ゲスト
(ka0000)
【闇光】水の流れと身のゆくえ
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/12/23 09:00
- リプレイ完成予定
- 2016/01/01 09:00
オープニング
戦火はバルトアンデルス、そして城内まで及んでいた。どこからともなく現れる歪虚からの襲撃にあちこちから剣戟や銃声が聞こえてくる中、第一師団副師団長シグルドは城内にある大食堂に向かう通路をまるで散歩するかのようにゆるゆると歩いていた。武装していなければ彼だけ世界が違うのではないだろうかと思わせるような。そんな穏やかさすらあった。
「シグルド様。騎士議会の特級議題が緊急上程されたと! 議会場に行かなくていいんですか!!?」
兵長がその姿をようやく見つけて慌ただしくシグルドに詰め寄った。
「はい、兵長くん。ここで問題です。特級議題とは何か、述べなさい」
「は? え、ええと。国家を揺るがす問題において騎士皇自らが議会に上程される帝国における最高議題であります。これが開催された時は騎士皇、代理人、帝国師団長、副師団長全員が出席しなければならず……」
突然投げかけられた質問に対して一瞬ぎょっとした兵長であったがすぐさまそれに答えた。
「正解だ。ところがノアーラ・クンタウに第二のシュターク、第六副のイズン。ピースホライズンに第三のカミラと第五のロルフ。ベルトルードに第四のユーディト。ぜーんぶ歪虚の襲撃にかかりきりだ。カッテもロッソにいるんだろう? どうせ不成立さ。強行開催したとしても、あれじゃねぇ。オズワルドはもうろくしたんじゃないかと心配するね」
くくく。とシグルドは面白くてたまらないという笑い声をかみ殺してそのまま厨房と食材庫の間を進んでいく。
「こ、ここで何を?」
シグルドは兵長の問いかけにスマイルで答えると、愛用の長巻を下ろすとやおら地面に突き立てた。
何もない地面はその衝撃で吹き飛び、ぽっかりと暗闇が姿を現すと、横にいた兵長は唖然とした。
「つ、通路? し、知らなかった……これは一体……?」
「バルトアンデルスで『どこからか敵が現れた』なんていう場合、だいたいここを疑うべきだね」
閉ざされた壁を失って勢いよく吹き出てくるのは下水の臭いと、負のマテリアルの寒々しいオーラだ。
兵長はすぐにそれがどこにつながっているか気が付いた。帝都の地下全体を縦横無尽に走る下水道だ。帝都が誇るインフラの一つであり、毎年春に雑魔退治を行うほどにマテリアルが乱れた場所。
「ハンターが帝都内の歪虚退治、民の避難誘導に当たっている。僕はその元栓を閉めに行ってくる。ハンターズソサエティには連絡しているからその下水道の別入り口との連結部で合流する予定だ」
突然の事ばかりで声も出ない兵長にシグルドはようやく笑顔を消して振り返ると、ようやく副師団長らしい凛とした声を発した。
「兵長。守備隊の任務を任せる。市民の保護に努めよ。それから……」
一呼吸おいてシグルドは軽くウィンクをした。
「万が一オズワルドが僕を探していたら、うまく言っといてくれたまえ」
●
「生命 還流セヨ」
滝のような激流の音の間から謳うような女の声が聞こえた。
視界は悪い。陽光も届かぬ下水道は薄暗く。更に無尽の雑魔がその視界を阻んでいた。蟲のような雑魔、原生生物のような不定形。下水道に浮かぶゴミを吸い上げ、また分裂して増える。それらき全て、泥の様な腐汁の水を母なる海として出てては、また視界を阻んでいく。
その腐った水は引力に逆らうように渦巻き、その僅かな隙間から目も醒めるような豊かな金髪の女の姿が見えた。
女は人間ではなかった。形はそうであるが、肌は青黒く、毛皮と布の原始的な服の合間から見える身体のいくつもから腐った肉が見えた。片目は目蓋もなくなり眼球を閉じられもしない。
そんな女が水面に坐し、地面に突きたてた槍に祈りの言葉を捧げると、また一層水の動きは激しくなった。
歪んでるとはいえ汚水の中に含まれるマテリアルが、詩に応じてキラキラと浮き上がり、暗黒の身体へと吸い込まれていく。そして残るは負のマテリアルばかり。
歪みはさらに歪み。また雑魔が生まれる。女はマテリアルを吸い上げ腐った身を癒す。いや、より深い闇へと変じていく。
シグルドとハンターは雑魔を片っ端から薙ぎ倒し、瘴気の濃い方向へと突き進んだ結果、たどり着いたのがそこであった。
「命は 流レ 川の流レ イズレは大海に注ぎ 全も個モ ナク」
「へぇ。最近の歪虚はずいぶん哲学的じゃあないか。ドブの中での思索ってのはそんなに真理に近づけるものかい? ええと、元辺境の巫女スィアリ、だっけ」
シグルドの言葉にスィアリは水の胎動。マテリアルをその虚無に満ちた身体に吸い込むのを止めて、ゆらりと立ち上がった。
その瞳に光はない。濁り腐っており。感情すらも読めない。
「力を 利便ダケを 求め 溜まり 腐ル水。ソレ文明の愚。無知の毒ヨ 注げ 大海に。 アルベキ所に 還れ」
どす黒い。普段の下水道の水でもこんなにはならない水がシグルドの足元に届きはじめる。
「つくづく名言だね。でもね、帝国ってのはひたすらオイシイところだけをかき集めて育ってきたんだ。ははは、君たちよりずっと強さだけを求める暴食的な国なんだよ」
それでもシグルドは緊張すらしなかった。むしろケラケラと嘲笑し、崩れ落ちたスィアリが無念と憎悪に歪むのを楽しんでみているくらいだった。
「押し流して クレル 水に磨かれ、浄化 セヨ!」
「それは同意見だ。悪いけど、ここに来るまでにも力はそれなりに使ったし、上の面倒も僕は見なきゃならなくてね。さっさと終わらせたいと思ってたところだ」
二人の、そして雑魔たちの湧き出る水路に流れる水が徐々に増えていく。
「帝国では不要なものはね。この下水道に落とすんだ。そして溜まった『ゴミ』は……水の力で押し流してもらうのさ」
シグルドの背後には水門がある。帝都バルトアンデルスを南北に分かつ河の水を引き込み止める水門だ。
その企みに気付いたのか、それとも戦いのタイミングを見出したのか、雑魔とスィアリは鉄砲水の様に襲い掛かって来た。
「シグルド様。騎士議会の特級議題が緊急上程されたと! 議会場に行かなくていいんですか!!?」
兵長がその姿をようやく見つけて慌ただしくシグルドに詰め寄った。
「はい、兵長くん。ここで問題です。特級議題とは何か、述べなさい」
「は? え、ええと。国家を揺るがす問題において騎士皇自らが議会に上程される帝国における最高議題であります。これが開催された時は騎士皇、代理人、帝国師団長、副師団長全員が出席しなければならず……」
突然投げかけられた質問に対して一瞬ぎょっとした兵長であったがすぐさまそれに答えた。
「正解だ。ところがノアーラ・クンタウに第二のシュターク、第六副のイズン。ピースホライズンに第三のカミラと第五のロルフ。ベルトルードに第四のユーディト。ぜーんぶ歪虚の襲撃にかかりきりだ。カッテもロッソにいるんだろう? どうせ不成立さ。強行開催したとしても、あれじゃねぇ。オズワルドはもうろくしたんじゃないかと心配するね」
くくく。とシグルドは面白くてたまらないという笑い声をかみ殺してそのまま厨房と食材庫の間を進んでいく。
「こ、ここで何を?」
シグルドは兵長の問いかけにスマイルで答えると、愛用の長巻を下ろすとやおら地面に突き立てた。
何もない地面はその衝撃で吹き飛び、ぽっかりと暗闇が姿を現すと、横にいた兵長は唖然とした。
「つ、通路? し、知らなかった……これは一体……?」
「バルトアンデルスで『どこからか敵が現れた』なんていう場合、だいたいここを疑うべきだね」
閉ざされた壁を失って勢いよく吹き出てくるのは下水の臭いと、負のマテリアルの寒々しいオーラだ。
兵長はすぐにそれがどこにつながっているか気が付いた。帝都の地下全体を縦横無尽に走る下水道だ。帝都が誇るインフラの一つであり、毎年春に雑魔退治を行うほどにマテリアルが乱れた場所。
「ハンターが帝都内の歪虚退治、民の避難誘導に当たっている。僕はその元栓を閉めに行ってくる。ハンターズソサエティには連絡しているからその下水道の別入り口との連結部で合流する予定だ」
突然の事ばかりで声も出ない兵長にシグルドはようやく笑顔を消して振り返ると、ようやく副師団長らしい凛とした声を発した。
「兵長。守備隊の任務を任せる。市民の保護に努めよ。それから……」
一呼吸おいてシグルドは軽くウィンクをした。
「万が一オズワルドが僕を探していたら、うまく言っといてくれたまえ」
●
「生命 還流セヨ」
滝のような激流の音の間から謳うような女の声が聞こえた。
視界は悪い。陽光も届かぬ下水道は薄暗く。更に無尽の雑魔がその視界を阻んでいた。蟲のような雑魔、原生生物のような不定形。下水道に浮かぶゴミを吸い上げ、また分裂して増える。それらき全て、泥の様な腐汁の水を母なる海として出てては、また視界を阻んでいく。
その腐った水は引力に逆らうように渦巻き、その僅かな隙間から目も醒めるような豊かな金髪の女の姿が見えた。
女は人間ではなかった。形はそうであるが、肌は青黒く、毛皮と布の原始的な服の合間から見える身体のいくつもから腐った肉が見えた。片目は目蓋もなくなり眼球を閉じられもしない。
そんな女が水面に坐し、地面に突きたてた槍に祈りの言葉を捧げると、また一層水の動きは激しくなった。
歪んでるとはいえ汚水の中に含まれるマテリアルが、詩に応じてキラキラと浮き上がり、暗黒の身体へと吸い込まれていく。そして残るは負のマテリアルばかり。
歪みはさらに歪み。また雑魔が生まれる。女はマテリアルを吸い上げ腐った身を癒す。いや、より深い闇へと変じていく。
シグルドとハンターは雑魔を片っ端から薙ぎ倒し、瘴気の濃い方向へと突き進んだ結果、たどり着いたのがそこであった。
「命は 流レ 川の流レ イズレは大海に注ぎ 全も個モ ナク」
「へぇ。最近の歪虚はずいぶん哲学的じゃあないか。ドブの中での思索ってのはそんなに真理に近づけるものかい? ええと、元辺境の巫女スィアリ、だっけ」
シグルドの言葉にスィアリは水の胎動。マテリアルをその虚無に満ちた身体に吸い込むのを止めて、ゆらりと立ち上がった。
その瞳に光はない。濁り腐っており。感情すらも読めない。
「力を 利便ダケを 求め 溜まり 腐ル水。ソレ文明の愚。無知の毒ヨ 注げ 大海に。 アルベキ所に 還れ」
どす黒い。普段の下水道の水でもこんなにはならない水がシグルドの足元に届きはじめる。
「つくづく名言だね。でもね、帝国ってのはひたすらオイシイところだけをかき集めて育ってきたんだ。ははは、君たちよりずっと強さだけを求める暴食的な国なんだよ」
それでもシグルドは緊張すらしなかった。むしろケラケラと嘲笑し、崩れ落ちたスィアリが無念と憎悪に歪むのを楽しんでみているくらいだった。
「押し流して クレル 水に磨かれ、浄化 セヨ!」
「それは同意見だ。悪いけど、ここに来るまでにも力はそれなりに使ったし、上の面倒も僕は見なきゃならなくてね。さっさと終わらせたいと思ってたところだ」
二人の、そして雑魔たちの湧き出る水路に流れる水が徐々に増えていく。
「帝国では不要なものはね。この下水道に落とすんだ。そして溜まった『ゴミ』は……水の力で押し流してもらうのさ」
シグルドの背後には水門がある。帝都バルトアンデルスを南北に分かつ河の水を引き込み止める水門だ。
その企みに気付いたのか、それとも戦いのタイミングを見出したのか、雑魔とスィアリは鉄砲水の様に襲い掛かって来た。
解説
帝都バルトアンデルスに雑魔が出現しました。その原因の一つとして下水道に侵入したスィアリであるとシグルドが確認しました。
雑魔の発生が増進しすぎているため、まともに交戦していると時間も労力も多大に消耗すると判断し、スィアリ及び発生した雑魔を押し流す作戦に出ます。
参加者はスィアリと雑魔の進撃を食い止め、また水門を開く手伝いをお願いします。
もちろん、自らが脱出することも忘れてはなりません。
●水門
開ききるまで10ラウンド、ハンドルを回し続ける。
もしくは物理的に破壊することで水が流れ出します。破壊する場合、防御点30、生命力1000として扱います。
水位が上がると同時に行動がしにくくなります。雑魔は4ラウンド、もしくは壁生命力4割減以降、数が半減します。スィアリは8ラウンド、もしくは壁生命力8割減になると行動不可。水門全開(全壊)で押し流されます。ハンターは6割以上で流される可能性がでます。流されは俊敏で判定します。
脱出口は水門横の通路から走り地上部へ脱出してください。
●敵戦力
雑魔 初期100体
様々な姿の雑魔が出現します。毎ターン出現します。たいてい蟲や原生生物(アメーバ)の形をしています。
だいたい覚醒して殴れば死ぬ程度の弱さです。
毎ラウンド湧き出てきます。
スィアリ
歪虚
辺境の巫女の姿をしたゾンビです。槍と弓を装備しています。雑魔の群れの最後尾にいます。
特殊能力
生命還流
周辺のマテリアルを吸収します。覚醒者の場合は抵抗判定に失敗すると嘔吐や目眩などを起こし行動に支障が発生します。
天譴の弓
弓から矢を放ち長距離の範囲攻撃をします。が、場所が場所なため今回は使用しません。
●制限事項
ここにたどり着くまでにスキルを何回か使用しているとしてセットしたスキルは全て半減した状態で始まります。
雑魔の発生が増進しすぎているため、まともに交戦していると時間も労力も多大に消耗すると判断し、スィアリ及び発生した雑魔を押し流す作戦に出ます。
参加者はスィアリと雑魔の進撃を食い止め、また水門を開く手伝いをお願いします。
もちろん、自らが脱出することも忘れてはなりません。
●水門
開ききるまで10ラウンド、ハンドルを回し続ける。
もしくは物理的に破壊することで水が流れ出します。破壊する場合、防御点30、生命力1000として扱います。
水位が上がると同時に行動がしにくくなります。雑魔は4ラウンド、もしくは壁生命力4割減以降、数が半減します。スィアリは8ラウンド、もしくは壁生命力8割減になると行動不可。水門全開(全壊)で押し流されます。ハンターは6割以上で流される可能性がでます。流されは俊敏で判定します。
脱出口は水門横の通路から走り地上部へ脱出してください。
●敵戦力
雑魔 初期100体
様々な姿の雑魔が出現します。毎ターン出現します。たいてい蟲や原生生物(アメーバ)の形をしています。
だいたい覚醒して殴れば死ぬ程度の弱さです。
毎ラウンド湧き出てきます。
スィアリ
歪虚
辺境の巫女の姿をしたゾンビです。槍と弓を装備しています。雑魔の群れの最後尾にいます。
特殊能力
生命還流
周辺のマテリアルを吸収します。覚醒者の場合は抵抗判定に失敗すると嘔吐や目眩などを起こし行動に支障が発生します。
天譴の弓
弓から矢を放ち長距離の範囲攻撃をします。が、場所が場所なため今回は使用しません。
●制限事項
ここにたどり着くまでにスキルを何回か使用しているとしてセットしたスキルは全て半減した状態で始まります。
マスターより
水に流せ。っていうのは本来、禊ぎを意味する言葉です。穢れを祓う意味ですね。
それがイザコザを収める意味になりました。
スィアリは歪虚。穢れそのものですから、それを禊ごうという意味と
そして水洗トイレのように押し流す今回の目的と被せています。
書いてるとどっちが悪役かわからなくなりました。
それがイザコザを収める意味になりました。
スィアリは歪虚。穢れそのものですから、それを禊ごうという意味と
そして水洗トイレのように押し流す今回の目的と被せています。
書いてるとどっちが悪役かわからなくなりました。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/12/27 22:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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禊あるいは… アーシュラ・クリオール(ka0226) 人間(リアルブルー)|22才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/12/23 07:57:35 |
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![]() |
教えて!シグルドさん ジュード・エアハート(ka0410) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/12/23 08:22:54 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/12/19 02:13:40 |