現地では交渉人を護衛しつつ、上記の事柄に関して調査を行って下さい。
それぞれの組織の規模と目的に関して情報を得ることです。
また、グループと直接接触する以外にも、貧民街の別の場所での聞き込みや、
ハンターとコネのある関係者を訪ねることも可能です。
グループとの接触の際は必ず、依頼主から預かった交渉人ひとりを伴う必要があります。
貧民街のギャング団は以下、ふたつの勢力に分かれています。
シュタートゥエ:
貧民街南部の酒場を根城にする、ちんぴらの一団。
長らく貧民街唯一の暴力団として君臨していたが、近頃は新興グループに縄張りを脅かされているようだ。
ジンプリチシムス団:
貧民街北部の廃墟群に拠点を持つとされる、新興のギャング団。
特徴はメンバーの若さ。まだ幼さの残る浮浪児たちを集め、最近新たに作られたらしい。
リーダーは『ライデン』なる人物とされるが、その正体は不明。
それぞれのグループについて、依頼主が求めている情報は主に6つ、
・グループの人数
・縄張りの広さ
・武装の程度
・資金源
・リーダーの人柄
・地元住民の評価
現地では交渉人を護衛しつつ、上記の事柄に関して調査を行って下さい。
マスターより
帝都バルトアンデルスの貧民街を舞台にした調査シナリオです。
帝都南東部の貧民街はこれまで、主に以下のショートシナリオで登場しております。
『帝国軍兵士諸君』(2015/02/03公開)
『深緑』(2015/03/17公開)
『貧民街探索』(2015/04/07公開)
近代化と共に貧富の格差が広がりつつある、ゾンネンシュトラール帝国。
帝都の貧民街はその縮図とも言うべき場所です。
そこで突然持ち上がった、ギャング同士の抗争の噂。どうすれば穏便に解決できるか?
その為には、まず『敵』を知らなければなりません。
帝都南東部の貧民街はこれまで、主に以下のショートシナリオで登場しております。
『帝国軍兵士諸君』(2015/02/03公開)
『深緑』(2015/03/17公開)
『貧民街探索』(2015/04/07公開)
近代化と共に貧富の格差が広がりつつある、ゾンネンシュトラール帝国。
帝都の貧民街はその縮図とも言うべき場所です。
そこで突然持ち上がった、ギャング同士の抗争の噂。どうすれば穏便に解決できるか?
その為には、まず『敵』を知らなければなりません。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/12 22:07
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 北条・真奈美(ka4064) 人間(リアルブルー)|21才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/05/05 02:40:50 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/01 18:24:37 |