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  • 戦闘

【闇光】ガーフリート・ワー=エーシュ 後

マスター:葉槻

シナリオ形態
シリーズ(続編)

関連ユニオン
APV

難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,300
参加人数
現在10人 / 4~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/12/09 07:30
リプレイ完成予定
2015/12/18 07:30

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●ある一つの
「……撤退、ですか」
 イズン・コスロヴァ(kz0144)の声音は深く沈んだ色をしていた。
 『前線に届けよ』そう言われて出発してきたが、歪虚王2体を相手にした前線は見事に崩壊し、完全撤退へと追い込まれていた。
「うちの部隊には重傷者が多い。出来れば君達にはうちの隊のメンバーを連れて撤退作戦へと移行して欲しい」
 帝国軍師団混合編成部隊の一つと合流したイズン達であったが、部隊長にそう告げられイズンは難色を示していた。
「しかし、まだここより先にまだ部隊がいるのでは無いのですか? でしたら、まだ幸い我が隊は無傷に近い状態ですので、この先で救助を待っている部隊を探しに……」
「イズン副長」
 遮るように低音が簡易テント内に響いた。
「確かに、ここより先にまだ戦っている部隊がいるかもしれない。しかし、その部隊に出逢えるという保証はどこにありますか? 我々のように龍脈上を移動できているとは限らない。……そして、今も無事とは限らない」
「それならば、遺体の一つ、遺品の一つでも連れて帰らなければ」
「そんなことをして何になりますか。ここより先は更に厳しい闘いになるというのに、貴女は貴女の自己満足で第六師団の面々とハンター達を危険にさらすのですか」
「っ!」
「ある意味ここも既に前線なのです。そして此処より先はもう何が起こっているか分からない。撤退できる者達は撤退し、力が無い者は置いて行かれた。寒さが厳しく、野営は困難を極め、凍傷や意識混濁を発症した兵士達が何人も出ています」
 そういう部隊長自身も凍傷で利き手の指先を失っていた。もう兵士として戦闘に出ることは困難を極めるだろう。
 彼らは敵の急襲を受け、簡易テントの半数を失い、魔導トラックもマテリアル燃料が枯渇し道中に捨てざるを得なかった。氷点下の雪原を徒歩で彷徨い、辛うじて残った簡易テントに10人で身を寄せ合って暖を取り、各自が配給されたレーションとわずかな水と酒だけでこの3日間を凌いできたのだと言う。
「何も私は自分が助かりたい一心で上申している訳では無いのです。私にも預かった命がある。ですが私の力ではもう彼らを守ってやることも出来ない」
「……私は……」
 視線を逸らしたままイズンが口を開きかけたその時、トランシーバーから悲鳴のような報告が入った。

「敵襲!! 大量の歪虚がこちらへと押し寄せてきます!!」

 イズンは部隊長と視線を交わすと、直ぐ様外へと飛び出した。

●迎撃
 狭い簡易テント内には部隊長、イズン、帝国兵の青年1人とハンター全員が集まり、文字通り身を寄せ合いながらトランシーバーからの報告を聞いていた。
「敵は物凄いスピードで龍脈沿いを走りながらこちらへ近付いて来ています」
「……あいつらは見た事がある。馬のゾンビに乗ったスケルトンナイトと浮遊しながら魔法を使うゾンビだ」
 報告と敵の特徴を聞いた部隊長が、ギチッと左手を膝の上で強く握り締める。
「スケルトンナイトは近接攻撃しかしてこない。だが、ゾンビの魔法……そうだな、魔術師が使うマジックアローやアースバレット、ウィンドスラッシュに似ていた。複数体を攻撃するようなことは無かったと思ったが、何しろ遠くから攻撃してくる上に動きが速いんで苦労した」
 イズンは目を伏せて報告を静かに聞いていた。
「敵の数は?」
「恐らく……合わせて100以上」
「多いな」
「でもそんな数がこのまま龍脈に沿って下って行ったら、それこそ被害が出るよ」
「でも俺達だけで止められるのか?」
 喧々囂々と意見が飛び交う中、青年が静かにイズンに話しかけた。
「副長。発言をしても?」
「えぇ」
 青年は自分の手帳から一枚紙を引きちぎるとイズンへと見せた。
 その紙にはこの簡易テントを張った仮拠点周囲1~2kmの地図が完成していた。
「先ほど、皆さんが手当などに当たっていただいている間にこの周辺を少し調べてきました。ここから東に500mほど行くと、大きな谷に出ます。……谷と言いますか、氷が割れて出来た裂け目、という表現が正しい気もしますが」
 全長は1km程の裂け目で、谷の氷壁は入口は高くないが徐々に高さを増し、最大おおよそ5~6m。谷の底の道幅は途中氷の岩や欠けて広い部分や狭まっている部分もあるが、おおよそ80~50mだったという。
「逃げるにしろ、迎え撃つにしろ、ここを使えないかと。少なくともこの場は見晴らしは良いですが、敵の数が多い為、散開して囲まれる危険が高いです」
 龍脈から外れることにはなるが、谷を抜ければ再び龍脈に合流することは可能だと青年は告げた。
「……なるほど。確かにこの数の歪虚が龍脈に沿って南下すれば、撤退支援に向かっている者達に被害が出るでしょう。幸いにしてこちらには魔導アーマーがあります。迎え撃ち、安全を確保した上で撤退しましょう。……皆さん、力を貸していただけますか?」
 イズンはハンター達一人一人と視線を交わした後、丁寧に頭を下げた。



●天の矢
「ガー……天華。これは、ワシとワシの直属の技術者、錬魔院の一部の人間しか知らない逸品だ」
 ヴァーリが得意気にその大きなスペルランチャーの弾を撫でた。
「ただ、とんでも無く調整に手間取ってな……試作品として漸く一つは出来上がったが、これを量産するとなるとまだまだ問題点が多すぎる。コストもかかるし、何より安定性が無い。確実に誰が使っても安定した効果を出せるとは限らない」
「どういうことですか?」
「期待する効果を載せようと思うと、既存のランチャーでは載せ切らん。発射装置そのものを専用にするしかなかった。そうすることで今度は魔導アーマー自体の重量バランスが崩れ、歩行操作に難が出る。また、スペルランチャー装填から発射までの間に酷いマテリアルの奔流に飲まれるため、ベストタイミングで狙いを定めて引き金を引く、というその一連の動きに体力を消耗する」
「……それはほとんど失敗作じゃないですか……」
 眉間にしわを寄せたままイズンが言うと、もしゃもしゃの顎髭を撫でながらヴァーリがうむ、と頷いた。
「ゆえに、これ一発しか形に出来なかった。これではテストも出来ん。ぶっつけ本番で使って、その感想を教えて欲しい」
「期待通りの効果ならば量産を目指す、と?」
「然り」
「縛裁も同様ですか?」
「こっちはまだ何とかなりそうな気がしなくも無いんだが……まぁ、時間が無くてなぁ。風の属性を纏わせないバージョンなら恐らく量産は早い。だが、対大量歪虚相手へのスペルランチャーとしてはやはり効果が低くなる……ジレンマとの闘いだ」
 ごつごつとした節ばった手で、縛裁の表面を撫でるヴァーリの顔は、子どもを見守るそれだ。
「ただ、上手く発動できれば間違いなく前線の助けになる。絶対に、敵の手に渡すこと無く届けて、使ってきてくれ。そして、感想を聞かせてくれ」
「……承りました」

解説

■作戦概要
1.引き付け班が龍脈沿いに南下する敵をつかず離れずの距離を保ちつつ氷の谷へ誘導
2.魔導トラック・魔導トラクターは谷の中央より南へ移動
3.標準型魔導アーマー2体及びハンター及び帝国兵により敵を幅が最も狭くなっている谷の中央へおびき寄せる
4.十分敵を引き付け、かつ、仲間を巻き込まないよう試作品スペルランチャー2発を打ち込む
5.その後、殲滅又は完全撤退へと作戦を移行

■魔導アーマー
・標準型魔導アーマーの装備は盾2、鉄球1、ロングソード1(組み合わせ自由)
・試作品は『天華』『縛裁』の2種類一つずつ。魔導アーマー1体に一つのみ装備可能
 装備するのに10ターン+目標地点までの移動が必要となる
・魔導アーマーは誰でも操縦可能
 ただし、試作品搭載型の操縦には技術が必要な為 帝国兵(未覚醒)>帝国兵(覚醒者)>ハンターの順で長けている
 しかし、試作品発動時にマテリアルの奔流が起こる為、発動目標地点への照準を合わせるのは ハンター>帝国兵(覚醒者)>帝国兵(未覚醒)の順で安定して行える
 ※途中で搭乗者を交代する事は出来ない

■試作品能力
・天華
 空に向かって放つと、空中で弾が炸裂し、広範囲に渡ってファイヤアロー30発分を振らせることが出来る。あくまでマテリアルによる火なので、延焼などの心配は無い。
 射程20~80 効果範囲直径15スクエア

・縛裁
 空に向かって放つと、空中で弾が炸裂し、風の属性を纏わせた有刺鉄線の網が降る。網から脱出するまで捕縛状態となり、毎ターン「継続ダメージ:強度1、ダメージ30」が付与される。
 射程15~30 効果範囲直径10スクエア

※しかし、どちらも試作品であるため正確な飛距離・炸裂のタイミングなどが不明で、想定通りの威力が出ないおそれがある。

●敵能力補足
 馬型ゾンビ+スケルトンナイト……移動力5~6
 リッチ……低空飛行しながら移動力5~6を維持

マスターより

初めまして、または、またお目にかかれて光栄です。葉槻(はづき)と申します。

遅くなりました、ガーフリ後編お届けします。
今回も文字数ぎっちぎちのOPと解説になっていてすみません。

今回で魔導アーマーをついに動かします。
天華と縛裁のその能力も判明しましたが、強力な分、非常に扱いにくい品となっております。
ですが、上手く使ってこの危機から脱出していただきたいと思います。

不明点などありましたら、イズンが分かる範囲で答えますので聞いて下さい。

こんな危険な依頼ですが、白紙は描写しません。
スキルの設定ミスもどうしようもありません。
そのようなことがないようにだけ、お願いいたします。

それではどうか、貴方らしい闘いを。

関連NPC

  • 泥中の蓮
    イズン・コスロヴァ(kz0144
    人間(クリムゾンウェスト)|28才|女性|猟撃士(イェーガー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/12/17 14:49

参加者一覧

  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • オールラウンドプレイヤー
    柊 真司(ka0705
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 《死》の未来を覆す奏者
    白金 綾瀬(ka0774
    人間(蒼)|18才|女性|猟撃士
  • 自爆王
    紫月・海斗(ka0788
    人間(蒼)|30才|男性|機導師
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラント(ka2531
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 電脳シューター
    榎本 かなえ(ka3567
    人間(蒼)|13才|女性|機導師
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師
  • ―絶対零度―
    テノール(ka5676
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/12/06 12:28:38
アイコン 相談卓
テノール(ka5676
人間(クリムゾンウェスト)|26才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2015/12/09 06:33:37
アイコン 質問卓
テノール(ka5676
人間(クリムゾンウェスト)|26才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2015/12/08 15:42:30