ゲスト
(ka0000)
『DEAR』 ~残り香の行方~
マスター:葉槻

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 不明
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/10/03 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/10/12 07:30
オープニング
●フランツの書斎にて
報告書を読み終わったフランツは老眼鏡を外して目頭を揉んだ。
「革命積……また懐かしい物がまだ出回っておるのか」
フランツはペンを取り出すと、さらさらと手紙を認めて、封をした。
「さてと……この調査が成されると良いのだが」
そう呟くと上着を着て部屋を出て行った。
●ハンターオフィスにて
フランツの話しを聞いて、オフィスの責任者と説明係の女性は青ざめた。
「まぁ、そういうわけじゃから、内密に」
「ちょっと、待って下さい。それってかなり大事なんじゃ……?」
「うむ。じゃから、内密に。まぁ、わしからハンターの皆さんにはお話しするので、君達が口を噤んでくれればいいだけじゃ」
ほっほっほ、と笑うフランツに「笑い事じゃ無いですよ!」と女性は声を荒げて、慌てて口元を抑えた。
「まぁ、国も知った上での判断じゃ。中間に挟まれたオフィスの皆さんには申し訳無いがのぅ」
フランツの他人事のような口調に女性はまなじりをぎりぎりと釣り上げる。
「ともかく、そういうわけなんで、ちょっと部屋を借りるぞ。そして信頼の置けるハンターの方々を集めて欲しい」
そういうと、フランツはよいしょ、と席を立って奥の個室へと入っていったのだった。
●ハンターオフィス・個室にて
集まったハンターの顔ぶれを見て、フランツは満足そうに微笑んだ。
「集まって貰ってすまないね。実はの、先日わしが頼んだ調査の結果、ちょっと困ったことになったんじゃ」
そういってテーブルの上に2枚の紙を置いた。
どちらも同じ紙幣のように見えた。始めて見る、というハンターが多い中、見覚えがある者もいたかもしれない。
「これは、革命積と言って、先の皇帝が国庫を開けて、貴族階級や革命時に協力してくれた有力者達なんかに配った金券じゃ」
額面はGにして5,000、10,000、50,000、100,000までの4種類。
皇帝が即位から5年後に発券が中止となり、以来は使う者も徐々に減ってきている金券だという。
「それでな、これ、一方がニセモノなんじゃが、わかるか?」
そう言われて、ハンター達はどよめき、1人が一枚ずつ手にとって見比べるがさっぱり違いが分からない。
「わしなんぞ目が悪いのでさっぱりわからんかったが、財務課の革命積に関わっておった者に確認してもらったところ、ニセモノは少し印刷が掠れておるらしい」
そう言われて、よくよく見比べると、確かに片方の革命積は少し印刷が潰れているように見える。
「大変良く出来ておると、その者も思わず褒めておった……が、この額が問題でのぅ」
100,000の物ばかりが出ているらしい。
「これは釣りは出ん。ので、額面の大きい物は、それなりに大きい買い物をする時ぐらいにしか使われとらんかった。……が、これがよく使われるのは何処だと思う?」
互いの顔を見合わせるハンター達に、ふむ。と頷いて見せると、フランツは地図を指差した。
「人が多く動く首都のアルトバンデルスじゃよ」
しかし、とフランツは続ける。
「今回これが出たのはここでは無く、ドワーヴンシュタット州。工房都市アルムスターじゃ」
初めて名前を聞く者も多く居たのだろう。左右を見渡してどう反応したものか、という者が多い。
「ここは武器防具の職人が多い。それで、ここの武器がヴルツァライヒに流れておったのも発覚しておる」
ヴルツァライヒ、の単語に幾人かの者が瞳の色を変えた。
「帝国軍に報告をさせてもらった所、第六師団直々からAPVに依頼が降りての。『内密にかつ迅速に贋金を造っている組織を特定・壊滅させよ』との事じゃ」
軍人が動けば市民に不安と動揺が広がる。それを防ぎたいという国の思惑がこういった方法を採らせたらしい。
「それでな、一応乗りかかった船というか、本来ならわしが依頼した件でもあるし、きっちり片が付くまでわしも出来る限りの協力をさせてもらうことになった。どうか、皆宜しく頼むぞ」
朗らかに笑うフランツを見て、フランツを初めて見る多くのハンターは『ところでこの爺さん誰?』と顔を見合わせたのだった。
●紡績の町ベンケンにて
アルフォンスは自分のアトリエで1人、キャンバスに向かって没頭していた。
そこに、扉を叩く音が割り込んで現実へと引き戻されると、軽い眩暈を覚えてこめかみを押さえた。
「おい、アルフォンス、居るんだろ!?」
乱暴に扉を叩く音と扉の外から聞こえる怒声にも聞こえる大声に、アルフォンスはのろのろと扉へと向かい、鍵を開けて外に居た人物を招き入れた。
「やっぱりいた……って、お前、すげぇ顔色悪いぞ? さてはまた飲まず食わずで絵描いてたんだろ?!」
その男はとても剣呑な目つきをしていたが、アルフォンスに向ける言葉に棘は無い。
「あぁ……うん、そうかも?」
「もう陽も落ちるぞ。良くこんな暗い部屋で絵が描けるな!?」
呆れたように言われて、そういえば明け方にランプの油が切れた事を思い出し、それを男に告げたところ、男に怒鳴られた。
「お前はバカだろう!? ってことはさては寝ても無いな? とりあえず座れ! そしてこれでも食ってろ」
「ヴァン」
「あ゛?」
「ありがとう」
ヴァンと呼ばれた男は、酷く嫌そうに顔を歪めると「いいから、食え」とテーブルを指差した。
そこにはヴァンの好物である肉団子汁が2人分あった。
それを見てアルフォンスは目を細めて微笑んだ。
ヴァンはアトリエの窓際に置かれていたランプを手にとって、油瓶からランプへと油を注いだ。
それから火を灯すと、キャンバスに描かれている絵を見た。
「……エマ」
絵の中の女性は優しくこちらを見て微笑っていた。
報告書を読み終わったフランツは老眼鏡を外して目頭を揉んだ。
「革命積……また懐かしい物がまだ出回っておるのか」
フランツはペンを取り出すと、さらさらと手紙を認めて、封をした。
「さてと……この調査が成されると良いのだが」
そう呟くと上着を着て部屋を出て行った。
●ハンターオフィスにて
フランツの話しを聞いて、オフィスの責任者と説明係の女性は青ざめた。
「まぁ、そういうわけじゃから、内密に」
「ちょっと、待って下さい。それってかなり大事なんじゃ……?」
「うむ。じゃから、内密に。まぁ、わしからハンターの皆さんにはお話しするので、君達が口を噤んでくれればいいだけじゃ」
ほっほっほ、と笑うフランツに「笑い事じゃ無いですよ!」と女性は声を荒げて、慌てて口元を抑えた。
「まぁ、国も知った上での判断じゃ。中間に挟まれたオフィスの皆さんには申し訳無いがのぅ」
フランツの他人事のような口調に女性はまなじりをぎりぎりと釣り上げる。
「ともかく、そういうわけなんで、ちょっと部屋を借りるぞ。そして信頼の置けるハンターの方々を集めて欲しい」
そういうと、フランツはよいしょ、と席を立って奥の個室へと入っていったのだった。
●ハンターオフィス・個室にて
集まったハンターの顔ぶれを見て、フランツは満足そうに微笑んだ。
「集まって貰ってすまないね。実はの、先日わしが頼んだ調査の結果、ちょっと困ったことになったんじゃ」
そういってテーブルの上に2枚の紙を置いた。
どちらも同じ紙幣のように見えた。始めて見る、というハンターが多い中、見覚えがある者もいたかもしれない。
「これは、革命積と言って、先の皇帝が国庫を開けて、貴族階級や革命時に協力してくれた有力者達なんかに配った金券じゃ」
額面はGにして5,000、10,000、50,000、100,000までの4種類。
皇帝が即位から5年後に発券が中止となり、以来は使う者も徐々に減ってきている金券だという。
「それでな、これ、一方がニセモノなんじゃが、わかるか?」
そう言われて、ハンター達はどよめき、1人が一枚ずつ手にとって見比べるがさっぱり違いが分からない。
「わしなんぞ目が悪いのでさっぱりわからんかったが、財務課の革命積に関わっておった者に確認してもらったところ、ニセモノは少し印刷が掠れておるらしい」
そう言われて、よくよく見比べると、確かに片方の革命積は少し印刷が潰れているように見える。
「大変良く出来ておると、その者も思わず褒めておった……が、この額が問題でのぅ」
100,000の物ばかりが出ているらしい。
「これは釣りは出ん。ので、額面の大きい物は、それなりに大きい買い物をする時ぐらいにしか使われとらんかった。……が、これがよく使われるのは何処だと思う?」
互いの顔を見合わせるハンター達に、ふむ。と頷いて見せると、フランツは地図を指差した。
「人が多く動く首都のアルトバンデルスじゃよ」
しかし、とフランツは続ける。
「今回これが出たのはここでは無く、ドワーヴンシュタット州。工房都市アルムスターじゃ」
初めて名前を聞く者も多く居たのだろう。左右を見渡してどう反応したものか、という者が多い。
「ここは武器防具の職人が多い。それで、ここの武器がヴルツァライヒに流れておったのも発覚しておる」
ヴルツァライヒ、の単語に幾人かの者が瞳の色を変えた。
「帝国軍に報告をさせてもらった所、第六師団直々からAPVに依頼が降りての。『内密にかつ迅速に贋金を造っている組織を特定・壊滅させよ』との事じゃ」
軍人が動けば市民に不安と動揺が広がる。それを防ぎたいという国の思惑がこういった方法を採らせたらしい。
「それでな、一応乗りかかった船というか、本来ならわしが依頼した件でもあるし、きっちり片が付くまでわしも出来る限りの協力をさせてもらうことになった。どうか、皆宜しく頼むぞ」
朗らかに笑うフランツを見て、フランツを初めて見る多くのハンターは『ところでこの爺さん誰?』と顔を見合わせたのだった。
●紡績の町ベンケンにて
アルフォンスは自分のアトリエで1人、キャンバスに向かって没頭していた。
そこに、扉を叩く音が割り込んで現実へと引き戻されると、軽い眩暈を覚えてこめかみを押さえた。
「おい、アルフォンス、居るんだろ!?」
乱暴に扉を叩く音と扉の外から聞こえる怒声にも聞こえる大声に、アルフォンスはのろのろと扉へと向かい、鍵を開けて外に居た人物を招き入れた。
「やっぱりいた……って、お前、すげぇ顔色悪いぞ? さてはまた飲まず食わずで絵描いてたんだろ?!」
その男はとても剣呑な目つきをしていたが、アルフォンスに向ける言葉に棘は無い。
「あぁ……うん、そうかも?」
「もう陽も落ちるぞ。良くこんな暗い部屋で絵が描けるな!?」
呆れたように言われて、そういえば明け方にランプの油が切れた事を思い出し、それを男に告げたところ、男に怒鳴られた。
「お前はバカだろう!? ってことはさては寝ても無いな? とりあえず座れ! そしてこれでも食ってろ」
「ヴァン」
「あ゛?」
「ありがとう」
ヴァンと呼ばれた男は、酷く嫌そうに顔を歪めると「いいから、食え」とテーブルを指差した。
そこにはヴァンの好物である肉団子汁が2人分あった。
それを見てアルフォンスは目を細めて微笑んだ。
ヴァンはアトリエの窓際に置かれていたランプを手にとって、油瓶からランプへと油を注いだ。
それから火を灯すと、キャンバスに描かれている絵を見た。
「……エマ」
絵の中の女性は優しくこちらを見て微笑っていた。
解説
■経過説明
前回の調査報告を受け、帝国軍が確認をしたところアルムスターで大量の偽革命積が発見
これが使われたと思われる時期はちょうどカール・ヴァイトマンがアルムスターで武器を買い始めた頃と一致する為、恐らくカールが使っていたのであろうという予測が立った
見つかったほとんどの偽革命積の額面が100,000だったのに対し、数枚の10,000も発見される
これの多くはアルムスターで無く、隣の町、紡績の町ベンケンで見つかった
なお、使われていた店は5件が飲食店、1件が服屋
【目的】
ベンケンへと赴き、どんな人物が使っていたのかを突き止める
■注意
ハンターだと発覚すると贋金を動かしている人物や組織に警戒心を植え付けかねないので、なるべく一般人の振りをすること
また今回は調査が目的であり、その人物や組織が特定出来たら、帝国軍に報告し、軍より逮捕状を出す予定が組まれている
■紡績の町ベンケン
大麦畑と木綿畑が一面に広がるのどかな町
土地自体は肥沃なわけではないが、すぐ傍の湖のお陰で水に困ることは無い
しかし、直ぐ隣のアルムスターの特徴を継いでおり、ドワーフが多い(人間5:ドワ-フ5:エルフ0)
また、アルムスターから流れてきたならず者達が多い為、治安はよくない
その一方で「よそ者」から町を守る自警団が強い力を持っている町でもある
■革命積
先代皇帝が即位後に発行し、5年間発行した帝国内でのみ使える金券
なお、発行した当初、明確に記録していなかった為、発行総数は不明となっている
非常に繊細な版画による印刷で、特殊なインクを使っている。紙も当時は貴重な製造方法で作られた物だったが、これは近年普通に造られるようになっている
しかし、把握しているだけでも発行した7割しか回収できていないという説も有り、使用に関しては期限などは設けていない
前回の調査報告を受け、帝国軍が確認をしたところアルムスターで大量の偽革命積が発見
これが使われたと思われる時期はちょうどカール・ヴァイトマンがアルムスターで武器を買い始めた頃と一致する為、恐らくカールが使っていたのであろうという予測が立った
見つかったほとんどの偽革命積の額面が100,000だったのに対し、数枚の10,000も発見される
これの多くはアルムスターで無く、隣の町、紡績の町ベンケンで見つかった
なお、使われていた店は5件が飲食店、1件が服屋
【目的】
ベンケンへと赴き、どんな人物が使っていたのかを突き止める
■注意
ハンターだと発覚すると贋金を動かしている人物や組織に警戒心を植え付けかねないので、なるべく一般人の振りをすること
また今回は調査が目的であり、その人物や組織が特定出来たら、帝国軍に報告し、軍より逮捕状を出す予定が組まれている
■紡績の町ベンケン
大麦畑と木綿畑が一面に広がるのどかな町
土地自体は肥沃なわけではないが、すぐ傍の湖のお陰で水に困ることは無い
しかし、直ぐ隣のアルムスターの特徴を継いでおり、ドワーフが多い(人間5:ドワ-フ5:エルフ0)
また、アルムスターから流れてきたならず者達が多い為、治安はよくない
その一方で「よそ者」から町を守る自警団が強い力を持っている町でもある
■革命積
先代皇帝が即位後に発行し、5年間発行した帝国内でのみ使える金券
なお、発行した当初、明確に記録していなかった為、発行総数は不明となっている
非常に繊細な版画による印刷で、特殊なインクを使っている。紙も当時は貴重な製造方法で作られた物だったが、これは近年普通に造られるようになっている
しかし、把握しているだけでも発行した7割しか回収できていないという説も有り、使用に関しては期限などは設けていない
マスターより
初めまして、もしくはまたお目にかかれて光栄です。葉槻(はづき)と申します。
『DEAR』第二部お届けします。
今回解説に入りきれなかったPL情報についてこちらに転載しておきます。
【PL情報】
・日中町を彷徨いているともれなくごろつきに絡まれます。
・ごろつき達と戯れているとOPに登場したヴァンと遭遇出来ます。
・アルフォンスとコンタクトが取りたい場合は、町で情報を得れば会いに行くことが出来ます。
しかしアルフォンスと面識が無い人は知り合うところからのスタートです。
今回もフランツが出発まで皆さんをサポートします。
何か聞きたいことがあれば、どうぞ。
それでは、どうかあなたらしい1日をお過ごし下さい。
『DEAR』第二部お届けします。
今回解説に入りきれなかったPL情報についてこちらに転載しておきます。
【PL情報】
・日中町を彷徨いているともれなくごろつきに絡まれます。
・ごろつき達と戯れているとOPに登場したヴァンと遭遇出来ます。
・アルフォンスとコンタクトが取りたい場合は、町で情報を得れば会いに行くことが出来ます。
しかしアルフォンスと面識が無い人は知り合うところからのスタートです。
今回もフランツが出発まで皆さんをサポートします。
何か聞きたいことがあれば、どうぞ。
それでは、どうかあなたらしい1日をお過ごし下さい。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/10/10 22:47
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 スティード・バック(ka4930) 人間(クリムゾンウェスト)|38才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/10/03 00:31:27 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/29 09:02:37 |
|
![]() |
辺境伯に質問 ドロテア・フレーベ(ka4126) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/10/03 03:22:15 |