●波打ち際の天使たち
「あははは、待てよキャリー！」
「うふふふ。こっちよ、トニオ！」
　夏の日差しを浴びてキラキラと輝く波打ち際。
　水しぶきを上げながら戯れる若い男女。
　夏の海……
　波の音は一定のリズムを守り、優しい潮騒の音色を奏でる。
　そして頭上では太陽がさんさんと燃えていた。
　最も暑い季節、若い二人は、恋に胸を焦がし……
「つかまえた」
「きゃあ！」
　倒れた二人を小波が抱きとめる。ふたつの視線は、熱く絡まりあって――

　プフゥ～～～～～～～ウン
　ほめほめほーん　ほめほめほーん
　めふめふめふめふめと～　めふめふめふめふめと～
　くわっぱ！　ゴブりんちょ～　くわっぱ！
　ぽぽぽぽ～～～～んハラホロヒレハレ～～～～ん
　ビンタ！　ぜんら！　ビンタ！　ぜんら！

「「…………………………」」
　思いっきり気の抜けた音が、ムードを台無しにした。

　怪音波は海から聞こえてくる。
　二人が海の方を見ると……

「カタツムリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………じゃない？！」

　この流れは二度ほど経験がある二人にとって見慣れたものと誤認したが、そこにいたのはカタツムリとは似て非なるモノだった。

「サザエだー！？」

●夏が恋の季節と誰が決めたのか
「大変だ！　海水浴場に思いっきりヘンな音を出しながら体をくねらせて踊る巨大なサザエが現れたんだ！」
「なんですって！　海水浴場に思いっきりヘンな音を出しながら体をくねらせて踊る巨大なサザエが現れたですって！」
　ガンナ・エントラータ某所のハンターオフィス職員は、駆け込んできたアントニオの訴えを一瞬で暗記してオウム返しにした。
「あれはまるでハニーイーターＭＫⅢだわ！」
　キャロラインが叫んだ。
「なんてこった！　ハニーイーターＭＫⅢ！　なんですかそれ」
　とりあえず驚いた職員。だが名前はどうでもよかった。
「とにかく退治を！　ハンターを！」
「わっかりやした～！　それっ手配だぁー！」
　こうしてハイテンションかつハイスピードでハンターが手配された。

【状況】
　ガンナ・エントラータ某所の海水浴場にて、リア充が大量発生。

『リア充』
　ビーチでキャッキャウフフしている例のアレ。
　雑魔がだすヘンな音をものともせずにカップルでいちゃついたり、あるいはナンパに精を出していたりする。
　基本的に自分達だけの世界に入っている。

【その他】
『ハニーイーターＭＫⅢ』(依頼人が命名)

　カップルがイチャついてると甘い空気を察知して現れる（＊偶然です）。
　サザエを全長5mほどまでにそのまま巨大化させた雑魔。
　ハタ迷惑だがそんなに強いわけではない。
　浅瀬（歩いていける範囲）でヘンな音を出しつつ胴体丸出しで踊り狂っているだけだが、殴ると殴り返してくる。
　音は喋っているようにも聞こえなくはないが、会話はできない。ムードは台無しになるが聞いても害はない。
　足は遅い。

サイズ……サイズ３　全員が前衛に立って攻撃できる。

技……
　押し潰し……強力な単体攻撃。
　薙ぎ払い……前方２スクエア（最大四人）を一度に攻撃
　

【戦場】
　広い海水浴場。
　リア充が掃いて捨てるほどいます。
　時間帯は水平線に日が沈むころ。とってもムーディー。

【目的】
　見たまんま

坂上テンゼンに候。
私見に御座るが、異性と付き合うのを楽しめるのって人によると思う次第。

100％ノリと勢いの依頼です。
とりあえず、雑魔を退治しようと思えばリア充が邪魔になるでしょう。

去年の冬リリースした『【ＣＦ】メリー･マイマイ　～聖夜爆発～』
（http://www.wtrpg10.com/scenario/replay/1065）の続編？　ですが、参加していても特典とかはありません。