• 戦闘

未来に刻む勝利を 第3話

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
普通
参加費
1,300
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/03/04 07:30
リプレイ完成予定
2016/03/13 07:30

オープニング

●龍尾城の一室
 立花院 紫草 (kz0126)が報告書を読み終えて、静かにテーブルの上に置いた。
「やはり、十鳥城の城主、矢嗚文は堕落者となっていたのですね」
「知っておられたのですか?」
 紫草の言葉に疑問で返したのは、紡伎 希(kz0174)だった。彼女が報告書を持って来たのだ。
「あくまでも噂として……ですね。先代か先々代かの時代の話しですし」
「最終的な目的は変わらないという事でよろしいのでしょうか」
「えぇ……あくまでも、住民による蜂起での解放です」
 獄炎を倒したと言っても、歪虚の勢力域は残ったままだ。
 十鳥城周辺も同様であり兵力を差し向けるにはリスクが大きい。
「長江西に構築している拠点ですが、進捗は順調です」
 カカオ豆をめぐる一連の制圧戦で長江西一帯を支配下に置き、新しい拠点を設けている。
 希自ら現地に足を運び、状況を確認していた。
「ここで兵力を消耗するわけにもいきませんからね」
「……私には分かりません。なぜ、苦しんでいる人々が居るのに、すぐに助けに行かないのか……」
 俯いたまま希がそんな言葉を発した。
 連邦国の兵力を持ってすれば、十鳥城を包囲する事は可能なはずだ。
 抜け道の存在も把握しているので堅固な城門を苦せずして開けられる。攻城戦も速やかに終わらせることができるだろう。
「希殿の気持ちはよく分かります。今、この状況だからこそ、慎重に動く必要があるのです」
「はい……」
 力無く返事をした希の肩を紫草は軽く触れた。
「今は信じるのです。住民を、そして、戦う仲間達を」

●十鳥城天守閣
 禍々しい雰囲気を発する戦甲冑に手を伸ばす好青年。
 遥か遠い記憶となってしまった当時の事を思い出していた。
 次々と倒されていく将兵……城を守る為に立ち上がった民兵達の強い眼差し。
「……我はこの時を待っていたぞ」
 先日、ハンター達と遭遇した。
 獄炎を打ち破った西方の戦士達。絶望的と思っていた状況が一変したのだ。
「矢嗚文様……」
 その様に呼び掛けられて城主は振り返った。そこには歪虚が居た。
 矢嗚文が生み出した忠実なる僕である。
「城下町に潜入した者共の数を把握致しました。それと、災狐配下の者共が再び城内に潜入している様子です」
「しつこい獣共だ」
「いかがなさいましょうか?」
 その問いに矢嗚文は考えるように一瞬、間を開けた。
「……せっかくだ。ハンター達の実力を計れるな」
 これまで外部から贄役を拉致してきた。だが、それらは矢嗚文は悉く倒してきた。
 西方からやってきたであろうハンターと呼ばれる存在が如何ほどの実力を持っているのか確認したくなったのだ。
 矢嗚文は素早く書状に筆を走らせると、それを部下の歪虚に渡した。
「これを、代官に届けろ」

●廃墟街
 犬によく似た姿の歪虚が数体集まっていた。
 その中でもひと際大きい歪虚がいる。
「災狐様はお怒りである。早くしないとこの町ごと焼かれるワン」
「でも、どうするんだワン? 矢嗚文は強いだワン」
 恐らく、この場に集まった歪虚が束になっても敵わないだろう。
 過去に何体もの歪虚が挑み、敗れ去ったのを知っているだけに、うかつに手――この場合、足――がでないのだろう。
「代官と呼ばれる存在は矢嗚文の中でも特別と聞いた事があるワン。そいつを誘拐して人質にするのだワン」
「なるほどだワン。それで隙を突くワン」
「うちは、ここで待ち構えているワン。矢嗚文が姿を現したら、おめー達が、矢嗚文を背後から殺るワン」
 その作戦に歪虚達はワンワンと声をあげた。
 これほどまでに完璧な作戦であれば、矢嗚文を倒せるはず。
「それじゃ、さっそく代官とやらを捉えて来るワン」
 数体の歪虚が走り出て行った。

●闇市場
「可笑しい……ハンター達の話しによると『代官』と呼ばれる存在がいると聞いたのだが……」
 大轟寺蒼人が闇市場で茫然としていた。
 代官に接触し、幕府からの書状を渡そうと思っていたからだ。
「誰かしらに声をかければ見つかるはずと聞いたけど……」
 眼鏡の位置を直して呟く。
 いつもはどこかにいる事を誰かしらが目撃しているというのに、今日という日に限って誰も見ていないという。
「こりゃ、参ったな……」
 途方に暮れている時だ。
 路地の奥に野良犬を見つけた。
「なんだ。どこにでも、野良犬っているもんなんだな」
「ワンワン!」
 蒼人の呼び掛けに敵対心剥き出しで吠えて応える犬。
「やけに元気がいいな……ん?」
 町の住民達は誰もが疲れ切っているのに、この犬は威勢が良い。やせ細っていても可笑しくないはずなのに。
 その時になって、蒼人は気がついた。
 ハンター達の報告書の中に犬の姿をした歪虚がいた事を。それらの歪虚は『災狐』という存在の配下であり、この町によろしくない事を行おうとしている。
 機会があれば、潰しておこうと思っていた。必ず後ほど障害になるはずだからだ。
「もしかして、この犬は……」
「ワン!」
 ビクッと一瞬、身体を振るわせ、野良犬は路地の中へと消え去った。
「逃がすか!」
 蒼人は逃げ出した犬を追いかけるように路地裏へと駆け込んで行ったのであった。

解説

●目的
歪虚の討伐

●内容
城下町内に潜んでいる災狐配下の歪虚を見つけ出し討伐する

●状況
代官:酔っ払いの髭面男。行方不明状態。
蒼人:城下町内で犬を追いかけている。ハンター達に発見されたら同行します。
犬歪虚:代官や代官に接触しようとする存在を探して、拉致しようと企んでいる。

●探索
便宜上、ポイント制とします。
判定には、ステータスの『器用』と『直感』を基にします。
有効と判断したプレイングやスキル等は判定の加算とします。
各PCが順番で判定に成功する毎に、1ポイント得られます。
PT全体で探索ポイントが30点に達した時点で、『代官』を発見できます。
『蒼人』の発見には、更に10点を得る必要があります。

判定に失敗した回数が10回に達した場合、犬歪虚に見つかってしまいます。
その場合、犬歪虚は警戒態勢を取り、隠れ屋で待ち構えています。

代官を無事に保護したら、犬歪虚の隠れ屋の場所を教えてくれます。
なお、蒼人が迷子になる前に、ハンター達には蒼人から『災狐』配下の犬歪虚は見かけたら殲滅するようにと依頼が出ています。

●敵戦力
犬歪虚(大)1体
人の背丈を越える巨大な犬の姿をした歪虚。

犬歪虚(並)5体
中型犬程の大きさをした犬の姿をした歪虚。
※警戒態勢になった場合、数が10体となります※

いずれも噛みつきやひっかき、口から火弾を吐きます。
また、負のマテリアルを含んだ特殊な叫びを行う場合があります(行動阻害・強度1)。

●隠れ屋
使われていない倉庫。
縦横約20メートル、高さ5メートル程の広さ。階層はない。
出入り口は一か所のみ。壁には小さい格子窓がいくつか取り付けられている。

マスターより

●ご挨拶
皆さん、お元気ですか? 赤山です。おかげさまでシリーズシナリオは折り返し地点へと到達しました。
ワンワンは可愛いですが、歪虚なので容赦なく倒しちゃって下さい。

●攻略のヒント
警戒態勢を取られると敵戦力が増えますのでご注意下さい。
蒼人が未発見でも今後のシナリオ展開には影響はしませんが、今依頼で、どう扱うかはハッキリしておいた方がいいかもしれません。

関連NPC

  • 新進気鋭の受付嬢
    紡伎 希(kz0174
    人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|機導師(アルケミスト)
  • エトファリカ征夷大将軍
    立花院 紫草(kz0126
    人間(クリムゾンウェスト)|34才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/03/06 16:09

参加者一覧

  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhran(ka0724
    エルフ|10才|女性|疾影士
  • アルテミスの調べ
    メトロノーム・ソングライト(ka1267
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 春霞桜花
    ミィリア(ka2689
    ドワーフ|12才|女性|闘狩人
  • おっとり紳士
    シルディ(ka2939
    エルフ|22才|男性|疾影士
  • 命を刃に
    レオン・イスルギ(ka3168
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 符術剣士
    シェルミア・クリスティア(ka5955
    人間(蒼)|18才|女性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/29 20:07:23
アイコン 相談:犬の躾とヒゲ確保
星輝 Amhran(ka0724
エルフ|10才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/03/03 17:54:08