ゲスト
(ka0000)
生きる道
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/10/15 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/10/24 09:00
オープニング
「ミーファ、何をしてるの!?」
双子の姉であるサイアは部屋に入って来るなり、大声を張り上げた。感情が強く露出されたためか甲高くなった声はお世辞にも耳障りが良いとは言えなかった。
そんなサイアの様子にも気にかける様子もなく、ミーファは荷物を詰め込んでいたリュックサックから手を離し、いつもと変わらない明るい表情でサイアに向き直って答えた。
「サイア、荷物の整理よ。あたし、エルフハイムを出るの」
努めて軽く、極々自然なことのように話したつもりだったが、ずっと傍にいたサイアはそんな語り口に惑わされるわけがなかった。
眉がきりりと上がり、アーモンド型の目は丸く開かれた。口も丸く開けたままだけど、長いエルフの耳はしなだれて。お人形みたい。
「どうしてなの? 外の世界はミーファも知ってるでしょ。怖くて危なくて大変なのよ」
「どうしても。外の世界はサイアも見たでしょ? 綺麗で輝きに満ちてて素敵なのよ」
サイアは信じられないような顔をしていた。きっとミーファが真反対から意見を対抗させたことにショックを隠せないのだろう。その変貌に驚きを覚えながらも、サイアは冷静に言葉を紡いだ。
「どうして? またエグゼントさんやシャイネさんに連れて行ってもらえばいいじゃない。エルフハイムを人間は狙っているの。危険な事する必要ないじゃない」
懸命の説得にミーファはとうとう怒りだした。
「どうしても! サイアはおかしいと思わないの? 人間は危険だ。エルフハイムは狙われている。エルフは森を守り、森に守られて生きなければならないんだって。外にそんなこと一つでもあった? この退屈な人生を何十年も続けたいと思うの?」
「そんなにエルフハイムが嫌なの? どうして」
「サイアが私の大切な本捨てたからでしょ!」
「男性同士の異常な恋愛を描いた本なんてダメに決まってるじゃない!」
「あれもダメ、これもダメ。そんなの常識じゃ考えられない。そんなの普通じゃないって。じゃあ、あたしはここでくだらない毎日をただただ過ごせっての? 人を認められないなら、外に出させてよ!!」
我慢がならない様子はサイアも同じだったが、ミーファの怒りはもっともっと根が深かった。
顔も同じ、声もそっくりの姉。その癖、お行儀が良くて勉強ができて。みんなから期待を寄せられて。
姉に合わせて行動することのなんと辛いことか。影になること、比較対象になることのなんと情けないことか。
それがようやくエルフハイムの外に出て見つかったのだ。サイアと比較にならない世界を。自分だけの楽しみを。
ミーファは叫びは懇願にも近い、涙のこぼれそうな訴えだった。
「行かせて。このままじゃ心が死んじゃうの!」
それでもサイアはミーファにすがりつき、涙を零しながら首を横に振った。
「ミーファ。外のことだって何も知らないじゃない。無暗に出て行ったらきっと歪虚に食い殺される。心が死ぬだなんて、ミーファがずっと逃げ回ってるからじゃない」
「サイア! 外のことを何も知らないじゃない。光の無いここに閉じこもっていたら歪虚になっちゃう。心の痛みのこと、サイアは何も知らないじゃない」
決着がつくはずもない。
二人は本質的には同じなのだから。ミーファも、そしてサイアもそれは良く分かっていた。
だが、この場合平行線のままで有利なのはサイアだった。
結局、ミーファは今日も家に閉じ込められたまま。長年の絆という鎖で縛りつけられたまま。
だけどミーファは諦めてなどいなかった。こうなることも薄々わかっていた。
ミーファは窓からリンゴを載せた馬車が外に出ていくのを祈りながら見つめていた。あのリンゴ箱の中に隠しいれた手紙の行き先、あのほんわり優しい商人の女の子は気づいてくれるだろう。そしてきっと力になってくれるはず。
「願いが叶いますように……」
ミーファはそう願わずにはいられなかった。
そして、それは間もなく叶うことになった。ミーファの言葉は確かにハンターへと届いたのだ。
ミーファは月のない夜を抜け、外に向かって走り出した。サイアの足音を振り切るようにして生きる道をひたすらに駆けた。
双子の姉であるサイアは部屋に入って来るなり、大声を張り上げた。感情が強く露出されたためか甲高くなった声はお世辞にも耳障りが良いとは言えなかった。
そんなサイアの様子にも気にかける様子もなく、ミーファは荷物を詰め込んでいたリュックサックから手を離し、いつもと変わらない明るい表情でサイアに向き直って答えた。
「サイア、荷物の整理よ。あたし、エルフハイムを出るの」
努めて軽く、極々自然なことのように話したつもりだったが、ずっと傍にいたサイアはそんな語り口に惑わされるわけがなかった。
眉がきりりと上がり、アーモンド型の目は丸く開かれた。口も丸く開けたままだけど、長いエルフの耳はしなだれて。お人形みたい。
「どうしてなの? 外の世界はミーファも知ってるでしょ。怖くて危なくて大変なのよ」
「どうしても。外の世界はサイアも見たでしょ? 綺麗で輝きに満ちてて素敵なのよ」
サイアは信じられないような顔をしていた。きっとミーファが真反対から意見を対抗させたことにショックを隠せないのだろう。その変貌に驚きを覚えながらも、サイアは冷静に言葉を紡いだ。
「どうして? またエグゼントさんやシャイネさんに連れて行ってもらえばいいじゃない。エルフハイムを人間は狙っているの。危険な事する必要ないじゃない」
懸命の説得にミーファはとうとう怒りだした。
「どうしても! サイアはおかしいと思わないの? 人間は危険だ。エルフハイムは狙われている。エルフは森を守り、森に守られて生きなければならないんだって。外にそんなこと一つでもあった? この退屈な人生を何十年も続けたいと思うの?」
「そんなにエルフハイムが嫌なの? どうして」
「サイアが私の大切な本捨てたからでしょ!」
「男性同士の異常な恋愛を描いた本なんてダメに決まってるじゃない!」
「あれもダメ、これもダメ。そんなの常識じゃ考えられない。そんなの普通じゃないって。じゃあ、あたしはここでくだらない毎日をただただ過ごせっての? 人を認められないなら、外に出させてよ!!」
我慢がならない様子はサイアも同じだったが、ミーファの怒りはもっともっと根が深かった。
顔も同じ、声もそっくりの姉。その癖、お行儀が良くて勉強ができて。みんなから期待を寄せられて。
姉に合わせて行動することのなんと辛いことか。影になること、比較対象になることのなんと情けないことか。
それがようやくエルフハイムの外に出て見つかったのだ。サイアと比較にならない世界を。自分だけの楽しみを。
ミーファは叫びは懇願にも近い、涙のこぼれそうな訴えだった。
「行かせて。このままじゃ心が死んじゃうの!」
それでもサイアはミーファにすがりつき、涙を零しながら首を横に振った。
「ミーファ。外のことだって何も知らないじゃない。無暗に出て行ったらきっと歪虚に食い殺される。心が死ぬだなんて、ミーファがずっと逃げ回ってるからじゃない」
「サイア! 外のことを何も知らないじゃない。光の無いここに閉じこもっていたら歪虚になっちゃう。心の痛みのこと、サイアは何も知らないじゃない」
決着がつくはずもない。
二人は本質的には同じなのだから。ミーファも、そしてサイアもそれは良く分かっていた。
だが、この場合平行線のままで有利なのはサイアだった。
結局、ミーファは今日も家に閉じ込められたまま。長年の絆という鎖で縛りつけられたまま。
だけどミーファは諦めてなどいなかった。こうなることも薄々わかっていた。
ミーファは窓からリンゴを載せた馬車が外に出ていくのを祈りながら見つめていた。あのリンゴ箱の中に隠しいれた手紙の行き先、あのほんわり優しい商人の女の子は気づいてくれるだろう。そしてきっと力になってくれるはず。
「願いが叶いますように……」
ミーファはそう願わずにはいられなかった。
そして、それは間もなく叶うことになった。ミーファの言葉は確かにハンターへと届いたのだ。
ミーファは月のない夜を抜け、外に向かって走り出した。サイアの足音を振り切るようにして生きる道をひたすらに駆けた。
解説
ミーファがエルフハイムから旅立つことを考えていますが、双子の姉サイアはなんとか止めようと追いかけてきます。
ミーファが無事旅立ち、サイアにも安心してもらえるように説得をお願いします。
●場所
エルフハイムのすぐ外。
皆さんが待機していれば、ミーファが荷物を持って駆け出てきます。
そしてすぐさまサイアが追いかけてきます。
●登場人物
ミーファ 外見も中身も同じ15才くらい。
ずっとサイアと一緒に生活していたが、実際は色々悩みを抱えていた。
外の世界に惹かれて旅立とうとするが、サイアに止められてでも傷つけられなくて皆に依頼した。
外の世界にあるものなら何でも興味を持つ。見た目はそれなりに明るく社交的。
サイア ミーファとほぼ外見は同じ。
でも中身は至って真面目で、エルフハイムの外で生活しようというミーファの心変わりについていけていない。
いつもミーファが横にいて、普段通りの生活をするだけで幸せだったので、ミーファの言い分がさっぱり理解できない。
ちなみに二人とも親はおらず、周りのエルフに助けてもらいつつ、リンゴ農家の手伝いをするなどして二人で生活していた。
ミーファが無事旅立ち、サイアにも安心してもらえるように説得をお願いします。
●場所
エルフハイムのすぐ外。
皆さんが待機していれば、ミーファが荷物を持って駆け出てきます。
そしてすぐさまサイアが追いかけてきます。
●登場人物
ミーファ 外見も中身も同じ15才くらい。
ずっとサイアと一緒に生活していたが、実際は色々悩みを抱えていた。
外の世界に惹かれて旅立とうとするが、サイアに止められてでも傷つけられなくて皆に依頼した。
外の世界にあるものなら何でも興味を持つ。見た目はそれなりに明るく社交的。
サイア ミーファとほぼ外見は同じ。
でも中身は至って真面目で、エルフハイムの外で生活しようというミーファの心変わりについていけていない。
いつもミーファが横にいて、普段通りの生活をするだけで幸せだったので、ミーファの言い分がさっぱり理解できない。
ちなみに二人とも親はおらず、周りのエルフに助けてもらいつつ、リンゴ農家の手伝いをするなどして二人で生活していた。
マスターより
何もかもそっくりな双子ちゃん。でもいつの頃からか、ゆっくり亀裂が入っていたんです。
本当はどっちも悪いのだけれど、うまくそれを形にできないもどかしさ。それがシナリオの根幹です。
人生経験豊かな諸先輩方、共感できる同輩の皆さま。
どうか二人の「気持ちの落としどころ」を見つけてあげてください。
真面目な話なのに直接的な理由が「薄い本勝手に捨てられたから」という
割と扱いに困ることが発端です。思春期の彼女達を優しくフォローしてあげてくださいね。
本当はどっちも悪いのだけれど、うまくそれを形にできないもどかしさ。それがシナリオの根幹です。
人生経験豊かな諸先輩方、共感できる同輩の皆さま。
どうか二人の「気持ちの落としどころ」を見つけてあげてください。
真面目な話なのに直接的な理由が「薄い本勝手に捨てられたから」という
割と扱いに困ることが発端です。思春期の彼女達を優しくフォローしてあげてくださいね。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/10/18 23:36
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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双子を説得作戦卓 ケイルカ(ka4121) エルフ|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/10/14 13:56:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/11 20:47:45 |