ゲスト
(ka0000)
【聖呪】巨体、ヨーク丘陵に咆哮す
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在12人 / 4~15人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/09/15 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/09/24 19:00
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
●八月三十一日・ヨーク丘陵の戦い
「報告は正確にしろ!」
ウェルズ・クリストフ・マーロウが声を荒げて戦場を見晴かすと、薄く戦塵の広がる先に、惑う騎兵の姿が見えた。中央、左翼にある丘の麓辺りか。戦場を穿つように伸びていた土煙が、とある一点で途切れている。
「奸計により騎兵突撃は防がれたのだな?」
「は! なだらかな丘陵の影に濠のように横長い穴があるようです!」
「濠? ここには戦場の推移によって偶然布陣したのだぞ、そのような……」
不意に湧き上がる不安。その勘に従って指示を出そうとしたマーロウだが――突如、眼前が爆発した。
幕僚の悲鳴。馬の高い嘶き。大量の土砂が落ちる鈍い音。
慌てるな。マーロウは叫んだ。が、声に出ていない。いつの間にか落馬し、その身が地面に横たわっている。
土の爆発。投石器による砲撃か? 今までこの敵軍に投石器はなかった。つまり。
――読んでおったか。
敵は端からこのヨーク丘陵を戦場と設定し、準備していたのだ。
やはり昨日、強権を以て進軍を留めるべきだった。マーロウは忸怩たる思いで土に腕をつく。そして気勢を吐くように命令した。
「全軍、死力を尽くせ! ハンターを中心として確固たる戦闘単位を作り、敵に当たるのだ!」
立ち上がりかけたマーロウはしかし、力尽くように倒れ伏した。自らの意識が遠のいていく感覚。マーロウは皺だらけの拳を握り、思った。
戦闘は止まらない。時代も止まらない。故に私もまた止まる事などできぬ、と。
●
ヨーク丘陵、左舷。
複数の貴族連合体およびハンターに寄って構成された陣営である。
主として、次男以下の子息が参加していた。
「本当に、戦いが始まるのですわね」
その中で、サチコ・W・ルサスールはひときわ目立つ存在であった。
彼女は、戦場に近い場所に領をルサスール家の息女である。
茨小鬼を始めとするゴブリンによって、直接的被害を受けた領の者。
それだけに、表情は他の者に比べて引き締まっていた。
「……いきますわよ!」
気合を入れるサチコと異なり、多くの貴族たちの足並みは悪い。
とりわけ、やや遠方から来た貴族たちはあからさまにやる気が無い。
烏合の衆、という言い方が適当かはわからない。だが、サチコは眉間にしわを寄せるのだった。
嫌な予感は、得てして当たるためにあるものだ。
そよぐ風がサチコの長い銀髪を撫で付ける。
本来ならば好ましい風量なのだが、風に乗って何かが迫るような、気がしたのだ。
最初に聞こえたのは、小鳥が一斉に羽ばたく音だった。
その音をかき消すように、
「ドンナァアアアアアア!!」
という慟哭が耳を衝いた。
サチコはこの咆哮に聞き覚えがあった。名は不明、人語を喋ることができないため叫び声から「ドンナァ」と呼び習わした茨小鬼だ。
完全なパワータイプ。戦馬をも真っ二つに伏す、巨斧の使い手である。
そして、ドンナァを表すもう一つの特性、それが……。
「うわぁああああ!?」
「勝てるわけがねぇ、帰るべ!!」
「俺は、俺は……」
圧倒的な恐怖を植え付ける、この慟哭と立ち振舞である。
部下すらも、狂気染みた恐怖で押さえつける。
一度体感したことのあるサチコは、耐えてこそいた。
しかし、他の貴族はかき乱された感情を制御するすべなく敗走するものも多い。
「あなたたちっ! いえ、今はそれよりも」
逃げゆくものを押しとどめるよりも、するべきことがある。
サチコは目の前にある大きな丘を睨めつける。その顔立ちは、精悍であった。
「はーはっはっは! ドンナァがなんですの。私は……私こそ……」
高笑いは虚勢だ。自分が一番、わかっている。
「恐怖を与えるワルワル団の、ワルサー総帥なのだぜ!」
道化を演じよ、虚勢を張れ、ついでに胸も張って突き進め。
「臆せぬ者は、私に着いてきなさい! ここは、私達が死守するのですわ」
軍馬を駆り走りだしたサチコは、斥候から情報を聞く。
「タロ、向こうはどんな状況でしたの?」
「ドンナァを中心に無数のゴブリンがいます。計測は不能」
「そうですの……」
「ですが、ほとんどがドンナァの恐怖による支配で突き動かされているようです。逆にそれを除外すれば、数でも質でもこちらが勝ることが出来るかと」
ドンナァをいかにして落すか、それが問題だ。
「……私達がやるしか、ありませんわね」
他のゴブリンへの対処であれば、腰抜けにもできるだろうが。
恐怖を与える対象へ立ち向かえる者は、少ない。
「それと、もう一つ。大型の狼……おそらく雑魔がドンナァを取り巻いています」
「どういうことですの?」
タロの見立てでは、動物的本能から恐怖で支配するドンナァに与したのだろうということだ。
それを含め、ドンナァを最優先に対処しなければならないのはいうまでもない。
「……サチコ様。恐れながら」
「タロ、あなたは下がって状況の把握に努めなさい。大丈夫、私も力量はわかっていますわ」
無茶はしない、そういうサチコを信じてタロは下がる。
追随するハンターたちに、サチコを任せるより他にないのであった。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
●八月三十一日・ヨーク丘陵の戦い
「報告は正確にしろ!」
ウェルズ・クリストフ・マーロウが声を荒げて戦場を見晴かすと、薄く戦塵の広がる先に、惑う騎兵の姿が見えた。中央、左翼にある丘の麓辺りか。戦場を穿つように伸びていた土煙が、とある一点で途切れている。
「奸計により騎兵突撃は防がれたのだな?」
「は! なだらかな丘陵の影に濠のように横長い穴があるようです!」
「濠? ここには戦場の推移によって偶然布陣したのだぞ、そのような……」
不意に湧き上がる不安。その勘に従って指示を出そうとしたマーロウだが――突如、眼前が爆発した。
幕僚の悲鳴。馬の高い嘶き。大量の土砂が落ちる鈍い音。
慌てるな。マーロウは叫んだ。が、声に出ていない。いつの間にか落馬し、その身が地面に横たわっている。
土の爆発。投石器による砲撃か? 今までこの敵軍に投石器はなかった。つまり。
――読んでおったか。
敵は端からこのヨーク丘陵を戦場と設定し、準備していたのだ。
やはり昨日、強権を以て進軍を留めるべきだった。マーロウは忸怩たる思いで土に腕をつく。そして気勢を吐くように命令した。
「全軍、死力を尽くせ! ハンターを中心として確固たる戦闘単位を作り、敵に当たるのだ!」
立ち上がりかけたマーロウはしかし、力尽くように倒れ伏した。自らの意識が遠のいていく感覚。マーロウは皺だらけの拳を握り、思った。
戦闘は止まらない。時代も止まらない。故に私もまた止まる事などできぬ、と。
●
ヨーク丘陵、左舷。
複数の貴族連合体およびハンターに寄って構成された陣営である。
主として、次男以下の子息が参加していた。
「本当に、戦いが始まるのですわね」
その中で、サチコ・W・ルサスールはひときわ目立つ存在であった。
彼女は、戦場に近い場所に領をルサスール家の息女である。
茨小鬼を始めとするゴブリンによって、直接的被害を受けた領の者。
それだけに、表情は他の者に比べて引き締まっていた。
「……いきますわよ!」
気合を入れるサチコと異なり、多くの貴族たちの足並みは悪い。
とりわけ、やや遠方から来た貴族たちはあからさまにやる気が無い。
烏合の衆、という言い方が適当かはわからない。だが、サチコは眉間にしわを寄せるのだった。
嫌な予感は、得てして当たるためにあるものだ。
そよぐ風がサチコの長い銀髪を撫で付ける。
本来ならば好ましい風量なのだが、風に乗って何かが迫るような、気がしたのだ。
最初に聞こえたのは、小鳥が一斉に羽ばたく音だった。
その音をかき消すように、
「ドンナァアアアアアア!!」
という慟哭が耳を衝いた。
サチコはこの咆哮に聞き覚えがあった。名は不明、人語を喋ることができないため叫び声から「ドンナァ」と呼び習わした茨小鬼だ。
完全なパワータイプ。戦馬をも真っ二つに伏す、巨斧の使い手である。
そして、ドンナァを表すもう一つの特性、それが……。
「うわぁああああ!?」
「勝てるわけがねぇ、帰るべ!!」
「俺は、俺は……」
圧倒的な恐怖を植え付ける、この慟哭と立ち振舞である。
部下すらも、狂気染みた恐怖で押さえつける。
一度体感したことのあるサチコは、耐えてこそいた。
しかし、他の貴族はかき乱された感情を制御するすべなく敗走するものも多い。
「あなたたちっ! いえ、今はそれよりも」
逃げゆくものを押しとどめるよりも、するべきことがある。
サチコは目の前にある大きな丘を睨めつける。その顔立ちは、精悍であった。
「はーはっはっは! ドンナァがなんですの。私は……私こそ……」
高笑いは虚勢だ。自分が一番、わかっている。
「恐怖を与えるワルワル団の、ワルサー総帥なのだぜ!」
道化を演じよ、虚勢を張れ、ついでに胸も張って突き進め。
「臆せぬ者は、私に着いてきなさい! ここは、私達が死守するのですわ」
軍馬を駆り走りだしたサチコは、斥候から情報を聞く。
「タロ、向こうはどんな状況でしたの?」
「ドンナァを中心に無数のゴブリンがいます。計測は不能」
「そうですの……」
「ですが、ほとんどがドンナァの恐怖による支配で突き動かされているようです。逆にそれを除外すれば、数でも質でもこちらが勝ることが出来るかと」
ドンナァをいかにして落すか、それが問題だ。
「……私達がやるしか、ありませんわね」
他のゴブリンへの対処であれば、腰抜けにもできるだろうが。
恐怖を与える対象へ立ち向かえる者は、少ない。
「それと、もう一つ。大型の狼……おそらく雑魔がドンナァを取り巻いています」
「どういうことですの?」
タロの見立てでは、動物的本能から恐怖で支配するドンナァに与したのだろうということだ。
それを含め、ドンナァを最優先に対処しなければならないのはいうまでもない。
「……サチコ様。恐れながら」
「タロ、あなたは下がって状況の把握に努めなさい。大丈夫、私も力量はわかっていますわ」
無茶はしない、そういうサチコを信じてタロは下がる。
追随するハンターたちに、サチコを任せるより他にないのであった。
解説
●目的
「ドンナァ」を撤退させる
●ドンナァ
2メートルを超える巨体を持つ茨小鬼。
金属鎧と身長程度はある巨大な斧を扱う。
一撃が重く、並みの動物であれば一撃で屠る。
恐怖で支配する性格で、咆哮に臆した場合、行動が阻害されることがある。
こいつを撃破すれば、戦況は大きく人間側に傾くだろう。
●ゴブリン
斧持ち、弓持ち、雑魚等々。
無数のゴブリンがいる。戦場にまばらに配置。
一時的に手数が減るので、迎撃しても構わない。
ただし、数が多いため、全滅させるのは難しいだろう。
●狼
ドンナァを取り巻くように配置されている。
雑魔と思われ、ドンナァに攻撃するものを優先して攻撃する。
こちらは10体もいない一つの群れのみ。
●戦場
大きな丘が目の前に一つある。
ドンナァたちはその丘を確保しようと動いている。
機先を制して、丘を全力で確保しに行くか。
それとも回り道をして、背後を突くか。
それ以外はなだらかな丘陵であり、見晴らしはいい。
「ドンナァ」を撤退させる
●ドンナァ
2メートルを超える巨体を持つ茨小鬼。
金属鎧と身長程度はある巨大な斧を扱う。
一撃が重く、並みの動物であれば一撃で屠る。
恐怖で支配する性格で、咆哮に臆した場合、行動が阻害されることがある。
こいつを撃破すれば、戦況は大きく人間側に傾くだろう。
●ゴブリン
斧持ち、弓持ち、雑魚等々。
無数のゴブリンがいる。戦場にまばらに配置。
一時的に手数が減るので、迎撃しても構わない。
ただし、数が多いため、全滅させるのは難しいだろう。
●狼
ドンナァを取り巻くように配置されている。
雑魔と思われ、ドンナァに攻撃するものを優先して攻撃する。
こちらは10体もいない一つの群れのみ。
●戦場
大きな丘が目の前に一つある。
ドンナァたちはその丘を確保しようと動いている。
機先を制して、丘を全力で確保しに行くか。
それとも回り道をして、背後を突くか。
それ以外はなだらかな丘陵であり、見晴らしはいい。
マスターより
こんにちは、御影堂です。いよいよ、戦いが始まろうとしています。
左舷では、ドンナァを倒すことを目的に動いてもらいます。
ただし、邪魔は多く、ドンナァ自身も相当な強敵です。
完全に撃破するのではなく、撤退させればこちらの勝ちとなります。
左舷では、ドンナァを倒すことを目的に動いてもらいます。
ただし、邪魔は多く、ドンナァ自身も相当な強敵です。
完全に撃破するのではなく、撤退させればこちらの勝ちとなります。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/09/20 21:06
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/12 19:53:13 |
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相談卓 最上 風(ka0891) 人間(リアルブルー)|10才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/09/15 18:40:01 |