ゲスト
(ka0000)
なぐさみに奏でる音の、かくをかしきことよ
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/28 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/04/06 07:30
オープニング
「何故、帝国はヴルツァライヒという野犬を放っておくのだ!」
葬儀から帰って来た父は、喪服の背広を椅子に投げつけるようにして脱ぎ捨てた。あまりの剣幕に誰もが口を聞けずにその様子を見守っていた。
「しばらく外出は厳禁だ。私達の事も暗殺者が狙っている。前々から噂にはなっておったが、油断できん状態だ」
「でもお父さん。その悪い人、倒されたんでしょ?」
「暗殺者は一人じゃないんだ。いつ新手の暗殺者が襲い掛かって来るかわかったもんじゃない。誰が、どこで、私達に刃を向けるかわからんのだ」
父親はそう言うと、苛立たし気に扉の向こうに消えて行ったが娘はその威圧感にどうにも体を縛られたような気でいた。
「お嬢さん、悪いことは言いません。反政府組織ヴルツァライヒの活動が取り締まられて活動が低下するまでちょっとの辛抱ですよ」
そんな娘を見かねてか、長年、この家の護衛をしてきた男がにこりと微笑みかけて慰めてくれた。
「はぁーあ、退屈……」
窓の外から日々温かくなりゆくバルトアンデルスの空を眺めて、娘はため息をつくばかりだった。
桃の便りが届く頃合い。風は暖かさを増しいよいよ春の到来を感じさせる。そんな空気を吸いこめば、心が自然と躍りだす。
「外にでたーい。出たーい。ねぇ。どうにかならないかな」
娘は窓の桟に顎をのせたまま、ずるずると身体をだらしなく下げて、思いっきりぼやいた。
「どうにもなりません。ご主人様の言いつけですから」
娘のぼやきに答えたのは、彼女の後ろ。遊び部屋にて、まるでお人形のようにドレスと化粧をお仕着せられた付き人であった。
娘の欲求のままに着せ替え人形替わりになって遊ばれていた付き人は静かにそう言うと、オモチャで散らかった部屋を片付ける。
「んもう。朴念仁っ!」
娘はべーっと舌を出して苛立ちを顕にした。
父が外に出てはいけない代わりにと遊び相手を探して付けてくれたのはいいのだが、この付き人はたいそう生真面目というか感情の起伏が少なかった。どんな無理難題でもとりあえず取り組むという姿勢は好感ではあったが、何しろ話し相手にはとかく不適合な人物であった。
「そもそも貴女がこう……もう少し賑やかしてくれるなら、こんな風に言わなかったと思うわ」
「申し訳ありません」
あーもう。それが問題なんだってば。話が続かない。
言い訳どころか、口答えも、代替案も出さないこの付き人の真面目すぎるダメ人間感に娘はため息をついた。
「なんか楽しいとか、思ったりすることないの?」
「ありません」
「小さい時からずっとそうなの?」
「はい、厳しく育てられましたので」
「楽しいこととか、見つけたりしたくない?」
「こうしてお仕事できるだけで十分です」
矢継ぎ早の娘の質問にも、付き人は無情に切って落とし続ける。その様子は矢の雨を弾き返す剣の勇者のようだ。
隙がなさすぎる。娘はすっかり失望すると、窓を開けて叫んだ。
「こんな生活いやーーーーっ!!!」
「お嬢様、いけません。外に誰がいるかわかりません」
付き人は即座に娘を抱きかかえると窓から引きずりおろした。
と、その瞬間、一瞬だけ付き人の動きが止まった。
不思議に思って娘も抵抗するのを止めた瞬間、綺麗な音楽の音色が春風に乗って微かに聞こえてきた。遠い遠いところからだが、その音色はとても優しく胸を撫でるのを娘は実感した。
なんの曲かはわからない。だが、それを調べるとかどうこうするより、綺麗な音色に耳を傾けること方が大切だった。
娘も付き人もしばらく、窓辺から空に顔向け、音色に聞き入っていた。
「あんな素敵な音があるんですね」
ごく自然に出た言葉に娘ははっとした。
この心が鉄でできているような付き人も聴き惚れていた。
「ね、ね。今の素敵だと思った? 本当に?」
「あ、いえ、その。……はい」
ずっと奥にしまっていた我が出てきたのだろう。
勤勉だけど血まで冷たい人間だという自分の評価が娘の中で少し変わる。この子は本当に楽しい事を知らないだけなのだ。
「ふっふっふ。ねえねえ、今度あの人捕まえて、お家で音楽会してもらいましょうよ。貴女も一緒に聴きましょ」
「素性の知れない人をこの家に招き入れるのはご主人様は反対されます」
またつっけんどんな顔になってそう言う付き人だったが、娘はもう負けてはいなかった。
すかさずその鼻先に指を突き付けると、顔をゆっくり近づける。
「素性を確認すればいいでしょ? ヴルツァライヒかなにかしらないけど、その対策もするっ。私はここから出られないから、それは貴女のお仕事。いいわねっ」
付き人はしばらく固まっていたが、大人しく「はい」と答えたのであった。
そして、付き人が見つけて来たのがあなた達であった。
葬儀から帰って来た父は、喪服の背広を椅子に投げつけるようにして脱ぎ捨てた。あまりの剣幕に誰もが口を聞けずにその様子を見守っていた。
「しばらく外出は厳禁だ。私達の事も暗殺者が狙っている。前々から噂にはなっておったが、油断できん状態だ」
「でもお父さん。その悪い人、倒されたんでしょ?」
「暗殺者は一人じゃないんだ。いつ新手の暗殺者が襲い掛かって来るかわかったもんじゃない。誰が、どこで、私達に刃を向けるかわからんのだ」
父親はそう言うと、苛立たし気に扉の向こうに消えて行ったが娘はその威圧感にどうにも体を縛られたような気でいた。
「お嬢さん、悪いことは言いません。反政府組織ヴルツァライヒの活動が取り締まられて活動が低下するまでちょっとの辛抱ですよ」
そんな娘を見かねてか、長年、この家の護衛をしてきた男がにこりと微笑みかけて慰めてくれた。
「はぁーあ、退屈……」
窓の外から日々温かくなりゆくバルトアンデルスの空を眺めて、娘はため息をつくばかりだった。
桃の便りが届く頃合い。風は暖かさを増しいよいよ春の到来を感じさせる。そんな空気を吸いこめば、心が自然と躍りだす。
「外にでたーい。出たーい。ねぇ。どうにかならないかな」
娘は窓の桟に顎をのせたまま、ずるずると身体をだらしなく下げて、思いっきりぼやいた。
「どうにもなりません。ご主人様の言いつけですから」
娘のぼやきに答えたのは、彼女の後ろ。遊び部屋にて、まるでお人形のようにドレスと化粧をお仕着せられた付き人であった。
娘の欲求のままに着せ替え人形替わりになって遊ばれていた付き人は静かにそう言うと、オモチャで散らかった部屋を片付ける。
「んもう。朴念仁っ!」
娘はべーっと舌を出して苛立ちを顕にした。
父が外に出てはいけない代わりにと遊び相手を探して付けてくれたのはいいのだが、この付き人はたいそう生真面目というか感情の起伏が少なかった。どんな無理難題でもとりあえず取り組むという姿勢は好感ではあったが、何しろ話し相手にはとかく不適合な人物であった。
「そもそも貴女がこう……もう少し賑やかしてくれるなら、こんな風に言わなかったと思うわ」
「申し訳ありません」
あーもう。それが問題なんだってば。話が続かない。
言い訳どころか、口答えも、代替案も出さないこの付き人の真面目すぎるダメ人間感に娘はため息をついた。
「なんか楽しいとか、思ったりすることないの?」
「ありません」
「小さい時からずっとそうなの?」
「はい、厳しく育てられましたので」
「楽しいこととか、見つけたりしたくない?」
「こうしてお仕事できるだけで十分です」
矢継ぎ早の娘の質問にも、付き人は無情に切って落とし続ける。その様子は矢の雨を弾き返す剣の勇者のようだ。
隙がなさすぎる。娘はすっかり失望すると、窓を開けて叫んだ。
「こんな生活いやーーーーっ!!!」
「お嬢様、いけません。外に誰がいるかわかりません」
付き人は即座に娘を抱きかかえると窓から引きずりおろした。
と、その瞬間、一瞬だけ付き人の動きが止まった。
不思議に思って娘も抵抗するのを止めた瞬間、綺麗な音楽の音色が春風に乗って微かに聞こえてきた。遠い遠いところからだが、その音色はとても優しく胸を撫でるのを娘は実感した。
なんの曲かはわからない。だが、それを調べるとかどうこうするより、綺麗な音色に耳を傾けること方が大切だった。
娘も付き人もしばらく、窓辺から空に顔向け、音色に聞き入っていた。
「あんな素敵な音があるんですね」
ごく自然に出た言葉に娘ははっとした。
この心が鉄でできているような付き人も聴き惚れていた。
「ね、ね。今の素敵だと思った? 本当に?」
「あ、いえ、その。……はい」
ずっと奥にしまっていた我が出てきたのだろう。
勤勉だけど血まで冷たい人間だという自分の評価が娘の中で少し変わる。この子は本当に楽しい事を知らないだけなのだ。
「ふっふっふ。ねえねえ、今度あの人捕まえて、お家で音楽会してもらいましょうよ。貴女も一緒に聴きましょ」
「素性の知れない人をこの家に招き入れるのはご主人様は反対されます」
またつっけんどんな顔になってそう言う付き人だったが、娘はもう負けてはいなかった。
すかさずその鼻先に指を突き付けると、顔をゆっくり近づける。
「素性を確認すればいいでしょ? ヴルツァライヒかなにかしらないけど、その対策もするっ。私はここから出られないから、それは貴女のお仕事。いいわねっ」
付き人はしばらく固まっていたが、大人しく「はい」と答えたのであった。
そして、付き人が見つけて来たのがあなた達であった。
解説
帝国のとあるお屋敷で音楽会を開催します。
ハンターは楽団員となって音楽で屋敷の人達を楽しませてあげてください。
●登場人物(括弧内は名前)
娘(タチアナ) 10代前半 明るい子です。
付き人(テミス) 娘と同じくらい 朴念仁です。
娘の父(オード) 40才くらい 怖い人です。特に友人が暗殺されてからピリピリしています。
護衛(アル) 50才くらい 父と娘を昔から護衛してきた人です。真面目ですが、付き人程朴念仁ではありません。
使用人その他 いっぱいいますが大体30~70才で、娘の遊び相手になれる人はいません。
●その他
場所は屋敷内限定ですが、時間や舞台、曲目やその他催し事は一切お任せです。
素性が云々といわれていますが、皆様はちゃんとハンターズソサエティによって保証されていますので、気にする必要はありません。
プレイングの白紙だけはお気を付けください。何度でも書き直せますので参加できたらとりあえずメモ代わりにやりたいことを書くといいですよ。
ハンターは楽団員となって音楽で屋敷の人達を楽しませてあげてください。
●登場人物(括弧内は名前)
娘(タチアナ) 10代前半 明るい子です。
付き人(テミス) 娘と同じくらい 朴念仁です。
娘の父(オード) 40才くらい 怖い人です。特に友人が暗殺されてからピリピリしています。
護衛(アル) 50才くらい 父と娘を昔から護衛してきた人です。真面目ですが、付き人程朴念仁ではありません。
使用人その他 いっぱいいますが大体30~70才で、娘の遊び相手になれる人はいません。
●その他
場所は屋敷内限定ですが、時間や舞台、曲目やその他催し事は一切お任せです。
素性が云々といわれていますが、皆様はちゃんとハンターズソサエティによって保証されていますので、気にする必要はありません。
プレイングの白紙だけはお気を付けください。何度でも書き直せますので参加できたらとりあえずメモ代わりにやりたいことを書くといいですよ。
マスターより
固有名は登場回数が多くなると考えた人物にのみ使用していますので、今回は短めですよと表現するためにオープニングではお名前を控えさせていただきました。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/04/06 00:57
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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事前打ち合わせ ルナ・レンフィールド(ka1565) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/03/27 23:21:10 |
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楽団の命名卓(多分) エステル・クレティエ(ka3783) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/03/27 19:13:31 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/24 07:22:36 |