ゲスト
(ka0000)
剣物語・弐
マスター:硲銘介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/25 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/04 15:00
オープニング
●
これは一人の男の物語。
男は刀鍛冶だった。
鍛冶屋を代々営む家に生まれた彼は二人の兄と同様血統に従い、父親の元で修行に明け暮れた。
家柄に縛られる事を不満に思う者も少なくはないが、男にはまるで無縁な話だった。
熱く弾ける火、立ち込める金属の匂い、鉄を打つ槌の音。男にとっては全てが愛おしく思えていた。
有体に言えば、男は鍛冶の仕事が楽しくて仕方がなかった。幾度も幾度も鉄を打ち、繰り返し鍛え、強く美しく仕立てていく工程に喜びを感じていた。
ものの上達に肝要であるのは楽しむ事、そんな言葉を立証するかの様に男は見る見るうちに腕を上げていった。
やがてその上達は二人の兄を、果ては師である父親すらも追い抜かす事となった。
暫くして、父親が寿命で亡くなった。
――そこで一つの問題が発生する。父が、先祖が続けてきたこの家は誰が継ぐのか。
普通であれば一番上の兄が継ぐべきであろう。しかし末弟である男は知らなかったが、父親は二人の兄にとある遺言を遺していた。
三人の内最も腕のある末弟に家を継がせ、兄二人は弟を支えてやって欲しい――それは家の繁栄を願い、職人として生きた父親の純粋な願いだった。
しかし、その言葉が明らかにされる事はなかった。二人の兄は遺言を隠蔽し、それを無視して事を運んでいった。
それぞれに土地や道具を分配し、兄弟三人が各々自分の店を持つ。これからは家族兄弟である前に商売敵であろう、兄達が男に告げたのはそういった内容の提案だった。
兄達の態度に不自然さを感じながらも、男はその提案に乗った。最も高い実力を持つことを自覚していた彼は、兄達に先んじる自信があったからだ。
そうして兄弟達はそれぞれの威信を賭け、渾身の剣を打ち始めた。
男が打った剣は傑作だった。これまでの中でも最上の一振り、持つべき者が持てば一騎当千の働きすらも見せるであろう。
――だが、現実は男の想像通りには運ばなかった。
二人の兄の店には多くの戦士が集まってきたが、男の元には駆け出しの弱卒しか訪れなかったのだ。
一番下の弟という事で経験実力共に浅く見られたのか、はたまた剣を鍛えるばかりの弟に客を惹き付ける商才が無かったのか。何にせよ、男は客に恵まれなかった。
男の傑作を買っていった戦士は次の戦で死んだ。前回見えた欠点を見つめなおし、更なる傑作を作り上げた。
次の剣を買った戦士、彼は戦場から逃げ出したと耳にした。不甲斐ない戦士に憤りを感じながらも、更に強く美しい剣を打った。
だが次なる買い手はあろう事か、美術品として剣をどこぞの質に流してしまった。
男が次々と不名誉な結果を残す傍ら、兄達の作品は堅実に戦果を上げていた。兄達は世間からの注目も高まり、高名な戦士は一層そちらへと流れていく。
男の剣は評価こそ得られずにいたが、確かに名剣であった。二人の兄のそれと比べても決して劣らず、むしろ勝っていたことだろう。
己の自信が思い上がりではなく、確かな真実だと確信があったからこそ――男は歪んだ。
いかに優れた剣も、使い手が劣っていれば勝利する事は出来ない。それは剣の、武器の本質であり限界である。
――その限界を、男は凌駕した。それは彼の持つ才覚であり、努力であり、更には妄執が生んだ結果だと言えよう。
辿り着いたのは実に単純な答。使い手など要らない剣であれば、独力で勝利を手にすることが出来るではないか。
●
時は流れ、男も、男の仕えた国も滅びた。三人の鍛冶師の話も現代では昔話の一つとして語られるのみである。
そして、語られるものはもう一つ。
それは剣の群れであった。
戦場から戦場へ、血の匂いを嗅ぎつけ移動し、その場の敵を斬殺する刀剣の数々。
邪法に魅入られた鍛冶師の男が最強を目指し鍛えた剣は使い手を必要とせず、己が身一つで戦場を飛翔し敵を切り裂くものであった。
ひとりでに動く剣。怪物と罵られようと、それらがもたらす勝利の報は男の凶行を加速させた。
次も、そのまた次も、男が作り上げたのは踊る剣だった。以後も男は周囲の評価を気にせず剣を生み続け――やがて、混乱をもたらす者として国に処断された。
だが死の寸前まで作品を打ち続けた男が残した魔剣、その数は実に十三本。
親を亡くしても尚、刀剣達の殺陣は止まらない。戦って戦って、現代までの悠久を過ごしてきた。
時間の流れの中で多くの剣が錆び、折れ、朽ちていった。しかし最後にのこった三本は今もこのクリムゾンウェストの荒野を彷徨っている。
その最後の三本がとある廃村に移動しているとの情報を得たハンターオフィスはハンター達を招集。未だ無差別に被害を拡大させる魔剣の排除に挑む。
これは一人の男の物語。
男は刀鍛冶だった。
鍛冶屋を代々営む家に生まれた彼は二人の兄と同様血統に従い、父親の元で修行に明け暮れた。
家柄に縛られる事を不満に思う者も少なくはないが、男にはまるで無縁な話だった。
熱く弾ける火、立ち込める金属の匂い、鉄を打つ槌の音。男にとっては全てが愛おしく思えていた。
有体に言えば、男は鍛冶の仕事が楽しくて仕方がなかった。幾度も幾度も鉄を打ち、繰り返し鍛え、強く美しく仕立てていく工程に喜びを感じていた。
ものの上達に肝要であるのは楽しむ事、そんな言葉を立証するかの様に男は見る見るうちに腕を上げていった。
やがてその上達は二人の兄を、果ては師である父親すらも追い抜かす事となった。
暫くして、父親が寿命で亡くなった。
――そこで一つの問題が発生する。父が、先祖が続けてきたこの家は誰が継ぐのか。
普通であれば一番上の兄が継ぐべきであろう。しかし末弟である男は知らなかったが、父親は二人の兄にとある遺言を遺していた。
三人の内最も腕のある末弟に家を継がせ、兄二人は弟を支えてやって欲しい――それは家の繁栄を願い、職人として生きた父親の純粋な願いだった。
しかし、その言葉が明らかにされる事はなかった。二人の兄は遺言を隠蔽し、それを無視して事を運んでいった。
それぞれに土地や道具を分配し、兄弟三人が各々自分の店を持つ。これからは家族兄弟である前に商売敵であろう、兄達が男に告げたのはそういった内容の提案だった。
兄達の態度に不自然さを感じながらも、男はその提案に乗った。最も高い実力を持つことを自覚していた彼は、兄達に先んじる自信があったからだ。
そうして兄弟達はそれぞれの威信を賭け、渾身の剣を打ち始めた。
男が打った剣は傑作だった。これまでの中でも最上の一振り、持つべき者が持てば一騎当千の働きすらも見せるであろう。
――だが、現実は男の想像通りには運ばなかった。
二人の兄の店には多くの戦士が集まってきたが、男の元には駆け出しの弱卒しか訪れなかったのだ。
一番下の弟という事で経験実力共に浅く見られたのか、はたまた剣を鍛えるばかりの弟に客を惹き付ける商才が無かったのか。何にせよ、男は客に恵まれなかった。
男の傑作を買っていった戦士は次の戦で死んだ。前回見えた欠点を見つめなおし、更なる傑作を作り上げた。
次の剣を買った戦士、彼は戦場から逃げ出したと耳にした。不甲斐ない戦士に憤りを感じながらも、更に強く美しい剣を打った。
だが次なる買い手はあろう事か、美術品として剣をどこぞの質に流してしまった。
男が次々と不名誉な結果を残す傍ら、兄達の作品は堅実に戦果を上げていた。兄達は世間からの注目も高まり、高名な戦士は一層そちらへと流れていく。
男の剣は評価こそ得られずにいたが、確かに名剣であった。二人の兄のそれと比べても決して劣らず、むしろ勝っていたことだろう。
己の自信が思い上がりではなく、確かな真実だと確信があったからこそ――男は歪んだ。
いかに優れた剣も、使い手が劣っていれば勝利する事は出来ない。それは剣の、武器の本質であり限界である。
――その限界を、男は凌駕した。それは彼の持つ才覚であり、努力であり、更には妄執が生んだ結果だと言えよう。
辿り着いたのは実に単純な答。使い手など要らない剣であれば、独力で勝利を手にすることが出来るではないか。
●
時は流れ、男も、男の仕えた国も滅びた。三人の鍛冶師の話も現代では昔話の一つとして語られるのみである。
そして、語られるものはもう一つ。
それは剣の群れであった。
戦場から戦場へ、血の匂いを嗅ぎつけ移動し、その場の敵を斬殺する刀剣の数々。
邪法に魅入られた鍛冶師の男が最強を目指し鍛えた剣は使い手を必要とせず、己が身一つで戦場を飛翔し敵を切り裂くものであった。
ひとりでに動く剣。怪物と罵られようと、それらがもたらす勝利の報は男の凶行を加速させた。
次も、そのまた次も、男が作り上げたのは踊る剣だった。以後も男は周囲の評価を気にせず剣を生み続け――やがて、混乱をもたらす者として国に処断された。
だが死の寸前まで作品を打ち続けた男が残した魔剣、その数は実に十三本。
親を亡くしても尚、刀剣達の殺陣は止まらない。戦って戦って、現代までの悠久を過ごしてきた。
時間の流れの中で多くの剣が錆び、折れ、朽ちていった。しかし最後にのこった三本は今もこのクリムゾンウェストの荒野を彷徨っている。
その最後の三本がとある廃村に移動しているとの情報を得たハンターオフィスはハンター達を招集。未だ無差別に被害を拡大させる魔剣の排除に挑む。
解説
『依頼内容』
使い手を必要とせず自由に飛び回る動く魔剣、それに関する情報が得られました。
今回の目的は、この魔剣の撃破となります。
『現場情報』
対象は現在移動中ですが、移動経路等から目的地の予測はついています。
想定される位置には以前雑魔の襲来で滅びた廃村が存在します。
未だ復興作業は為されておらず、地面は荒れ、至る所に瓦礫が残っています。
建物の殆どは倒壊しています。
『敵勢情報』
対象となる魔剣は全部で三本。それぞれ長剣、短剣、大剣と種類の違う剣になります。
魔剣は空を飛ぶ事で移動し、そのまま斬撃もとい突撃を行ってきます。
普通の剣術と異なり、使い手が存在しないため縦横無尽に動き回ってきます。
機動力、攻撃力はそれぞれの剣の重さに依存しているようです。
尚、この魔剣は何よりも戦闘を求める性質が有り、逃亡する可能性はありません。
ですが彼らの廃村到着時、周囲に交戦相手がいなければ別の場所へ移動してしまう可能性があります。
魔剣の到着前に現場に着き、迎撃する事を推奨します。
また、現場となる廃村では低級のアンデッド・ゾンビの目撃情報が寄せられています。
未確認ですが、かつてこの村で死した者達が変じたものと推測されます。
数はさほど多くないようですが廃村につけばまず彼らとの戦闘になる可能性があります。
ゾンビとの戦闘が長引いた場合、遅れて到着する魔剣と同時に相手をする事になるでしょう。
使い手を必要とせず自由に飛び回る動く魔剣、それに関する情報が得られました。
今回の目的は、この魔剣の撃破となります。
『現場情報』
対象は現在移動中ですが、移動経路等から目的地の予測はついています。
想定される位置には以前雑魔の襲来で滅びた廃村が存在します。
未だ復興作業は為されておらず、地面は荒れ、至る所に瓦礫が残っています。
建物の殆どは倒壊しています。
『敵勢情報』
対象となる魔剣は全部で三本。それぞれ長剣、短剣、大剣と種類の違う剣になります。
魔剣は空を飛ぶ事で移動し、そのまま斬撃もとい突撃を行ってきます。
普通の剣術と異なり、使い手が存在しないため縦横無尽に動き回ってきます。
機動力、攻撃力はそれぞれの剣の重さに依存しているようです。
尚、この魔剣は何よりも戦闘を求める性質が有り、逃亡する可能性はありません。
ですが彼らの廃村到着時、周囲に交戦相手がいなければ別の場所へ移動してしまう可能性があります。
魔剣の到着前に現場に着き、迎撃する事を推奨します。
また、現場となる廃村では低級のアンデッド・ゾンビの目撃情報が寄せられています。
未確認ですが、かつてこの村で死した者達が変じたものと推測されます。
数はさほど多くないようですが廃村につけばまず彼らとの戦闘になる可能性があります。
ゾンビとの戦闘が長引いた場合、遅れて到着する魔剣と同時に相手をする事になるでしょう。
マスターより
こんにちは、硲銘介です。
『剣物語・弐』とかなっていますが、『剣物語』の続きという訳ではありませんので、前回不参加の方でも問題なく参加いただけます。
なんとなく雰囲気が似ている……気もする。程度の繋がりなので、前の話を確認いただく必要すらありません。
内容としても単純な戦闘依頼となっておりますので、どうぞお気軽にご参加下さい。
『剣物語・弐』とかなっていますが、『剣物語』の続きという訳ではありませんので、前回不参加の方でも問題なく参加いただけます。
なんとなく雰囲気が似ている……気もする。程度の繋がりなので、前の話を確認いただく必要すらありません。
内容としても単純な戦闘依頼となっておりますので、どうぞお気軽にご参加下さい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/03 06:20
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 夕鶴(ka3204) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/06/24 22:54:32 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/20 23:23:59 |