ゲスト
(ka0000)
未来に刻む勝利を 第5話
マスター:赤山優牙
このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/04/15 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/04/29 07:30
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
●龍尾城の一室
客人を招くその部屋で、立花院 紫草 (kz0126)は物静かな表情を動かす事なくお茶を口にしていた。
「……ハンター達と十鳥城城主 矢嗚文との武闘会がいよいよ……」
ふわふわゆるゆるの緑髪を揺らめかせ、紡伎 希(kz0174)が言った。
十鳥城とその城下町を治める矢嗚文 熊信と支配権を掛けた戦いの日取りは決まった。
「ハンター達には矢嗚文との戦いを依頼します。そして、大轟寺蒼人には住民の蜂起を」
「紫草様……災狐の軍勢については……」
十鳥城で活動していたハンターらの報告で、災狐と呼ばれる歪虚の手下が息を潜めていると連絡があった。
武闘会に合わせ手下らは一斉に城下町内で暴れる予定であるようだ。おまけに、災狐本隊の勢力も迫っているのではないかという未確認の情報まである。
「予定通り、住民らの一斉蜂起は実行に移す」
先の依頼でハンター達は住民らに訓練を施してきた。
また、再三の呼び掛けに応じ、勢いは良いだろう。必ずや蜂起するはずである。
「……私には、分かりません。これでは……これでは、犠牲を強いているだけではないのでしょうか?」
災狐の手下との戦いに住民らは巻き込まれるのだ。
それだけではない。十鳥城に迫る災狐の軍勢とも戦わなければならない事態になる可能性も高い。
歪虚の勢力域の中、絶望と共に数十年も耐えてきて、限界ギリギリの人々の事を思えば、希の言葉は当然の事だ。
「彼ら自身が自らの手で変わる事が肝要なのです。そして、変わるという事にはリスクは付き物です」
「それは……私も分かります。だけど、それは多くの人々の助けがあってこそだと、私は思います」
緑髪の少女は俯きながらそんな言葉を発した。
希自身がそうであったから……それは死に、或いは、絶望へと至る可能性もあった。それでも、少女は変われた。変わる事ができたのは、大勢の人の力だ。
「その為の準備を君はしていたと思うのですが」
十鳥城への抜け道の管理を希は任されていた。
脱出する為ではない。
今回の時の為に準備していたのだ。
「住民を支援するという形で依頼は出します。ですが、それでは、災狐の軍団に対抗できません」
十鳥城と城下町を奪還したとしても、再び周囲を歪虚の軍勢に囲まれては意味はない。
しかも、城の物資は困窮しており、長期戦は不可能だ。広大な城壁を守るには人数も必要となる。
住民を抜け穴を使って脱出させるにも時間がかかり過ぎて、それこそ、災狐の軍団に襲われてしまう。
「無茶を承知でお願いします」
希は深々と頭を下げた。
「連邦国から援軍を」
「希さん……頭を上げて下さい。頭を下げる必要はないのですよ。君はハンターズ・ソサエティの受付嬢だ」
紫草の言葉でも希は頭を下げたままだった。
ここで引くわけにはいかない。大勢の人々を救うには、想いを繋げるには、約束を果たすには、どうしても必要だと思った。
「……私は、沢山の人々を傷つけて来ました。取り返しのつかない事も……だから、だから、一人でも多く人を救いたいのです」
それが果たさなければならない償い。
「本当に頭を下げなくていいのですよ、希さん。既に準備は整っているのです」
「え?」
驚いて頭を上げた希。
紫草がニッコリと笑った時だった、部屋の戸の外から声が響いた。
「鳴月牡丹、参上致しました」
女性の声……の様だが、その口調は威勢がとても良い。
入室を許可した紫草の言葉と共に戸が開いた。
明るい茶髪を頭の上で結んでおり、赤い瞳は力強さを感じさせる。美女ではあるが凛々しい顔付きは勇ましさを感じさせる大人の女性が部屋に入って来たのだった。
●城下町
ぼさぼさに伸びた髪。ぼうぼうの髭。
代官は鏡に映った己の姿を観て苦笑を浮かべた。
「俺も、いよいよ、か」
武闘会の日取りは代官である彼から関係各所に連絡した。
災狐の配下による暗躍を防ぐ為に戦いを見にいけない事が残念だった。
「爺様……父上……」
城主が堕落者となってから、代々、代官だった。
勇敢な武士や兵達は、堕落者と化した城主との戦いに散っていった。それこそが、武士の名誉だと言い残して。戦える者が少なくなってくると、代官は城下町に残る住民の中から戦える者を探し出した。
「どんなに辛かった事か……」
元々は十鳥城一の忠義者として名高かった家柄だった。
それを覚えている者もおり、代官の爺や父に対して冷たく当たる者も少なくなかった。堕落者のおこぼれで生き残っているとか、他人の命を捧げて命乞いをしているとの言われてきた。
『武闘会で戦いたかった』
その言葉を代官は二人の先代から何度も聞かされていた。
「それも、もう終わる。いや、終わらせる」
ハンター達は連れて来られた訳ではない。
自らの選択で、この城下町に住む人々を救う為に来たのだ。そして、成さなければいけない事を住民達に示した。
「矢嗚文様、必ず、十鳥城を守り通してみせます」
愛刀を強く握り締めた。
●十鳥城闘技場
その会場は、長年、武闘会の場として使われてきた。
西方のコロッセルを参考にしたとも言われているが、定かではない。
地面が剥き出した広い空間を見下ろすように客席が周囲を囲んでいる。
「かつては、歓声に包まれていたものだ……」
矢嗚文が懐かしむように呟いた。
これまでの闘いを思い返す――支配権を奪おうとして襲いかかって来た歪虚を討ち滅ぼした。腕利きの頼もしい配下の将や兵達。
その時は客席は全て埋まり、人々の歓声が響いていたのだ。
「だが、いつの頃からか、誰も居なくなった」
無理矢理連れて来られた大人。生贄のように駆り出された子供。自らが救世主と信じ挑んで来た贄役。
その全てを、矢嗚文は契約の名の下、斬り伏せてきた。
「獄炎を打ち破りしハンターの力、見せてもらおう」
呟くと、己の手を静かに見つめる。
幾人もの人を斬ってきた汚れた手。帝を裏切り歪虚と化した汚れた手。契約にただただ縋りつかなければ保てない汚れた手。
それでも――
人の温もりを――
――感じられた。
未来を失ってしまったものだと思っていた。自分も城も、城下町の住民達も。
けれど、自分の意識も、城下町の状況も、最後の限界を迎えようとしているこの時に、再び人を知る事ができた。
ぐっと手を握る。もうじき、ハンター達がやってくる。
矢嗚文は闘技場の入口を睨んで、言い放った。
「我と戦い、未来に勝利を刻め!」
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
●龍尾城の一室
客人を招くその部屋で、立花院 紫草 (kz0126)は物静かな表情を動かす事なくお茶を口にしていた。
「……ハンター達と十鳥城城主 矢嗚文との武闘会がいよいよ……」
ふわふわゆるゆるの緑髪を揺らめかせ、紡伎 希(kz0174)が言った。
十鳥城とその城下町を治める矢嗚文 熊信と支配権を掛けた戦いの日取りは決まった。
「ハンター達には矢嗚文との戦いを依頼します。そして、大轟寺蒼人には住民の蜂起を」
「紫草様……災狐の軍勢については……」
十鳥城で活動していたハンターらの報告で、災狐と呼ばれる歪虚の手下が息を潜めていると連絡があった。
武闘会に合わせ手下らは一斉に城下町内で暴れる予定であるようだ。おまけに、災狐本隊の勢力も迫っているのではないかという未確認の情報まである。
「予定通り、住民らの一斉蜂起は実行に移す」
先の依頼でハンター達は住民らに訓練を施してきた。
また、再三の呼び掛けに応じ、勢いは良いだろう。必ずや蜂起するはずである。
「……私には、分かりません。これでは……これでは、犠牲を強いているだけではないのでしょうか?」
災狐の手下との戦いに住民らは巻き込まれるのだ。
それだけではない。十鳥城に迫る災狐の軍勢とも戦わなければならない事態になる可能性も高い。
歪虚の勢力域の中、絶望と共に数十年も耐えてきて、限界ギリギリの人々の事を思えば、希の言葉は当然の事だ。
「彼ら自身が自らの手で変わる事が肝要なのです。そして、変わるという事にはリスクは付き物です」
「それは……私も分かります。だけど、それは多くの人々の助けがあってこそだと、私は思います」
緑髪の少女は俯きながらそんな言葉を発した。
希自身がそうであったから……それは死に、或いは、絶望へと至る可能性もあった。それでも、少女は変われた。変わる事ができたのは、大勢の人の力だ。
「その為の準備を君はしていたと思うのですが」
十鳥城への抜け道の管理を希は任されていた。
脱出する為ではない。
今回の時の為に準備していたのだ。
「住民を支援するという形で依頼は出します。ですが、それでは、災狐の軍団に対抗できません」
十鳥城と城下町を奪還したとしても、再び周囲を歪虚の軍勢に囲まれては意味はない。
しかも、城の物資は困窮しており、長期戦は不可能だ。広大な城壁を守るには人数も必要となる。
住民を抜け穴を使って脱出させるにも時間がかかり過ぎて、それこそ、災狐の軍団に襲われてしまう。
「無茶を承知でお願いします」
希は深々と頭を下げた。
「連邦国から援軍を」
「希さん……頭を上げて下さい。頭を下げる必要はないのですよ。君はハンターズ・ソサエティの受付嬢だ」
紫草の言葉でも希は頭を下げたままだった。
ここで引くわけにはいかない。大勢の人々を救うには、想いを繋げるには、約束を果たすには、どうしても必要だと思った。
「……私は、沢山の人々を傷つけて来ました。取り返しのつかない事も……だから、だから、一人でも多く人を救いたいのです」
それが果たさなければならない償い。
「本当に頭を下げなくていいのですよ、希さん。既に準備は整っているのです」
「え?」
驚いて頭を上げた希。
紫草がニッコリと笑った時だった、部屋の戸の外から声が響いた。
「鳴月牡丹、参上致しました」
女性の声……の様だが、その口調は威勢がとても良い。
入室を許可した紫草の言葉と共に戸が開いた。
明るい茶髪を頭の上で結んでおり、赤い瞳は力強さを感じさせる。美女ではあるが凛々しい顔付きは勇ましさを感じさせる大人の女性が部屋に入って来たのだった。
●城下町
ぼさぼさに伸びた髪。ぼうぼうの髭。
代官は鏡に映った己の姿を観て苦笑を浮かべた。
「俺も、いよいよ、か」
武闘会の日取りは代官である彼から関係各所に連絡した。
災狐の配下による暗躍を防ぐ為に戦いを見にいけない事が残念だった。
「爺様……父上……」
城主が堕落者となってから、代々、代官だった。
勇敢な武士や兵達は、堕落者と化した城主との戦いに散っていった。それこそが、武士の名誉だと言い残して。戦える者が少なくなってくると、代官は城下町に残る住民の中から戦える者を探し出した。
「どんなに辛かった事か……」
元々は十鳥城一の忠義者として名高かった家柄だった。
それを覚えている者もおり、代官の爺や父に対して冷たく当たる者も少なくなかった。堕落者のおこぼれで生き残っているとか、他人の命を捧げて命乞いをしているとの言われてきた。
『武闘会で戦いたかった』
その言葉を代官は二人の先代から何度も聞かされていた。
「それも、もう終わる。いや、終わらせる」
ハンター達は連れて来られた訳ではない。
自らの選択で、この城下町に住む人々を救う為に来たのだ。そして、成さなければいけない事を住民達に示した。
「矢嗚文様、必ず、十鳥城を守り通してみせます」
愛刀を強く握り締めた。
●十鳥城闘技場
その会場は、長年、武闘会の場として使われてきた。
西方のコロッセルを参考にしたとも言われているが、定かではない。
地面が剥き出した広い空間を見下ろすように客席が周囲を囲んでいる。
「かつては、歓声に包まれていたものだ……」
矢嗚文が懐かしむように呟いた。
これまでの闘いを思い返す――支配権を奪おうとして襲いかかって来た歪虚を討ち滅ぼした。腕利きの頼もしい配下の将や兵達。
その時は客席は全て埋まり、人々の歓声が響いていたのだ。
「だが、いつの頃からか、誰も居なくなった」
無理矢理連れて来られた大人。生贄のように駆り出された子供。自らが救世主と信じ挑んで来た贄役。
その全てを、矢嗚文は契約の名の下、斬り伏せてきた。
「獄炎を打ち破りしハンターの力、見せてもらおう」
呟くと、己の手を静かに見つめる。
幾人もの人を斬ってきた汚れた手。帝を裏切り歪虚と化した汚れた手。契約にただただ縋りつかなければ保てない汚れた手。
それでも――
人の温もりを――
――感じられた。
未来を失ってしまったものだと思っていた。自分も城も、城下町の住民達も。
けれど、自分の意識も、城下町の状況も、最後の限界を迎えようとしているこの時に、再び人を知る事ができた。
ぐっと手を握る。もうじき、ハンター達がやってくる。
矢嗚文は闘技場の入口を睨んで、言い放った。
「我と戦い、未来に勝利を刻め!」
解説
●目的
武闘会での勝利
●内容
矢嗚文熊信の討伐
●地形
地面剥き出しの闘技場
十分な広さがあり、周囲を取り囲む様に客席が並ぶ
●矢嗚文 熊信
禍々しい甲冑姿の好青年。黒髪黒眼
持っている武器は黒い太刀
生前は刀の使い手としてよりも符術師としての実力で名を馳せていたとも言われる
戦闘方法は代官からの伝えられた内容によると以下の通り
『太刀は凄まじい程の切れ味があり、生半可な鎧など意味を成さない』
『目にも止まらぬ速さで符術のようなものを放つ』
『刀を振いながら符術のようなものを行使できる』
また、戦闘の際は和装鎧の歪虚が登場します
和装鎧A:刀と楯で武装
和装鎧B:魔導銃の様な物で武装
●その他
矢嗚文を打ち倒せれば勝利となります
堕落者である矢嗚文は『死』を迎えると塵となって消滅します
わずかな時間ですが、打倒した後、PCらとの会話は可能です
●連動シナリオ
『過去の呪縛から解放を!』と連動しています。連動先のシナリオ結果によっては別の展開もあり得ます
また、出発時刻は多少ズレているとし、連動依頼の同時参加は問題ないものとしますが、連動先での消耗が適用される場合もありますので、ご注意下さい
武闘会での勝利
●内容
矢嗚文熊信の討伐
●地形
地面剥き出しの闘技場
十分な広さがあり、周囲を取り囲む様に客席が並ぶ
●矢嗚文 熊信
禍々しい甲冑姿の好青年。黒髪黒眼
持っている武器は黒い太刀
生前は刀の使い手としてよりも符術師としての実力で名を馳せていたとも言われる
戦闘方法は代官からの伝えられた内容によると以下の通り
『太刀は凄まじい程の切れ味があり、生半可な鎧など意味を成さない』
『目にも止まらぬ速さで符術のようなものを放つ』
『刀を振いながら符術のようなものを行使できる』
また、戦闘の際は和装鎧の歪虚が登場します
和装鎧A:刀と楯で武装
和装鎧B:魔導銃の様な物で武装
●その他
矢嗚文を打ち倒せれば勝利となります
堕落者である矢嗚文は『死』を迎えると塵となって消滅します
わずかな時間ですが、打倒した後、PCらとの会話は可能です
●連動シナリオ
『過去の呪縛から解放を!』と連動しています。連動先のシナリオ結果によっては別の展開もあり得ます
また、出発時刻は多少ズレているとし、連動依頼の同時参加は問題ないものとしますが、連動先での消耗が適用される場合もありますので、ご注意下さい
マスターより
●ご挨拶
シリーズシナリオ『未来に刻む勝利を』は、ついに最終話を迎えました。
ここまで来れたのは、ひとえに参加頂いた皆様のおかげです。最後の戦い、ぜひ、よろしくお願いします。
●攻略のヒント
矢嗚文は強敵です。
しかし、連携を重視し、対策を怠らなければ、必ずや倒せるはずです。
シリーズシナリオ『未来に刻む勝利を』は、ついに最終話を迎えました。
ここまで来れたのは、ひとえに参加頂いた皆様のおかげです。最後の戦い、ぜひ、よろしくお願いします。
●攻略のヒント
矢嗚文は強敵です。
しかし、連携を重視し、対策を怠らなければ、必ずや倒せるはずです。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/04/22 05:10
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
相談卓、です メトロノーム・ソングライト(ka1267) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/04/14 23:11:06 |
||
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/04/10 08:22:25 |