ゲスト
(ka0000)
【審判】騎士団長に捧げる行進曲
マスター:坂上テンゼン

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/04/01 12:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/10 12:00
オープニング
王都イルダーナ、夜。
エリオット・ヴァレンタイン(kz0025)が職務の合間に外に出たときのことだった。
「エリオット! 私と勝負しろ!」
ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061)が勝負を挑んできた。
「ヘザーか」
いつもの事だった。このヘザーは『王女殿下の剣』であるエリオットの立場にライバル心を燃やしており、日頃からこうして勝負を挑んでくるのだ。
もっとも最近のエリオットは、例の、巡礼者襲撃から始まった一連の事件への対応のため、ヘザーに捕まる機会はなかったのだが。
「丁度良かった、お前にも話しておきたい事が……」
「問答無用! 覚醒しろ、そして覚悟しろエリオット!」
「…………」
エリオットは交渉が通じない事を悟り、覚醒状態に入った。
「覚醒したぞ……」
「剣を抜け!」
「お前も素手だろう……」
「私はこれがスタイルだからいいんだ!」
「…………」
饒舌な人間なら『お前ごときやるのに剣はいらない』又は『女性に向ける剣は持たない』あるいは『アホか』とかいくらでも言いようがあるところだったが、生憎このエリオットは朴念仁であった。
なので拳で語った。
数十秒後……
路面に転がるヘザー・スクロヴェーニの姿があった。
「何故だ! 何故私はお前に勝てない…………!」
いつもヘザーの敗けで終わる。実力差から言って当然の結果なのだが、生憎ヘザーは夢見がちな女の子(26)だった。
「ヘザー、少しいいか?」
エリオットはマントの埃を払いながら言った。痣一つない。
「この状態でいいも悪いもない。なんだ!」
「近い内、この国で大きな戦いが起こる」
「!」
「かなりの規模になるだろう。だが、俺は前線に立つことができない」
「なぜだ……?」
「王都を……殿下や民を守る最後の砦となるためだ。それと、一つ気にかかっていることがある」
短い沈黙。ややあって、青年はヘザーへこんな問いを投げかけた。
「傲慢の歪虚の技に『強制』というものがあることを知っているか?」
「……………………知っている」
と答えたヘザーだったが、エリオットは表情と間で察した。
「かけた相手の意思を奪い、意のままに操る術だ」
「知ってると言っただろ!」
エリオットは続けた。
「もし万一、強制にかかった俺から作戦が流出したならば……どうなると思う」
「エリオットが?! 敵の手に落ちるだと!? 弱気は私に負けてから言え!」
「…………」
「おい……何か言えよ……」
「俺からは以上だ」
エリオットは切り上げて、ヘザーに背を向けた。
「お、おい!」
「……頼りにしている、ヘザー」
「は?!」
エリオットが背中越しに投げた言葉は、ヘザーにとってあまりに虚を突かれたものだったらしく、変な声が出てしまった。
(頼りにしている……? どういう意味だ……? エリオットは私の実力を知っている、私の実力を認めるわけがない)
なんだかんだ自分に厳しいヘザーだった。
(ならば私の何を頼りにする……? 私に何がある……? 私はどうしたらエリオットの役に立てる……?)
いつの間にか献身的になっていることには気づかないヘザーだった。
(……! そうか! 私はハンターだ。そして時折ハンターにも依頼をする……そうか私の情報拡散能力か!)
騒がしいとも言う。
「いいだろう、大いに騒いでやる!」
「………………何をだ?」
「さらばだ!」
ヘザーはエリオットの疑問には答えずに、何かを決心したように走り去っていった。
「君は……」
某日、エリオットはある場所を訪ねていた。
「――エリオット・ヴァレンタイン。この国で最も高邁な騎士の筈の君が、何故ここに?」
「アダム・マンスフィールド、頼みがある」
刻令術師、アダム・マンスフィールドの工房である。
「私にできる事などたかが知れていると思うがね。それで頼みとは」
「率直に言う。力を貸して欲しい」
「ほう」
言葉に、アダムは皮肉げに口元をつり上げた。諧謔の滲む仕草だが、不快の色は見えない。
「……力、ときたか。全く、研究者はままならないものだ」
本来、軍属でもなんでもないアダム・マンスフィールドには、国家の危機と言えど、従う必要はなかったのだが。
「騎士団長殿の頼みとあっては無碍にできない、か。とはいえ、今の私は雇われ者でね」
「残念ながら、十二分に知っている」
「だろうな、君は私の出資者と随分と懇意にしている。見返りは高くつくかもしれんぞ」
「……それも、な」
重い吐息を零すエリオットに、アダムは堪えきれずにくつくつと笑い声を挙げたのだった。
「刻令術式バリスタという」
それは巨大な弩だった。
「360度回転する台の上に設置されているが、その台を台車に載せ馬で引いて運搬することができるようになっている。発射機構には刻令術が応用されており、弦を引き絞る事なく、全自動で矢を放ち続ける事ができる」
エリオットはアダムの解説を無言で聞いた。真面目くさった顔のエリオットにアダムは言う。
「人は飛ばせんぞ?」
エリオットは笑わなかった。
そして――
エリオットの言った事は現実になった。
王都イルダーナに向けて、歪虚の大部隊が進軍中……。
その総数は未だ掴めていないが、明らかに偶発的な”群れ”とは違う”軍勢”の様相を呈していた。
王国軍、そしてハンター達は、迎え撃つべく準備をした。
「皆! 聞いてくれ!」
編成が終わり、ヘザー・スクロヴェーニは、同じチームのハンター達に向けて言った。
「今この戦場に王国騎士団長であるエリオットは参加できない……」
そして、エリオットから聞いたことを話した。
「……しかしエリオットは本当はこう思っているだろう。王国の為、最も危険な場所に自ら赴きたいと。
だから私達は、エリオットに代わって戦場に馳せ参じようではないか!」
そしてヘザーは剣を掲げた。
陽光に煌くのは『ローレル・ライン』――騎士の剣だ。
「王女殿下万歳!」
ヘザーは仲間と己自身を鼓舞するように、高らかに叫んだ。
出撃していく戦士達を、城門の上から見守る姿があった。
エリオット・ヴァレンタインその人だった。
彼は本来ならば自分がいるべき場所を見つめながら、幾多もの背中を、ただ見守っていた。
エリオット・ヴァレンタイン(kz0025)が職務の合間に外に出たときのことだった。
「エリオット! 私と勝負しろ!」
ヘザー・スクロヴェーニ(kz0061)が勝負を挑んできた。
「ヘザーか」
いつもの事だった。このヘザーは『王女殿下の剣』であるエリオットの立場にライバル心を燃やしており、日頃からこうして勝負を挑んでくるのだ。
もっとも最近のエリオットは、例の、巡礼者襲撃から始まった一連の事件への対応のため、ヘザーに捕まる機会はなかったのだが。
「丁度良かった、お前にも話しておきたい事が……」
「問答無用! 覚醒しろ、そして覚悟しろエリオット!」
「…………」
エリオットは交渉が通じない事を悟り、覚醒状態に入った。
「覚醒したぞ……」
「剣を抜け!」
「お前も素手だろう……」
「私はこれがスタイルだからいいんだ!」
「…………」
饒舌な人間なら『お前ごときやるのに剣はいらない』又は『女性に向ける剣は持たない』あるいは『アホか』とかいくらでも言いようがあるところだったが、生憎このエリオットは朴念仁であった。
なので拳で語った。
数十秒後……
路面に転がるヘザー・スクロヴェーニの姿があった。
「何故だ! 何故私はお前に勝てない…………!」
いつもヘザーの敗けで終わる。実力差から言って当然の結果なのだが、生憎ヘザーは夢見がちな女の子(26)だった。
「ヘザー、少しいいか?」
エリオットはマントの埃を払いながら言った。痣一つない。
「この状態でいいも悪いもない。なんだ!」
「近い内、この国で大きな戦いが起こる」
「!」
「かなりの規模になるだろう。だが、俺は前線に立つことができない」
「なぜだ……?」
「王都を……殿下や民を守る最後の砦となるためだ。それと、一つ気にかかっていることがある」
短い沈黙。ややあって、青年はヘザーへこんな問いを投げかけた。
「傲慢の歪虚の技に『強制』というものがあることを知っているか?」
「……………………知っている」
と答えたヘザーだったが、エリオットは表情と間で察した。
「かけた相手の意思を奪い、意のままに操る術だ」
「知ってると言っただろ!」
エリオットは続けた。
「もし万一、強制にかかった俺から作戦が流出したならば……どうなると思う」
「エリオットが?! 敵の手に落ちるだと!? 弱気は私に負けてから言え!」
「…………」
「おい……何か言えよ……」
「俺からは以上だ」
エリオットは切り上げて、ヘザーに背を向けた。
「お、おい!」
「……頼りにしている、ヘザー」
「は?!」
エリオットが背中越しに投げた言葉は、ヘザーにとってあまりに虚を突かれたものだったらしく、変な声が出てしまった。
(頼りにしている……? どういう意味だ……? エリオットは私の実力を知っている、私の実力を認めるわけがない)
なんだかんだ自分に厳しいヘザーだった。
(ならば私の何を頼りにする……? 私に何がある……? 私はどうしたらエリオットの役に立てる……?)
いつの間にか献身的になっていることには気づかないヘザーだった。
(……! そうか! 私はハンターだ。そして時折ハンターにも依頼をする……そうか私の情報拡散能力か!)
騒がしいとも言う。
「いいだろう、大いに騒いでやる!」
「………………何をだ?」
「さらばだ!」
ヘザーはエリオットの疑問には答えずに、何かを決心したように走り去っていった。
「君は……」
某日、エリオットはある場所を訪ねていた。
「――エリオット・ヴァレンタイン。この国で最も高邁な騎士の筈の君が、何故ここに?」
「アダム・マンスフィールド、頼みがある」
刻令術師、アダム・マンスフィールドの工房である。
「私にできる事などたかが知れていると思うがね。それで頼みとは」
「率直に言う。力を貸して欲しい」
「ほう」
言葉に、アダムは皮肉げに口元をつり上げた。諧謔の滲む仕草だが、不快の色は見えない。
「……力、ときたか。全く、研究者はままならないものだ」
本来、軍属でもなんでもないアダム・マンスフィールドには、国家の危機と言えど、従う必要はなかったのだが。
「騎士団長殿の頼みとあっては無碍にできない、か。とはいえ、今の私は雇われ者でね」
「残念ながら、十二分に知っている」
「だろうな、君は私の出資者と随分と懇意にしている。見返りは高くつくかもしれんぞ」
「……それも、な」
重い吐息を零すエリオットに、アダムは堪えきれずにくつくつと笑い声を挙げたのだった。
「刻令術式バリスタという」
それは巨大な弩だった。
「360度回転する台の上に設置されているが、その台を台車に載せ馬で引いて運搬することができるようになっている。発射機構には刻令術が応用されており、弦を引き絞る事なく、全自動で矢を放ち続ける事ができる」
エリオットはアダムの解説を無言で聞いた。真面目くさった顔のエリオットにアダムは言う。
「人は飛ばせんぞ?」
エリオットは笑わなかった。
そして――
エリオットの言った事は現実になった。
王都イルダーナに向けて、歪虚の大部隊が進軍中……。
その総数は未だ掴めていないが、明らかに偶発的な”群れ”とは違う”軍勢”の様相を呈していた。
王国軍、そしてハンター達は、迎え撃つべく準備をした。
「皆! 聞いてくれ!」
編成が終わり、ヘザー・スクロヴェーニは、同じチームのハンター達に向けて言った。
「今この戦場に王国騎士団長であるエリオットは参加できない……」
そして、エリオットから聞いたことを話した。
「……しかしエリオットは本当はこう思っているだろう。王国の為、最も危険な場所に自ら赴きたいと。
だから私達は、エリオットに代わって戦場に馳せ参じようではないか!」
そしてヘザーは剣を掲げた。
陽光に煌くのは『ローレル・ライン』――騎士の剣だ。
「王女殿下万歳!」
ヘザーは仲間と己自身を鼓舞するように、高らかに叫んだ。
出撃していく戦士達を、城門の上から見守る姿があった。
エリオット・ヴァレンタインその人だった。
彼は本来ならば自分がいるべき場所を見つめながら、幾多もの背中を、ただ見守っていた。
解説
作戦目的
『一定時間敵を防ぐ』
『敵に防衛線を突破されない』
状況
王都に進軍中の歪虚の軍を、王都へと通じる街道上で迎え撃つ。
PC達は王国側の戦力の一部分を担う。
両軍は正面からぶつかり合うだろう。
友軍
ヘザー・スクロヴェーニ:
疾影士、前衛で戦う。
エリオットに及ばないとはいえ、ハンターとしてそれなりの実力は持っている。
エリオットと被るという理由で剣を使う事を渋っていたが、今回は騎士剣『ローレル・ライン』を所持。自前。
アダム・マンスフィールドと刻令術式バリスタ:
遠距離から敵を射撃する。空中の敵を優先して狙っている。
バリスタは馬で引かれており一応の機動力はある。
敵の射程より後方に控えている。
人は飛ばせない。
王国側ハンター、騎士、聖堂戦士団等:
数で劣っている上に突出した戦闘能力の持ち主はPC達の周りにおらず、支援は期待できない。逆に支援することはできる。
戦場
王都に繋がる街道上。障害物は無い。
前衛・後衛に人数の制限は無い。
敵情報
飛天槍兵:
光り輝く鎧で身を固めた有翼の兵士。得物は槍。
敵前衛、地面から少し浮いた所を移動する
射程1~2
羽を使用した範囲攻撃スキルを使用。範囲は自分を中心とした直径3スクエア
飛天弓兵:
光り輝く鎧で身を固めた有翼の兵士。得物は弓。
敵後衛、上空から弓を撃ってくる。射程は6~50
上空にいる間、近接武器による攻撃・スキルは届かない。
ラッパ奏者:
全身が光り輝いている有翼の人物。ラッパを吹き、天から炎の雨を降らす。
これは火属性の射程1~12、範囲・直径5スクエアの攻撃スキル。
敵後衛、上空にいる。
上空にいる間、近接武器による攻撃・スキルは届かない。
これらの敵と延々と戦う。
飛天槍兵・飛天弓兵が大半を占め、ラッパ奏者は少数。
備考:
味方が多いこともありユニットは使用不可。騎乗物は可。
『一定時間敵を防ぐ』
『敵に防衛線を突破されない』
状況
王都に進軍中の歪虚の軍を、王都へと通じる街道上で迎え撃つ。
PC達は王国側の戦力の一部分を担う。
両軍は正面からぶつかり合うだろう。
友軍
ヘザー・スクロヴェーニ:
疾影士、前衛で戦う。
エリオットに及ばないとはいえ、ハンターとしてそれなりの実力は持っている。
エリオットと被るという理由で剣を使う事を渋っていたが、今回は騎士剣『ローレル・ライン』を所持。自前。
アダム・マンスフィールドと刻令術式バリスタ:
遠距離から敵を射撃する。空中の敵を優先して狙っている。
バリスタは馬で引かれており一応の機動力はある。
敵の射程より後方に控えている。
人は飛ばせない。
王国側ハンター、騎士、聖堂戦士団等:
数で劣っている上に突出した戦闘能力の持ち主はPC達の周りにおらず、支援は期待できない。逆に支援することはできる。
戦場
王都に繋がる街道上。障害物は無い。
前衛・後衛に人数の制限は無い。
敵情報
飛天槍兵:
光り輝く鎧で身を固めた有翼の兵士。得物は槍。
敵前衛、地面から少し浮いた所を移動する
射程1~2
羽を使用した範囲攻撃スキルを使用。範囲は自分を中心とした直径3スクエア
飛天弓兵:
光り輝く鎧で身を固めた有翼の兵士。得物は弓。
敵後衛、上空から弓を撃ってくる。射程は6~50
上空にいる間、近接武器による攻撃・スキルは届かない。
ラッパ奏者:
全身が光り輝いている有翼の人物。ラッパを吹き、天から炎の雨を降らす。
これは火属性の射程1~12、範囲・直径5スクエアの攻撃スキル。
敵後衛、上空にいる。
上空にいる間、近接武器による攻撃・スキルは届かない。
これらの敵と延々と戦う。
飛天槍兵・飛天弓兵が大半を占め、ラッパ奏者は少数。
備考:
味方が多いこともありユニットは使用不可。騎乗物は可。
マスターより
坂上テンゼンに候。
タイトルは『エリオットにささげるマーチ』と読みます。
成功条件とは関係ありませんが、エリオットが見送りに来ています。
何か声をかけてあげてください。
敵を全滅させることはできません。防衛線を突破されず一定時間耐えれば勝利となります。
余談ですがヘザーは少年漫画で言うところの『主人公をライバル視する味方側の脇役キャラ』といった立ち位置です。
タイトルは『エリオットにささげるマーチ』と読みます。
成功条件とは関係ありませんが、エリオットが見送りに来ています。
何か声をかけてあげてください。
敵を全滅させることはできません。防衛線を突破されず一定時間耐えれば勝利となります。
余談ですがヘザーは少年漫画で言うところの『主人公をライバル視する味方側の脇役キャラ』といった立ち位置です。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/04/06 09:45
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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騎士団長の為にっ? ミコト=S=レグルス(ka3953) 人間(リアルブルー)|16才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/04/01 02:03:56 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/29 01:41:43 |