ゲスト
(ka0000)
家族の話をしよう
マスター:石田まきば

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/11/28 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/12/07 07:30
オープニング
●思いつき
「ねえ、フクカン君」
「何でしょう、シャイネさん!」
「……家族って、どういうものなのかな」
「うーん、私は家族と呼べる人がいませんから、ちょっとわからないです。あ、でもAPVの皆さんは家族みたいに思っていますよ!」
悪いことを聞いてしまったかな、とシャイネが言う前に、明るく笑うフクカン。そんな、第三者から見れば重い話を軽くかわした少しあと。オフィスの一角に、ささやかな張り紙が増えていた。
『今後詩を書くための肥やしに、家族の話をしてもらえないかい? お礼はささやかだけれど。ほんの少しの休息を兼ねて、ハンターの皆の時間を分けてくれたら、嬉しいよ』
●切欠
北筏での作戦に出ていた巫子達が帰還する。その護衛という形ではなかったけれど、シャイネも故郷エルフハイムへと帰ってきていた。
親友エクゼントの妹、デリアが巫子になったことは聞いていて、よくやっているのかどうかの様子見と、なにより、彼女の無事の帰還を祝うためだった。
幼馴染で親友の妹となれば、自分にとっても妹のようなものだ。両親はシャイネを産んだ時には既に高齢の部類に入っていたから、弟妹が欲しいなんて言ったことはなかった。
(……思う事もなかったけれどね)
親友君の妹、デリア君がいるからね。エクゼントにはそういつも話しているけれど。「きょうだい」についてシャイネが率先して口にすることは無い、その事実は周囲も分かっていたから、あえて掘り下げることもなかった。
「楽しい僕の親友君。最近どうだい?」
リゼリオ土産を渡しながら、いつも通りの言葉をかける。とはいえナデルハイムが開かれてきたことや、浄化術の輸出等、エルフハイム自身の変化によって流通も少なからず変化している。だからそのお土産も珍しい、というものではなくなってきていた。
「それと、これはいつもの」
土産はあくまでもおまけのようなものだ。シャイネとエクゼントが会う度に必ず行う事、その一つにシャイネの書き溜めた詩集の受け渡しがあった。エクゼントはそれを受け取りさらりと確認をとる。それから新しい、頁も真っ白な紙の束を渡すのだ。
シャイネもまた、いつも通りであることを確認して頷く。一通り、互いに慣れたものだ。
「デリアが日に日に巫子らしくなっていく……と、思う」
「いい子の君の妹なんだから、喜ばしい事じゃないのかい?」
「外に興味を持って、彼女の様に出ていく懸念もあったが」
そこで少しの間があいた。デリアのような新人巫子達も、上からの命令で外に、不浄な土地に出かけることが今後増えていくことは明白な事だった。
「……逆に心配だ」
危険に瀕する可能性が高まったのだから、兄としては落ち着いていられることではない、ということだろう。
「機会があれば同行するようにもしておくよ?」
「そうしてくれ。それと……彼女の姉の方だが」
「ああ、あの子も巫子になったんだっけ。そっちはどうなのか聞いていいのかい?」
双子の妹が外界に出た、その残された姉の方……サイアもまた巫子として修業に励んでいる。面識のある身としては心配もあったのだが。
「これ以上ないくらい熱心に修行に励んでいるらしい」
「……悪い事ではない筈なのだけど……姉妹、特に双子ってそういうものなのかな……?」
●兄弟
言い出したのは僕だから、最初に話すけれど。そう言いながらいつもの微笑みを浮かべるシャイネ。
「特に面白い話ではないけどね? ちょっとでも皆が話す切欠になるなら……話そうか」
機会が無ければ、きちんと話さないままだったかもしれないし、ね。
高齢の両親に育てられたシャイネにとって記憶にある家族の話は、実はそう多いものではない。特に、シャイネが物心ついた時既に研究の前線から離れていた兄の話は、過去の偉業部分だけを噂で聞くのみだった。
研究室と称した小屋に籠もり孤独に維新派の浄化術を編み上げている時期は何度か会いにも行っていたが、のんびり兄弟の会話をする機会もなかった。
幼いころから接した機会が少なすぎて。どんな話をしていいのか、見当がつかなかったのだ。
顔を見せに行っても、兄弟としてどう過ごせばいいのかわからない。ただ、兄が作業に向かう背を見ていただけのような気がする。
無為な時間を過ごしていたと思う。
「多分、その後。効果を制限する形での採用が不服だったんだと思う」
維新派の浄化術を完成させた頃のことだ。
少しずつフィールドワークにも出なくなった兄のその様子は、状況を落胆しての事だと思っていた。引き続き様子は見にいっていたが、接し方が分からないままなので、やはり、ただ見守るだけだった。
「……僕は昔から、各地を回るのが好きだったしね?」
そのついでだと言えば、兄のもとを訪れるシャイネを咎めるものは誰も居なかった。むしろ体のいい使いパシリのようなものだったのかもしれない。……なんの成果もあげてはいなかったけれど。
次第に歪虚親和説を唱え始める兄の評判は、ハンターとして、吟遊詩人として既に確立していた立ち位置のおかげでシャイネにも、そして両親にも、害を及ぼすことは無かった。兄は既に独立していたから、家族とは、オプストハイムからは離れた場所に居を構えていたから。
シャイネは、変わり者と言う評価においては兄弟でとてもよく似ていたけれど。
エルフハイムの意思は個人の思想を見るものだから。だから「いい子」として定期的にオプストハイムに帰ってくるシャイネを兄と同じように扱う事はなかった。
「ある日もいつものように、様子を見に行ったんだ。ただ一人分の存在だけが、なくなっていたよ」
そして、あの日。声を聴いて。
すぐにわかった。覚えがありすぎる音。自分が自分の声と認識している音と酷似した声。その声は兄の声にとてもよく似ていることを、シャイネは幼いころから知っていた。
可能性は考えていた。覚悟のようなものはあった。
「本当にあちら側に行ったんだなって。あの時思ったんだ。ただ、事実として理解した、そう言えばいいのかな」
同じ血を引いている事は昔からわかっていた。それだけ兄の背中は、兄の残してきた足跡は大きくて、シャイネは弟として見られることが多かった。意思とは別のところで、その事実は切り離せるものではなかった。
けれど、家族であるという認識は薄かった。
「そこから先は……目撃情報の通り、みたいだね」
兄弟だから引き合うなんて言う事はない。ただ偶然その場に居合わせて、何かができるとも思っていないのだ、と吟遊詩人は小さく笑う。
「あの人がこちら側に戻ってくるかは……さて、どうだろう?」
シャイネは頑なに兄の名を口にしない。それはエルフハイムに属するものとしての行動としては妥当だ。
「戻れるものなのかもわからないしね。戻れたとして……あの人にその先があるかと言われると、さて、どうだろうね?」
「ねえ、フクカン君」
「何でしょう、シャイネさん!」
「……家族って、どういうものなのかな」
「うーん、私は家族と呼べる人がいませんから、ちょっとわからないです。あ、でもAPVの皆さんは家族みたいに思っていますよ!」
悪いことを聞いてしまったかな、とシャイネが言う前に、明るく笑うフクカン。そんな、第三者から見れば重い話を軽くかわした少しあと。オフィスの一角に、ささやかな張り紙が増えていた。
『今後詩を書くための肥やしに、家族の話をしてもらえないかい? お礼はささやかだけれど。ほんの少しの休息を兼ねて、ハンターの皆の時間を分けてくれたら、嬉しいよ』
●切欠
北筏での作戦に出ていた巫子達が帰還する。その護衛という形ではなかったけれど、シャイネも故郷エルフハイムへと帰ってきていた。
親友エクゼントの妹、デリアが巫子になったことは聞いていて、よくやっているのかどうかの様子見と、なにより、彼女の無事の帰還を祝うためだった。
幼馴染で親友の妹となれば、自分にとっても妹のようなものだ。両親はシャイネを産んだ時には既に高齢の部類に入っていたから、弟妹が欲しいなんて言ったことはなかった。
(……思う事もなかったけれどね)
親友君の妹、デリア君がいるからね。エクゼントにはそういつも話しているけれど。「きょうだい」についてシャイネが率先して口にすることは無い、その事実は周囲も分かっていたから、あえて掘り下げることもなかった。
「楽しい僕の親友君。最近どうだい?」
リゼリオ土産を渡しながら、いつも通りの言葉をかける。とはいえナデルハイムが開かれてきたことや、浄化術の輸出等、エルフハイム自身の変化によって流通も少なからず変化している。だからそのお土産も珍しい、というものではなくなってきていた。
「それと、これはいつもの」
土産はあくまでもおまけのようなものだ。シャイネとエクゼントが会う度に必ず行う事、その一つにシャイネの書き溜めた詩集の受け渡しがあった。エクゼントはそれを受け取りさらりと確認をとる。それから新しい、頁も真っ白な紙の束を渡すのだ。
シャイネもまた、いつも通りであることを確認して頷く。一通り、互いに慣れたものだ。
「デリアが日に日に巫子らしくなっていく……と、思う」
「いい子の君の妹なんだから、喜ばしい事じゃないのかい?」
「外に興味を持って、彼女の様に出ていく懸念もあったが」
そこで少しの間があいた。デリアのような新人巫子達も、上からの命令で外に、不浄な土地に出かけることが今後増えていくことは明白な事だった。
「……逆に心配だ」
危険に瀕する可能性が高まったのだから、兄としては落ち着いていられることではない、ということだろう。
「機会があれば同行するようにもしておくよ?」
「そうしてくれ。それと……彼女の姉の方だが」
「ああ、あの子も巫子になったんだっけ。そっちはどうなのか聞いていいのかい?」
双子の妹が外界に出た、その残された姉の方……サイアもまた巫子として修業に励んでいる。面識のある身としては心配もあったのだが。
「これ以上ないくらい熱心に修行に励んでいるらしい」
「……悪い事ではない筈なのだけど……姉妹、特に双子ってそういうものなのかな……?」
●兄弟
言い出したのは僕だから、最初に話すけれど。そう言いながらいつもの微笑みを浮かべるシャイネ。
「特に面白い話ではないけどね? ちょっとでも皆が話す切欠になるなら……話そうか」
機会が無ければ、きちんと話さないままだったかもしれないし、ね。
高齢の両親に育てられたシャイネにとって記憶にある家族の話は、実はそう多いものではない。特に、シャイネが物心ついた時既に研究の前線から離れていた兄の話は、過去の偉業部分だけを噂で聞くのみだった。
研究室と称した小屋に籠もり孤独に維新派の浄化術を編み上げている時期は何度か会いにも行っていたが、のんびり兄弟の会話をする機会もなかった。
幼いころから接した機会が少なすぎて。どんな話をしていいのか、見当がつかなかったのだ。
顔を見せに行っても、兄弟としてどう過ごせばいいのかわからない。ただ、兄が作業に向かう背を見ていただけのような気がする。
無為な時間を過ごしていたと思う。
「多分、その後。効果を制限する形での採用が不服だったんだと思う」
維新派の浄化術を完成させた頃のことだ。
少しずつフィールドワークにも出なくなった兄のその様子は、状況を落胆しての事だと思っていた。引き続き様子は見にいっていたが、接し方が分からないままなので、やはり、ただ見守るだけだった。
「……僕は昔から、各地を回るのが好きだったしね?」
そのついでだと言えば、兄のもとを訪れるシャイネを咎めるものは誰も居なかった。むしろ体のいい使いパシリのようなものだったのかもしれない。……なんの成果もあげてはいなかったけれど。
次第に歪虚親和説を唱え始める兄の評判は、ハンターとして、吟遊詩人として既に確立していた立ち位置のおかげでシャイネにも、そして両親にも、害を及ぼすことは無かった。兄は既に独立していたから、家族とは、オプストハイムからは離れた場所に居を構えていたから。
シャイネは、変わり者と言う評価においては兄弟でとてもよく似ていたけれど。
エルフハイムの意思は個人の思想を見るものだから。だから「いい子」として定期的にオプストハイムに帰ってくるシャイネを兄と同じように扱う事はなかった。
「ある日もいつものように、様子を見に行ったんだ。ただ一人分の存在だけが、なくなっていたよ」
そして、あの日。声を聴いて。
すぐにわかった。覚えがありすぎる音。自分が自分の声と認識している音と酷似した声。その声は兄の声にとてもよく似ていることを、シャイネは幼いころから知っていた。
可能性は考えていた。覚悟のようなものはあった。
「本当にあちら側に行ったんだなって。あの時思ったんだ。ただ、事実として理解した、そう言えばいいのかな」
同じ血を引いている事は昔からわかっていた。それだけ兄の背中は、兄の残してきた足跡は大きくて、シャイネは弟として見られることが多かった。意思とは別のところで、その事実は切り離せるものではなかった。
けれど、家族であるという認識は薄かった。
「そこから先は……目撃情報の通り、みたいだね」
兄弟だから引き合うなんて言う事はない。ただ偶然その場に居合わせて、何かができるとも思っていないのだ、と吟遊詩人は小さく笑う。
「あの人がこちら側に戻ってくるかは……さて、どうだろう?」
シャイネは頑なに兄の名を口にしない。それはエルフハイムに属するものとしての行動としては妥当だ。
「戻れるものなのかもわからないしね。戻れたとして……あの人にその先があるかと言われると、さて、どうだろうね?」
解説
*前置き
当シナリオのオープニングは『●思いつき』部分だけが重要部分であり、『●切欠』以下の長い部分はあくまでもおまけとしての部分です。
そのため、関連情報を全く知らずともご参加いただけます。
*目的
APVの一室にて、シャイネに家族の話をしてください。
実際にあった家族との思い出でも。
家族のような誰かとのことでも。
これから作っていきたい家族の形でも。
こんな家族もあるよ、という一般論であっても。
こんな家族が居たら面白い、という作り話でも。
「家族」「家族に準じた誰か」であれば、構いません。
話の内容が真実だろうと嘘だろうと、それはシャイネの作詩に置いて全く関係が無いのです。
ただ、「家族」について小さな疑問を持った吟遊詩人が、十分に話を聞けた、そう思えるほどになれば成功となります。
*地域情報について
石田はあくまで帝国ディブの一人のマスターです
そのため、担当地域以外の情報はあまり深く掘り下げない形でマスタリングを行わせていただきます
出身地などのお話についてはあくまでもプレイングに準じますので、その点ご理解、ご了承のほどよろしくおねがいいたします
*実際のリプレイについて
聞かせていただいたお話(プレイング)を元に、その出来事を再現する、もしくはそれに準じた形式で執筆いたします
*NPC
(関連付けている二人はこの場に同席していますが、プレイングにより会話などの働きかけが無い限りは描写いたしません)
シャイネ
依頼人
エルフハイム出身の吟遊詩人、自称「ハンター」
話の聞き役
フクカン
APVの職員、タングラムの補佐
お茶汲み担当
飲みたいものがあればご指定ください
*注意
白紙はリプレイに描写できません、ご注意くださいませ
参加したらとりあえず『お茶を頼む』とでも送信しておきましょう
当シナリオのオープニングは『●思いつき』部分だけが重要部分であり、『●切欠』以下の長い部分はあくまでもおまけとしての部分です。
そのため、関連情報を全く知らずともご参加いただけます。
*目的
APVの一室にて、シャイネに家族の話をしてください。
実際にあった家族との思い出でも。
家族のような誰かとのことでも。
これから作っていきたい家族の形でも。
こんな家族もあるよ、という一般論であっても。
こんな家族が居たら面白い、という作り話でも。
「家族」「家族に準じた誰か」であれば、構いません。
話の内容が真実だろうと嘘だろうと、それはシャイネの作詩に置いて全く関係が無いのです。
ただ、「家族」について小さな疑問を持った吟遊詩人が、十分に話を聞けた、そう思えるほどになれば成功となります。
*地域情報について
石田はあくまで帝国ディブの一人のマスターです
そのため、担当地域以外の情報はあまり深く掘り下げない形でマスタリングを行わせていただきます
出身地などのお話についてはあくまでもプレイングに準じますので、その点ご理解、ご了承のほどよろしくおねがいいたします
*実際のリプレイについて
聞かせていただいたお話(プレイング)を元に、その出来事を再現する、もしくはそれに準じた形式で執筆いたします
*NPC
(関連付けている二人はこの場に同席していますが、プレイングにより会話などの働きかけが無い限りは描写いたしません)
シャイネ
依頼人
エルフハイム出身の吟遊詩人、自称「ハンター」
話の聞き役
フクカン
APVの職員、タングラムの補佐
お茶汲み担当
飲みたいものがあればご指定ください
*注意
白紙はリプレイに描写できません、ご注意くださいませ
参加したらとりあえず『お茶を頼む』とでも送信しておきましょう
マスターより
こんにちは、それともこんばんは、石田まきばです。
ここ最近筆が遅くなっていて、どうやってリハビリしたものか、そんな事を思いつつ。
空気を読まずにのんびりとした一本をお届けします。
「投げっぱなし」ですので、ハンター生活に彩を添える為に活用していただければ。
少しでも、そのお手伝いになればいいのですが。
一度このシナリオ用のネタメモは廃棄したのですが、ここにきて掘り起こしました。
複数名でのご参加の場合はお互いの名前、もしくはグループ名などをお書き添え下さい。
それでは、よろしくお願いします。
ここ最近筆が遅くなっていて、どうやってリハビリしたものか、そんな事を思いつつ。
空気を読まずにのんびりとした一本をお届けします。
「投げっぱなし」ですので、ハンター生活に彩を添える為に活用していただければ。
少しでも、そのお手伝いになればいいのですが。
一度このシナリオ用のネタメモは廃棄したのですが、ここにきて掘り起こしました。
複数名でのご参加の場合はお互いの名前、もしくはグループ名などをお書き添え下さい。
それでは、よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/06 07:54