ゲスト
(ka0000)
風の砦と少年
マスター:寺岡志乃

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 8~10人
- サポート
- 現在0人 / 0~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/29 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/06/07 12:00
オープニング
「いいか? 地下にある緑の石を取ってくるんだぞ? これと同じやつだ」
「う、うん……」
村の子どもたちのリーダー的存在である少年の、手のひらに乗った緑色の石をじっと見つめて、アイネはこくっとうなずいた。
「そうしたら、おまえをオレたちの仲間と認めてやる。
みんな持ってるんだからな。持ってないのはチビのおまえだけだ。もし取ってこなかったら……」
意地悪く額を指で小突かれて、小さなアイネは少し後ろによろけてしまった。
「……分かってるよ。絶対、取って帰ってくるっ」
「よし! じゃあ行ってこい」
くるっと振り返った少年は、今度は後ろにいるほかの少年たちに向かって言った。
「おいおまえら、絶対こいつを手伝うなよ? それまでこいつとひと言でも口をきいたりしたやつは、もう仲間じゃない。こいつと一緒に追放だからなっ」
少年の言葉に全員が当然という顔でうなずいた。
これは、村の男の子たちにとってほとんど伝統になっている、通過儀式のようなものだった。勇気を見せ、仲間の一員と認めてもらうのだ。
今、砦跡は危険だから近づいてはいけないと大人たちに言われているが、子どもにとって、大人に逆らうということすらも度胸試しの1つだ。
大体、大人というのはいつだって大げさに言う。本当は全然たいしたことないのに。
(地下に下りて、緑の石を探して取って、戻ってくる……簡単だよ。ボクは小さくて、すばしっこいってみんな言うもん)
アイネはドキドキする胸に手をあて、必死に自分に言い聞かせると、風の砦目指して走ったのだった。
風の砦。それはとある海辺の村から数キロ離れた先の小高い丘の上にあった。
正確には砦の跡と言った方が正しい。
はるか昔、この地方を守る拠点の1つであったらしいのだが、その者たちがどこへ行ったかは定かでない。おそらくは敵に陥落されたか、戦線が移動し、戦略的に無用となって放棄されたのだろう。その後、長い年月が過ぎ去る間にさまざまな自然災害、あるいは盗難にあったようで、今では柱として使用されたらしい巨石が数個と礫石、わずかに石床が残るだけである。
山を越えてきた風が下の海に向かって吹きつけ、その砦跡を抜ける際に小さな笛のような音をたてることから、地元の者たちには風の砦と呼ばれていた。
今では単なる巨石が屹立しているだけの味気ない砦跡だったが、最近、そこに人影のようなものが出没するようになったという。
「その砦跡には地下がありまして、どうやら数日前に起きた地震で山のどこかとつながってしまったようなんです。そこから入り込んできているみたいですね」
新米ギルド職員・ルエラは手元の書類から目を上げると、緊張した面持ちで不格好な黒縁眼鏡を指で押し上げながらハンターたちに言った。
「現在目撃されているのは2メートル強のジャイアントが3人で、いずれも若い男性です。手に石製のこん棒を持っているとのことでした。ほか、弓や槍を持つゴブリンが数体。彼らは狩りをしているところをよく目撃されています。
このほかに、少ないですが二股に分かれた頭部を持つ大型のヘビの目撃証言もありました。こちらは専門家に問い合わせまして、尾をカラカラと鳴らして威嚇行動をとり、毒液を牙から飛ばしてくる種であることが分かっています。このヘビは暗くて狭くて湿りけのある所を好むそうなので、日中は地下にいるのではないでしょうか。
村の人たちは、これらの退治と、つながっている地下のどこかを封鎖することを希望しています。なんでも、砦跡は子どもたちの遊び場になっているそうなんです。
今は危険だから行かないように言い聞かせているそうですが……子どものすることですからね」
お分かりでしょう? と肩を竦めるルエラに、冒険心の強いハンターたちも覚えがあるのか、当時を思い出して苦笑したり視線をあさっての方角に飛ばしたりほんのりほおを赤く染めたりと、さまざまな反応を見せる。
「とにかく、早急にお願いします。彼らが草原の生物目当てで砦跡付近にとどまっている今はまだ大丈夫ですが、移動範囲を広げて村を襲撃することになったら一大事ですから」
こうしてギルドからハンターが派遣されることになったわけだが、どうやら少々遅かったようだった。
村へ到着したハンターを待っていたのは、数時間前からわが子の姿が見えないととり乱したアイネ少年の両親だった。
「ほかの子どもたちは口を閉ざしてひと言も言いませんが……きっと、風の砦へ行ったのだと思います。村の子どもたちで、あの子だけ、まだ緑の石を持っていないから……。
どうかあの子を見つけて、連れ戻ってください。お願いします……!」
「う、うん……」
村の子どもたちのリーダー的存在である少年の、手のひらに乗った緑色の石をじっと見つめて、アイネはこくっとうなずいた。
「そうしたら、おまえをオレたちの仲間と認めてやる。
みんな持ってるんだからな。持ってないのはチビのおまえだけだ。もし取ってこなかったら……」
意地悪く額を指で小突かれて、小さなアイネは少し後ろによろけてしまった。
「……分かってるよ。絶対、取って帰ってくるっ」
「よし! じゃあ行ってこい」
くるっと振り返った少年は、今度は後ろにいるほかの少年たちに向かって言った。
「おいおまえら、絶対こいつを手伝うなよ? それまでこいつとひと言でも口をきいたりしたやつは、もう仲間じゃない。こいつと一緒に追放だからなっ」
少年の言葉に全員が当然という顔でうなずいた。
これは、村の男の子たちにとってほとんど伝統になっている、通過儀式のようなものだった。勇気を見せ、仲間の一員と認めてもらうのだ。
今、砦跡は危険だから近づいてはいけないと大人たちに言われているが、子どもにとって、大人に逆らうということすらも度胸試しの1つだ。
大体、大人というのはいつだって大げさに言う。本当は全然たいしたことないのに。
(地下に下りて、緑の石を探して取って、戻ってくる……簡単だよ。ボクは小さくて、すばしっこいってみんな言うもん)
アイネはドキドキする胸に手をあて、必死に自分に言い聞かせると、風の砦目指して走ったのだった。
風の砦。それはとある海辺の村から数キロ離れた先の小高い丘の上にあった。
正確には砦の跡と言った方が正しい。
はるか昔、この地方を守る拠点の1つであったらしいのだが、その者たちがどこへ行ったかは定かでない。おそらくは敵に陥落されたか、戦線が移動し、戦略的に無用となって放棄されたのだろう。その後、長い年月が過ぎ去る間にさまざまな自然災害、あるいは盗難にあったようで、今では柱として使用されたらしい巨石が数個と礫石、わずかに石床が残るだけである。
山を越えてきた風が下の海に向かって吹きつけ、その砦跡を抜ける際に小さな笛のような音をたてることから、地元の者たちには風の砦と呼ばれていた。
今では単なる巨石が屹立しているだけの味気ない砦跡だったが、最近、そこに人影のようなものが出没するようになったという。
「その砦跡には地下がありまして、どうやら数日前に起きた地震で山のどこかとつながってしまったようなんです。そこから入り込んできているみたいですね」
新米ギルド職員・ルエラは手元の書類から目を上げると、緊張した面持ちで不格好な黒縁眼鏡を指で押し上げながらハンターたちに言った。
「現在目撃されているのは2メートル強のジャイアントが3人で、いずれも若い男性です。手に石製のこん棒を持っているとのことでした。ほか、弓や槍を持つゴブリンが数体。彼らは狩りをしているところをよく目撃されています。
このほかに、少ないですが二股に分かれた頭部を持つ大型のヘビの目撃証言もありました。こちらは専門家に問い合わせまして、尾をカラカラと鳴らして威嚇行動をとり、毒液を牙から飛ばしてくる種であることが分かっています。このヘビは暗くて狭くて湿りけのある所を好むそうなので、日中は地下にいるのではないでしょうか。
村の人たちは、これらの退治と、つながっている地下のどこかを封鎖することを希望しています。なんでも、砦跡は子どもたちの遊び場になっているそうなんです。
今は危険だから行かないように言い聞かせているそうですが……子どものすることですからね」
お分かりでしょう? と肩を竦めるルエラに、冒険心の強いハンターたちも覚えがあるのか、当時を思い出して苦笑したり視線をあさっての方角に飛ばしたりほんのりほおを赤く染めたりと、さまざまな反応を見せる。
「とにかく、早急にお願いします。彼らが草原の生物目当てで砦跡付近にとどまっている今はまだ大丈夫ですが、移動範囲を広げて村を襲撃することになったら一大事ですから」
こうしてギルドからハンターが派遣されることになったわけだが、どうやら少々遅かったようだった。
村へ到着したハンターを待っていたのは、数時間前からわが子の姿が見えないととり乱したアイネ少年の両親だった。
「ほかの子どもたちは口を閉ざしてひと言も言いませんが……きっと、風の砦へ行ったのだと思います。村の子どもたちで、あの子だけ、まだ緑の石を持っていないから……。
どうかあの子を見つけて、連れ戻ってください。お願いします……!」
解説
・目的
砦跡にいるモンスターの討伐、二度と出没しないように封鎖すること、およびアイネ少年の保護と手伝い。
・地上
ジャイアントとゴブリンは草原でウサギを取って、山の棲み家へ持ち帰っています。全滅させてしまいそうな勢いです。ウサギ狩りで生計をたてている村人もいますので、そうなるとやはり村に被害が及ぶでしょう。
ジャイアントは石のこん棒を持っています。ゴブリンは狩り用の木の弓、槍を持っています。
どちらもすり切れたボロボロの革や毛皮の簡易鎧をつけています。
・地下
アイネは緑の石を取る目的で、皆さんが到着したときにはすでに地下へもぐり込んでいます。
地下はそんなに広くありませんが、通路は細く少々入り組んでいますので、迅速に見つけるには何か工夫が必要かもしれません。
明るさについてですが、日中は地上からの光が漏れ入ってくるので目が慣れれば壁にぶつからない程度にはそれなりに見えます。しかし万一を懸念するのであれば、何かあかりとなるものが必要でしょう。
こちらには双頭のヘビが数匹徘徊していますので、注意が必要です。
また、こちらには崩落した壁があり、そこが山の洞窟とつながっています。入ってこれないよう、ここを封鎖する必要があります。封鎖するために必要と思われる物は何を持ち寄ってもかまいませんが、戦闘の邪魔にならないように運べる物にしてください。村あるいは砦跡で調達してもかまいません。
皆さんは、それぞれ地上班と地下班に分かれてください。両方ということはできません。
砦跡にいるモンスターの討伐、二度と出没しないように封鎖すること、およびアイネ少年の保護と手伝い。
・地上
ジャイアントとゴブリンは草原でウサギを取って、山の棲み家へ持ち帰っています。全滅させてしまいそうな勢いです。ウサギ狩りで生計をたてている村人もいますので、そうなるとやはり村に被害が及ぶでしょう。
ジャイアントは石のこん棒を持っています。ゴブリンは狩り用の木の弓、槍を持っています。
どちらもすり切れたボロボロの革や毛皮の簡易鎧をつけています。
・地下
アイネは緑の石を取る目的で、皆さんが到着したときにはすでに地下へもぐり込んでいます。
地下はそんなに広くありませんが、通路は細く少々入り組んでいますので、迅速に見つけるには何か工夫が必要かもしれません。
明るさについてですが、日中は地上からの光が漏れ入ってくるので目が慣れれば壁にぶつからない程度にはそれなりに見えます。しかし万一を懸念するのであれば、何かあかりとなるものが必要でしょう。
こちらには双頭のヘビが数匹徘徊していますので、注意が必要です。
また、こちらには崩落した壁があり、そこが山の洞窟とつながっています。入ってこれないよう、ここを封鎖する必要があります。封鎖するために必要と思われる物は何を持ち寄ってもかまいませんが、戦闘の邪魔にならないように運べる物にしてください。村あるいは砦跡で調達してもかまいません。
皆さんは、それぞれ地上班と地下班に分かれてください。両方ということはできません。
マスターより
こんにちは。はじめまして、寺岡といいます。
今回よりこちらでマスターを務めさせていただくことになりました。
何もかも、すべてが初めてのことばかりで何かと至らぬことも出るかと思いますが、よろしくお願いいたします。
今回よりこちらでマスターを務めさせていただくことになりました。
何もかも、すべてが初めてのことばかりで何かと至らぬことも出るかと思いますが、よろしくお願いいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/06 09:57
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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風の砦と少年と相談 シバ・ミラージュ(ka2094) 人間(リアルブルー)|15才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/05/29 07:41:37 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/25 10:55:26 |